JP6641912B2 - 積層体及び積層体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、積層体及び積層体の製造方法に関する。具体的には、本発明は、微細繊維状セルロースを含む繊維層と、特定の官能基を含む接着層と、アクリルモノマーの重合体を含む樹脂層を有する積層体に関する。
近年、石油資源の代替及び環境意識の高まりから、再生産可能な天然繊維を利用した材料が着目されている。天然繊維の中でも、繊維径が10μm以上50μm以下の繊維状セルロース、特に木材由来の繊維状セルロース(パルプ)は、主に紙製品としてこれまで幅広く使用されてきた。
繊維状セルロースとしては、繊維径が1μm以下の微細繊維状セルロースも知られている。また、このような微細繊維状セルロースから構成されるシートや、微細繊維状セルロース含有シートと樹脂層を含む複合シートが開発されている。微細繊維状セルロースを含有するシートや複合シートにおいては、繊維同士の接点が著しく増加することから、引張強度等が大きく向上することが知られている。また、繊維幅が可視光の波長より短くなることで、透明度が大きく向上することも知られている。
複合シートとしては、例えば、アクリルモノマー等を含む樹脂組成物中に微細繊維状セルロースを分散させて硬化させることで得られたシート(例えば、特許文献1及び2)や、多孔化微細繊維状セルロース含有シートにアクリルモノマー等を含む樹脂組成物を含浸させることで得られたシート(例えば、特許文献3及び4)が知られている。
また、微細繊維状セルロース含有シートと樹脂層を含む複合シートとしては、高密度の非多孔微細繊維状セルロース含有シートと樹脂層を、接着層を介して積層した積層体が知られている(例えば、特許文献5〜7)。特許文献5及び6には、主に、ポリエステル樹脂等からなる樹脂層(基材)と、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂等を含む接着層と、カルボキシル基を有する微細繊維状セルロースからなる微細繊維状セルロース含有シートを積層した積層体が開示されている。ここでは、樹脂層の接着性を高めるために、樹脂層の表面にはコロナ処理等の処理が施されている。また、特許文献7には、アクリル樹脂層と、ポリエステル樹脂を含む接着層と、リン酸基を有する微細繊維状セルロース含有シートを積層した積層体が開示されている。
特開2012−167202号公報 特開2012−252038号公報 特開2006−316253号公報 特開2008−106152号公報 特開2014−079938号公報 国際公開WO2012/070441号公報 国際公開WO2015/163281号公報
上述したように、種々の態様の複合シートが開発されている。しかし、特許文献1及び2の複合シートにおいては、樹脂組成物中で微細繊維状セルロースが凝集することがあり、この場合、複合シートの強度が低下する懸念があった。なお、微細繊維状セルロースの凝集を防ぐために、樹脂組成物中に疎水化した微細繊維状セルロースを分散させる技術も検討されているが、この場合は、微細繊維状セルロースの水素結合に由来する補強効果が得られないという問題があった。
一方、特許文献3及び4の複合シートにおいては、微細繊維状セルロースの多孔化により、微細繊維状セルロースの密度が低下し、複合シートの強度が十分に得られないという課題があった。
特許文献5及び6に記載されているように、樹脂層と微細繊維状セルロース含有シートを積層することで、耐久性等に優れた積層体を得ることも検討されているが、積層体全体の強度や各層間の密着性は十分ではないという問題があった。また、特許文献7の積層体においては、層間の密着性が改善されているものの、高温高湿の過酷条件下に置いた場合の層間の密着性には更に改善の余地があることが本発明者らの検討により明らかとなった。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、高い透明性と十分な強度を有する積層体であって、過酷環境下においた場合であっても優れた層間密着性を発揮し得る積層体を提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、微細繊維状セルロースを含む繊維層と、アクリルモノマーの重合体を含む樹脂層を含む積層体において、繊維層と樹脂層を、特定の官能基を含む接着層を介して積層することにより、過酷環境下においても優れた層間密着性を発揮し得ることを見出した。本発明者らは、このような積層体は、高い透明性と十分な強度を有することに加えて、過酷環境下における優れた層間密着性を発揮し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 繊維層と、接着層と、樹脂層とをこの順で有し、繊維層は、繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを含み、接着層は、(メタ)アクリロイル基と共有結合を形成する官能基(A)を含み、さらに、水酸基と共有結合を形成する官能基(B)及び官能基(B)の加水分解基から選択される少なくとも一方を含み、樹脂層は、アクリルモノマーの重合体を含む積層体。
[2] 官能基(A)は、(メタ)アクリロイル基、及び、H2C=CR2−CH(−OH)−で表される基から選択される少なくとも1種である[1]に記載の積層体(但し、R2は水素原子又はメチル基を表す)。
[3] 官能基(B)は、イソシアネート基、カルボジイミド基、エポキシ基、アルコキシシリル基、シラノール基及びオキサゾリン基から選択される少なくとも1種である[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] 接着層は、官能基(A)を有するポリマーと、官能基(B)を有する化合物とを含む[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5] 積層体を温度85℃、相対湿度85%の条件下に240時間置いた後に、JIS K 5400に準拠したクロスカット試験を行った際の繊維層100マス中の剥離数が10以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
[6] 繊維層の密度は1.0g/cm3以上である[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[7] 引張弾性率が5GPa以上である[1]〜[6]のいずれかに記載の積層体。
[8] 全光線透過率が85%以上である[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体。
[9] 接着層は、重合開始剤をさらに含む[1]〜[8]のいずれかに記載の積層体。
[10] 樹脂層は、重合開始剤をさらに含む[1]〜[9]のいずれかに記載の積層体。
[11] 接着層は塗布接着層であり、樹脂層は塗布樹脂層である[1]〜[10]のいずれかに記載の積層体。
[12] 繊維層の少なくとも一方の面上に、官能基(A)と水酸基を有する樹脂と、官能基(B)を少なくとも2つ有する化合物とを含む組成物を塗布することで接着層を形成し、接着層上にアクリルモノマーを含む樹脂組成物を塗布することで樹脂層を形成して製造された[1]〜[11]のいずれかに記載の積層体。
[13] 繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを含む繊維層を得る工程と、繊維層の少なくとも一方の面に、(メタ)アクリロイル基と共有結合を形成する官能基(A)、及び水酸基と共有結合を形成する官能基(B)を含む組成物を塗布し、接着層を形成する工程と、アクリルモノマーを含む樹脂組成物を塗布し、樹脂層を形成する工程と、を有する積層体の製造方法。
[14] 官能基(A)は、(メタ)アクリロイル基、及び、H2C=CR2−CH(−OH)−で表される基から選択される少なくとも1種である[13]に記載の積層体の製造方法(但し、R2は水素原子又はメチル基を表す)。
[15] 官能基(B)は、イソシアネート基、カルボジイミド基、エポキシ基、アルコキシシリル基、シラノール基及びオキサゾリン基から選択される少なくとも1種である[13]又は[14]に記載の積層体の製造方法。
[16] 官能基(A)及び官能基(B)を含む組成物は、官能基(A)と水酸基を有する樹脂と、官能基(B)を少なくとも2つ有する化合物とを含む[13]〜[15]のいずれかに記載の積層体の製造方法。
[17] 官能基(A)及び官能基(B)を含む組成物には、重合開始剤がさらに含まれる[13]〜[16]のいずれかに記載の積層体の製造方法。
[18] 樹脂組成物には、重合開始剤がさらに含まれる[13]〜[17]のいずれかに記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、高い透明性と十分な強度を有する積層体であって、過酷環境下においた場合であっても優れた層間密着性を発揮し得る積層体を得ることができる。
図1は、本発明の積層体の層構成の一例を説明する断面図である。 図2は、本発明の積層体の層構成の一例を説明する断面図である。 図3は、本発明の積層体の層構成の一例を説明する断面図である。 図4は、繊維原料に対するNaOH滴下量と電気伝導度の関係を示すグラフである。 図5は、ある実施形態における樹脂層成形用ガラスセルの構造を説明する概略図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
(積層体)
本発明は、繊維層と、接着層と、樹脂層とをこの順で有する積層体に関する。積層体において、繊維層は、繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを含む。接着層は、(メタ)アクリロイル基と共有結合を形成する官能基(A)を含み、さらに、水酸基と共有結合を形成する官能基(B)及び官能基(B)の加水分解基から選択される少なくとも一方を含む。そして、樹脂層は、アクリルモノマーの重合体を含む。
図1は、本発明の積層体の層構成の一例を説明する断面図である。図1に示されているように、本発明の積層体100は、繊維層10と、接着層20と、樹脂層30をこの順で含む。すなわち、積層体100において、繊維層10と樹脂層30は、接着層20を介して接着している。
本発明の積層体は、微細繊維状セルロースを含む繊維層10と、特定の官能基を含む接着層20と、アクリルモノマーの重合体を含む樹脂層30を有するため、透明性と強度に優れている。さらに本発明の積層体においては、耐久性が良好である。ここで、耐久性が良好であるとは、積層体の層間の密着性が優れており、かつ良好な密着性が高温高湿条件といった過酷条件下においても発揮されることをいう。これは、接着層20を形成する組成物に含まれている官能基(B)が、繊維層10に含まれる微細繊維状セルロースの水酸基と共有結合し、接着層20を形成する組成物に含まれている官能基(A)が、樹脂層30に含まれるアクリロイル基と共有結合を形成し、さらに、接着層20を形成する組成物に含まれている水酸基と官能基(B)が共有結合を形成することにより達成されるものと考えられる。すなわち、接着層20において、繊維層10と樹脂層30を連結するような一連の架橋構造が形成されることによって、積層体の層間の密着が強固になるものと考えられる。
本発明の積層体100は、繊維層10と、接着層20と、樹脂層30とを少なくとも1層ずつ含有する3層の積層体100であってもよいが、いずれかの層を2層以上有する4層以上の積層体であってもよい。例えば、図2に示されているように、本発明の積層体100は、繊維層10の両面に接着層20と樹脂層30の組み合わせを各々有する積層体であってもよく、5層構成の積層体であってもよい。また、図3に示されているように、本発明の積層体100は、樹脂層の両面に接着層20と繊維層10の組み合わせを各々有する積層体であってもよい。
積層体が図2に示されているような構成を有する場合、樹脂層30は、繊維層10の表面をコーティングする層として機能することができる。また、積層体が図3に示されているような構成を有する場合は、繊維層10が樹脂層30を補強する機能を有してもよく、繊維層10は補強層として機能することができる。このように、各層は用途や構成に応じて様々な機能を発揮することができる。また、各層の厚みは用途や構成に応じて適宜選択されることが好ましい。
樹脂層の厚みは、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。樹脂層が繊維層の表面をコーティングする層として機能する場合は、薄膜であってもよい。また、樹脂層の厚みは、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましい。繊維層が樹脂層を補強する構成の場合は、樹脂層はある程度の厚みを有していることが好ましい。
繊維層の厚みは、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。繊維層の厚みは、1mm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。
接着層の厚みは、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることがさらに好ましい。接着層の厚みは、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。接着層厚みを上記範囲内とすることにより、積層体における層間密着性をより効果的に高めることができる。
本発明の積層体は、各層間の密着性に優れており、繊維層は、接着層を介して樹脂層に強固に接着している。具体的には、積層体のJIS K 5400に準拠したクロスカット試験において、繊維層100マス中の剥離数が10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、3以下であることがさらに好ましい。
なお、JIS K 5400に準拠した密着性の評価方法は、具体的には下記の通りである。まず、積層体の繊維層側の表面に1mm2のクロスカットを100個入れ、セロハンテープ(ニチバン社製)をその上に貼り付け、1.5kg/cm2の荷重で押し付けた後、90°方向にはく離し、剥離したマス(1mm2四方マス)の数を数える。このマスの数を100マス中の剥離数とする。
本発明の積層体は、高温高湿条件といった過酷条件下においても各層間の密着性が低下しない点にも特徴がある。積層体を高温高湿条件に長時間置いた場合であっても、繊維層は、接着層を介して樹脂層に強固に接着している。具体的には、積層体を温度85℃、相対湿度85%の条件下に240時間置いた後に、JIS K 5400に準拠したクロスカット試験を行った際の繊維層100マス中の剥離数は20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましく、3以下であることが特に好ましい。
本発明の積層体の引張弾性率は5GPa以上であることが好ましく、7GPa以上であることがより好ましく、9GPa以上であることがさらに好ましい。積層体の引張弾性率は、JIS P 8113に準拠して測定される値であり、温度23℃、相対湿度50%における引張弾性率である。引張試験機としては、L&W社製、Tensile Tester CODE SE−064を用いることができる。
本発明の積層体の全光線透過率は85%以上であることが好ましく、87%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。積層体の全光線透過率は、JIS K 7361に準拠してヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製、HM−150)で測定される値である。
本発明の積層体のヘーズ値は、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。積層体のヘーズ値は、JIS K 7136に準拠し、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製、HM−150)を用いて測定される値である。
本発明の積層体は、繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを含む繊維層の少なくとも一方の面上に、官能基(A)と水酸基を有する樹脂と、官能基(B)を少なくとも2つ有する化合物とを含む組成物を塗布することで接着層を形成した後に、さらに接着層上にアクリルモノマーを含む樹脂組成物を塗布することで樹脂層を形成することで製造されたものであることが好ましい。すなわち本発明の積層体においては、接着層は塗布接着層であり、樹脂層も塗布樹脂層であることが好ましい。ここで、塗布接着層とは、上述したように組成物を塗布し、その後硬化させることによって得られる層である。また、塗布樹脂層とは、アクリルモノマーを含む樹脂組成物を塗布し、その後硬化させることによって得られる層である。
本発明では、接着層及び樹脂層を上記方法で形成することにより、接着層において、繊維層と樹脂層を連結するような一連の架橋構造が形成される。このため、積層体における層間密着性をより効果的に高めることが可能となる。
(繊維層)
繊維層は、繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを含む。繊維層に含まれる微細繊維状セルロースの含有量は、繊維層の全質量に対して、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
<微細繊維状セルロース>
微細繊維状セルロースを得るための繊維状セルロース原料としては特に限定されないが、入手しやすく安価である点から、パルプを用いることが好ましい。パルプとしては、木材パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプを挙げることができる。木材パルプとしては例えば、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ等が挙げられる。また、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられるが、特に限定されない。非木材パルプとしてはコットンリンターやコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、バガス等の非木材系パルプ、ホヤや海草等から単離されるセルロース、キチン、キトサン等が挙げられるが、特に限定されない。脱墨パルプとしては古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。本実施態様のパルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。上記パルプの中で、入手のしやすさという点で、セルロースを含む木材パルプ、脱墨パルプが好ましい。木材パルプの中でも化学パルプはセルロース比率が大きいため、繊維微細化(解繊)時の微細繊維状セルロースの収率が高く、またパルプ中のセルロースの分解が小さく、軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースが得られる点で好ましい。中でもクラフトパルプ、サルファイトパルプが最も好ましく選択される。軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースを含有するシートは高強度が得られる傾向がある。
微細繊維状セルロースの平均繊維幅は、電子顕微鏡で観察して、1000nm以下である。平均繊維幅は、好ましくは2nm以上1000nm以下、より好ましくは2nm以上100nm以下であり、より好ましくは2nm以上50nm以下であり、さらに好ましくは2nm以上10nm以下であるが、特に限定されない。微細繊維状セルロースの平均繊維幅が2nm未満であると、セルロース分子として水に溶解しているため、微細繊維状セルロースとしての物性(強度や剛性、寸法安定性)が発現しにくくなる傾向がある。なお、微細繊維状セルロースは、たとえば繊維幅が1000nm以下である単繊維状のセルロースである。
微細繊維状セルロースの電子顕微鏡観察による平均繊維幅の測定は以下のようにして行う。濃度0.05質量%以上0.1質量%以下の微細繊維状セルロースの水系懸濁液を調製し、この懸濁液を親水化処理したカーボン膜被覆グリッド上にキャストしてTEM観察用試料とする。幅の広い繊維を含む場合には、ガラス上にキャストした表面のSEM像を観察してもよい。構成する繊維の幅に応じて1000倍、5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。但し、試料、観察条件や倍率は下記の条件を満たすように調整する。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を目視で読み取る。こうして少なくとも重なっていない表面部分の画像を3組以上観察し、各々の画像に対して、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を読み取る。このように少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。微細繊維状セルロースの平均繊維幅(単に、「繊維幅」ということもある。)はこのように読み取った繊維幅の平均値である。
微細繊維状セルロースの繊維長は特に限定されないが、0.1μm以上1000μm以下が好ましく、0.1μm以上800μm以下がさらに好ましく、0.1μm以上600μm以下が特に好ましい。繊維長を上記範囲内とすることにより、微細繊維状セルロースの結晶領域の破壊を抑制でき、また微細繊維状セルロースのスラリー粘度を適切な範囲とすることができる。なお、微細繊維状セルロースの繊維長は、TEM、SEM、AFMによる画像解析より求めることができる。
微細繊維状セルロースはI型結晶構造を有していることが好ましい。ここで、微細繊維状セルロースがI型結晶構造をとっていることは、グラファイトで単色化したCuKα(λ=1.5418Å)を用いた広角X線回折写真より得られる回折プロファイルにおいて同定できる。具体的には、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。
微細繊維状セルロースに占めるI型結晶構造の割合は30%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である。
微細繊維状セルロースが含有する結晶部分の比率は、本発明においては特に限定されないが、X線回折法によって求められる結晶化度が60%以上であるセルロースを使用することが好ましい。結晶化度は、好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上であり、この場合、耐熱性と低線熱膨張率発現の点でさらに優れた性能が期待できる。結晶化度については、X線回折プロファイルを測定し、そのパターンから常法により求められる(Seagalら、Textile Research Journal、29巻、786ページ、1959年)。
<化学的処理>
微細繊維状セルロースは、セルロース原料を解繊処理することによって得られる。また、本発明では、解繊処理前にセルロース原料に化学的処理を施し微細繊維状セルロースに置換基を付加することが好ましい。微細繊維状セルロースに付加される置換基は、イオン性置換基であることが好ましく、アニオン性置換基であることがより好ましい。アニオン性置換基としては、リン酸基又はリン酸基に由来する置換基(単にリン酸基ということもある。)、カルボキシル基及びスルホン基から選択される少なくとも1種の置換基を挙げることができる。中でもアニオン性置換基は、リン酸基及びカルボキシル基から選択される少なくとも1種であることが好ましく、リン酸基であることがより好ましい。
本発明で使用する微細繊維状セルロースは、微細繊維状セルロース1g(質量)あたりアニオン性置換基を0.1mmol/g以上3.5mmol/g以下有することが好ましい。上述したようなアニオン性置換基を上記割合で有する微細繊維状セルロースは、静電反発効果により超微細化することができる点で好ましい。
<化学的処理一般>
セルロース原料の化学的処理の方法は、微細繊維を得ることができる方法である限り特に限定されない。化学的処理としては、例えば、酸処理、オゾン処理、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカル)酸化処理、酵素処理、セルロースまたは繊維原料中の官能基と共有結合を形成し得る化合物による処理などが挙げられる。
酸処理の一例としては、Otto van den Berg; Jeffrey R. Capadona; Christoph Weder;
Biomacromolecules 2007, 8, 1353-1357.に記載されている方法を挙げることができる。具体的には、硫酸や塩酸等により微細繊維状セルロースを加水分解処理する。高濃度の酸処理により製造されるものは、非結晶領域がほとんど分解されており、繊維の短いもの(セルロースナノクリスタルとも呼ばれる)になるが、これらも微細繊維状セルロースに含まれる。
オゾン処理の一例としては、特開2010−254726号公報に記載されている方法を挙げることができるが、特に限定されない。具体的には、繊維をオゾン処理した後、水に分散し、得られた繊維の水系懸濁液を粉砕処理する。
TEMPO酸化の一例としては、Saito T & al. Homogeneous suspensions of individualized microfibrils from TEMPO-catalyzed oxidation of native cellulose. Biomacromolecules 2006, 7 (6), 1687-91に記載されている方法を挙げることができる。具体的には、繊維をTEMPO酸化処理した後、水に分散し、得られた繊維の水系懸濁液を粉砕処理する。
酵素処理の一例としては、WO2013/176033号公報(WO2013/176033号公報に記載の内容は全て本願明細書中に引用されるものとする)に記載の方法を挙げることができるが、特に限定されない。具体的には、繊維原料を、少なくとも酵素のEG活性とCBHI活性の比が0.06以上の条件下で、酵素で処理する方法である。
セルロースまたは繊維原料中の官能基と共有結合を形成し得る化合物による処理としては、国際公開WO2013/073652(PCT/JP2012/079743)に記載されている「構造中にリン原子を含有するオキソ酸、ポリオキソ酸またはそれらの塩から選ばれる少なくとも1種の化合物」を使用する方法を挙げることができる。
<アニオン性置換基導入>
微細繊維状セルロースはアニオン性置換基を有することが好ましい。中でも、アニオン基は、リン酸基、カルボキシル基及びスルホン基から選択される少なくとも1種であることが好ましく、リン酸基で及びカルボキシル基から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、リン酸基であることが特に好ましい。
<置換基の導入量>
アニオン性置換基の導入量は特に限定されないが、微細繊維状セルロース1g(質量)あたり0.1mmol/g以上であることが好ましく、0.2mmol/g以上であることがより好ましく、0.3mmol/g以上であることがさらに好ましく、0.5mmol/g以上であることが特に好ましい。また、アニオン性置換基の導入量は3.5mmol/g以下であることが好ましく、3.0mmol/g以下であることがより好ましく、2.5mmol/g以下であることがさらに好ましく、2.0mmol/g以下であることが特に好ましい。アニオン性置換基の導入量を上記範囲内とすることにより、繊維原料の微細化を容易にすることができ、微細繊維状セルロースの安定性を高めることができる。
<リン酸基の導入>
本発明においては、微細繊維状セルロースはリン酸基又はリン酸基に由来する置換基を有していることが好ましい。
<リン酸基導入工程>
リン酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料に対し、リン酸基を有する化合物及びその塩から選択される少なくとも1種(以下、「化合物A」という。)を反応させることにより行うことができる。このような化合物Aは、乾燥状態または湿潤状態の繊維原料に粉末や水溶液の状態で混合してもよい。また別の例としては、繊維原料のスラリーに化合物Aの粉末や水溶液を添加してもよい。
リン酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料に対し、リン酸基を有する化合物及びその塩から選択される少なくとも1種(化合物A)を反応させることにより行うことができる。なお、この反応は、尿素及びその誘導体から選択される少なくとも1種(以下、「化合物B」という)の存在下で行ってもよい。
化合物Aを化合物Bの共存下で繊維原料に作用させる方法の一例としては、乾燥状態または湿潤状態の繊維原料に化合物Aおよび化合物Bの粉末や水溶液を混合する方法が挙げられる。また別の例としては、繊維原料のスラリーに化合物Aおよび化合物Bの粉末や水溶液を添加する方法が挙げられる。これらのうち、反応の均一性が高いことから、乾燥状態の繊維原料に化合物Aおよび化合物Bの水溶液を添加する方法、または湿潤状態の繊維原料に化合物Aおよび化合物Bの粉末や水溶液を添加する方法が好ましい。また、化合物Aと化合物Bは同時に添加してもよいし、別々に添加してもよい。また、初めに反応に供試する化合物Aと化合物Bを水溶液として添加して、圧搾により余剰の薬液を除いてもよい。繊維原料の形態は綿状や薄いシート状であることが好ましいが、特に限定されない。
本実施態様で使用する化合物Aは、リン酸基を有する化合物及びその塩から選択される少なくとも1種である。
リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸のリチウム塩、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩などが挙げられるが、特に限定されない。リン酸のリチウム塩としては、リン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウム、ピロリン酸リチウム、またはポリリン酸リチウムなどが挙げられる。リン酸のナトリウム塩としてはリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、またはポリリン酸ナトリウムなどが挙げられる。リン酸のカリウム塩としてはリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、またはポリリン酸カリウムなどが挙げられる。リン酸のアンモニウム塩としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウムなどが挙げられる。
これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、後述する解繊工程で解繊効率がより向上しやすく、低コストであり、かつ工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、またはリン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩が好ましい。リン酸二水素ナトリウム、またはリン酸水素二ナトリウムがより好ましい。
また、反応の均一性が高まり、かつリン酸基導入の効率が高くなることから化合物Aは水溶液として用いることが好ましい。化合物Aの水溶液のpHは特に限定されないが、リン酸基導入の効率が高くなることから7以下であることが好ましく、パルプ繊維の加水分解を抑える観点からpH3以上7以下がさらに好ましい。化合物Aの水溶液のpHは例えば、リン酸基を有する化合物のうち、酸性を示すものとアルカリ性を示すものを併用し、その量比を変えて調整してもよい。化合物Aの水溶液のpHは、リン酸基を有する化合物のうち、酸性を示すものに無機アルカリまたは有機アルカリを添加すること等により調整してもよい。
繊維原料に対する化合物Aの添加量は特に限定されないが、化合物Aの添加量をリン原子量に換算した場合、繊維原料に対するリン原子の添加量は0.5質量%以上100質量%以下が好ましく、1質量%以上50質量%以下がより好ましく、2質量%以上30質量%以下が最も好ましい。繊維原料に対するリン原子の添加量が上記範囲内であれば、微細繊維状セルロースの収率をより向上させることができる。繊維原料に対するリン原子の添加量が100質量%を超えると、収率向上の効果は頭打ちとなり、使用する化合物Aのコストが上昇する。一方、繊維原料に対するリン原子の添加量を下記下限値以上とすることにより、収率を高めることができる。
本実施態様で使用する化合物Bとしては、尿素、チオ尿素、ビウレット、フェニル尿素、ベンジル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、テトラメチル尿素、ベンゾレイン尿素、ヒダントインなどが挙げられる。この中でも低コストで扱いやすく、ヒドロキシル基を有する繊維原料と水素結合を作りやすいことから尿素が好ましい。
化合物Bは化合物A同様に水溶液として用いることが好ましい。また、反応の均一性が高まることから化合物Aと化合物Bの両方が溶解した水溶液を用いることが好ましい。繊維原料に対する化合物Bの添加量は1質量%以上300質量%以下であることが好ましい。
化合物Aと化合物Bの他に、アミド類またはアミン類を反応系に含んでもよい。アミド類としては、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。アミン類としては、メチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。これらの中でも、特にトリエチルアミンは良好な反応触媒として働くことが知られている。
リン酸基導入工程においては加熱処理を施すことが好ましい。加熱処理温度は、繊維の熱分解や加水分解反応を抑えながら、リン酸基を効率的に導入できる温度を選択することが好ましい。具体的には50℃以上300℃以下であることが好ましく、100℃以上250℃以下であることがより好ましく、150℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。また、加熱には減圧乾燥機、赤外線加熱装置、マイクロ波加熱装置を用いてもよい。
加熱処理の際、化合物Aを添加した繊維原料スラリーに水が含まれている間において、繊維原料を静置する時間が長くなると、乾燥に伴い水分子と溶存する化合物Aが繊維原料表面に移動する。そのため、繊維原料中の化合物Aの濃度にムラが生じる可能性があり、繊維表面へのリン酸基の導入が均一に進行しない恐れがある。乾燥による繊維原料中の化合物Aの濃度ムラ発生を抑制するためには、ごく薄いシート状の繊維原料を用いるか、ニーダー等で繊維原料と化合物Aを混練又は攪拌しながら加熱乾燥又は減圧乾燥させる方法を採ればよい。
加熱処理に用いる加熱装置としては、スラリーが保持する水分及びリン酸基などの繊維の水酸基への付加反応で生じる水分を常に装置系外に排出できる装置であることが好ましく、例えば送風方式のオーブン等が好ましい。装置系内の水分を常に排出すれば、リン酸エステル化の逆反応であるリン酸エステル結合の加水分解反応を抑制できることに加えて、繊維中の糖鎖の酸加水分解を抑制することもでき、軸比の高い微細繊維を得ることができる。
加熱処理の時間は、加熱温度にも影響されるが繊維原料スラリーから実質的に水分が除かれてから1秒以上300分以下であることが好ましく、1秒以上1000秒以下であることがより好ましく、10秒以上800秒以下であることがさらに好ましい。本発明では、加熱温度と加熱時間を適切な範囲とすることにより、リン酸基の導入量を好ましい範囲内とすることができる。
<リン酸基の導入量>
リン酸基の導入量は、微細繊維状セルロース1g(質量)あたり0.1mmol/g以上であることが好ましく、0.2mmol/g以上であることがより好ましく、0.3mmol/g以上であることがさらに好ましく、0.5mmol/g以上であることが特に好ましい。また、リン酸基の導入量は3.5mmol/g以下であることが好ましく、3.0mmol/g以下であることがより好ましく、2.5mmol/g以下であることがさらに好ましく、2.0mmol/g以下であることが特に好ましい。リン酸基の導入量を上記範囲内とすることにより、繊維原料の微細化を容易にすることができ、微細繊維状セルロースの安定性を高めることができる。
リン酸基の繊維原料への導入量は、伝導度滴定法により測定することができる。具体的には、解繊処理工程により微細化を行い、得られた微細繊維状セルロース含有スラリーをイオン交換樹脂で処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えながら電気伝導度の変化を求めることにより、導入量を測定することができる。
伝導度滴定では、アルカリを加えていくと、図4に示した曲線を与える。最初は、急激に電気伝導度が低下する(以下、「第1領域」という)。その後、わずかに伝導度が上昇を始める(以下、「第2領域」という)。さらにその後、伝導度の増分が増加する(以下、「第3領域」という)。すなわち、3つの領域が現れる。このうち、第1領域で必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中の強酸性基量と等しく、第2領域で必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の弱酸性基量と等しくなる。リン酸基が縮合を起こす場合、見かけ上弱酸性基が失われ、第1領域に必要としたアルカリ量と比較して第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなる。一方、強酸性基量は、縮合の有無に関わらずリン原子の量と一致することから、単にリン酸基導入量(またはリン酸基量)、または置換基導入量(または置換基量)と言った場合は、強酸性基量のことを表す。すなわち、図4に示した曲線の第1領域で必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して、置換基導入量(mmol/g)とする。
リン酸基導入工程は、少なくとも1回行えば良いが、複数回繰り返すこともできる。この場合、より多くのリン酸基が導入されるので好ましい。
<カルボキシル基の導入>
本発明においては、微細繊維状セルロースがカルボキシル基を有するものである場合、たとえば上述したTEMPO酸化処理などの酸化処理やカルボン酸由来の基を有する化合物、その誘導体、またはその酸無水物もしくはその誘導体によって処理することで、カルボキシル基を導入することができる。
カルボキシル基を有する化合物としては特に限定されないが、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、イタコン酸等のジカルボン酸化合物やクエン酸、アコニット酸等トリカルボン酸化合物が挙げられる。
カルボキシル基を有する化合物の酸無水物としては特に限定されないが、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水イタコン酸等のジカルボン酸化合物の酸無水物が挙げられる。
カルボキシル基を有する化合物の誘導体としては特に限定されないが、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物のイミド化物、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の誘導体が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の酸無水物のイミド化物としては特に限定されないが、マレイミド、コハク酸イミド、フタル酸イミド等のジカルボン酸化合物のイミド化物が挙げられる。
カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の誘導体としては特に限定されない。例えば、ジメチルマレイン酸無水物、ジエチルマレイン酸無水物、ジフェニルマレイン酸無水物等の、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の少なくとも一部の水素原子が置換基(例えば、アルキル基、フェニル基等)で置換されたものが挙げられる。
<カルボキシル基の導入量>
カルボキシル基の導入量は、微細繊維状セルロース1g(質量)あたり0.1mmol/g以上であることが好ましく、0.2mmol/g以上であることがより好ましく、0.3mmol/g以上であることがさらに好ましく、0.5mmol/g以上であることが特に好ましい。また、カルボキシル基の導入量は3.5mmol/g以下であることが好ましく、3.0mmol/g以下であることがより好ましく、2.5mmol/g以下であることがさらに好ましく、2.0mmol/g以下であることが特に好ましい。カルボキシル基の導入量を上記範囲内とすることにより、繊維原料の微細化を容易にすることができ、微細繊維状セルロースの安定性を高めることができる。
<カチオン性置換基導入>
本実施形態においては、イオン性置換基としてカチオン性置換基が微細繊維状セルロースに導入されていてもよい。例えば繊維原料にカチオン化剤およびアルカリ化合物を添加して反応させることにより、繊維原料にカチオン性置換基を導入することができる。
カチオン化剤としては、4級アンモニウム基を有し、かつセルロースのヒドロキシル基と反応する基を有するものを用いることができる。セルロースのヒドロキシル基と反応する基としては、エポキシ基、ハロヒドリンの構造を有する官能基、ビニル基、ハロゲン基等が挙げられる。カチオン化剤の具体例としては、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどのグリシジルトリアルキルアンモニウムハライド或いはそのハロヒドリン型の化合物が挙げられる。
アルカリ化合物は、カチオン化反応の促進に寄与するものである。アルカリ化合物は、アルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属のリン酸塩またはアルカリ土類金属のリン酸塩などの無機アルカリ化合物であってもよいし、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族アンモニウム、芳香族アンモニウム、複素環式化合物およびその水酸化物、炭酸塩、リン酸塩等の有機アルカリ化合物であってもよい。カチオン性置換基の導入量の測定は、たとえば元素分析等を用いて行うことができる。
<アルカリ処理>
微細繊維状セルロースを製造する場合、置換基導入工程と、後述する解繊処理工程の間にアルカリ処理を行うことができる。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ溶液中に、リン酸基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、特に限定されないが、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。アルカリ溶液における溶媒としては水または有機溶媒のいずれであってもよい。溶媒は、極性溶媒(水、またはアルコール等の極性有機溶媒)が好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒がより好ましい。
また、アルカリ溶液のうちでは、汎用性が高いことから、水酸化ナトリウム水溶液、または水酸化カリウム水溶液が特に好ましい。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液の温度は特に限定されないが、5℃以上80℃以下が好ましく、10℃以上60℃以下がより好ましい。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液への浸漬時間は特に限定されないが、5分以上30分以下が好ましく、10分以上20分以下がより好ましい。
アルカリ処理におけるアルカリ溶液の使用量は特に限定されないが、リン酸基導入繊維の絶対乾燥質量に対して100質量%以上100000質量%以下であることが好ましく、1000質量%以上10000質量%以下であることがより好ましい。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液使用量を減らすために、アルカリ処理工程の前に、リン酸基導入繊維を水や有機溶媒により洗浄しても構わない。アルカリ処理後には、取り扱い性を向上させるために、解繊処理工程の前に、アルカリ処理済みリン酸基導入繊維を水や有機溶媒により洗浄することが好ましい。
<解繊処理>
イオン性置換基導入繊維は、解繊処理工程で解繊処理される。解繊処理工程では、通常、解繊処理装置を用いて、繊維を解繊処理して、微細繊維状セルロース含有スラリーを得るが、処理装置、処理方法は、特に限定されない。
解繊処理装置としては、高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミルなどを使用できる。あるいは、解繊処理装置としては、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなど、湿式粉砕する装置等を使用することもできる。解繊処理装置は、上記に限定されるものではない。好ましい解繊処理方法としては、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミの心配が少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーが挙げられる。
解繊処理の際には、繊維原料を水と有機溶媒を単独または組み合わせて希釈してスラリー状にすることが好ましいが、特に限定されない。分散媒としては、水の他に、極性有機溶媒を使用することができる。好ましい極性有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、またはジメチルアセトアミド(DMAc)等が挙げられるが、特に限定されない。アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、またはt−ブチルアルコール等が挙げられる。ケトン類としては、アセトンまたはメチルエチルケトン(MEK)等が挙げられる。エーテル類としては、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。分散媒は1種であってもよいし、2種以上でもよい。また、分散媒中に繊維原料以外の固形分、例えば水素結合性のある尿素などを含んでも構わない。
本発明では、微細繊維状セルロースを濃縮、乾燥させた後に解繊処理を行ってもよい。この場合、濃縮、乾燥の方法は特に限定されないが、例えば、微細繊維状セルロースを含有するスラリーに濃縮剤を添加する方法、一般に用いられる脱水機、プレス、乾燥機を用いる方法等が挙げられる。また、公知の方法、例えばWO2014/024876、WO2012/107642、およびWO2013/121086に記載された方法を用いることができる。また、濃縮した微細繊維状セルロースをシート化してもよい。該シートを粉砕して解繊処理を行うこともできる。
微細繊維状セルロースを粉砕する際に粉砕に用いる装置としては、高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、ビーターなど、湿式粉砕する装置等を使用することもできるが特に限定されない。
上述した方法で得られたリン酸基を有する微細繊維状セルロースは、微細繊維状セルロース含有スラリーであり、所望の濃度となるように、水で希釈して用いてもよい。微細繊維状セルロース含有スラリーは後述する方法でシート化され、繊維層が形成される。
<繊維層の密度>
繊維層の密度は、1.0g/cm3以上であることが好ましく、1.2g/cm3以上であることがより好ましく、1.4g/cm3以上であることがさらに好ましい。また、繊維層の密度は、2.0g/cm3以下であることが好ましい。繊維層の密度は、繊維層の坪量と厚さから、JIS P 8118に準拠して算出される。繊維層の坪量は、JIS P 8124に準拠し、算出することができる。なお、繊維層が微細繊維状セルロース以外の任意成分を含む場合は、繊維層の密度は、微細繊維状セルロース以外の任意成分を含む密度である。
本発明においては、繊維層は非多孔性の層である点にも特徴がある。ここで、繊維層が非多孔性であるとは、繊維層全体の密度が1.0g/cm3以上であることを意味する。繊維層全体の密度が1.0g/cm3以上であれば、繊維層に含まれる空隙率が、所定値以下に抑えられていることを意味し、多孔性のシートや層とは区別される。
また、繊維層が非多孔性であることは、空隙率が15体積%以下であることからも特徴付けられる。ここでいう繊維層の空隙率は簡易的に下記式(a)により求めるものである。
式(a):空隙率(体積%)=[1−B/(M×A×t)]×100
ここで、Aは繊維層の面積(cm2)、tは繊維層の厚み(cm)、Bは繊維層の質量(g)、Mはセルロースの密度である。
<他の成分>
繊維層に含まれる他の成分としては、例えば親水性高分子や有機イオン等が挙げられる。親水性高分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、セルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、カゼイン、デキストリン、澱粉、変性澱粉、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール(アセトアセチル化ポリビニルアルコール等)、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸塩類、ポリアクリルアミド、アクリル酸アルキルエステル共重合体、ウレタン系共重合体などを挙げることができる。有機イオンとしては、テトラアルキルアンモニウムイオンやテトラアルキルホスホニウムイオンを挙げることができる。テトラアルキルアンモニウムイオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、テトラヘキシルアンモニウムイオン、テトラヘプチルアンモニウムイオン、トリブチルメチルアンモニウムイオン、ラウリルトリメチルアンモニウムイオン、セチルトリメチルアンモニウムイオン、ステアリルトリメチルアンモニウムイオン、オクチルジメチルエチルアンモニウムイオン、ラウリルジメチルエチルアンモニウムイオン、ジデシルジメチルアンモニウムイオン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムイオン、トリブチルベンジルアンモニウムイオンが挙げられる。テトラアルキルホスホニウムイオンとしては、例えばテトラメチルホスホニウムイオン、テトラエチルホスホニウムイオン、テトラプロピルホスホニウムイオン、テトラブチルホスホニウムイオン、およびラウリルトリメチルホスホニウムイオンが挙げられる。また、テトラプロピルオニウムイオン、テトラブチルオニウムイオンとして、それぞれテトラn−プロピルオニウムイオン、テトラn−ブチルオニウムイオンなども挙げることができる。
(接着層)
接着層は、(メタ)アクリロイル基と共有結合を形成する官能基(A)を含み、さらに水酸基と共有結合を形成する官能基(B)及び官能基(B)の加水分解基から選択される少なくとも一方を含む。すなわち、接着層は、官能基(A)と、官能基(B)又は官能基(B)由来の基を含む。本発明では、接着層にこのような複数種の官能基を含有させることによって、積層体における層間密着性を高めることができる。
接着層は、官能基(A)を有する化合物aと、官能基(B)を有する化合物bとを含むことが好ましいが、官能基(A)と官能基(B)を少なくとも1つずつ一分子中に有する化合物を含んでいてもよい。なお、官能基(A)を有する化合物aは、官能基(A)を有するポリマー(樹脂)であることが好ましく、官能基(A)と官能基(B)の両方が一分子中に含まれる場合は、このような化合物もポリマー(樹脂)であることが好ましい。
(メタ)アクリロイル基と共有結合を形成する官能基(A)は、(メタ)アクリロイル基(H2C=CR1−C(=O)−)、及び、H2C=CR2−CH(−OH)−で表される基から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、本願明細書において「(メタ)アクリロイル基」はアクリロイル基又はメタクリロイル基であることを示す。R1、R2は、水素原子またはメチル基である。
本発明においては、官能基(A)を有するポリマー(樹脂)は、(メタ)アクリロイル基、および、H2C=CR2−CH(−OH)−で表される基から選択される少なくとも一方を有するアクリル樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリロイル基、および、H2C=CR2−CH(−OH)−で表される基から選択される少なくとも一方がグラフト重合したアクリル樹脂であることがより好ましく、(メタ)アクリロイル基、および、H2C=CR2−CH(−OH)−で表される基の両方がグラフト重合したアクリル樹脂であることが特に好ましい。
水酸基と共有結合を形成する官能基(B)は、イソシアネート基、カルボジイミド基、エポキシ基、アルコキシシリル基、シラノール基及びオキサゾリン基から選択される少なくとも1種であることが好ましく、イソシアネート基であることがより好ましい。
また、官能基(B)の加水分解基は、上述した官能基が加水分解することで得られる基であり、官能基(B)由来の基である。
官能基(B)を有する化合物bは、イソシアネート化合物であることが好ましい。イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。イソシアネート化合物には、ビウレット型、ヌレート型、アダクト型等のポリイソシアネートが含まれ、このようなポリイソシアネートも使用可能である。中でも、加熱、および経時劣化による着色を抑制する観点からヌレート型のポリイソシアネートが好適である。なお、接着層において検出される化合物bは、上記のイソシアネート化合物の少なくとも一方のイソシアネート基が加水分解をした加水分解基であってもよい。
官能基(A)は、樹脂層に含まれるアクリルモノマーの重合体が有するアクリロイル基と共有結合を形成する基である。官能基(B)は、繊維層に含まれる微細繊維状セルロースが有する水酸基と共有結合を形成する基である。さらに、官能基(B)は官能基(A)を有する化合物に含まれる水酸基と共有結合する基である。例えば、官能基(B)は接着層に含まれる下記構造中の水酸基と共有結合する基であるが、官能基(B)が共有結合する基はこれに限定されない。
Figure 0006641912
上記構造式において、R2は水素原子又はメチル基を表す。
例えば、官能基(A)と水酸基を少なくとも1つずつ有する化合物aと、官能基(B)を1分子中に2つ以上有する化合物bを接着層を形成する接着組成物中に含有させることにより、化合物aの水酸基は、まず化合物bの1つ目の官能基(B)と共有結合を形成し、化合物aの官能基(A)は、樹脂層に含まれるアクリルモノマーの重合体が有するアクリロイル基と共有結合を形成する。そして、化合物bの2つ目の官能基(B)は、繊維層に含まれる微細繊維状セルロースが有する水酸基と共有結合を形成する。このように、繊維層に含まれる微細繊維状セルロースと、樹脂層に含まれるアクリルモノマーの重合体は、化合物aと化合物bの各々の官能基が共有結合した架橋構造によって連結される。すなわち、接着層に含まれる成分は、繊維層に含まれる成分及び樹脂層に含まれる成分のいずれもと共有結合を形成する。接着層中には、上述したような一連の架橋構造が含まれるため、積層体における各層間の密着性が向上するものと考えられる。
接着層は、塗布により形成される塗布接着層であることが好ましく、接着層を形成する組成物(塗布液)には、官能基(A)と水酸基を少なくとも1つずつ有する化合物aと、官能基(B)を1分子中に2つ以上有する化合物bが含まれることが好ましい。化合物aは、(メタ)アクリロイル基、および、H2C=CR2−CH(−OH)−で表される基を少なくとも1つずつ有するものであることがより好ましい。なお、化合物aに含まれる官能基(A)としてH2C=CR2−CH(−OH)−で表される基が2つ以上含まれる場合は、1つ目のH2C=CR2−CH(−OH)−で表される基は、官能基(A)としてカウントされ、2つ目のH2C=CR2−CH(−OH)−で表される基は、水酸基の数としてカウントされる。
接着層を形成する際には、このような組成物を塗布した後に硬化させる工程を含み、この硬化工程において、各官能基が共有結合を形成する。硬化後の接着層には、共有結合に供されなかった残存の官能基(A)及び官能基(B)が検出されることとなる。なお、接着層に含まれる官能基(B)は加水分解がされやすい場合があるため、接着層からは、官能基(B)に替わって官能基(B)の加水分解基が検出されてもよい。また、各官能基が共有結合した構造を検出して、各官能基が含まれることを確認してもよい。
なお、官能基(B)は、繊維層に含まれる微細繊維状セルロースが有する水酸基と共有結合を形成する基であるが、微細繊維状セルロースが有する他の置換基と共有結合を形成してもよい。例えば、微細繊維状セルロースが有するイオン性置換基であるリン酸基の−O-Na+と共有結合を形成してもよい。
官能基(A)、官能基(B)、官能基(B)の加水分解基の検出装置としては、例えば、核磁気共鳴分析装置、赤外分光分析装置、X線光電子分析装置、ラマン分光装置等が挙げられる。接着層に含まれる官能基(A)、官能基(B)、官能基(B)の加水分解基を検出する際には、接着層の断面を分析してもよく、物理研磨により積層体を研磨し、接着層を露出させた後に研磨面を分析してもよい。
接着層は樹脂を含むものであることが好ましく、官能基(A)を有するポリマー(樹脂)を含むものであることがより好ましい。すなわち、接着層は、このような樹脂を構成する硬化性モノマー成分を含む硬化性組成物を公知の硬化方法で重合硬化させることで得られる層であることが好ましい。硬化方法としては、例えば、熱硬化、または放射線硬化等が挙げられ、好ましくは熱硬化である。なお、放射線としては、赤外線、可視光線、紫外線、または電子線等が挙げられるが、好ましくは波長1nm以上1000nm以下の電磁波である光である。より好ましくは波長が200nm以上450nm以下の電磁波であり、さらに好ましくは波長が300nm以上400nm以下の紫外線である。
接着層を形成する硬化性組成物には、重合開始剤が含まれることが好ましい。このため、接着層にも重合開始剤の少なくとも一部が残存することとなるため、接着層は重合開始剤を含むものであることが好ましい。硬化性組成物が重合開始剤を含有することにより、接着層の硬さを調整することができる。
硬化性組成物には、加熱によりラジカルや酸を発生する熱重合開始剤を添加しておくことが好ましい。また、硬化性組成物には、紫外線等の放射線によりラジカルや酸を発生する光重合開始剤を添加しておくことも好ましい。なお、硬化性組成物に熱重合開始剤と光重合開始剤の両方を添加しておき、熱と光の組み合わせにより重合させる方法を採用してもよい。
熱重合開始剤としては、例えば、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシケタール、またはケトンパーオキサイド等が挙げられる。具体的には、ベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)ジクミルパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、または1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等を用いることができる。これらの重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
光照射時に熱重合が開始されると、重合を制御することが難しくなるので、熱重合開始剤は好ましくは1分半減期温度が120℃以上300℃以下であることがよい。
熱重合開始剤の添加量は、硬化性モノマー成分の全質量に対して0.1質量%以上2質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上1質量%以下であることがより好ましい。
光重合開始剤としては、光ラジカル発生剤または光カチオン重合開始剤が挙げられる。光重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
光ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホシフィンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、ベンゾフェノン、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが好ましい。
光カチオン重合開始剤とは、紫外線や電子線などの放射線の照射によりカチオン重合を開始させる化合物であり、例えば、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族アンモニウム塩等が挙げられる。
芳香族スルホニウム塩としては、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロボレート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルフォニウムヘキサフルオロ、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルフォニウムテトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドテトラフルオロボレート、またはビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族ヨードニウム塩としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロボレート、または4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族ジアゾニウム塩としては、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、またはジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族アンモニウム塩としては、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄塩としては、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)テトラフルオロボレート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(II)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
これらの光カチオン重合開始剤の市販品としては、例えば、ユニオンカーバイド社製のUVI6990、UVI6979、ADEKA社製のSP−150、SP−170、またはSP−172、チバガイギー社製のイルガキュア261、またはイルガキュア250、ローディア社製のRHODORSIL PI2074、JMF−2456、または三新化学工業社製のサンエイドSI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−110L、SI−180L、またはSI−100L等が挙げられる。
さらに、光カチオン重合開始剤の他にも、カチオン重合性モノマーを硬化させるための硬化剤を添加してもよい。硬化剤としては、例えば、アミン化合物、アミン化合物から合成されるポリアミノアミド化合物等の化合物、3級アミン化合物、イミダゾール化合物、ヒドラジド化合物、メラミン化合物、酸無水物、フェノール化合物、熱潜在性カチオン重合触媒、またはジシアンアミドおよびその誘導体等が挙げられる。
また、光増感剤を添加することもできる。具体的にはピレン、ペリレン、アクリジンオレンジ、チオキサントン、2−クロロチオキサントンおよびベンゾフラビン等が挙げられる。
光重合開始剤の添加量は、硬化性モノマー成分の全質量に対して0.001質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上2質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以上0.1質量%以下であることがさらに好ましい。
(樹脂層)
樹脂層は、アクリルモノマーの重合体を含む。樹脂層は、塗布により形成される塗布樹脂層であることが好ましく、樹脂層を形成する塗布液(樹脂組成物)にはアクリルモノマーが含まれることが好ましい。
樹脂層は、塗布により形成される塗布樹脂層であることが好ましく、アクリルモノマーを含む樹脂組成物を公知の硬化方法で重合硬化させることで得られる層であることが好ましい。硬化方法としては、例えば、熱硬化、または放射線硬化等が挙げられ、好ましくは放射線硬化である。
樹脂層を形成する樹脂組成物には、重合開始剤が含まれることが好ましい。このため、樹脂層にも重合開始剤の少なくとも一部が残存することとなるため、樹脂層は重合開始剤を含むものであることが好ましい。なお、樹脂組成物に添加される重合開始剤としては、上述した熱重合開始剤や光重合開始剤を例示することができる。
樹脂層を形成する塗布液(樹脂組成物)にはアクリルモノマーや、アクリルモノマーのプレ重合体が含まれてもよい。プレ重合体は、後述するアクリルモノマー1種から構成されるものであってもよく、2種以上を組み合わせて構成されるものであってもよい。また、プレ重合体は、後述するアクリルモノマーと、ウレタン構造やエポキシ構造が共重合された共重合体であってもよい。
アクリルモノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジベンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートプロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート等を挙げることができる。中でも、アクリルモノマーはペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレートから選択される少なくとも1種であることが好ましい。アクリルモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、アクリルモノマーとしては、単官能のアルキル(メタ)アクリレートを上述した多官能アクリルモノマーと併用することも好ましい。単官能のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n−ウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等を挙げることができる。
なお、ペンタエリスリトールテトラアクリレートやジペンタエリスリトールヘキサアクリレートをモノマー成分とするアクリル樹脂においては、硬化する際の収縮が大きい傾向がある。このため、このようなモノマー成分を用いた際には、接着層及び繊維層と樹脂層の密着性を高めることがより困難な傾向となるが、本発明においては、接着層が特定の官能基を含有しているため、硬化時の収縮度が大きなモノマー成分を用いた場合であっても層間密着性を高めることに成功した。
(無機膜積層体)
本発明の積層体は、さらに無機膜(以下、無機層ともいう)を有していてもよい。無機層は、繊維層側に積層されてもよく、樹脂層側に積層されてもよい。また、無機層は、積層体の両側に積層されてもよい。
無機層を構成する物質としては、特に限定されないが、例えばアルミニウム、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン;これらの酸化物、炭化物、窒化物、酸化炭化物、酸化窒化物、もしくは酸化炭化窒化物;またはこれらの混合物が挙げられる。高い防湿性が安定に維持できるとの観点からは、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化炭化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化炭化窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化炭化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、またはこれらの混合物が好ましい。
無機層の形成方法は、特に限定されない。一般に、薄膜を形成する方法は大別して、化学的気相成長法(Chemical Vapor Deposition、CVD)と物理成膜法(Physical Vapor Deposition、PVD)とがあるが、いずれの方法を採用してもよい。CVD法としては、具体的には、プラズマを利用したプラズマCVD、加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法(Cat−CVD)等が挙げられる。PVD法としては、具体的には、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等が挙げられる。
また、無機層の形成方法としては、原子層堆積法(Atomic Layer Deposition、ALD)を採用することもできる。ALD法は、形成しようとする膜を構成する各元素の原料ガスを、層を形成する面に交互に供給することにより、原子層単位で薄膜を形成する方法である。成膜速度が遅いという欠点はあるが、プラズマCVD法以上に、複雑な形状の面でもきれいに覆うことができ、欠陥の少ない薄膜を成膜することが可能であるという利点がある。また、ALD法には、膜厚をナノオーダーで制御することができ、広い面を覆うことが比較的容易である等の利点がある。さらにALD法は、プラズマを用いることにより、反応速度の向上、低温プロセス化、未反応ガスの減少が期待できる。
無機層の厚みは、特に限定されないが、例えば、防湿性能の発現を目的とする場合は、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましい。無機層の厚みは、透明性、フレキシブル性の観点からは、1000nm以下であることが好ましく、800nm以下であることがより好ましく、600nm以下であることがさらに好ましい。
(積層体の製造方法)
本発明は、積層体の製造方法に関するものでもある。本発明の積層体の製造工程は、繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを含む繊維層を得る工程と、繊維層の少なくとも一方の面に、(メタ)アクリロイル基と共有結合を形成する官能基(A)、及び水酸基と共有結合を形成する官能基(B)を含む組成物を塗布し、接着層を形成する工程と、アクリルモノマーを含む樹脂組成物を塗布し、樹脂層を形成する工程と、を有する。
<微細繊維状セルロースを含む繊維層を得る工程>
微細繊維状セルロースを含む繊維層を得る工程は、微細繊維状セルロース含有スラリーを基材上に塗工する工程又は、微細繊維状セルロース含有スラリーを抄紙する工程を含む。中でも、微細繊維状セルロースを含む繊維層を得る工程は微細繊維状セルロース含有スラリーを基材上に塗工する工程を含むことが好ましい。
<塗工工程>
塗工工程は、微細繊維状セルロース含有スラリーを基材上に塗工し、これを乾燥して形成された微細繊維状セルロース含有シートを基材から剥離することにより、シート(繊維層)を得る工程である。塗工装置と長尺の基材を用いることで、シートを連続的に生産することができる。塗工するスラリーの濃度は特に限定されないが、0.05質量%以上5質量%以下が好ましい。
塗工工程で用いる基材の質は、特に限定されないが、微細繊維状セルロース含有スラリーに対する濡れ性が高いものの方が乾燥時のシートの収縮等を抑制することができて良いが、乾燥後に形成されたシートが容易に剥離できるものを選択することが好ましい。中でも樹脂板または金属板が好ましいが、特に限定されない。例えばアクリル板、ポリエチレンテレフタレート板、塩化ビニル板、ポリスチレン板、ポリ塩化ビニリデン板等の樹脂板や、アルミ板、亜鉛版、銅版、鉄板等の金属板および、それらの表面を酸化処理したもの、ステンレス板、真ちゅう板等を用いることができる。
塗工工程において、微細繊維状セルロース含有スラリーの粘度が低く、基材上で展開してしまう場合、所定の厚み、坪量の微細繊維状セルロース含有シートを得るため、基材上に堰止用の枠を固定して使用してもよい。堰止用の枠の質は特に限定されないが、乾燥後に付着するシートの端部が容易に剥離できるものを選択することが好ましい。中でも樹脂板または金属板を成形したものが好ましいが、特に限定されない。例えばアクリル板、ポリエチレンテレフタレート板、塩化ビニル板、ポリスチレン板、ポリ塩化ビニリデン板等の樹脂板や、アルミ板、亜鉛版、銅版、鉄板等の金属板および、それらの表面を酸化処理したもの、ステンレス板、真ちゅう板等を成形したもの用いることができる。
微細繊維状セルロース含有スラリーを塗工する塗工機としては、例えば、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、エアドクターコーター等を使用することができる。厚みをより均一にできることから、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーターが好ましい。
塗工温度は特に限定されないが、20℃以上45℃以下であることが好ましく、25℃以上40℃以下であることがより好ましく、27℃以上35℃以下であることがさらに好ましい。塗工温度が上記下限値以上であれば、微細繊維状セルロース含有スラリーを容易に塗工でき、上記上限値以下であれば、塗工中の分散媒の揮発を抑制できる。
塗工工程においては、シートの仕上がり坪量が10g/m2以上100g/m2以下、好ましくは20g/m2以上50g/m2以下になるようにスラリーを塗工することが好ましい。坪量が上記範囲内となるように塗工することで、強度に優れた繊維層が得られる。
微細繊維状セルロースを含む繊維層を得る工程は、基材上に塗工した微細繊維状セルロース含有スラリーを乾燥させる工程を含むことが好ましい。乾燥方法としては、特に限定されないが、非接触の乾燥方法でも、シートを拘束しながら乾燥する方法の何れでもよく、これらを組み合わせてもよい。
非接触の乾燥方法としては、特に限定されないが、熱風、赤外線、遠赤外線または近赤外線により加熱して乾燥する方法(加熱乾燥法)、真空にして乾燥する方法(真空乾燥法)を適用することができる。加熱乾燥法と真空乾燥法を組み合わせてもよいが、通常は、加熱乾燥法が適用される。赤外線、遠赤外線または近赤外線による乾燥は、赤外線装置、遠赤外線装置または近赤外線装置を用いて行うことができるが、特に限定されない。加熱乾燥法における加熱温度は特に限定されないが、20℃以上120℃以下とすることが好ましく、25℃以上105℃以下とすることがより好ましい。加熱温度を上記下限値以上とすれば、分散媒を速やかに揮発させることができ、上記上限値以下であれば、加熱に要するコストの抑制及び微細繊維状セルロースが熱によって変色することを抑制できる。
乾燥後に、得られた微細繊維状セルロース含有シートを基材から剥離するが、基材がシートの場合には、微細繊維状セルロース含有シートと基材とを積層したまま巻き取って、微細繊維状セルロース含有シートの使用直前に微細繊維状セルロース含有シートを工程基材から剥離してもよい。
<抄紙工程>
微細繊維状セルロースを含む繊維層を得る工程は、微細繊維状セルロース含有スラリーを抄紙する工程を含んでもよい。抄紙工程で抄紙機としては、長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機、これらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機等が挙げられる。抄紙工程では、手抄き等公知の抄紙を行ってもよい。
抄紙工程では、微細繊維状セルロース含有スラリーをワイヤー上で濾過、脱水して湿紙状態のシートを得た後、プレス、乾燥することでシートを得る。スラリーの濃度は特に限定されないが、0.05質量%以上5質量%以下が好ましい。スラリーを濾過、脱水する場合、濾過時の濾布としては特に限定されないが、微細繊維状セルロースは通過せず、かつ濾過速度が遅くなりすぎないことが重要である。このような濾布としては特に限定されないが、有機ポリマーからなるシート、織物、多孔膜が好ましい。有機ポリマーとしては特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のような非セルロース系の有機ポリマーが好ましい。具体的には孔径0.1μm以上20μm以下、例えば1μmのポリテトラフルオロエチレンの多孔膜、孔径0.1μm以上20μm以下、例えば1μmのポリエチレンテレフタレートやポリエチレンの織物等が挙げられるが、特に限定されない。
微細繊維状セルロース含有スラリーからシートを製造する方法としては、特に限定されないが、例えばWO2011/013567に記載の製造装置を用いる方法等が挙げられる。この製造装置は、微細繊維状セルロースを含むスラリーを無端ベルトの上面に吐出し、吐出されたスラリーから分散媒を搾水してウェブを生成する搾水セクションと、ウェブを乾燥させて繊維シートを生成する乾燥セクションとを備えている。搾水セクションから乾燥セクションにかけて無端ベルトが配設され、搾水セクションで生成されたウェブが無端ベルトに載置されたまま乾燥セクションに搬送される。
本発明において使用できる脱水方法としては特に限定されないが、紙の製造で通常に使用している脱水方法が挙げられ、長網、円網、傾斜ワイヤーなどで脱水した後、ロールプレスで脱水する方法が好ましい。また、乾燥方法としては特に限定されないが、紙の製造で用いられている方法が挙げられ、例えば、シリンダードライヤー、ヤンキードライヤー、熱風乾燥、近赤外線ヒーター、赤外線ヒーターなどの方法が好ましい。
<接着層を形成する工程>
接着層を形成する工程では、繊維層の少なくとも一方の面に、(メタ)アクリロイル基と共有結合を形成する官能基(A)、及び水酸基と共有結合を形成する官能基(B)を含む組成物を塗布する。
ここで、官能基(A)及び官能基(B)としては、上述した官能基を各々選択することが好ましい。中でも官能基(A)は、(メタ)アクリロイル基、及び、H2C=CR2−CH(−OH)−で表される基から選択される少なくとも1種であることが好ましく、官能基(B)はイソシアネート基、カルボジイミド基、エポキシ基、アルコキシシリル基、シラノール基及びオキサゾリン基から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
官能基(A)及び官能基(B)を含む組成物は、官能基(A)と水酸基を少なくとも1つずつ有する化合物aと、官能基(B)を少なくとも2つ有する化合物bとを含むことが好ましいが、官能基(A)と官能基(B)を少なくとも1つずつ一分子中に有する化合物を含んでいてもよい。
官能基(A)と水酸基を少なくとも1つずつ有する化合物aは、官能基(A)を有するポリマー(樹脂)であることが好ましい。さらに、官能基(A)を有するポリマー(樹脂)は、(メタ)アクリロイル基、および、H2C=CR2−CH(−OH)−で表される基から選択される少なくとも一方を有するアクリル樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリロイル基、および、H2C=CR2−CH(−OH)−で表される基から選択される少なくとも一方がグラフト重合したアクリル樹脂であることが特に好ましい。
官能基(B)を少なくとも2つ有する化合物bは、イソシアネート化合物であることが好ましい。イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。イソシアネート化合物には、ビウレット型、ヌレート型、アダクト型等のポリイソシアネートが含まれ、このようなポリイソシアネートも使用可能である。中でも、加熱、および経時劣化による着色を抑制する観点からヌレート型のポリイソシアネートが好適である。
化合物aは、官能基(A)と水酸基を少なくとも1つずつ有することが好ましく、化合物aの水酸基は、まず化合物bの1つ目の官能基(B)と共有結合を形成し、化合物aの官能基(A)は、樹脂層に含まれるアクリルモノマーの重合体が有するアクリロイル基と共有結合を形成する。そして、化合物bの2つ目の官能基(B)は、繊維層に含まれる微細繊維状セルロースが有する水酸基と共有結合を形成する。このように、繊維層に含まれる微細繊維状セルロースと、樹脂層に含まれるアクリルモノマーの重合体は、化合物aと化合物bの各々の官能基が共有結合した架橋構造によって連結される。
官能基(A)及び官能基(B)を含む組成物中には、官能基(A)1モルに対して、官能基(B)が0.5モル以上5.0モル以下含まれることが好ましく、0.5モル以上3.0モル以下含まれることがより好ましい。官能基(A)1モルに対する官能基(B)のモル比を上記範囲内とすることにより、より効果的に架橋構造を形成することが可能となり、積層体における層間密着性をより高めることができる。
官能基(A)及び官能基(B)を含む組成物には、重合開始剤がさらに含まれることが好ましい。重合開始剤としては、上述した重合開始剤を例示することができる。中でも、官能基(A)及び官能基(B)を含む組成物中には、光重合開始剤が含まれることが好ましい。官能基(A)及び官能基(B)を含む組成物に光重合開始剤を含有させることにより、樹脂層を硬化させる際に照射する放射線により、接着層の硬度をより高めることができる。
官能基(A)及び官能基(B)を含む組成物には、さらに溶剤が含まれていてもよい。溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチル、ジブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、トルエン、キシレン、ヘキサンなどの芳香族類および炭化水素類などの有機溶剤が挙げられる。
接着層を形成する工程においては、繊維層の少なくとも一方の面に(メタ)アクリロイル基と共有結合を形成する官能基(A)、及び水酸基と共有結合を形成する官能基(B)を含む組成物を塗布する。塗布工程において使用できる塗工機としては、例えば、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、エアドクターコーター等を使用することができる。
塗布後には、重合工程を設けることが好ましく、熱重合工程を設けることがより好ましい。熱重合工程においては、例えば、70℃以上200℃以下で0.1時間以上10時間以下加熱することが好ましい。熱重合工程においては、例えば、熱風、赤外線、遠赤外線または近赤外線により加熱して乾燥する方法(加熱乾燥法)、真空にして乾燥する方法(真空乾燥法)を適用することができる。
重合工程においては、光重合工程を採用してもよく、熱重合工程と光重合工程を同時に行ってもよい。この場合、光重合工程では、300nm以上450nm以下の紫外線を、10mJ/cm2以上8000mJ/cm2以下の範囲で照射することが好ましい。
<樹脂層を形成する工程>
樹脂層を形成する工程では、アクリルモノマー及びアクリルモノマーのプレ重合体から選択される少なくともいずれかを含む樹脂組成物を塗布する。
樹脂組成物に含まれるアクリルモノマーとしては、上述したアクリルモノマーを例示することができる。中でも、アクリルモノマーは、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレートから選択される少なくとも1種であることが好ましい。アクリルモノマーのプレ重合体としては、上述したアクリルモノマーと、ウレタン構造やエポキシ構造が共重合された共重合体を例示することができる。
樹脂組成物は、溶剤を含むことが好ましい。溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチル、ジブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、トルエン、キシレン、ヘキサンなどの芳香族類および炭化水素類などの有機溶剤が挙げられる。
樹脂組成物には、重合開始剤がさらに含まれることが好ましい。重合開始剤としては、上述した重合開始剤を例示することができる。中でも、樹脂組成物中には、光重合開始剤が含まれることが好ましい。
樹脂層を形成する工程においては、繊維層の少なくとも一方の面に形成された接着層の面上に樹脂組成物を塗布する。塗布工程において使用できる塗工機としては、例えば、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、エアドクターコーター等を使用することができる。
樹脂組成物を塗布した後は、溶剤を揮発させるために、70℃以上200℃以下で0.1時間以上1時間以下加熱することが好ましい。加熱工程では、例えば、熱風、赤外線、遠赤外線または近赤外線により加熱して乾燥する方法(加熱乾燥法)、真空にして乾燥する方法(真空乾燥法)を採用することができる。
溶剤を揮発させた後には、樹脂組成物を硬化させる工程を設けることが好ましい。ここでは、放射線照射により重合硬化させることが好ましい。
照射する放射線の量は、光重合開始剤がラジカルを発生させる範囲であれば任意である。具体的には、300nm以上450nm以下の紫外線を、10mJ/cm2以上1000mJ/cm2以下の範囲で照射することが好ましい。また、放射線を2回以上に分割して照射することも好ましい。放射線照射に使用するランプの具体例としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ、紫外線LEDランプ、または無電極水銀ランプ等を挙げることができる。
樹脂組成物を硬化させる工程においては、光重合と熱重合を同時に行ってもよい。この場合には、放射線照射と同時に樹脂組成物を70℃以上200℃以下の範囲で加熱して硬化を行う。
(用途)
本発明の積層体は、光学特性に優れるため、表示素子、照明素子、太陽電池もしくは窓材、またはこれらのためのパネルもしくは基板として用いることができる。
より具体的には、積層体は、フレキシブルディスプレイ、タッチパネル、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイ、LED素子として用いることができる。
また、積層体は、シリコン系太陽電池、色素増感太陽電池などの太陽電池用基板として用いることもできる。基板としての用途においては、バリア膜、ITO、TFT等を積層してもよい。
さらに本発明の積層体は、自動車、鉄道車両、航空機、住宅、オフィスビル、工場等の窓材、グレージング、内装材、外板、バンパー等の自動車、鉄道車両、航空機の材料、パソコンの筐体、家電部品、包装用資材、建築資材、土木資材、水産資材、その他工業用資材との構造材として用いることもできる。窓材としては、必要に応じてフッ素皮膜、ハードコート膜等の膜や耐衝撃性、耐光性の素材を積層してもよい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
[リン酸化試薬の調製]
リン酸二水素ナトリウム二水和物265g、及びリン酸水素二ナトリウム197gを538gの水に溶解させ、リン酸系化合物の水溶液(以下、「リン酸化試薬」という。)を得た。
[リン酸化]
針葉樹晒クラフトパルプ(王子ホールディングス株式会社製、水分50質量%、JIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)700ml)を含水率80質量%になるようイオン交換水で希釈し、パルプ懸濁液を得た。このパルプ懸濁液500gにリン酸化試薬210gを加え、105℃の送風乾燥機(ヤマト科学株式会社製、DKM400)で時折混練しながら質量が恒量となるまで乾燥させた。ついで150℃の送風乾燥機で時折混練しながら1時間加熱処理して、セルロースにリン酸基を導入した。このときのリン酸基の導入量は、0.98mmol/gであった。
なお、リン酸基の導入量は、セルロースをイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈した後、イオン交換樹脂による処理、アルカリを用いた滴定によって測定した。イオン交換樹脂による処理では、0.2質量%セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、アンバージェット1024:コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った。その後、目開き90μmのメッシュ上に注ぎ、樹脂とスラリーを分離した。アルカリを用いた滴定では、イオン交換後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えながら、スラリーが示す電気伝導度の値の変化を計測した。すなわち、図4に示した曲線の第1領域で必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して、置換基導入量(mmol/g)とした。
[アルカリ処理、洗浄]
次いで、リン酸基を導入したセルロースに5000mlのイオン交換水を加え、撹拌洗浄後、脱水した。脱水後のパルプを5000mlのイオン交換水で希釈し、撹拌しながら、1Nの水酸化ナトリウム水溶液をpHが12以上13以下になるまで少しずつ添加して、パルプ分散液を得た。その後、このパルプ分散液を脱水し、5000mlのイオン交換水を加えて洗浄を行った。この脱水洗浄をさらに1回繰り返した。
[機械処理]
洗浄脱水後に得られたパルプにイオン交換水を添加して、固形分濃度が1.0質量%のパルプ分散液とした。このパルプ分散液を、高圧ホモジナイザー(NiroSoavi社製、Panda Plus 2000)を用いて処理し、セルロース分散液を得た。高圧ホモジナイザーを用いた処理においては、操作圧力1200barにてホモジナイジングチャンバーを5回通過させた。さらに、このセルロース分散液を湿式微粒化装置(スギノマシン社製、アルティマイザー)を用いて処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。湿式微粒化装置を用いた処理においては、245MPaの圧力にて処理チャンバーを5回通過させた。微細繊維状セルロース分散液に含まれる微細繊維状セルロースの平均繊維幅は4nmであった。
[シート化]
微細繊維状セルロース分散液の固形分濃度が0.5質量%となるよう濃度調整を行った。その後、微細繊維状セルロース分散液100質量部に対して、ポリエチレンオキサイド(住友精化社製、PEO−18)の0.5質量%水溶液を20質量部添加した。次いで、シートの仕上がり坪量が45.0g/m2になるように分散液を計量して、市販のアクリル板に展開し、35℃、相対湿度15%の恒温恒湿器にて乾燥した。なお、所定の坪量となるようアクリル板上には堰止用の金枠(内寸が180mm×180mmの金枠)を配置した。以上の手順により、微細繊維状セルロース含有シート(繊維層)を得た。触針式厚さ計(マール社製、ミリトロン1202D)で測定した微細繊維状セルロース含有シートの厚みは29.8μmであり、坪量を厚みで除して算出した密度は1.51g/cm3であった。
[接着層の積層]
アクリロイル基がグラフト重合したアクリル樹脂(大成ファインケミカル社製、アクリット8KX−012C)100質量部と、ポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ社製、TPA−100)38質量部、ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184)2質量部を混合して接着組成物を得た。次いで上記接着組成物を、微細繊維状セルロース含有シートの一方の面に、バーコーターにて塗布した後、100℃で1時間加熱して硬化させて接着層を積層した。さらに、微細繊維状セルロース含有シートのもう一方の面にも同様の手順で接着層を積層した。接着層の厚みは片面5μmであった。上記の手順により、微細繊維状セルロース含有シートの両面に接着層が積層された、接着層積層シート(A)を得た。
[樹脂層の積層]
光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを5質量%含有するウレタンアクリル樹脂(荒川化学工業社製、ビームセット575CB)100質量部、メチルエチルケトン100質量部を混合して樹脂組成物を得た。次いで上記樹脂組成物を、接着層積層シート(A)の一方の面に、バーコーターにて塗布した後、100℃で5分間加熱してメチルエチルケトンを揮発させた。さらに、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製、ECS−4011GX)を用いて500mJ/cm2の紫外線を照射して、樹脂組成物を硬化させて樹脂層を形成した。さらに、接着層積層シート(A)のもう一方の面にも同様の手順で樹脂層を形成した。樹脂層の厚みは片面10μmであった。上記の手順により、接着層積層シート(A)の両面に樹脂層が積層された積層体を得た。
<実施例2>
[樹脂層の積層]
ペンタエリスリトールテトラアクリレートを主成分とするアクリル樹脂(荒川化学工業社製、ビームセット710)100質量部、メチルエチルケトン100質量部、ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184)5質量部を混合して樹脂組成物を得た。次いで上記樹脂組成物を、実施例1で得られた接着層積層シート(A)の一方の面に、バーコーターにて塗布した後、100℃で5分間加熱してメチルエチルケトンを揮発させた。さらに、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製、ECS−4011GX)を用いて500mJ/cm2の紫外線を照射して、樹脂組成物を硬化させて樹脂層を形成した。さらに、接着層積層シート(A)のもう一方の面にも同様の手順で樹脂層を形成した。樹脂層の厚みは片面10μmであった。上記の手順により、接着層積層シート(A)の両面に樹脂層が積層された積層体を得た。
<実施例3>
[樹脂層の積層]
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを主成分とするアクリル樹脂(荒川化学工業社製、ビームセット710)100質量部、メチルエチルケトン100質量部、ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184)5質量部を混合して樹脂組成物を得た。次いで上記樹脂組成物を、実施例1で得られた接着層積層シート(A)の一方の面に、バーコーターにて塗布した後、100℃で5分間加熱してメチルエチルケトンを揮発させた。さらに、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製、ECS−4011GX)を用いて500mJ/cm2の紫外線を照射して、樹脂組成物を硬化させて樹脂層を形成した。さらに、接着層積層シート(A)のもう一方の面にも同様の手順で樹脂層を形成した。樹脂層の厚みは片面10μmであった。上記の手順により、接着層積層シート(A)の両面に樹脂層が積層された積層体を得た。
<実施例4>
[樹脂層成形用ガラスセルの作成]
実施例1で得られた接着層積層シート(A)2枚を長さ120mm、幅55mmの寸法に裁断した。次いで、長さ125mm、幅60mm、厚さ2mmのシリコンゴムの中央部に、長さ95mm、幅40mm、厚さ2mmの空隙を設けてスペーサーとし、ガラス板を外周に配置し、さらに2枚の接着層積層シート(A)をシリコンゴムの内周縁に沿うように挿入した。なお、スペーサーとしたシリコンゴムと接着層積層シート(A)の側部には、空隙に後述の樹脂組成物を注入するための幅5mmの開口部を設けた。さらに、長さ125mm、幅60mm、厚さ3mmのガラス板2枚で接着層積層シート(A)2枚を上下から挟み、左右各2点、上下各1点をダブルクリップで固定して封止した。図5は、上記のように作製した樹脂層成形用ガラスセル200を上方から見た図であって、上部ガラス板を除去した状態の樹脂層成形用ガラスセルの概略図である。図5に示されているように、樹脂層成形用ガラスセル200においては、内部スペースに周りに、接着層積層シート(A)130、シリコンゴム120、ガラス板110が配設されている。
[樹脂層の成形]
1,10−デカンジオールジアクリレートを主成分とするアクリル樹脂(新中村化学工業社製、A−DOD−N)100質量部、ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184)3質量部を混合して樹脂組成物を得た。次いで、スペーサーの開口部からマイクロピペットを使用して樹脂組成物を樹脂層成形用ガラスセル200における内部スペースに注入した。さらに、開口部にシリコンゴムを挿入して封止し、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製、ECS−4011GX)を用いて300mJ/cm2の紫外線を20回照射して、樹脂組成物を硬化させた。その後、ガラス板およびシリコンゴムを除去し、厚さ1920μmの樹脂層の両面に接着層を介して微細繊維状セルロース含有シート(繊維層)が積層された積層体を得た。
<比較例1>
実施例1において、接着層の積層を行わなかった。その他の手順は実施例1と同様にし、積層体を得た。
<比較例2>
実施例2において、接着層の積層を行わなかった。その他の手順は実施例2と同様にし、積層体を得た。
<比較例3>
実施例3において、接着層の積層を行わなかった。その他の手順は実施例3と同様にし、積層体を得た。
<比較例4>
[接着層の積層]
ポリエステル樹脂であるUVコートアンカー剤(荒川化学工業社製、アラコートAP2510)76質量部、硬化剤(荒川化学工業社製、アラコートCL2502)10質量部及びメチルエチルケトン14質量部を混合して接着組成物を得た。次いで上記接着組成物を、実施例1で得られた微細繊維状セルロース含有シート(繊維層)の一方の面に、バーコーターにて塗布した後、100℃で3分間加熱して硬化させて接着層を積層した。さらに、微細繊維状セルロース含有シートのもう一方の面にも同様の手順で接着層を積層した。接着層の厚みは片面5μmであった。上記の手順により、微細繊維状セルロース含有シートの両面に接着層が積層された、接着層積層シート(B)を得た。
[樹脂層の積層]
上記接着層積層シート(B)に実施例1と同様の手順で樹脂層の積層を行い、積層体を得た。
<比較例5>
比較例4で得られた接着層積層シート(B)に実施例2と同様の手順で樹脂層の積層を行い、積層体を得た。
<比較例6>
比較例4で得られた接着層積層シート(B)に実施例3と同様の手順で樹脂層の積層を行い、積層体を得た。
<比較例7>
[接着層の積層]
シルセスキオキサン系樹脂(荒川化学工業社製、コンポセランSQ107)26質量部、硬化剤(荒川化学工業社製、HBSQ202)14質量部、イソプロピルアルコール60質量部を混合して接着組成物を得た。次いで上記接着組成物を、実施例1で得られた微細繊維状セルロース含有シートの一方の面に、バーコーターにて塗布した後、100℃で5分間加熱してイソプロピルアルコールを揮発させた。さらに、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製、ECS−4011GX)を用いて300mJ/cm2の紫外線を照射して、接着組成物を硬化させて接着層を積層した。さらに、微細繊維状セルロース含有シートのもう一方の面にも同様の手順で接着層を積層した。接着層の厚みは片面5μmであった。上記の手順により、微細繊維状セルロース含有シートの両面に接着層が積層された、接着層積層シート(C)を得た。
[樹脂層の積層]
上記接着層積層シート(C)に実施例1と同様の手順で樹脂層の積層を行い、積層体を得た。
<比較例8>
比較例7で得られた接着層積層シート(B)に実施例2と同様の手順で樹脂層の積層を行い、積層体を得た。
<比較例9>
比較例7で得られた接着層積層シート(B)に実施例3と同様の手順で樹脂層の積層を行い、積層体を得た。
<評価>
実施例及び比較例で得た積層体を、以下の方法にて測定した。
[引張弾性率]
JIS P 8113に準拠し、引張試験機(L&W社製、Tensile Tester CODE SE−064)を用いて、温度23℃、相対湿度50%における引張弾性率を測定した。
[全光線透過率]
JIS K 7361に準拠し、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製、HM−150)を用いて、全光線透過率を測定した。
[初期密着性]
JIS K 5400に準拠し、積層体の繊維層側の表面に1mm2のクロスカットを100個入れ、セロハンテープ(ニチバン社製)をその上に貼り付け、1.5kg/cm2の荷重で押し付けた後、90°方向にはく離した。はく離したマス数により、樹脂層と繊維層(微細繊維状セルロース含有シート)の密着性を評価した。
[加速試験後の密着性]
積層体を温度85℃、相対湿度85%とした恒温恒湿器(東京理科器械社製、KCL−2000)に入れ、240時間静置した。その後、積層体を温度23℃、相対湿度50%の環境下に1時間置いた。その後、JIS K 5400に準拠し、積層体の繊維層側の表面に1mm2のクロスカットを100個入れ、セロハンテープ(ニチバン社製)をその上に貼り付け、1.5kg/cm2の荷重で押し付けた後、90°方向にはく離した。はく離したマス数により、樹脂層と繊維層(微細繊維状セルロース含有シート)の密着性を評価した。
Figure 0006641912
表1から明らかなように、接着層に(メタ)アクリロイル基と共有結合を形成する官能基としてアクリロイル基、および水酸基と共有結合を形成する官能基としてイソシアネート基を含有する実施例1〜4では、引張弾性率、全光線透過率が高く、かつ初期密着性、および加速試験後の密着性が良好な積層体が得られた。これは、接着層のイソシアネート基と微細繊維状セルロース含有シートの水酸基の間、および接着層のアクリロイル基と樹脂層のアクリロイル基の間に、それぞれ共有結合が形成され、かつ、接着層のイソシアネート基と接着層のアクリロイル基の間にも共有結合が形成されるため、強固な密着性が得られたものと考えられる。
一方で、接着層を積層していない比較例1〜3では、初期密着性、および加速試験後の密着性のいずれも低い結果となった。また、接着層としてポリエステル樹脂を使用した比較例4〜6、シルセスキオキサン系樹脂を使用した比較例7〜9では、初期密着性は比較的良好であったものの、加速試験後の密着性が不十分であり、苛烈な条件下での使用が想定される用途においては実用上の問題が懸念される結果となった。
(製造例)
<実施例5(無機膜積層体の製造例1)>
実施例1〜4で得られた積層体を用い、下記の手順で無機膜積層体を作製できる。
積層体に対し、原子層堆積装置(Picosun社製、SUNALE R-100B)で、酸化アルミニウム成膜を行う。アルミニウム原料として、トリメチルアルミニウム(TMA)、TMAの酸化にはH2Oを用いる。チャンバー温度を150℃に設定し、TMAのパルス時間を0.1秒、パージ時間を4秒とし、H2Oのパルス時間を0.1秒、パージ時間を4秒とする。このサイクルを405サイクル繰り返すことで、積層体の両面に膜厚30nmの酸化アルミニウム膜が積層された無機膜積層体が得られる。
<実施例6(無機膜積層体の製造例2)>
実施例1〜4で得られた積層体を用い、下記の手順で無機膜積層体を作製できる。
積層体に対し、プラズマCVD装置(セルバック社製、ICP−CVDロールtoロール装置)でシリコン酸窒化膜を成膜する。キャリアフィルム(PETフィルム)の上面に、積層体を両面テープで貼合して真空チャンバー内に設置する。真空チャンバー内の温度は50℃に設定し、流入ガスはシラン、アンモニア、酸素、窒素とする。プラズマ放電を発生させて45分間の成膜を行い、積層体の片面に膜厚500nmのシリコン酸窒化膜が積層された無機膜積層体を得る。さらに、反対側の面にも同様の手順で成膜を行うことで、積層体の両面に膜厚500nmのシリコン酸窒化膜が積層された無機膜積層体を得ることもできる。
10 繊維層
20 接着層
30 樹脂層
100 積層体
110 ガラス板
120 シリコンゴム
130 接着層積層シート(A)
150 開口部
200 樹脂層成形用ガラスセル

Claims (14)

  1. 繊維層と、接着層と、樹脂層とをこの順で有し、
    前記繊維層は、繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを含み、
    前記接着層は、(メタ)アクリロイル基と共有結合を形成する官能基(A)を含み、さらに、水酸基と共有結合を形成する官能基(B)及び前記官能基(B)の加水分解基から選択される少なくとも一方を含み、
    前記官能基(A)は、(メタ)アクリロイル基、及び、H 2 C=CR 2 −CH(−OH)−で表される基から選択される少なくとも1種であり、
    前記官能基(B)は、イソシアネート基、カルボジイミド基、エポキシ基、アルコキシシリル基、シラノール基及びオキサゾリン基から選択される少なくとも1種であり、
    前記樹脂層は、アクリルモノマーの重合体を含む積層体。
    (但し、R 2 は水素原子又はメチル基を表す)
  2. 前記接着層は、前記官能基(A)を有するポリマーと、前記官能基(B)を有する化合物とを含む請求項1に記載の積層体。
  3. 積層体を温度85℃、相対湿度85%の条件下に240時間置いた後に、JIS K 5400に準拠したクロスカット試験を行った際の前記繊維層100マス中の剥離数が10以下である請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記繊維層の密度は1.0g/cm3以上である請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 引張弾性率が5GPa以上である請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 全光線透過率が85%以上である請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記接着層は、重合開始剤をさらに含む請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記樹脂層は、重合開始剤をさらに含む請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 前記接着層は塗布接着層であり、前記樹脂層は塗布樹脂層である請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 前記繊維層の少なくとも一方の面上に、前記官能基(A)と水酸基を有する樹脂と、前記官能基(B)を少なくとも2つ有する化合物とを含む組成物を塗布することで前記接着層を形成し、前記接着層上にアクリルモノマーを含む樹脂組成物を塗布することで前記樹脂層を形成して製造された請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  11. 繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを含む繊維層を得る工程と、
    前記繊維層の少なくとも一方の面に、(メタ)アクリロイル基と共有結合を形成する官能基(A)、及び水酸基と共有結合を形成する官能基(B)を含む組成物を塗布し、接着層を形成する工程と、
    アクリルモノマーを含む樹脂組成物を塗布し、樹脂層を形成する工程と、を有する積層体の製造方法であって、
    前記官能基(A)は、(メタ)アクリロイル基、及び、H 2 C=CR 2 −CH(−OH)−で表される基から選択される少なくとも1種であり、
    前記官能基(B)は、イソシアネート基、カルボジイミド基、エポキシ基、アルコキシシリル基、シラノール基及びオキサゾリン基から選択される少なくとも1種である、積層体の製造方法。
    (但し、R 2 は水素原子又はメチル基を表す)
  12. 前記官能基(A)及び前記官能基(B)を含む組成物は、前記官能基(A)と水酸基を有する樹脂と、前記官能基(B)を少なくとも2つ有する化合物とを含む請求項11に記載の積層体の製造方法。
  13. 前記官能基(A)及び前記官能基(B)を含む組成物には、重合開始剤がさらに含まれる請求項11又は12に記載の積層体の製造方法。
  14. 前記樹脂組成物には、重合開始剤がさらに含まれる請求項11〜13のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
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