JP6653891B1 - 微細繊維脱液装置 - Google Patents
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Abstract
Description
まず、本実施形態の微細繊維脱液装置1を説明する前に、本実施形態の微細繊維脱液装置1によって脱液される懸濁液について簡単に説明する。
本実施形態の微細繊維脱液装置1によって脱液される懸濁液は、ナノファイバー等の微細なセルロースなどの微細繊維(以下単に微細セルロースという場合がある)が液体に懸濁したスラリーなどである。この懸濁液を構成する液体は、水や、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール、アセトニトリル、ヘキサン等を挙げることができるが、上述したような微細セルロースを分散させることができるものであればよい。
つぎに、図面に基づいて本発明の実施形態の微細繊維脱液装置1を説明する。
図1に示すように、本実施形態の微細繊維脱液装置1は、懸濁液Kを脱液する脱液部2と、脱液部2に懸濁液Kを供給する懸濁液供給部30と、脱液部2との間に懸濁液Kを挟む上部脱液部40と、を備えている。
脱液部2は、脱液シート10と、この脱液シート10を駆動する駆動部20と備えており、脱液シート10と駆動部20によってコンベア状に形成されている。
脱液シート10は透液性を有するシートであり、透液性シート11と多孔性シート12とから構成されている。
透液性シート11は、駆動部20の駆動部21によって周回移動するように設けられた無端ベルトである。具体的には、透液性シート11は、第一端部FE(図1では右端部)および第二端部SE(図1では左端部)で折り返されてループ状になっており、両端部間の部分(透液性シート11の上面11a)が略平坦面になるように複数の案内ローラ21bや後述する駆動部22の複数の案内ローラ22bによって支持されている。そして、透液性シート11は、駆動部20の駆動部21によって、その上面11aが第一端部FEから第二端部SEに向かって移動するように設けられている。なお、「透液性シートの上面11aが略平坦面になっている」とは、透液性シート11の上面11aに若干の波うちや凹凸があってもよいが、意図的な凹凸が設けられていない状態を意味している。例えば、駆動部21の案内ローラ21b等によって透液性シート11が意図的に曲げられているような状態ではないことを意味している。
多孔性シート12は、駆動部20の駆動部22によって周回移動するように設けられた無端ベルトである。この多孔性シート12も、第一端部FEおよび第二端部SEで折り返されてループ状になっている。この多孔性シート12は、周回移動する透液性シート11の内方に、一部が透液性シート11と重なるように配設されている。具体的には、多孔性シート12は、その両端部間の部分(多孔性シート12の上面12a)が透液性シート11の下面11bに接触するように設けられている。しかも、多孔性シート12は、駆動部20の駆動部22によって、透液性シート11と同じ方向、つまり、その上面12aが第一端部FEから第二端部SEに向かって移動するように設けられている。
駆動部20は、透液性シート11を駆動する駆動部21と、多孔性シート12を駆動する駆動部22と、を備えている。
駆動部21は、駆動ローラ21aと複数の案内ローラ21bとを備えている。駆動ローラ21aは、モータなどによって回転駆動されるものであり、回転すると透液性シート11が複数の案内ローラ21bおよび案内ローラ22bに案内されて周回移動するようになっている。例えば、駆動ローラ21aと透液性シート11との間の摩擦力によって透液性シート11が駆動するようになっていてもよい。また、駆動ローラ21aにスプロケット等を設けて、透液性シート11にスプロケットの歯と係合する部分(例えば係合孔など)を設ければ、駆動ローラ21aが回転すると透液性シート11を移動させることができる。
駆動部22は、実質的には、駆動部21と同様の構造を有しており、駆動ローラ22aと複数の案内ローラ22bとを備えている。駆動ローラ22aは、モータなどによって回転駆動されるものであり、回転すると多孔性シート12が複数の案内ローラ22bに案内されて周回移動するようになっている。
なお、駆動部20は、駆動部21と駆動部22の両方を有していてもよいが、何れか一方の駆動部だけを有していてもよい。この場合でも、透液性シート11の下面11bと多孔性シート12の上面12aとの間の摩擦が大きければ、一方の駆動部によって一方のシートを移動させれば、他方のシートも移動させることができる。
脱液部2の第一端部FEの上方には、懸濁液供給部30が設けられている。この懸濁液供給部30は、脱液部2の透液性シート11の上面11a(言い換えれば脱液面)に、脱液する懸濁液Kを供給するものである。具体的には、懸濁液供給部30は、透液性シート11の幅方向に沿ってある程度の長さを有しかつある程度の厚みを有するように、懸濁液Kを透液性シート11の上面11aに連続して供給するものである。
なお、透液性シート11の上面11aの走行方向において(図1では左右方向)において、透液性シート11の上面11aに懸濁液供給部30が懸濁液Kを供給する位置はとくに限定されない。懸濁液Kの性質や透液性シート11の走行速度等に応じて、懸濁液Kの脱液効率が高くなる位置に供給するようになっていればよい。例えば、図1に示すよう、前縁部FAに位置する透液性シート11の上面11aに懸濁液Kを供給するように懸濁液供給部30を配設してもよい。つまり、透液性シート11のみが存在している部分に懸濁液Kを供給するように懸濁液供給部30を配設してもよい(図3(A)参照)。
上部脱液部40は、透液性シート11の上面11aに載せられている懸濁液Kを上方にも脱液するために設けられている。この上部脱液部40は、駆動ローラ44aと案内ローラ44bとを有する駆動部44によって周回移動するように設けられた無端ベルトである上部透液性シート41を有している。この上部透液性シート41は、その下面が脱液部2の透液性シート11の上面11aとの間に一定の隙間を有するように配設されている。この上部脱液部40は、上部透液性シート41の下面が透液性シート11の上面11aと接近している部分(つまり隙間を形成している部分)において、上部透液性シート41と透液性シート11とが同じ方向に移動するように設けられている。図1では、上記部分では、透液性シート11、多孔性シート12、上部透液性シート41が、いずれも右から左方向に移動するように設けられている。
脱液初期では、透液性シート11の上面11aにおいて微細なセルロース繊維が絡み合った繊維の層が形成されていない。このため、脱液初期に透液性シート11の上面11aの懸濁液Kが挟まれたり加圧されたりした場合には、懸濁液K中の微細なセルロース繊維が容易に透液性シート11を抜けてしまう恐れがある。
したがって、透液性シート11の上面11aに懸濁液Kが供給された後、初期段階では上部脱液部40と透液性シート11とに懸濁液Kが挟まれず、また、上部脱液部40と透液性シート11とによって懸濁液Kが挟まれても一定の期間は懸濁液Kが加圧されない状態となるように上部脱液部40を配設することが望ましい。そして、前段から後段にかけて(第一端部FE側から第二端部SE側に向かって)徐々に懸濁液Kが加圧され、その加圧力が強くなるように上部脱液部40を設けることが望ましい。
本実施形態の微細繊維脱液装置1が以上のような構造を有しているので、以下のように、懸濁液Kを連続して脱液することができる。
透液性シート11や上部透液性シート41は、表裏を貫通するような孔や流路を有する通液性を有するものであればよく、とくに限定されない。例えば、金網やプラスチックワイヤー、多数の貫通孔を有するシート(例えばパンチングシートなど)を使用することができる。
この透液性シート11はその厚さはとくに限定されないが、例えば0.1〜1mm程度のものを使用することができる。
また、透液性シート11は上面12aと下面との間を貫通する孔が形成されている場合、その目開きは、0.01〜0.5mm程度となるものが望ましい。
多孔性シート12は、不織布、毛布などによって形成されたものなどのように、一般的な抄紙機に使用されるフェルトシートを使用することができる。つまり、多孔性シート12に液体が接すると、毛細管現象によって液体をシート内に引き込むことができるような構造を有するものが望ましい。また、多孔性シート12は、耐摩耗性、緻密構造を有し、懸濁液側に液体の再吸収を小さくするなどの性質を有していればより好ましい。
脱液部2の脱液性を向上させる上では、脱液シート10に対して上部脱液部40と反対側に吸引装置15を設けて、懸濁液Kの液体を吸引してもよい。かかる吸引装置15を設ければ、加圧と毛細管現象だけで水等の液体分を除去する場合に比べて、液体除去を迅速に実施できる。
上部脱液部40は、上述したように、上部透液性シート41と透液性シート11の上面11aとの間に懸濁液Kを挟むように設けるだけでもよい。あるいは、上部脱液部40が、上部透液性シート41の上面、つまり、透液性シート11と反対側に吸引装置42を設けてもよい。上部透液性シート41と透液性シート11の上面11aとの間に懸濁液Kを挟んだ場合、一部の液体は上部透液性シート41を通過して上部透液性シート41の上方に透液する場合がある。上部透液性シート41の上方に吸引装置42を設けておけば、この上部透液性シート41の上方に透液した液体が懸濁液Kに戻ることを防止できるので、脱液効率を向上させることができる。この場合、吸引装置42の吸液力は上部透液性シート41を通して懸濁液K中の微細セルロースを直接吸い込まない程度の吸引力に調整されていることが望ましい。より確実に微細セルロースが吸引されることを防止する上では、上部透液性シート41と吸引装置42との間に、上述した多孔性シート12と同様の機能を有する上部多孔性シート(例えばフェルトシート等)を配置しておくことが望ましい。かかる上部透液性シート41を設ける方法はとくに限定されない。例えば、上部多孔性シートが上部透液性シート41と重ねられた状態で周回移動するようになっていてもよい。また、上述した脱液シート10と同様に、上部透液性シート41と上部多孔性シートとがそれぞれ別々のループを形成するように構成し、上部透液性シート41と透液性シート11とが懸濁液Kを挟む位置で、上部多孔性シートと上部透液性シート41とが重なるようになっていてもよい。
例えば、透液性を有しない不透液性シート45をループ状の無端ベルトとして、周回移動するように設ける。しかも、不透液性シート45を、脱液部2の透液性シート11の上面11aとの間に一定の隙間を有するように配設する。そして、不透液性シート45が透液性シート11の上面11aと接近している部分(つまり隙間を形成している部分)において、不透液性シート45と透液性シート11とが同じ方向に移動するように設ける。すると、不透液性シート45と透液性シート11の上面11aとの間に懸濁液Kを連続して挟んで加圧脱液、さらには吸引装置15による脱液効率を改善することができる。
懸濁液供給部30は、透液性シート11の上面11aにある程度均一な厚さとなるように懸濁液Kを供給できるようになっていればよく、とくに限定されない。懸濁液供給部30に以下のような構造を採用すれば、透液性シート11の上面11aに懸濁液Kを均一な厚さで供給しやすくなるという利点が得られる。
懸濁液貯留部31に設けられている懸濁液供給口31dは単なる開口であってもよいし、クリアランスCを調整できる構造となっていてもよい。クリアランスCが調整できるようになっていれば、供給装置32から供給される懸濁液Kの濃度や粘度の状態に合わせて、透液性シート11の上面11aに供給する懸濁液Kの厚さを調整することができる。つまり、所望の脱液状態を得ることができるように、透液性シート11の上面11aに供給する懸濁液Kの厚さを調整することができる。
供給装置32は、懸濁液Kをある程度加圧して懸濁液貯留部31の貯留空間31hに供給できるものであればよくとくに限定されない。例えば、加圧空気を供給可能なホッパー上の密閉容器を供給装置32として使用することができる。この場合、加圧空気の圧力によって加圧された懸濁液Kを懸濁液貯留部31の貯留空間31hに供給できる。また、懸濁液Kを貯留する容器とこの容器内の懸濁液Kを圧送可能なポンプを備えた装置を供給装置32として使用することも可能である。
透液性シート11上で脱液された脱液微細セルロースは回収装置46によって回収される。例えば、図1に示すように、脱液部2の透液性シート11の第二端部SEに、スクレーパーのような形状の回収装置46を設ければ、回収装置46によって透液性シート11からシート状の状態を維持したまま脱液微細セルロースを剥がすことができる。すると、脱液微細セルロースをシート状の状態で回収することができる。なお、回収装置46の構造や透液性シート11から脱液微細セルロースを透液性シート11からシート状のまま回収する方法はとくに限定されない。例えば、透液性シート11上の脱液微細セルロースに鏡面ロール等を接触させて、鏡面ロールの表面に脱液微細セルロースを転写させてから回収することもできる。また、湿潤状態の脱液微細セルロースは透液性シート11等から比較的剥がしやすいため、透液性シート11の第二端部SE近傍において、透液性シート11の裏面側からエアーを吹き付けてもよい。かかる構成とすれば、湿潤状態の脱液微細セルロースを透液性シート11から浮かせることができる。すると、スクレーパーや鏡面ロール等によって脱液微細セルロースを回収しやすくなるので、脱液微細セルロースの回収効率を向上させることができる。このようにして透液性シート11等から剥がした湿潤状態の脱液微細セルロースを乾燥させれば、乾燥した微細セルロースのシートを得ることも可能である。
2 脱液部
11 透液性シート
12 多孔性シート
15 吸引装置
16 吸引部
16h 吸引口
30 懸濁液供給部
31 懸濁液貯留部
31h 貯留空間
31d 懸濁液供給口
40 上部脱液部
41 上部透液性シート
42 吸引装置
45 不透液性シート
46 回収装置
FE 第一端部
SE 第二端部
K 懸濁液
Claims (12)
- 微細繊維を含有する懸濁液を脱液するための装置であって、
脱液面に直接載せられた懸濁液を脱液する脱液部と、
該脱液部に懸濁液を供給する懸濁液供給部と、を備えており、
前記脱液部が、
上面が前記脱液面を形成する透液性シートと、
該透液性シートの下面に接触するように配設された多孔性シートと、を備えており、
前記透液性シートおよび前記多孔性シートは、
前記懸濁液供給部から懸濁液が供給される第一端部から該第一端部に対して反対側に位置する第二端部に向かって移動するように設けられており、
前記第一端部では、
前記多孔性シートが前記透液性シートから離間している前縁部が設けられており、
該前縁部では、
前記多孔性シートが、前記第二端部に向かうに従って前記透液性シートに接近するように設けられている
ことを特徴とする微細繊維脱液装置。 - 前記懸濁液供給部は、
前記透液性シート上に懸濁液を供給する懸濁液供給口を有しており、
該懸濁液供給口が前記透液性シート上に懸濁液を供給するように配設されている
ことを特徴とする請求項1記載の微細繊維脱液装置。 - 前記懸濁液供給部は、
前記透液性シートに懸濁液を供給する懸濁液供給口を有しており、
該懸濁液供給口は、
前記透液性シートの幅方向と交差する方向の長さが一定の隙間である
ことを特徴とする請求項1または2記載の微細繊維脱液装置。 - 前記懸濁液供給部は、
前記懸濁液供給口と連通された懸濁液を貯留する貯留空間を有する懸濁液貯留部を備えており、
該懸濁液貯留部の貯留空間内に収容されている懸濁液を加圧して前記懸濁液供給口から排出する
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の微細繊維脱液装置。 - 前記懸濁液供給口は、
前記貯留空間の内底面の先端縁と、前記貯留空間の内底面の上方に配置されたフラップの先端縁と、の間に形成されており、
前記フラップは、
その基端部を支点として揺動可能に設けられており、
基端側を支点として揺動すると、その先端が前記貯留空間の内底面の先端に対して接近離間するように設けられている
ことを特徴とする請求項4記載の微細繊維脱液装置。 - 前記脱液部は、
前記多孔性シートの下面と対向する吸引口を有する吸引装置を備えている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の微細繊維脱液装置。 - 前記吸引装置は、
前記吸引口を備えた複数の吸引部を備えており、
該複数の吸引部が、
前記多孔性シートの第一端部から第二端部に向かって並ぶように配設されている
ことを特徴とする請求項6記載の微細繊維脱液装置。 - 前記脱液部の上方には、前記脱液部に前記懸濁液が供給される位置よりも前記懸濁液供給部に対して前記透液性シートの第二端部側に離れた位置に上部脱液部が設けられており、
該上部脱液部は、
その下面と前記脱液面との間に懸濁液を挟むように設けられた上部透液性シートを備えており、
該上部透液性シートは、
前記透液性シートと同じ方向に移動するようになっている
ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の微細繊維脱液装置。 - 前記上部脱液部は、
前記上部透液性シートの上面に該上部透液性シートの上面と接触するように配置された上部多孔性シートを備えている
ことを特徴とする請求項8記載の微細繊維脱液装置。 - 前記上部多孔性シートは、
前記上部透液性シートと同じ方向に移動するようになっている
ことを特徴とする請求項9記載の微細繊維脱液装置。 - 前記上部脱液部は、
前記上部透液性シートのみを有する第一脱液部と、
該第一脱液部よりも前記透液性シートの第二端部側に位置し、前記上部透液性シートの上方に該上部透液性シートの上面と対向する吸引口を有する吸引装置を有する第二脱液部と、を備えている
ことを特徴とする請求項8、9または10記載の微細繊維脱液装置。 - 前記上部脱液部は、
前記第二脱液部よりも前記透液性シートの第二端部側に位置し、その下面と前記脱液面との間に懸濁液を挟むように設けられた不透液性シートを有する第三脱液部を備えており、
該第三脱液部の不透液性シートは、
前記透液性シートと同じ方向に移動するようになっている
ことを特徴とする請求項11記載の微細繊維脱液装置。
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