JP6647591B2 - 移動ロボットの特定状態量の存在可能領域推定装置及び存在可能領域推定方法 - Google Patents

移動ロボットの特定状態量の存在可能領域推定装置及び存在可能領域推定方法 Download PDF

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Description

本発明は、移動ロボットの全体重心の位置等の特定状態量の存在可能領域を推定する装置及び方法に関する。
複数の接触動作部のそれぞれの空中移動と該空中移動に続く外界物への接触とを行う運動により移動する移動ロボットとしては、人型ロボット等の脚式移動ロボットが従来より一般に知られている。なお、本明細書では、移動ロボットの「接触動作部」は、移動ロボットの移動時に、空中移動と該空中移動に続く外界物への接触とを行う部位を意味する。例えば、脚式移動ロボットでは、その各脚の先端部(足部)が「接触動作部」に該当する。
この種の移動ロボットの目標運動を生成する技術では、各接触動作部の目標とする接触位置姿勢に応じて規定される支持多角形内に目標ZMP(ZMP(Zero Moment Point)の目標位置)を設定し、該目標ZMPを満足するように、倒立振子モデル等の動力学モデルを用いて移動ロボットの目標運動を生成することが従来より一般に行われている(例えば特許文献1を参照)。
また、非特許文献1には、脚式移動ロボットの静的平衡のロバスト性に関する試験技術が提案されている。
特許第5221688号公報
Fast Algorithms to Test Robust Static Equilibrium for Legged Robots/ Andrea Del Prete, Steve Tonneau and Nicolas Mansard/ 2016 IEEE International Conference on Robotics and Automation (ICRA)/ Stockholm, Sweden, May 16-21, 2016
近年、人型ロボット等の移動ロボットを、概ね平坦な床面上を移動させるだけでなく、種々様々な環境下にて、種々様々な動作パターンで3次元的に移動させることの要求が高まっている。例えば、梯子の昇降、段差もしくは凹凸が多い不整地での移動、坂道もしくは段差での手摺りを使用した移動等を行わせることの要求が高まっている。
このように移動ロボットを種々様々な動作パターンで3次元的に移動させる場合、該移動ロボットは、平坦な床面上を移動する場合と異なる形態で、外界物から各接触動作部を介して接触反力を受ける。例えば、脚式移動ロボットが平坦な床面上を移動(歩行)する場合には、該移動ロボットは、その全体重心が概ね支持多角形の直上近辺に位置する状態で接触反力(床面からの反力)を受けるのに対して、該移動ロボットが梯子を昇降する場合には、該移動ロボットは、その全体重心が梯子に接触させた各接触動作部から水平方向に離れた状態で接触反力(梯子からの反力)を受ける。
従って、移動ロボットを種々様々な動作パターンで3次元的に移動させる場合、その移動を安定に行い得る目標運動を生成するためには、各接触動作部が受ける接触反力に関して、移動ロボットを平坦な床面上で移動させる場合には不要であるか、もしくは必要性が乏しい制約条件(例えば、移動ロボットのスピンの発生を防止するための制約条件等)を満たすように、移動ロボットの目標運動を生成する必要がある。
このため、移動ロボットを種々様々な動作パターンで3次元的に移動させる目標運動を、平坦な床面上で移動ロボットを移動させる場合と同様の手法によって適切に生成することは困難であった。
一方、移動ロボットの全体重心の位置、あるいは、全体重心の並進運動状態量、あるいは、全体重心周りの回転運動状態量に着目した場合、これらの3種類の状態量(以降、総称的に全体運動状態量ということがある)は、移動ロボットの動作パターンによらずに、外界物に接触させる全ての接触動作部が受ける接触反力の合力と一定の力学的関係を有する。
ここで、本明細書では、移動ロボットの「全体重心の並進運動状態量」は、移動ロボットの全体重心の並進運動によって発生する並進慣性力を規定する状態量(具体的には、全体重心の並進加速度、又は全体重心の並進運動量の時間的変化率)を意味する。また、移動ロボットの「全体重心周りの回転運動状態量」は、移動ロボットの全体重心周りの回転運動によって発生する回転慣性力を規定する状態量(具体的には、全体重心周りの回転角加速度、又は全体重心周りの角運動量の時間的変化率)を意味する。
この場合、上記「力学的関係」は、移動ロボットに各接触動作部を介して作用する接触反力の合力と、移動ロボットに作用する重力と、移動ロボットに発生する全体の慣性力との間の釣合を表す式により表される。
従って、目標運動での移動ロボットの動作パターンに対応して、該移動ロボットの各接触動作部が受ける接触反力の制約条件(以降、単に、接触反力制約条件ということがある)を満たすために必要な上記全体運動状態量の値の存在可能領域が、該接触反力制約条件と、上記力学的関係とに応じて規定されることとなる。
そして、上記全体運動状態量のそれぞれは、移動ロボットの全体の運動状態に応じたものとなる。
従って、移動ロボットを種々様々な動作パターンで3次元的に移動させる目標運動を生成する場合、各全体運動状態量の値の存在可能領域は、目標運動での移動ロボットの動作パターンに対応する接触反力制約条件を満たすように生成する(ひいては、移動ロボットが安定に移動し得るように生成する)ための運動学的な基本指針(運動学的に満たすべき条件)として使用することができることとなる。
そこで、移動ロボットを種々様々な動作パターンで3次元的に移動させる目標運動を生成する場合、接触反力制約条件を満たすように目標運動を生成するための指針として、1つ又は複数の全体運動状態量についての存在可能領域を推定(特定)し得る技術が望まれる。
また、この場合、移動ロボットの移動を行いながら目標運動を生成することを可能とするために、上記存在可能領域を比較的高速で推定し得ることが望まれる。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、接触反力制約条件を満たすための特定状態量(移動ロボットの全体重心の位置、全体重心の並進運動状態量、及び全体重心周りの回転運動状態量のうちの1つ以上の状態量)の存在可能領域を適切に推定することができる装置及び方法を提供することを目的とする。
本発明の移動ロボットの特定状態量の存在可能領域推定装置は、複数の接触動作部のそれぞれの空中移動と該空中移動に続く外界物への接触とを繰り返す運動により移動する移動ロボットの全体重心の位置、全体重心の並進運動状態量、及び全体重心周りの回転運動状態量のうちの1つ以上の状態量から成る特定状態量の値の存在可能領域であって、前記各接触動作部に作用する接触反力に関する制約条件である接触反力制約条件を満たし得る存在可能領域を推定する装置であって、
前記複数の接触動作部のそれぞれの接触反力と前記特定状態量とを変数成分として構成される空間内の凸多面体であって、該接触反力と特定状態量との間の力学的関係と前記接触反力制約条件を表す線形不等式とにより規定される凸多面体を、前記変数成分のうちの前記特定状態量を表す部分空間に射影してなる射影領域を求める多面体射影処理として、Multi parametric linear programingの処理と、線形計画法の処理を複数回繰り返す処理とのうちのいずれかの処理を実行する多面体射影処理部を有し、該多面体射影処理により求められた射影領域を、前記存在可能領域の推定領域として出力するように構成されていることを特徴とする(第1発明)。
なお、上記「接触反力」は、並進力、あるいは、並進力及びモーメントの組によって表される接触力である。
ここで、移動ロボットを種々様々な動作パターンで移動させる場合、該移動ロボットの各接触動作部に作用する接触反力に関する制約条件(接触反力制約条件)は、一般に、線形不等式により表すことができる。この場合、前記複数の接触動作部のそれぞれの接触反力と前記特定状態量とを変数成分として構成される空間(以降、多変数空間ということがある)を想定した場合、該多変数空間内で、前記力学的関係と前記接触反力制約条件とを満たす点(接触反力及び特定状態量の値の組)の集合は、当該多変数空間における凸多面体により囲まれた領域として表される。
なお、第1発明では、上記凸多面体は、有界の領域(閉領域)を形成する凸多面体と、有界でない領域(開領域)を形成する凸多面体とのいずれであってもよい。
そして、上記凸多面体は、多面体射影処理により前記多変数空間の一部の変数成分を表す部分空間(上記多変数空間よりも低次元の空間)に射影することが可能である。そして、該多面体射影処理は、Multi parametric linear programingの処理と、線形計画法の処理を複数回繰り返す処理とのうちのいずれかの処理によって、比較的短時間で実行することが可能である。
そこで、本発明の存在可能領域推定装置は、上記凸多面体を、前記多変数空間の変数成分のうちの前記特定状態量を表す部分空間に射影してなる射影領域を求める多面体射影処理として、Multi parametric linear programingの処理と、線形計画法の処理を複数回繰り返す処理とのいずれかの処理を実行する。この多面体射影処理により求められる射影領域が、前記接触反力制約条件を満たし得る特定状態量の存在可能領域として得られることとなる。
この場合、前記凸多面体を規定する接触反力制約条件は、線形不等式により表される条件である。また、前記力学的関係は、後述する式(8)で示す如く、比較的簡易な関係式により表される。このため、前記存在可能領域の推定領域としての前記射影領域は、Multi parametric linear programingの処理と、線形計画法の処理を複数回繰り返す処理とのいずれかの処理により比較的高速に求めることができる。
よって、本発明によれば、接触反力制約条件を満たすための特定状態量(移動ロボットの全体重心の位置、全体重心の並進運動状態量、及び全体重心周りの回転運動状態量のうちの1つ以上の状態量)の存在可能領域を適切に推定することができる。
かかる本発明では、前記制約条件は、前記複数の接触動作部のそれぞれの接触反力のうちの摩擦力の許容範囲を表す条件と、該接触反力のうちの抗力の向きを表す条件と、該接触反力の圧力中心点の存在許容範囲を表す条件と、前記移動ロボットの各関節で発生し得る駆動力の範囲に応じて規定される該接触反力の許容範囲を表す条件とのうちの1つ以上の条件を含むことが好ましい(第2発明)。
これによれば、移動ロボットの目標運動により実現しようとする種々様々な動作パターンに対して、移動ロボットの移動を安定に行い得るようにするための適切な接触反力制約条件を設定することが可能となる。ひいては、種々様々な動作パターンに対して、特定状態量の好適な存在許容領域を推定することが可能となる。
上記第1発明又は第2発明では、前記多面体射影処理のうち、線形計画法の処理を複数回繰り返す処理は、具体的には、次のように構成され得る。
すなわち、前記特定状態量が、2個の状態量s(1),s(2)から成る場合において、前記多面体射影処理部は、次の処理1〜4を前記多面体射影処理として実行するように構成され得る(第3発明)。
処理1:前記力学的関係と前記接触反力制約条件とを満たし得るs(1)の上限値と下限値とをそれぞれ線形計画法の処理により求める。
処理2:s(1)の上限値と下限値との間の範囲に、該上限値と下限値とを含めて複数の代表値を設定する。
処理3:s(1)の値が前記処理2で設定した複数の代表値のうちの1つの代表値に一致することを前提条件として、前記力学的関係と前記接触反力制約条件とを満たし得るs(2)の上限値と下限値とをそれぞれ線形計画法の処理により求めることを、s(1)の全ての代表値に対して実行する。
処理4:s(1)の全ての代表値のそれぞれと、s(1)のそれぞれの代表値毎のs(2)の上限値及び下限値のそれぞれとにより規定される複数の点を凸包してなる領域を前記射影領域として求める。
また、前記特定状態量が、3個以上の状態量s(i)(i=1,2,…,N)から成る場合において、前記多面体射影処理部は、次の処理11〜18を前記多面体射影処理として実行するように構成され得る(第4発明)。
処理11:前記力学的関係と前記接触反力制約条件とを満たし得るs(1)の上限値と下限値とをそれぞれ線形計画法の処理により求める。
処理12:s(1)の上限値と下限値との間の範囲に、該上限値と下限値とを含めて複数の代表値を設定する。
処理13:s(1)の値が前記処理12で設定した複数の代表値のうちの1つの代表値に一致することを前提条件として、前記力学的関係と前記接触反力制約条件とを満たし得るs(2)の上限値と下限値とをそれぞれ線形計画法の処理により求めることを、s(1)の全ての代表値に対して実行する。
処理14:s(1),s(2)を変数成分とする2次元空間において、s(1)の全ての代表値のそれぞれと、当該それぞれの代表値毎のs(2)の上限値及び下限値のそれぞれとにより規定される複数の点を凸包してなる2次元凸包領域内の複数の代表点であって、該2次元凸包領域の各頂点を含む複数の代表点を設定する。
処理15:N個の状態量s(i)(i=1,2,…,N)のうち、k−1個(ただし、k:3以上の整数)の状態量s(1),…,s(k-1)のそれぞれの値が、k−1次元凸包領域内の設定済の1つの代表点での値に一致することを前提条件として、前記力学的関係と前記接触反力制約条件とを満たし得るs(k)の上限値と下限値とをそれぞれ線形計画法の処理により求めることを、前記k−1次元凸包領域内で設定された全ての代表点に対して実行する。
処理16:k<Nである場合に、k個の状態量s(1),…,s(k)を変数成分とするk次元空間において、前記k−1次元凸包領域内で設定された全ての代表点のそれぞれに対応するs(1),…,s(k-1)の値の組と、当該それぞれの代表点毎のs(k)の上限値及び下限値のそれぞれとにより規定される複数の点を凸包してなるk次元凸包領域内の複数の代表点であって、該k次元凸包領域の各頂点を含む複数の代表点を設定する。
処理17:k=Nであるときの前記処理15が完了するまでは、前記処理15及び処理16を繰り返し、k=Nであるときの前記処理15が完了した場合には、処理18に進む。
処理18:N個の状態量s(i)(i=1,2,…,N)を変数成分とするN次元空間において、N−1次元凸包領域内で設定された全ての代表点のそれぞれに対応するs(1),…,s(N-1)の値の組と、当該それぞれの代表点毎のs(N)の上限値及び下限値のそれぞれとにより規定される複数の点を凸包してなるN次元凸包領域を、前記射影領域として求める。
補足すると、かかる第4発明における前記処理15及び処理16の繰り返しは、その繰り返し毎に、kの値が1ずつ、増加するように行われる。また、前記処理15における「前記k−1次元凸包領域内で設定された」代表点というのは、前記処理14で設定された代表点、あるいは、該処理15の直前に実行された前記処理16で設定された代表点である。さらに、N=3である場合には、処理14の次の処理15において、k=Nとなるので、処理16,17は実質的に省略されることとなる。
上記第3発明によれば、前記特定状態量が2個の状態量s(1),s(2)から成る場合において、前記処理1〜処理3によって、前記射影領域の境界面上の複数の点が求められることとなる。従って、前記処理4において、これらの複数の点を凸包してなる領域を求めることで、前記射影領域を近似的に求めることができることとなる。
また、上記第4発明によれば、前記特定状態量が、3個以上の状態量s(i)(i=1,2,…,N)から成る場合において、前記処理11〜処理17によって、前記射影領域の境界面上の複数の点が求められることとなる。従って、前記処理18において、これらの複数の点を凸包してなる領域を求めることで、前記射影領域を近似的に求めることができることとなる。
この場合、第3発明における前記処理1及び処理3、あるいは、第4発明における処理11、処理13及び処理15では、公知の線形計画法の処理により比較的高速に各状態量の上限値及び下限値を求めることができる。
また、本発明の移動ロボットの特定状態量の存在可能領域推定方法は、上記目的を達成するために、複数の接触動作部のそれぞれの空中移動と該空中移動に続く外界物への接触とを繰り返す運動により移動する移動ロボットの全体重心の位置、全体重心の並進運動状態量、及び全体重心周りの回転運動状態量のうちの1つ以上の状態量から成る特定状態量の値の存在可能領域であって、前記各接触動作部に作用する接触反力に関する制約条件である接触反力制約条件を満たし得る存在可能領域を推定する方法であって、
前記複数の接触動作部のそれぞれの接触反力と前記特定状態量とを変数成分として構成される空間内の凸多面体であって、該接触反力と特定状態量との間の力学的関係と前記接触反力制約条件を表す線形不等式とにより規定される凸多面体を、前記変数成分のうちの前記特定状態量を表す部分空間に射影してなる射影領域を求める多面体射影処理として、Multi parametric linear programingの処理と、線形計画法の処理を複数回繰り返す処理とのうちのいずれかの処理を実行するステップを有し、該多面体射影処理により求められた射影領域を、前記存在可能領域の推定領域として出力することを特徴とする(第5発明)。
かかる第5発明によれば、前記第1発明と同様の効果を奏することができる。なお、第5発明は、前記第2〜第4発明と同様の態様を採用することもできる。
本発明の一実施形態における移動ロボットの概略構成を示す図。 実施形態における存在可能領域推定装置としての演算処理装置を示すブロック図。 各接地動作部に対して設定される座標系(第i接触座標系)を示す図。 多面体射影処理を概念的に示す図。 多面体射影処理の第1の例の処理を示すフローチャート。 図6A及び図6Bは図5のフローチャートに関する説明図。 多面体射影処理の第2の例の処理を示すフローチャート。 図8A及び図8Bは図7のフローチャートに関する説明図。 図9Aは梯子の昇降を行わせる移動ロボットの接触動作部の梯子への接触パターンの第1例を示す図、図9Bは該第1例に対応して求められる重心存在許容領域を示す図。 図10Aは梯子の昇降を行わせる移動ロボットの接触動作部の梯子への接触パターンの第2例を示す図、図10Bは該第2例に対応して求められる重心存在許容領域を示す図。 図11Aは梯子の昇降を行わせる移動ロボットの接触動作部の梯子への接触パターンの第3例を示す図、図11Bは該第3例に対応して求められる重心存在許容領域を示す図。 図12Aは移動ロボットを基台上から梯子に乗り移らせる場合の動作例を示す図、図12Bは該動作例に対応して生成される目標運動における移動ロボットの全体重心の遷移形態と、重心存在可能領域とを例示する図。
本発明の一実施形態を図1〜図10Bを参照して以下に説明する。図1を参照して、本実施形態における移動ロボット1は、一例として、人型のロボットである。この移動ロボット1(以降、単にロボット1ということがある)は、上体に相当する基体2と、基体2から延設された複数の可動リンクとしての左右一対の(2つの)脚リンク3L,3R及び左右一対の(2つの)腕リンク4L,4Rと、頭部5とを備える。
なお、本実施形態の説明では、参照符号に付加する「R」,「L」は、それぞれロボット1の基体2の正面に向かって右側の要素、左側の要素を意味する。ただし、左右を特に区別する必要が無いときは、符号「R」,「L」を省略する。
また、以降の説明では、脚リンク3L,3R及び腕リンク4L,4Rのそれぞれを単に可動リンクということがある。
各脚リンク3は、基体2の下部から延設されている。各脚リンク3は、大腿部11、下腿部12、足部13にそれぞれ相当する要素リンクを、基体2側から順番に、股関節14、膝関節15、足首関節16を介して連結して構成されている。各脚リンク3の先端部たる足部13は、ロボット1の移動時等に外界物(地面、床面、壁面等)に適宜接触させる接触動作部である。
各脚リンク3の足部13と基体2との間の関節14,15,16は、本実施形態では、該脚リンク3の足部13が、基体2に対して例えば6自由度の運動自由度を有するように構成されている。
例えば、股関節14は、総計3軸の回転自由度を有するように3つの要素関節(図示省略)により構成される。膝関節15は、1軸の回転自由度を有するように単一の要素関節(図示省略)により構成される。足首関節16は、総計2軸の回転自由度を有するように2つの要素関節(図示省略)により構成される。なお、要素関節は、1軸の回転自由度を有する関節である。該要素関節は、1軸周りに相対回転自在に係合された2つの部材により構成される。
各腕リンク4は、基体2の上部から延設されている。各腕リンク4は、上腕部21、前腕部22、ハンド部23にそれぞれ相当する要素リンクを、基体2側から順番に、肩関節24、肘関節25、手首関節26を介して連結して構成されている。
本実施形態では、各腕リンク4は、脚リンク3,3以外で、必要に応じて外界物に接触させる脚リンクとして機能し得る可動リンクである。この場合、各腕リンク4の先端部たるハンド部23が、ロボット1の移動時の動作形態等に応じて、外界物(地面、床面、壁面等)に適宜接触させる接触動作部である。
各腕リンク4のハンド部23と基体2との間の関節24,25,26は、本実施形態では、各腕リンク4のハンド部23が、基体2に対して例えば6自由度を有するように構成されている。
例えば、肩関節24は、総計3軸の回転自由度を有するように3つの要素関節(図示省略)により構成される。肘関節25は、1軸の回転自由度を有するように単一の要素関節(図示省略)により構成される。手首関節26は、総計2軸の回転自由度を有するように2つの要素関節(図示省略)により構成される。
また、各腕リンク4のハンド部23は、本実施形態では、物体の把持を行うことができるように構成されている。例えば、各ハンド部23は、適宜のクランプ機構、あるいは、人の手指と同様の動作を行い得る複数の指機構等により構成される。
頭部5は、基体2の上端部に首関節31を介して取り付けられている。首関節31は、1軸、2軸、又は3軸の回転自由度を有するように構成される。
以上がロボット1の機構的な構成の概要である。
上記の如く構成されたロボット1は、4つの可動リンク3,3,4,4のうちの1つ以上の可動リンク3又は4を外界物に接触させずに空中で動かす動作(空中移動動作)と該動作に続いて該可動リンク3又は4を外界物に接触させる動作とを繰り返す運動によって移動することができる。
例えば、人の歩行動作における脚の運動と同様の運動パターン(2脚歩容の運動パターン)で2つの脚リンク3,3を動かすことで、ロボット1の歩行動作を行うことができる。
この場合、腕リンク4を壁、手すり等に適宜接触させながら、脚リンク3,3を動かすことで、ロボット1の移動を行うこともできる。
また、例えば、4つの可動リンク3,3,4,4を脚として使用して、該4つの可動リンク3,3,4,4を、トロット、クロール、もしくはペース等の運動パターン(4脚歩容の運動パターン)で動かすことで、ロボット1の移動を行うこともできる。
さらに、例えば4つの可動リンク3,3,4,4を使用して、梯子等の昇降を行うこともできる。
補足すると、ロボット1の各脚リンク3あるいは各腕リンク4は、7自由度以上の運動自由度を有するように構成されていてもよい。また、各脚リンク3及び各腕リンク4のそれぞれは、回転型の関節に限らず、直動型の関節を含んでいてもよい。
また、ロボット1がハンド部23による把持動作を必要としないロボットである場合には、各腕リンク4の先端部(接触動作部)は、把持動作のための機構を備えない構造のものであってもよい。また、ロボット1は、頭部5を備えないものであってもよい。
また、基体2は関節を含んでいてもよい。例えば、基体2は、脚リンク3,3が連結された下側基体と、腕リンク4,4が連結された上側基体と、これらの上側基体及び下側基体を相対変位可能に連結する関節とにより構成されたものであってもよい。
なお、以降の説明では、各脚リンク3の足部13及び各腕リンク4のハンド部23を総称的に接触動作部(13又は23)ということがある。
図2は、ロボット1の特定状態量の存在可能領域推定装置としての機能を有する演算処理装置40を示している。この演算処理装置40は、CPU、RAM、ROM、インターフェース回路等を含む1つ以上の電子回路ユニットにより構成され、あるいは、1つ以上のコンピュータにより構成される。該演算処理装置40は、ロボット1に搭載され、あるいは、外部に配置される。なお、演算処理装置40は、ロボット1の動作制御を行う機能を含んでいてもよい。
本実施形態では、演算処理装置40には、目標とする動作パターンでのロボット1の移動動作(目標運動)の複数のサンプリング時刻(例えば、所定の刻み時間毎の時刻)のそれぞれの時刻において、外界物に接触させる各接触動作部(13又は23)の目標位置姿勢を示す接触動作部位置姿勢情報と、各サンプリング時刻で外界物に接触させる各接触動作部(13又は23)が外界物から受ける接触反力に関する制約条件である接触反力制約条件を示す情報と、ロボット1の目標運動に関して演算処理装置40により存在可能領域を推定すべき特定状態量の種類を指示する特定状態量指示情報とが与えられる。なお、上記接触動作部位置姿勢情報には、各サンプリング時刻で外界物に接触させる各接触動作部(13又は23)が、ロボット1のどの部位(足部13R,13L及びハンド部23R,23Lのいずれか)であるかを示す情報も含まれる。
ここで、上記特定状態量指示情報により示される特定状態量は、ロボット1の全体の運動に関する状態量である。より詳しくは、該特定状態量は、ロボット1の全体重心の位置と、ロボット1の全体重心の並進運動状態量(全体重心の並進加速度、又は、全体重心の(ロボット1全体の)並進運動量の時間的変化率)と、ロボット1の全体重心周りの回転運動状態量(全体重心周りにおけるロボット1全体の回転角加速度、又は、全体重心周りにおけるロボット1全体の角運動量の時間的変化率)とのうちの1つ以上の状態量である。
例えば、ロボット1の全体重心の空間的な位置を表す3次元ベクトルの1つもしくは複数の成分、あるいは、ロボット1の全体重心の空間的な並進運動量もしくは並進加速度を表す3次元ベクトルの1つもしくは複数の成分、あるいは、ロボット1の全体重心周りの空間的な角運動量の時間的変化率を表す3次元ベクトルの1つもしくは複数の成分、あるいは、これらの成分の組み合わせを、特定状態量として採用することが可能である。
また、上記接触動作部位置姿勢情報により示される各接触動作部(13又は23)の目標位置姿勢は、各接触動作部(13又は23)の位置及び姿勢のそれぞれの目標値の組を意味する。
なお、本実施形態の説明では、各接触動作部(13又は23)の「位置」は、該接触動作部(13又は23)の代表点の空間的な位置を意味し、各接触動作部(13又は23)の「姿勢」は、該接触動作部(13又は23)の空間的な向きを意味する。
そして、各接触動作部(13又は23)の目標位置姿勢は、ロボット1の移動環境に対して任意に設計的に設定されたグローバル座標系(例えば図1に示すXYZ座標系)で見た位置及び姿勢の組である。
また、上記接触反力制約条件に関して、各接触動作部(13又は23)が外界物から受ける接触反力は、所謂、接触レンチを意味するものである。この接触反力(接触レンチ)は、並進力(3次元ベクトル)とモーメント(3次元ベクトル)との組(6成分のベクトル)である。
そして、上記接触反力制約条件は、本実施形態では、例えば、各接触動作部(13又は23)が外界物から受ける接触反力のうちの摩擦力の許容範囲を表す条件(以降、摩擦力制約条件という)と、各接触動作部(13又は23)が受ける接触反力の圧力中心点(所謂、COP(Center of Pressure))の存在許容範囲を表す条件(以降、COP制約条件という)と、接触反力のうちの抗力の向きを制限する条件(抗力制約条件)とを含む。
これらの接触反力制約条件は、以下に説明する如く設定(定義)された条件である。
ここで、以降の説明では、各接触動作部(13又は23)を区別する識別番号を表す符号として、「i」(i=1,2,…,NL。NL:接触動作部(13又は23)の総個数)を使用する。そして、識別番号iの接触動作部(13又は23)を第i接触動作部ということがある。
また、第i接触動作部に関する接触反力制約条件に係る接触反力を表現する座標系として、便宜上、例えば図3に示す如く設定されるxyz座標系を使用する。該xyz座標系は、詳しくは、第i接触動作部と外界物との接触面に垂直な方向の軸をz軸、該接触面を含む平面上で互いに直交する2軸をx軸及びy軸として定義したローカル座標系(以降、第i接触座標系という)である。この第i接触座標系の原点は、第i接触動作部と外界物との接触面を含む平面上の点である。
そして、第i接触動作部が、接触する外界物から受ける接触反力のうちの並進力のx軸方向成分、y軸方向成分、z軸方向成分をそれぞれ、fx(i),fy(i),fz(i)、該接触反力のうちのモーメントのx軸周り方向成分、y軸周り方向成分、z軸周り方向成分をそれぞれ、nx(i),ny(i),nz(i)と表記する。
さらに、fx(i),fy(i),fz(i),nx(i),ny(i),nz(i)の6つの成分からなるベクトル(縦ベクトル)、すなわち、第i接触動作部が受ける接触反力を、第i接触座標系で見たベクトルとして表現したものを↑w(i)(≡[fx(i),fy(i),fz(i),nx(i),ny(i),nz(i)]T)と表記する。なお、本明細書では、先頭に「↑」を付した変数は、複数成分のベクトル(縦ベクトル)を意味し、上付き添え字「T」は、ベクトル又は行列の転置を意味する。
また、本明細書では、乗算又は内積を表す算術記号として「・」を使用し、外積(ベクトル積)を表す算術記号として「×」と使用する。
以上を前提として、接触反力制約条件を以下に説明する。上記摩擦力制約条件は、より詳しくは、各接触動作部(13又は23)が外界物から受ける接触反力のうちの並進摩擦力の許容範囲を表す並進摩擦力制約条件と、該接触反力のうちの回転摩擦力(摩擦力モーメント)の許容範囲を表す回転摩擦力制約条件とから構成される。
並進摩擦力制約条件は、換言すれば、各接触動作部(13又は23)と外界物との間の並進滑りを発生させないようにするための制約条件である。この並進摩擦力制約条件は、例えば、次式(1a),(1b)により表される。

μt(i)・fz(i)≧fx(i)≧−μt(i)・fz(i) ……(1a)
μt(i)・fz(i)≧fy(i)≧−μt(i)・fz(i) ……(1b)

ここで、μt(i)は、第i接触動作部が外界物から受ける接触反力↑w(i)のうちの並進摩擦力に関する摩擦係数(設定値)である。そして、fx(i),fy(i)は、該並進摩擦力のx軸方向成分及びy軸方向成分に相当し、fz(i)は接触反力のうちの垂直抗力に相当する。
補足すると、第i接触動作部と外界物との間の並進滑りが発生しないための条件は、原理的には、√(fx(i)2+fy(i)2)≦μt(i)・fz(i)という不等式(2次元ベクトルとしての並進摩擦力が、所謂、摩擦円と言われる許容領域内に収まるということを示す不等式)により表される。
ただし、この不等式は非線形な不等式であることから、本実施形態では、並進摩擦力制約条件を、近似的に、上記式(1a),(1b)の不等式により表している。この場合、式(1a),(1b)の不等式により規定される並進摩擦力(ベクトル)の許容領域としての四角形領域が、上記摩擦円内から逸脱しないように、式(1a),(1b)における摩擦係数μt(i)の値は、第i接触動作部と外界物との実際の摩擦係数の推定値よりも小さめの値に設定される。
なお、式(1a),(1b)の不等式により規定される並進摩擦力の許容領域は、詳しくは、第i接触座標系のx軸に平行な2つの直線とy軸に平行な2つの直線とにより囲まれた四角形領域である。ただし、並進摩擦力制約条件により規定される並進摩擦力の許容領域の境界線は、x軸あるいはy軸に対して傾斜していてもよい。また、該許容領域は、四角形以外の多角形領域であってもよい。この場合、並進摩擦力制約条件は、例えばa・fx(i)+b・fy(i)≧c・fz(i)(a,b,cは定数値)という形式の複数の不等式により表すことができる。
前記回転摩擦力制約条件は、換言すれば、各接触動作部(13又は23)と外界物との間の回転滑り(スピン)を発生させないようにするための制約条件である。この回転摩擦力制約条件は、例えば、次式(2)により表される。

μr(i)・fz(i)≧nz(i)≧−μr(i)・fz(i) ……(2)

ここで、μr(i)は、第i接触動作部が外界物から受ける接触反力↑w(i)のうちの接触面に垂直な軸周り方向の摩擦力モーメント(回転摩擦力)に関する摩擦係数(設定値)である。そして、nz(i)は、当該摩擦力モーメントに相当する。
補足すると、並進摩擦力制約条件及び回転摩擦力制約条件における上記摩擦係数μt(i),μr(i)のそれぞれの設定値は、第i接触動作部と外界物との間の滑り(並進滑り及び回転滑り)が発生するのを極力防止するようにロボット1の目標運動を生成する上では、実際の摩擦係数の推定値よりも小さめの値に設定しおくことが望ましい。
前記COP制約条件は、各接触動作部(13又は23)が外界物から受ける接触反力のCOPを、該接触動作部(13又は23)と外界物との接触面内に収めるための条件である。このCOP制約条件は、次式(3a),(3b)により表される。

Lxp(i)≧−ny(i)/fz(i)≧Lxm(i) ……(3a)
Lyp(i)≧nx(i)/fz(i)≧Lym(i) ……(3b)

ここで、式(3a)における−ny(i)/fz(i)は、第i接触動作部のCOPのx軸方向位置に相当し、Lxp(i),Lxm(i)は、それぞれ当該COPのx軸方向位置の存在可能範囲の上限値、下限値の設定値である。
また、式(3b)におけるnx(i)/fz(i)は、第i接触動作部のCOPのy軸方向位置に相当し、Lyp(i),Lym(i)は、それぞれ当該COPのy軸方向位置の存在可能範囲の上限値、下限値の設定値である。
Lxp(i),Lxm(i),Lyp(i),Lym(i)は、式(3a),(3b)により規定されるCOPの存在許容領域(四角形領域)が、第i接地動作部と外界物との接触面内に収まる領域(好ましくは、接触面よりも多少小さめの領域)となるように設定される。
なお、式(3a),(3b)の不等式により規定されるCOPの存在許容領域は、詳しくは、第i接触座標系のx軸に平行な2つの直線とy軸に平行な2つの直線とにより囲まれた四角形領域である。ただし、COP制約条件により規定されるCOPの存在許容領域の境界線は、x軸あるいはy軸に対して傾斜していてもよい。また、該存在許容領域は、四角形以外の多角形領域(六角形領域等)であってもよい。この場合、COP制約条件は、例えばa・nx(i)+b・ny(i)≧c・fz(i)(a,b,cは定数値)という形式の複数の不等式により表すことができる。
前記抗力制約条件は、各接触動作部(13又は23)が受ける接触反力のうちの並進力のベクトルの向きは、第i接触動作部を外界物の内部側に引き込む向きにならないという条件である。この抗力制約条件は、例えば次式(4)により表される。

fz(i)≧0 ……(4)

なお、ここでは、fz(i)の正方向は、第i接触座標系のz軸方向で、接触面から第i接触動作部側に向かう方向である。
上記式(4)により表される抗力制約条件は、換言すれば、第i接触動作部が受ける接触反力↑w(i)のうち、前記第i接触座標系のz軸方向の並進力成分fz(i)が負の値にならないという条件、あるいは、fz(i)の下限値がゼロであるという条件である。なお、抗力制約条件にけるfz(i)の下限値は、ゼロよりも若干大きい値に設定されていてもよい。
本実施形態では、演算処理装置40に与えられる接触反力制約条件(摩擦力制約条件、COP制約条件、抗力制約条件)は以上の如く設定されている。
ここで、上記の如く各接触動作部(13又は23)に関して設定された並進摩擦力制約条件、回転摩擦力制約条件、COP制約条件、及び抗力制約条件は、換言すれば、各接触動作部(13又は23)が受ける接触反力に関する線形不等式により表し得る制約条件である。
すなわち、第i接触動作部に関する上記各制約条件を表す各不等式は、接触反力↑w(i)の各成分fx(i),fy(i),fz(i),nx(i),ny(i),nz(i)を線形結合してなる値が、所定値以上又は所定値以下となるという形式の線形不等式(次式(5a)又は(5b)の線形不等式)と等価である。

↑c(i)T・↑w(i)≧k(i) ……(5a)
↑c(i)T・↑w(i)≦k(i) ……(5b)

なお、↑c(i)は、第i接触動作部に作用する接触反力↑w(i)の各成分fx(i),fy(i),fz(i),nx(i),ny(i),nz(i)に係る係数を並べた係数ベクトル、k(i)はある値の定数値である。
例えば、前記並進摩擦力条件に関する式(1a)の不等式は、↑c(i)=[−1,0,μt(i),0,0,0]T、且つk(i)=0とした式(5a)の線形不等式(あるいは、↑c(i)=[1,0,−μt(i),0,0,0]T、且つk(i)=0とした式(5b)の線形不等式)と、↑c(i)=[1,0,μt(i),0,0,0]T、且つk(i)=0とした式(5a)の線形不等式(あるいは、↑c(i)=[−1,0,−μt(i),0,0,0]T、且つk(i)=0とした式(5b)の線形不等式)との組と等価である。このことは、前記式(1b),(2),(3a),(3b),(4)の不等式に関しても同様である。
さらに、第i接触座標系で見た接触反力↑w(i)を、前記グローバル座標系(ロボット1の動作環境に設定されたXYZ座標系)で見たベクトル(6成分のベクトル)に変換したものを、↑W(i)=[fX(i),fY(i),fZ(i),nX(i),nY(i),nZ(i)]と表記すると、↑Wと↑wとの間には、次式(6)の関係が成立する。

↑w(i)=R(i)T・↑W ……(6)

なお、R(i)は、グローバル座標系で見た第i接地動作部の姿勢に応じて規定される6行6列の行列、R(i)TはR(i)の転置行列である。
従って、第i接触動作部が受ける接触反力に関する各接触反力制約条件を表す各不等式(式(1a),(1b),(2),(3a),(3b),(4)の不等式)は、次式(7a)又は(7b)で示す如く、第i接触動作部のグローバル座標系で見た接触反力↑W(i)の各成分fX(i),fY(i),fZ(i),nX(i),nY(i),nZ(i)を線形結合してなる値が、所定値以上又は所定値以下となるという形式の線形不等式と等価でもある。

(↑c(i)T・R(i)T)・↑W(i)≧k(i) ……(7a)
(↑c(i)T・R(i)T)・↑W(i)≦k(i) ……(7b)

この場合、(↑c(i)T・R(i)T)が、グローバル座標系で見た接触反力↑W(i)の各成分fX(i),fY(i),fZ(i),nX(i),nY(i),nZ(i)に係る係数を並べた係数ベクトルとなる。
以上の如く、各接触動作部(13又は23)に関して設定された並進摩擦力制約条件、回転摩擦力制約条件、COP制約条件、及び抗力制約条件は、各接触動作部(13又は23)が受ける接触反力を、該接触動作部(13又は23)に対応する第i接触座標系で見た場合と、グローバル座標系で見た場合とのいずれの場合でも、接触反力の各成分を線形結合してなる値が、所定値以上又は所定値以下となるという形式の線形不等式により表し得る制約条件である。
補足すると、接触反力制約条件は、各接触動作部(13又は23)が外界物から受ける接触反力のうちの1つ以上の各成分(並進力に係る成分又はモーメントに係る成分)の値の範囲を、ロボット1の各関節を駆動するアクチュエータの能力、各関節の構造等の仕様に応じて各関節で実際に発生させ得る駆動力により実現可能な範囲に制限する制約条件、あるいは、上記接触反力のうちの1つ以上の各成分の値の範囲を、実験的もしくは設計的に任意に設定した実用域の範囲に制限する制約条件を含んでいてもよい。これらの制約条件は、a≦接触反力の成分≦b(a,bは定数値)という形式の不等式により表すことができる。従って、該制約条件も、上記の他の接触反力制約条件と同様に、線形不等式により表現し得る制約条件である。
演算処理装置40には、以上の如く、各サンプリング時刻での接触動作部位置姿勢情報と、各接触動作部(13又は23)毎の第i接触座標系で見た接触反力↑wに関する接触反力制約条件(前記式(1a)〜(4)の不等式、又はこれと等価な線形不等式(式(5a)又は(5b)の線形不等式)により表される制約条件)と、特定状態量指示情報とが与えられる。
この演算処理装置40は、実装されるプログラム又はハードウェア構成により実現される機能として、各サンプリング時刻での各接触動作部(13又は23)の接触反力の各成分(6成分)と、特定状態量指示情報で指示された特定状態量(グローバル座標系で見た特定状態量)の各成分とを変数成分として構成される多変数空間内の凸多面体を規定するパラメータ(以降、多面体パラメータという)を決定する多面体パラメータ決定部41と、該多面体パラメータにより規定される凸多面体を、特定状態量の各成分を変数成分とする部分空間に射影する多面体射影処理を実行する多面体射影処理部42とを含む。多面体射影処理部42の処理により、特定状態量の存在可能領域が決定される。
ここで、本実施形態における上記凸多面体は、より詳しくグローバル座標系で見た接触反力↑W(i)の各成分(fX(i),fY(i),fZ(i),nX(i),nY(i),nZ(i)の6成分)と、グローバル座標系で見た特定状態量の各成分とを変数成分として構成される多変数空間(接触反力↑W(i)の成分の個数と、特定状態量の成分の個数との総和の次元数の空間)での多面体であって、該多変数空間内で、各サンプリング時刻での全ての接触動作部(第1接触動作部〜第NL接触動作部)の接触反力と特定状態量との間の力学的関係と、全ての接触動作部(第1接触動作部〜第NL接触動作部)に関する前記接触反力制約条件とを満たし得る点の集合領域に相当するものである。
この場合、上記力学的関係は、ロボット1の全体の運動に関する運動方程式としての次式(8)により表される関係である。
上記式(8)は、ロボット1に作用する全ての接触反力の合力(並進力及びモーメント)と、ロボット1に作用する重力と、ロボット1の運動によって発生する全体の慣性力(並進力及びモーメント)との間の釣合を表す式である。
この場合、式(8)の第1行〜第3行の式は、並進力に関する釣合式、第4行〜第6行の式は、モーメント(グローバル座標系の原点周りのモーメント)に関する釣合式である。
そして、↑pg、↑pg_dot2、↑Lg_dotの各成分が前記特定状態量として採用し得る状態量である。
なお、各サンプリング時刻におけるロボット1の全体重心周りのイナーシャが判っている場合又は該イナーシャを推定し得る場合には、式(8e)の↑Lg_dotの代わりに、I・↑ω_dot(ただし、I:イナーシャを表す行列又はスカラー、↑ω_dot:全体重心周りの角加速度(ベクトル))を用いることもできる。この場合、↑ω_dotの各成分を特定状態量として採用し得る。
また、多面体を規定する前記接触反力制約条件は、各サンプリング時刻における各接触動作部(13又は23)毎に、第i接触座標系で見た接触反力↑w(i)に関する接触反力制約条件を、グローバル座標系で見た接触反力↑W(i)に関する接触反力制約条件に変換したものである。
この場合、全ての接触動作部(第1〜第NL接触動作部)に関する接触反力制約条件の全体は、前記式(7a)又は(7b)に基づいて、次式(9a)又は(9b)の形式の行列線形不等式により表される。

Call・↑Wall≧↑k ……(9a)
Call・↑Wall≦↑k ……(9b)

ここで、Callは、↑Wallの係数行列、↑kはその各成分が定数値となるベクトルである。そして、式(9a)又は(9b)の各行が、各接触反力制約条件を表す個々の線形不等式である。この場合、係数行列Callの行数(=↑kの成分数)は、全ての接触動作部(第1〜第NL接触動作部)に関する接触反力制約条件を表す全ての線形不等式の総数である。
例えば、各接触動作部(13又は23)毎に、第i接触座標系で見た接触反力↑w(i)に関する接触反力制約条件が、前記式(1a)〜(4)の不等式により表される場合、各接触動作部(13又は23)毎の不等式の総数が11個(ここでは、式(1a),(1b),(2),(3a),(3b)は、それぞれ2つの不等式から成ると見なす)であるから、係数行列Callの行数は、(11・NL)個となる。
上記の如く、多面体を規定する力学的関係及び接触反力制約条件は、式(8)と、式(9a)又は(9b)とにより表される。そして、本実施形態では、多面体パラメータ決定部41が決定する多面体パラメータ(各サンプリング時刻での多面体パラメータ)は、式(8)により表される力学的関係における係数行列Gallの各成分値と、式(9a)又は(9b)により表される行列線形不等式の左辺の係数行列Callの各成分値及び右辺のベクトル↑kの各成分値とから構成される。
演算処理装置40は、各サンプリング時刻での特定状態量の存在可能領域を、以下に説明する如く算出する。
演算処理装置40は、まず、多面体パラメータ決定部41により上記多面体パラメータGall,Call,↑kを決定する(ひいては、各サンプリング時刻での多面体を確定する)。
この場合、多面体パラメータ決定部41は、各サンプリング時刻での接触動作部位置姿勢情報により示される第1〜第NL接触動作部のそれぞれの目標位置(グローバル座標系で見た目標位置)を、前記式(8d)における位置p(i)(i=1,2,…,NL)として用いて、式(8b)〜(8d)により示される定義に従って、式(8)の係数行列Gallを決定する。
また、多面体パラメータ決定部41は、各接触動作部(13又は23)毎の第i接触座標系で見た接触反力↑w(i)(i=1,2,…,NL)に関する接触反力制約条件を表す不等式(前記式(1a)〜(4)の不等式)から、前記式(7a)又は(7b)に基づいて、グローバル座標系で見た接触反力↑W(i)に関する接触反力制約条件を表す個々の線形不等式を決定する。この場合、式(7a)又は(7b)における行列R(i)(i=1,2,…,NL)は、各サンプリング時刻での接触動作部位置姿勢情報により示される第i接触動作部の目標姿勢(グローバル座標系で見た目標姿勢)から決定される。
そして、多面体パラメータ決定部41は、これらの線形不等式から、式(9a)又は(9b)における係数行列Callと、ベクトル↑kとを決定する。
演算処理装置40は、以上の如く、各サンプリング時刻での多面体パラメータを決定した後、該多面体パラメータにより規定される多面体を、特定状態量指示情報により示される特定状態量を変数成分とする部分空間に射影してなる射影領域を求める多面体射影処理を多面体射影処理部42により実行する。該部分空間は、多面体を表す多変数空間(本実施形態では、6次元よりも高次元の空間)の一部の変数成分により構成される空間であるから、該多変数空間よりも低次元の空間である。例えば、特定状態量が、ロボット1の全体重心の位置↑pgの3つの成分であるとした場合、上記部分空間は、3次元の空間となる。
上記多面体射影処理は、概念的には、図4に示す如き処理である。図4では、M次元の多面体が、より低次元(m次元)の空間に射影される様子を概念的に表している。本実施形態での上記多面体は、6次元よりも高次元(M次元)の多変数空間の多面体であるので、該多面体を視覚的に図示することができない。このため、図4では、便宜的に、多面体を3次元の多面体、多面体を射影してなる射影領域を2次元空間(平面)の領域として図示している。
かかる多面体射影処理は、例えばMulti parametric linear programingという公知の処理(V-rep法の処理を含む)により行うことができる。あるいは、前記した処理1〜処理4、もしくは、処理11〜18を多面体射影処理として用いることもできる。なお、この多面体射影処理では、全体重心の位置↑pg、全体重心の並進加速度↑pg_dot2、及び全体重心周りの角運動量の時間的変化率↑Lg_dotのそれぞれの成分のうち、特定状態量以外の成分は、各サンプリング時刻での当該成分の値(目標値)としてあらかじめ決定された所定値とされる。
かかる多面体射影処理により、多面体を特定状態量を変数成分として構成される部分空間に射影してなる射影領域が決定される。この射影領域は、前記式(8)により表される力学的関係と、前記式(9a)又は(9b)により表される接触反力制約条件とを満たし得る特定状態量の存在許容領域を示すものとなる。従って、多面体射影処理部42の処理によって、特定状態量の存在許容領域が求められることとなる。
かかる多面体射影処理のより具体的な第1の例を図5、図6A及び図6Bを参照して以下に説明する。この例は、例えば、特定状態量が全体重心の位置↑pgのX軸方向位置pgx及びY軸方向位置pgyの2つの状態量である場合の多面体射影処理として、前記した処理1〜処理4を実行する場合の例である。
この場合、演算処理装置40の多面体射影処理部42は、図5のフローチャートに示す如く多面体射影処理を実行する。
STEP1において、多面体射影処理部42は、前記式(8)により表される力学的関係と、前記式(9a)又は(9b)により表される接触反力制約条件とを満たし得る全体重心のX軸方向位置pgxの最小値を、線形計画法の処理により求める。
さらに、STEP2において、多面体射影処理部42は、前記式(8)により表される力学的関係と、前記式(9a)又は(9b)により表される接触反力制約条件とを満たし得る全体重心のX軸方向位置pgxの符号を反転させてなる値(−pgx)の最小値を、線形計画法の処理により求める。
なお、STEP1,2における線形計画法の処理は、公知の一般的な処理でよい。また、STEP1,2における線形計画法の処理では、全体重心のX軸方向位置pgx及びY軸方向位置pgy以外の特定状態量の値は、あらかじめ定めた値(例えばゼロ等)とされる。
そして、STEP3において、多面体射影処理部42は、STEP1で求めたpgxの最小値を、pgxの下限値として決定すると共に、STEP2で求めた(−pgx)の最小値の符号を反転させてなる値を、pgxの上限値として決定する。
上記STEP1〜3の処理は、前記した処理1に相当する。かかるSTEP1〜3の処理により、前記式(8)により表される力学的関係と、前記式(9a)又は(9b)により表される接触反力制約条件とを満たし得るpgxの下限値及び上限値が求められる。
次いで、多面体射影処理部42は、STEP4において、pgxの下限値と上限値との間の範囲に、該下限値及び上限値を含めてn個(複数)の代表値pgx(1),pgx(2),……,pgx(n)を設定する。かかるSTEP4の処理が、前記処理2に相当する。
この場合、n個の代表値は、例えば、隣り合う代表値の間の差が一定値となるように設定される。また、n個の代表値のうちの1つ、例えばpgx(1)がpgxの下限値に一致する値に設定され、他の1つ、例えばpgx(n)がpgxの上限値に一致する値に設定される。
例えば、図6Aに示す如く、pgxの下限値及び上限値が求められた場合において、pgxの複数(図示例では4個)の代表値pgx(1)〜pgx(4)が設定される。なお、図6Aに二点鎖線で示す領域(XY座標平面上の領域)は、pgx,pgyの組の真の存在可能領域を示している。
補足すると、pgxの下限値及び上限値以外の代表値は、例えば、該下限値と上限値との間の範囲内でランダムに設定してもよい。
次いで、多面体射影処理部42は、STEP5において、pgxの代表値の番数パラメータhの値を「1」に設定した後、STEP6において、pgx=pgx(h)であることを前提条件として、前記式(8)により表される力学的関係と、前記式(9a)又は(9b)により表される接触反力制約条件とを満たし得る全体重心のY軸方向位置pgyの最小値を、線形計画法の処理により求める。
さらに、多面体射影処理部42は、STEP7において、pgx=pgx(h)であることを前提条件として、前記式(8)により表される力学的関係と、前記式(9a)又は(9b)により表される接触反力制約条件とを満たし得る全体重心のY軸方向位置pgyの符号を反転させてなる値(−pgy)の最小値を、線形計画法の処理により求める。
STEP6,7における線形計画法の処理は、前記式(8)により表される力学的関係と、前記式(9a)又は(9b)により表される接触反力制約条件との他に、pgx=pgx(h)という条件をさらなる条件として付加した上で、前記STEP1,2と同様に行い得る処理である。
そして、STEP8において、多面体射影処理部42は、STEP6で求めたpgyの最小値を、pgx=pgx(h)である場合におけるpgyの下限値(h)として決定すると共に、STEP7で求めた(−pgy)の最小値の符号を反転させてなる値を、pgx=pgx(h)である場合におけるpgyの上限値(h)として決定する。
次いで、多面体射影処理部42は、STEP9において、番数パラメータhの値を「1」だけ増加させた後、STEP10において、h>nであるか否か(pgxの全ての代表値に対してSTEP6〜8の処理を実行したか否か)を判断する。
そして、STEP10の判断結果が否定的である場合には、多面体射影処理部42は、STEP6〜8の処理を繰り返す。
上記の如くSTEP10の判断結果が肯定的になるまで繰り返されるSTEP6〜8の処理は、前記した処理3に相当する。かかるSTEP6〜8の処理の繰り返しによって、pgxの各代表値毎に、前記式(8)により表される力学的関係と、前記式(9a)又は(9b)により表される接触反力制約条件とを満たし得るpgyの下限値及び上限値が求められる。
例えば、図6Aにおいて、pgxの代表値pgx(2)に対応して、pgyの下限値(2)と上限値(2)とが求められる。pgxの他の代表値pgx(1),pgx(3),pgx(4)についても同様である。なお、図6Aに示す例では、pgx(4)に対応するpgyの下限値(4)と上限値(4)とが一致している。
STEP10の判断結果が肯定的になると、多面体射影処理部42は、STEP11において、pgxの全ての代表値のそれぞれと、各代表値に対応するpgyの下限値及び上限値とにより規定される複数の点(XY座標平面上の点)を凸包してなる領域を、pgx,pgyの組の存在可能領域(射影領域)として求める。
かかるSTEP11の処理が前記処理4に相当する処理である。この処理によって、例えば、図6Bに実線で示す領域がpgx,pgyの組の存在可能領域(射影領域)として求められる。該存在可能領域は、真の存在可能領域を近似的に表す領域である。
以上、例示した多面体射影処理(前記処理1〜4の処理に基づく多面体射影処理)によれば、特定状態量としてのpgx,pgyの組の存在可能領域を短時間で高速に求めることができる。
次に、多面体射影処理の第2の例を図7、図8A及び図8Bを参照して以下に説明する。この例は、例えば、特定状態量が全体重心の位置↑pgの3成分pgx,pgy,pgzである場合の多面体射影処理として、前記した処理11〜処理18(ただし、処理16,17を除く)を実行する場合の例である。
この場合、演算処理装置40の多面体射影処理部42は、図7のフローチャートに示す如く多面体射影処理を実行する。
多面体射影処理部42は、まず、前記した図5のSTEP1〜10の処理を同じ処理を実行する。この場合、STEP1〜3の処理は、前記した処理11に相当し、STEP4の処理は、前記した処理12に相当する。また、STEP10の判断結果が肯定的になるまで繰り返されるSTEP6〜8の処理が、前記した処理13に相当する。
次いで、STEP12において、多面体射影処理部42は、pgxの全ての代表値のそれぞれと、各代表値に対応するpgyの下限値及び上限値とにより規定される複数の点(pgx、pgyを座標軸成分とする2次元平面上の点)を凸包してなる領域(2次元凸包領域)内に、複数の(m個の)代表点(pgx_h,pgy_h)(h=1,2,…,m)を設定する。
この場合、図8A又は図8Bに例示する如く、m個の代表点は、上記2次元凸包領域の各頂点を含むように設定される。そして、上記2次元凸包領域の各頂点以外の代表点は、任意に設定し得る。
例えば、図8Aに示すように、pgxの各代表値(前記STEP4で設定した各代表値pgx(1),pgx(2),…,pgx(n)。図示例では、n=4)に対応するpgyの下限値及び上限値の間に、該下限値及び上限値を含めてpgyの複数の代表値を設定する。そして、pgxの各代表値と、それに対応して設定したpgyの各代表値との組により規定される点を上記代表点として設定し得る。
なお、図8Aに示す例では、pgx=pgx(4)であるときのpgyの上限値及び下限値が一致しているので、pgx=pgx(4)となる代表点は1つ(2次元凸包領域の頂点)だけとなっている。
補足すると、上記の如く、pgxの値がSTEP4で設定した各代表値pgx(1),pgx(2),…,pgx(n)のいずれかに一致するように複数の代表点を設定した場合には、各代表点が結果的に上記2次元凸包領域に含まれることとなる。このため、該2次元凸包領域そのものを求めておく必要はない。
あるいは、例えば図8Bに示すように、上記2次元凸包領域を求めた上で、該2次元凸包領域の内部に任意に(例えばランダムに)該2次元凸包領域の頂点以外の各代表点を設定することも可能である。この場合には、2次元凸包領域の頂点以外の各代表点でのpgxの値は、前記STEP4で設定した各代表値pgx(1),pgx(2),…,pgx(n)と異なっていてもよい。
上記の如くSTEP12では、2次元凸包領域に複数の代表点が設定される。このSTEP12の処理は、前記した処理14に相当する。
多面体射影処理部42は、次にSTEP13において、番数パラメータhの値を「1」に設定した後、STEP14において、(pgx,pgy)=(pgx_h,pgy_h)であることを前提条件として、前記式(8)により表される力学的関係と、前記式(9a)又は(9b)により表される接触反力制約条件とを満たし得る全体重心のZ軸方向位置pgzの最小値を、線形計画法の処理により求める。
さらに、多面体射影処理部42は、STEP15において、(pgx,pgy)=(pgx_h,pgy_h)であることを前提条件として、前記式(8)により表される力学的関係と、前記式(9a)又は(9b)により表される接触反力制約条件とを満たし得る全体重心のZ軸方向位置pgzの符号を反転させてなる値(−pgz)の最小値を、線形計画法の処理により求める。
なお、STEP14,15における線形計画法の処理では、全体重心の各成分pgx,pgy,pgz以外の特定状態量の値は、あらかじめ定めた値(例えばゼロ等)とされる。
そして、STEP16において、多面体射影処理部42は、STEP14で求めたpgzの最小値を、pgzの下限値として決定すると共に、STEP15で求めた(−pgz)の最小値の符号を反転させてなる値を、pgzの上限値として決定する。
次いで、多面体射影処理部42は、STEP17において、番数パラメータhの値を「1」だけ増加させた後、STEP18において、h>mであるか否か((pgx,pgy)の全ての代表点に対してSTEP14〜16の処理を実行したか否か)を判断する。
そして、STEP18の判断結果が否定的である場合には、多面体射影処理部42は、STEP14〜16の処理を繰り返す。
上記の如くSTEP18の判断結果が肯定的になるまで繰り返されるSTEP14〜16の処理は、前記した処理15に相当する。かかるSTEP14〜16の処理の繰り返しによって、(pgx,pgy)の各代表点毎に、前記式(8)により表される力学的関係と、前記式(9a)又は(9b)により表される接触反力制約条件とを満たし得るpgzの下限値及び上限値が求められる。
次いで、STEP18の判断結果が肯定的になると、多面体射影処理部42は、STEP19において、(pgx,pgy)の全ての代表点のそれぞれと、各代表点に対応するpgzの下限値及び上限値とにより規定される複数の点(pgx,pgy,pgzを各座標軸成分とする3次元空間上の点)を凸包してなる領域(3次元凸包領域)を、pgx,pgy,pgzの組の存在可能領域(射影領域)として求める。
かかるSTEP19の処理が前記処理18に相当する処理である。これにより、前記処理11〜18に基づく多面体射影処理によって、pgx,pgy,pgzの組の存在可能領域(射影領域)を求めることができる。
なお、図7では、特定状態量が、3個の状態量(pgx,pgy,pgz)である場合の処理を説明したが、特定状態量が4個以上である場合にも、前記処理11〜18に基づく多面体処理により該特定状態量の存在可能領域を求めることができる。
例えば特定状態量が、pgx,pgy,pgzを含む4個の状態量(以降、4個目の状態量を便宜上、参照符号Sで表す)である場合には、STEP18の判断結果が肯定的となった後に、前記した処理16,17が実行される。
具体的には、(pgx,pgy)の全ての代表点のそれぞれと、各代表点に対応するpgzの下限値及び上限値とにより規定される複数の点(pgx,pgy,pgzを各座標軸成分とする3次元空間上の点)を凸包してなる3次元凸包領域内に複数の代表点(当該3次元凸包領域の各頂点を含む)が設定される。これらの代表点の設定は、前記STEP12と同様の手法で行い得る。
そして、当該各代表点毎に、(pgx,pgy,pgz)が、該代表点での値に一致することを前提条件として、前記式(8)により表される力学的関係と、前記式(9a)又は(9b)により表される接触反力制約条件とを満たし得る状態量Sの下限値及び上限値が求められる。この処理は、前記STEP14〜16の処理を同様に、線形計画法の処理を用いて行うことができる。
次いで、(pgx,pgy,pgz)の全ての代表点のそれぞれと、各代表点に対応する状態量Sの下限値及び上限値とにより規定される複数の点(pgx,pgy,pgz,Sを各座標軸成分とする4次元空間上の点)を凸包してなる領域(4次元凸包領域)が、pgx,pgy,pgz,Sの組の存在可能領域(射影領域)として求められる。
以上の如く線形計画法の処理を複数回繰り返す多面体射影処理(前記処理1〜4の処理に基づく多面体射影処理、又は前記処理11〜18の処理に基づく多面体射影処理)によれば、特に、特定状態量の成分数が比較的少ない場合に、該特定状態量の存在可能領域を短時間で高速に求めることができる。
以上説明した演算処理装置40の処理により求められる特定状態量の存在可能領域の例を図9B、図10B、図11Bにそれぞれ斜線領域として示す。これらの例では、特定状態量は、ロボット1に梯子を昇降させる場合における1つのサンプリング時刻における全体重心の位置↑PgのうちのX軸方向位置及びY軸方向位置の2つの成分である。従って、図9B、図10B、図11Bにそれぞれ示す特定状態量の存在可能領域は、ロボット1の全体重心を水平面(XY座標平面)に投影してなる点の存在可能領域(以降、重心存在可能領域という)である。
そして、図9B、図10B、図11Bにそれぞれ対応する図9A、図10A、図11Aは、ロボット1のどの接触動作部(13又は23)が梯子に接触した状態であるかを示している。
この場合、図9Aは、所謂、クロールの形態で、ロボット1に梯子を昇降させる場合の1つのサンプリング時刻において、ロボット1の右側及び左側のハンド部23R,23Lと、右側の足部13Rとの3つの接触動作部23R,23L,13Rを、梯子の踏ざんに接触させた状態を示している。この状態に対応して、演算処理装置40により求められた重心存在可能領域が図9Bに示す斜線領域である。
また、図10Aは、所謂、ペースの形態で、ロボット1に梯子を昇降させる場合の1つのサンプリング時刻において、ロボット1の右側ハンド部23Rと、右側の足部13Rとの2つの接触動作部23R,13Rを、梯子の踏ざんに接触させた状態を示している。この状態に対応して、演算処理装置40により求められた重心存在可能領域が図10Bに示す斜線領域である。
また、図11Aは、所謂、トロットの形態で、ロボット1に梯子を昇降させる場合の1つのサンプリング時刻において、ロボット1の左側ハンド部23Lと、右側の足部13Rとの2つの接触動作部23L,13Rを、梯子の踏ざんに接触させた状態を示している。この状態に対応して、演算処理装置40により求められた重心存在可能領域が図11Bに示す斜線領域である。
なお、図9B、図10B、図11Bのいずれの場合においても、演算処理装置40の多面体射影処理部42の処理は、ロボット1の全体重心の並進加速度↑pg_dot2と、全体重心周りの角運動量の時間的変化率↑Lg_dotとをいずれもゼロとして(換言すれば、図9A、図10A、図11Aのそれぞれのサンプリング時刻でのロボット1が静止状態であるとみなして)、実行した。
上記の如く求められる重心存在可能領域を用いることで、例えば、梯子の昇降をロボット1に行わせるべく適宜作成したロボット1の目標運動が適切なものであるか否かを評価することができる。すなわち、作成したロボット1の目標運動により規定される全体重心の位置が、重心存在可能領域内に収まるか否かによって、該目標運動が適切なものであるか否かを評価することができる。
補足すると、上記の如く重心存在可能領域を求める場合において、例えば、ロボット1の目標運動の各サンプリング時刻での全体重心の並進加速度↑Pg_dot2(又は全体重心の並進運動量の時間的変化率)と、全体重心周り角運動量の時間的変化率↑Lg_dot(又は全体重心周りの角加速度)とをあらかじめ決定しておき、それらの既定値を用いて、多面体射影処理を実行することで、重心存在可能領域を求めるようにしてもよい。この場合には、ロボット1が動的に発生する慣性力の影響を反映させて、重心存在可能領域を求めることができる。
さらに、この場合、全体重心の位置↑PgのZ軸方向位置(高さ)を含めた空間的な位置の存在可能領域を求めることもできる。
なお、全体重心の並進加速度↑Pg_dot2(又は全体重心の並進運動量の時間的変化率)の上記既定値は、あらかじめ決定した全体重心の並進移動速度又は並進運動量の経時変化のパターンから微分演算により算出される値であってもよい。同様に、全体重心周り角運動量の時間的変化率↑Lg_dot又は全体重心周りの角加速度は、あらかじめ決定した全体重心周りの角運動量又は角速度の経時変化のパターンから微分演算により算出される値であってもよい。
次に、前記した如く求められる特定状態量の存在可能領域、例えば前記重心存在可能領域を利用して、ロボット1の実際の運動を行いながら、ロボット1の目標運動(現在時刻以後の将来の目標運動)を生成する手法の一例を説明する。
かかる手法としては、例えば、次式(10c),(10d)の条件を満たす範囲で、次式(10a),(10b)により定義される評価関数FEの値を最小化するように、ロボット1の各関節(要素関節)の変位量を逐次決定する手法を採用することができる。

FE=↑q_dotT・Wt1・↑q_dot
+Σ↑dV(j)T・Wt2(j)・↑dV(j) ……(10a)
ただし、↑dV(j)=J(j)・↑q_dot−↑x_dot(j) ……(10b)
ξ・(↑θmax−↑θ0)≧↑θ_dot・dt≧ξ・(↑θmin−↑θ0) ……(10c)
Jcol・↑q_dot≧↑xc_dot ……(10d)

ここで、式(10a),(10b)における↑q_dotは、グローバル座標系で見たロボット1の基体2の並進速度及び回転角速度(それぞれ3成分のベクトル)と、ロボット1の各要素関節の変位速度(単位時間当たりの変位量)とを並べた一般化変数ベクトル、Wt1,Wt2(j)は重み行列、J(j)はロボット1の各接触動作部(13又は23)と全体重心とのそれぞれに対応するヤコビアン、↑x_dot(j)は各接触動作部(13又は23)と全体重心とのそれぞれの目標速度(並進速度の目標値と回転角速度の目標値とからなるベクトル)である。
この場合、各目標速度は、例えば、各接触動作部(13又は23)の実際の位置及び姿勢、基体2の実際の姿勢、各要素関節の実際の変位量、及び全体重心の実際の位置のそれぞれの計測値又は推定値を、それぞれの目標値に比例制御則等のフィードバック制御則により追従させるように算出される。これらの目標値のうち、全体重心の位置の目標値は、例えば、前記重心存在可能領域の中心点(重心点)に設定される。
また、式(10c)における↑θmaxは、各要素関節の上限変位量を並べたベクトル、↑θminは、各要素関節の下限変位量を並べたベクトル、↑θ0は新たに生成しようとする目標運動における各関節要素の変位量の初期値、↑θ_dotは、各関節要素の変位速度を並べたベクトル、dtは目標運動の生成の刻み時間、ξは所定値の係数である。
この式(10c)は、目標運動の生成処理により決定される各要素関節の目標変位量を、上限変位量と下限変位量との間の範囲内に制限するための制約条件を示す不等式である。
また、式(10d)におけるJcolは、ロボット1の自己干渉を生じ得る部位、又は外界物との干渉を生じ得る部位に対応するヤコビアン、↑xc_dotは当該部位の所定の速度制限値(並進速度及び回転角速度の制限値)である。この式(10d)は、当該部位の干渉を防止するための制約条件を示す不等式である。
そして、上記式(10c),(10d)の条件を満たす範囲で、式(10a),(10b)により定義される評価関数FEの値を最小化するように、ロボット1の各関節(要素関節)の変位量を逐次決定することは、2次計画問題の公知の解法手法により行うことができる。
かかる手法により目標運動を生成することで、目標運動でのロボット1の全体重心の位置が重心存在可能領域内に収まるように生成することができる。
ここで、図12Bは、上記手法によりロボット1の目標運動を生成した場合におけるロボット1の全体重心の目標位置(XY座標平面上での位置)がどのように遷移していくかを例示する図である。そして、図12Aは、図12Bに対応するロボット1の動作形態を示す図である。
この例でのロボット1の目標運動は、図12Aに示すように、ロボット1を基台上から、梯子に乗り移らせる場合の目標運動である。この目標運動では、ロボット1は、両方のハンド部23R,23Lを梯子の踏ざんに支持した状態で、まず、右側及び左側の足部13R,13Lのうちの左側の足部13Lを、基台上から梯子の踏ざんに移動させる。次いで、ロボット1は、右側の足部13Rを、基台上から梯子の踏ざんに移動させる。
また、図12Bにおいて、斜線領域AR1は、ロボット1がその両方の足部13R,13Lを基台上に接地させた状態での重心存在可能領域、斜線領域AR2は、ロボット1がその両方の足部13R,13Lを梯子の踏ざんに接地させた状態での重心存在可能領域である。そして、黒点の点列が、目標運動でのロボット1の全体重心の遷移を示している。kなお、白点P1は重心存在可能領域AR1の重心点、白点P2は重心存在可能領域AR2の重心点である。
図12Bに示されるように、ロボット1の全体重心が、重心存在可能領域AR1,AR2内に収まって遷移していくように、ロボット1の目標運動を生成し得ることが判る。
なお、以上説明した実施形態では、特定状態量の存在可能領域として、重心存在可能領域を求める場合を主要例として説明した。ただし、特定状態量は、ロボット1の全体重心の位置↑Pgに限られない。例えば、存在可能領域を求める特定状態量は、例えば、ロボット1の全体重心の並進加速度↑Pg_dot2又は並進運動量の時間的変化率の1つ以上の成分、あるいは、全体重心周りの角運動量の時間的変化率↑Lg_dot又は全体重心周りの角加速度の1つ以上の成分であってもよい。
さらには、特定状態量は、ロボット1の全体重心の位置↑Pgの1つ以上の成分と、全体重心の並進加速度↑Pg_dot2又は並進運動量の時間的変化率の1つ以上の成分と、全体重心周りの角運動量の時間的変化率↑Lg_dot又は全体重心周りの角加速度の1つ以上の成分とを組み合わせたものであってもよい。
また、多面体を規定する接触反力制約条件は、前記並進摩擦力制約条件、回転摩擦力制約条件、COP制約条件、抗力制約条件、あるいは、各関節で発生可能な駆動力に応じた制約条件のうちの一部の制約条件だけであってもよく、あるいは、これらの制約条件以外の制約条件を含んでいてもよい。
また、前記実施形態では、各接触動作部(13又は23)の接触反力(接触レンチ)を、並進力(3次元ベクトル)とモーメント(3次元ベクトル)との組(6成分のベクトル)とした。ただし、該接触反力として、並進力だけを採用してもよい。
また、図5又は図7を参照して説明した多面体処理(線形計画法の処理を繰り返す多面体処理)は、前記凸多面体が有界領域(閉領域)である場合の処理であるが、本発明は、前記凸多面体が有界でない場合にも適用可能である。この場合には、多面体射影処理として、Multi parametric linear programingの処理を用いることができる。
なお、個々の移動ロボットにおいて、各接触動作部に作用する接触反力の各成分の値は、無限大の値をとり得ないので、ある有限範囲内の値となる。そして、例えば、接触反力の各成分の値の範囲を当該有限範囲内に制限する制約条件を接触反力制約条件に含めておくことで、前記凸多面体を有界領域(閉領域)にすることができる。ひいては、多面体射影処理として、線形計画法の処理を繰り返す処理を用いることができる。
また、本発明を適用し得る移動ロボットは、前記ロボット1に限らず、外界物に接触させる部分を有するリンクを、5つ以上備えるロボットであってもよい。また、本発明は、人型に移動ロボットに限らず、種々様々な形態の移動ロボットに適用できる。
1…移動ロボット、13,13R,13L…足部(接触動作部)、23,23R,23L…ハンド部(接触動作部)、40…演算処理装置(存在可能領域推定装置)、42…多面体射影処理部。

Claims (5)

  1. 複数の接触動作部のそれぞれの空中移動と該空中移動に続く外界物への接触とを繰り返す運動により移動する移動ロボットの全体重心の位置、全体重心の並進運動状態量、及び全体重心周りの回転運動状態量のうちの1つ以上の状態量から成る特定状態量の値の存在可能領域であって、前記各接触動作部に作用する接触反力に関する制約条件である接触反力制約条件を満たし得る存在可能領域を推定する装置であって、
    前記複数の接触動作部のそれぞれの接触反力と前記特定状態量とを変数成分として構成される空間内の凸多面体であって、該接触反力と特定状態量との間の力学的関係と前記接触反力制約条件を表す線形不等式とにより規定される凸多面体を、前記変数成分のうちの前記特定状態量を表す部分空間に射影してなる射影領域を求める多面体射影処理として、Multi parametric linear programingの処理と、線形計画法の処理を複数回繰り返す処理とのうちのいずれかの処理を実行する多面体射影処理部を有し、該多面体射影処理により求められた射影領域を、前記存在可能領域の推定領域として出力するように構成されていることを特徴とする移動ロボットの特定状態量の存在可能領域推定装置。
  2. 請求項1記載の移動ロボットの特定状態量の存在可能領域推定装置において、
    前記接触反力制約条件は、前記複数の接触動作部のそれぞれの接触反力のうちの摩擦力の許容範囲を表す条件と、該接触反力のうちの抗力の向きを表す条件と、該接触反力の圧力中心点の存在許容範囲を表す条件と、前記移動ロボットの各関節で発生し得る駆動力の範囲に応じて規定される該接触反力の許容範囲を表す条件とのうちの1つ以上の条件を含むことを特徴とする移動ロボットの特定状態量の存在可能領域推定装置。
  3. 請求項1又は2記載の移動ロボットの特定状態量の存在可能領域推定装置において、
    前記特定状態量は、2個の状態量s(1),s(2)から成り、
    前記多面体射影処理部は、次の処理1〜4を前記多面体射影処理として実行するように構成されていることを特徴とする移動ロボットの特定状態量の存在可能領域推定装置。
    処理1:前記力学的関係と前記接触反力制約条件とを満たし得るs(1)の上限値と下限値とをそれぞれ線形計画法の処理により求める。
    処理2:s(1)の上限値と下限値との間の範囲に、該上限値と下限値とを含めて複数の代表値を設定する。
    処理3:s(1)の値が前記処理2で設定した複数の代表値のうちの1つの代表値に一致することを前提条件として、前記力学的関係と前記接触反力制約条件とを満たし得るs(2)の上限値と下限値とをそれぞれ線形計画法の処理により求めることを、s(1)の全ての代表値に対して実行する。
    処理4:s(1)の全ての代表値のそれぞれと、s(1)のそれぞれの代表値毎のs(2)の上限値及び下限値のそれぞれとにより規定される複数の点を凸包してなる領域を前記射影領域として求める。
  4. 請求項1又は2記載の移動ロボットの特定状態量の存在可能領域推定装置において、
    前記特定状態量は3個以上の状態量s(i)(i=1,2,…,N)から成り、
    前記多面体射影処理部は、次の処理11〜18を前記多面体射影処理として実行するように構成されていることを特徴とする移動ロボットの特定状態量の存在可能領域推定装置。
    処理11:前記力学的関係と前記接触反力制約条件とを満たし得るs(1)の上限値と下限値とをそれぞれ線形計画法の処理により求める。
    処理12:s(1)の上限値と下限値との間の範囲に、該上限値と下限値とを含めて複数の代表値を設定する。
    処理13:s(1)の値が前記処理12で設定した複数の代表値のうちの1つの代表値に一致することを前提条件として、前記力学的関係と前記接触反力制約条件とを満たし得るs(2)の上限値と下限値とをそれぞれ線形計画法の処理により求めることを、s(1)の全ての代表値に対して実行する。
    処理14:s(1),s(2)を変数成分とする2次元空間において、s(1)の全ての代表値のそれぞれと、当該それぞれの代表値毎のs(2)の上限値及び下限値のそれぞれとにより規定される複数の点を凸包してなる2次元凸包領域内の複数の代表点であって、該2次元凸包領域の各頂点を含む複数の代表点を設定する。
    処理15:N個の状態量s(i)(i=1,2,…,N)のうち、k−1個(ただし、k:3以上の整数)の状態量s(1),…,s(k-1)のそれぞれの値が、k−1次元凸包領域内の設定済の1つの代表点での値に一致することを前提条件として、前記力学的関係と前記接触反力制約条件とを満たし得るs(k)の上限値と下限値とをそれぞれ線形計画法の処理により求めることを、前記k−1次元凸包領域内で設定された全ての代表点に対して実行する。
    処理16:k<Nである場合に、k個の状態量s(1),…,s(k)を変数成分とするk次元空間において、前記k−1次元凸包領域内で設定された全ての代表点のそれぞれに対応するs(1),…,s(k-1)の値の組と、当該それぞれの代表点毎のs(k)の上限値及び下限値のそれぞれとにより規定される複数の点を凸包してなるk次元凸包領域内の複数の代表点であって、該k次元凸包領域の各頂点を含む複数の代表点を設定する。
    処理17:k=Nであるときの前記処理15が完了するまでは、前記処理15及び処理16を繰り返し、k=Nであるときの前記処理15が完了した場合には、処理18に進む。
    処理18:N個の状態量s(i)(i=1,2,…,N)を変数成分とするN次元空間において、N−1次元凸包領域内で設定された全ての代表点のそれぞれに対応するs(1),…,s(N-1)の値の組と、当該それぞれの代表点毎のs(N)の上限値及び下限値のそれぞれとにより規定される複数の点を凸包してなるN次元凸包領域を、前記多面体射影領域として求める。
  5. 複数の接触動作部のそれぞれの空中移動と該空中移動に続く外界物への接触とを繰り返す運動により移動する移動ロボットの全体重心の位置、全体重心の並進運動状態量、及び全体重心周りの回転運動状態量のうちの1つ以上の状態量から成る特定状態量の値の存在可能領域であって、前記各接触動作部に作用する接触反力に関する制約条件である接触反力制約条件を満たし得る存在可能領域を推定する方法であって、
    前記複数の接触動作部のそれぞれの接触反力と前記特定状態量とを変数成分として構成される空間内の凸多面体であって、該接触反力と特定状態量との間の力学的関係と前記接触反力制約条件を表す線形不等式とにより規定される凸多面体を、前記変数成分のうちの前記特定状態量を表す部分空間に射影してなる射影領域を求める多面体射影処理として、Multi parametric linear programingの処理と、線形計画法の処理を複数回繰り返す処理とのうちのいずれかの処理を実行するステップを有し、該多面体射影処理により求められた射影領域を、前記存在可能領域の推定領域として出力することを特徴とする移動ロボットの特定状態量の存在可能領域推定方法。
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