その一方で、カーナビゲーション装置で目的とする施設を検索するには、多階層のメニュー選択等の複雑な操作を要求されるため、走行中に急にコンビニエンスストアに寄りたくなった場合やガソリンスタンドに寄りたくなった場合などには、いったん走行を停止してから施設の検索を行う必要があった。
そこで、本発明は上記の課題を解決することのできる電子機器を提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
(1)上記課題を解決するために、本発明の電子機器は、所定の分類軸に分類して施設情報を格納した施設データベースを参照して取得した施設を地図上に表示する機能と、画面に現在位置を含む地図を表示する機能とを備える電子機器であって、車両の走行中に入力操作を受け付け可能な入力受付手段と、1または複数回の入力操作により構成される定型入力操作に施設データベースの検索条件を予め対応付けて設定する設定手段と、定型入力操作を受け付けると、施設データベースを参照して、当該定型入力操作に対応付けられた検索条件に該当する施設を、提示手段に提示するよう制御する提示制御手段とを備える。
本発明の電子機器によれば、定型入力操作を行うだけで、予め対応付けて設定された施設データベースの検索条件に該当する施設を提示させることができる。例えば、分類の数が多い場合、分類を階層的な分類として構成している場合、あるいは、周辺施設検索のための操作が複雑な場合等には、施設の指定のためにはいったん走行を停止して、画面を注視して操作しなければならなかった。ところが、本構成によれば、分類の数が多い場合、分類を階層的な分類として構成している場合、あるいは、周辺施設検索のための操作が複雑な場合等であっても、いったん走行を停止しなくても、あるいは、階層の深い設定を行わなくとも、定型入力操作に対応付けて予め設定しておいた所望の条件での施設検索をすることができる。
(2)好ましくは、本発明の電子機器では、施設は、複数の分類軸によって分類された状態で取得可能であり、設定手段は、定型入力操作に複数の分類軸にまたがった検索条件を対応付けるとよい。
このような構成により、複数の分類軸を組み合わせて、自分好みの検索条件を設定することができる。「複数の分類軸にまたがった検索条件」とは、例えば、複数の分類軸による検索条件の論理演算(例えば論理和や論理積)を検索条件とすることを指す。
分類軸は、例えば、施設の業種(例えばレストラン、スーパーマーケット、ガソリンスタンド等)、施設の利用目的(例えば、食べる、遊ぶ、買い物等)、許容する支払方法(例えば現金、クレジットカード、プリペイドカード等)、トイレの有無、チェーン店か否か、公衆無線LANの提供の有無、利用できるポイントカードの種類等とするとよい。
(3)好ましくは、本発明の電子機器では、提示制御手段は、車両の進行方向に位置する施設について行うよう提示手段を制御するとよい。(4)好ましくは、本発明の電子機器において、進行方向としては、車両の前方の左右90度未満の所定角度の範囲であるとよい。
このような構成により、車両前方から大きく逸れた位置にある施設を提示させないようにすることができ、目的の場所に向けての走行ルートを大きく外れることなく寄ることができる施設を容易に知ることができる。特に、(4)の構成とすれば、車両の真横や後方にある施設を提示の対象から除外することができ、立ち寄りやすい施設を知ることができる。
なお、「進行方向」は(4)に規定された構成に限定されるものではない。例えば、現在位置に比較的近い範囲(例えば1km未満)については車両前方の比較的広い所定角度範囲(例えば左右60度以内)を進行方向としつつ、現在位置から比較的遠い範囲(例えば1km以上)については車両前方の比較的狭い角度範囲(例えば左右30度以内)を進行方向としてもよい。
(5)好ましくは、本発明の電子機器では、提示制御手段は、提示している施設が車両の進行方向から外れると、当該進行方向から外れた施設の提示を止めるとともに進行方向にある新たな候補を提示するよう提示手段を制御するとよい。
このような構成により、例えば走行を続けることで通り過ぎたり進行方向が転換したりすることにより、進行方向から外れた施設が提示の対象から外され、進行方向にある新たな候補を見つけやすくなる。(5)の構成を効果的に実現すべく、電子機器は、定期的に提示する施設を更新する構成とするとよい。ここで「定期的に」、とは所定時間ごと、所定時間間隔ごと、所定移動距離ごと等とするとよい。所定というのは一定でもよいし可変でもよい。
(6)好ましくは、本発明の電子機器では、設定された検索の開始位置から検索の終了位置にいたる経路を、記憶手段に記憶された経路検索のための道路位置情報を含む地図情報に基づいて検索し、検索された経路の少なくとも一部を表示するとともに当該経路に沿ったナビゲーションを行う案内機能を備え、提示する施設と検索の終了位置とを互いに異なる態様で表示するとよい。
このような構成により、電子機器により経路を案内させるとともに、案内する経路を走行しながらついでに立ち寄る施設を提示させることができる。また、案内機能での検索の終了位置と提示される施設との誤認や混同を防ぐことができる。例えば検索の終了位置は、目的地、経由地等とするとよい。提示された施設のアイコンを押すと案内機能に用いる目的地として設定できるように構成すると更によい。
(7)好ましくは、本発明の電子機器では提示手段による提示は、検索された経路の周辺に位置する施設について行うとよい。
このような構成により、案内ルートから大きく逸れることなく立ち寄ることができる施設を容易に知ることができる。経路の周辺とは、例えば経路までの最短距離が所定の範囲内である領域とするとよい。
(8)好ましくは、本発明の電子機器では、提示手段による提示は、現在位置から行きやすい施設の順を認知可能なように行うとよい。
このような構成により、今すぐにちょっと寄れる、行きやすい施設の順を知ることができる。「行きやすい施設の順」とは、例えば、現在位置からの直線距離が近い順、現在位置からの道のりが近い順、予想到着時刻が早い順、案内中の経路からの乖離が小さい順等とするとよい。また、「順を認知可能なように」とは、例えば、順に従って並べて同時に提示する、順に従った番号を付して提示する、順に従って時間的に順番に提示する等とするとよい。更に、(3)〜(5)の構成では、目的の場所に向けて走行を続けながら、ついでに立ち寄ることができる施設を、行きやすい順で知ることができる。また、(6)、(7)の構成では、案内されるルートを走行しながら、ついでに立ち寄ることができる施設を、行きやすい順で知ることができる。
(9)好ましくは、本発明の電子機器では、提示手段による提示は、予め定められた数の施設について行うとよい。(10)提示手段による提示は、提示しようとする施設が現在位置からどれだけ離れていようとも、予め定められた数だけ行うと更によい。
このような構成により、提示される予め定められた数の施設の内容に応じて利用者にどの施設に寄るべきか等の判断の材料を与えることができる。例えば、提示される各施設への行きやすさがわかるように提示する構成では、立ち寄る施設の決定、立ち寄りの断念、他の条件での再検索等の判断・選択の材料を利用者に与えることができる。特に、(10)の構成では、現在地の周辺に検索条件に合致する施設がない時に、遠方の施設が所定数表示されるので、利用者は近くに希望の施設がないことを容易に知ることができる。
(11)好ましくは、本発明の電子機器では、入力受付手段は、現在位置を含む地図が表示された状態のまま入力操作を受け付けるとよい。
このような構成により、地図を表示した状態からすぐに定型入力手段に入力操作を行うことができる。特に、地図表示を妨げないように入力受付手段を構成すれば、車両の走行中の地図表示を妨げられることなく、定型入力操作に対応付けられた検索条件に該当する施設の提示を受けることができる。
(12)好ましくは、本発明の電子機器では、入力受付手段は、固定された位置に配置されるとよい。
このような構成により、利用者は入力受付手段を探すことに手間取ることなく入力操作を行うことができる。例えば、利用者が車両を運転している最中でも、入力受付手段を探すことに気を取られずに、スムーズに定型入力操作を行うことができる。物理的なボタンを固定された位置に配置してもよいし、タッチパネルの固定された位置にボタンを表示するのであってもよい。
(13)好ましくは、本発明の電子機器では、入力受付手段は運転者が操作指示を入力可能な位置に配置され、定型入力操作は、運転者による2回以内の入力操作により構成されるとよい。
このような構成により、運転操作を妨げることなく、簡単な定型入力操作によって、対応付けられた検索条件に該当する施設の提示を受けることができる。定型入力操作に対応付けられる検索条件が例えば深い階層の分類の条件や多数の分類軸の条件の組み合わせのような3回以上の入力操作を要するものであっても、運転操作を阻害しない簡単な操作で検索条件に合う施設を手軽に知ることができる。
(14)好ましくは、本発明の電子機器では、入力受付手段は、1または複数のプリセットボタンであり、提示手段は、プリセットボタンが操作されると、プリセットボタンの操作に対応付けられた検索条件に該当する施設を提示するとよい。
このような構成により、プリセットボタンを押すという単純な操作により、走行中であっても予め登録してある分類に関する条件によって施設を検索して提示させることができる。プリセットボタンは、例えば地図が表示されるタッチパネルディスプレイに表示されたボタン、ディスプレイの周辺に配置された物理的なスイッチボタン等とするとよい。
(15)好ましくは、本発明の電子機器では、電子機器の画面はタッチパネルディスプレイであり、プリセットボタンは、タッチパネルディスプレイに表示されるボタンとして複数個設けられ、タッチパネルディスプレイは、車両の走行中に通常表示される画面において、プリセットボタンを表示せずプリセット呼出ボタンを表示し、タッチパネルディスプレイは、プリセット呼出ボタンにタッチされると、複数個のプリセットボタンを表示して操作可能とするとよい。
このような構成により、例えば地図やルート案内表示のような車両の走行中に通常表示される画面を複数のプリセットボタンが占有することを防ぐことができるとともに、プリセット呼出ボタンにタッチすることで検索条件が設定されたプリセットボタンを複数表示させることができる。したがって、わずか2回の操作であらかじめ設定した複数の検索条件のいずれかによる施設の提示を受けることができる。
(16)好ましくは、本発明の電子機器では、提示手段は、提示する施設を、地図とともに画面に表示するとよい。(17)より好ましくは、提示手段は、前記提示する施設を、地図内の当該施設に対応する位置に表示するとよい。(18)更に好ましくは、提示手段は、前記提示する施設を、前記提示する施設以外の施設より目立つように表示するとよい。
提示手段は地図内の該当位置に表示してもよいし、地図を表示している領域とは異なる領域に提示する施設のリストを表示してもよいが、例えば(17)の構成によれば、提示された施設の位置を地図上で確認することができ、当該提示された施設に立ち寄るか否かの判断材料をユーザに提示できる。更に、(18)の構成によれば、画面を注視しなくとも地図中に提示された施設を一目で見つけることができる。
電子機器は、例えば、現在地を起点とし提示する施設の位置を終点とする矢印を地図上に表示するとよい。このような表示により、利用者に現在位置からの方向と距離を直感的に認識させることができる。また、提示する施設の地図上の位置にアイコンを点滅や拡大させて表示するとよい。
(19)好ましくは、本発明の電子機器では、現在位置から提示する施設までの距離に応じて、表示する地図の縮尺を変更するとともに、縮尺を示す情報を画面に表示するとよく、(20)より好ましくは、本発明の電子機器では、現在位置と提示する施設とを同時に表示できる最大の縮尺に地図の縮尺を設定するとよい。
本発明の電子機器によれば、提示する施設を表示する際に、利用者による縮尺変更の操作を要さないように構成することができる。更に、(20)の構成によれば、地図の縮尺によって現在位置から提示された施設までの距離を直感的に認識させることができ、提示した施設に立ち寄るか否かの判断材料を利用者に提供することができる。
(21)好ましくは、本発明のプログラムでは、コンピュータを、上述の電子機器として機能させる
本発明のプログラムによれば、コンピュータを、いったん走行を停止しなくても、あるいは、階層の深い設定を行わなくとも、定型入力操作に対応付けて予め設定しておいた複雑な条件での施設検索をすることができる電子機器として機能させることができる。
本発明によれば、従来よりも使い勝手のよいナビゲーション装置等の電子機器を提供することができる。
図1および図2は、本発明に係るナビゲーション装置1の好適な一実施形態の外観を示しており、図3は、その機能ブロック図を示しており、図4以降は表示形態の一例を示している。図1および図2に示すように、ナビゲーション装置1は、持ち運び可能な携帯型に構成される。ナビゲーション装置1は、車両のダッシュボード等に配置されたクレードル(図示されていない)に装着することで、車載用のナビゲーション装置として機能し、クレードルから取り外すことで携帯型のナビゲーション装置(PND)として機能する。本実施形態は、ナビゲーション装置1をクレードルに着脱可能とし、クレードルと共に車両のダッシュボード上に設置して利用したり、クレードルからナビゲーション装置1を取り外して携帯型(PND)として利用したりすることができるタイプであるが、クレードルに対して簡単に着脱できず、車載固定タイプでもよいし、携帯型専用のものでもよい。さらには、例えば携帯電話などの携帯端末に所定のアプリケーションプログラムをインストール(プリインストールを含む)して実現されるものでもよい。アプリケーションプログラムは、ナビゲーションを行うためのシステム自身でもよいし、ナビゲーションを行うためのシステムが実装されているサーバにアクセスし、当該システムを利用するためのプログラムでもよい。本発明は、係る各種のタイプのナビゲーションシステムに適用できる。
ナビゲーション装置1は、クレードルに対して着脱自在に取り付けられる。ナビゲーション装置1は、扁平な矩形状の筐体3を備えている。その筐体3の前面には、表示部4が配置され、その表示部4上には表示部4のどの部分がタッチされたかを検出するタッチパネル5を備えている。
筐体3の上面には、操作ボタン6とテレビ受信アンテナ7を備える。操作ボタン6には、メインメニュー画面の呼び出し等の機能が割り当てられる。テレビ受信アンテナ7は、伸縮自在に筐体3内に格納され、テレビ視聴機能を利用する際に必要に応じて伸張して使用される。なお、テレビ放送の受信感度を高めるために外付けのアンテナを接続することを可能としてもよい。
筐体3の一方の側面には、地上デジタルTV放送を視聴するために必要なmini B−CASカードを挿入するためのB−CASカード用スロット部8が設けられている。一方、B−CASカード用スロット部8とは反対側の側面には、SDメモリカード用スロット部9を備え、そのSDメモリカード用スロット部9に地図データ、音楽ファイル、動画ファイル、写真ファイルなどが記録されたSDメモリカード20を挿入可能としている。また、筐体3のSDメモリカード用スロット部9を設けた側面には、DCジャック10を設けている。DCジャック10は、図示省略のシガープラグコードを接続するためのもので、そのシガープラグコードを介して車両のシガーソケットに接続して電源供給を受け得るようにする。
筐体3の内部には、以下の各機器・部品を配置している。すなわち、筐体3の上面側内部には、GPS衛星から発信されるGPS信号を受信し現在位置を求めるGPS受信機11を配置している。また、筐体3の背面側内部には、スピーカ12が内蔵され、筐体3の背面にスピーカ12用の開口が設けられる。
図4は、操作ボタン6を押したときに表示部4に表示されるメインメニュー画面を示す。本実施形態のナビゲーション装置1は、このメインメニュー画面に表示されている各種の機能を備える。具体的には、ナビゲーション装置1は、ナビゲーション機能、テレビ視聴機能、音楽・映像試聴機能、写真表示機能、およびオプション設定機能を備え、メインメニュー画面内には各機能に対応したアイコンが表示される。そして、ユーザが各機能に対応したアイコンの表示位置にタッチすると、対応する機能が起動される。なお、本実施形態のナビゲーション装置1は、メインメニュー画面に表示される上記の機能に加え、プリセットボタン43に設定される機能として、プリセット検索機能及び施設提示機能を備える。
上記の各機能は、制御部13に有するコンピュータが実行するプログラムとして制御部13のEEPROM上に格納され、これを制御部13に有するコンピュータが実行することで実現される。すなわち、制御部13は、上記の各種の入力機器(GPS受信機11、タッチパネル5、SDメモリカード用スロット部9等)から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(表示部4、スピーカ12、SDメモリカード用スロット部9等)を利用して所定の情報・警報・メッセージを出力する。この所定の処理が、上記の各機能を実行するためのものであり、必要に応じてデータベース14や、SDメモリカード20にアクセスする。
ここでデータベース14は、制御部13のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(たとえばEEPROM)により実現できる。なお、データベース14には、出荷時に一定の目標物や地図その他の各機能を実施するために必要な情報が登録されており、その後に追加された目標物についてのデータ等は、所定の処理を経て更新することができる。この更新のための処理は、例えば、追加データが格納されたSDメモリカード20をSDメモリカード用スロット部9に装着すると共に、そのSDメモリカードからデータベース14に転送することで行うことがある。以下、具体的な表示画面にナビゲーション装置1の各種機能を実行する際の制御部13による制御について説明する。なお、以下の説明において主体が明記されていない処理は制御部13の制御によるものである。
以下では本実施形態のナビゲーション装置1が備える、ナビゲーション機能について詳述する。このナビゲーション機能を実現するための制御部13は、以下のような動作をする。まず、データベース14は、ナビゲーション用の道路ネットワーク情報を記憶している。このデータベース14に格納するナビゲーションのための情報は、出荷時において全国についてのすべての情報を格納しておいてもよいし、地図データ等は、地方毎にSDメモリカード20に格納したものを提供するようにし、ユーザは必要な地図データ等が格納されたSDメモリカードを用意し、それをSDメモリカード用スロット部9に装着して使用してもよい。なお、SDメモリカード20に格納された地図データ等は、データベース14に転送して格納してもよいし、制御部13がSDメモリカード20にアクセスし、そこから読み出して使用するようにしてもよい。
図5は、ナビゲーション機能が起動されているときに表示されるナビゲーション画面の一例を示す。ナビゲーション画面では、データベース14から現在位置周辺の道路位置情報を読み出し、表示部4に現在位置を含む地図を表示する。制御部13は、道路位置情報を利用して、設定された検索の開始位置(例えば現在位置)から検索の終了位置(例えば最終目的地、経由地等)に至る経路を検索することができる。また、制御部13は、検索された経路に沿って案内する案内機能を有する。制御部13は、検索された経路の少なくとも一部を表示部4に表示するとともに当該経路に沿ったナビゲーションを行う。例えば、制御部13は、算出した推奨経路を、周辺の地図とともに表示しつつ、現在位置から目的地に至るルートを推奨経路として、所定の色(例えば赤色)で表示する。これは、一般的なナビゲーションシステムと同様である。検索の終了位置の設定方法については後述する。
ナビゲーション画面の左端部には、現在時刻表示部30、方位・GPS受信表示部31、地図スケール表示部32、プリセット呼出ボタン33、自車速度表示部34が表示される。現在時刻表示部30には、GPS受信機11がGPS衛星から取得した現在時刻を表示する。方位・GPS受信表示部31は、例えば方位磁針のアイコンにより赤色の矢印が北方向を指すように表示する。また、GPS受信機11が受信するGPS衛星からの信号の受信レベルを表示する。方位磁針のアイコンの表示位置にタッチされると、制御部13は、地図の表示形態をノースアップ(表示部4の上方向を北として表示する表示形態)と、ヘディングアップ(表示部4の上方向を進行方向として表示する表示形態)との間で切り替える。
地図スケール表示部32には、表示されている地図の縮尺を表示する。この地図スケール表示部の表示位置にタッチする都度、地図の縮尺が順次切り替わる。プリセット呼出ボタン33は、後述するプリセットボタン43を表示させるためのボタンである。プリセット呼出ボタン33は、ナビゲーション画面に常時表示してもよいし、案内機能を利用しているときにのみ表示してもよい。自車速度表示部34は、車両の走行速度を表示する。
また、地図内の現在位置(自車位置)に対応する位置に、自車位置マーク35を表示する。自車位置マーク35は例えば二等辺三角形のアイコンとするとよく、アイコンの表示位置で現在位置を示すとともに、二等辺三角形の頂角の向きにより進行方向を示すとよい。ナビゲーション画面の下端部には、メニューバー36が表示される。メニューバー36には、例えば自車位置の住所、道路名称、緯度経度等が表示される。メニューバー36の表示位置にタッチすると、図6に示すナビゲーションメニュー画面が表示される。ナビゲーションメニュー画面は、ナビゲーション機能における各種のサブ機能を選択・起動するための画面である。ナビゲーションメニュー画面には、サブ機能として例えば「検索」、「ルート編集」、「一般道へ切替」、「自宅へ帰る」、「登録・編集」、「GPS受信開始・停止」、「設定」、及び「案内中止」を選択するためのアイコンが表示されると共に、ナビゲーション画面に戻るための現在地ボタン37、メインメニュー画面に戻るための終了ボタン38、及び直前の画面に戻るためのBackボタン39が表示される。そして、ユーザが各サブ機能に対応したアイコンの表示位置にタッチすると、対応するサブ機能が起動される。
「検索」は、目的地を検索し、設定するためのサブ機能である。「ルート編集」は、案内機能が利用されている場合に、案内機能で設定されている経路を編集するためのサブ機能である。案内機能が利用されていない場合には「ルート編集」は選択不能とされる。「一般道へ切替」は、現在位置を高速道路上から一般道へと切り替えるサブ機能であり、高速道路と一般道が併設されている場合に必要に応じて使用される。「自宅へ帰る」は、案内機能の目的地をあらかじめ登録されている自宅に設定するためのサブ機能である。「登録・編集」は、自宅やその他の所望の地点をデータベース14に登録し、または既存の登録地点を編集するためのサブ機能である。「GPS受信開始・停止」は、GPS受信機11によるGPS信号の受信を開始または停止するためのサブ機能である。「設定」は各種の設定を行うためのサブ機能である。「案内中止」は、案内機能を中止するためのサブ機能である。案内機能が利用されていない場合には「案内中止」は選択不能とされる。
続いて、ナビゲーション機能が起動されているときに目的地を設定して、案内機能を利用する手順の一例を説明する。制御部13は、ナビゲーションメニュー画面において、「検索」が選択されると、図7に示す検索メニュー画面を表示する。検索メニュー画面では、ナビゲーション装置1が備える目的地の検索方法が選択可能に提示される。検索メニュー画面には、例えば、フリーワード検索、住所検索、施設検索、電話番号検索、周辺施設検索等の検索方法を示すアイコン、ナビゲーション画面に戻るための現在地ボタン37、及び前の画面に戻るためのBackボタン39が表示される。
ユーザがアイコンにタッチすると、そのタッチしたアイコンに対応する検索方法により目的地の検索をすることができる。例えば、フリーワード検索では、任意のキーワードにより目的地を検索できる。また、住所検索、電話番号検索、及び施設検索では、それぞれ目的地に設定したい施設の住所、電話番号、名称により目的地を検索できる。また、周辺施設検索では、現在位置の周辺にある施設から目的地を検索することができる。この周辺施設検索については後に詳述する。これらの各種情報に基づく検索を実現するため、本実施形態のデータベース14は、住宅・会社・店舗等の施設の名称、その施設の電話番号、住所、その住所の位置情報、及びその施設の分類に関する情報を対応づけて記憶する。
その他、「検索」サブ機能から目的地を設定する以外に、ナビゲーション画面において地図をスクロールさせて目的地を地図内に表示させ、その表示させた位置を案内機能における目的地(検索の終了位置)として設定することもできる。
目的地が設定されると、制御部13は、当該目的地に対応する位置情報をデータベース14から取得する。そして、取得した位置情報を目的地の位置情報として設定し、現在位置から目的地までの推奨経路を、データベース14に記憶している道路ネットワーク情報に基づいて求める。この推奨経路の算出方法としては例えばダイクストラ法など公知の手法を用いることができる。
制御部13は、算出した推奨経路を、周辺の地図とともに表示しつつ、現在位置から目的地に至るルートを推奨経路として、所定の色(例えば赤色)で表示する。
本実施形態のナビゲーション装置1は、現在位置の周辺にある施設から目的地を検索する通常の周辺施設検索、及びプリセットボタン43を操作されたときに予め定められた検索条件により周辺施設検索を行うプリセット検索の機能を備える。
周辺施設検索では、制御部13は、指定された条件に合致する施設であって、現在位置から近いものを抽出し、その抽出結果を表示部4に描画する。そして、ユーザは、表示部4に描画された候補の中からいずれかを選択し、確定することとで目的地(経由地を含む)に指定することができる。
周辺施設検索を実現するため、データベース14は各施設についての情報を、複数の分類軸により分類して記憶する。分類軸は、例えば、施設の業種(例えばレストラン、スーパーマーケット、ガソリンスタンド等)、施設の利用目的(例えば、食べる、遊ぶ、買い物等)、許容する支払方法(例えば現金、クレジットカード、プリペイドカード等)、トイレの有無、チェーン店か否か、公衆無線LANの提供の有無、利用できるポイントカードの種類等とするとよい。制御部13は、複数の分類軸によって分類された状態でデータベース14から施設についての情報を取得する。
また、施設の分類に関する情報は、各分類軸について、大項目,中項目,小項目のように段階・階層を立てて分類分けすることで効率よい指定を行うことができるようにしている。すなわち、大項目の中には、1または複数の中項目が属し、各中項目には、1または複数の小項目が属する。なお、1つの項目のみ属する場合には、実際には、その階層の項目はないものと同等となる。つまり、ある中項目に属する小項目が1つしか存在しない場合には、中項目までで、小項目はないとしてもよい。
大項目の一例を挙げると、「交通」、「ショッピング」、「飲食店」、「レジャー・観光」、「宿泊・温泉」、「くらし・生活」等がある。「交通」に属する中項目の一例としては、「道路」、「鉄道」、「空港」、「フェリー乗り場」、「道の駅・ドライブイン」等がある。「道路」に属する小項目の一例としては、「インターチェンジ」、「スマートIC」、「SA・PA・ハイウェイオアシス」、「交差点」等がある。「空港」や「フェリー乗り場」に属する小項目はない。「ショッピング」に属する中項目は、「コンビニエンスストア」、「スーパー・百貨店・商店街」、「食品・お酒」、「自動車関連」などがある。「コンビニエンスストア」に属する小項目は、各チェーン店がある。大項目の「飲食店」に属する中項目の分類は、「ファミリーレストラン」、「ファーストフード」、「ラーメン」、「和食」、「洋食」、「アジア・中華・エスニック料理」などがある。「アジア・中華・エスニック料理」に属する小項目としては、「中華料理」、「飲茶」、「韓国料理」、「焼き肉」などがある。「ファーストフード」に属する小項目は、「ハンバーガー」、「牛丼」、「その他のファーストフード」などがあるが、これも各チェーン店にさらに分けてもよい。
そして、大項目を指定した場合には、それに属する全ての中項目が指定されたことになり、ある中項目が指定された場合には、その中項目に属する全ての小項目が指定されたこととして、制御部13は処理する。
検索メニュー画面において周辺施設検索が選択されると、制御部13は、分類情報選択メニューを表示部4に描画する。本実施形態では、施設の分類は、大・中・小の3つの階層に分けていたため、最初に大項目を選択するメニューを描画する。ユーザは、この大項目のメニュー一覧から、検索対象の施設を特定するための所望の項目をタッチ等して選択する。制御部13は、係るユーザからの指示を受けると、その選択された大項目を認識し、その選択された大項目のメニュー領域を反転表示や、チェックボックスにチェック印を描画などしてユーザに選択・認識した項目を通知する。また、選択された大項目に下位の中項目がある場合には、制御部13は、選択された大項目の表示の下に中項目のリストを選択可能に表示する。また、すでに選択されているメニュー領域が再度タッチ等して指定された場合、制御部13は、選択解除と判断して初期の表示状態に戻す。
選択した大項目の下位の中項目を選択する場合には、選択した大項目の下に表示されている中項目のリストから、所望の項目をタッチ等して選択する。選択した中項目は大項目の場合と同様に認識可能な態様で描画され、よりさらに下位の小項目がある場合には、選択された中項目の下にそのリストが表示される。
ユーザは、選択した項目で周辺施設検索を検索してよい場合には、表示部4に表示される検索ボタン40にタッチする。ユーザの指示に応答して、制御部13は、選択された項目に該当する施設をデータベース14から取得し、現在位置から行きやすい施設から順に並べて表示する。現在位置から行きやすい施設とは、例えば、現在位置からの直線距離が近い順、現在位置からの道のりが近い順、予想到着時刻が早い順、案内中の経路からの乖離が小さい順等とするとよい。続いて、ユーザは、表示された施設の中から目的地に設定する施設にタッチして選択する。選択された施設は、項目の選択と同様、反転表示やチェック印により選択されたことを認識可能な態様で描画される。そして、ユーザが表示部4に表示される案内開始ボタンにタッチすると、選択された施設の位置情報が案内機能における検索の終了位置として設定されて、推奨経路の検索が実施される。
本実施形態のナビゲーション装置1では、制御部13は、複数の分類軸にまたがった検索条件により周辺施設検索を実行できるように構成される。「複数の分類軸にまたがった検索条件」とは、例えば、複数の分類軸による検索条件の論理演算(例えば論理和、論理積、論理否定等)を検索条件とすることである。このような複数の分類軸による検索条件を設定する方法の具体例として、本実施形態のナビゲーション装置1では、図8に示すように、項目が選択された状態において、検索ボタン40とともにAND検索ボタン41を表示部4に表示する。そして、ユーザがAND検索ボタン41にタッチすると、選択済みの項目との論理積により検索を行うべき二つ目の項目の選択を行うために、分類情報選択メニューが再び表示される。ユーザは、一つ目の項目を選択したときと同様の手順により二つ目の項目を選択する。二つ目の項目が選択された状態で検索ボタン40にタッチされると、制御部13は、一つ目の項目と二つ目の項目のいずれにも属する施設をデータベース14から取得し、現在位置から近い順に並べて表示する。
具体的な適用例としては、一つ目の項目として「コンビニエンスストア」を選択し、二つ目の項目として「トイレ有り」を選択して論理積による周辺施設検索を行うと、トイレのあるコンビニエンスストアを現在位置の周辺から検索することができる。制御部13は、上記と同様の手順でより多くの項目の論理和による検索を行うことも可能とする。また、論理積以外に論理和や論理否定による検索を可能とすべく、AND検索ボタン41に加えて論理和による検索をせっていするためのOR検索ボタンや論理否定(除外条件)を設定するためのNOT検索ボタンを表示するようにしてもよい。
上述のように、周辺施設検索では、分類を階層的に構成しており、また、複数の分類軸をまたがった検索を許容しているが、検索をして施設を指定するためには、多くの操作を必要とする。このため、周辺施設検索を行うには、いったん走行を停止して画面を注視して操作しなければならない。この問題を解決するため、本実施形態のナビゲーション装置1は、入力受付手段に対する定型の入力操作にデータベース14の検索条件を予め対応付けて設定しておき、定型の入力操作により設定した条件による検索を可能とするプリセット検索の機能を備える。定型の入力操作により予め設定した検索条件により周辺施設検索を行うことができるので、いったん走行を停止して画面を注視しなくとも、簡単に周辺施設検索を行うことを可能とする。以下、プリセット検索について説明する。
本実施形態のナビゲーション装置1において、検索条件が設定される入力受付手段は表示部4に表示されるプリセットボタン43であり、当該プリセットボタン43へのタッチが定型の入力操作となる。プリセットボタン43は図5に示した車両の走行中に通常表示されるナビゲーション画面には表示されていないが、プリセット呼出ボタン33へのタッチが検出された場合、図9に示す画面へと遷移し、表示部4の左端部に2個のプリセットボタン43を表示する。表示したプリセットボタン43へのタッチが検出されると、予め設定された検索条件により周辺施設検索を実行する。プリセットボタン43は2個よりも多く設けてもよい。図9に示した例では、2つのプリセットボタン43が自車速度表示部34およびメニューバー36の一部に重ねて表示しているが、現在時刻表示部30等の他の表示エリア、メニューバー36のより多くの部分、及び地図を表示している領域にもプリセットボタンを表示させるようにしてもよい。プリセット呼出ボタン33へのタッチが検出された場合には、特に図5の表示から図9の表示への遷移として示したように、プリセット呼出ボタン33へのタッチが検出される前に表示していたボタンの一部を非表示にしてそのボタンがあった領域を含むように表示したり、プリセット呼出ボタン33へのタッチが検出される前に表示していたボタンに重ねたりして、プリセットボタン43を表示するようにするとよい。このようにすれば、より一層プリセットボタン43をタッチしやすくすることができ、プリセット検索をさらに容易に行うことができる。
入力受付手段はこれに限らず様々な実現形態が可能である。例えば、車両の走行中に通常表示されるナビゲーション画面にプリセットボタン43を表示してもよい。この場合、1回の操作でプリセット検索が実行できる。また、タッチパネルを備える表示部に表示されるボタンでなく、操作ボタン6のような機械的なスイッチを入力受付手段としてもよい。また、音声入力を可能とするナビゲーション装置1においては、マイクを入力受付手段とし、例えば「プリセット検索実行」などの所定の命令ワードの音声入力を定型の入力操作とするとよい。いずれの場合も、入力受付手段は、車両の走行中に入力操作を受け付け可能に構成されることが好ましく、現在位置を含む地図が表示された状態のまま入力操作を受け付けることが好ましい。このような構成により、地図を表示した状態からすぐに定型の入力操作を行うことができる。特に、地図表示を妨げないように入力受付手段を構成すれば、車両の走行中の地図表示を妨げられることなく、定型の入力操作に対応付けられた検索条件に該当する施設の提示を受けることができる。本実施形態においては、プリセット呼出ボタン33及びプリセットボタン43は走行中に入力操作を受け付け可能に構成される。
また、入力受付手段は、運転者が操作指示を入力可能な固定された位置に配置されることが好ましい。このような構成により、入力受付手段を探すことに手間取ることなく入力操作を行うことができる。例えば、利用者が車両を運転している最中でも、入力受付手段を探すことに気を取られずに、スムーズに定型入力操作を行うことができる。タッチパネルを備える表示部に表示されるプリセットボタン43を入力受付手段とする本実施形態においては、プリセットボタン43は表示部4内の予め定められた固定位置に表示される。定型入力操作は、運転者による2回以内の入力操作であることが好ましく、本実施形態においては、プリセット呼出ボタン33へのタッチとプリセットボタン43へのタッチの2回の入力操作である。
プリセットボタン43にタッチされたときに実行される検索条件は、車両の走行が停止された状態において次の手順により予め設定される。はじめに周辺施設検索を行う場合と同様に項目を選択し、必要に応じてAND検索により複数の分類軸にまたがって項目を選択する。そして、図8に示した項目が選択された状態において、検索ボタン40及びANDボタンとともに表示されているプリセット設定ボタン42にタッチする。プリセット設定ボタン42へのタッチを検出すると、制御部13は、2つのプリセットボタン43のどちらに検索条件を設定するかの選択を受け付けるための選択ボタンを表示部4に表示する。そして制御部13は、選択ボタンに対するユーザの操作に応じて、選択されたプリセットボタン43の番号と選択された項目による検索条件とを対応付けてEEPROMに記憶する。
タッチパネルによりプリセットボタン43の表示位置へのタッチを検出すると、制御部13はタッチされた位置のプリセットボタン43の番号に対応する検索条件をEEPROMから読み出し、その読み出した検索条件に該当する施設をデータベース14から取得し、現在位置から行きやすい施設から順に並べて表示する。ユーザは、表示された施設の中から目的地に設定する施設にタッチして選択し、案内開始ボタンにタッチすることで、選択した施設の位置情報を案内機能における検索の終了位置(例えば目的地)として設定することができる。このように、プリセットボタン43のいずれかをタッチするだけで、そのプリセットボタン43に設定しておいた検索条件で周辺施設検索がなされるので、ユーザは目的の場所に向けて走行を続けながら、ついでに立ち寄ることができる施設を、行きやすい順で知ることができる。
本実施形態のナビゲーション装置1は上記のようにプリセット検索を可能とするが、検索結果として表示される施設の数が多いと、目的地を設定するためにユーザが表示部4を注視することを要する場合がある。そこで、本実施形態のナビゲーション装置1は、プリセット検索により抽出される施設を目的として設定せずにユーザに提示する施設提示機能を備える。プリセットボタン43へのタッチを検出したときに、通常の周辺施設検索と同様に案内機能における検索の終了位置の設定のための検索を行うか、施設提示機能により施設を提示するかについては、予め設定しておくものとする。
施設提示機能が実行されると、制御部13は、あらかじめ設定された検索条件により周辺施設検索を行って検索条件に該当する施設をデータベース14から取得し、現在位置から行きやすい施設から順を認知可能な態様で、予め定められたN個の施設をユーザに提示するよう制御を行う。具体的には、例えば提示する施設を現在位置が含まれる地図内に当該施設に対応する位置にアイコンとして表示するとよい。提示された施設の位置を地図上で確認することができ、当該提示された施設に立ち寄るか否かの判断材料をユーザに提示できる。地図内には提示する施設以外の施設が表示されても構わないが、提示する施設を、提示する施設以外の施設より目立つように表示することが好ましい。これにより、画面を注視しなくとも地図中に提示された施設を一目で見つけることができる。例えば、現在地を起点とし提示する施設の位置を終点とする矢印を地図上に表示するとよい。このような表示により、利用者に現在位置からの方向と距離を直感的に認識させることができる。その他、提示する施設の地図上の位置にアイコンを点滅や拡大させて表示してもよい。提示する施設のアイコンにタッチすると案内機能に用いる目的地として設定できるように構成すると更によい。
このとき、地図のスケールは、現在位置とN個の施設が表示できるように、オートスケールで調整し、画面内にN個の施設のアイコンが描画されるように制御する。なお、このN個は固定の個数としてもよいが、設定画面でプリセットボタンごとにその個数を選択させ、プリセットボタンの番号とこの個数とを対応付けて記憶しておく構成とするとよい。この構成の場合、いずれかのプリセットボタンにタッチされた場合には、そのタッチされたプリセットボタンに対応付けて記憶された個数分の施設のアイコンが描画されるように制御する。また、例えば制御部13は、現在位置と提示する施設とを同時に表示できる最大の縮尺に地図の縮尺を設定する。また、地図スケール表示部32に縮尺を示す情報を描画する。これにより、ユーザは提示する施設までの距離を容易に認識することができる。施設提示機能による提示は、提示しようとする施設が現在位置からどれだけ離れていようとも、予め定められた数だけ行うようにするとよい。
本実施形態のナビゲーション装置1では、施設提示機能において、制御部13は、車両の進行方向に位置する施設について行うよう制御する。進行方向は、例えば車両の前方の左右90度未満の所定角度の範囲として予め設定される。なお、「進行方向」は上述のものに限定されるものではない。例えば、現在位置に比較的近い範囲(例えば1km未満)については車両前方の比較的広い所定角度範囲(例えば左右60度以内)を進行方向としつつ、現在位置から比較的遠い範囲(例えば1km以上)については車両前方の比較的狭い角度範囲(例えば左右30度以内)を進行方向としてもよい。
そして、制御部13は、提示している施設が車両の進行方向から外れると、当該進行方向から外れた施設の提示を止めるとともに進行方向にある新たな候補を提示行うよう制御する。このような制御により、例えば走行を続けることで通り過ぎたり進行方向が転換したりすることによって進行方向から外れた施設が提示の対象から外され、進行方向にある新たな候補を見つけやすくなる。進行方向の変化に応じた提示の変更を効果的に実現するために、定期的に提示する施設を更新する構成とするとよい。ここで「定期的に」、とは所定時間ごと、所定時間間隔ごと、所定移動距離ごと等とするとよい。所定というのは一定でもよいし可変でもよい。
本実施形態のナビゲーション装置1においては、施設提示機能は、案内機能と同時に実行してもよい。施設提示機能を案内機能と同時に実行する場合、施設提示機能により提示する施設と案内機能における検索の終了位置とを互いに異なる態様で表示するとよい。これにより、案内機能での検索の終了位置と提示される施設との誤認や混同を防ぐことができる。また、施設提示機能における提示は、案内機能で検索された推奨経路の周辺に位置する施設について行うとよい。経路の周辺とは、例えば経路までの最短距離が所定の範囲内である領域とするとよい。具体的には、例えば当該施設に立ち寄った場合に推奨経路からの乖離が小さい施設から順に並べて表示するとよい。このような構成により、案内されるルートを走行しながら、ついでに立ち寄ることができる施設を、行きやすい順で知ることができる。
さらに次のような構成を備えるようにするとよい。
プリセットボタン43に割り当てる検索条件は、例えば時間帯別に設定する構成とするとよい。例えば、朝・昼・夜のように3つの時間帯に区分し当該時間帯別に検索条件を設定しておき、プリセットボタン43を操作されたときにGPS受信機11から取得した現在の時刻が含まれる時間帯の検索条件によって検索するようにするとよい。このようにすれば、時間帯に応じて異なるニーズに、少数のボタンで答えることができる。
さらに、少なくともいずれか1つのプリセットボタン43は、プリセット検索の機能以外の機能に割り当てられる構成としてもよい。例えば、さらにテレビ受信機能を備え、地図上にPinP(Picture in Picture)でテレビ放送の受信映像を表示するようにする。たとえば好きな放送局(フジテレビやNHK)などをプリセットボタン43のいずれかにプリセットする機能を備え、例えば、朝の連続テレビ小説(番組名:あまちゃん)が始まったらボタン一つで即切り替える構成としてもよい。例えば、朝7時台は、フジテレビのめざましテレビ(番組名)をぎりぎりまで見たいが画面切り替えのために、テレビアプリに移動して、チャンネルを切り替えてPinPに切り替えるより、例えば2つまで(複数ありすぎるとメリットが薄れるので少数)プリセットしておければ、ぎりぎりまで今の番組を視聴できるメリットが大きい。また、朝は、この2局・夕方は別の2局というように、時間帯別にプリセットしておき、時間帯によってプリセットボタン43に割り当てるチャンネルを切り替える構成としてもよい。このようにすれば、よりニーズに合った操作がタイムリーかつ容易に行うことができる。特に、運転者は、番組表で映像を見ながら番組変更ができない以上、地図上に表示した少数のボタンであるプリセットボタン43で手軽に切り替えられる方がユーザにとって、喜ばしい。