JP6666827B2 - シリコーン樹脂含有エマルジョン組成物及び硬化被膜形成基材 - Google Patents

シリコーン樹脂含有エマルジョン組成物及び硬化被膜形成基材 Download PDF

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本発明は、シリコーン樹脂含有エマルジョン組成物、特には加水分解性基及び/又はシラノール基の縮合反応により硬化するシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物、及び硬化被膜形成基材に関する。
近年、環境保護及び安全な作業環境確保の観点から、塗料・コーティング剤分野において、有機溶剤系から水系へと分散媒の変更が求められている。この要求に基づき、アクリル樹脂に代表されるビニル重合性モノマーを乳化重合したエマルジョン系塗料が、優れた被膜形成性及び耐薬品性の良さからコーティング剤の基本材料として幅広く使用されている。しかしながら、この種の塗料は本質的に耐候性及び耐水性、耐熱性に劣るといった欠点を有している。
一方、シラン化合物を加水分解・重合して得られるシリコーンレジンは、高硬度で耐候性、耐水性、耐熱性、撥水性に優れた被膜を形成する能力があるため、コーティング剤として注目されている。しかしながら、現在確立されているシリコーンレジンのエマルジョンの製造処方は何れも欠点を有している。
例えば、アルコキシシラン化合物を水中で加水分解させた水溶液は、数%程度の低濃度や狭いpH範囲等の限られた条件でしか安定性を保てず、また多量のアルコールが副生するため、他のエマルジョンと混合した際に系が不安定になる問題を抱えている。
また、シリコーンレジンのポリマーを乳化してエマルジョンを得る方法は、ポリマーが液状である必要があるが、液状のポリマーは低分子量のため、乾燥後に硬化被膜を得るためには有機スズ等の有害な金属触媒や高温・長時間の乾燥工程が必要になる問題を抱えている。
一方で、固形のシリコーンレジンを水系処方に使用するためには、トルエンやキシレン等の有機溶剤中で製造されたシリコーンレジン溶液をそのまま乳化したり、別の有機溶剤に置換した溶液を乳化してエマルジョン化する必要があるが(特許文献1、特許文献2)、この方法では水系処方でありながら有機溶剤を多く含むことになり、前述の環境保護及び安全な作業環境確保を完全に満足することはできなかった。
さらに上記の固形のシリコーンレジンからなる被膜は高硬度等の利点の反面、可撓性に劣り、基材の伸縮等によってクラックが発生する等の問題を抱えている。この問題の解決策として、アクリル樹脂等とシリコーンレジンを併用する方法が提案されているが(特許文献3、特許文献4)、実際には乾燥硬化時に双方のポリマーの相溶性が不足して相分離し、均一な被膜が得られない問題がある。またビニル重合性官能基含有アルコキシシランを、ラジカル重合性ビニルモノマーと共に、乳化重合してエマルジョンを作製する方法(特許文献5、特許文献6)が提案されているが、被膜中にシリコーン樹脂成分を多量に含有させることは難しく、そのため耐候性等の特性を向上させることができない問題がある。
また末端に水酸基を有するポリジオルガノシロキサンをコロイダルシリカの存在下にて重合させて得られるシリコーン水性乳濁液は、シリコーンレジンよりも柔らかいシリコーンゴム被膜を与えることが知られているが(特許文献7)、ポリジオルガノシロキサンを主原料とするために耐熱性が劣る問題があり、またコーティング剤として使用した場合には十分な硬さの被膜が得られず、耐擦傷性が劣ることも問題となっている。
特開2008−138059号公報 特許4775543号明細書 特許3319353号明細書 特許3336922号明細書 特開昭61−009463号公報 特開平8−27347号公報 特許1735572号明細書
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、従来のシリコーンレジンエマルジョンに比べ環境上の問題が低減され、安定性が良好で、かつ、得られる被膜が高硬度であるシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物、及び硬化被膜形成基材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明によれば、下記(A)〜(C)成分を含有するオルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)と、下記(D)成分のポリマーを含むエマルジョン(II)との混合溶液であり、
(A)下記平均組成式(1)で示される、25℃で粘度が100,000mm/s以下のオルガノシリコーンレジン:100質量部、
Si(OX)(OH)(4−m−p−q)/2・・・(1)
(式中、Rは非置換一価炭化水素基、OXは加水分解性基であり、Xは1価炭化水素基を表す。m,p,qは0.5≦m≦1.8、0.05≦p≦1.0、0≦q≦0.5、0.05≦p+q≦1.5を満たす数である。)
(B)ノニオン系乳化剤:1〜50質量部、
(C)水:25〜2,000質量部、
(D)下記一般式(2)で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シランと、該ビニル重合性官能基含有加水分解性シラン以外のラジカル重合性ビニルモノマーとの共重合体であり、該共重合体中の全モノマー単位に対して、下記一般式(2)で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シラン単位が0.01〜10モル%であるポリマー:(A)成分100質量部に対して10〜1,000質量部、
Figure 0006666827
(式中、Rは前述の通りであり、Rは水素原子又はメチル基、Rは二価の有機基、rは0,1又は2を示し、Xは上記Xと同様又は水素を示す。)、
前記オルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)は、前記(B)成分のノニオン系乳化剤以外の乳化剤を含まないものであり、かつ、加水分解性基OXの加水分解による副生物であるアルコール以外の有機溶剤を含まないものであることを特徴とするシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物を提供する。
このような本発明のシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物は、従来のシリコーンレジンエマルジョンに比べ環境上の問題が低減され、安定性が良好で、かつ、得られる被膜が高硬度であるシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物となる。
またこの場合、前記エマルジョン(II)は、分散媒が水であることが好ましい。
このようなシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物は、更に環境上の問題が低減されたものとなるために好ましい。
またこの場合、前記(D)成分における、前記一般式(2)で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シラン以外のラジカル重合性ビニルモノマーが、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。
このようなラジカル重合性ビニルモノマーであれば、シリコーン樹脂含有エマルジョン組成物から得られる被膜の耐薬品性や、可撓性が優れるために好ましい。
また、本発明では、前記シリコーン樹脂含有エマルジョン組成物の硬化被膜が形成された硬化被膜形成基材を提供する。
このように、本発明のシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物の硬化被膜は、高硬度で可撓性に富み、接着性、耐候性、耐熱性も良好であり、更に優れた撥水性も有するため、様々な基材に形成することができる。
本発明におけるオルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)は、耐候性、耐水性、及び耐熱性が良好で、かつ高硬度な被膜を形成するシリコーンレジンの安定なエマルジョンであり、このオルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)と、特定のビニル重合性官能基含有加水分解性シラン0.01〜10モル%とその他のラジカル重合性ビニルモノマーとを共重合したポリマーを含むエマルジョン(II)との混合溶液である本発明のシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物は、従来のシリコーンレジンエマルジョンに比べ環境上の問題が低減され、安定性が良好で、室温又は加熱硬化後に耐候性、耐水性、耐熱性、可撓性に優れた、高硬度の被膜を得ることができる。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、(A)成分の下記平均組成式(1)で示される25℃で粘度が100,000mm/s以下であるオルガノシリコーンレジンを含み、加水分解性基OXの加水分解によって副生するアルコール以外の有機溶剤を含まないオルガノシリコーンレジンのエマルジョン(I)と、加水分解性基及び/又はシラノール基を分子中に有するラジカル重合性ビニルポリマーを主成分とするエマルジョン(II)の混合溶液が、従来のシリコーンレジンエマルジョンに比べ環境上の問題が低減され、安定性が良好であり、得られる被膜の耐候性及び耐水性、耐熱性が良好で、高硬度の被膜を与えることを見出し、本発明を完成させた。以下、本発明のシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物及び硬化被膜形成基材について詳細に説明する。
すなわち、本発明は、下記(A)〜(C)成分を含有するオルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)と、下記(D)成分のポリマーを含むエマルジョン(II)との混合溶液であり、
(A)下記平均組成式(1)で示される、25℃で粘度が100,000mm/s以下のオルガノシリコーンレジン:100質量部、
Si(OX)(OH)(4−m−p−q)/2 ・・・(1)
(式中、Rは非置換一価炭化水素基、OXは加水分解性基であり、Xは1価炭化水素基を表す。m,p,qは0.5≦m≦1.8、0.05≦p≦1.0、0≦q≦0.5、0.05≦p+q≦1.5を満たす数である。)
(B)ノニオン系乳化剤:1〜50質量部、
(C)水:25〜2,000質量部、
(D)下記一般式(2)で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シランと、該ビニル重合性官能基含有加水分解性シラン以外のラジカル重合性ビニルモノマーとの共重合体であり、該共重合体中の全モノマー単位に対して、下記一般式(2)で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シラン単位が0.01〜10モル%であるポリマー:(A)成分100質量部に対して10〜1,000質量部、
Figure 0006666827
(式中、Rは前述の通りであり、Rは水素原子又はメチル基、Rは二価の有機基、rは0,1又は2を示し、Xは上記Xと同様又は水素を示す。)、
前記オルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)は、前記(B)成分のノニオン系乳化剤以外の乳化剤を含まないものであり、かつ、加水分解性基OXの加水分解による副生物であるアルコール以外の有機溶剤を含まないものであることを特徴とするシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物である。
オルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)
本発明におけるオルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)は、下記(A)〜(C)成分を含有し、下記(B)成分のノニオン系乳化剤以外の乳化剤を含まないものであり、かつ、加水分解性基OXの加水分解による副生物であるアルコール以外の有機溶剤を含まないものである。
尚、本発明における「加水分解性基OXの加水分解による副生物であるアルコール以外の有機溶剤を含まない」とは、オルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)が加水分解性基OXの加水分解による副生物であるアルコール以外の有機溶剤を全く含まない場合はもちろんのこと、実質的に加水分解性基OXの加水分解による副生物であるアルコール以外の有機溶剤を含有しない場合、すなわち、意図的に含めたものはなく、安定性に影響がなく、環境上問題ない程度の微量(残渣あるいは不純物程度)の加水分解性基OXの加水分解による副生物であるアルコール以外の有機溶剤が含まれる場合をも含むものである。
<(A)下記平均組成式(1)で示されるオルガノシリコーンレジン>
本発明を構成する、加水分解性基を有する(A)オルガノシリコーンレジンについて説明する。該オルガノシリコーンレジンは、下記平均組成式(1)で表される。
Si(OX)(OH)(4−m−p−q)/2 ・・・(1)
(式中、Rは非置換一価炭化水素基、OXは加水分解性基であり、Xは1価炭化水素基を表す。m,p,qは0.5≦m≦1.8、0.05≦p≦1.0、0≦q≦0.5、0.05≦p+q≦1.5を満たす数である。)
は非置換一価炭化水素基を表し、炭素数1〜10のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、及びビニル基、アリル基、5−ヘキセニル基、9−デセニル基などのアルケニル基、又はフェニル基等のアリール基を具体例として示すことができる。この中でも、メチル基、プロピル基、ヘキシル基、フェニル基が好ましい。特に耐候性を要求される場合はメチル基が好ましく、撥水性が求められる場合には長鎖アルキル基が好ましく、被膜に可撓性を付与する場合にはフェニル基を用いることが好ましい。また、Rは単独または複数の基を併用してもよいが、併用の場合、Rのメチル基の含有率が少なくとも80モル%以上であることが好ましい。
OX基は加水分解性基を表し、Xは炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基、アリール基等の一価炭化水素基を表す。加水分解性基OXの具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、イソプロペノキシ基、フェノキシ基等を挙げることができる。加水分解・縮合反応性、エマルジョン中での安定性、及び原料の入手の容易さから、メトキシ基、エトキシ基を用いるのが好ましい。
m,p,qは各々0.5≦m≦1.8、0.05≦p≦1.0、0≦q≦0.5、0.05≦p+q≦1.5の範囲を満たす数を表す。
mが0.5未満ではRの含有率が低く、被膜が硬くなりすぎ、硬化被膜にクラックが発生し易くなる。mが1.8を超えると、鎖状単位が多くなる結果、硬化被膜がゴム性を帯び、耐擦傷性が不足する。好ましくは、0.6≦m≦1.5の範囲を満たす数である。
架橋反応に関与する加水分解性基OXは必須成分であるが、OX基の含有率を表すpが1.0を超えると、エマルジョン中で加水分解した際に副生するアルコールが多量に発生し、エマルジョンが不安定となる。保存安定性が良好で、同時に高い硬化性も確保するためには、pの範囲は0.05≦p≦1.0であり、好ましくは0.2≦p≦0.8の範囲である。
また、OX基以外にシラノール基が存在してもよいが、その存在量qは0.5以下でなければならない。この範囲を超えると、エマルジョン中で縮合反応を起こして高分子量化しやすく、エマルジョンの安定性が損なわれる。また加水分解性基とシラノール基の総数を表す(p+q)は、0.05≦p+q≦1.5の範囲を満たしている必要があり、0.05未満では硬化せず、1.5を超えると分子が小さくなり、乾燥硬化時に十分な強度の被膜が得られなくなる。
(A)オルガノシリコーンレジンの25℃における粘度は100,000mm/s以下であることが必要である。100,000mm/sを超えると、エマルジョン製造時の撹拌混合が困難となり、粒子径が小さく安定性の高いエマルジョンが得られない。また、加水分解性基及び/又はシラノール基を有し、且つ100,000mm/sを超える高粘度のオルガノシリコーンレジンは、保管時に縮合反応が起こると容易に固形化又はゲル化を生じるため、取扱いが困難になる。
本発明における(A)オルガノシリコーンレジンは、上記条件を満たしていれば、如何なる方法で製造してもよいが、加水分解性シラン化合物を水中で単純に加水分解するだけでは副生するアルコール類を除去できず、本発明における(A)オルガノシリコーンレジンの製造方法としては不適当である。具体的な製造方法を以下に述べる。
(A)成分のオルガノシリコーンレジンを製造するための原料としては、加水分解性基の種類がクロル或いはアルコキシであり、加水分解性基を1個、2個、3個又は4個含有し、上記条件を満たす有機置換基を有するシラン化合物であれば如何なるものでも使用可能である。具体的には、テトラクロルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジメチルジイソプロペノキシシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルイソプロペノキシシラン、エチルトリクロルシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリクロルシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリクロルシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリクロルシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリクロルシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリクロルシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、プロピルメチルジクロルシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、プロピルメチルジエトキシシラン、ヘキシルメチルジクロルシラン、ヘキシルメチルジメトキシシラン、ヘキシルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルフェニルクロルシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルフェニルエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジクロルシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、5−ヘキセニルトリクロルシラン、5−ヘキセニルトリメトキシシラン、5−ヘキセニルトリエトキシシラン、及びこれらの部分加水分解物等が使用可能なシラン化合物として挙げられるが、使用可能な有機ケイ素化合物はこれに限定されるものではない。操作性、副生物の留去のしやすさ、及び原料の入手の容易さから、メトキシシラン或いはエトキシシランを使用するのがより好ましい。これらのシラン化合物の1種または2種以上の混合物を使用してもよい。
上記加水分解性シラン化合物を加水分解して、本発明における(A)オルガノシリコーンレジンを得る方法の一例を以下に説明する。即ち、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、オクタン等の炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系化合物、酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル系化合物、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール等のアルコール類から選ばれる有機溶剤中で加水分解する方法である。この方法の場合、できあがったオルガノシリコーンレジン溶液から、有機溶剤を常圧或いは減圧下で除く必要がある。除去工程後の有機溶剤残渣は1,000ppm以下であることが好ましい。
加水分解を実施するに際し、加水分解触媒を使用してもよい。加水分解触媒としては、従来公知の触媒を使用することができ、その水溶液がpH2〜7の酸性を示すものを使用するのがよい。特に酸性のハロゲン化水素、カルボン酸、スルホン酸、酸性或いは弱酸性の無機塩、イオン交換樹脂等の固体酸等が好ましい。例としてはフッ化水素、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、マレイン酸に代表される有機カルボン酸、メチルスルホン酸、表面にスルホン酸又はカルボン酸基を有するカチオン交換樹脂等が挙げられる。加水分解触媒の量はケイ素原子上の加水分解性基1モルに対して0.001〜10モル%の範囲内であることが好ましい。
<(B)ノニオン系乳化剤>
次に(B)成分であるノニオン系乳化剤について述べる。(B)ノニオン系乳化剤は、(A)成分のオルガノシリコーンレジンを水中に乳化分散できるものであれば特に制限はなく、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等を挙げることができるが、エマルジョン中の加水分解性基及び/又はシラノール基の保持及びエマルジョンの安定性の観点から、特にポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテルが好ましい。
これらの具体例としては、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等が挙げられる。これらのノニオン系乳化剤は単独或いは2種以上を併用して使用することができる。
本発明におけるオルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)は、(B)成分のノニオン系乳化剤以外の乳化剤を含まないものである。アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤、第4級アンモニウム塩、アルキルアミン酢酸塩等のカチオン系界面活性剤、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤等を用いると、エマルジョン中で加水分解性基及び/又はシラノール基の一部が縮合反応を起こして消費されてしまい、後の乾燥硬化時の造膜性を損なうため使用することはできない。
(B)成分の添加量としては、(A)成分100質量部に対して1〜50質量部である必要がある。1質量部より少ないとエマルジョン化が困難であり、50質量部より多いと被膜の硬度や耐水性、耐熱性、撥水性、透明性、基材との密着性が低下してしまう懸念がある。好ましくは2〜30質量部、より好ましくは3〜20質量部である。
<(C)水>
本発明におけるオルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)には、(C)成分として水が配合される。上述した(A)成分及び(B)成分と混合し、常法に準じて乳化分散させることにより、オルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)を調製することができる。この場合、(C)成分の水の含有量は(A)成分100質量部に対して25〜2,000質量部であり、特に50〜1,000質量部であることが好ましい。
更に、得られたエマルジョンの平均粒子径は、50〜1,000nm、特に100〜800nmであることが好ましい。なお、本発明において、平均粒子径はベックマン・コールター株式会社製、サブミクロン粒度分布測定装置(コールターN4Plus)により測定することができる。
また、オルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)には、上記(A)〜(C)成分以外に、以下のような任意成分を添加してしてもよい。ただし、オルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)は、加水分解性基OXの加水分解による副生物であるアルコール以外の有機溶剤を含まないものである。
なお、本発明における「加水分解性基OXの加水分解による副生物であるアルコール」とは、XOH(Xは前述の通り)で示されるアルコール(類)であり、「加水分解性基OXの加水分解による副生物であるアルコール以外の有機溶剤」とは、一般的に有機溶剤として使用される、ケトン系化合物、エステル系化合物、エーテル系化合物、XOHで示されるアルコール以外のアルコール系化合物等が挙げられる。
エマルジョンの安定性を向上させるために、系内をpH3〜9に調整することが好ましい。この場合、pHを調整するための緩衝剤となる酸・塩基性化合物の組合せ、例えば酢酸と酢酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムとクエン酸等を添加してもよい。pH領域がpH3〜pH9である場合、シラノール基の縮合が進みやすくなる恐れや、エマルジョン自体の安定性が損なわれる恐れがないために好ましい。更に好ましくはpH4〜8に調整するのがよい。加えて、任意成分として防腐剤、増粘剤等を添加してもよい。
エマルジョン(II)
本発明におけるエマルジョン(II)は、下記(D)成分のポリマーを含むものである。
<(D)ポリマー>
(D)成分は、下記一般式(2)で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シランと、該ビニル重合性官能基含有加水分解性シラン以外のラジカル重合性ビニルモノマーとの共重合体であり、該共重合体中の全モノマー単位に対して、下記一般式(2)で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シラン単位が0.01〜10モル%であるポリマーである。
Figure 0006666827
(式中、Rは前述の通りであり、Rは水素原子又はメチル基、Rは二価の有機基、rは0,1又は2を示し、Xは上記Xと同様又は水素を示す。)
(D)成分のポリマーは、オルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)中の(A)成分のオルガノシリコーンレジンに含まれる加水分解性基及び/又はシラノール基と縮合反応することができる、OX基を分子中に含むことが必要である。この官能基導入のために、上記一般式(2)で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シランが共重合モノマーとして使用される。
上記一般式(2)中、Rは前述の通りであり、Rは水素原子又はメチル基、Rは酸素原子及び−COO−基等を介在してもよい炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレン基等の二価の有機基、rは0,1又は2を示し、Xは上記Xと同様又は水素を示す。
の具体例としては、下記のものを例示することができる。
Figure 0006666827
このような上記一般式(2)で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シランとしては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、5−ヘキセニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、4−ビニルフェニルトリメトキシシラン、3−(4−ビニルフェニル)プロピルトリメトキシシラン、3−(4−ビニルフェニル)プロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
上記一般式(2)で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シランの含有量は、(D)成分のポリマー(共重合体)中を構成する全モノマー単位に対して、0.01〜10モル%であり、特に0.1〜5モル%が好ましい。0.01モル%未満だとシリコーン樹脂との反応率が下がり、均一な被膜が得られず、また耐溶剤性、耐薬品性、耐候性、耐熱性等の特性発現が不十分となる。10モル%より多いと高架橋しすぎて、被膜にクラックが発生する場合があり不適当である。
上記一般式(2)で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シラン以外のラジカル重合性ビニルモノマーとしては、ラジカル重合が可能なものであれば特に限定されず、以下に示す従来公知のものを適用できる。(a)アクリル酸又はメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル又はシクロヘキシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(b)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基又はその無水物含有ビニルモノマー、(c)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有ビニルモノマー、(d)(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有ビニルモノマー、(e)ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有ビニルモノマー、(f)メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有ビニルモノマー、(g)グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテル等のグリシジル基含有ビニルモノマー、(h)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー、(i)スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニルモノマー、(j)(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニルモノマー、(k)塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニルモノマー、(l)ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の1分子中にラジカル重合性不飽和基を2個以上含有するビニルモノマー、(m)エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレート等の(ポリ)オキシエチレン鎖含有ビニルモノマー、(n)片末端に(メタ)アクリロキシプロピル基を含有するジメチルポリシロキサン、片末端にスチリル基或いはα−メチルスチリル基を含有するジメチルポリシロキサン等の片末端にラジカル重合性官能基を有し、シロキサン単位が1〜200個のジオルガノポリシロキサン等を具体例として例示することができ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの中で、上記一般式(2)で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シラン以外のラジカル重合性ビニルモノマーとしては、被膜の耐薬品性や可撓性の観点から、炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。
また、(A)成分100質量部に対して、この共重合ポリマーは10〜1,000質量部の範囲で使用する。10質量部未満では、造膜性及び耐薬品性が不十分となることがあり、1,000質量部を超えると、耐候性及び耐水性が不足することがある。更に好ましくは、この共重合ポリマーを30〜500質量部の範囲で使用するのがよい。
また(D)成分のポリマーはエマルジョン(II)として調製した後に、(A)〜(C)成分を含有するオルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)と混合されて使用されるが、このエマルジョン(II)の調製方法としては、上記一般式(2)で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シラン0.01〜10モル%と、その他のラジカル重合性ビニルモノマーとをラジカル共重合し、ポリマーとした後にエマルジョン化しても、上記一般式(2)で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シランと、その他のラジカル重合性ビニルモノマーを先に乳化し、乳化粒子中でラジカル重合によりポリマーを生成し、ポリマーのエマルジョンを調製してもよい。しかしながら、重合後はポリマーが固形化することが通常であるため、モノマーを先に乳化し、乳化粒子中で重合させる後者の方法がより好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素水、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシマレイン酸、コハク酸パーオキシド、2,2‘−アゾビス−[2−N−ベンジルアミジノ]プロパン塩酸塩等の水溶性タイプ、ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシオクトエート、アゾイソブチロニトリル等の油溶性タイプ、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等の還元剤を併用したレドックス系等を使用することができる。この重合開始剤の使用量は、上記一般式(2)で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シランと、その他のラジカル重合性ビニルモノマーの合計量に対して0.1〜10質量%使用すればよく、好ましくは0.5〜5質量%使用するのがよい。
エマルジョン(II)の分散媒としては、水であることが好ましい。水を分散媒として用いることで、最終的に得られるシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物は、より一層環境上の問題が低減されたものとなる。
(A)〜(C)を含有するオルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)と、(D)成分のポリマーを含むエマルジョン(II)は、使用前に各々のエマルジョン同士を混合して混合溶液として使用される。混合後は室温でも加水分解性基及び/又はシラノール基の縮合反応により架橋・硬化可能であるが、硬化速度を加速するため、或いは優れた被膜特性を得るために、オルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)とエマルジョン(II)との混合の際に、必要に応じて、シラノール縮合触媒を添加してもよい。
縮合用の硬化触媒としては従来公知のものが使用可能で、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、n−ヘキシルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等の塩基性化合物類、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、過塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウム、コバルトオクチレート、コバルトアセチルアセトナート、亜鉛オクチレート、亜鉛アセチルアセトナート、鉄オクチレート、鉄アセチルアセトナート、スズアセチルアセトナート、ジブチルスズジオクチレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキサイド等の含金属化合物類、p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸などの酸性化合物類、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムフルオライド、六フッ化ケイ酸ソーダなどの含フッ素化合物等が挙げられる。これらの縮合触媒は、(A)成分のオルガノシリコーンレジン100質量部に対して、0.01〜10質量部使用するのがよい。
このように得られた本発明のシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物は、従来のシリコーンレジンエマルジョンに比べ環境上の問題が低減され、安定性が良好で、かつ、得られる被膜が高硬度であるシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物となる。
本発明のシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物は、金属、セラミック系無機材料、ガラス、木材、紙製品、プラスチック等の透明又は不透明な基材表面に塗布し、室温或いは加熱して硬化させることにより硬化被膜(保護膜)を形成することができる。この硬化被膜は、高硬度で可撓性に富み、接着性、耐候性も良好であり、更に撥水性も付与することができるので、金属、セラミック、木材等の外装建材の下地処理剤、トップコート剤等の塗料、プレコートメタル等の金属表面の保護コート剤、電子写真用キャリアの帯電調節コート剤、或いは接着剤等に適している。
基材が金属の場合、鉄、ステンレス製建築構造材やアルミサッシ建材等の表面保護、或いは防食処理コーティング等の下地処理、自動車或いは電化製品用の電着塗装用コーティング、又は電子写真用キャリアに使用される磁性粉の表面保護コーティングに好適に使用することができる。
基材がプラスチックの場合、プラスチック板、磁気或いは感熱性記録用フィルム、包装用フィルム、ビニルクロス等の表面保護コーティング、或いは機能付与用バインダーとして好適に使用することができる。
基材が木材或いは紙製品の場合、合板の表面保護コーティング、感熱記録用の表面保護、印刷表面に処理する耐水性付与コーティング等に適用できる。また撥水性も有しているため、合成皮革等の表面保護被膜としても適用することができる。耐水性印刷インキ用の水溶性バインダーとしても適用することができる。
基材が無機材料の場合、モルタル、コンクリート、或いはセメント製の外装用壁材又は窯業パネル、ALC板、サイジングボード、石膏ボード、レンガ、ガラス、陶磁器、人工大理石等の表面保護コーティング、表面処理用塗料として適用することができる。
また接着剤のベースポリマーとしても使用することができ、他の有機樹脂又はシランカップリング剤等を添加することにより、異種の基材間の接着に有効な接着剤を得ることができる。
本発明のシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物の基材への塗布方法としては、浸漬法、スプレー法、ロールコート法、刷毛塗り法等、従来公知の各種塗装法が可能である。またシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物の塗布量は特に制限されないが、通常は乾燥後の被膜の厚さが0.1〜1,000μm、特に1〜100μmとなる量であることが好ましい。
以下、製造例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、部は質量部、%は質量%を示す。
[製造例1]
平均組成式:[(CH1.0(C0.5Si(OCH0.7(OH)0.10.9]で示されるオルガノシリコーンレジン(25℃での粘度:100mm/s)50質量部、ノニオン系乳化剤として「ノイゲンXL−40」(商品名:第一工業製薬社製、ポリオキシアルキレンデシルエーテル、HLB=10.5)2.5質量部、「ノイゲンXL−400D」(商品名:第一工業製薬社製、ポリオキシアルキレンデシルエーテル、HLB=18.4の65%水溶液)3.5質量部及び脱イオン水44.0質量部をホモディスパーを用いて乳化分散し、105℃/3時間での不揮発分が52%、平均粒子径(ベックマン・コールター株式会社製サブミクロン粒度分布測定装置コールターN4Plusを用いて測定)が250nmの白色のオルガノシリコーンレジンエマルジョン(A−1)を得た。A−1を40℃で1ヶ月保管した後、105℃で水を除去して得た不揮発分はオイル状を保っていた。またこの不揮発分のGPC測定を行い、原料オルガノシリコーンレジンと比較した結果、ほぼ同一であることを確認した。
[製造例2]
平均組成式:[(CH1.0Si(OCH0.21.4]で示されるオルガノシリコーンレジン(25℃での粘度:30mm/s)50質量部、ノニオン系乳化剤として「ノイゲンXL−40」3.5質量部、「ノイゲンXL−400D」4.9質量部及び脱イオン水41.6質量部をホモディスパーを用いて乳化分散し、105℃/3時間での不揮発分が43%、平均粒子径(ベックマン・コールター株式会社製サブミクロン粒度分布測定装置コールターN4Plusを用いて測定)が210nmの白色のオルガノシリコーンレジンエマルジョン(A−2)を得た。A−2を40℃で1ヶ月保管した後、105℃で水を除去して得た不揮発分はオイル状を保っていた。またこの不揮発分のGPC測定を行い、原料オルガノシリコーンレジンと比較した結果、ほぼ同一であることを確認した。
[製造例3]
平均組成式:[(CH1.0(C0.5Si(OCH0.7(OH)0.10.9]で示されるオルガノシリコーンレジン(25℃での粘度:100mm/s)50質量部、ノニオン系乳化剤として「ノイゲンXL−40」2.5質量部、「ノイゲンXL−400D」3.5質量部、アニオン系乳化剤の「ニューコール291M」(商品名:日本乳化剤社製、アルキルスルホコハク酸ソーダ75%液)0.5質量部、及び脱イオン水43.5質量部をホモディスパーを用いて乳化分散し、105℃/3時間での不揮発分が52%、平均粒子径(ベックマン・コールター株式会社製サブミクロン粒度分布測定装置コールターN4Plusを用いて測定)が260nmの白色のオルガノシリコーンレジンエマルジョン(A−3)を得た。A−3を40℃で1ヶ月保管した後、105℃で水を除去して得た不揮発分はべたつきのある被膜を形成し、一部はトルエンに不溶となっていた。またこの不揮発分のGPC測定を行い、原料オルガノシリコーンレジンと比較した結果、A−3の不揮発分は高分子量化しており原料とは異なるピーク形状となっていた。
[製造例4]
攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器に、脱イオン水を540質量部、pH緩衝剤として炭酸ソーダを0.47質量部、ホウ酸を4.70質量部仕込み、撹拌しながら60℃に昇温した後、窒素置換した。これにロンガリット1.75質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1%水溶液0.12質量部、硫酸第一鉄の1%水溶液0.04質量部を添加すると同時に、メタクリル酸メチル336質量部(3.36モル)、アクリル酸ブチル140質量部(1.09モル)、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン33質量部(0.13モル)、t−ブチルハイドロパーオキサイド(純分69%)2.1質量部、反応性界面活性剤アクアロンKH−10(商品名:第一工業製薬社製、ポリオキシエチレン(10)−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム)14.0質量部、アクアロンKH−5(商品名:第一工業製薬社製、ポリオキシエチレン(5)−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム)7.0質量部からなる混合液を、重合容器内の温度を60℃に保持しながら2.5時間かけて均一に添加し、更に60℃にて2時間反応させて重合を完了させた。得られたエマルジョン(B−1)の105℃/3時間での不揮発分は49.1%、pH7.1であった。
[製造例5]
攪拌機、コンデンサー、温度計及び窒素ガス導入口を備えた重合容器に、脱イオン水を540質量部、pH緩衝剤として炭酸ソーダを0.47質量部、ホウ酸を4.70質量部仕込み、撹拌しながら60℃に昇温した後、窒素置換した。これにロンガリット1.75質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの1%水溶液0.12質量部、硫酸第一鉄の1%水溶液0.04質量部を添加すると同時に、メタクリル酸メチル336質量部(3.36モル)、アクリル酸ブチル140質量部(1.09モル)、t−ブチルハイドロパーオキサイド(純分69%)2.1質量部、反応性界面活性剤アクアロンKH−10(商品名:第一工業製薬社製、ポリオキシエチレン(10)−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム)14.0質量部、アクアロンKH−5(商品名:第一工業製薬社製、ポリオキシエチレン(5)−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム)7.0質量部からなる混合液を、重合容器内の温度を60℃に保持しながら2.5時間かけて均一に添加し、更に60℃にて2時間反応させて重合を完了させた。得られたエマルジョン(B−2)の105℃/3時間での不揮発分は47.9%、pH7.2であった。
(実施例1〜5、比較例1〜6)
上記製造例1〜3で調製したシリコーンレジンエマルジョンと製造例4〜5で調製した(メタ)アクリルポリマー(共重合ポリマー)のエマルジョン、及び硬化触媒として酢酸ナトリウムを表1に示す配合で混合してシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物とした(実施例1〜5、比較例1〜6)。その後、表面が清浄な磨き鋼板にワイヤーバーを用いて硬化後の膜厚が15μmになるように組成物を塗工し、表1に示す条件で硬化させた後に、被膜表面の外観を目視にて、硬化性を指触によるタック感にて、被膜硬度をJIS K−5400に準ずる鉛筆硬度にて確認した。結果を表1に示す。尚、比較例1及び2は、本発明におけるオルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)ではないエマルジョン(A−3)を用いたものであり、比較例3、4は本発明におけるエマルジョン(II)ではないエマルジョン(B−2)を用いたものであり、比較例5、6はシリコーンレジンエマルジョン中のシリコーンレジンと、(メタ)アクリルエマルジョン中の共重合ポリマーの量が、100質量部:10〜1000質量部ではないものである。
[評価方法]
(外観/目視) ○:均一、△:ややムラあり、×:不均一
(タック感/指触) ○:なし、△:ややタックあり、×:ベタつきあり
(鉛筆硬度) JIS K−5400に準ずる
Figure 0006666827
表1により、実施例1〜5のシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物は、比較例1〜6のシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物に対して、安定性に優れるものであったため、均一な被膜を形成することができ、べたつきがない被膜を得ることができた。また、実施例1〜5のシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物は、比較例1〜6のシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物に対して、高硬度の被膜が得られた。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に含有される。

Claims (4)

  1. 下記(A)〜(C)成分を含有するオルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)と、下記(D)成分のポリマーを含むエマルジョン(II)との混合溶液であり、
    (A)下記平均組成式(1)で示される、25℃で粘度が100,000mm/s以下のオルガノシリコーンレジン:100質量部、
    Si(OX)(OH)(4−m−p−q)/2 ・・・(1)
    (式中、Rは非置換一価炭化水素基、OXは加水分解性基であり、Xは1価炭化水素基を表す。m,p,qは0.5≦m≦1.8、0.05≦p≦1.0、0≦q≦0.5、0.05≦p+q≦1.5を満たす数である。)
    (B)ノニオン系乳化剤:1〜50質量部、
    (C)水:25〜2,000質量部、
    (D)下記一般式(2)で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シランと、該ビニル重合性官能基含有加水分解性シラン以外のラジカル重合性ビニルモノマーとの共重合体であり、該共重合体中の全モノマー単位に対して、下記一般式(2)で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シラン単位が0.01〜10モル%であるポリマー:(A)成分100質量部に対して10〜1,000質量部、
    Figure 0006666827
    (式中、Rは前述の通りであり、Rは水素原子又はメチル基、Rは二価の有機基、rは0,1又は2を示し、Xは上記Xと同様又は水素を示す。)、
    前記オルガノシリコーンレジンエマルジョン(I)は、前記(B)成分のノニオン系乳化剤以外の乳化剤を含まないものであり、かつ、加水分解性基OXの加水分解による副生物であるアルコール以外の有機溶剤を含まないものであることを特徴とするシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物(ただし、光半導体を含むものを除く)
  2. 前記エマルジョン(II)は、分散媒が水であることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物。
  3. 前記(D)成分における、前記一般式(2)で示されるビニル重合性官能基含有加水分解性シラン以外のラジカル重合性ビニルモノマーが、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物。
  4. 基材表面に、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコーン樹脂含有エマルジョン組成物の硬化被膜が形成された硬化被膜形成基材。
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