JP5474655B2 - 紙及び紙の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、傾斜ワイヤ抄紙機にて製造された紙及び紙の製造方法に関する。
紙において、その強度を示す指標として引張強度がある。この引張強度とは所定の紙を引っ張り、破断するまでの最大荷重をいう(JIS P8113)。
紙は抄紙機によって連続的に形成された湿紙を脱水し、乾燥させて製造する。この際一般的に紙の製造ラインの主要部分は次のパートで構成される。すなわち抄紙機を構成し、紙料液を受けて湿紙と液状部分を分離しワイヤ上に湿紙を形成するワイヤパートと、得られた湿紙を圧搾し脱水するプレスパートと、及び湿紙を乾燥し水を蒸発させるドライパートとである。さらにワイヤパートの前には紙料液の準備工程があり、ドライパートの後には乾燥後の紙を巻き取り処理する後工程がある。この間各パートで湿紙はワイヤもしくはフェルト上に載せて搬送される。
抄紙機は大別してスライスから平面状のワイヤ上に紙料を噴出させる所謂溜め抄き方式による長網もしくは短網と、円筒状のシリンダーに巻きつけたワイヤで紙料液から湿紙を掬いとる所謂流し抄き方式の円網がある。前者は抄紙速度が速く、大量生産用に主として使用され、後者は抄紙速度が遅いが、坪量の低い紙を地合良く抄けるために少量多品種の特殊紙の生産に適している。
紙の引張強度を示す場合に、紙自身の引張強度のみならず縦引張強度/横引張強度の比(以下「T/Y比」という)が問題になる場合がある。ここで縦引張強度とは抄紙機の機械の流れ方向の紙の強度でありこれを分子とし、横引張強度とはこれと直角に交差する方向の紙の強度でありこれを分母とすることにより、T/Y比の値が得られる。
このT/Y比の値が1を越える場合は、縦の引張強度が横の引張強度に比して強いことを意味し、比の値が1を下回る場合にはその逆となる。比の値が1の場合には縦の引張強度と横の引張強度とが同じことを意味する。一般に紙は抄紙時の繊維の配向特性等からT/Yが1を越える性質を有している。
これに対して、紙の用途によっては横強度が大きい性質が要求される場合があるが、この場合には製造した紙の向きを90度回転させ、抄紙方向と直角交差する方向(抄紙時の横方向)を縦方向と見立てて紙製品としている。
しかし、紙は抄紙方向に連続して製造されるため抄紙方向には長さの制限がないものの、抄紙機の抄き幅には制限があることから紙の向きを90度回転させ抄紙方向と直角交差する方向(抄紙時の横方向)を縦方向と見立てた場合には、便宜上設定した縦方向の長さは紙の抄き幅に限定されるという問題がある。
また、両面粘着テープや電池、電解コンデンサーの領域においては紙が等方性(T/Y比=1)を有することが有用であるが、T/Y比が1以下の紙を製造する技術があれば、等方性を有する紙の製造への調整が容易となる。
一方、紙のT/Y比を1に近づけようとする技術として、特許文献1乃至5に記載したものが挙げられる。
特開2002−327399号公報 特開2007−75132号公報 特開2004−235079号公報 特許3852484号公報 特開2004−358731号公報
このうち、特許文献1記載の技術は、クレープ紙についてT/Y比が1に近いものを得ようとするものであるが、クレープ紙は紙の形状、風合を変化させるものであるから製造した紙の用途に制限を受けることとなる。
また、特許文献2記載の技術は、手切れ性を改良するために不織布シートに貫通孔を形成してT/Y比が0.25〜2の不織布を得ることが提案されている。しかしこれは貫通孔の形状に特徴を持たせてT/Y比が1以下の紙を得るものであって、T/Y比が1以下の紙を抄紙機で製造する具体的な方法までは開示されていない。
特許文献3記載の技術は、円網のスラリー濃度及び抄速を変化させてT/Y比(同特許文献3中ではMD/CD比)が0.7〜3.0の不織布を用いた電池セパレータが提案されている。しかしここで開示されている技術は円網による抄紙の技術常識に反しており、円網で抄紙されてはいるものの実際には原紙を水流交絡させることによって該範囲のT/Y比を得たものと推測される。
一方流し抄き方式である円網抄紙機は、紙料液中で繊維が流れ方向に配向するためにT/Y比が大きくなる。T/Y比が1に近い紙を得るために円網を発展させた抄紙機として円網の下を減圧とし、紙料液をストックインレットからスライスにより噴出させるドライバット式のロトフォーマや傾斜した平面状のワイヤ上で連続的に脱水する傾斜ワイヤ抄紙機が開発されている。しかし、これらの抄紙機ではT/Y比が1に近い紙はできても1以下の紙を製造することはできない。
特許文献4記載の技術は垂直方向の強度A及び強度BのA/B比が0.95〜0.25の多孔性薄葉紙材が提案されているが、これをT/Y比に置き換えると1.05〜4となりやはりT/Y比1以下の紙は得られない。
特許文献5記載の技術は、いわゆる溜め抄き方式で紙を製造する長網抄紙機であり、傾斜ワイヤ抄紙機とは異なる製法によるものである。
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、傾斜ワイヤ抄紙機によって製造されたT/Y比が1以下の紙、及びその紙を製造する方法を提供することにある。
上記問題を解決するために、請求項1に係る発明は、少なくとも一種類の繊維の平均繊維長が、2.0mm以上、かつ同繊維を20質量%以上含有する繊維原料を用いて、CSF濾水度が500ml以上900ml以下とした紙料から形成され、同紙料を混合した紙料液から傾斜ワイヤ抄紙機にて抄紙される際にスラリー比を0.9以上1.2以下として湿紙を形成し、同湿紙に対して負のドローが掛けられていることを特徴とする紙を要旨とする。
請求項2に係る発明は、少なくとも一種類の繊維の平均繊維長が、2.0mm以上、かつ同繊維を20質量%以上含有する繊維原料を、CSF濾水度が500ml以上900ml以下の紙料とし、同紙料を混合した紙料液を傾斜ワイヤ抄紙機にて抄紙する際にスラリー比を0.9以上1.2以下として湿紙を形成し、同湿紙に対して負のドローを掛けることを特徴とする紙の製造方法を要旨とする。
請求項3に係る発明は、前記負のドローは、湿紙がワイヤパートからプレスパートへと移行する際又はプレスパートからドライパートへと移行する際のいずれか少なくとも一箇所において2.5〜5.0%の範囲で掛けられていることを特徴とする請求項1に記載の紙を要旨とする。
請求項4に係る発明は、縦引張強度/横引張強度の比が1以下であることを特徴とする請求項1に記載の紙を要旨とする。
請求項5に係る発明は、前記負のドローは、湿紙がワイヤパートからプレスパートへと移行する際又はプレスパートからドライパートへと移行する際のいずれか少なくとも一箇所において2.5〜5.0%の範囲で掛けられていることを特徴とする請求項2に記載の紙の製造方法を要旨とする。
本発明により紙強度が極めて等方性に近い紙及び幅方向が長さ方向より引張強度が強い長尺の紙を得ることができる。
本実施形態のワイヤパート(傾斜ワイヤ抄紙機)及びワイヤパートからプレスパートへの湿紙の移行の状態を示す模式図である。
本発明の紙を製造する原料となる繊維は有機繊維であり、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維から選ばれた一種類又は二種類以上を混合して使用することができる。具体的には針葉樹パルプ(以下「NBKP」という)、広葉樹パルプ(以下「LBKP」という)等の木材パルプ、マニラ麻、三椏、楮など植物の靭皮や葉脈繊維、綿花、絹等からなる天然繊維を使用することができる。
また、再生繊維としては、レーヨン、キュプラ、リヨセル等、半合成繊維としてアセテート、プロミックス等、合成繊維としてビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン等を用いることができる。その他バインダ繊維と称されるポリビニルアルコールや低融点を有する各種芯鞘構造の繊維も使用することができる。これら有機繊維は一種類のみを原料として使用してもよく又は複数の種類を原料として使用してもよい。なお本発明に係る紙の製造に使用する一種類又は複数種類の繊維をまとめて繊維原料という。
繊維原料として一種類の繊維のみを使用して紙料とする場合はその平均繊維長が2.0mm以上であることが必要である。繊維原料として複数種類の繊維を混合して使用する場合は、繊維原料に使用する少なくとも一種類の繊維の平均繊維長が2.0mm以上であり、かつ同繊維を繊維原料中に20質量%以上含有することが必要である。
平均繊維長が2.0mm未満である繊維、又は平均繊維長が2.0mm以上の繊維が20質量%未満しか含有されていない繊維原料を使用して紙料とする場合には、この繊維原料を使用して製造される紙の強度が弱いものとなり、紙として要求される強度を実現できない場合がある。なお、繊維の平均繊維長の測定は、JIS P8226に準拠して測定した値を意味する(各実施例、比較例も同様)。
また、繊維原料に対して必要に応じ、叩解処理が施されるがこの叩解処理は、複数種の繊維原料を使用する場合それぞれの原料に必要な叩解処理を施した後混合してもよいし、複数種の原料を混合した後叩解を施す混合叩解を施してもよい。
紙料となった繊維原料の濾水度(カナディアンスタンダードフリーネス、以下「CSF」という)を、500ml以上900ml以下に設定することが必要である。傾斜ワイヤ抄紙機を用いて抄紙する場合、紙料液はワイヤ上で短時間のうちに脱水されるため紙料の水切れ性が良好であることが必要であるが、濾水度がCSF500ml未満の紙料では抄網上での水切れ性が悪く、繊維の配向が起こりやすくなり、目的とした湿紙が得られない。又濾水度がCSF900mlより高い紙料では、抄紙が困難となる。また、繊維原料を所定の濾水度に設定した紙料には、他に分散剤、紙力増強剤、填料、着色剤、サイズ剤等の繊維以外の添加剤を加え、各種機能を発揮させることも可能である。
本発明に係る紙の抄紙工程での製造装置は、紙料を送り込むアプローチパート、傾斜ワイヤ抄紙機から構成されるワイヤパート、作成された湿紙Sを圧搾脱水し搬送するプレスパート、及び湿紙Sを乾燥する乾燥機から構成されるドライパートから構成される。ワイヤパートで作成された湿紙は、プレスパート、ドライパートをそれぞれ経由して紙となり、リールパートにおいて筒状に巻き取られる。このとき紙料液がワイヤパートのワイヤ上に吐出されてワイヤ上に湿紙が形成され、この形成された湿紙がワイヤからプレスパートのフェルト上に移送されて搬送され、さらに湿紙は乾燥機のフェルトに抱かれて乾燥ドラム上に搬送される。
つまり、湿紙はワイヤパートのワイヤからプレスパートのフェルトを経てドライパートのフェルトへと移行しながら搬送される。なお、この湿紙の流れにおいてワイヤパートが上流となり、プレスパート、ドライパートの順で下流となる。図1は本実施形態に係る紙の製造装置のうち、ワイヤパート10を構成する傾斜ワイヤ抄紙機とここで形成された湿紙Sが移行するプレスパート20の一部を示す模式図である。
ワイヤパート10を構成する傾斜ワイヤ抄紙機は、複数のワイヤロール11に巻きかけられたワイヤ12を有している。このワイヤ12は一定幅かつ一定長さの無端状の抄網であり、ワイヤ12が巻き掛けられたワイヤロール11の一つが駆動ロールとなっていて図示しない駆動装置によりワイヤ12を図中時計回りに一定速度で回転させる。ワイヤ12には上面側において進行方向に向かって上りとなる傾斜部13が形成されており、この傾斜部13の直下には吸引装置14が配置されている。
またワイヤ12の上流側には原料供給装置15が配置されており、原料供給装置15のヘッドボックス16がワイヤ12の上面を上流側から覆うようにせり出している。ヘッドボックス16の底面にはワイヤ12の傾斜部13に対向して矩形状の開口部17が形成されている。ヘッドボックス16内においてこの開口部17の上側にはポンドレギュレータ18が上下動可能に配置されており、ポンドレギュレータ18の底面19は図1に側面から見た模式図を示すように下流側に向かうほど低く、言い換えればヘッドボックス16の開口部17からポンドレギュレータ18の底面19までの高さが下流側に向かうほど低くなっている。ポンドレギュレータ18は上下動可能であるため、高さ方向に移動させることによって開口部17の開口面積と、従って開口部17からワイヤ12上に供給される紙料液の流速、流量を変化させることができる。
図1にその上流側の一部を示すようにワイヤパート10を構成する傾斜ワイヤ抄紙機の下流側にプレスパート20を構成する搬送装置が配置されている。このプレスパートは搬送フェルト22を備えており、図中反時計回りに回転されている。搬送フェルト22の上流側の一端がフェルトロール21に押圧されてワイヤ12の表面に軽く面接触しており、ワイヤ12上を搬送されてきた湿紙はこの接触部分においてワイヤ12から搬送フェルト22に移行する。なお、図1では説明の便宜上、搬送フェルト22とワイヤ12とを離間させている。プレスパート20の下流には図示しないドライパートが配置されており、ドライパートもまたドライフェルトを備えている。
この紙の製造装置においては、ワイヤパート10のワイヤ12、プレスパート20の搬送フェルト22、ドライパートのフェルトの相対速度を同一、すなわち各パート間を湿紙Sが移行する際に速度差がない状態で駆動させることができるとともに、それぞれのパート間の相対速度を変更して速度差を設けることができる。
各パート間の相対速度の変更はそれぞれの駆動装置(図示しない)の駆動速度を相対的に変更させることによって可能である。この場合、相対的に下流側の速度を速くした場合には各パート間で移行する湿紙Sに対して搬送方向に引き伸ばされるテンションが作用する結果、湿紙Sに正のドローが掛かることとなる。一方、相対的に下流側の速度を遅くした場合には移行する湿紙Sに対して搬送方向に収縮されるテンションが作用する結果、湿紙Sに負のドローが掛かることとなる。
上記紙の製造装置では、1箇所以上において湿紙Sにドローを掛けることができる。すなわち、1箇所で湿紙Sにドローを掛ける場合には湿紙Sがワイヤパート10からプレスパート20へ移行する際(図1にて「a」として示す)、若しくはプレスパート20からドライパートへ移行する際のいずれかにてドローを掛ければよい。また、2箇所で湿紙Sにドローを掛ける場合には前記2箇所にて移行する際の双方にてドローを掛ければよい。
さらに、プレスパート20やドライパートがそれぞれ複数のフェルトによって構成されている場合は各パート間に限らず、各パート内でもドローを掛けることができる。例えばプレスパート20が図示しない第1搬送フェルトと第2搬送フェルトとから構成され、ワイヤパート10から搬送されてきた湿紙Sが、最初にプレスパート20の第1搬送フェルトに受け取られ、続いて第2搬送フェルトに受け渡された後、第2搬送フェルトからドライフェルトへと移行する場合である。このような場合には、各パート間でのドローに加えて第1搬送フェルトから第2搬送フェルトに移行する際にもドローを掛けることができる。これはドライパートにおいても同様である。
なお、ドローは1箇所以上でこれを掛けることができるが、作業が煩雑になることを避け、装置全体の制御を容易にするためにワイヤパートからプレスパート及びプレスパートからドライパートへの移行の際にドローを掛けるのが好ましい。
また、ワイヤ12から搬送フェルト22、及び搬送フェルト22からドライフェルトへの移行においてはワイヤ12と搬送フェルト22、或いは搬送フェルト22とドライフェルトがロールに押し付けられて両者が接触した状態で湿紙Sを移行させることもできる。また、ワイヤ12と搬送フェルト22、或いは搬送フェルト22とドライフェルトの両者が接触することなく湿紙Sを移行させる(所謂オープンドロー方式)こともできる。
この傾斜ワイヤ抄紙機を用いて本発明に係る紙を製造するにあたり、以下の条件を満たす必要がある。
スラリー比
本発明の目的を達成するためには、ワイヤパート10を構成する傾斜ワイヤ抄紙機のスラリー比を0.9以上1.2以下の範囲に設定することが必要である。ここでスラリー比とは、以下の式にて算出される。
スラリー比=紙料液流出線速度(m/min)/ワイヤ12の移動速度(m/min)
紙料液流出線速度(m/min)=紙料液が原料供給装置15の開口部17を通過する量(m/min)/同開口部17の開口幅(m)/開口部17の基端からポンドレギュレータ18の底面までの鉛直方向の高さL(m)
ワイヤパート10にて既に説明したように、原料供給装置15の開口部17はヘッドボックス16に形成された矩形の開口であるため、その開口幅(図示しない)は一定である。一方、ポンドレギュレータ18は上下動可能のため、開口部17基端(開口の最も上流側)からポンドレギュレータ18の底面19までの鉛直方向の高さは可変である。
ドロー値(%)
本発明の目的を達成するためには、湿紙Sがワイヤ12から搬送フェルト22又は、搬送フェルト22からドライフェルトに移行する際、移行の少なくとも1箇所において湿紙に負のドロー値にてドローを掛ける必要がある。この場合ドローの適用の容易さから、ワイヤパートからプレスパートへの移行、もしくはプレスパートからドライパートへの移行する箇所の少なくとも一箇所であることが好ましい。
ドロー値(%)は、(下流側の湿紙の移動速度―上流側の湿紙の移動速度)/上流側の湿紙の移動速度×100で算出される。この値が0未満の場合を負のドローといい、0を超える場合を正のドローという。例えば、計算結果が−5(%)のドロー値であった場合には「5%の負のドロー」という。なお、本実施形態において、「負のドロー値が5%」と「ドロー値が−5%」とは同義である。
ドロー値が負の値となる場合は、湿紙の移行における上流側(例えばワイヤパート10のワイヤ12)の速度に対して下流側(例えばプレスパート20の搬送フェルト22)の相対速度が遅いことをいう。ドロー値が0%とは、ドローを掛けなかったことに相当する。本発明では目的とするT/Y比を得るためには、ドロー値は負の値であればよいが、ドロー値が2.5%〜5.0%の負の値であることが好ましい。負のドロー値があまりに大きいと湿紙にシワが入ってしまう。
以下に、実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明する。
実施例1
繊維原料として平均繊維長2.4mmのNBKP100質量%の木材パルプを使用した。この繊維原料に叩解処理を施して紙料の濾水度(CSF)を680mlに調整して紙料液を製造した。同紙料液を上記紙の実施形態にて説明した紙の製造装置にて紙を抄造した。
このとき傾斜ワイヤ抄紙機でのスラリー比を1.05とした。また湿紙がワイヤパートからプレスパートに移行する際に4%の負のドロー値にてドローを掛けた。プレスパートからドライパートに移行する際にはドローは掛けなかった。この条件に沿って坪量30.0g/mの紙を製造した。
実施例2
湿紙に対して2.5%の負のドロー値にてドローを1回掛けた以外は実施例1と同じ条件で坪量30.5g/mの紙を製造した。
実施例3
湿紙に対して5.0%の負のドロー値にてドローを1回掛けた以外は実施例1と同じ条件で坪量30.1g/mの紙を製造した。
実施例4
紙料の濾水度(CSF)を600mlに調整し、湿紙がワイヤパートからプレスパートへと移行する際に4.0%の負のドロー値にてドローを掛け、また湿紙がプレスパートからドライパートへと移行する際にも2.5%の負のドロー値にてドローを掛け、合計2回のドローを掛けた以外は実施例1と同じ条件で坪量30.5g/mの紙を製造した。
実施例5
紙料の濾水度(CSF)を600mlに調整し、湿紙がワイヤパートからプレスパートへと移行する際に4.0%の負のドロー値にてドローを掛け、また湿紙がプレスパートからドライパートへと移行する際にも5.0%の負のドロー値にてドローを掛け、合計2回のドローを掛けた以外は実施例1と同じ条件で坪量30.6g/mの紙を製造した。
実施例6
紙料の濾水度(CSF)を600mlに調整し、湿紙がワイヤパートからプレスパートへと移行する際に4.0%の負のドロー値にてドローを掛け、また湿紙がプレスパートからドライパートへと移行する際にも3.0%の負のドロー値にてドローを掛け、合計2回のドローを掛けた以外は実施例1と同じ条件で坪量30.3g/mの紙を製造した。
実施例7
傾斜ワイヤ抄紙機でのスラリー比を0.95とし、紙料の濾水度(CSF)を500mlに調整し、湿紙に対して4.5%の負のドロー値にてドローを1回掛けた以外は実施例1と同じ条件で紙料の流量を調節して坪量10.0g/mの紙を製造した。
実施例8
傾斜ワイヤ抄紙機でのスラリー比を1.20とした以外は実施例1と同じ条件で紙料の流量を調節して坪量49.8g/mの紙を製造した。
実施例9
傾斜ワイヤ抄紙機でのスラリー比を1.00とし、湿紙に対して3.5%の負のドロー値にてドローを1回掛けた以外は実施例1と同じ条件で紙料の流量を調節して坪量19.9g/mの紙を製造した。
実施例10
傾斜ワイヤ抄紙機でのスラリー比を1.10とし、湿紙に対して3.5%の負のドロー値にてドローを1回掛けた以外は実施例1と同じ条件で紙料の流量を調節して坪量40.2g/mの紙を製造した。
実施例11
湿紙に対して5.0%の負のドロー値にてドローを1回掛けた以外は実施例10と同じ条件で坪量39.7g/mの紙を製造した。
実施例12
繊維原料としてNBKP60質量%とLBKP40質量%の2種類を混合した木材パルプを使用した。このうち、NBKPの平均繊維長は実施例1と同様の2.4mmであり、LBKPの平均繊維長は0.9mmであった。また、紙料の濾水度(CSF)を650mlに調整した。これ以外は実施例1と同じ条件で坪量29.5g/mの紙を製造した。
実施例13
繊維原料としてNBKP(平均繊維長2.4mm)20質量%とLBKP(平均繊維長0.9mm)80質量%の2種類を混合した木材パルプを使用した。また、紙料の濾水度(CSF)を600mlに調整した。これ以外は実施例1と同じ条件で坪量30.4g/mの紙を製造した。
実施例14
紙料の濾水度(CSF)を750mlに調整した以外は実施例1と同じ条件で坪量30.2g/mの紙を製造した。
実施例15
繊維原料として平均繊維長3.4mmのマニラ麻100質量%を使用した以外は実施例1と同じ条件で坪量29.6g/mの紙を製造した。
実施例16
繊維原料としてNBKP(平均繊維長2.4mm)70質量%の木材パルプと平均繊維長5.0mmのビニロン25質量%の合成繊維と平均繊維長3.0mmのポリビニルアルコール(PVA)5質量%のバインダ繊維を使用した。また、紙料の濾水度(CSF)を900mlに調整した。これ以外は実施例1と同じ条件で坪量30.3g/mの紙を製造した。
比較例1
実施例1に比して湿紙に対してドローを掛けなかった(ドロー値0%)以外は実施例1と同じ条件で坪量29.7g/mの紙を製造した。
比較例2
実施例1に比してスラリー比を0.85とし、湿紙に対して5.0%の負のドロー値にてドローを1回掛けた以外は実施例1と同じ条件で坪量29.8g/mの紙を製造した。
比較例3
実施例1に比してスラリー比を1.25とし、湿紙に対して5.0%の負のドロー値にてドローを1回掛けた以外は実施例1と同じ条件で坪量29.6g/mの紙を製造した。
比較例4
実施例1に比して紙料の濾水度(CSF)を470mlとした以外は実施例1と同じ条件で坪量30.5g/mの紙を製造した。
比較例5
実施例1に比して紙料の濾水度(CSF)を470mlとし、スラリー比を1.00とした以外は実施例1と同じ条件で紙料の流量を調節して坪量20.4g/mの紙を製造した。
比較例6
実施例1に比して紙料の濾水度(CSF)を470mlとし、スラリー比を1.10とした以外は実施例1と同じ条件で紙料の流量を調節して坪量40.5g/mの紙を製造した。
比較例7
実施例7に比して湿紙に対してドローを掛けなかった(ドロー値0%)以外は実施例7と同じ条件で坪量10.9g/mの紙を製造した。
比較例8
実施例7に比してスラリー比を0.85とした以外は実施例7と同じ条件で坪量10.1g/mの紙を製造した。
比較例9
実施例7に比してスラリー比を1.25とした以外は実施例7と同じ条件で坪量10.6g/mの紙を製造した。
比較例10
実施例8に比してドローを掛けなかった(ドロー値0%)以外は実施例8と同じ条件で坪量49.6g/mの紙を製造した。
比較例11
実施例8に比してスラリー比を0.85とした以外は実施例8と同じ条件で坪量49.2g/mの紙を製造した。
比較例12
実施例8に比してスラリー比を1.25とした以外は実施例8と同じ条件で坪量50.3g/mの紙を製造した。
比較例13
実施例13に比して湿紙に対してドローを掛けなかった(ドロー値0%)以外は実施例13と同じ条件で坪量30.6g/mの紙を製造した。
比較例14
実施例13に比してスラリー比を0.85とした以外は実施例13と同じ条件で坪量30.4g/mの紙を製造した。
比較例15
実施例13に比してスラリー比を1.25とした以外は実施例13と同じ条件で坪量30.1g/mの紙を製造した。
比較例16
実施例7に比して繊維原料としてLBKP100質量%の木材パルプを使用した。LBKPの平均繊維長は0.9mmであった。また、紙料の濾水度(CSF)を600mlとした以外は実施例7と同じ条件で坪量10.1g/mの紙を製造した。
比較例17
実施例1に比して紙料の濾水度(CSF)を450mlとした以外は実施例1と同じ条件で坪量30.3g/mの紙を製造した。
上記の製造条件にて製造した紙に対して、以下の引張強度試験を行った。
各実施例及び比較例の紙から、それぞれ紙の縦方向を長辺とする250mm×15mmの大きさの試験片を5枚作成した。また、同じく紙の横方向を長辺とする250mm×15mmの大きさの試験片を5枚作成した。各実施例及び比較例の紙から作成したそれぞれの試験片に対してJISP8113に基づく引張強度の測定試験を行い、5枚の試験結果の平均値を算出した。その平均値を表1及び表2に示す。なお、表中「引張強度」の「T」とは、縦方向を長辺とする試験片についてした測定試験の試験結果の平均値であり、「Y」とは、横方向を長辺とする試験片の試験結果の平均値であり、「T/Y比」とは「Y」を1とした場合の「T」の値である(実施例、比較例とも共通)。
以下の表1及び表2にその結果を示す。
Figure 0005474655
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上記実施形態の試験結果(表1、表2)から明らかなように、各実施例においてはT/Y比が1以下の紙を製造することができるが、本発明の必須要件の少なくともいずれか一つが欠如する各比較例ではT/Y比が1以下の紙は製造することはできなかった。また、比較例16においては抄造段階で紙切れが発生してしまい、縦横ともに引張強度を満足に測定することができず、信頼性のあるT/Y比を求めることができなかった。さらに、比較例17では製造された紙の地合外観が不良であって製品として流通させることができない品質であり、引張強度及びそのT/Y比という紙の強度以前に問題を有していた。
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)請求項1乃至5記載の紙は、坪量が10〜50g/mであることを特徴とする。この(a)に記載の発明によれば、汎用性の高い紙とすることができる。
S・・湿紙、10・・ワイヤパート(傾斜ワイヤ抄紙機)、11・・ワイヤロール、12・・ワイヤ、13・・傾斜部、14・・吸引装置、15・・原料供給装置、16・・ヘッドボックス、17・・開口部、18・・ポンドレギュレータ、19・・ポンドレギュレータの底面、20・・プレスパート(搬送装置)、21・・フェルトロール、22・・搬送フェルト

Claims (5)

  1. 少なくとも一種類の繊維の平均繊維長が、2.0mm以上、かつ同繊維を20質量%以上含有する繊維原料を用いて、CSF濾水度が500ml以上900ml以下とした紙料から形成され、
    同紙料を混合した紙料液から傾斜ワイヤ抄紙機にて抄紙される際にスラリー比を0.9以上1.2以下として湿紙を形成し、
    同湿紙に対して負のドローが掛けられていることを特徴とする紙。
  2. 少なくとも一種類の繊維の平均繊維長が、2.0mm以上、かつ同繊維を20質量%以上含有する繊維原料を、CSF濾水度が500ml以上900ml以下の紙料とし、
    同紙料を混合した紙料液を傾斜ワイヤ抄紙機にて抄紙する際にスラリー比を0.9以上1.2以下として湿紙を形成し、
    同湿紙に対して負のドローを掛けることを特徴とする紙の製造方法。
  3. 前記負のドローは、湿紙がワイヤパートからプレスパートへと移行する際又はプレスパートからドライパートへと移行する際のいずれか少なくとも一箇所において2.5〜5.0%の範囲で掛けられていることを特徴とする請求項1に記載の紙。
  4. 縦引張強度/横引張強度の比が1以下であることを特徴とする請求項1に記載の紙。
  5. 前記負のドローは、湿紙がワイヤパートからプレスパートへと移行する際又はプレスパートからドライパートへと移行する際のいずれか少なくとも一箇所において2.5〜5.0%の範囲で掛けられていることを特徴とする請求項2に記載の紙の製造方法。
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