[1.第1実施形態]
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、オフセット輪転印刷機に設置された検査装置に対して本発明を適用した場合の実施形態である。
[1.1.オフセット輪転印刷機及び検査装置の構成]
図1及び図2を用いて本実施形態におけるオフセット輪転印刷機S(以下、「印刷機S」という)及び検査装置Tの構成について説明する。
[1.1.1.印刷機Sの構成]
まず、図1を用いて印刷機Sの構成について説明する。印刷機Sは、多色刷りの印刷機であり、インキ色(C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック))毎に、印刷ユニットU1−U4が設けられている。印刷機Sは両面印刷機のため、各印刷ユニットU1−U4は、紙の搬送経路を挟むようにブランケット胴(上胴、下胴)が備えられ、各ブランケット胴に対して版胴(上胴、下胴)及びインキ供給装置(上胴側、下胴側)が設けられている。版胴には1シート分の絵柄の版が形成されており、ブランケット胴には2シート分の絵柄のインキが乗るようになっており、版胴が2回転するとき、ブランケット胴は1回転する(いわゆる「倍胴型のブランケット胴」)。つまり、ブランケット胴が1回転する間に2カットシート分の絵柄が印刷される。なお、本実施形態では被印刷物が帯状のロール紙(「連続シート」の一例)である場合について説明するが、ロール紙以外の連続シートについても適用できる。連続シートの素材は印刷が可能なものであれば、布やビニール等であってもよい。また、連続シートを枚葉単位で切断したもの(例えば枚葉紙)をカットシートという。
印刷ユニットU1−U4の下流には乾燥機U5が設けられている。また、乾燥機U5の下流には被印刷物であるロール紙に印刷された絵柄(記号、図形、写真、模様等)を含む検査対象領域(絵柄を構成する画線部及び非画線部を含む。例えば、新聞の紙面1ページ)を撮像するために、表面カメラ31A及び表面照明32Aと、裏面カメラ31B及び裏面照明32Bとが設けられている。表面カメラ31A及び裏面カメラ31B(以下、まとめて「カメラ31」という場合がある)は、例えば、25μ秒毎に4096画素のライン画像を撮像が可能なラインセンサカメラであり、シート毎に絵柄が印刷されたロール紙を撮像して得られたカメラ信号を出力する。表面照明32A及び裏面照明32B(以下、まとめて「照明32」という場合がある)は、それぞれ、表面カメラ31A及び裏面カメラ31Bが高解像度画像を撮像するために充分な光を照射する。
カメラ31及び照明32が設置されている部分の更に下流には、絵柄が印刷されたロール紙を折り畳むための折り機U6が設けられている。
[1.1.2.検査装置Tの構成]
次に、図2を用いて検査装置Tの構成について説明する。検査装置Tは、システムコントローラ11、パイプライン画像処理部12、並列画像処理部13、表カメラ分岐ボード14、裏カメラ分岐ボード15、エンコーダ分岐ボード16、HUB17、カメラ31、照明32及びエンコーダ33を含んで構成されている。また、検査装置Tは、検査サーバ20、製版サーバSV及びオフセット印刷機Sと接続されている。
システムコントローラ11は、印刷機Sや検査装置T内部の各部から各種信号を受け取り、検査装置Tの各部を制御するPLC(Programmable logic controller)である。
パイプライン画像処理部12は、表面用と裏面用にそれぞれ2セット、合計4枚の画像処理ボード(表用画像処理ボード121A、表用画像処理ボード122A、裏用画像処理ボード121B、裏用画像処理ボード122B)を搭載している。表用画像処理ボード121Aと表用画像処理ボード122Aは交互に動作が切り替わる(裏用画像処理ボード121Bと裏用画像処理ボード122Bも同様)。各画像処理ボードは複数個の並列処理チップを搭載し、例えば、1000万×3色の画像の処理を45m秒毎に行う。表用画像処理ボード121Aと表用画像処理ボード122Aは、表カメラ分岐ボード14を介して、表面カメラ31Aからカメラ信号を受け取り、エンコーダ分岐ボード16から受け取ったパルス信号に基づいて表面について高解像度画像を生成し(具体的な生成方法については、特許3811565号公報を参照)、高解像度画像を用いて全数検査(全ての印刷物を対象とする検査)を行う。同様に、裏用画像処理ボード121Bと裏用画像処理ボード122Bも、裏カメラ分岐ボード15を介して、裏面カメラ31Bからカメラ信号を受け取り、全数検査を行う。
次に、全数検査の内容について説明する。パイプライン画像処理部12は、予めオペレータが問題無しと判断した高解像度画像を基準画像として、全数検査開始後に撮像された画像(被検査画像という場合がある)に基づいて全数検査を行う。具体的には、被検査画像から基準画像を引いた差分画像や、基準画像から被検査画像を引いた差分画像を、閾値画像と比較することにより不良を検出する。
パイプライン画像処理部12は、被検査画像と基準画像を比較する検査を行うに当たり、比較を適切に行えるように両画像の位置合わせを行う。そのために、パイプライン画像処理部12は、画像を複数のブロックに分割し、ブロック毎に両画像のズレ量を算出するズレ量算出処理を行う。ズレ量算出処理において、パイプライン画像処理部12は、基準画像及び被検査画像をブロックに分けて、基準画像を基に当該ブロック毎に作成したテンプレート画像により、被検査画像の対応するブロック内をサーチすることにより一致する箇所を探索し、一致した座標とテンプレート画像の座標との差をズレ量として算出する。
パイプライン画像処理部12は、被印刷物が連続シートである第1実施形態では、一ブロックについて一枚のテンプレート画像を作成して、一枚のテンプレート画像により被検査画像の対応するブロック内をサーチする。なお、テンプレート画像の作成処理については、フローチャートを用いて後述する。
パイプライン画像処理部12は、テンプレート画像の作成処理において、特徴部の少ないブロックについてはテンプレート画像を作成できない場合がある。パイプライン画像処理部12は、テンプレート画像を作成できたブロック(「テンプレート有りブロック」)については、テンプレート画像に基づいてズレ量を算出する一方、テンプレート画像を作成できなかったブロック(「テンプレート無しブロック」)については、ズレ量が決定している上下左右のブロック又は同行/同列のブロックのズレ量に基づいてズレ量を決定する。
また、パイプライン画像処理部12は、ブロック毎にテンプレート画像と被検査画像を比較する際には、被検査画像についてもブロック毎にテンプレート画像と同様の手法によりブロック画像を作成し、テンプレート画像により、対応するブロック画像内をサーチすることにより一致する箇所を探索する。このように同様の手法で作成した画像同士を比較することで、より正確に一致点を探索することができる。
パイプライン画像処理部12は、ブロック毎に算出したズレ量に基づいて被検査画像の位置補正を行うことにより、基準画像と被検査画像の位置合わせを行う。
並列画像処理部13は、表面用と裏面用にそれぞれ1枚、合計2枚の画像処理ボード(表用画像処理ボード131A、裏用画像処理ボード131B)を搭載しており、パイプライン画像処理部12と並列に動作する。各画像処理ボードは複数個の並列処理チップを搭載し、例えば、1000万×3色の画像の処理を45m秒毎に行う。表用画像処理ボード131Aは、表カメラ分岐ボード14を介して、表面カメラ31Aからカメラ信号を受け取り、エンコーダ分岐ボード16から受け取ったパルス信号に基づいて表面について高解像度画像を生成し、製版データ(製版データにより表される画像)との照合検査と、倍胴間検査を行う。製版データは版胴に取り付ける刷版を生成する際の元データであり、製版データとの照合検査では、面付け、寸法、校正、版傷、ゴミ付き(版胴やブランケット胴にゴミが付いていないか)について検査を行う。
一方、倍胴間検査は、ブランケット胴が一回転する際に印刷される2枚のシート(印刷物)をそれぞれ撮像した高解像度画像(すなわち、連続する高解像度画像)を比較する検査である。例えば、画像が一致しない場合には、ブランケット胴の一部に傷やゴミが付いている不良が検出される。
表カメラ分岐ボード14は、表面カメラ31Aからのカメラ信号を表用画像処理ボード121A、表用画像処理ボード122A、表用画像処理ボード131Aへ同時に分岐して送る。
裏カメラ分岐ボード15は、裏面カメラ31Bからのカメラ信号を裏用画像処理ボード121B、裏用画像処理ボード122B、表用画像処理ボード131Bへ同時に分岐して送る。
エンコーダ分岐ボード16は、オフセット印刷機Sにおける版胴に取り付けられ、版胴に連動(版の回転と1:1で連動)するエンコーダ33から出力されるエンコーダパルス信号(A、B、Z相)を受信し、パイプライン画像処理部12、並列画像処理部13に0.05〜0.1mmのエンコーダパルス信号(A、B、Z相)を分岐して出力する。
HUB17は、システムコントローラ11、パイプライン画像処理部12、並列画像処理部13、検査サーバ20、製版サーバSV及び印刷機SとのLAN接続用のHUBである。
検査サーバ20は、基準画像の保存、不良検出時における不良画像の保存、検査開始時や停止時における稼働記録や検査ログデータの保存といった機能を果たす。また、検査サーバ20は必要に応じてLAN経由で検査結果を閲覧する際に用いられる。製版サーバSVは、製版データ等を記憶しており、オペレータが新たな絵柄の印刷物を印刷するために印刷機Sの設定を行うと、その設定の内容を取得して、検査装置Tによる検査に必要な情報(製版データを含む)を検査装置Tに設定する。
[1.2.連続シート用テンプレート画像作成処理の動作]
図3を用いて、パイプライン画像処理部12による連続シート用テンプレート画像作成処理について説明する。なお、図3は、連続シート用テンプレート画像作成処理の一例を示すフローチャートである。
まず、パイプライン画像処理部12は、オペレータが製品として問題無しと判断した印刷物を撮像した基準画像を取得する(ステップS1)。基準画像は、画素毎にRGB(Red、Green、Blue)成分を持つRGB画像であり、各成分は濃度の段階を意味する階調を示す値(例えば、256階調であれば「0〜255」の値)で示される。
次に、パイプライン画像処理部12は、基準画像について、RGB毎に白紙部に対応する各画素の輝度(白紙部輝度)を取得する(ステップS2)。白紙部とは、インキが付着していない用紙部分のことである。
次に、パイプライン画像処理部12は、基準画像について、RGB毎に、白紙部輝度が目標白紙部輝度になるように補正係数を算出し、各画素を補正する(ステップS3)。目標白紙部輝度は、例えば、予めオペレータ等によって設定されているものとする。
次に、パイプライン画像処理部12は、基準画像(例えば、幅方向1030mm×搬送方向625mmの大きさの印刷物を撮像した画像)を複数ブロックに分割する(ステップS4)。分割するブロック数は、オペレータが任意に設定することとする。例えば、図4に示すように、基準画像200を64行8列の512ブロックに分割する。但し、行数は用紙1ピッチのサイズにより変更するのが好ましい(1行80画素)。また、パイプライン画像処理部12は、各ブロックの範囲(4隅のXY座標)をパイプライン画像処理部12内の記憶部(図示しない)に記憶させておく。
次に、パイプライン画像処理部12は、基準画像について、RGB毎に、ソーベルフィルタやエッジ抽出フィルタによりエッジ抽出を行う(ステップS5)。具体的には、基準画像(RGB)をR成分画像、G成分画像、B成分画像に分割して、それぞれの画像についてエッジ抽出を行う。RGB毎にエッジ抽出を行う理由は、より多くのエッジを抽出するためである。エッジを抽出した画像(エッジ画像)を、以下「A画像」という。図5は、R成分画像のA画像の例であり、図6は、G成分画像のA画像の例であり、図7は、B成分画像のA画像の例である。なお、エッジは、画像における濃度が急激に変化している箇所のことであり、例えば、画像中の物体の輪郭や線などが該当する。
次に、パイプライン画像処理部12は、A画像を階調a(本実施形態では「90」)で二値化する(ステップS6)。具体的には、ステップS5の処理で生成されたR成分画像のA画像、G成分画像のA画像、B成分画像のA画像それぞれについて階調aで二値化する。二値化して得た画像を、以下「B画像」という。図8(A)は、R成分画像のB画像の例であり、図8(B)は、G成分画像のB画像の例であり、図8(C)は、B成分画像のB画像の例であり、図8(D)は、これらのB画像を合成したRGB成分のB画像である。
次に、パイプライン画像処理部12は、A画像を階調b(本実施形態では「130」)で二値化する(ステップS7)。具体的には、ステップS5の処理で生成されたR成分画像のA画像、G成分画像のA画像、B成分画像のA画像それぞれについて階調bで二値化する。二値化して得た画像を、以下「C画像」という。図9(A)は、R成分画像のC画像の例であり、図9(B)は、G成分画像のC画像の例であり、図9(C)は、B成分画像のC画像の例であり、図9(D)は、これらのC画像を合成したRGB成分のC画像である。
次に、パイプライン画像処理部12は、C画像を水平微分(水平微分することにより図柄のエッジの水平線のみを抽出する)した後、2画素分水平方向へ膨張させた画像(以下「C1画像」という)を生成する(ステップS8)。2画素分水平方向へ膨張とは、画像全体を水平方向に拡大することを意味する。水平方向へ膨張させることにより後述するステップS10の処理において交点を求めやすくする。なお、図10(A)は、C1画像の例である。
次に、パイプライン画像処理部12は、C画像を垂直微分した後、2画素分垂直方向へ膨張させた画像(以下「C2画像」という)を生成する(ステップS9)。2画素分垂直方向へ膨張とは、画像全体を垂直方向に拡大することを意味する。垂直方向へ膨張させることにより後述するステップS10の処理において交点を求めやすくする。なお、図10(B)は、C2画像の例である。
次に、パイプライン画像処理部12は、C1画像とC2画像を合成してC中間画像を生成し、水平・垂直とも8画素以上連続する直線であって、垂直に交差する直線のみを残した画像(以下「C3画像という)を生成し、交点のXYアドレスを取得する(ステップS10)。なお、図10(C)は、C1画像とC2画像を合成した画像の例であり、図12(A)は、C3画像の例である。図12(A)に示すように、交点が複数ある場合にはそれぞれのXYアドレスを取得する。
次に、パイプライン画像処理部12は、B画像を水平微分した後、2画素分水平方向へ膨張させた画像(以下「B1画像」という)を生成する(ステップS11)。なお、図11(A)は、B1画像の例である。
次に、パイプライン画像処理部12は、B画像を垂直微分した後、2画素分垂直方向へ膨張させた画像(以下「B2画像」という)を生成する(ステップS12)。なお、図11(B)は、B2画像の例である。
次に、パイプライン画像処理部12は、B1画像とB2画像を合成してB中間画像を生成し、水平・垂直とも8画素以上連続する直線であって、垂直に交差する直線のみを残した画像(以下「B3画像という)を生成する(ステップS13)。なお、図11(C)は、B1画像とB2画像を合成した画像の例であり、図12(B)は、B3画像の例である。
次に、パイプライン画像処理部12は、C3画像(図12(A)参照)から、ステップS10で取得したXYアドレスを中心とする32画素×32画素の切り出し画像(C’画像)を生成する(ステップS14)。なお、切り出し画像(C’画像)のサイズは任意であり、例えば、64画素×64画素の切り出し画像(C’画像)を生成することとしてもよい。図12(C)は、C’画像の例である。
次に、パイプライン画像処理部12は、B3画像(図12(B)参照)から、ステップS13の処理で切り出し画像を切り出した際に中心としたXYアドレスと同じXYアドレスを中心とする32画素×32画素の切り出し画像(B’画像)を生成する(ステップS15)。なお、ステップS13の処理と同様に64画素×64画素の切り出し画像(B’画像)を生成することとしてもよい(但し、C’画像と同じサイズとする)。図12(D)は、B’画像の例である。
次に、パイプライン画像処理部12は、C’画像とB’画像の差分が1画素から8画素の範囲内であれば、これらの画像の中心アドレス(ステップS10の処理で取得したXYアドレス)について「テンプレート適性有り」と判定する(ステップS16)。なお、C’画像とB’画像の差分が0画素(完全に一致)の場合も「テンプレート適性有り」と判定してもよい。一方、パイプライン画像処理部12は、C’画像とB’画像の差分が1画素から8画素の範囲内でなければ、これらの画像の中心アドレスについて「テンプレート適性無し」と判定する。すなわち、C’画像とB’画像の差分が、例えば、本実施形態のように9画素以上ある場合には違いがあり過ぎるので「テンプレート適性無し」と判定する。なお、本実施形態では差分が1画素から8画素の範囲内である場合にのみ「テンプレート適性有り」と判定することとしたが、これは一例であって閾値は適宜変更してもよい。
なお、ステップS10の処理で複数のXYアドレスを取得した場合には、その数分だけ、ステップS14及びステップS15の処理を行い、C’画像及びB’画像を生成する。このとき、同じXYアドレスから切り出したC’画像及びB’画像を組にして記憶しておく。そして、それぞれの組のC’画像及びB’画像についてステップS16の処理を行う。
次に、パイプライン画像処理部12は、ステップS4の処理で分割した一のブロックを選択する(ステップS17)。
次に、パイプライン画像処理部12は、ステップS17の処理で選択したブロック内に、「テンプレート適性有り」と判定したXYアドレスがないかサーチする(ステップS18)。具体的には、ブロック内の始点(例えば、左下隅)からX方向に一画素ずつずらしながら「テンプレート適性有り」と判定したXYアドレスがないかサーチする。ブロック端までいっても見つからない場合には、Y方向に1画素ずらし再度、X方向に一画素ずつずらしながら「テンプレート適性有り」と判定したXYアドレスがないかサーチする。「テンプレート適性有り」と判定したXYアドレスが1つ見つかった時点でサーチを終了する。
そして、パイプライン画像処理部12は、ブロック内に「テンプレート適性有り」のXYアドレスがあったか否かを判定する(ステップS19)。具体的には、「テンプレート適性有り」のXYアドレスがそのブロック内に一つでも含まれていれば「YES」と判定する。
パイプライン画像処理部12は、ブロック内に「テンプレート適性有り」のXYアドレスがないと判定した場合には(ステップS19:NO)、当該ブロックを「テンプレート無しブロック」と判定し(ステップS20)、ステップS26の処理に移行する。一方、パイプライン画像処理部12は、ブロック内に「テンプレート適性有り」のXYアドレスがあると判定した場合には(ステップS19:YES)、当該ブロックを「テンプレート有りブロック」と判定し(ステップS21)、ステップS22の処理に移行する。
次に、パイプライン画像処理部12は、ステップS6の処理と同様にRGB毎にA画像を階調((a+b)/2)(本実施形態では「(90+130)/2=110」)で二値化し、ステップS11〜ステップS13の処理においてB画像について行ったのと同様の処理を行い、D画像を生成する(ステップS22)。図13は、D画像の例である。
次に、パイプライン画像処理部12は、D画像から、「テンプレート適性有り」のXYアドレスを中心アドレスとする32画素×32画素を切り出し、テンプレート画像(D’画像)(図13におけるD’画像300参照)を生成する(ステップS23)。なお、D’画像のサイズも64画素×64画素としてもよい。
次に、パイプライン画像処理部12は、テンプレート画像(D’画像)のチェックを行う(ステップS24)。このチェックでは、テンプレート検証範囲(テンプレート画像(D’画像)の中心アドレスを基準とするX方向±64画素、Y方向±128画素の範囲)内を、D’画像を1画素ずつずらしていき、何れの位置でも(但し、中心アドレスを除く)D画像とD’画像の差分が1画素以上であることを検証する。すなわち、テンプレート画像(D’画像)がその周囲(テンプレート検証範囲内)でユニークであることを検証する。
そして、パイプライン画像処理部12は、チェックの結果、テンプレート検証範囲内でテンプレート画像(D’画像)がユニークでない場合には、当該テンプレート画像(D’画像)は不合格として、ステップS18に戻り、同じブロック内の他の「テンプレート適性有り」のXYアドレスをサーチし、当該XYアドレスについて、ステップS19〜ステップS24の処理を行う。ステップS18〜ステップS24の処理を2回やり直してもチェックの結果が変わらない場合には、ステップS20の処理に移行する。一方、パイプライン画像処理部12は、チェックの結果、テンプレート検証範囲内でテンプレート画像(D’画像)がユニークである場合には、ステップS25の処理に移行する。
次に、パイプライン画像処理部12は、直近のステップS17の処理で選択した一のブロックの識別情報(例えば、ブロックID)と、テンプレート画像(D’画像)と、中心アドレス(テンプレート画像(D’画像)をD画像から切り取った際のXYアドレス)とを対応付けてテンプレートテーブル(図示しない)に登録し(ステップS25)、ステップS26の処理に移行する。
パイプライン画像処理部12は、ステップS20又はステップS25の処理を終えると、次いで、全てのブロックを選択したか否かを判定する(ステップS26)。すなわち、パイプライン画像処理部12は、ステップS4の処理で分割した全ブロックをステップS17の処理により選択したか否かを判定する。このとき、パイプライン画像処理部12は、全てのブロックを選択していないと判定した場合には(ステップS26:NO)、ステップS17の処理に移行し、それまでに選択していない一のブロックを選択する。一方、パイプライン画像処理部12は、全てのブロックを選択したと判定した場合には(ステップS26:YES)、連続シート用テンプレート画像作成処理を終了する。
本実施形態において、パイプライン画像処理部12は、A画像を階調aで二値化したB画像と、A画像を階調bで二値化したC画像のそれぞれから切り出し画像(B’画像及びC’画像)を比較して、差分が一定の範囲(1画素〜8画素)である場合に、B’画像及びC’画像を切り出した際のXYアドレスをテンプレートの適性有りと判断とする。これにより、一定の階調の範囲(階調a〜bの範囲)の特徴点を見つけることができる。また、パイプライン画像処理部12は、A画像を階調(a+b)/2で二値化したD画像から、テンプレート適性有りと判断したXYアドレスに基づいて、テンプレート画像(D’画像)を生成する。これにより、被検査画像の階調が階調a〜bの範囲で変化してもテンプレート画像(D’画像)と適切にマッチングすることができる。
[1.3.連続シート検査処理の動作]
次に、図14を用いて、パイプライン画像処理部12による連続シート検査処理について説明する。なお、図14は、連続シート検査処理の一例を示すフローチャートである。連続シート検査処理は、基準画像と被検査画像の比較処理を行う全数検査である。
まず、パイプライン画像処理部12は、連続シート・ズレ量算出処理を行う(ステップS31)。なお、連続シート・ズレ量算出処理については後述する。
次に、パイプライン画像処理部12は、連続シート・ズレ量算出処理により、ブロック毎に算出したズレ量に基づいて、被検査画像の位置補正を行う(ステップS32)。
次に、パイプライン画像処理部12は、位置補正した被検査画像と基準画像を比較する検査を行う(ステップS33)。
次に、パイプライン画像処理部12は、ステップS33の処理で行った比較検査の結果を出力し(ステップS34)、連続シート検査処理を終了する。ステップS34の処理において、パイプライン画像処理部12は、例えば、比較検査の結果を示す結果データを作成して検査サーバ20に送信したり(不良検出時における不良画像、検査開始時や停止時における稼働記録や検査ログデータとともに送信してもよい)、検査結果を表示装置(例えば、検査サーバ20に接続された表示装置等)に表示させたりしてもよい。
[1.4.連続シート・ズレ量算出処理の動作]
次に、図15を用いて、パイプライン画像処理部12による連続シート・ズレ量算出処理について説明する。
まず、パイプライン画像処理部12は、全数検査の対象となる印刷物を撮像した被検査画像を取得する(ステップS51)。被検査画像はRGB画像であり、各成分は「0〜255」の階調を示す値で示される。
次に、パイプライン画像処理部12は、被検査画像について、RGB毎に白紙部に対応する各画素の輝度(白紙部輝度)を取得する(ステップS52)。
次に、パイプライン画像処理部12は、被検査画像について、RGB毎に、白紙部輝度が目標白紙部輝度になるように補正係数を算出し、各画素を補正する(ステップS53)。目標白紙部輝度は、連続シート用テンプレート画像作成処理のステップS3と同じ値が予めオペレータ等によって設定されているものとする。
次に、パイプライン画像処理部12は、基準画像と同様に被検査画像を複数ブロックに分割する(ステップS54)。
次に、パイプライン画像処理部12は、基準画像と同様に被検査画像について、RGB毎に、ソーベルフィルタによりエッジ抽出を行う(ステップS55)。なお、連続シート検査処理においてもエッジ抽出した画像を「A画像」という。
次に、パイプライン画像処理部12は、連続シート用テンプレート画像作成処理のステップS22と同様に、A画像を階調((a+b)/2)(本実施形態では「(90+130)/2=110」)で二値化した画像に対して、連続シート用テンプレート画像作成処理のステップS11〜ステップS13の処理においてB画像について行ったのと同様の処理を行い、D画像を生成する(ステップS56)。なお、aとbは、連続シート用テンプレート画像作成処理における値と同じ値を用いる。
次に、パイプライン画像処理部12は、連続シート・テンプレート有りブロック処理を行う(ステップS57)。なお、連続シート・テンプレート有りブロック処理については後述する。連続シート・テンプレート有りブロック処理は、テンプレート有りブロックについてズレ量を決定する処理である。
次に、パイプライン画像処理部12は、ズレ量が決定していないブロックがあるか否かを判定する(ステップS58)。連続シート・テンプレート有りブロック処理では、テンプレート有りブロックについてズレ量を決定するので、ここでズレ量が決定していないブロックはテンプレート無しブロックが該当する。パイプライン画像処理部12は、ズレ量が決定していないブロックがないと判定した場合には(ステップS58:NO)、連続シート・ズレ量算出処理を終了する。一方、パイプライン画像処理部12は、ズレ量が決定していないブロックがあると判定した場合には(ステップS58:YES)、一のテンプレート無しブロックを選択し(ステップS59)、ズレ量が決定している上下左右のブロック又は同行/同列のブロックのズレ量に基づいてズレ量を決定し(ステップS60)、ステップS58の処理に移行する。そして、パイプライン画像処理部12は、全ての「テンプレート無しブロック」を選択するまで(全てのテンプレート無しブロックについてズレ量を決定するまで)、ステップS58〜ステップS60の処理を繰り返す。
[1.5.連続シート・テンプレート有りブロック処理の動作]
次に、図16を用いて、パイプライン画像処理部12による連続シート・テンプレート有りブロック処理について説明する。
まず、パイプライン画像処理部12は、連続シート用テンプレート画像作成処理のステップS21の処理で「テンプレート有りブロック」と判定した一のブロックを選択する(ステップS101)。
次に、パイプライン画像処理部12は、テンプレートテーブル(連続シート用テンプレート画像作成処理のステップS25を参照)から、ステップS101の処理で選択したブロックに含まれるテンプレート画像(D’画像)と中心アドレスを取得する(ステップS102)。
次に、パイプライン画像処理部12は、ステップS102の処理で取得した中心アドレスを基準とする予め設定された設定範囲(例えば、X方向±64画素、Y方向±128画素の範囲)内を、ステップS56の処理で生成したD画像に対してD’画像を1画素ずつずらしていき、D画像とD’画像の差分を算出する(ステップS103)。
次に、パイプライン画像処理部12は、差分が最小であった位置を特定する(ステップS104)。なお、差分が最小である位置が同じ値で複数ある場合には最も中心アドレスに近い位置を一つ特定する。
次に、パイプライン画像処理部12は、ステップS104の処理で特定した位置と、ステップS102の処理で取得した中心アドレスの差をズレ量(dx,dy)として決定する(ステップS105)。なお、決定したズレ量は、当該中心アドレスを含むブロックの識別情報(例えば、ブロックID)と対応付けて記憶させておくものとする。
次に、パイプライン画像処理部12は、全ての「テンプレート有りブロック」を選択したか否かを判定する(ステップS106)。このとき、パイプライン画像処理部12は、全ての「テンプレート有りブロック」を選択していないと判定した場合には(ステップS106:NO)、ステップS101の処理に移行し、それまでに選択していない一の「テンプレート有りブロック」を選択する。そして、全ての「テンプレート有りブロック」を選択するまで、ステップS101〜ステップS106の処理を繰り返す。一方、パイプライン画像処理部12は、全ての「テンプレート有りブロック」を選択したと判定した場合には(ステップS106:YES)、連続シート・テンプレート有りブロック処理を終了し、連続シート・ズレ量算出処理に戻る。
[2.第2実施形態]
次に、図面を参照して本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態は、オフセット枚葉印刷機に設置された検査装置に対して本発明を適用した場合の実施形態である。なお、第2実施形態は、第1実施形態と共通する部分が多いので、ここでは、その差異点を中心に説明する。
[2.1.オフセット枚葉印刷機及び検査装置の構成]
第2実施形態におけるオフセット枚葉印刷機の構成は、本発明と直接的に関係しないので説明を省略する。
次に、第2実施形態における検査装置Tの構成について説明する。第2実施形態における検査装置Tは、基本的に第1実施形態における検査装置Tと同様の構成を有している。
パイプライン画像処理部12は、表面用と裏面用にそれぞれ2セット、合計4枚の画像処理ボード(表用画像処理ボード121A、表用画像処理ボード122A、裏用画像処理ボード121B、裏用画像処理ボード122B)を搭載している。表用画像処理ボード121Aと表用画像処理ボード122Aは交互に動作が切り替わる(裏用画像処理ボード121Bと裏用画像処理ボード122Bも同様)。各画像処理ボードは複数個の並列処理チップを搭載し、例えば、1000万×3色の画像の処理を180msec毎に行う。表用画像処理ボード121Aと表用画像処理ボード122Aは、表カメラ分岐ボード14を介して、表面カメラ31Aからカメラ信号を受け取り、エンコーダ分岐ボード16から受け取ったパルス信号に基づいて表面について高解像度画像を生成し(具体的な生成方法については、特許3811565号公報を参照)、高解像度画像を用いて全数検査(全ての印刷物を対象とする検査)を行う。同様に、裏用画像処理ボード121Bと裏用画像処理ボード122Bも、裏カメラ分岐ボード15を介して、裏面カメラ31Bからカメラ信号を受け取り、全数検査を行う。
パイプライン画像処理部12は、第1実施形態と同様に、全数検査において被検査画像と基準画像を比較する検査を行うに当たり、比較を適切に行えるように両画像の位置合わせを行う。そのために、パイプライン画像処理部12は、画像を複数のブロックに分割し、ブロック毎に両画像のズレ量を算出するズレ量算出処理を行う。
被印刷物がカットシートの一例である枚葉紙である第2実施形態では、印刷がなされたそれぞれの枚葉紙をカメラ31で次々に撮影すると、各枚葉紙が不規則な方向(縦方向、横方向或いは回転方向)にズレて撮影されるため、連続する被検査画像の向きも不規則となる。一ブロックについて二枚のテンプレート画像を作成して、二枚のテンプレート画像により被検査画像の対応するブロック内をサーチする。なお、テンプレート画像の作成処理については、フローチャートを用いて後述する。一方、連続する被検査画像の向き(ズレ)に関連性があり、且つ、印刷速度が速く全数検査にも速度が求められる第1実施形態では、上述したように、一ブロックについて一枚のテンプレート画像により位置合わせを行う。
パイプライン画像処理部12は、テンプレート画像の作成処理において、特徴部の少ないブロックについてはテンプレート画像を二枚作成できない場合がある。パイプライン画像処理部12は、テンプレート画像を二枚作成できたブロック(「テンプレート有りブロック」)については、二枚のテンプレート画像に基づいてズレ量を算出する(2つの一致点についてズレ量を算出し、その平均をそのブロックのズレ量とする)一方、テンプレート画像を作成できなかったブロック(「テンプレート無しブロック」)については、ズレ量が決定している上下左右のブロック又は同行/同列のブロックのズレ量に基づいてズレ量を決定する。
また、パイプライン画像処理部12は、ブロック毎にテンプレート画像と被検査画像を比較する際には、被検査画像についてもブロック毎にテンプレート画像と同様の手法によりブロック画像を作成し、テンプレート画像により、対応するブロック画像内をサーチすることにより一致する箇所を探索する。このように同様の手法で作成した画像同士を比較することで、より正確に一致点を探索することができる。
パイプライン画像処理部12は、ブロック毎に算出したズレ量に基づいて被検査画像の位置補正を行うことにより、基準画像と被検査画像の位置合わせを行う。
[2.2.枚葉紙用テンプレート画像作成処理の動作]
図17を用いて、パイプライン画像処理部12による枚葉紙用テンプレート画像作成処理について説明する。なお、図17は、枚葉紙用テンプレート画像作成処理の一例を示すフローチャートである。
枚葉紙用テンプレート画像作成処理の冒頭の処理は、連続シート用テンプレート画像作成処理(図3参照)のステップS1〜ステップS16と同様である。
パイプライン画像処理部12は、ステップS16の処理を終えると、次いで、ステップS4の処理で分割した一のブロックを選択する(ステップS201)。
次に、パイプライン画像処理部12は、ステップS17の処理で選択したブロック内に「テンプレート適性有り」と判定したXYアドレスがないかサーチする(ステップS202)。具体的には、ブロック内の始点(例えば、左下隅)からX方向に一画素ずつずらしながら「テンプレート適性有り」と判定したXYアドレスがないかサーチする。ブロック端までいっても見つからない場合には、Y方向に1画素ずらし再度、X方向に一画素ずつずらしながら「テンプレート適性有り」と判定したXYアドレスがないかサーチする。「テンプレート適性有り」と判定したXYアドレスが2つ見つかった時点でサーチを終了する。
そして、パイプライン画像処理部12は、ブロック内に「テンプレート適性有り」のXYアドレスが2つあったか否かを判定する(ステップS203)。パイプライン画像処理部12は、「テンプレート適性有り」のXYアドレスが2つなかったと判定した場合には(ステップS203:NO)、当該ブロックを「テンプレート無しブロック」と判定し(ステップS204)、ステップS210の処理に移行する。一方、パイプライン画像処理部12は、「テンプレート適性有り」のXYアドレスが2つあったと判定した場合には(ステップS203:YES)、当該ブロックを「テンプレート有りブロック」と判定し(ステップS205)、ステップS206の処理に移行する。
次に、パイプライン画像処理部12は、連続シート用テンプレート画像作成処理のステップS22と同様に、A画像を階調((a+b)/2)(本実施形態では「(90+130)/2=110」)で二値化した画像に対して、連続シート用テンプレート画像作成処理のステップS11〜ステップS13の処理においてB画像について行ったのと同様の処理を行い、D画像を生成する(ステップS206)。
次に、パイプライン画像処理部12は、D画像から、「テンプレート適性有り」のXYアドレスを中心とする32画素×32画素を切り出し、テンプレート画像(D’画像)を生成する(ステップS207)。なお、第2実施形態では一のブロックにつき「テンプレート適性有り」のXYアドレスは2つあるので、パイプライン画像処理部12は、それぞれについてステップS207の処理を行い、2枚のテンプレート画像(D’画像)を生成する。
次に、パイプライン画像処理部12は、テンプレート画像(D’画像)のチェックを行う(ステップS208)。このチェックでは、テンプレート検証範囲(テンプレート画像(D’画像)の中心アドレスを基準とするX方向±64画素、Y方向±128画素の範囲)内を、D’画像を1画素ずつずらしていき、何れの位置でも(但し、中心アドレスを除く)D画像とD’画像の差分が1画素以上あることを検証する。すなわち、テンプレート画像(D’画像)がその周囲(テンプレート検証範囲内)でユニークであることを検証する。なお、第2実施形態では一のブロックにつきD’画像は2枚あるので、パイプライン画像処理部12は、ステップS208の処理においてそれぞれのD’画像について検証を行う。
そして、パイプライン画像処理部12は、チェックの結果、テンプレート検証範囲内でテンプレート画像(D’画像)がユニークでない場合には、当該テンプレート画像(D’画像)は不合格として、他の画像と差し替えるためにステップS202に戻り、同じブロック内の他の「テンプレート適性有り」のXYアドレスをサーチし、当該XYアドレスについて、ステップS203〜ステップS208の処理を行う。ステップS202〜ステップS208の処理を2回やり直しても、2枚のテンプレート画像(D’画像)が合格とならない場合には、ステップS204の処理に移行する。一方、パイプライン画像処理部12は、チェックの結果、テンプレート検証範囲内でテンプレート画像(D’画像)がユニークである場合には合格とする。パイプライン画像処理部12は、2枚のテンプレート画像(D’画像)が合格である場合には、ステップS209の処理に移行する。
次に、パイプライン画像処理部12は、直近のステップS201の処理で選択した一のブロックの識別情報(例えば、ブロックID)と、2枚のテンプレート画像(D’画像)と、各テンプレート画像(D’画像)の中心アドレスと、その平均座標と、ブロックの中心アドレスとを、対応付けてテンプレートテーブル(図示しない)に登録し(ステップS209)、ステップS210の処理に移行する。
パイプライン画像処理部12は、ステップS204又はステップS209の処理を終えると、次いで、全てのブロックを選択したか否かを判定する(ステップS210)。すなわち、パイプライン画像処理部12は、ステップS4の処理で分割した全ブロックをステップS201の処理により選択したか否かを判定する。このとき、パイプライン画像処理部12は、全てのブロックを選択していないと判定した場合には(ステップS210:NO)、ステップS201の処理に移行し、それまでに選択していない一のブロックを選択する。そして、全てのブロックを選択するまで、ステップS201〜ステップS210の処理を繰り返す。一方、パイプライン画像処理部12は、全てのブロックを選択したと判定した場合には(ステップS210:YES)、枚葉紙用テンプレート画像作成処理を終了する。
第2実施形態において、パイプライン画像処理部12は、A画像を階調aで二値化したB画像と、A画像を階調bで二値化したC画像のそれぞれから切り出し画像(B’画像及びC’画像)を比較して、差分が一定の範囲(1画素〜8画素)である場合に、B’画像及びC’画像を切り出した際のXYアドレスをテンプレートの適性有りと判断とする。これにより、一定の階調の範囲(階調a〜bの範囲)の特徴点を見つけることができる。また、パイプライン画像処理部12は、A画像を階調(a+b)/2で二値化したD画像から、テンプレート適性有りと判断したXYアドレスに基づいて、テンプレート画像(D’画像)を2枚生成する。これにより、被検査画像の階調が階調a〜bの範囲で変化してもテンプレート画像(D’画像)と適切にマッチングすることができ、また、一ブロック当たり、2枚のテンプレート画像によりズレ量を算出して位置補正を行うことから、第1実施形態より高精度に位置補正を行うことができる。
[2.3.枚葉紙検査処理の動作]
次に、図18を用いて、パイプライン画像処理部12による枚葉紙検査処理について説明する。なお、図18は、枚葉紙検査処理の一例を示すフローチャートである。枚葉紙検査処理は、基準画像と被検査画像の比較処理を行う全数検査である。
まず、パイプライン画像処理部12は、枚葉紙・ズレ量算出処理を行う(ステップS231)。なお、枚葉紙・ズレ量算出処理については後述する。
次に、パイプライン画像処理部12は、連続シート検査処理(図14参照)のステップS32〜ステップS34と同様の処理を行い、枚葉紙検査処理を終了する。
[2.4.枚葉紙・ズレ量算出処理の動作]
次に、図19を用いて、パイプライン画像処理部12による枚葉紙・ズレ量算出処理について説明する。
枚葉紙・ズレ量算出処理の冒頭の処理は、連続シート・ズレ量算出処理(図15参照)のステップS51〜ステップS56と同様である。
次に、パイプライン画像処理部12は、枚葉紙・テンプレート有りブロック処理を行う(ステップS251)。なお、枚葉紙・テンプレート有りブロック処理については後述する。
次に、パイプライン画像処理部12は、連続シート・ズレ量算出処理(図15参照)のステップS58〜ステップS60と同様の処理を行い、枚葉紙・ズレ量算出処理を終了する。
[2.5.枚葉紙・テンプレート有りブロック処理の動作]
次に、図20を用いて、パイプライン画像処理部12による枚葉紙・テンプレート有りブロック処理について説明する。
まず、パイプライン画像処理部12は、枚葉紙用テンプレート画像作成処理のステップS205の処理で「テンプレート有りブロック」として判定した一のブロックを選択する(ステップS301)。
次に、パイプライン画像処理部12は、テンプレートテーブルから、ステップS301の処理で選択したブロックに含まれるテンプレート画像(D’画像)と中心アドレスを2組取得する(ステップS302)。
次に、パイプライン画像処理部12は、ステップS302の処理で取得した一組目の中心アドレスを基準とする予め設定された設定範囲(X方向±64画素、Y方向±128画素の範囲)内を、D画像に対して一組目のD’画像を1画素ずつずらしていき、D画像とD’画像の差分を算出する(ステップS303)。
次に、パイプライン画像処理部12は、差分が最小であった位置を特定する(ステップS304)。なお、差分が最小である位置が同じ値で複数ある場合には最も中心アドレスに近い位置を一つ特定する。
次に、パイプライン画像処理部12は、ステップS302の処理で取得した二組目の中心アドレスを基準とする予め設定された設定範囲(X方向±64画素、Y方向±128画素の範囲)内を、D画像に対して二組目のD’画像を1画素ずつずらしていき、D画像とD’画像の差分を算出する(ステップS305)。
次に、パイプライン画像処理部12は、差分が最小であった位置を特定する(ステップS306)。なお、差分が最小である位置が同じ値で複数ある場合には最も中心アドレスに近い位置を一つ特定する。
次に、パイプライン画像処理部12は、2つのテンプレート画像(D’画像)についてそれぞれ、ズレ量を算出する(ステップS307)。具体的には、ステップS304の処理で特定した位置と、ステップS302の処理で取得した一組目の中心アドレスの差を一つ目のズレ量(dx1,dy1)として算出し、ステップS306の処理で特定した位置と、ステップS302の処理で取得した二組目の中心アドレスの差を二つ目のズレ量(dx2,dy2)として算出する。
次に、パイプライン画像処理部12は、ステップS307の処理で算出した2つのズレ量の平均値をそのブロックのズレ量(dx,dy)として決定する(ステップS308)。なお、決定したズレ量は、当該ブロックの識別情報(例えば、ブロックID)と対応付けて記憶させておくものとする。
次に、パイプライン画像処理部12は、全ての「テンプレート有りブロック」を選択したか否かを判定する(ステップS309)。このとき、パイプライン画像処理部12は、全ての「テンプレート有りブロック」を選択していないと判定した場合には(ステップS309:NO)、ステップS301の処理に移行し、それまでに選択していない一の「テンプレート有りブロック」を選択する。そして、全ての「テンプレート有りブロック」を選択するまで、ステップS301〜ステップS309の処理を繰り返す。一方、パイプライン画像処理部12は、全ての「テンプレート有りブロック」を選択したと判定した場合には(ステップS309:YES)、枚葉紙・テンプレート有りブロック処理を終了し、枚葉紙・ズレ量算出処理に戻る。
以上説明したように、第1実施形態及び第2実施形態の検査装置T(「特徴画像生成装置」の一例)は、パイプライン画像処理部12(「エッジ抽出部」、「二値化部」、「第1合成部」、「交点取得部」、「第2合成部」、「切り出し画像生成部」、「特徴画像生成部」の一例)が、基準画像からエッジを抽出したA画像(「エッジ画像」の一例)を生成し、A画像を階調b(「第1の階調」の一例)で二値化したC画像(「第1二値化画像」の一例)と、エッジ画像を階調bよりも低い階調a(「第2の階調」の一例)で二値化したB画像(「第2二値化画像」の一例)と、エッジ画像を階調aと階調bの中間の階調で二値化したD画像(「第3二値化画像」の一例)と、を生成し、C画像から水平の直線を抽出したC1画像(「第1水平画像」の一例)と、C画像から垂直の直線を抽出したC2画像(「第1垂直画像」の一例)を合成し、C3画像(「第1合成画像」の一例)を生成し、C3画像における水平の直線と垂直の直線のXYアドレス(「交点座標」の一例)を取得し、B画像から水平の直線を抽出したB1画像(「第2水平画像」の一例)と、B画像から垂直の直線を抽出したB2画像(「第2垂直画像」の一例)を合成し、B3画像(「第2合成画像」の一例)を生成し、C3画像及びB3画像からXYアドレスを含む画像を切り出して、それぞれC’画像(「第1切り出し画像」の一例)及びB’画像(「第2切り出し画像」の一例)を生成し、C’画像とB’画像の差分画素数が1画素から8画素の範囲内である場合(「所定の条件を満たす場合」の一例)に、D画像からXYアドレスを含む画像を切り出したテンプレート画像(D’画像。「特徴画像」の一例)を生成する。
したがって、検査装置Tによれば、基準画像からエッジを抽出したA画像を、階調bで二値化した画像から得られたC’画像と、エッジ画像を階調aで二値化した画像から得られたB’画像の差分画素数が1画素から8画素の範囲内である場合に、A画像を階調aと階調bの中間の階調で二値化したD画像から同じ位置を切り出してテンプレート画像(D’画像)とすることから、基準画像と比較する比較画像のエッジ画像における階調が階調bと階調aの間であれば、基準画像と被検査画像の位置合わせを行うことができる。すなわち、高解像度の基準画像と被検査画像の位置合わせを行うためのマッチングに用いるテンプレート画像(D’画像)を基準画像から適切に生成することができる。
このように、階調aと階調bで二値化した画像(B画像とC画像)の双方で検出されるエッジに基づいてテンプレート画像(D’画像)を生成することから、被検査画像全体の階調が印刷過程で低下するなどの変化があっても、テンプレート画像を生成する際の基となったエッジはその階調が階調a〜bの範囲内で変化する分には検出可能となるため位置補正を行うことができる。すなわち、階調a〜bの範囲内でエッジ部の階調変化があっても適切に位置合わせが行われることが保証される。仮に1つの階調で二値化した画像で検出されるエッジに基づいてテンプレート画像を生成した場合、当該エッジが何れの階調の範囲で検出可能かが不明であり、印刷過程で当該エッジの階調が検出不可能な階調に変化にすると突然に位置合わせを行うことができなくなり、検査を停止せざるを得なくなる。
なお、検査装置Tのパイプライン画像処理部12は、基準画像からエッジを抽出したA画像を生成し、A画像を階調bで二値化したC画像と、エッジ画像を階調bよりも低い階調aで二値化したB画像と、エッジ画像を階調aと階調bの間の階調で二値化したD画像と、を生成し、C画像における水平の直線と垂直の直線のXYアドレス(「交点座標」の一例)を取得し、C画像及びB画像からXYアドレスを含む画像を切り出して、それぞれC’画像(「第1切り出し画像」の一例)及びB’画像(「第2切り出し画像」の一例)を生成し、C’画像とB’画像の差分画素数が1画素から8画素の範囲内である場合(「所定の条件を満たす場合」の一例)に、D画像からXYアドレスを含む画像を切り出したテンプレート画像(D’画像。「特徴画像」の一例)を生成することとしてもよい。
また、第1実施形態及び第2実施形態の検査装置Tは、パイプライン画像処理部12(「分割部」の一例)が基準画像を複数ブロックに分割し、ブロック毎にテンプレート画像(D’画像)を生成する。これにより、基準画像と被検査画像についてブロック毎にズレ量を算出することができ、延いてはブロック毎に位置合わせを行うことができる。
更に、第1実施形態の検査装置Tは、パイプライン画像処理部12が、基準画像が連続シートを長手方向に沿って搬送している際に当該連続シートの一部を撮影した画像である場合に、一のブロックに対して一つのテンプレート画像(D’画像)を生成する。
更にまた、第2実施形態の検査装置Tは、パイプライン画像処理部12が、基準画像が枚葉紙(「カットシート」の一例)を撮影した画像である場合に、一のブロックに対して二つのテンプレート画像(D’画像)を生成する。枚葉紙を印刷後に撮像する場合、枚葉紙は縦方向、横方向、回転方向に不規則にズレるが、第2実施形態の検査装置Tによれば、一ブロック当たり2枚のテンプレート画像によりズレ量を算出することから、高精度に位置合わせをすることができる。
更にまた、第1実施形態及び第2実施形態の検査装置Tは、パイプライン画像処理部12(「判定部」の一例)が、D画像におけるXYアドレスを基準とするテンプレート検証範囲(「検証領域内」の一例)を、テンプレート画像(D’画像)を移動させつつD画像と比較し、XYアドレス以外の位置で一致する場合に、テンプレート画像(D’画像)を不適切なテンプレート画像(D’画像)と判定する。これにより、その周囲(テンプレート検証範囲内)に類似する図柄(特徴)のない画像をテンプレート画像(D’画像)として採用することができる。
なお、印刷物の検査のために行う画像比較処理に限らず、様々な目的で画像比較処理を行うに当たり、一方の画像に歪み、伸び・縮み、回転等が生じるなどの理由から適切に比較を行うことができない場合に、両画像の位置合わせを行うために本発明のズレ量算出処理を利用することができる。
また、第1実施形態及び第2実施形態において階調aと階調bの真ん中の階調((a+b)/2)で二値化した画像(D画像)に基づいてテンプレート画像(D’画像)を生成することとしたが、必ずしも真ん中の階調で二値化した画像に基づいてテンプレート画像を生成しなくてもよい。テンプレート画像を切り出す画像(D画像)は、真ん中の階調より高低にずらした階調で二値化した画像であってもよいし、印刷過程で被検査画像の階調が低下することが想定されるのであれば、真ん中よりも高めの階調で二値化した画像であってもよい。