JP6651024B2 - 半導体量子ドットの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体量子ドットの製造方法に関する。
半導体量子ドットはナノスケール(数ナノメートル〜数十ナノメートル)の半導体結晶であり、量子サイズ効果に基づく特徴的な光の吸収と発光特性を示す。半導体量子ドットに期待される応用範囲は広く、例えば、その粒径に対応した強い発光特性に基づきディスプレイ、照明、生体イメージング、太陽電池等への応用研究が進められている。また、半導体量子ドットの特異な電子特性を利用して高輝度と低消費電力を実現する量子ドットレーザー、単一電子トランジスタ等としての応用研究も進められている。
現在、半導体量子ドットの主流はカドミウムをカチオンとして有するナノ結晶(CdSe、CdS等のナノ結晶)を用いたカドミウム系量子ドットである。しかし、カドミウムはその毒性が懸念され、非カドミウム系量子ドットのニーズが高まっている。かかる非カドミウム系量子ドットとして、インジウム等をカチオンとして有するIII−V族半導体のナノ結晶を用いた量子ドット(以下、「III−V族半導体量子ドット」という。)が知られている。しかし、III−V族半導体量子ドットにはまだ性能面で課題が多い。
かかる状況下、III−V族半導体量子ドットの性能を高めるべく技術開発が進められている。例えば特許文献1には、ナノ構造体としてInPコアを準備し、次いでC5〜C8カルボン酸配位子の存在下でラウリン酸インジウムを反応させてInPコアを強化し、その後、ZnSeSシェルとZnSシェルを順次形成し、InP/ZnSeS/ZnSドットを得ること、このInP/ZnSeS/ZnSドットが高い量子収率(高輝度)を示すことが記載されている。また特許文献2には、酢酸インジウムと、脂肪酸等の配位子と、非配位性溶媒であるオクタデセンとを反応させてIn−配位子錯体を形成し、次いでトリス(トリメチルシリル)ホスフィンを反応させることによりInPナノ結晶を得ることが記載されている。
特開2015−529698号公報 特許第4344613号公報
しかし、上記特許文献1及び2記載の技術をはじめ、これまでのIII−V族半導体量子ドットは、発光特性(量子収率及び発光ピークの半値幅)等がある程度改善されてきているものの、未だ十分な特性を実現するには至っていない。
本発明は、優れた量子収率により高い輝度を実現し、また、発光ピークの半値幅が狭くシャープな発光特性を示すIII−V族半導体量子ドットを得ることができる、III−V族半導体量子ドットの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、III−V族半導体量子ドットの製造において、第III族元素を含む化合物と、第V族元素を含む化合物とを高温下で反応させてIII−V族半導体のナノ粒子を形成し、その後、ナノ粒子の成長を停止すべく高温反応液を冷却するに当たり、この高温反応液が特定温度に冷却されるまでの間は急冷(放冷)せずに、冷却速度をコントロールしてゆっくりと冷却することにより、得られるIII−V族半導体量子ドットの量子収率を効果的に高めることができ、より高い輝度を実現できること、また、この量子ドットは発光ピークの半値幅が狭く、シャープな発光特性を示すことを見い出した。
本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ねて完成されるに至ったものである。
すなわち、本発明の課題は下記の手段により解決された。
〔1〕
下記工程(a)及び(b)を含む、III−V族半導体量子ドットの製造方法。
(a)第III族元素を含む化合物a1と、第V族元素を含む化合物a2と、溶媒とを含有する液を、270〜400℃に保持して化合物a1と化合物a2とを反応させ、反応液中にIII−V族半導体のナノ粒子を形成させる工程;
(b)上記のナノ粒子を形成させた反応液を、0.3〜3℃/分の冷却速度で250℃まで冷却する工程。
〔2〕
上記工程(a)における270〜400℃の反応時間を10秒間〜120分間とする、〔1〕記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。
〔3〕
上記化合物a1に含まれる第III族元素がInである、〔1〕又は〔2〕記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。
〔4〕
上記化合物a2に含まれる第V族元素がP又はAsである、〔1〕〜〔3〕のいずれか記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。
〔5〕
上記III−V族半導体量子ドットがInP量子ドットである、〔1〕〜〔4〕のいずれか記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。
〔6〕
上記溶媒が非配位性溶媒である、〔1〕〜〔5〕のいずれか記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。
〔7〕
上記溶媒の含水率が10ppm以下である、〔1〕〜〔6〕のいずれか記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。
〔8〕
上記工程(a)における反応温度が、280〜350℃である、〔1〕〜〔7〕のいずれか記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。
〔9〕
上記工程(b)が、上記の250℃まで冷却した反応液を、150〜250℃の温度で0.5〜4時間保持することを含む、〔1〕〜〔8〕のいずれか記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。
〔10〕
上記工程(b)の後、上記ナノ粒子の表層にGaを導入する工程(c)を含む、〔1〕〜〔9〕のいずれか記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。
〔11〕
上記工程(c)で得られた、表層にGaが導入されたナノ粒子表面に、シェル層を形成する工程(d)を含む、〔10〕記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。
〔12〕
上記シェル層がZnS、ZnO、ZnSe、ZnSe1−X、ZnTe又はCuOである、〔11〕に記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。但し、0<X<1である。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明において「III−V族半導体量子ドット」という場合、第III族元素と第V族元素から構成される化合物半導体からなるナノ粒子(ナノ結晶)を意味する他、このナノ粒子の結晶構造中ないしは表層に、結晶構成成分以外の元素(例えばZn、Ga等)がドープないしは導入された形態、及びこれらのナノ粒子表面にシェル層(例えばZnSシェル層)が形成された形態を含む意味に用いる。つまり、本発明において「III−V族半導体量子ドット」とは、その構造中にIII−V族半導体のナノ粒子を有し、このIII−V族半導体ナノ粒子が有する機能ないし特性を発現しうる状態にあるナノ粒子をすべて包含する意味に用いている。例を挙げると、「InP量子ドット」という場合には、InPからなるナノ粒子の他、例えばZnがドープされたIn(Zn)Pアロイからなるナノ粒子、これらのナノ粒子表層にIn以外の原子(Zn、Ga等)が導入された形態、これらのナノ粒子の表面にシェル層(ZnS等)が形成された形態のすべてを包含する意味である。
本明細書において「ナノ粒子」とは、平均粒径が20nm未満の粒子を意味し、好ましくは15nm以下、より好ましくは10nm以下である。また「ナノ粒子」の平均粒径は、通常は1nm以上であり、2nm以上が好ましい。
本発明のIII−V族半導体量子ドットの製造方法によれば、優れた量子収率により高い輝度を実現し、また、発光ピークの半値幅が狭くシャープな発光特性を示すIII−V族半導体量子ドットを得ることができる。
本発明の上記および他の特徴および利点は、下記の記載からより明らかになるであろう。
本発明の好ましい実施形態について以下に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
[III−V族半導体量子ドットの製造方法]
本発明のIII−V族半導体量子ドットの製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」という。)は、下記工程(a)及び(b)を含む。
(a)第III族元素を含む化合物a1と、第V族元素を含む化合物a2と、溶媒とを含有する液を、270〜400℃に保持して化合物a1と化合物a2とを反応させ、この反応液中にIII−V族半導体のナノ粒子を形成させる工程(以下、270〜400℃における化合物a1と化合物a2との反応を「ナノ粒子形成反応」ともいう。);
(b)上記のナノ粒子を形成させた反応液を、0.3〜3℃/分の冷却速度で250℃まで冷却する工程。
本発明の製造方法における各工程について順に説明する。
<工程(a)>
上記工程(a)は、第III族元素を含む化合物a1と、第V族元素を含む化合物a2と、溶媒とを含有する液を270〜400℃の高温反応に付して、この液中にIII−V族半導体のナノ粒子を形成させる工程である。形成されたナノ粒子は通常、溶媒種の選択、分散剤等の作用により液中に分散した状態にある。
化合物a1としては、通常は1種の化合物を用いるが、2種以上の化合物を用いてもよい。化合物a1として2種以上の化合物を用いる場合には、これら2種以上の各化合物が有する第III族元素は同一であることが好ましい。同様に、化合物a2として通常は1種の化合物を用いるが、2種以上の化合物を用いてもよい。化合物a2として2種以上の化合物を用いる場合には、これら2種以上の各化合物が有する第V族元素は同一であることが好ましい。つまり、本発明の製造方法において、得られるIII−V族半導体量子ドットはすべて同じ化学構造であることが好ましい。
化合物a1は、III−V族半導体量子ドットのナノ結晶を構成するカチオン成分の供給源となる。化合物a1に含まれる第III族元素はアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)又はインジウム(In)が好ましく、より好ましくはInである。化合物a1は通常はAl、Ga又はInを含む金属塩である。
Al、Ga又はInを含む金属塩の形態としては、Al、Ga又はInの有機酸塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸等のモノカルボン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩等のジカルボン酸塩、クエン酸等のポリカルボン酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等の脂肪族又は芳香族スルホン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、スルファミン酸塩、金属アルコキシド、金属アセチルアセトナート等)、並びに、Al、Ga又はInの無機酸塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、フッ化水素酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、シアン化水素酸塩等)が挙げられる。有機溶媒中への溶解性を考慮すると、Al、Ga又はInを含む金属塩は有機酸塩が好ましい。
上記金属塩のうち、Al塩の好ましい具体例としては、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、シアン化アルミニウム、フッ化アルミニウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム等のAlの無機酸塩;並びに、酢酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、アルミニウムアルコキシド(例えばアルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムブトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムメトキシエトキシド)、スルファミン酸アルミニウム、アセチルアセトンアルミニウム等のAlの有機酸塩を挙げることができる。これらのAl塩は、単独で使用しても良く、混合して使用しても良い。
上記金属塩のうち、Ga塩の好ましい具体例としては、硝酸ガリウム、硫酸ガリウム、炭酸ガリウム、リン酸ガリウム、過塩素酸ガリウム、シアン化ガリウム、フッ化ガリウム、塩化ガリウム、臭化ガリウム、ヨウ化ガリウム等のGaの無機酸塩;並びに、酢酸ガリウム、シュウ酸ガリウム、酒石酸ガリウム、ガリウムアルコキシド(例えばガリウムイソプロポキシド、ガリウムブトキシド、ガリウムエトキシド、ガリウムメトキシエトキシド)、スルファミン酸ガリウム、アセチルアセトンガリウム等のGaの有機酸塩を挙げることができる。これらのGa塩は、単独で使用しても良く、混合して使用しても良い。
上記金属塩のうち、In塩の好ましい具体例としては、硝酸インジウム、硫酸インジウム、炭酸インジウム、リン酸インジウム、過塩素酸インジウム、シアン化インジウム、フッ化インジウム、塩化インジウム、臭化インジウム、ヨウ化インジウム等のInの無機酸塩;並びに、酢酸インジウム、シュウ酸インジウム、酒石酸インジウム、インジウムアルコキシド(例えばインジウムイソプロポキシド、インジウムブトキシド、インジウムエトキシド、インジウムメトキシエトキシド)、スルファミン酸インジウム、アセチルアセトンインジウム等のInの有機酸塩を挙げることができる。これらの金属塩は、単独で使用しても良く、混合して使用しても良い。
化合物a2は、III−V族半導体量子ドットのナノ結晶を構成するアニオン成分の供給源となる。化合物a2に含まれる第V族元素としては、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)又はアンチモン(Sb)が好ましく、より好ましくはP又はAsであり、さらに好ましくはPである。
化合物a2がNを含む含窒素化合物の場合、この含窒素化合物としては、例えば、アンモニア、アンモニウムニトロソフェニルヒドロキシルアミン、フッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウムなどが挙げられる。
化合物a2がPを含む含リン化合物の場合、この含リン化合物としては、例えば、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン、トリス(トリエチルシリル)ホスフィン、トリス(トリ−n−プロピルシリル)ホスフィン、トリス(トリイソプロピルシリル)ホスフィン、トリス(ジメチルフェニルシリル)ホスフィン、トリス(ジメチルベンジルシリル)ホスフィン、ビス(トリメチルシリル)ホスフィン、トリス(ジエチルアミノ)ホスフィン及びトリス(ジメチルアミノ)ホスフィンが挙げられる。
化合物a2がAsを含む含ヒ素化合物の場合、この含ヒ素化合物としては、例えば、トリメチルアルシン、トリフェニルアルシン、トリフェノキシアルシン、トリス(トリメチルシリル)アルシン、塩化ジメチルアルシン、ジメチルアルシン等が挙げられる。
化合物a2がSbを含む含アンチモン化合物の場合、この含アンチモン化合物としては、例えば、トリス(トリメチルシリル)アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙げられる。
ナノ粒子形成反応に用いる上記溶媒に特に制限はなく、通常は有機溶媒である。形成される粒子の分散性等の観点からは非極性溶媒を含有することが好ましい。分散液中に含まれ得る非極性溶媒は、1種のみであっても2種以上であってもよい。上記非極性溶媒としてアルカン、アルケン、ベンゼン及びトルエンから選ばれる溶媒を用いることが好ましい。
上記非極性溶媒は、170℃以上の沸点を有することが好ましい。かかる非極性溶媒の好ましい具体例として、n−デカン、n−ドデカン、n−ヘキサデカン、n−オクタデカンなどの脂肪族飽和炭化水素、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンなどの脂肪族不飽和炭化水素、トリオクチルホスフィンが挙げられる。なかでも上記非極性溶媒は炭素数が12以上の脂肪族不飽和炭化水素が好ましく、1−オクタデセンがさらに好ましい。沸点が170℃以上の有機溶媒を用いることにより、粒子形成中に粒子がより凝集しにくくなり、ナノ粒子の溶液分散性がより良好なものとなる。
溶媒中に占める非極性溶媒の割合は80体積%以上が好ましく、90体積%以上がより好ましく、95体積%以上がさらに好ましく、99体積%以上がさらに好ましく、溶媒のすべてが非極性溶媒であることが特に好ましい。
ナノ粒子形成反応においては、上記溶媒に加え、又は上記溶媒に代えて、下記溶媒の1種又は2種以上を用いることもできる。
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド化合物、N,N−ジメチルエチレンウレア、N,N−ジメチルプロピレンウレア、テトラメチル尿素等の尿素化合物、γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン等のラクトン化合物、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン化合物、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチルカルビトールアセテート等のエステル化合物、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジフェニルエーテル等のエーテル化合物、スルホラン等のスルホン化合物などが挙げられる。
ナノ粒子形成反応に用いる上記溶媒は、非配位性溶媒であることが好ましい。本明細書において「非配位性溶媒」とは、金属原子に配位可能な構造を有しない溶媒である。より詳細には、分子中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びリン原子から選ばれるヘテロ原子を有しない溶媒を意味する。非配位性溶媒を用いることにより粒子形成反応をより高速化することができ、組成、サイズ分布がより均一なナノ粒子を合成することができる。
また、ナノ粒子形成反応に用いる上記溶媒の含水率は、化合物a2の加水分解等を防ぐ観点から、質量基準で10ppm以下とすることが好ましく、通常は0〜8ppmとする。特に化合物a2としてアルキルシリル基を有する化合物を用いる場合、含水率は極力低くすることが好ましい。
ナノ粒子形成反応において、反応液中の溶媒の含有量は90〜99.8質量%とすることが好ましく、95〜99.5質量とすることがより好ましい。
上記ナノ粒子形成反応においては、反応液中にナノ粒子に対して配位可能な化合物(以下、「配位性化合物」という。)を添加することも好ましい。配位性化合物の存在下で粒子形成反応を行うことにより、形成された粒子表層にこの配位性化合物が配位して粒子の凝集を効果的に抑え、ナノ粒子の分散状態を安定的に作り出すことができる。
配位性化合物は、粒子の分散性向上の観点から炭素数が6以上の炭化水素鎖を有することが好ましく、炭素数10以上の炭化水素鎖を有することがより好ましい。かかる配位性化合物の具体例として、例えば、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エルカ酸、オレイルアミン、ドデシルアミン、ドデカンチオール、1,2−ヘキサデカンチオール、トリオクチルホスフィンオキシド、臭化セトリモニウムを挙げることができる。
上記ナノ粒子形成反応を上記配位性化合物の共存下で行う場合、反応開始時点において、反応液中の配位性化合物の含有量は0.1〜5質量%とすることが好ましく、0.3〜5質量%とすることがより好ましく、0.5〜5質量%とすることがさらに好ましく、1〜3質量%とすることが特に好ましい。
上記ナノ粒子形成反応において、反応成分を含む液中に第III族元素以外の金属原子を含む化合物を含有させてもよい。例えばInPナノ粒子の合成においては、InP結晶格子中にZnをドープさせてIn(Zn)Pアロイを形成することにより光学特性が向上することが知られている。本発明におけるIII−V族半導体量子ドットには、このようにIII族元素以外の金属原子をドープさせたアロイの形態も含まれる。
上記ナノ粒子形成反応は、その反応温度を270〜400℃とする。化合物a1と化合物a2を混合すると瞬時に反応が生じてIII−V族半導体のクラスター核が生成する。このクラスター核を所望の粒径のIII−V族半導体ナノ粒子へと成長させるためには、270〜400℃の高温反応が必要となる。このような高温反応を要する理由は定かではないが、クラスター核とナノ粒子との間にサイズ収束を伴う熱平衡が存在するためと推定される。このナノ粒子形成反応の反応温度は、粒子サイズの均一性の観点から280〜350℃とすることが好ましく、290〜320℃とすることがより好ましい。
上記ナノ粒子形成反応において、反応温度を270〜400℃とすること以外は、公知の反応条件を、目的に応じて必要により変形して適宜に適用することができる。例えば、不活性雰囲気中で、原料と、溶媒と、必要により配位性化合物(分散剤)とを、反応容器中に入れて密閉し、ヒーター等を用いて加熱し、高温高圧下で反応させる方法(ソルボサーマル法)を採用することができる。また、溶媒と必要に応じて配位性化合物を入れた反応容器を、不活性ガスを通気しながらオイルバス等を用いて加熱し、ここにシリンジを用いて原料を注入して反応させる方法(ホットソープ法)が知られている。これらの方法は、例えば、特開2006−265022号公報、特開2008−44827号公報、国際公開第2007/138851号、特開2009−19067号公報、特開2009−40633号公報、特開2008−279591号公報、特開2010−106119号公報、及び特開2010−138367号公報に記載され、本発明におけるナノ粒子形成反応において参照することができる。
上記ナノ粒子形成反応は、反応開始時点において、反応液中の上記化合物a1の含有量は0.05〜5質量%とすることが好ましく、0.1〜2質量%とすることがより好ましい。また、このナノ粒子形成反応の反応開始時点において、反応液中の上記化合物a2の含有量は0.05〜5質量%とすることが好ましく、0.1〜2質量%とすることがより好ましい。
上記ナノ粒子形成反応の反応時間は、所望のナノ粒子を形成できれば特に制限はない。得られるナノ粒子のサイズをより均一なものとする観点から、ナノ粒子形成反応の反応時時間は10秒以上とすることが好ましく、5分以上とすることがより好ましく、10分以上とすることがさらに好ましく、20分以上とすることが特に好ましい。また形成されたナノ粒子の凝集を防ぎ、ナノ粒子サイズの均一性を高める観点からは、ナノ粒子形成反応の反応時時間を120分以下とすることが好ましく、90分以下とすることがより好ましく、60分以下とすることがさらに好ましく、50分以下とすることがさらに好ましく、40分以下とすることが特に好ましい。ナノ粒子サイズを均一化することにより、発光ピークの半値幅をより狭めることができ、よりシャープな発光特性を示す半導体量子ドットを得ることができる。
ナノ粒子形成反応において形成されるIII−V族半導体のナノ粒子としては、例えば、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、GaN、GaP、GaAs、及びGaSbが挙げられる。中でもInN、InP、InAs、InSb、GaN、GaP、GaAs及びGaSbから選ばれるIII−V族半導体が好ましく、InN、InP、InAs及びInSbから選ばれるIII−V族半導体がより好ましく、InP又はInAsがさらに好ましく、とりわけInPが好ましい。ここで挙げた各ナノ粒子は上述したアロイの形態(ドープされた原子を有する形態)を含む意味である。
<工程(b)>
工程(b)は、工程(a)においてナノ粒子形成反応に付された270〜400℃の温度状態にある液(反応液)を、0.3〜3℃/分の冷却速度で250℃まで冷却する工程(以下、「徐冷工程」ともいう。)である。「250℃まで冷却する」とは、270〜400℃の高温反応液を250℃の温度に冷却することを意味する。
III−V族半導体ナノ粒子の形成において、粒子成長のために高温反応に付された反応液は、続いて、粒子成長を停止するために冷却される。従来の技術では、反応液の冷却は通常、反応液を単に熱源から解放して放冷することにより行っていたため、事実上の急冷状態にあった。これに対し本発明では、270〜400℃の反応によりナノ粒子を形成させた反応液を、この反応温度から250℃まで、0.3〜3℃/分というゆっくりとした速度で徐冷することを特徴とする。この徐冷により、得られるIII−V族半導体量子ドットの量子収率を効果的に高めることが可能になる。この理由は未だ定かではないが、次のように推定される。
270〜400℃の高温反応により形成されたナノ粒子は、粒子内部に構造的な欠陥を有するアモルファス状態にあると考えられ、このアモルファス状態のナノ粒子を急冷した場合には、内部の欠陥はそのまま残存するものと考えられる。一方、高温反応により形成されたナノ粒子を、250℃まで、所定の冷却速度で時間をかけて冷却した場合には、やや高温状態にあるこの徐冷工程の間に、粒子内部のアモルファス状態にある構造を結晶状へと変化させることができ、結果、得られるIII−V族半導体量子ドットを、結晶構造がより広い範囲に形成された状態とすることができ、量子収率が高められると考えられる。
工程(b)における徐冷手段に特に制限はない。例えば、オイルバスの外温を手動で操作する、あるいは加熱装置の温度プログラムを適切に設定する等により、所望の冷却速度で徐冷することができる。オイルバス及び加熱装置に特に制限はない。例えば、上記「オイルバス」として、恒温油槽T−300(トーマス科学器械社製)等を、上記「加熱装置」として、合成・反応装置ケミストプラザCP−300型(柴田科学社製)等を用いることができる。
工程(b)において、反応液の冷却速度は0.5〜2℃/分が好ましく、1〜1.5℃/分とすることがより好ましい。冷却速度が遅すぎると、250℃に到達するまでの時間が長くなりすぎ、ナノ粒子の凝集が生じやすくなる傾向がある。他方、冷却速度が速すぎると、アモルファス相を結晶相へと十分に変化させることが難しくなる。なお、この冷却速度は本発明で規定する範囲内にあれば、一定である必要はない。
工程(b)における徐冷工程の長さ(工程(b)において、反応液を250℃まで徐冷するのにかかる時間)は、10〜180分間とすることが好ましく、20〜120分間とすることがより好ましく、20〜90分間とすることがさらに好ましく、30〜60分間とすることが特に好ましい。
上記工程(b)は、250℃まで冷却した反応液を、さらに150〜250℃の温度で0.5〜4時間保持する工程(以下、「熟成工程」ともいう。」を含むことが好ましい。この工程により、ナノ粒子中に存在するアモルファス状の構造を結晶状へと、より確実に変化させることができ、得られるIII−V族半導体量子ドットの量子収率をより効果的に高めることができる。
なお、この熟成工程の間には、反応液の温度を上昇させるような過程がないことが好ましい。つまり、熟成工程における温度は一定であるか、あるいは150℃までの間で下降させることが好ましい。(すなわち、工程(b)の全過程において、反応液の温度は上昇させないことが好ましい。)より好ましくは、熟成工程は一定温度とする。熟成工程の温度は200〜250℃が好ましく、220〜240℃がより好ましい。また、熟成工程の長さは1〜3時間が好ましく、1.5〜2.5時間がより好ましい。
上記工程(b)終了時点において、III−V族半導体ナノ粒子は、その平均粒径が1〜10nmであることが好ましく、2〜10nmであることがより好ましい。上記工程(b)を経て得られるIII−V族半導体ナノ粒子は、通常は分散液の状態で得られ、この分散液中のIII−V族半導体ナノ粒子の含有量は0.05〜3質量%であることが好ましい。分散液中のナノ粒子は、通常は分離回収することなく、分散液の状態で目的の反応ないし用途に用いられる。
本発明においてナノ粒子の平均粒径は、透過電子顕微鏡により測定された値である。より詳細には、透過電子顕微鏡で無作為に選択した100個の粒子について、投影面積から粒子の占有面積を画像処理装置によって求め、100個の粒子の占有面積の合計を、選択した粒子の個数(100個)で除し、得られた値に相当する円の直径の平均値(平均円相当直径)として算出することができる。上記平均粒径は、一次粒子が凝集してなる二次粒子の粒径は含まない。
本発明の製造方法は、上記工程(b)で得られたIII−V族半導体のナノ粒子表面にガリウム(Ga)を導入する工程(以下、「工程(c)」という。)を含むことも好ましい。
工程(c)では、まず、工程(b)で得られたIII−V族半導体ナノ粒子と、下記金属群[c]から選ばれる少なくとも1種の金属c1の塩とを反応させ(この反応を、「金属c1導入反応」とも称す)、次いで、得られた粒子とGaの塩とを反応させる(この反応を、「Ga導入反応」とも称す)。なお、工程(b)により得られるIII−V族半導体ナノ粒子が、III族元素としてGaを含む形態である場合も、工程(c)を行うことができる。
金属群[c]:
Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu及びZn
金属c1は、上記金属群[c]から選ばれる1種又は2種以上の金属であり、1種の金属であることが好ましい。金属c1導入反応によりナノ粒子表層に金属c1を導入することができる。金属c1導入反応は、アニオン供給源として上述した化合物a2の存在下で行ってもよいし、化合物a2の非存在下で行ってもよい。また、ナノ粒子形成反応において用いた化合物a1が共存していてもよい。金属c1導入反応によってどのように金属c1が導入されるのかについて十分に明らかではないが、少なくとも下記の反応の少なくとも1つが進行しているものと推定される。
すなわち、金属c1導入反応を化合物a2の存在下で行う場合には、ナノ粒子表層において金属c1のカチオンとアニオンからなる結晶構造が成長してナノ粒子表層に金属c1が導入されたり、ナノ粒子表層に存在する第III族元素と金属c1とのカチオン交換が生じたり、あるいはナノ粒子表層の結晶格子中に金属c1がドープされたりすることにより、金属c1がナノ粒子表層に導入されると考えられる。
また、金属c1導入反応を化合物a2の非存在下で行う場合には、ナノ粒子表層に存在する第III族元素と金属c1とのカチオン交換が生じたり、あるいはナノ粒子表層の結晶格子中に金属c1がドープされたりすることにより、金属c1がナノ粒子表層に導入されるものと考えられる。
上記金属c1導入反応は、工程(b)終了後の反応液と金属c1の塩とを混合することにより行ってもよい。また、工程(b)の終了後、得られたナノ粒子を別の溶媒中に再分散させ、この再分散液と金属c1の塩とを混合し、金属c1導入反応を行ってもよい。
金属c1導入反応において、反応に用いうる溶媒種及び反応液中の溶媒の含有量は、それぞれ、上記工程(a)におけるナノ粒子形成反応に用いうる溶媒種及び反応液中の溶媒の含有量と同じであり、好ましい形態も同じである。
また、金属c1導入反応を行う際に、反応液中に、上述した配位性化合物(分散剤)を含有させてもよい。この場合、金属c1導入反応における反応液中の配位性化合物の含有量は0.1〜5質量%とすることが好ましく、0.3〜5質量%とすることがより好ましく、0.5〜5質量%とすることがさらに好ましく、1〜3質量%とすることが特に好ましい。
金属c1は、金属c1の塩と配位性化合物とを予め混合して加熱し、金属c1に配位性化合物を配位させ、これを金属c1導入反応の反応液に添加して、工程(b)で得られたIII−V族半導体ナノ粒子と反応させることも好ましい。
金属c1導入反応において、金属c1の塩は、金属c1の有機酸塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸等のモノカルボン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩等のジカルボン酸塩、クエン酸等のポリカルボン酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等の脂肪族又は芳香族スルホン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、スルファミン酸塩、金属アルコキシド、金属アセチルアセトナート等)、並びに、金属c1の無機酸塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、フッ化水素酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、シアン化水素酸塩等)が挙げられる。
金属c1がCaの場合において、Caの有機酸塩としては、例えば、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、グリコール酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、メタンスルホン酸カルシウム、トルエンスルホン酸カルシウム等の脂肪族又は芳香族スルホン酸塩、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、スルファミン酸カルシウム、カルシウムエトキシド、アセチルアセトンカルシウムが挙げられる。また、Caの無機酸塩としては、例えば、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、リン酸カルシウムが挙げられる。
金属c1がScの場合において、Scの有機酸塩としては、例えば、酢酸スカンジウム、ステアリン酸スカンジウム、メタンスルホン酸スカンジウム、炭酸スカンジウム、スルファミン酸スカンジウム、スカンジウムエトキシド、アセチルアセトンスカンジウム が挙げられる。また、Scの無機酸塩としては、例えば、硝酸スカンジウム、塩化スカンジウム、臭化スカンジウム、リン酸スカンジウムが挙げられる。
金属c1がTiの場合において、Tiの有機酸塩としては、例えば、酢酸チタン、ステアリン酸チタン、グリコール酸チタン、シュウ酸チタン、メタンスルホン酸チタン、トルエンスルホン酸チタン等の脂肪族又は芳香族スルホン酸塩、炭酸チタン、チタンイソプロポキシド、チタンt-ブトキシド、アセチルアセトンチタンが挙げられる。また、Tiの無機酸塩としては、例えば、塩化チタンが挙げられる。
金属c1がVの場合において、Vの有機酸塩としては、例えば、酢酸バナジウム、ステアリン酸バナジウム、炭酸バナジウム、トリイソプロポキシバナジウムオキシド、アセチルアセトナトバナジウム等が挙げられる。また、Vの無機酸塩としては、例えば、酸化硫酸バナジウム、塩化バナジウム、臭化バナジウム、フッ化バナジウムが挙げられる。
金属c1がCrの場合において、Crの有機酸塩としては、例えば、酢酸クロム、プステアリン酸クロム、アセチルアセトンクロムが挙げられる。また、Crの無機酸塩としては、例えば、硝酸クロム、塩化クロム、リン酸クロムが挙げられる。
金属c1がMnの場合において、Mnの有機酸塩としては、例えば、酢酸マンガン、ステアリン酸マンガン、2−エチルヘキサン酸マンガン、シュウ酸マンガン、炭酸マンガン、ぎ酸マンガン、アセチルアセトンマンガン、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)マンガン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドマンガン、N,N’−エチレンビス(サリチリデンイミナト)マンガンが挙げられる。また、Mnの無機酸塩としては、例えば、硝酸マンガン、硫酸マンガン、塩化マンガン、リン酸マンガン等が挙げられる。
金属c1がFeの場合において、Feの有機酸塩としては、例えば、酢酸鉄、ステアリン酸鉄、2−エチルヘキサン酸鉄、シュウ酸鉄、クエン酸鉄、メタンスルホン酸鉄、ジエチルジチオカルバミン酸鉄、鉄メトキシド、アセチルアセトン鉄、フェロセン、N,N’−エチレンビス(サリチリデンイミナト)鉄等が挙げられる。また、Feの無機酸塩としては、例えば、硝酸鉄、硫酸鉄、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、リン酸鉄等が挙げられる。
金属c1がCoの場合において、Coの有機酸塩としては、例えば、酢酸コバルト、ステアリン酸コバルト、シュウ酸コバルト、クエン酸コバルト、炭酸コバルト、スルファミン酸コバルト、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)コバルト、アセチルアセトンコバルト、N,N’−エチレンビス(サリチリデンイミナト)コバルト等が挙げられる。また、Coの無機酸塩としては、例えば、硝酸コバルト、硫酸コバルト、塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルト、リン酸コバルト等が挙げられる。
金属c1がNiの場合において、Niの有機酸塩としては、例えば、酢酸ニッケル、ステアリン酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケル、乳酸ニッケル、トリフルオロメタンスルホン酸ニッケル、トルエンスルホン酸ニッケル等の脂肪族又は芳香族スルホン酸塩、炭酸ニッケル、ニッケル2−メトキシエトキシド、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、アセチルアセトンニッケル、トリフルオロアセチルアセトナトニッケル、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケルジクロリド、N,N’−エチレンビス(サリチリデンイミナト)ニッケル等が挙げられる。また、Niの無機酸塩としては、例えば、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル等が挙げられる。
金属c1がCuの場合において、Cuの有機酸塩としては、例えば、酢酸銅、ステアリン酸銅、2−エチルヘキサン酸銅、クエン酸銅、シュウ酸銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅、トルエンスルホン酸銅等の脂肪族又は芳香族スルホン酸塩、炭酸銅、ぎ酸銅、銅エトキシド、ジエチルジチオカルバミン酸銅、アセチルアセトン銅、トリフルオロアセチルアセトナト銅、ビス(1,3−プロパンジアミン)銅ジクロリド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド銅、N,N’−エチレンビス(サリチリデンイミナト) 銅等が挙げられる。また、Cuの無機酸塩としては、例えば、硝酸銅、硫酸銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅等が挙げられる。
金属c1がZnの場合において、Znの有機酸塩としては、例えば、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、クエン酸銅、シュウ酸銅、トリフルオロ酢酸亜鉛、p−t−ブチル安息香酸亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、トルエンスルホン酸亜鉛等の脂肪族又は芳香族スルホン酸塩、炭酸亜鉛、ぎ酸亜鉛、亜鉛tert−ブトキシド、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、アセチルアセトン亜鉛、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)亜鉛、トリフルオロアセチルアセトナト亜鉛、ジクロロ(N,N,N’,N’−テトラメチルエタン−1,2−ジアミン)亜鉛、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド亜鉛、N,N’−エチレンビス(サリチリデンイミナト) 亜鉛が挙げられる。また、Znの無機酸塩としては、例えば、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、リン酸亜鉛等が挙げられる。
金属c1導入反応の開始時点において、反応液中の、金属c1の塩の含有量は0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜4質量%がさらに好ましく、0.5〜2質量%がさらに好ましい。
また、上記金属c1導入反応の開始時点において、反応液中の、III−V族半導体ナノ粒子の含有量は、0.05〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましく、0.1〜2質量%がさらに好ましい。なお、反応液中の金属c1の塩の含有量は、金属c1を上述したように配位性化合物を配位させた状態で反応液に添加する場合には、金属c1を、配位性化合物を配位させる前の塩の状態に換算した値とする。
上記金属c1導入反応の反応温度は、反応速度の観点から通常は100℃以上であり、150℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましい。また、溶媒沸点、操作安全性の観点から、上記金属c1導入反応の反応温度は通常は400℃以下であり、350℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましく、250℃以下がさらに好ましく、220℃以下がさらに好ましい。
上記金属c1導入反応の反応時間は、目的に応じて適宜に調節されるものであり、通常は1〜240分間、好ましくは5〜180分間、さらに好ましくは8〜120分間、特に好ましくは10〜60分間である。
上記金属c1導入反応を経て得られるIII−V族半導体ナノ粒子は、通常は分散液の状態で得られ、この分散液中のIII−V族半導体ナノ粒子の含有量は0.05〜3質量%であることが好ましい。分散液中のナノ粒子は、通常は分離回収することなく、分散液の状態で次のGa導入反応に用いられる。
上記Ga導入反応では、上記金属c1導入反応で得られた、表層に金属c1が導入されたナノ粒子と、Gaの塩とを反応させる。この反応により、金属c1導入反応で得られた、表層に金属c1が導入されたナノ粒子表層にGaを導入することができる。Ga導入反応は、アニオン供給源として上述した化合物a2の存在下で行ってもよいし、化合物a2の非存在下で行ってもよい。Ga導入反応によってどのようにGaが導入されるのかについて十分に明らかではないが、少なくとも下記の反応の少なくとも1つが進行しているものと推定される。
すなわち、Ga導入反応を化合物a2の存在下で行う場合には、表層に金属c1が導入されたナノ粒子表層においてGaイオンとアニオンからなる結晶層またはアモルファス層が成長してナノ粒子表層にGaが導入され、あるいはこの反応とは別に、ナノ粒子表層に存在する金属c1とGaとのカチオン交換によっても、Gaがナノ粒子表層に導入されると考えられる。
また、Ga導入反応を化合物a2の非存在下で行う場合には、ナノ粒子表層に存在する金属c1とGaとのカチオン交換により、Gaがナノ粒子表層に導入されるものと考えられる。
上記Ga導入反応は、上記金属c1導入反応後、金属c1導入反応の反応液にGaの塩を混合することにより行ってもよい。また、金属c1導入反応の終了後、得られた、金属c1が表層に導入されたナノ粒子を別の溶媒中に再分散させ、この再分散液とGaの塩とを混合し、Ga導入反応を行ってもよい。
Ga導入反応において、反応に用いうる溶媒種及び反応液中の溶媒の含有量は、それぞれ、上記ナノ粒子形成反応に用いうる溶媒種及び反応液中の溶媒の含有量と同じであり、好ましい形態も同じである。
また、Ga導入反応を行う際に、反応液中に、上述した配位性化合物を含有させてもよい。この場合、Ga導入反応における反応液中の配位性化合物の含有量は0.1〜5質量%とすることが好ましく、0.3〜5質量%とすることがより好ましく、0.5〜5質量%とすることがさらに好ましく、1〜3質量%とすることが特に好ましい。
Gaは、Ga塩と配位性化合物とを予め混合して加熱し、Gaに配位性化合物を配位させ、これをGa導入反応の反応液に添加して、上記金属c1導入反応で得られた、表層に金属c1が導入されたナノ粒子と反応させることも好ましい。
Ga導入反応において、用いるGaの塩は、Gaの有機酸塩(例えば、酢酸塩、プロピオン酸等のモノカルボン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩等のジカルボン酸塩、クエン酸等のポリカルボン酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等の脂肪族又は芳香族スルホン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、スルファミン酸塩、金属アルコキシド、金属アセチルアセトナート等)、並びに、Gaの無機酸塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、フッ化水素酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、シアン化水素酸塩等)が挙げられる。
Gaの有機酸塩としては、例えば、酢酸ガリウム、ステアリン酸ガリウム、2-エチルヘキサン酸ガリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ガリウム、トルエンスルホン酸ガリウム等の脂肪族又は芳香族スルホン酸塩、ガリウムエトキシド、ガリウムイソプロポキシド、アセチルアセトンガリウム、トリフルオロアセチルアセトナトガリウムが挙げられる。また、Gaの無機酸塩としては、例えば、硝酸ガリウム、硫酸ガリウム、塩化ガリウム、臭化ガリウム、ヨウ化ガリウム、リン酸ガリウム等が挙げられる。
上記Ga導入反応の開始時点において、反応液中の、Ga塩の含有量は0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜4質量%がさらに好ましく、0.5〜2質量%がさらに好ましい。
また、上記Ga導入反応の開始時点において、反応液中の、表層に金属c1が導入されたナノ粒子の含有量は、0.05〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましく、0.1〜2質量%がさらに好ましい。なお、反応液中のGa塩の含有量は、Gaを上述したように配位性化合物を配位させた状態で反応液に添加する場合には、Gaを、配位性化合物を配位させる前の塩の状態に換算した値とする。
上記Ga導入反応の反応温度は、通常は100℃以上であり、150℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましい。また、上記Ga導入反応の反応温度は通常は400℃以下であり、350℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましく、250℃以下がさらに好ましく、220℃以下がさらに好ましい。
上記Ga導入反応の反応時間は、目的に応じて適宜に調節されるものであり、通常は1〜240分間、好ましくは10〜180分間、さらに好ましくは15〜120分間、特に好ましくは30〜90分間である。
上記Ga導入反応を経て得られるIII−V族半導体ナノ粒子は、通常は分散液の状態で得られ、この分散液中のIII−V族半導体ナノ粒子の含有量は0.05〜3質量%であることが好ましい。分散液中のナノ粒子は、通常は分離回収することなく、分散液の状態で目的の反応ないし用途に用いられる。
本発明の製造方法は、上記工程(c)の終了後、Gaが導入されたナノ粒子表面にシェル層を形成する工程(以下、「工程(d)」という。)を含むことも好ましい。このシェル層は、量子ドットのシェル層として通常採用されうる形態のものを採用することができ、好ましい例としては、ZnS、ZnO、ZnSe、ZnSe1−X(0<X<1)、ZnTe、In又はCuOで形成されたシェル層が挙げられる。
シェル層の形成は常法により行うことができ、例えば、特表2012−525467号公報、特表2015−529698号公報、特表2014−523634号公報、特開2015−127362号公報、特許第4565152号公報、特許第4344613号公報、米国特許第7105051号明細書、米国特許第848111号明細書、APPLIED PHYSICS LETTERS 97,193104,2010 、ACS Appl. Mater. Interfaces 2014,6,p.18233−18242の記載を参照することができる。
例えばZnSによるシェル層は、工程(c)の反応終了後、反応液にZnの酢酸塩と1−ドデカンチオールと必要により配位性化合物を添加し、例えば200℃以上の温度で数時間反応させることにより形成することができる。他のシェル層もこの方法に準じ、使用する原料を目的に応じて変更し、形成することができる。またZnの供給源としてジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛等の有機金属を用いた高温条件下での反応、あるいはジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛の熱分解反応によっても形成することができる。
シェル層はZnS、ZnO、ZnSe又はZnSe1−Xが好ましく、ZnSであることがより好ましい。
本発明の製造方法で得られるIII−V族半導体量子ドットは、シェル層を設けない形態においては、平均粒径が1〜10nmであることが好ましく、1〜6nmであることがより好ましい。また、本発明の製造方法で得られるIII−V族半導体量子ドットがシェル層有する形態である場合、シェル層を含めた量子ドットの平均粒径は2〜10nmであることが好ましく、2〜8nmであることがより好ましい。
以下に実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
下記反応スキームに従い、InPナノ粒子の表層にGaを導入してなるInP量子ドットを調製した。
Figure 0006651024
乾燥窒素で充填されたグローブボックス中で、200ml三口フラスコに、オクタデセン(22mL)、酢酸インジウム(140mg)、パルミチン酸(369mg)を加え、130℃で30分間真空脱気を行った。本実験で使用する1−オクタデセンとして、水素化カルシウムから減圧蒸留し、カールフィッシャー法で算出した水分量が6ppmであるものを用いた。反応容器を300℃に加熱し、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン[P(TMS)]をオクタデセン[ODE]に溶解した溶液(P(TMS)濃度:45mM)4mlを素早く添加し、300℃で30分間保持して反応液中にInPのナノ粒子を形成させた(InPナノ粒子形成反応)。次いでこの反応液を300℃から250℃まで1.4℃/分の冷却速度で冷却した(徐冷工程)。続いて、反応液を230℃に保持して2時間熟成させて、InPナノ粒子の分散液を得た。この分散液中、InPナノ粒子の含有量は0.3質量%であった。
この分散液をサンプリングし、HR−TEM(高分解能透過電子顕微鏡)を用いて粒径を測定した結果、InP粒子の平均粒径は3nmであった。続いて200℃に放冷後、亜鉛溶液(酢酸亜鉛(66mg)、パルミチン酸(185mg)、オクタデセン(15ml)の混合物を130℃で30分間真空脱気した溶液[スキーム中、Zn(C1531COで示した])10mLを加え、200℃で15分間反応させてInP粒子表層にZnを導入した。続いてガリウム溶液(塩化ガリウム(19mg)、オレイン酸(119μl)、オクタデセン(5ml)の混合物を90℃で1時間加熱した溶液[スキーム中、Ga(C1733COで示した])8mLを加え、200℃で1時間反応させてInP粒子表層にGaを導入し、室温まで放冷してInP量子ドット分散液とした。得られた分散液中のInP量子ドットの平均粒径は4nmであった。また、このInP量子ドットの分散液中、InP量子ドット(Ga導入)の含有量は0.3質量%であった。このInP量子ドット分散液をトルエンで5倍に希釈し、蛍光スペクトル(日立ハイテクサイエンス社製F−7000、励起波長450nm)を測定し、発光極大、発光ピークの半値幅、及び量子収率を測定した。結果を下記表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、徐冷工程「300℃から250℃まで1.4℃/分の冷却速度で冷却」を「300℃から250℃まで1.0℃/分の冷却速度で冷却」に変更したこと以外は、実施例1と同様にして平均粒径4nmのInP量子ドットを得、その蛍光スペクトル、発光極大、発光ピークの半値幅、及び量子収率を測定した。結果を下記表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、InPナノ粒子形成反応の条件「300℃で30分間」を「300℃で10秒間」に変更したこと以外は、実施例1と同様にして平均粒径4nmのInP量子ドットを得、その蛍光スペクトル、発光極大、発光ピークの半値幅、及び量子収率を測定した。結果を下記表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、徐冷工程「300℃から250℃まで1.4℃/分の冷却速度で冷却」を「300℃から250℃まで2.8℃/分の冷却速度で冷却」に変更したこと以外は、実施例1と同様にして平均粒径4nmのInP量子ドットを得、その蛍光スペクトル、発光極大、発光ピークの半値幅、及び量子収率を測定した。結果を下記表1に示す。
[実施例5]
実施例4において、InPナノ粒子形成反応の条件「300℃で30分間」を「300℃で3秒間」に変更したこと以外は、実施例4と同様にして平均粒径4nmのInP量子ドットを得、その蛍光スペクトル、発光極大、発光ピークの半値幅、及び量子収率を測定した。結果を下記表1に示す。
[実施例6]
実施例1において、InPナノ粒子形成反応の条件「300℃で30分間」を「300℃で180分間」に変更したこと以外は、実施例1と同様にして平均粒径4nmのInP量子ドットを得、その蛍光スペクトル、発光極大、発光ピークの半値幅、及び量子収率を測定した。結果を下記表1に示す。
[実施例7]
実施例1において、InPナノ粒子形成反応の条件「300℃で30分間」を「270℃で30分間」に変更し、また冷却工程「300℃から250℃まで1.4℃/分の冷却速度で冷却」を「270℃から250℃まで0.8℃/分の冷却速度で冷却」に変更したこと以外は、実施例1と同様にして平均粒径4nmのInP量子ドットを得、その蛍光スペクトル、発光極大、発光ピークの半値幅、及び量子収率を測定した。結果を下記表1に示す。
[実施例8]
実施例7において、徐冷工程「270℃から250℃まで0.8℃/分の冷却速度で冷却」を「270℃から250℃まで1.4℃/分の冷却速度で冷却」に変更したこと以外は、実施例7と同様にして平均粒径4nmのInP量子ドットを得、その蛍光スペクトル、発光極大、発光ピークの半値幅、及び量子収率を測定した。結果を下記表1に示す。
[実施例9]
実施例1において、InPナノ粒子形成反応に用いた含水率6ppmの1−オクタデセンに代えて、含水率14ppmの1−オクタデセンを用いたこと以外は、実施例1と同様にして平均粒径4nmのInP量子ドットを得、その蛍光スペクトル、発光極大、発光ピークの半値幅、及び量子収率を測定した。結果を下記表1に示す。
[実施例10]
実施例1で得られたInP量子ドットにさらにZnS層を形成させた。より詳細には、実施例1においてガリウム溶液を加えて200℃で1時間反応させた後、反応液を240℃に加熱し、亜鉛溶液(酢酸亜鉛(66mg)、パルミチン酸(185mg)、1−オクタデセン(15ml)の混合物を130℃で30分間真空脱気した溶液)と1−ドデカンチオール182mgとの混合物を10ml加え、240℃で6時間反応させ、室温まで放冷した。こうして、InPナノ粒子の表層にGaが導入され、さらにZnSのシェル層が形成された平均粒径5nmのInP量子ドットの分散液を得た。このInP量子ドット分散液中、InP量子ドット(シェル層有)の含有量は0.3質量%であった。このInP量子ドット分散液をトルエンで5倍に希釈し、実施例1と同様に発光極大、発光ピークの半値幅、及び量子収率を測定した。結果を下記表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、徐冷工程「300℃から250℃まで1.4℃/分の冷却速度で冷却」を「300℃から250℃まで7℃/分の冷却速度で冷却」に変更したこと以外は、実施例1と同様にして平均粒径4nmのInP量子ドットを得、その蛍光スペクトル、発光極大、発光ピークの半値幅、及び量子収率を測定した。結果を下記表1に示す。
[比較例2]
比較例1において、InPナノ粒子形成反応の条件「300℃で30分間」を「300℃で10秒間」に変更したこと以外は、比較例1と同様にして平均粒径4nmのInP量子ドットを得、その蛍光スペクトル、発光極大、発光ピークの半値幅、及び量子収率を測定した。結果を下記表1に示す。
[比較例3]
実施例1において、徐冷工程「300℃から250℃まで1.4℃/分の冷却速度で冷却」を「300℃から250℃まで0.1℃/分の冷却速度で冷却」に変更したこと以外は、実施例1と同様にして平均粒径4nmのInP量子ドットを得、その蛍光スペクトル、発光極大、発光ピークの半値幅、及び量子収率を測定した。結果を下記表1に示す。
Figure 0006651024
表1に示される通り、ナノ粒子形成反応後、250℃までの冷却工程において、冷却速度を本発明で規定するよりも速くした比較例1及び2、及び遅くした比較例3では、得られた量子ドットの量子収率が低かった。
これに対し、ナノ粒子形成反応後、250℃までの冷却工程において、冷却速度を本発明で規定する範囲内とした実施例1〜10では、得られる量子ドットは量子収率に優れ、また、半値幅も狭くシャープな発光特性を示すこともわかった。
また、上記実施例1〜10の間で比較すると、ナノ粒子形成反応における反応温度を270℃とやや低く設定した実施例7及び8は、得られる量子ドットの量子収率がやや低下するが、比較例に比べれば格段に高い量子収率を示している。また、ナノ粒子形成反応における反応時間や溶媒中の含水率も、半値幅ないし量子収率に影響を与え得ることも示されているが、やはり比較例に比べればその性能は大きく向上している。
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
本願は、2016年9月23日に日本国で特許出願された特願2016−185860に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。

Claims (12)

  1. 下記工程(a)及び(b)を含む、III−V族半導体量子ドットの製造方法。
    (a)第III族元素を含む化合物a1と、第V族元素を含む化合物a2と、溶媒とを含有する液を、270〜400℃に保持して化合物a1と化合物a2とを反応させ、反応液中にIII−V族半導体のナノ粒子を形成させる工程;
    (b)前記のナノ粒子を形成させた反応液を、0.3〜3℃/分の冷却速度で250℃まで冷却する工程。
  2. 前記工程(a)における270〜400℃の反応時間を10秒間〜120分間とする、請求項1記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。
  3. 前記化合物a1に含まれる第III族元素がInである、請求項1又は2記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。
  4. 前記化合物a2に含まれる第V族元素がP又はAsである、請求項1〜3のいずれか1項記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。
  5. 前記III−V族半導体量子ドットがInP量子ドットである、請求項1〜4のいずれか1項記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。
  6. 前記溶媒が非配位性溶媒である、請求項1〜5のいずれか1項記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。
  7. 前記溶媒の含水率が10ppm以下である、請求項1〜6のいずれか1項記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。
  8. 前記工程(a)における反応温度が、280〜350℃である、請求項1〜7のいずれか1項記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。
  9. 前記工程(b)が、前記の250℃まで冷却した反応液を、150〜250℃の温度で0.5〜4時間保持することを含む、請求項1〜8のいずれか1項記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。
  10. 前記工程(b)の後、前記ナノ粒子の表層にGaを導入する工程(c)を含む、請求項1〜9のいずれか1項記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。
  11. 前記工程(c)で得られた、表層にGaが導入されたナノ粒子表面に、シェル層を形成する工程(d)を含む、請求項10記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。
  12. 前記シェル層がZnS、ZnO、ZnSe、ZnSe1−X、ZnTe又はCuOである、請求項11に記載のIII−V族半導体量子ドットの製造方法。但し、0<X<1である。
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