JP6658390B2 - 車両ドア解錠装置 - Google Patents
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Description
リレーアタックは、このように携帯機が車両の通信範囲内に存在しない場合であっても、リクエスト信号およびアンサー信号を車両と携帯機との間で送受信させて、ドアの不正解錠を行う技術である。詳しくは、車両の通信範囲内を含む複数箇所に中継装置を配置し、これらの中継装置を介して、リクエスト信号およびアンサー信号を、車両から離れた位置に存在する携帯機と車両との間で送受信させて、ドアの不正解錠を行う技術である。従って、リレーアタックが行われることによって、例えば、車両利用者が就寝中であり、携帯機が車両から10mほど離れた車両利用者の住居に存在する場合であっても、ドアが不正解錠されて車両が盗難される虞がある。
A.装置構成 :
図1には、本実施例の「ドアロック制御装置100」の大まかな構成が示されている。本実施例では「ドアロック制御装置100」が本発明における「車両ドア解錠装置」に相当する。
ドアロック制御装置100は、車両1に設けられており、車両1の利用者が携帯する携帯機200と通信を行うことによって車両1のドアを解錠および施錠する装置である。詳しくは、ドアロック制御装置100は、携帯機200に「リクエスト信号」を送信すると共に、該「リクエスト信号」に応答して携帯機200から送信される「アンサー信号」に基づいて、車両1のドアを解錠および施錠する装置である。ドアロック制御装置100は、図示されるように、RF受信部11と、車外LF送信部12と、車内LF送信部13と、ID判定部14と、記憶部15と、応答時間計測部16と、リレーアタック判定部17と、解錠指示部18と、施錠指示部19とを備えている。尚、これら9つの「部」は、ドアロック制御装置100の内部を便宜的に分類した抽象的な概念であり、ドアロック制御装置100が物理的に9つの部分に区分されることを表すものではない。従って、これらの「部」は、CPUで実行されるコンピュータープログラムとして実現することもできるし、LSIやメモリーを含む電子回路として実現することもできるし、更にはこれらを組み合わせることによって実現することもできる。
車外LF送信部12には、車両1のドアの外側(例えばドアの外側の把持部など)に設けられた車外LF送信アンテナ12aが接続されている。車外LF送信部12は、車外LF送信アンテナ12aを介して、「リクエスト信号」としてLF信号(例えば、周波数125kHzの信号)を送信する。この車外LF送信アンテナ12aから送信される「リクエスト信号」の到達範囲(以下「車外到達範囲」という)は、車両1の外側であって車両1の近辺までとなるように(例えば、車両1のドアから1mの範囲内に)設定されている。従って、車外LF送信部12から送信される「リクエスト信号」は、「車外到達範囲(車両1の外側であって車両1の近辺)」に存在する携帯機200、すなわち、車両1の傍らに居る車両1の利用者が携帯している携帯機200に受信されることとなる。
車内LF送信部13には、車両1内に設けられた車内LF送信アンテナ13aが接続されている。車内LF送信部13は、車内LF送信アンテナ13aを介して、「リクエスト信号」としてLF信号(例えば、周波数125kHzの信号)を送信する。この車内LF送信アンテナ13aから送信される「リクエスト信号」の到達範囲(以下「車内到達範囲」)は、車両1の車室内に設定されている。従って、車内LF送信部13から送信される「リクエスト信号」は、「車内到達範囲(車両1の車室内)」に存在する携帯機200、すなわち、車両1の乗員が携帯している携帯機200に受信されることとなる。
応答時間計測部16は、車外LF送信部12が「リクエスト信号」を送信してから(あるいは送信処理を開始してから)RF受信部11が「アンサー信号」を受信するまで(あるいは受信処理を終了するまで)の応答時間を計測する。
リレーアタック判定部17は、上述の応答時間に基づいてリレーアタックが行われたか否かを判定する。詳しくは後述するが、リレーアタックとは、車両1のドアを不正に解錠するための行為である。リレーアタックが行われる場合はリレーアタックが行われない場合よりも上述の応答時間が長くなることから、リレーアタック判定部17は、上述の応答時間が所定の閾時間より長くなった場合にリレーアタックが行われたと判定する。
以下では、本実施例のドアロック制御装置100によって実行される解錠処理について説明する。図2には、ドアロック制御装置100によって実行される解錠処理のフローチャートが示されている。この処理は、タイマ割り込み処理として(例えば、0.1秒毎に)実行される。
ドアロック制御装置100は、解錠処理を開始すると先ず、車外LF送信部12から「リクエスト信号」を送信する(S101)。この「リクエスト信号」は、「車外到達範囲(車両1の外側であって車両1の近辺)」に存在する携帯機200に向けて送信される。続いて、車外LF送信部12が「リクエスト信号」を送信してから(あるいは送信処理を開始してから)RF受信部11が「アンサー信号」を受信するまで(あるいは受信処理を終了するまで)の応答時間の計測を、応答時間計測部16が開始する(S102)。
これに対して、「アンサー信号」から検出したIDが登録されている場合は(S107:yes)、車両1に対応している携帯機200から送信された「アンサー信号」であると判断できる。この場合は、続いて、S105の処理で記憶した応答時間が閾時間未満であるか否かをリレーアタック判定部17が判断する(S108)。その結果、応答時間が閾時間未満である場合は(S108:yes)、リレーアタックなし(リレーアタックが行われなかった)と判定できるので、ドアロックアクチュエーターに解錠信号を送信することで車両1のドアを解錠する(S109)。これに対して、応答時間が閾時間以上である場合は(S108:no)、リレーアタックあり(リレーアタックが行われた)と判定できるので、車両1のドアは解錠せず(解錠信号は送信せず)、リレーアタックが行われたことを記憶する(S110)。
そこで、本実施例のドアロック制御装置100では、リレーアタックが行われない場合と、リレーアタックが行われる場合とでは応答時間(車外LF送信部12が「リクエスト信号」を送信してから(あるいは送信処理を開始してから)RF受信部11が「アンサー信号」を受信するまで(あるいは受信処理を終了するまで)の時間)に相違があることに着目して、リレーアタックが行われた場合に車両1のドアが解錠されないようにしている。すなわち、リレーアタックが行われる場合は、車外LF送信部12から送信される「リクエスト信号」は中継装置R1,R2を経由し、携帯機200から送信される「アンサー信号」は中継装置R3,R4を経由する。従って、図4に示すように、リレーアタックが行われる場合(図中、RAなし)は、リレーアタックが行われない場合(図中、RAあり)よりも応答時間が長くなる。そこで、所定の閾時間を設定し、応答時間が閾時間未満である場合は、リレーアタックなし(リレーアタックが行われなかった)と判定して車両1のドアを解錠し、応答時間が閾時間以上である場合は、リレーアタックあり(リレーアタックが行われた)と判定して、車両1のドアを解錠しないこととしている。
C−1.変形例1 :
上述した実施例では、1つのドアロック制御装置100につき1つの携帯機200が利用可能である場合について説明したが、1つのドアロック制御装置100につき複数の携帯機200が利用可能である場合もある。例えば、1つの車両1を夫婦で利用する場合は、携帯機200aを夫が利用し、携帯機200bを妻が利用する場合がある。
このような場合は、携帯機200aと携帯機200bとの間にも製造誤差などの個体差があるので、携帯機200aを利用して車両1のドアを解錠する場合と、携帯機200bを利用して車両1のドアを解錠する場合とでは、応答時間が互いに異なることが推定される。すなわち、1つのドアロック制御装置100であっても、携帯機200aとの間で「リクエスト信号」および「アンサー信号」を送受信する場合と、携帯機200bとの間で「リクエスト信号」および「アンサー信号」を送受信する場合とでは、応答時間が互いに異なることが推定される。従って、複数の携帯機200で同じ閾時間を利用すると、リレーアタックの判定を高い精度で行うことができず、車両1のドアを適切に解錠できない虞がある。
上述した実施例および変形例1では、1つの携帯機(ID)につき1つの閾時間を記憶させる場合について説明したが、1つの携帯機(ID)につき複数の閾時間を記憶させることとしてもよい。ここで、携帯機200が「アンサー信号」を送信する際にドアロック制御装置100が検出する電界強度Eは、ドアロック制御装置100と携帯機200の位置関係によって変化する。そして、この電界強度Eの大きさによって、上述した応答時間は変化する。詳しくは、一般的には電界強度Eが大きくなるほど応答時間は短くなり、電界強度Eが小さくなるほど応答時間は長くなる。従って、電界強度Eに拘わらず同じ閾時間を利用すると、リレーアタックの判定を高い精度で行うことができず、車両1のドアを適切に解錠できない虞がある。
上述した実施例、変形例1、変形例2では、製造段階でドアロック制御装置100に閾時間を記憶させることとしたが、ドアロック制御装置100の使用が開始された後に閾時間を記憶させることとしてもよい。詳しくは、リレーアタックが行われていないと推定される状況(リレーアタックが行われていない可能性の高い状況)を検出して、この状況における応答時間(中継装置を介さない場合の応答時間)を計測し、この応答時間にマージン(許容量)を加えた時間を閾時間として記憶する。
これに対して、「アンサー信号」から検出したIDが登録されている場合は(S208:yes)、S206の処理で記憶した応答時間にマージン(許容量)を加えた時間を閾時間として決定し、この閾時間を登録されているIDに対応付けて記憶する。
例えば、上述した変形例3では、リレーアタックが行われていない状況と推定した場合に閾時間を記憶することとしたが、車両1の利用者や取扱業者(いわゆるディーラー)が所定の操作を行った場合に応答時間を計測して、この応答時間から閾時間を記憶することとしてもよい。尚、ここでいう所定の操作としては、車両1に設けられたスイッチの操作や、外部機器を車両1に接続し、外部機器から車両1に所定の情報を送信することによって車両1を特定の登録モードの状態に設定する操作などを挙げることができる。
また、上述した実施例および変形例において、閾時間を決定するにあたっては、応答時間を複数回(例えば100回)計測し、その計測結果(例えば平均)に基づいて閾時間を決定することとしてもよい。こうすると、閾時間の精度を高めることができる。
13…車内LF送信部、14…ID判定部、 15…記憶部、
16…応答時間計測部、17…リレーアタック判定部、18…解錠指示部、
19…施錠指示部、 20…降車検出部、 21…閾時間決定部、
30…エンジン始動許可部、 100、300…ドアロック制御装置、
200…携帯機。
Claims (1)
- 車両(1)に搭載されて、識別情報を有する携帯機(200)と通信を行うことによって前記車両のドアの解錠を行う車両ドア解錠装置(100、200)であって、
前記携帯機に向けてリクエスト信号を送信する送信部(12)と、
前記リクエスト信号に応じて前記携帯機が送信したアンサー信号を受信する受信部(11)と、
前記送信部が前記リクエスト信号を送信してから前記受信部が前記アンサー信号を受信するまでの応答時間を計測する計測部(16)と、
前記識別情報に対応付けて閾時間を記憶する記憶部(15)と、
前記受信部が受信した前記アンサー信号に含まれる識別情報に対応付けて前記記憶部に記憶された前記閾時間よりも前記応答時間が短い場合は前記ドアを解錠し、該閾時間よりも前記応答時間が長い場合は前記ドアを解錠しない解錠部(18)と
を備え、
前記記憶部は、複数の識別情報それぞれに対応付けて前記閾時間を記憶しており、
前記閾時間は、前記複数の識別情報毎の前記応答時間を当該車両ドア解錠装置の前記計測部で実測した結果に基づいて決定された時間であり、
前記応答時間が前記閾時間より長いことから前記ドアが前記解錠部によって解錠されなかった場合は、当該閾時間に対応付けて前記記憶部に記憶された前記識別情報であって前記アンサー信号に含まれる前記識別情報を報知する
ことを特徴とする車両ドア解錠装置。
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