JP6668065B2 - 二軸延伸離型フィルム - Google Patents

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本発明は、離型性に優れた二軸延伸ポリプロピレン系フィルムに関する。特に、離型層に4−メチル−1−ペンテン系共重合体を含むことにより離型性に優れ、かつ二軸延伸時にデラミを発生しない二軸延伸ポリプロピレン系フィルムに関する。さらに詳しくは、剥離フィルム、剥離ライナー、セパレータフィルム等に有用な二軸延伸ポリプロピレン系フィルムに関する。
建材用や光学用の樹脂製品、金属製品、ガラス製品等は表面に表面保護フィルムを貼り付け、輸送、保管や加工による表面の傷や異物混入を防ぐのが一般的である。表面保護フィルムには、柔軟性、機械特性等の性質のほか、保護対象、保護目的、使用環境等に応じて種々の特性が求められる。このため様々な観点から表面保護フィルムの開発が進められている。例えば、ポリエチレン成分を主体とした表面保護フィルムや(特許文献1)、ポリプロピレン成分を主体とした4−メチル−1−ペンテンと1−デセンとのオリゴマーを含む樹脂組成物の表面保護フィルムが検討されている(特許文献2)。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、軽量性、熱的安定性及び機械特性に優れているので包装用、工業用材料フィルムとして広く用いられている。特に近年は非シリコーン系の離型材料として、電子部品、電子基板の製造工程、繊維強化プラスチック等の熱硬化性材料の製造工程フィルムとして広く用いられているが、更なる改良が要望されていた。離型性の改良方法として、例えばポリプロピレンにポリメチルペンテン重合体を配合することで剥離力をより高めることができる(特許文献3、4)。しかしながら、ポリメチルペンテン含有量を増やすことで二軸延伸性が悪化したり、多層フィルムの場合はデラミすることが知られており、α−オレフィン共重合体を相容化材的に配合するなどの改良が提案されている(特許文献5)。
本願発明者らは、離型性に優れ、成形可能温度が比較的低いことを特徴としたポリ4メチル−1−ペンテン系共重合体を含んでなる離形フィルムを既に開示しているが、成形可能温度を下げると、実用使用では問題ないもののフィルム透明性が悪くなる傾向があることを確認している(特許文献6)。
以上のように、近年では特に、二軸延伸などの加工性に優れ、外観に優れ、かつ離型性が良いフィルムの開発が求められていた。
特開2006−116769号公報 特開2010−275340号公報 特開2008−189795号公報 特開平7−070384号公報 特開2015−120331号公報 特開2014−125496号公報
本発明者らは、成形可能温度が低く、離型性に優れ、かつ透明性に優れたフィルム、及び前記フィルムを含む表面保護フィルム、及び前記フィルムの製造に適した樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の物性を有する4−メチル−1−ペンテン系共重合体を含む二軸延伸フィルムが上記課題を解決でき、低い成形可能温度条件下であっても離型性や透明性に優れ、且つ従来技術において時に遭遇する多層フィルムのデラミ現象を併発することなくフィルム延伸できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の主旨は次の通りである。
≪1≫A層とB層が積層されてなる二軸延伸ポリプロピレン系フィルムであって、
A層が4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)とポリプロピレン(A2)とを含む樹脂組成物から構成され、
前記4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)の含有量が、A層の全質量に対して5質量%以上95質量%以下であり、前記ポリプロピレン(A2)の含有量がA層の全質量に対して5質量%以上95質量%以下であり(ここで、成分(A1)と成分(A2)の合計は100質量%)、かつ前記4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)が下記[1]の要件を満たすフィルム。
[1]4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位を96モル%〜80モル%、及び炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位の総和が4〜20モル%(但し、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位と炭素原子数2〜20のオレフィンから導かれる構成単位との合計は100モル%である)である。
≪2≫前記4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)が下記[2]ないし[5]の要件をすべて満たす請求項1に記載の二軸延伸ポリプロピレン系フィルム。
[2]135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gである
[3]ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5である
[4]密度が825〜860kg/mである
[5]DSCで測定した融点(Tm)が100℃〜199℃の範囲にある
≪3≫前記4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)の、DSCで測定した融点(Tm)が100℃〜180℃の範囲にある請求項1または2に記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
≪4≫前記B層が、前記ポリプロピレン(A2)と同一でも異なっていてもよいポリプロピレン(B1)を含む樹脂組成物から形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二軸延伸ポリプロピレン系フィルム。
≪5≫層構成が、A層/B層/A層、またはA層/B層/C層(ここで、C層は、A層およびB層のいずれとも異なる層である)の三層構成であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二軸延伸フィルム。
本発明によれば、二軸延伸時にデラミ等を発生せず、表面平滑性と、離型性に優れる二軸延伸ポリプロピレンフィルムを提供する。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
以下に本発明にかかる4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A)を含む二軸延伸離型フィルムについて詳説する。
本願発明の二軸延伸ポリプロピレン系フィルムはA層とB層が積層されてなり、A層が 4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)とポリプロピレン(A2)とを含む樹脂組成物から構成されている。以下、A層とB層を詳説し、次いで層構成、フィルム製造方法について述べる。
≪A層≫
A層は、4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)と、ポリプロピレン(A2)を含む。
〔4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)〕
以下、4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)について説明する。
4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)は、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位を96モル%〜80モル%含み、炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位を4モル%〜20モル%の割合で含むことを特徴とする。なお、炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、1種類に限定されることなく、2種以上を選択してもよく、複数選択した場合、その構成単位の総和として、上記範囲を満たせばよい。
ここで、耐熱性、透明性、成形性の観点から、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の上限として96モル%含まれていることが好ましく、95モル%含まれていることがより好ましく、93モル%含まれていることがさらに好ましい。また4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の下限としては、80モル%含まれていることが好ましく、83モル%含まれていることがより好ましく、84モル%含まれていることがさらに好ましい。
一方、炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位の上限として20モル%含まれていることが好ましく、18モル%含まれていることがより好ましく、17モル%含まれていることがさらに好ましい。また、炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位の下限として、4モル%含まれていることが好ましく、5モル%含まれていることがより好ましく、7モル%含まれていることがさらに好ましい。ここで、4−メチル−1−ペンテンと炭素原子数2〜20のオレフィンとの構成単位の合計は100モル%である。
4−メチル−1−ペンテンと炭素原子数2〜20のオレフィンとの構成単位の割合が上記範囲内にすることによって、得られる共重合体(A1)の融点を上記要件[5]のように調整することができる。そのため、共重合体(A1)を含む層からなるフィルムを製造する際、従来使用されている4−メチル−1−ペンテン系の重合体、特に4−メチル−1−ペンテンのホモ重合体に比べて成型温度を下げることができる。さらに構成単位の割合を上記範囲内とすることにより、共重合体(A)の耐熱性を高いレベルで維持することが可能となる。
4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)は、4−メチル−1−ペンテン構造単位連鎖と炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導き出される構成単位で同種の構成単位が連続したブロックを含むブロック共重合体であってもよい。また透明性、成形性の観点からは、4−メチル−1−ペンテンと炭素原子数2〜20のオレフィンのランダム共重合体が好ましい。
4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)に含まれる炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが好適な例として挙げられる。
得られる共重合体の物性の観点からは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセンが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセンがより好ましく、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセンがさらに好ましい。これらのうち、炭素原子数2〜4のα−オレフィンが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテンが好適な例として挙げられる。
これらの炭素原子数2〜20のオレフィンは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。さらに共重合性、分散性の観点からは、プロピレンが最も好ましい。
なお、4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)は、本発明の目的を損なわない範囲で、4−メチル−1−ペンテンと炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)以外の重合性化合物(以下、重合性化合物ともいう)に由来する構造単位を含んでいてもよい。
このような前記重合性化合物としては、例えばスチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナン等の環状構造を有するビニル化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類;無水マレイン酸等の不飽和有機酸またはその誘導体;ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等の共役ジエン類;1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペンル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等の非共役ポリエン類などが挙げられる。
本発明における4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)は、前記重合性化合物から導かれる単位を、4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)に含まれる全ての重合性化合物構造単位に対して、10モル%以下含有されていてもよく、5モル%以下、3モル%以下の量で含有していてもよい。
本発明における、4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.5〜5.0dL/gであることが好ましい。
ここで、極限粘度[η]は、1.0〜4.0dL/gの範囲であることが好ましく、1.2〜3.5dL/gの範囲であることがさらに好ましい。
上記極限粘度[η]の値は、4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)を製造する際の、重合時の水素の添加量により調整することが可能である。
極限粘度[η]の値が上記範囲にある4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)は、樹脂組成物製造時や各種成形時において良好な流動性を示し、またポリプロピレンをはじめとする熱可塑性樹脂(B)への分散性が良好となり、外観美麗な成形品が得られる。
本発明における、4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は1.0〜3.5であることが好ましい。ここで、分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜3.5の範囲であることが好ましく、さらには1.5〜3.0の範囲であることが好ましい。
上記、分子量分布(Mw/Mn)の値は、後述するオレフィン重合用触媒の種類によって調整することが可能である。
分子量分布(Mw/Mn)の値が上記範囲にある4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)を含む重合体組成物は、相対的に低い分子量成分の含有率が少ない傾向がある。そのため、前記低分子量体のブリードアウトが少なく、ブロッキング性が低下し、フィルム物性全般、特に機械強度や外観美麗という観点から好ましい。
本発明における、4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出される値である。
本発明における、4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)の密度は、825〜860kg/mであることが好ましい。ここで、密度は、830〜855kg/mの範囲であることが好ましく、830〜850kg/mの範囲であることがより好ましく、830〜845kg/mの範囲であることがさらに好ましい。
上記、密度の値は、4−メチル−1−ペンテンと共に重合する他のα−オレフィンの種類や配合量を選択することにより、調整することが可能である。密度の値が上記範囲にある4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)を含む重合体組成物は、耐熱性と軽量性の観点から好ましい。上記4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)の密度は、JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して、測定される値である。
本発明における、4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)のDSCで測定した融点(Tm)は、100〜199℃であることが好ましく、110〜180℃の範囲であることがより好ましく、125〜158℃の範囲であることがさらに好ましく、125〜150℃の範囲であることが特に好ましい。 上記、融点(Tm)の値は、重合体の立体規則性ならびに共に重合するα−オレフィン量に依存して変化する値であり、後述するオレフィン重合用触媒を用いて所望の組成に制御調整することが可能である。
融点(Tm)の値が上記範囲にある4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)を含む重合体組成物は、べたつきが少ないことからハンドリング性が良好となるなど成形性の観点から好ましい。
本発明における4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)は、オレフィン重合用触媒の存在下、4−メチル−1−ペンテンと上述した特定のα−オレフィン、さらに必要に応じて前記重合性化合物を重合することにより得ることができる。
上述オレフィン重合用触媒のうち、4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)を製造するに当たり、好ましい触媒の態様として、メタロセン触媒を挙げることができる。
好ましいメタロセン触媒としては、国際公開第01/53369号、国際公開第01/27124号、特開平3−193796号公報、特開平02−41303号公報中あるいは国際公開第2006/025540号、国際公開第2014/050817号などに記載されたメタロセン触媒が挙げられる。
本発明のフィルムにおける4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)の含有量は、表面保護フィルムの全質量に対して、5質量%以上95質量%以下が好ましく、10質量%以上80質量%以下がより好ましく、10質量%以上70質量%以下がさらに好ましい。上記範囲にあると、後述するポリプロピレン(A2)との親和性が高いため、系中に4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)を微分散させることが可能となることから、該樹脂組成物を用いてフィルムを製造した際に、4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)が脱落していくことが少なく、長期間にわたり耐ブロッキング性を維持することが可能である。
〔ポリプロピレン(A2)〕
本発明におけるポリプロピレン(A2)はプロピレンを主体とする公知の重合体であり、そのような例としては、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのプロピレン・α‐オレフィン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、又はこれらの混合物)等を挙げることができる。ポリプロピレンとしてはアイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレンが好適に用いられ、立体規則性を示すアイソタクチックメソペンダッド分率(mmmm)またはシンジオタクチックメソペンダッド分率(rrrr)が90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましく、93%以上であることがさらに好ましい。立体規則性が高いと、樹脂の結晶性が向上し、高い熱安定性、機械特性を付与することができる。
プロピレン・α‐オレフィン共重合体におけるα‐オレフィンの共重合比率としては、5質量%以下であることが好ましい。また、プロピレン・α‐オレフィン共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよく、核剤(結晶化核剤)を含んでいても良い。核剤としては、特に限定されず、各種無機化合物、各種カルボン酸又はその金属塩、ジベンジリデンソルビトール系化合物、アリールフォスフェート系化合物、環状多価金属アリールフォスフェート系化合物と脂肪族モノカルボン酸アルカリ金属塩又は塩基性アルミニウム・リチウム・ヒドロキシ・カーボネート・ハイドレートとの混合物、各種高分子化合物等のα晶核剤等が挙げられる。これらの結晶化核剤は単独の材料でも使用でき、また二種以上の材料を併用することもできる。
上記ポリプロピレン(A2)のMFRは、JIS K7210に準じて測定できる。具体的には、温度230℃、荷重2.16kg荷重の測定条件で、0.5〜25g/10分であることが好ましく、1〜15g/10分であることがより好ましく、2〜10g/10分であることがさらに好ましい。プロピレン系重合体のMFRが前記範囲にあると、押出成形に好適である。
ポリプロピレン(A2)に含まれる重合触媒残渣等に起因する灰分は、微小異物(フィッシュアイ)を低減するため、可能な限り少ないことが好ましく、50ppm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、40ppm以下である。50ppm以下とすることにより、微小異物・欠点が顕著に低減され、電子部品用途に用いた際の汚染を低減できる。
本発明のフィルムにおけるポリプロピレン(A2)の含有量は、表面保護フィルムの全質量に対して、5質量%以上95質量%以下が好ましく、20質量%以上90質量%以下がより好ましく、30質量%以上90質量%以下がさらに好ましい。上記範囲にあると、前記4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)との親和性が高いため、系中に4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)を微分散させることが可能となる。
〔その他の樹脂〕
本発明の二軸延伸フィルムのA層を構成する樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内において、上述の4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)及びポリプロピレン(A2)以外のその他の樹脂を含有していてもよい。その他の樹脂としては例えば、ポリエチレン、ポリ1−ブテン、スチレン系樹脂、エチレン・αオレフィン共重合体等のポリオレフィン系重合体を添加することも可能である。
〔添加剤〕
本発明の二軸延伸フィルムのA層を構成する樹脂組成物は、特定量の4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)と特定量のポリプロピレン(A2)とを含有し、更に、本発明の目的を損なわない範囲内において、例えば、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、核剤、滑剤、顔料、染料、老化防止剤、塩酸吸収剤、無機又は有機の充填剤、有機系又は無機系の発泡剤、架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、難燃剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
本発明におけるA層を構成する樹脂組成物には、その成形性をさらに改善させる、すなわち結晶化温度を高め結晶化速度を速めるために、特定の任意成分である核剤が配合されていてもよい。この場合、例えば核剤はジベンジリデンソルビトール系核剤、リン酸エステル塩系核剤、ロジン系核剤、安息香酸金属塩系核剤、フッ素化ポリエチレン、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ピメリン酸やその塩、2,6−ナフタレン酸ジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド等であり、配合量は特に制限されないが、該樹脂組成物100質量部に対して0.1〜1質量部程度があることが好ましい。配合タイミングに特に制限は無く、重合中、重合後、あるいは成形加工時での添加が可能である。
該樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに必要に応じて、二次抗酸化剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、充填剤、塩酸吸収剤や、他のオレフィン重合体などを配合することができる。配合量は特に制限されないが、該樹脂組成物100質量部に対して、通常0〜50質量部であり、0〜30質量部が好ましく、0〜10質量部がさらに好ましく、0〜1質量部が特に好ましい。
酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤が使用可能である。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、イオウ系酸化防止剤、ラクトーン系酸化防止剤、有機ホスファイト化合物、有機ホスフォナイト化合物、あるいはこれらを数種類組み合わせたものが使用できる。
滑剤としては、例えばラウリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの飽和または不飽和脂肪酸のナトリウム、カルシウム、マグネシウム塩などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。またかかる滑剤の配合量は、該樹脂組成物100質量部に対して通常0.1〜3質量部が好ましく、0.1〜2質量部がさらに好ましい。
スリップ剤としては、ラウリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、エルカ酸、ヘベニン酸などの飽和または不飽和脂肪酸のアミド、あるいはこれらの飽和または不飽和脂肪酸のビスアマイドを用いることが好ましい。これらのうちでは、エルカ酸アミドおよびエチレンビスステアロアマイドが特に好ましい。これらの脂肪酸アミドは本発明に係る樹脂組成物100質量部に対して、通常0.01〜5質量部の範囲で配合することが好ましい。
本発明に係るA層が、成分(A1)および成分(A2)以外の前記任意成分を含んでなるときは、A層の全質量から当該任意成分を差し引いた質量を100%質量%として、前記成分(A1)含有量定義(5〜95質量%)と成分(A2)含有量量(5〜95質量%)定義が適用される。
≪B層≫
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムにおけるB層は、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに優れた機械特性を付与するために設けられる層である。B層は、ポリプロピレン(B1)を含む樹脂組成物から形成される。当該ポリプロピレン(B1)としては、例えば、A層で用いたポリプロピレン(A2)と同様のプロピレン系重合体が挙げられる。A層を形成するために用いられるポリプロピレン(A2)と、B層を形成するために用いられるポリプロプレン(B1)は、同一でも異なってもよいが、接着性の観点から、同一であることが好ましい。
また、B層を形成する樹脂組成物には、A層を形成する樹脂組成物に配合するものと同様の熱安定剤、酸化防止剤、すべり剤、塩素捕獲剤、帯電防止剤等が添加されていてもよい。
≪二軸延伸フィルム≫
本発明の二軸延伸離型フィルムの層構成としては、A層とB層が積層された2層構造、A層/B層/A層の順に積層されてなる3層構造、A層及びB層のいずれとも異なるC層(例えば、エチレン変性アイソタクティックポリプロピレン樹脂(ランダムコポリマーやブロックコポリマー)、アタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピン等を含む組成物、オレフィン系重合体やスチレン系重合体、アクリル系重合体等から得られる粘着性を発現する粘着材料から形成される層)が、A層/B層/C層の順に積層されてなる3層構造等が挙げられる。積層時における成形性の観点からは、A層/B層の2層構造または、A層/B層/A層の3層構造が好ましい。
このような積層フィルムを得る方法については特に制限は無いが、あらかじめT−ダイ成形またはインフレーション成形にて得られた表面層フィルム上に、押出ラミネーション、押出コーティング等の公知の積層法により積層する方法や、複数のフィルムを独立して成形した後、各々のフィルムをドライラミネーションにより積層する方法等が挙げられるが、生産性の点から、複数の成分を多層の押出機に供して成形する共押出成形が好ましい。
本発明に係る延伸前のフィルムの厚みは特に限定されないが、通常原反シートとして300μm〜1000μmであり、300〜800μmが好ましく、更に好ましくは、350〜500μmである。
本発明の二軸延伸ポプロピレンフィルムの総厚みは、3〜60μmであることが好ましく、より好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは20〜50μmである。フィルムの総厚みが3〜60μmであることにより、機械特性及び延伸性に優れたフィルムを得ることができる。A層1層の厚みは、B層1層の厚みに対し、2〜10%であることが好ましく、より好ましくは2〜5%である。本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムが2つ以上のA層を含有する場合、各A層の厚みは同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの、剥離速度300mm/分におけるテープ剥離力は、7N/50mm以下であることが好ましい。より好ましくは1〜6.5N/50mmである。当該テープ剥離力は、4−メチルペンテン−1系共重合体(A)の融点および配合量により調節できる。
≪二軸延伸フィルムの製造方法≫
各成分を混合して、A層用またはB層用の樹脂組成物ペレットを調製する方法については、種々公知の方法、例えば、多段重合法、プラストミル、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラー、ブレンダー、ニーダールーダー等で混合する方法、あるいは混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で、例えば180〜250℃下で溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法を採用することができる。該方法により、各成分および添加剤が均一に分散混合された高品質の樹脂組成物ペレットを得ることができる。
本発明においては、特に、ポリプロピレン(A2)100質量部に4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)を1〜50質量部程度含むマスターバッチをあらかじめ作製し、それを適宜配合して所定の4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)の濃度として用いることもできる。
本発明の二軸延伸フィルム用の原反シートは、上述した樹脂組成物ペレットを、シリンダー温度を通常180〜300℃の範囲で溶融押出して得ることができる。
前記原反シートから二軸延伸フィルムを製造するには、バッチ式の二軸延伸でも、キャスト成形直後に逐次二軸延伸を施すこともできる。逐次二軸延伸ではキャスト原反シートを100〜160℃に保ち、速度差を設けたロール間に通して流れ方向に4〜5倍に延伸し、直ちに室温に冷却する。次いで、当該フィルムをテンターに導き、160℃以上の温度で幅方向に5〜10倍に延伸した後、緩和、熱固定を施し巻き取ることにより得られる。
本発明の二軸延伸フィルムは、4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)がポリプロピレン(A2)と親和性高く存在していることから、4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)が脱落していくことが少なく、長期間にわたり耐ブロッキング性に優れている。
≪用途≫
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの具体的な用途としては、例えば下記のような一般的なフィルム用途を挙げることができる。
包装用フィルム;例えば、食品包装用フィルム、ストレッチフィルム、ラップフィルム、シュリンクフィルム、イージーピールフィルム、アルミ蒸着フィルム、PVDCコートフィルム、などが挙げられる。通気性フィルム;例えば、紙おむつ、生理用品、手術衣、手術用手袋、サージカルダウン、ハウスラップ(透湿防水シート)、使い捨てカイロ、家庭用除湿剤、乾燥剤、脱酸素剤、鮮度保持剤、堆肥化シート、簡易ジャンバー、などが挙げられる。防錆フィルム;例えば、自動車部品、ノックダウン用部品、機械・機械部品、鉄・クロム製品、鋼管、線材、ボルトナット、ベアリング、金型、工具、刃物、切削工具、建築用具などの輸送梱包、保管梱包、輸出梱包、などが挙げられる。防曇フィルム;例えば、青果物用フィルム、加工食品用フィルム、などが挙げられる。
方向性フィルム;菓子類のひねり包装、農業資材、ラミネート基材、コイン包装、電線束ね材、果菜類包装、段ボールカットテープ、洗剤詰め替え容器、おにぎり包装、ピロー包装、スティック包装、ボイル・レトルト包装、水物食品包装、輸液バッグ、などが挙げられる。
セルフクリーニングフィルム;例えば、道路標識、一般標識、看板、窓ガラス、道路資材、サイドミラーなどが挙げられる。
セパレーター;例えば、バッテリーセパレーター、リチウムイオン電池用セパレーター、燃料電池用電解質膜、粘着・接着材セパレーター、延伸フィルム;例えば、フィルムコンデンサ用フィルム、キャパシターフィルム、燃料電池用キャパシターフィルム、
半導体工程フィルム;例えば、ダイシングテープ・バックグラインドテープ・ダイボンディングフィルム、偏光板用フィルム、表面保護フィルム;例えば、偏光板用保護フィルム、液晶パネル用保護フィルム、光学部品用保護フィルム、レンズ用保護フィルム、電気部品・電化製品用保護フィルム、携帯電話用保護フィルム、パソコン用保護フィルム、マスキングフィルム、タッチパネル用保護フィルム、
電子部材用フィルム;例えば、拡散フィルム、反射フィルム、耐放射線フィルム、耐γ線フィルム、多孔フィルム、
建材フィルム;例えば、建材用ウインドウフィルム、合わせガラス用フィルム、防弾材、防弾ガラス用フィルム、遮熱シート、遮熱フィルム、などが挙げられる。
離型フィルム;例えば、フレキシブルプリント基板用離型フィルム(FPC)、ACM基板用離型フィルム、リジットフレキシブル基板用離型フィルム、先端複合材料用離型フィルム、炭素繊維複合材硬化用離型フィルム、ガラス繊維複合材硬化用離型フィルム、アラミド繊維複合材硬化用離型フィルム、ナノ複合材硬化用離型フィルム、フィラー充填材硬化用離型フィルム、半導体封止用離型フィルム、偏光板用離型フィルム、拡散シート用離型フィルム、プリズムシート用離型フィルム、反射シート用離型フィルム、離型フィルム用クッションフィルム、燃料電池用離型フィルム、各種ゴムシート用離型フィルム、ウレタン硬化用離型フィルム、エポキシ硬化用離型フィルム(金属バットやゴルフクラブなどの製造工程部材など)、などが挙げられる。
特に好ましくは表面保護フィルム及び粘着テープ等に使用する剥離フィルム、剥離ライナーまたはセパレータフィルム、並びに複合材料製造時のキャリアーなどを挙げることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例において各物性は以下のように測定した。
〔組成〕
重合体中の4−メチル−1−ペンテン及びα−オレフィンの含有率(モル%)は、13C−NMRにより測定した。測定条件は、下記のとおりである。
・測定装置:核磁気共鳴装置(ECP500型、日本電子(株)製)
・観測核:13C(125MHz)
・シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
・パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
・繰り返し時間:5.5秒
・積算回数:1万回以上
・溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
・試料濃度:55mg/0.6mL
・測定温度:120℃
・ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
〔極限粘度[η]〕
重合体の極限粘度[η]は、測定装置としてウベローデ粘度計を用い、デカリン溶媒中、135℃で測定した。具体的には、約20mgの粉末状の共重合体をデカリン25mlに溶解させた後、ウベローデ粘度計を用い、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリンを5ml加えて希釈した後、上記と同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作を更に2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位:dl/g)として求めた(下記の式1参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)・・・式1
〔重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)〕
重合体の重量平均分子量(Mw)、及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。測定条件は、下記のとおりである。
・測定装置:GPC(ALC/GPC 150−C plus型、示唆屈折計検出器一体型、Waters製)
・カラム:GMH6−HT(東ソー(株)製)2本、及びGMH6−HTL(東ソー(株)製)2本を直列に接続
・溶離液:o−ジクロロベンゼン
・カラム温度:140℃
・流量:1.0mL/min
〔メルトフローレート(MFR)〕
重合体のメルトフローレート(MFR:Melt Flow Rate)は、ASTM D1238に準拠し、230℃で2.16kgの荷重にて測定した。単位は、g/10min)である。なお、調製例3で得られた共重合体(A1−3)のみ、260℃、5.0kgの荷重条件にて測定した。
〔密度〕
重合体の密度は、JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して、測定した。この密度(kg/m)を軽量性の指標とした。
〔融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)〕
重合体の融点(Tm)は、測定装置として示差走査熱量計(DSC220C型、セイコーインスツル(株)製)を用いて測定した。
約5mgの共重合体を測定用アルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/minで200℃まで加熱した。共重合体を完全融解させるために、200℃で5分間保持し、次いで、10℃/minで−50℃まで冷却した。−50℃で5分間置いた後、10℃/minで200℃まで2度目の加熱を行なった。この2度目の加熱でのピーク温度(℃)を共重合体の融点(Tm)、ガラス転移に相当する変位点をガラス転移温度(Tg)とした。重合体の融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)のうち高い方の温度を耐熱性の指標とした。
[調製例1] 4−メチル−1−ペンテン系共重合体の製造(A1−1)
充分窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃でノルマルヘキサン300ml(乾燥窒素雰囲気、活性アルミナ上で乾燥したもの)、4−メチル−1−ペンテンを450ml装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し攪拌機を回した。次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.19MPa(ゲージ圧)となるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいた、メチルアルミノキサンをAl換算で1mmolとジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.01mmolとを含むトルエン溶液0.34mlを窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。重合反応中、オートクレーブ内温が60℃になるように温度調整した。重合開始60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液にアセトンを攪拌しながら注いだ。
得られた溶媒を含むパウダー状のポリマーを100℃、減圧下で12時間乾燥した。得られたポリマーは44.0gで、ポリマー中の4−メチル−1−ペンテン含量(表1では、4MP1と略称)は84.1mol%、プロピレン含量は15.9mol%であった。ポリマーの融点(Tm)は132℃であり、極限粘度[η]は1.5dl/gであった。各種物性について測定した結果を表1に示す。
[調製例2] 4−メチル−1−ペンテン系共重合体の製造(A1−2)
充分窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃で4−メチル−1−ペンテンを750ml装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し攪拌を開始した。
次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.17MPa(ゲージ圧)となるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいた、メチルアルミノキサンをAl換算で1mmol、ジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.005mmolを含むトルエン溶液0.34mlを窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。重合反応中、オートクレーブ内温が60℃になるように温度調整した。重合開始60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液にアセトンを攪拌しながら注いだ。
得られた溶媒を含むパウダー状の重合体を130℃、減圧下で12時間乾燥した。得られた共重合体の重量は35.2gで、共重合体中の4−メチル−1−ペンテン含量は、91.1mol%、プロピレン含量は、8.9mol%であった。重合体のTmは178.2℃であり、極限粘度[η]は1.6dl/g、密度は832kg/mであった。各種物性について測定した結果を表1に示す。
[調製例3] 4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1−3)の製造
国際公開2006/054613号パンフレットの比較例7や比較例9の方法に準じ、4−メチル1−ペンテン、1−デセン、水素の割合を変更することによって、表1に示す物性を有する4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1−3)を得た。各種物性について測定した結果を表1に示す。
〔実施例1〕
A層を形成する樹脂組成物として、共重合体A1−1 10質量部と、ポリプロピレンA2−1(プライムポリプロ(登録商標)F113G、プロピレンのホモポリマー、密度:910kg/m、MFR(230℃):3g/10min、(株)プライムポリマー製)90質量部と、を混合(ドライブレンド)した。また、B層を形成する樹脂はポリプロピレンB1として前記ポリプロピレンA2−1(プライムポリプロ(登録商標)F113G、プロピレンのホモポリマー、密度:910kg/m、MFR(230℃):3g/10min、(株)プライムポリマー製)を用いた。得られた混合物を、リップ幅330mmのTダイを設置し、3つのホッパー投入口と30mmφスクリューを設置した3種3層式Tダイシート成形機を用いて、シリンダー温度を240℃、ダイス温度を240℃に設定し、Tダイから溶融混練物を厚み500μmで押し出し、キャスト成形することにより、実施例1の原反フィルムを得た。なお、本実施例では、3つのホッパーのうち2つを使用してB層を成形し、A層/B層の2種2層フィルムを成形した。
次いで、ブルックナー社製バッチ式二軸延伸機KARO IVを用いて、予熱温度162℃、予熱時間2分、延伸温度162℃、延伸速度100%/秒の延伸条件、熱セット条件162℃、30秒にて、得られた原反フィルムを流れ方向(MD)に5倍、幅方向(TD)に5倍延伸し、フィルム総厚み20μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸延伸フィルムについて、延伸時にフィルム層間での剥離(デラミ)が発生するかを確認すると共に、得られたフィルムの表面粗度、テープからの剥離性を評価して表2に示した。具体的な試験方法は以下の通りである。
〔延伸時のデラミ〕
二軸延伸した後のフィルム層間での剥離を目視で確認し、デラミの有無を確認した。
〔表面粗度〕
フィルムの表面粗度は、JIS B0601−1994に準拠して接触針法にて測定し、TD方向に150mmの範囲で0.15m/秒の速度で表面粗度を測定した。得られた断面曲線を最小二乗直線補正にてRz(μm)として算出した
〔全ヘイズ(%)〕
ASTM D−1003に準拠して、日本電色工業(株)製のデジタル濁度計(NDH−20D)にて大気中で測定した。
〔剥離力評価〕
粘着シートの試験方法(JIS Z0237−2000)に準拠して、剥離力を測定した。粘着材としてアクリル系粘着材(日東電工株式会社製、商品名ニットーテープ31B)を使用した。50mm幅×100mm長さに切った試験フィルムと粘着テープを温度23℃、相対湿度50%の環境下に1時間放置した後、粘着フィルムを約2kgのゴムロールで圧力を加えながら2往復通過させて試験板に貼り付けた。
貼り付け後、温度23℃または50℃、相対湿度50%の一定環境下に1日間置いた後、温度23℃、相対湿度50%の環境で、180°方向に、速度300mm/分で引き剥がした際の剥離力を測定した。
〔実施例2〕
A層を形成する樹脂組成物として、共重合体A1−1 30質量部と、ポリプロピレンA2-1(プライムポリプロ(登録商標)F113G、プロピレンのホモポリマー、密度:910kg/m、MFR(230℃):3g/10min、(株)プライムポリマー製)70質量部と、を混合(ドライブレンド)したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2の二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの評価結果を表2に示した。
〔実施例3〕
A層を形成する樹脂組成物として、共重合体A1−1 70質量部と、ポリプロピレンA2−1(プライムポリプロ(登録商標)F113G、プロピレンのホモポリマー、密度:910kg/m、MFR(230℃):3g/10min、(株)プライムポリマー製)30質量部と、を、(株)プラスチック工学研究所社製2軸押出機BT−30(スクリュー系30mmφ、L/D=46)を用い、設定温度270℃、樹脂押出量60g/minおよび200rpmの条件で造粒した樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの評価結果を表2に示した。
〔実施例4〕
A層の樹脂組成物として、共重合体A1−2 30質量部と、ポリプロピレンA2−1(プライムポリプロ(登録商標)F113G、プロピレンのホモポリマー、密度:910kg/m、MFR(230℃):3g/10min、(株)プライムポリマー製)40質量部と、を混合(ドライブレンド)したこと以外は、実施例1と同様の方法により二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの評価結果を表2に示した。
〔比較例1〕
A層の樹脂組成物として、共重合体A1−3 30質量部と、ポリプロピレン(プライムポリプロ(登録商標)F113G、密度:910kg/m、MFR(230℃):3g/10min、(株)プライムポリマー)70質量部と、を混合(ドライブレンド)したこと以外は、実施例1と同様の方法により、二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの評価結果を表2に示した。
〔比較例2〕
A層およびB層ともにポリプロピレン(プライムポリプロ(登録商標)F107(株)プライムポリマー製)100質量部で実施例1と同様の方法により、二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの評価結果を表2に示した。
表2の実施例1〜4により、本発明の二軸延伸フィルムは、層間ではがれることなく、剥離性に優れることがわかる。
実施例1〜3と、A層、B層ともにポリプロピレン樹脂(A2−1)を用いた場合(比較例2)を比較すると、A層に共重合体(A−1)をブレンド使用した実施例1〜3では二軸延伸後の粘着テープに対する剥離応力、すなわち離型性がよいことがわかる。 また、実施例2および4と、4−メチル−1−ペンテンの含有量が高く、かつ融点が200℃以上となる4−メチル−1−ペンテン共重合体(A1−3)を用いた場合(比較例1)と比較すると、A層に本願発明に係る4−メチル−1−ペンテン共重合体(A1−1)または(A1−2)を用いた場合の方が延伸時のデラミが発生せず、また表面粗度も低くなっていることがわかる。
本発明に係るフィルムは、剥離性に極めて優れる上、従来の二軸延伸フィルムと同程度の機械物性を維持しており、また従来の4−メチル−1−ペンテン(共)重合体よりも低温成形により得ることが可能である。これにより光学用途、建材用途、自動車部品用途などの離型フィルム等、特に非シリコーンタイプの剥離フィルムや剥離ライナー、セパレータフィルム、表面保護フィルムとして好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. A層とB層が積層されてなる二軸延伸ポリプロピレン系フィルムであって、
    A層が4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)とポリプロピレン(A2)とを含む樹脂組成物から構成され、
    前記B層が、前記ポリプロピレン(A2)と同一のポリプロピレン(B1)を含む樹脂組成物から形成されており、
    前記4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)の含有量が、A層の全質量に対して5質量%以上95質量%以下であり、前記ポリプロピレン(A2)の含有量がA層の全質量に対して5質量%以上95質量%以下であり(ここで、成分(A1)と成分(A2)の合計は100質量%)、かつ前記4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)が下記[1]の要件を満たすフィルム。
    [1]4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位を96モル%〜80モル%、及び炭素原子数2〜20のオレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位の総和が4〜20モル%(但し、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位と炭素原子数2〜20のオレフィンから導かれる構成単位との合計は100モル%である)である。
  2. 前記4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)が下記[2]ないし[5]の要件をすべて満たす請求項1に記載の二軸延伸ポリプロピレン系フィルム。
    [2]135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gである
    [3]ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5である
    [4]密度が825〜860kg/m3である
    [5]DSCで測定した融点(Tm)が100℃〜199℃の範囲にある
  3. 前記4−メチル−1−ペンテン系共重合体(A1)の、DSCで測定した融点(Tm)が100℃〜180℃の範囲にある請求項1または2に記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
  4. 層構成が、A層/B層/A層、またはA層/B層/C層(ここで、C層は、A層およびB層のいずれとも異なる層である)の三層構成であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の二軸延伸フィルム。
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