JP6648624B2 - バーリング加工方法及びプレス成形装置 - Google Patents

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Description

本発明は、バーリング加工装置、バーリング加工方法、及びバーリング成形品に関する。
バーリング加工は、被加工材に設けられた下穴の縁にフランジを形成する加工方法である。バーリング加工では、被加工材の下穴にパンチを押し込み、被加工材の下穴の周縁部分をパンチの押し込み方向に伸ばすことで、被加工材の下穴の縁から突出する伸びフランジを成形する。
例えば特許文献1には、プレス加工により、板材のバーリング加工を行うべき箇所において、立ち上げ部の立ち上げ方向に凸部を成形する予備成形工程と、パンチング加工により、予備成形工程で成形した凸部に、最終的に得る穴の直径より小さい直径の穴を開けるパンチング工程と、プレス加工により、穴の開いた凸部を深絞りして立ち上げ部を成形する本成形工程とを備える、板材のバーリング加工方法が開示されている。かかるバーリング加工方法では、予備成形工程を行うことで凸型、凹型の形状に添ったプレスがされなくなるため伸びが均一となり、伸びの小さい材料においても立ち上げ部の先端に割れは発生せず、また、厚みも均一とすることができる。
特開2004−223583号公報
バーリング加工により被加工部材に成形されたバーリング部は、例えば伸びフランジ部の中空部分をねじの取り付け部として利用される。この場合、ねじに取り付けに耐え得る強度を確保することが必要となる。しかし、バーリング加工では、被加工材の下穴の辺縁領域の材料を伸ばして伸びフランジ部を成形するため、伸びフランジ部の板厚はバーリング加工前の被加工材の板厚よりも減少する。そこで、バーリング加工により成形された伸びフランジ部を増肉するためにそのまま据え込み増肉を行うと、伸びフランジ部と当該伸びフランジ部の周囲のフランジ周囲部とにより形成されるコーナー部の内側でフランジ周囲部と伸びフランジ部とが重なり合い、折れ込みが生じやすい。発生した折れ込みは切削により除去されるため、切削コストがかかる。また、折れ込みの発生を防止するためにバリを出す場合には、バリを除去する抜き打ち工程が必要となる。
上記特許文献1に記載のバーリング加工方法においても、板材と伸びフランジ部に相当する立ち上げ部の内面とにより形成されるコーナー部は、加工前の板材の厚さよりも減肉するため、必要な強度を確保することができない。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、コーナー部の自在な成形を実現することが可能な、することが可能な、新規かつ改良されたバーリング加工装置、バーリング加工方法、及びバーリング成形品を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、被加工材をバーリング加工して筒状の伸びフランジ部を有する成形品を得るためのバーリング加工方法であって、伸びフランジ部に対応する部分を固定ダイの平面部から突出した突起部に対応させ、伸びフランジ部の周囲のフランジ周囲部を固定ダイに対して突起部の突出方向に移動可能な可動ダイに対応させるように、被加工材をダイに載置する工程と、第1のパンチと可動ダイとの間でフランジ周囲部のうち伸びフランジ部の辺縁にあるフランジ辺縁領域よりも外辺にある外辺領域を挟持した状態で、第1のパンチ、及び突起部の側面との間で伸びフランジ部を拘束する第2のパンチを、可動ダイが固定ダイの平面部に当接するまで押し込む工程と、固定ダイの平面部に当接した可動ダイと第1のパンチとによって外辺領域を挟持した状態で、第2のパンチを第1のパンチよりも遅れて可動ダイに対して押し込み、フランジ辺縁領域と伸びフランジ部とにより形成されるコーナー部を成形する工程と、第2のパンチによるコーナー部の成形後に、コーナー部と反対側の伸びフランジ部の端面に当接された第3のパンチを、固定ダイの平面部に向かって押し込む工程と、を含み、バーリング加工により得られた筒状の伸びフランジ部を有する成形品を第2の被加工材として、第2の成形品の形状に対応した形状であって、伸びフランジ部の中空部分が挿入される第2の突起部と、伸びフランジの周囲のフランジ周囲部を支持する第2の平面部とを有する第2のダイと、第2のダイの第2の平面部とともにフランジ周囲部を挟持する第4のパンチと、伸びフランジ部の端面を押し込み、第2の成形品を成形する第5のパンチとを有し、第2のダイのうち、フランジ周囲部を支持する第2の平面部は、フランジ周囲部のコーナー部以外の領域を支持する固定ダイと、コーナー部を支持し、伸びフランジ部の伸び方向に移動可能な可動ダイと、を有するプレス成形装置を用いて、フランジ周囲部を第2の平面部の固定ダイ及び第4のパンチで挟持した状態で、第5のパンチにより伸びフランジ部の端面を押し込んで、可動ダイを移動させることにより、伸びフランジ部に延設されるフランジ延設部を有する第2の成形品を成形する、バーリング加工方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、筒状の伸びフランジ部を有するバーリング成形品を被加工材として、伸びフランジ部にフランジ延設部が延設されたプレス成形品を得るためのプレス成形装置であって、プレス成形品の形状に対応した形状であって、伸びフランジ部の中空部分が挿入される第2の突起部と、伸びフランジの周囲のフランジ周囲部を支持する第2の平面部と、を有する第2のダイと、第2のダイの第2の平面部とともにフランジ周囲部を挟持する第4のパンチと、伸びフランジ部の端面を押し込み、プレス成形品を成形する第5のパンチと、を有し、第2のダイのうち、フランジ周囲部を支持する第2の平面部は、フランジ周囲部のコーナー部以外の領域を支持する固定ダイと、コーナー部を支持し、伸びフランジ部の伸び方向に移動可能な可動ダイと、を有する、プレス成形装置が提供される。
以上説明したように本発明によれば、コーナー部の自在な成形を実現することが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係るバーリング加工装置の構成をバーリング加工時の動作とともに示す概略的な断面図であって、バーリング加工開始前の状態を示す。 同実施形態に係るバーリング加工装置の構成をバーリング加工時の動作とともに示す概略的な断面図であって、伸びフランジ部及び外辺領域が成形された状態を示す。 同実施形態に係るバーリング加工装置の構成をバーリング加工時の動作とともに示す概略的な断面図であって、フランジ辺縁領域及びコーナー部が成形された状態を示す。 同実施形態に係るバーリング加工装置の構成をバーリング加工時の動作とともに示す概略的な断面図であって、コーナー部を略直角に成形した状態を示す。 図2の領域Aの部分拡大部である。 図3の領域Aの部分拡大部である。 図4の領域Aの部分拡大部である。 同実施形態に係るバーリング加工装置によって成形された成形品の断面におけるコーナー部の形状の一例を示す説明図であって、コーナー部の板厚が、伸びフランジ部及び被加工材の板厚よりも大きくなるように成形された例を示す。 同実施形態に係るバーリング加工装置によって成形された成形品の断面におけるコーナー部の形状の一例を示す説明図であって、コーナー部の外側が略直角に成形された例を示す。 同実施形態に係るバーリング加工装置により成形されたバーリング成形品の一例を示す概略斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係るプレス加工により成形される成形品の一例を示す説明図である。 同実施形態に係るプレス加工装置の構成をプレス加工時の動作とともに示す概略的な断面図であって、伸びフランジ部を増肉させるプレス加工の初期状態を示す。 同実施形態に係るプレス加工装置の構成をプレス加工時の動作とともに示す概略的な断面図であって、伸びフランジ部の増肉後の状態を示す。 本発明の第3の実施形態に係るプレス加工により成形される成形品の一例を示す概略斜視図である。 同実施形態に係るプレス加工装置の構成をプレス加工時の動作とともに示す概略的な断面図であって、伸びフランジ部を増肉させるプレス加工の初期状態を示す。 同実施形態に係るプレス加工装置の構成をプレス加工時の動作とともに示す概略的な断面図であって、伸びフランジ部の増肉後の状態を示す。 同実施形態に係るプレス加工装置により成形される成形品の一変形例を示す概略斜視図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(1.第1の実施形態:コーナー部の増肉)
(1−1.バーリング加工装置の動作)
まず、図1〜図7に基づいて、本発明の第1の実施形態に係るバーリング加工装置100を用いたバーリング加工について説明する。図1〜図4は、本実施形態に係るバーリング加工装置の構成をバーリング加工時の動作とともに示す概略的な断面図である。図5〜図7は、図2〜図4の領域Aにおける被加工材10の加工状態を示す部分拡大図である。
図1〜図4を参照すると、バーリング加工装置100は、ダイ110と、パンチ120とを含む。ダイ110は、固定ダイ111と、可動ダイ(パッド)113とを含む。パンチ120は、固定パンチ121と、外側可動パンチ(パッド)123と、内側可動パンチ(パッド)127とを含む。
図1に示すように、本実施形態におけるバーリング加工の開始時において、被加工材10は平板状である。被加工材10には、バーリング加工により伸びフランジ部が形成される位置に下穴12が予め形成されている。下穴12は、例えば打ち抜き加工や切削加工により形成される。
固定ダイ111は、被加工材10に成形する伸びフランジ部の内面形状に対応する形状の突起部111aを有する。突起部111aの周囲には、固定ダイ111の基台部111bに対して突起部111aの突出方向に移動可能に設けられ、バーリング成形品の伸びフランジ部の周囲のフランジ周囲部を支持する可動ダイ113が設けられている。可動ダイ113は、固定ダイ111の基台部111bの上面に連結されたクッション115によって、その上面が被加工材10に当接するように支持されている。
一方、パンチ120は、被加工材10の外辺領域に接する外側可動パンチ123と、外側可動パンチ123よりも内部側に設けられ、フランジ辺縁領域、伸びフランジ部に接する内側可動パンチ127とが、それぞれクッション125、129により固定パンチ121に対して移動可能に固定されている。このとき、内側可動パンチ127は、外側可動パンチ123よりも後退した(つまり、被加工材10及びダイ110から遠い)位置で支持されている。また、固定パンチ121は、内側可動パンチ127の内部側に、ダイ110の突起部111aと嵌合する嵌合部121aを有する。図1の状態において、外側可動パンチ123は、被加工材10の外辺領域を、可動ダイ113の上面との間で被加工材10を挟持している。
プレス加工の開始後、パンチ120がダイ110に向かってプレスされると、まずダイ110のクッション115が収縮し、可動ダイ113が、外側可動パンチ123との間で被加工材10の外辺領域を挟持したままダイ110の基台部111b側へ押し込まれる。この時点でパンチ120のクッション125、129は収縮しない。したがって、パンチ120は、内側可動パンチ127が外側可動パンチ123よりも後退した位置関係を維持した状態で、ダイ110の基台部111bに押し込まれる。つまり、内側可動パンチ127は、外側可動パンチ123よりも遅れてダイ110の基台部111bに押し込まれることになる。
可動ダイ113と外側可動パンチ123とにより挟持された状態でパンチ120が固定ダイ111側へ押し込まれると、被加工材10の下穴12の周辺部分は、固定ダイ111の突起部111aに沿ってパンチ120の押し込み方向に伸ばされながら径方向に拡大する。そして、図2及び図5に示すように、可動ダイ113が基台部111bに底突きすると、下穴12の縁から突出する伸びフランジ部13が形成される。なお、以下では、下穴12の径が拡大して形成された伸びフランジ部13の中空部分をバーリング穴14と称する。
本実施形態において、伸びフランジ部13は、内側可動パンチ127と固定ダイ111の突起部111aの側面111cとにより拘束されている。つまり、バーリング加工装置100において、内側可動パンチ127は、突起部111aの側面111cとの間隔が被加工材10の板厚に略一致するように配置されている。また、内側可動パンチ127は、可動ダイ113が外側可動パンチ123に押し込まれて固定ダイ111の基台部111bの上面に底突きした時点では、外側可動パンチ123よりも遅れて固定ダイ111の基台部111b側に押し込まれるため、被加工材10の外辺領域15aと伸びフランジ部13との間にはテーパー部17が存在する。
次いで、さらにパンチ120がダイ110側へ押し込まれると、図3及び図6に示すように、パンチ120のクッション125が収縮し、内側可動パンチ127が固定ダイ111の基台部111b側へ押し込まれて外側可動パンチ123に追いつく。内側可動パンチ127の端面と外側可動パンチ123の端面とは略面一となり、内側可動パンチ127は、固定ダイ111の基台部111bの上面との間で被加工材10(テーパー部17)を挟み込んだ状態となる。これにより、被加工材10の外辺領域15aよりバーリング穴14側のフランジ辺縁領域15bと、フランジ辺縁領域15bと伸びフランジ部13とにより形成されるコーナー部18が成形される。なお、以下では、外辺領域15a及びフランジ辺縁領域15bをまとめて被加工材10のフランジ周囲部15ともいう。フランジ周囲部15は、被加工材10において伸びフランジ部13以外の部分を指すものとする。
ここで、図2及び図3より明らかなように、被加工材10の断面において、テーパー部17の長さは、フランジ辺縁領域15bとコーナー部18とを合わせた長さよりも長い。したがって、本実施形態に係るバーリング加工装置100によれば、コーナー部18を増肉させる、つまり、コーナー部18を伸びフランジ部13及び被加工材10よりも板厚が大きくなるように成形することが可能である。
さらに付加的な工程として、図4に示すように、図3に示した工程の後、パンチ120を固定ダイ111の基台部111bに向かってさらに押し込んでもよい。これにより、パンチ120のクッション125、129が収縮し、固定パンチ121の嵌合部121aがダイ110の突起部111aへ押し込まれる。ここで、固定パンチ121の嵌合部121aの端面は、固定ダイ111の突起部111aが入り込む凹部121bが形成されており、その凹部121bの端面121cは、パンチ120の押し込みにより、伸びフランジ部13の端面19に当接する。そして、パンチ120をさらに押し込むことで、図4及び図7に示すように、固定ダイ111の端面121cが伸びフランジ部13の端面19を押し込み、被加工材10の材料を移動させて、図3及び図6の状態で固定ダイ111の突起部111a、基台部111b及び被加工材10のコーナー部18との間に存在した僅かな隙間を埋める。これにより、コーナー部18をさらに増肉させることができる。図4の例では、コーナー部18の外側は略直角に成形されている。
(1−2.成形品の特徴)
図8および図9は、本発明の第1の実施形態に係るバーリング加工装置によって成形された成形品の断面におけるコーナー部の形状の一例を示す説明図である。図8は、コーナー部18が、伸びフランジ部13及び被加工材10(フランジ辺縁領域15b及び外辺領域15)よりも板厚が大きくなるように成形された例である。図9は、コーナー部18の外側が略直角に成形された例である。
上述したように、本実施形態に係るバーリング加工装置100を用いたバーリング加工では、被加工材10に伸びフランジ部13及び被加工材10の外辺領域15aを成形した後に、伸びフランジ部13と被加工材10の外辺領域15aとの間のテーパー部17を内側可動パンチ127で押しつぶすことによりコーナー部18を成形する。このため、伸びフランジ部13とフランジ周囲部15との間での材料の流動は生じず、コーナー部18の外側の曲率半径を小さくする、またはコーナー部18の外側を略直角にすることが可能である。
例えば、図8に示すように、被加工材10のコーナー部18の板厚tcを、被加工材10の加工前の板厚tよりも大きくなるように成形できる。つまり、コーナー部18が増肉されている。ここで、フランジ周囲部15の板厚tは、被加工材10の加工前の板厚tと等しいものとする。また、伸びフランジ部13の板厚tは、通常、バーリング加工により材料を伸ばして成形された部材であり、フランジ周囲部15の板厚tよりも小さくなりやすい。
本実施形態に係るバーリング加工装置100により成形された被加工材10の断面において、コーナー部18の外側の曲率半径R2は、内側の曲率半径R1に被加工材10の加工前の板厚tを加えたものよりも小さくなる(R2<R1+t)。特に、図8に示したように、外側の曲率半径R2を内側の曲率半径R1よりも小さくする(R2<R1)ことも可能である。また、コーナー部18が被加工材10の加工前の板厚tである場合には、外側の曲率半径R2は、内側の曲率半径R1と被加工材10の加工前の板厚tとの和に等しくなる(R2=R1+t)。以上より、本実施形態において、コーナー部18を増肉させることは、コーナー部18の外側の曲率半径R2が、内側の曲率半径R1に被加工材10の加工前の板厚tを加えた値以下であることと等価である。なお、コーナー部18の板厚tcが被加工材10の加工前の板厚tよりも小さい場合には、コーナー部18の外側の曲率半径R2は、内側の曲率半径R1に被加工材10の加工前の板厚tを加えたものよりも大きくなる(R2>R1+t)。
具体的には、例えば、被加工材10の加工前の板厚tが5mmの場合、コーナー部18の外側の曲率半径R2を0.5mm(板厚tの10%)とし、内側の曲率半径R1を7.5mm(板厚tの1.5倍)とすると、折り込みを生じることなくバーリング加工を実施することが可能である。なお、図9に示す例のように、コーナー部18の外側は直角にすることも可能であるため、曲率半径R2は0.5mmより小さくてもよい。また、上記のような従来技術との関係においては曲率半径R2を小さくした場合に本実施形態の有利性が顕著であるものの、コーナー部18の外側の曲率半径R2が大きいことによって本実施形態の適用が阻害されるものではないため、曲率半径R2は0.5mmよりも大きくてもよい。コーナー部18の内側の曲率半径R1については、曲率半径R2に対して大きすぎると材料の折れ込みなどによる疵が発生する可能性があるが、少なくとも曲率半径R1が板厚tに対して上記の例のような範囲にある場合には、疵を生じることなくバーリング加工を実施することが可能である。
また、図9に示された例では、被加工材10の断面において、コーナー部18の外側が略直角に成形されている。なお、本明細書において、「コーナー部18の外側が略直角である」場合には、コーナー部18の外側が厳密に直角である場合だけではなく、コーナー部18の外側の曲率半径が限りなく小さく、0に近い場合も含まれる。この場合、コーナー部18の内側も略直角に成形することも可能であるが、コーナー部18への応力集中を避ける観点から、コーナー部18の内側についてはある程度の(0に近い程度ではない)曲率半径R1を与えることが望ましい。この場合、コーナー部18の外側の曲率半径は、内側の曲率半径R1に被加工材10の加工前の板厚tを加えたものよりも小さいと解することができる。従って、図9に示された例においても、コーナー部18は増肉されているといえる。
図10は、本実施形態に係るバーリング加工装置100により成形されたバーリング成形品50の一例である。図10に示す軸対称形状のバーリング成形品50は、伸びフランジ部53と、フランジ周囲部55とを含む。伸びフランジ部53は、円筒形状を有しており、バーリング穴54が形成されている。なお、上述の図8及び図9に示した被加工材10の断面は、図10のバーリング成形品50のB−B切断線での断面に対応する。バーリング成形品50は、コーナー部58が増肉されている、またはコーナー部58の外側が略直角であるという特徴を有する。すなわち、伸びフランジ部53の内周面が、フランジ周囲部55側まで略面一となる。したがって、バーリング穴54にねじ溝を形成した場合、ねじ溝が形成される領域を多くすることができるので、ねじとの結合強度を高めることができる。
(1−3.まとめ)
以上で説明した本発明の第1の実施形態では、バーリング加工装置100を用いた被加工材10のバーリング加工において、内側可動パンチ127が外側可動パンチ123よりも遅れて固定ダイ111の基台部111b側に押し込まれることによって、伸びフランジ部13と被加工材10の外辺領域15aとの間にテーパー部17が形成される。テーパー部17の長さは最終的に形成されるフランジ周囲部15及びコーナー部18を合わせた長さよりも長い。したがって、テーパー部17を押し広げてコーナー部18を成形することによって、伸びフランジ部13と被加工材10の外辺領域15aとの間で材料を流動させなくてもコーナー部18を増肉させることができる。それゆえ、本実施形態では、従来技術に比べてコーナー部18の外側の曲率半径を小さくする、またはコーナー部18の外側を略直角にすることができる。また、伸びフランジ部13及びフランジ周囲部15を増肉させることなく、コーナー部18だけを増肉させることもできる。
また、本実施形態に係るバーリング加工装置100では、パンチ120を押し込む一連のプレス工程の中で、クッション125の作用によって内側可動パンチ127を外側可動パンチ123よりも遅れて固定ダイ111の基台部111b側に押し込ませる。これによってコーナー部18の自在な成形を可能にしている。このように、本実施形態に係るバーリング加工装置100は単軸でよく、パンチの複数の部分を互いに独立してプレスする多軸のバーリング加工装置は必要とされない。
なお、上述した例では、図1に示すように被加工材10が平板状である状態からバーリング加工が開始されたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、被加工材10の形状は特に限定されず、平板状以外の被加工材に対してもバーリング加工は可能である。また、図10に示したバーリング成形品50は、伸びフランジ部53を平面視した形状(すなわち、バーリング穴54の形状)は円形であったが、本発明はかかる例に限定されず、例えば、楕円形状や多角形状であってもよい。さらに、図1〜図4に基づき説明した本実施形態に係るバーリング加工方法の各工程を、一連の工程としてバーリング加工装置100により実施したが、本発明はかかる例に限定されず、各工程を複数の加工装置により分担して実施してもよい。
(2.第2の実施形態:伸びフランジ部の増肉)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、上述の第1の実施形態に係るバーリング加工方法により成形されたバーリング成形品をさらにプレス加工して、伸びフランジ部が肉厚である成形品を成形する工程を追加している。第1の実施形態に係るバーリング加工方法により成形されたバーリング成形品を用いて伸びフランジ部が増肉された成形品をプレス成形することで、内部のコーナー面が重なり合うことがなく伸びフランジ部を増肉することができる。以下では、第1の実施形態に係るバーリング加工方法により成形されたバーリング成形品を用いることを前提として、伸びフランジ部を増肉する工程について説明する。
図11は、本実施形態に係るプレス加工により成形される成形品60Aの一例を示す説明図である。図11に示す成形品60Aは、伸びフランジ部63と、フランジ周囲部65とを含む成形品である。この成形品60Aは、例えば、図10に示した、コーナー部の外側の曲率半径が小さい、あるいは略直角であるバーリング成形品50を、以下説明するプレス加工装置によりプレス加工することで成形される。
本実施形態に係る伸びフランジ部63を増肉するためのプレス加工装置200の構成を、図12及び図13に示す。図12は、伸びフランジ部を増肉させるプレス加工の初期状態を示す概略的な断面図である。図13は、伸びフランジ部の増肉後の状態を示す概略的な断面図である。図12及び図13を参照すると、プレス加工装置200は、ダイ210と、パンチ220とを含む。ダイ210は、固定ダイである。パンチ220は、固定パンチ221と、可動パンチ(パッド)223とを含む。
図12に示すように、本実施形態におけるプレス加工の開始時において、被加工材20は、例えば第1の実施形態により成形されたバーリング成形品であり、コーナー部の外側の曲率半径が小さい、あるいは略直角となっている。例えば、被加工材20は、図10に示したバーリング成形品50であり、この場合、プレス加工装置200により、図11に示した伸びフランジ部63が増肉された成形品60Aが成形される。なお、本発明はかかる例に限定されず、プレス加工装置200は、図10に示した形状以外のバーリング成形品を成形することも可能である。
ダイ210は、被加工材20のバーリング穴24が挿通される突起部211を有する。突起部211は、被加工材20により製造される成形品の形状に対応して形成されている。したがって、突起部211の外径は、被加工材20の伸びフランジ部23の内径(すなわち、バーリング穴24の内径)よりも小さく形成されている。被加工材20は、バーリング穴24をフランジ周囲部25側からダイ210の突起部211に挿通されて、ダイ210の基台部213に設置される。このとき、被加工材20の伸びフランジ部23の内部側には、当該プレス加工により増肉される分の空間が存在する。
一方、パンチ220は、可動パンチ223が、被加工材20のフランジ周囲部25に当接するように配置される。このとき、可動パンチ223は、固定パンチ221と連結されたクッション225によって被加工材20を押圧し、ダイ210の基台部213の上面との間で被加工材20のフランジ周囲部25を挟持している。また、パンチ220は、可動パンチ223よりも内部側に設けられ、ダイ210の突起部211と嵌合する嵌合部221aを有する。固定パンチ221の嵌合部221aの端面は、ダイ210の突起部211が入り込む凹部221bが形成されている。凹部221bの端面221cは、伸びフランジ部23の端面29と対向している。
プレス加工装置200によるプレス加工を開始すると、図13に示すように、固定パンチ221と可動パンチ223との間に設けられたクッション225が収縮し、固定パンチ221がダイ210側に向かって移動する。これにより、固定パンチ221の嵌合部221aの端面221cによって伸びフランジ部23の端面29が押し込まれ、被加工材20の伸びフランジ部23を構成している材料がダイ210の突起部211との間に存在する空間へ流動し、当該空間を埋める。こうして、図13に示すように、被加工材20の伸びフランジ部23をプレス加工前よりも増肉させるとともに、プレス加工後のコーナー部28の外側の曲率半径を、プレス加工前と同様、小さく、あるいは略直角とすることができる。
ここで、本実施形態により成形される成形品は、上述の実施形態により成形されたコーナー部の外側の曲率半径が小さい、あるいは略直角である成形品を、プレス加工装置200によりプレス加工することで得られる。被加工材のコーナー部の外側の曲率半径が大きく、コーナー部の板厚が薄いと、プレス加工装置200により伸びフランジ部の端面を押圧した際、伸びフランジ部及びフランジ周囲部の材料が流動してしまい、コーナー部の内部に折れ込み等の疵が発生する。折れ込み部分は伸びフランジ部とフランジ周囲部との内面同士が接触して重なっている部分であり、伸びフランジ部とフランジ周囲部との重なりが解かれて開きやすいため、他の部分に比べて強度が低下する。また、折れ込み部分は疲労破壊の要因ともなる。
そこで、本実施形態のように、コーナー部の外側の曲率半径が小さい、あるいは略直角であるバーリング成形品を被加工材として用いると、被加工材20のフランジ周囲部25がダイ210の基台部213と可動パンチ223とにより挟持された状態で、コーナー部28の材料が流動するため、折り込みを生じさせることなくダイ210の突起部211との間の空間を埋めることができる。したがって、コーナー部28の内部に折れ込みが発生することなく、かつ、コーナー部28の外側の曲率半径を、プレス加工前と同様、小さく、あるいは略直角とすることができる。
以上で説明した本発明の第2の実施形態では、プレス加工装置200を用いた被加工材20のプレス加工において、被加工材20として、第1の実施形態に成形された、コーナー部の外側の曲率半径が小さい、あるいは略直角であるバーリング成形品を用いる。そして、プレス加工装置200により、被加工材20のフランジ周囲部25を挟持した状態で伸びフランジ部23の端面29に荷重を加えることで、伸びフランジ部23とフランジ周囲部25との間で材料を流動させなくても伸びフランジ部23を増肉させるとともに、従来技術に比べてコーナー部28の外側の曲率半径を小さくする、またはコーナー部28の外側を略直角にすることができるので、成形後のコーナー部28も増肉させることができる。
(3.第3の実施形態:押出し加工)
(3−1.伸びフランジ部の押出し)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態では、上述の第1の実施形態のバーリング加工方法により成形されたバーリング成形品をさらにプレス加工して、伸びフランジ部が延設された成形品を成形する工程を追加している。第1の実施形態により成形されたバーリング成形品をプレス成形することで、内部のコーナー面が重なり合うことがなく伸びフランジ部を押出し、伸びフランジ部を延設することができる。以下では、第1の実施形態により成形されたバーリング成形品を用いることを前提として、伸びフランジ部を延設する工程について説明する。
図14は、本実施形態に係るプレス加工により成形される成形品60Bの一例を示す説明図である。図14に示す成形品60Bは、伸びフランジ部63と、フランジ周囲部65と、伸びフランジ部63がコーナー部側から延設されたフランジ延設部67とを含む成形品である。この成形品60Bも、例えば、図10に示した、コーナー部の外側の曲率半径が小さい、あるいは略直角であるバーリング成形品50を、以下説明するプレス加工装置によりさらにプレス加工することで成形される。
本実施形態に係る伸びフランジ部63を延設するためのプレス加工装置300の構成を、図15及び図16に示す。図15は、伸びフランジ部を延設させるプレス加工の初期状態を示す概略的な断面図である。図16は、伸びフランジ部の延設後の状態を示す概略的な断面図である。図15及び図16を参照すると、プレス加工装置300は、ダイ310と、パンチ320とを含む。ダイ310は、伸びフランジ固定ダイ311と、フランジ周囲固定ダイ313と、可動ダイ(パッド)315とを含む。パンチ320は、固定パンチ321と、可動パンチ(パッド)323とを含む。
図15に示すように、本実施形態におけるプレス加工の開始時において、被加工材20は、第2の実施形態と同様、第1の実施形態のバーリング加工方法により成形されたバーリング成形品であり、コーナー部の外側の曲率半径が小さい、あるいは略直角となっている。例えば、被加工材20は、図10に示したバーリング成形品50であり、この場合、プレス加工装置300により、図14に示した伸びフランジ部63がコーナー部側から延設された成形品60Bが成形される。なお、本発明はかかる例に限定されず、プレス加工装置300は、図10に示した形状以外のバーリング成形品を成形することも可能である。
ダイ310は、被加工材20のバーリング穴24が挿通される突起部である伸びフランジ固定ダイ311と、被加工材20のフランジ周囲部25を支持するフランジ周囲固定ダイ313及び可動ダイ315とから構成されている。被加工材20の伸びフランジ部23は、伸びフランジ固定ダイ311の側面と可動パンチ323の側面とにより挟持されている。フランジ周囲固定ダイ313及び可動ダイ315は、伸びフランジ固定ダイ311より後退して(すなわち、パンチ320と反対側に)設けられている。可動ダイ315は、伸びフランジ部23に対応する位置に設けられており、クッション317によりフランジ周囲固定ダイ313にパンチ320の押し込み方向に移動可能に連結されている。フランジ周囲固定ダイ313は、可動ダイ315の外側に設けられており、可動パンチ323とともに被加工材20のフランジ周囲部25の一部を挟持する。被加工材20は、バーリング穴24をフランジ周囲部25側から伸びフランジ固定ダイ311に挿通されて、フランジ周囲固定ダイ313及び可動ダイ315に設置される。このとき可動ダイ315は、被加工材20のフランジ周囲部25により、フランジ周囲部25がフランジ周囲固定ダイ313と当接する位置まで押し込まれる。
一方、パンチ320は、可動パンチ323が、被加工材20のフランジ周囲部25に当接するように配置される。このとき、可動パンチ323は、固定パンチ321と連結されたクッション325によって被加工材20を押圧し、フランジ周囲固定ダイ313の上面との間で被加工材20のフランジ周囲部25を挟持している。また、パンチ320は、可動パンチ323よりも内部側に設けられ、伸びフランジ固定ダイ311と嵌合する嵌合部321aを有する。固定パンチ321の嵌合部321aの端面は、伸びフランジ固定ダイ311が入り込む凹部321bが形成されている。凹部321bの端面321cは、伸びフランジ部23の端面29と対向している。
プレス加工装置300によるプレス加工を開始すると、図16に示すように、固定パンチ321と可動パンチ323との間に設けられたクッション325が収縮し、固定パンチ321がダイ310側に向かって移動する。これにより、
固定パンチ321の嵌合部321aの端面321cによって伸びフランジ部23の端面29が押し込まれ、被加工材20の伸びフランジ部23を構成している材料が、可動ダイ315を押し込み、クッション317を収縮させながら、可動ダイ315の代わりに伸びフランジ固定ダイ311とフランジ周囲固定ダイ313との間の空間を埋めるように移動する。こうして、図16に示すように、被加工材20の伸びフランジ部23をプレス加工前よりも延設させることができる。
このとき、プレス加工後の被加工材20は、伸びフランジ部23の外側面とフランジ周囲部25の上面とにより形成される第1の内コーナー部28aと、フランジ延設部27の外側面とフランジ周囲部25の下面とにより形成される第2の内コーナー部28bとを有する。ここで、本実施形態により成形される成形品も、第2の実施形態と同様、上述の第1の実施形態のバーリング加工方法により成形されたコーナー部の外側の曲率半径が小さい、あるいは略直角である成形品を、プレス加工装置300によりプレス加工することで得られる。仮に、被加工材のコーナー部の外側の曲率半径が大きく、コーナー部の板厚が薄いと、プレス加工装置300により伸びフランジ部の端面を押圧した際、伸びフランジ部及びフランジ周囲部の材料が流動してしまい、第1の内コーナー部28aに折れ込み等の疵が発生する。折れ込み部分は、他の部分に比べて強度が低く、疲労破壊の要因ともなる。
これに対して、本実施形態のように、コーナー部の外側の曲率半径が小さい、あるいは略直角であるバーリング成形品を被加工材として用いた場合、被加工材20のフランジ周囲部25がフランジ周囲固定ダイ313と可動パンチ323とにより挟持された状態で、コーナー部28の材料が、可動ダイ315を押し下げながら流動する。したがって、コーナー部28の内部に折れ込みが発生することがない。また、第2の内コーナー部28bは、第1の内コーナー部28aと同様、コーナー部28への応力集中を避ける観点から、コーナー部28の内側についてはある程度の(0に近い程度ではない)曲率半径を与えることが望ましい。例えば、第2の内コーナー部28bに、第1の内コーナー部28aと同程度の曲率半径を与えるようにしてもよい。
以上で説明した本発明の第3の実施形態では、プレス加工装置300を用いた被加工材20のプレス加工において、被加工材20として、第1の実施形態に成形された、コーナー部の外側の曲率半径が小さい、あるいは略直角であるバーリング成形品を用いる。そして、プレス加工装置300により、被加工材20のフランジ周囲部25を挟持した状態で伸びフランジ部23の端面29に荷重を加える。これにより、伸びフランジ部23とフランジ周囲部25との間で材料を流動させなくても伸びフランジ部23を延設させることができ、第1の内コーナー部28aに折り込みを発生させることがない。
(3−2.変形例:フランジ周囲部の押出し)
図15及び図16に示した本実施形態に係るプレス加工装置300では、バーリング成形品の伸びフランジ部23を、フランジ周囲部25と反対側に押し出し、フランジ延設部27を成形したが、例えば、図17に示すように、バーリング成形品のフランジ周囲部25をバーリング穴64側に押し出して、内方延設部69を形成することも可能である。この場合、例えば、図12に示した第2の実施形態に係るプレス加工装置200について、突起部211の外径をバーリング穴24と略同一とし、さらに、突起部211にフランジ周囲部25を延長した凹部を形成する。そして、プレス加工装置200のパンチ220をダイ210側へ押し込むと、固定パンチ221の端面221cが伸びフランジ部23の端面29を押し、コーナー部の材料が流動し、フランジ周囲部25に形成された凹部を埋め、図17に示すような成形品60Cを成形することができる。
図17に示す成形品60Cも、第1の実施形態に係るバーリング加工方法により成形されたコーナー部の外側の曲率半径が小さい、あるいは略直角であるバーリング成形品を、プレス加工装置によりプレス加工することで得られる。仮に、被加工材のコーナー部の外側の曲率半径が大きく、コーナー部の板厚が薄いと、プレス加工装置により伸びフランジ部の端面を押圧した際、伸びフランジ部及びフランジ周囲部の材料が流動してしまい、コーナー部の内側に折れ込み等の疵が発生する。折れ込み部分は、他の部分に比べて強度が低く、疲労破壊の要因ともなる。
これに対して、本実施形態のように、コーナー部の外側の曲率半径が小さい、あるいは略直角であるバーリング成形品を被加工材として用いた場合、被加工材のフランジ周囲部がダイ及びパンチで挟持された状態で伸びフランジ部の端面を押圧すると、コーナー部の材料が流動し、バーリング穴側に形成された凹部が埋められる。したがって、この場合にも伸びフランジ部の外側面とフランジ周囲部とにより形成されるコーナー部に折れ込みが発生することがない。
(4.まとめ)
以上説明した、本発明の第1の実施形態によれば、バーリング加工装置を用いた被加工材のバーリング加工において、伸びフランジ部とフランジ周囲部との間にテーパー部が形成した後、テーパー部を押し広げてコーナー部を成形する。これにより、伸びフランジ部とフランジ周囲部との間で材料を流動させなくてもコーナー部を増肉させることができる。それゆえ、従来技術に比べてコーナー部の外側の曲率半径を小さくする、またはコーナー部の外側を略直角にすることができる。また、本発明の第1の実施形態によれば、1工程で平板から、コーナー部の外側の曲率半径を小さく、あるいは略直角に成形するのではなく、段階的に押し込みコーナー部の外側の形状を成形していくことで、従来技術よりも小さな荷重でバーリング成形することが可能である。したがって、強度の高い鉄鋼材料のバーリング成形も、成形時に割れ等を発生させることなく加工することが可能となる。なお、本発明の第1の実施形態に係るバーリング成形方法により成形可能な材料は、鉄鋼以外にも、アルミニウム等も含まれる。
また、本発明の第2の実施形態及び第3の実施形態によれば、第1の実施形態のバーリング成形装置により成形された、コーナー部の外側の曲率半径の小さい、あるいは略直角のバーリング成形品を第2の被加工材として用い、さらにプレス加工を行い、他の形状の成形品を形成する。コーナー部の外側の曲率半径の小さい、あるいは略直角の成形品を第2の被加工材として用いることで、伸びフランジ部の増肉、伸びフランジ部あるいはフランジ周囲部の延設をプレス加工により行った際、コーナー部の内側に折り込み等の疵を生じさせないことができる。
さらに、本発明の第2の実施形態及び第3の実施形態のプレス成形装置により成形された成形品は、複雑な形状の成形品であり、従来は、複数の部品を溶接等により接続して形成されるのが一般的であった。しかし、第1の実施形態のバーリング成形装置を用いたバーリング成形と、第2の実施形態及び第3の実施形態のプレス成形装置を用いたプレス成形とを組み合わせることで、複雑な形状の成形品を1部品として製造することが可能となる。これにより、部品点数を少なくすることが可能であり、部品重量も小さく、また、製造コストも削減することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10、20 被加工材
12 下穴
13、23 伸びフランジ部
14、24 バーリング穴
15、25 フランジ周囲部
15a 外辺領域
15b フランジ辺縁領域
17 テーパー部
18、28 コーナー部
19、29 端面
27 フランジ延設部
50 バーリング成形品
53 伸びフランジ部
54 バーリング穴
55 フランジ周囲部
58 コーナー部
60A、60B、60C 成形品
63 伸びフランジ部
64 バーリング穴
65 フランジ周囲部
67 フランジ延設部
69 内方延設部
100 バーリング加工装置
110 ダイ
111 固定ダイ
113 可動ダイ
115、125、129 クッション
120 パンチ
121 固定パンチ
121a 嵌合部
123 外側可動パンチ
127 内側可動パンチ
200、300 プレス加工装置
210、310 ダイ
211 突起部
213 基台部
220、320 パンチ
221、321 固定パンチ
221a、321a 嵌合部
221b、321b 凹部
223、323 可動パンチ
225、317、325 クッション
311 フランジ固定ダイ
313 フランジ周囲固定ダイ
315 可動ダイ

Claims (2)

  1. 被加工材をバーリング加工して筒状の伸びフランジ部を有する成形品を得るためのバーリング加工方法であって、
    前記伸びフランジ部に対応する部分を固定ダイの平面部から突出した突起部に対応させ、前記伸びフランジ部の周囲のフランジ周囲部を前記固定ダイに対して前記突起部の突出方向に移動可能な可動ダイに対応させるように、前記被加工材をダイに載置する工程と、
    第1のパンチと前記可動ダイとの間で前記フランジ周囲部のうち前記伸びフランジ部の辺縁にあるフランジ辺縁領域よりも外辺にある外辺領域を挟持した状態で、前記第1のパンチ、及び前記突起部の側面との間で前記伸びフランジ部を拘束する第2のパンチを、前記可動ダイが前記固定ダイの平面部に当接するまで押し込む工程と、
    前記固定ダイの平面部に当接した前記可動ダイと前記第1のパンチとによって前記外辺領域を挟持した状態で、前記第2のパンチを前記第1のパンチよりも遅れて前記可動ダイに対して押し込み、前記フランジ辺縁領域と前記伸びフランジ部とにより形成されるコーナー部を成形する工程と、
    前記第2のパンチによる前記コーナー部の成形後に、前記コーナー部と反対側の前記伸びフランジ部の端面に当接された第3のパンチを、前記固定ダイの前記平面部に向かって押し込む工程と、
    を含み、
    前記バーリング加工により得られた筒状の前記伸びフランジ部を有する成形品を第2の被加工材として、
    第2の成形品の形状に対応した形状であって、前記伸びフランジ部の中空部分が挿入される第2の突起部と、前記伸びフランジの周囲の前記フランジ周囲部を支持する第2の平面部とを有する第2のダイと、前記第2のダイの前記第2の平面部とともに前記フランジ周囲部を挟持する第4のパンチと、前記伸びフランジ部の端面を押し込み、前記第2の成形品を成形する第5のパンチとを有し、前記第2のダイのうち、前記フランジ周囲部を支持する前記第2の平面部は、前記フランジ周囲部のコーナー部以外の領域を支持する固定ダイと、前記コーナー部を支持し、前記伸びフランジ部の伸び方向に移動可能な可動ダイと、を有するプレス成形装置を用いて、
    前記フランジ周囲部を前記第2の平面部の前記固定ダイ及び前記第4のパンチで挟持した状態で、前記第5のパンチにより前記伸びフランジ部の端面を押し込んで、前記可動ダイを移動させることにより、前記伸びフランジ部に延設されるフランジ延設部を有する前記第2の成形品を成形する、バーリング加工方法。
  2. 筒状の伸びフランジ部を有するバーリング成形品を被加工材として、前記伸びフランジ部にフランジ延設部が延設されたプレス成形品を得るためのプレス成形装置であって、
    前記プレス成形品の形状に対応した形状であって、前記伸びフランジ部の中空部分が挿入される第2の突起部と、前記伸びフランジの周囲のフランジ周囲部を支持する第2の平面部と、を有する第2のダイと、
    前記第2のダイの前記第2の平面部とともに前記フランジ周囲部を挟持する第4のパンチと、
    前記伸びフランジ部の端面を押し込み、前記プレス成形品を成形する第5のパンチと、
    を有し、
    前記第2のダイのうち、前記フランジ周囲部を支持する前記第2の平面部は、
    前記フランジ周囲部のコーナー部以外の領域を支持する固定ダイと、
    前記コーナー部を支持し、前記伸びフランジ部の伸び方向に移動可能な可動ダイと、を有する、プレス成形装置。
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