JP6649069B2 - 耐震補強構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、ラーメン構造を有する構造物を補強する耐震補強構造体に関する。
近年、軌道や道路を支持する高架橋の耐震補強工事が各地で進められている。高架橋等、ラーメン構造を有する構造物(以下ラーメン構造物)を耐震補強する方法としては、柱の周囲を鋼板で囲み、柱と鋼板との隙間にモルタルを充填して固めることにより、柱の変形性能を高める鋼板巻き立て工法が知られている。
しかしながら、この工法によってラーメン構造物を耐震補強するには、原則、全ての柱に鋼板を取り付ける必要がある。そのため、橋桁の下に駅舎や商業施設などの建築物、或いは列車等の運行に必要な各種設備(以下支障物)が設けられ、柱が支障物に接している、或いは支障物の中を通っているといった場合には、工事の作業スペースを確保するため、これらの支障物の大部分ないしは全てを撤去しなければならず、コストの増加や工事の長期化の原因となっていた。また、撤去した支障物は、耐震補強後も同じ箇所に必要になることが多いため、支障物を復旧させるためのコストや時間も必要となる。
そこで近時、伸縮可能に構成されたブレース型ダンパーを、ラーメン構造を構成する2本の隣り合う柱の下端部と両柱に跨る梁の中間部との間に山型に配置する、或いは、基礎、柱および梁によって形成される矩形状の開口の対角線に沿って配置することにより、揺れのエネルギーを棒状部材の伸縮により吸収するようにした耐震補強方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば、鋼板よりも少ないブレースの設置数で、構造物に鋼板巻き立て工法と同程度の耐震性を持たせることができるので、橋桁の下の支障物を全く撤去することなく、或いは僅かに撤去するだけで必要な耐震補強を施すことができる。
特開2003−064624号公報
しかしながら、上述したブレースで耐震補強されたラーメン構造物は、揺れて僅かに変形する際、ラーメン構造物とブレースとの結合部、特に柱と基礎の結合部近傍にブレースからの応力を受けることになる。揺れが小さく、構造物が塑性変形しないうちにこのような力が作用してしまうと、基礎に力がかかり過ぎて基礎が損傷してしまう虞がある。そのため、ブレースで耐震補強する場合には、通常、ブレースからの応力によって基礎が損傷するのを防ぐため、基礎の剛性を高める補強を行う必要がある。
つまり、従来のブレースによる耐震補強方法は、支障物の撤去、復旧にかかるコストや時間を節約することができても、基礎の補強でコストや時間がかかってしまうので、結局、耐震補強工事全体としてのコストの増加や工事の長期化を抑えることは困難であった。
本発明の目的は、施工コストを抑えてラーメン構造物の耐震性能を向上させることができる耐震補強構造体を提供することである。
上記目的を達成するため、この発明は、
所定間隔を空けて立設された複数の柱と、各柱の上部を繋ぐように設けられた梁とからなるラーメン構造を有する構造物に設置されることで、前記構造物の耐震性を高める耐震補強構造体であって、
前記構造物の複数の柱のうち、何れかの隣り合う柱の下部を繋ぐように水平方向に設けられた第1鉄筋コンクリート部材と、
前記第1鉄筋コンクリート部材の上方に配されて前記隣り合う柱を繋ぐように水平方向に設けられた第2鉄筋コンクリート部材と、
前記第1鉄筋コンクリート部材の端部と前記第2鉄筋コンクリート部材の端部を繋ぎ、前記柱に沿って垂直方向に設けられた一対の第3鉄筋コンクリート部材と、を備え、
前記構造物の上部が下部に対し水平方向に変位するように揺れた際、前記一対の第3鉄筋コンクリート部材がそれぞれ隣接する前記柱と接触しないように、その第3鉄筋コンクリート部材と前記柱との間に隙間が設けられており、
前記第1鉄筋コンクリート部材と前記第3鉄筋コンクリート部材の間と、前記第2鉄筋コンクリート部材と前記第3鉄筋コンクリート部材の間には、それぞれ打継ぎ目が形成されており、各鉄筋コンクリート部材はそれぞれが別体となって個別に挙動することが可能に構成されているようにした。
この耐震補強構造体は、ラーメン構造物の柱に沿って垂直方向に設けられた第3鉄筋コンクリート部材がその柱と接触しないように隙間が設けられているので、地震動によってラーメン構造物の柱が剪断破壊され難くなっている。第3鉄筋コンクリート部材と柱との間に隙間がなく密接していると、見かけ上、柱が太くなって柱が相対的に短くなり、その剪断スパンが短くなって剪断破壊が生じ易くなるので好ましくない。
また、例えば各鉄筋コンクリート部材の鉄筋に丸鋼鉄筋が用いられていて、第3鉄筋コンクリート部材と柱との間に隙間が設けられていれば、耐震補強構造体がロッキングして地震動のエネルギーを吸収する場合に、第3鉄筋コンクリート部材と柱とが接触しロッキングを妨げることがないので、好適に揺れのエネルギーを吸収することができる。
そして、この耐震補強構造体は、鉄筋コンクリート部材からなる比較的簡易な構造を有しているとともに、ラーメン構造物の複数の柱のうち何れかの隣り合う柱間に少なくとも1基の耐震補強構造体を設置することで、ラーメン構造物全体の耐震補強を図ることが可能になっている。
また、耐震補強構造体の各鉄筋コンクリート部材間に打継ぎ目が形成されていれば、地震発生時に打継ぎ目が開くことで耐震補強構造体がロッキングし、揺れのエネルギーを吸収することができる。
つまり、この耐震補強構造体であれば、施工コストを抑えてラーメン構造物の耐震性能を向上させることができる。
また、望ましくは、
前記打継ぎ目には、その打継ぎ目に塗布されたグリス剤を介在させるようにする。
耐震補強構造体の各鉄筋コンクリート部材間の打継ぎ目にグリス剤を介在させることで、各鉄筋コンクリート部材がくっついてしまうことなく、各鉄筋コンクリート部材が個別に挙動しやすくなる。これは各鉄筋コンクリート部材の鉄筋として、例えば丸鋼鉄筋が用いられているときに顕著になる。
つまり、打継ぎ目にグリス剤を介在させることによって、各鉄筋コンクリート部材間の打継ぎ目が開きやすくなり、地震発生時に耐震補強構造体がロッキングし易くなるので、揺れのエネルギーを吸収することができる。
また、望ましくは、
前記第1鉄筋コンクリート部材、前記第2鉄筋コンクリート部材、前記第3鉄筋コンクリート部材の内部の鉄筋には、表面に凹凸の無い鋼材を用いるようにする。
耐震補強構造体の各鉄筋コンクリート部材の鉄筋として、表面に凹凸の無い丸鋼鉄筋のような鋼材を用いれば、コンクリートと鉄筋とが剥がれ易く、その付着が切れ易くなり、耐震補強構造体が塑性変形しやすくなるので、ラーメン構造を有する構造物が塑性変形し始めた場合には、耐震補強構造体が塑性変形することで揺れのエネルギーを吸収することができる。
コンクリートと鉄筋との付着が切れ易ければ、耐震補強構造体は好適にロッキングし、揺れのエネルギーを吸収することができる。
本発明によれば、施工コストを抑えてラーメン構造物の耐震性能を向上させることができる。
本実施形態の耐震補強構造体を示す側面図(a)と、図1(a)のb−b線で断面視した平面図(b)である。 耐震補強構造体の配設パターンの一例を示す説明図である。 耐震補強構造体の配設パターンの一例を示す説明図である。 静的正負交番載荷試験に用いた耐震補強構造体の試験体の説明図(a)(b)(c)(d)である。 耐震補強構造体の試験体に対する静的正負交番載荷試験の結果を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明に係る耐震補強構造体の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
まず、本実施形態の耐震補強構造体50が設置される構造物の概略構成について高架橋を例に説明する。図1(a)(b)には、ラーメン構造物である高架橋100が示されている。
本実施形態での高架橋100は、例えば複数の高架橋ブロック100a(以下ブロック100a)を橋軸方向に並べて、その間に桁100bを設置して繋ぎ合わせて構築されている。
各ブロック100aは、地中に設けられた複数の基礎10と、各基礎10の上に設けられた柱20と、複数の柱20の上に設けられた梁30等を備えて構成されている。
基礎10は、地中に打ち込まれた複数の杭101と、複数の杭101の上に設けられたフーチング102とからなる。
柱20は、各フーチング102の上にそれぞれ立設されている。複数の柱20は1つのブロック100aに対し、高架橋100の橋軸方向にx(x≧2)本、橋軸直角方向にy(y≧2)本が並ぶ行列状に配列されている。図1では4×4=16本の柱20が1ブロックにある場合を例示した。
梁30は、複数の柱20の上に、各柱20の上部を繋ぐように格子状に設けられている。
この高架橋100における何れかの隣り合う柱20の間に耐震補強構造体50が設置されている。
耐震補強構造体50は、図1(a)(b)に示すように、高架橋100を構成する複数の柱20のうち、何れかの隣り合う柱20の下部を繋ぐように水平方向に設けられた第1鉄筋コンクリート部材51と、第1鉄筋コンクリート部材51の上方に配されて隣り合う柱20を繋ぐように水平方向に設けられた第2鉄筋コンクリート部材52と、第1鉄筋コンクリート部材51の端部と第2鉄筋コンクリート部材52の端部を繋ぎ、柱20に沿って垂直方向に設けられた一対の第3鉄筋コンクリート部材53と、を備えている。
第1鉄筋コンクリート部材51と第2鉄筋コンクリート部材52の両端は、それぞれアンカー54によって柱20に接続されている。
また、第3鉄筋コンクリート部材53と柱20の間には隙間55が設けられている。この隙間55は、ラーメン構造を有する高架橋100の上部が下部に対し水平方向に変位するように揺れた際、第3鉄筋コンクリート部材53と柱20とが接触しないように設けられている。なお、本実施形態では隙間55の幅は20mmに設計した。
また、第1鉄筋コンクリート部材51と第3鉄筋コンクリート部材53の間と、第2鉄筋コンクリート部材52と第3鉄筋コンクリート部材53の間には、それぞれ打継ぎ目56が形成されている。
打継ぎ目56は、先打ちコンクリートと後打ちコンクリートの接合部位に形成されるコンクリート接合部の一態様である。
具体的に、型枠などを用いて先打ちコンクリートを打設し、その先打ちコンクリートを硬化させて第1鉄筋コンクリート部材51を形成する。次いで、第3鉄筋コンクリート部材53用の型枠を組み、その型枠内に後打ちコンクリートを打設し、その後打ちコンクリートを硬化させて第3鉄筋コンクリート部材53を形成することで、第1鉄筋コンクリート部材51と第3鉄筋コンクリート部材53の間に打継ぎ目56を形成することができる。
同様に、その第3鉄筋コンクリート部材53を形成した後、第2鉄筋コンクリート部材52用の型枠を組み、その型枠内に後打ちコンクリートを打設し、その後打ちコンクリートを硬化させて第2鉄筋コンクリート部材52を形成することで、第3鉄筋コンクリート部材53と第2鉄筋コンクリート部材52の間に打継ぎ目56を形成することができる。このとき、既に硬化している第3鉄筋コンクリート部材53を先打ちコンクリートに見立てて第2鉄筋コンクリート部材52を形成している。
特に、先打ちコンクリートが硬化した後、後打ちコンクリートとの打継ぎ面となる箇所にグリス剤を塗布しておくことで、各鉄筋コンクリート部材間の打継ぎ目56にグリス剤を介在させるようにする。打継ぎ目56にグリス剤を介在させることで、各鉄筋コンクリート部材がくっついてしまうことなく、それぞれが別体となって個別に挙動することが可能になる。
なお、第1鉄筋コンクリート部材51、第2鉄筋コンクリート部材52、第3鉄筋コンクリート部材53の内部の鉄筋5には、表面に凹凸の無い鋼材である丸鋼鉄筋が用いられている。但し、実施形態として上記鉄筋5が全て丸鋼鉄筋である必要はない。例えば、耐震補強構造体50がロッキングした結果、当該構造体で損傷が生ずる箇所の鉄筋、或いは打継ぎ目56を貫通している鉄筋のみを丸鋼とし、それ以外の鉄筋を凹凸のある異形鉄筋としてもよい。
また、本実施形態では、高架橋100(ブロック100a)の鉄筋にも丸鋼鉄筋が用いられている。
この耐震補強構造体50は、各ブロック100aに少なくとも1基以上設置されている。上述したように、隣り合う柱20は橋軸方向または橋軸直角方向に並んでいるので、耐震補強構造体50は、上から見たときに、図1(b)に示すように、ある柱20から当該柱20と橋軸方向に隣り合う柱20の間、或いはある柱20から当該柱20と橋軸直角方向に隣り合う柱20の間に設けられることになる。特に、ブロック100a(高架橋100)において、支障物Aが設けられていない空間にある柱20間に耐震補強構造体50を設置している。
そして、補強対象のブロック100aの構造や、そのブロック100aが立地する地盤の状態に応じた数の耐震補強構造体50を設置することで、ブロック100a全体に必要な耐震性を持たせることができる。
例えば図1(b)に示すように、本実施形態では橋軸方向に隣り合う柱20の間に設置した2基の耐震補強構造体50と、橋軸直角方向に隣り合う柱20の間に設置した2基の耐震補強構造体50とによって、ブロック100aの耐震補強を図っている。
ここでは、ブロック100a下部の空間の一部を取り囲むように4基の耐震補強構造体50が平面視ロ字形状を呈するように配設されている。
なお、4基の耐震補強構造体50の配設パターンはこれに限らず任意である。
複数の耐震補強構造体50は、ブロック100aの重さの中心や硬さの剛心からバランスよく配設され、ブロック100aの構造物全体系として対称に配設されていればよい。例えば、ブロック100aに設置される複数の耐震補強構造体50は、構造物の全体系として対称的に数が同じになるパターンに配設することが好ましい。
具体的には、4基の耐震補強構造体50の配設パターンは、図2に示すパターンや、図3に示すパターンなどであってもよい。
次に、高架橋100に設置されている耐震補強構造体50の地震時の動作について説明する。
高架橋100に地震動が作用すると、梁30が地面に対し水平方向に相対的に変位するとともに、各柱20が梁30とともにその変位方向に傾くことになる。
柱20や梁30の変位量が少ないうちは、耐震補強構造体50の第2鉄筋コンクリート部材52が、柱20の傾きに伴って第1鉄筋コンクリート部材51に対し水平方向に変位するとともに、第3鉄筋コンクリート部材53が第2鉄筋コンクリート部材52の変位方向に僅かに傾斜する。このとき、鉄筋コンクリート部材間の打継ぎ目56が開き、第1鉄筋コンクリート部材51から第3鉄筋コンクリート部材53が僅かに浮き上がるとともに、第3鉄筋コンクリート部材53から第2鉄筋コンクリート部材52が僅かに浮き上がる。このような鉄筋コンクリート部材の浮き上がりが地震動に応じて左右繰り返すようにして、耐震補強構造体50にロッキングが生じる。
耐震補強構造体50にロッキングが生じることで、揺れのエネルギーを吸収することができる。
また、第1鉄筋コンクリート部材51、第2鉄筋コンクリート部材52、第3鉄筋コンクリート部材53には、鉄筋5として丸鋼鉄筋が用いられているので、耐震補強構造体50にロッキングが生じる際に、コンクリートと鉄筋5とが剥がれ易く、互いに滑り易くなっているので、耐震補強構造体50は好適にロッキングし、揺れのエネルギーを吸収することができる。
また、柱20や梁30の変位量が増加し、高架橋100(ブロック100a)の各部の結合部分が塑性変形し始めた場合には、耐震補強構造体50が塑性変形することで揺れのエネルギーを吸収するようになる。
なお、第3鉄筋コンクリート部材53と柱20の間に隙間55が設けられているので、耐震補強構造体50にロッキングが生じる際や、耐震補強構造体50が塑性変形する際に、第3鉄筋コンクリート部材53と柱20とが接触しないようになっており、第3鉄筋コンクリート部材53と柱20は別体となってそれぞれが個別に挙動するようになっている。
次に、この耐震補強構造体50の性能試験結果について説明する。
ここでの性能試験には、高架橋100(ブロック100a)を模した試験構造物として、図4に示すように、基礎10に相当する鉄筋コンクリートブロック110上に立設された3本の柱120と、その3本の柱120の上部を繋ぐように接合された梁30に相当する鉄筋コンクリートブロック130とを備えた構成の試験構造物1を用いた。この試験構造物1の鉄筋としては丸鋼鉄筋を用いている。
そして、補強を施さない試験構造物1の単体を試験体No.1とした(図4(a)参照)。
また、この試験構造物1の一方の柱120間に、第1鉄筋コンクリート部材51と第2鉄筋コンクリート部材52と第3鉄筋コンクリート部材53とを模した鉄筋コンクリート体を、打継ぎ目を形成しないように造るとともに、第3鉄筋コンクリート部材53に相当する部分を試験構造物1の柱120に密着させたものを補強構造体502として設置し、これを試験体No.2とした(図4(b)参照)。
なお、試験構造物1の柱120にはグリス剤を塗布しておき、試験構造物1の柱120と補強構造体502とが一体にならないようにした。
また、補強構造体502と鉄筋コンクリートブロック110の間には、地盤模擬材としてゴム板Gを介装した。
また、この試験構造物1の一方の柱120間に、第1鉄筋コンクリート部材51と第2鉄筋コンクリート部材52と第3鉄筋コンクリート部材53とを模した鉄筋コンクリート体を、打継ぎ目を形成しないように造ったものを補強構造体503として設置し、これを試験体No.3とした(図4(c)参照)。
なお、第3鉄筋コンクリート部材53に相当する部分と試験構造物1の柱120との隙間は20mmにした。
また、補強構造体503と鉄筋コンクリートブロック110の間には、地盤模擬材としてゴム板Gを介装した。
そして、この試験構造物1の一方の柱120間に、第1鉄筋コンクリート部材51と第2鉄筋コンクリート部材52と第3鉄筋コンクリート部材53とに相当する鉄筋コンクリート体を、打継ぎ目56にグリス剤を介在させるように造った補強構造体504を設置したものを試験体No.4とした(図4(d)参照)。なお、第3鉄筋コンクリート部材53に相当する部分と試験構造物1の柱120との隙間は20mmにした。
つまり、試験体No.4の補強構造体504は、本実施形態の耐震補強構造体50に相当する。
なお、補強構造体504と鉄筋コンクリートブロック110の間には、地盤模擬材としてゴム板Gを介装した。
上記した試験体No.1〜試験体No.4に対し静的正負交番載荷試験を実施し、その耐震性能を評価した。
ここでの静的正負交番載荷試験では、各試験体の鉄筋コンクリートブロック130に、柱120の断面積あたり1[N/mm]の負荷を鉛直方向に作用させた状態で、その鉄筋コンクリートブロック130を水平方向に変位させる際に要した荷重を計測した。この計測結果を図5に示す。
図5に示したグラフにおけるL1が試験体No.1の荷重−変位曲線、L2が試験体No.2の荷重−変位曲線、L3が試験体No.3の荷重−変位曲線、L4が試験体No.4の荷重−変位曲線である。
図5に示したグラフにおいて、試験体No.1よりも試験体No.2の荷重−変位曲線の方が変位の大きい領域では概ね高荷重側にあることから、試験体No.1よりも試験体No.2の方が耐震性能に優れていることがわかる。
これは、試験体No.2では、試験構造物1の柱120間に上述した補強構造体502を設置したことによる。
これに対し、図5に示したグラフにおいて、試験体No.2よりも試験体No.3の荷重−変位曲線の方が概ね高荷重側にあることから、試験体No.2よりも試験体No.3の方が耐震性能に優れていることがわかる。
これは、試験体No.3では、試験構造物1の柱120間に上述した補強構造体503を設置したことにより、その補強構造体503と試験構造物1の柱120との間に隙間が設けられたことに起因する。
試験体No.2のように、補強構造体502と試験構造物1の柱120とが密着していると、見かけ上、試験構造物1の柱120が太くなり相対的に短くなったことで、剪断破壊が生じ易くなる。
つまり、試験体No.3のように、補強構造体503と試験構造物1の柱120との間に隙間が設けられている方が剪断破壊は生じ難く、耐震性能が向上することがわかる。
さらに、図5に示したグラフにおいて、試験体No.3よりも試験体No.4の荷重−変位曲線の方が変位の大きい領域では概ね高荷重側にあることから、試験体No.3よりも試験体No.4の方が耐震性能に優れていることがわかる。
これは、試験体No.4では、補強構造体504と試験構造物1の柱120との間に隙間が設けられていることに加え、補強構造体504の鉄筋コンクリート部材間に打継ぎ目56が設けられたことに起因する。
試験体No.4のように、補強構造体504の鉄筋コンクリート部材間に打継ぎ目56が設けられていると、補強構造体504がロッキングし、揺れのエネルギーを吸収することができる。
つまり、試験体No.4のように、補強構造体504をロッキングさせることで揺れのエネルギーを吸収するようにすれば、耐震性能が向上することがわかる。
このような静的正負交番載荷試験の結果から、試験体No.1〜No.4のうち、最も試験体No.4の耐震性能が優れていることがわかる。
このように、ラーメン構造を有する高架橋100(ブロック100a)に設置する耐震補強構造体50としては、高架橋100の柱20に沿って垂直方向に配設された第3鉄筋コンクリート部材53が柱20と接触しないように、隙間55が設けられているものがよい。
第3鉄筋コンクリート部材53と柱20との間に隙間がなく密接していると、見かけ上、柱20が太くなり相対的に短くなって剪断破壊が生じ易くなるので好ましくない。
また、ラーメン構造を有する高架橋100(ブロック100a)に設置する耐震補強構造体50としては、高架橋100の柱20に沿って垂直方向に配設された第3鉄筋コンクリート部材53と、水平方向に配設された第1鉄筋コンクリート部材51および第2鉄筋コンクリート部材52の間にそれぞれ打継ぎ目56が形成されているものがよい。
鉄筋コンクリート部材間に打継ぎ目56が設けられていれば、地震発生時に耐震補強構造体50にロッキングが生じることで、揺れのエネルギーを吸収することができる。
特に、第3鉄筋コンクリート部材53と柱20との間に隙間55が設けられていれば、耐震補強構造体50がロッキングし易く、好適に地震動のエネルギーを吸収することが可能になる。
また、この耐震補強構造体50は、高架橋100の各ブロック100aを構成する一部の柱20間に設置するだけで、複数のブロック100aからなる高架橋100全体を耐震補強することができる。
このため、高架橋100下に支障物Aが設けられていても、支障物Aの無い空間があれば、その空間の柱20間に耐震補強構造体50を設置するようにして、支障物Aを全く撤去することなく高架橋100の耐震補強工事を行うことができる。或いは僅かに支障物Aを撤去して一時的に作業空間をつくるようにして高架橋100の耐震補強工事を行うことができる。
特に、高架橋100(ブロック100a)の鉄筋に丸鋼鉄筋が用いられている場合に、耐震補強構造体50の各鉄筋コンクリート部材の鉄筋5に丸鋼鉄筋を用いれば、高架橋100と耐震補強構造体50においてコンクリートと鉄筋とが剥がれ易く互いに滑り易くなるという挙動が揃うので、揺れのエネルギーを好適に吸収することができ、好適に耐震補強を図ることができる。
以上のように、本実施形態の耐震補強構造体50は、鉄筋コンクリート部材からなる比較的簡易な構造を有しているとともに、高架橋100の複数の柱20のうち何れかの隣り合う柱20間に少なくとも1基の耐震補強構造体50を設置することで、高架橋100全体の耐震補強を図ることができる。
つまり、この耐震補強構造体50であれば、施工コストを抑えて高架橋100の耐震性能を向上させることができる。
なお、以上の実施の形態においては、1つのブロック100aに4基の耐震補強構造体50を設置する場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ブロック100aに設置する耐震補強構造体50の数は任意である。
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
10 基礎
20 柱
30 梁
50 耐震補強構造体
51 第1鉄筋コンクリート部材
52 第2鉄筋コンクリート部材
53 第3鉄筋コンクリート部材
54 アンカー
55 隙間
56 打継ぎ目
5 鉄筋
100 高架橋(ラーメン構造物)
100a 高架橋ブロック
A 支障物

Claims (3)

  1. 所定間隔を空けて立設された複数の柱と、各柱の上部を繋ぐように設けられた梁とからなるラーメン構造を有する構造物に設置されることで、前記構造物の耐震性を高める耐震補強構造体であって、
    前記構造物の複数の柱のうち、何れかの隣り合う柱の下部を繋ぐように水平方向に設けられた第1鉄筋コンクリート部材と、
    前記第1鉄筋コンクリート部材の上方に配されて前記隣り合う柱を繋ぐように水平方向に設けられた第2鉄筋コンクリート部材と、
    前記第1鉄筋コンクリート部材の端部と前記第2鉄筋コンクリート部材の端部を繋ぎ、前記柱に沿って垂直方向に設けられた一対の第3鉄筋コンクリート部材と、を備え、
    前記構造物の上部が下部に対し水平方向に変位するように揺れた際、前記一対の第3鉄筋コンクリート部材がそれぞれ隣接する前記柱と接触しないように、隙間が設けられており、
    前記第1鉄筋コンクリート部材と前記第3鉄筋コンクリート部材の間と、前記第2鉄筋コンクリート部材と前記第3鉄筋コンクリート部材の間には、それぞれ打継ぎ目が形成されており、各鉄筋コンクリート部材はそれぞれが別体となって個別に挙動することが可能に構成されていることを特徴とする耐震補強構造体。
  2. 前記打継ぎ目には、その打継ぎ目に塗布されたグリス剤が介在されていることを特徴とする請求項に記載の耐震補強構造体。
  3. 前記第1鉄筋コンクリート部材、前記第2鉄筋コンクリート部材、前記第3鉄筋コンクリート部材の内部の鉄筋には、表面に凹凸の無い鋼材が用いられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐震補強構造体。
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