(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
図1は電気的構成の基本構成を示している。この実施形態では、ゲート制御型の複数の半導体素子として、2個のIGBT1および2を使用する例を示している。IGBT1は、コレクタC1、エミッタE1、ゲートG1に加えて、電流をモニタするためのセンスエミッタSE1を有する。同じくIGBT2は、コレクタC2、エミッタE2、ゲートG2に加えて、電流をモニタするためのセンスエミッタSE2を有する。
IGBT1および2は図示しない負荷への給電経路に設けられ、各コレクタC1、C2を共通に接続されるとともに、エミッタE1、E2を共通に接続された並列駆動方式の構成である。2個のIGBT1および2へのゲート駆動電圧VG1、VG2は、直流電源VDから、定電流回路3および切り替えスイッチ4の並列回路を介して供給するように構成されている。
IGBT1のゲートG1は、定電流回路3からゲート電流遮断スイッチ5を介してゲート駆動電圧VG1が与えられる。また、IGBT1のゲートG1は、ゲートオフスイッチ6を介してグランドに接続される。IGBT2のゲートG2は、定電流回路3からゲート電流遮断スイッチ7を介してゲート駆動電圧VG2が与えられる。また、IGBT2のゲートG2は、ゲートオフスイッチ8を介してグランドに接続される。
制御回路9は、ゲート駆動回路などが含まれた論理回路から構成されるもので、外部からの駆動信号SAに応じてIGBT1および2に対するゲート駆動信号SA1、SA2を与える。電流検出回路10および11は、それぞれIGBT1および2のセンスエミッタSE1、SE2からコレクタ・エミッタ電流Ic1、Ic2に対応した信号が入力され、電流検出信号S1、S2を制御回路9に出力する。制御回路9は、電流検出信号S1、S2に応じて、後述するようにして切り替えスイッチ4、電流遮断スイッチ5、7およびゲートオフスイッチ6、8のオンオフ制御を行う。
図2は上記構成の各部の具体的構成を示している。
IGBT1のセンスエミッタSE1は、電流検出抵抗1aを介してエミッタE1に接続され、IGBT1の電流Ic1の検出信号として電流検出抵抗1aの端子電圧Vse1を出力するように設けられる。IGBT2のセンスエミッタSE2は、電流検出抵抗2aを介してエミッタE2に接続され、IGBT2の電流Ic2の検出信号として電流検出抵抗2aの端子電圧Vse2を出力するように設けられる。
定電流回路3は、カレントミラー回路を構成するpnp型トランジスタ3a、3bと、定電流を引くためのトランジスタ3c、抵抗3d、3e、トランジスタ3fおよび参照電源3gから構成されている。定電流回路3は、参照電源3gにより設定される参照電圧Vrefcによりトランジスタ3aに所定電流を流すもので、電源VDからトランジスタ3bを介してIGBT1および2のゲートに定電流Isを供給する。
定電流回路3のトランジスタ3bに並列に接続される切り替えスイッチ4は、定電流回路3のトランジスタ3bのエミッタ・コレクタ間を短絡させ、電源VDを直接IGBT1および2のゲートに印加させる。切り替えスイッチ4は、pチャンネル型MOSFET4aと、ゲートに接続されるバッファ回路4bを備えている。バッファ回路4bは、制御回路9から切り替え信号SXが与えられる。
電流遮断スイッチ5は、pチャンネル型MOSFET5a、入力抵抗5bを直列に接続したもので、MOSFET5aのゲートはバッファ回路5cが接続され、制御回路9からゲート駆動信号SA1が与えられる。同じく、電源遮断スイッチ7は、pチャンネル型MOSFET7a、入力抵抗7bを直列に接続したもので、MOSFET7aのゲートはバッファ回路7cが接続され、制御回路9からゲート駆動信号SA2が与えられる。
ゲートオフスイッチ6は、nチャンネル型MOSFET6a、入力抵抗6bを直列に接続したもので、MOSFET6aのゲートはバッファ回路6cが接続され、制御回路9からゲート駆動信号SA1が与えられる。同じくゲートオフスイッチ8は、nチャンネル型MOSFET8a、入力抵抗8bを直列に接続したもので、MOSFET8aのゲートはバッファ回路8cが接続され、制御回路9からゲート駆動信号SA2が与えられる。
電流検出回路10は、コンパレータ10a、参照電源10bおよびフィルタ10cを備えている。コンパレータ10aの非反転入力端子にIGBT1のセンスエミッタSE1に現れる電流検出信号Vse1が入力され、反転入力端子には閾値電流値Ith1を設定する参照電源10bにより参照電圧Vref1が入力される。コンパレータ10aは、IGBT1の電流検出信号Vse1と参照電圧Vref1とを比較して参照電圧Vref1以上のときにハイレベルの検出信号S1を出力し、フィルタ10cを介して制御回路9に入力する。フィルタ10cは、ハイレベルの検出信号S1が一定時間継続すると制御回路に検出信号S1を出力する。
電流検出回路11は、コンパレータ11a、参照電源11bおよびフィルタ11cを備えている。コンパレータ11aの非反転入力端子にIGBT2のセンスエミッタSE2に現れる電流検出信号Vse2が入力され、反転入力端子には閾値電流値Ith1を設定する参照電源11bにより参照電圧Vref2が入力される。コンパレータ11aは、IGBT2の電流検出信号Vse2と参照電圧Vref2とを比較して参照電圧Vref2以上のときにハイレベルの検出信号S2を出力し、フィルタ11cを介して制御回路9に入力する。フィルタ11cは、ハイレベルの検出信号S2が一定時間継続すると制御回路に検出信号S2を出力する。
次に、上記構成の作用について、図3から図5も参照して説明する。
図3は、制御回路9のロジック機能によるIGBT1および2のゲート駆動制御動作の流れを示している。スタンバイ状態では、制御回路9は、切り替えスイッチ4に対してオフ状態を保持するハイレベルの信号SXを出力しており、これにより、電源VDは、定電流回路3で生成される定電流Isを流すことでゲート駆動電圧VG1あるいはVG2を供給する状態である。
また、IGBT1および2を駆動していない状態では、制御回路9は、IGBT1および2に対して、ハイレベルのゲート駆動信号SA1およびSA2を出力している。これにより、電流遮断スイッチ5および7の各MOSFET5aおよび7aはオフ状態に保持され、ゲートオフスイッチ6および8のMOSFET6aおよび8aはオン状態に保持されている。IGBT1のゲートG1はMOSFET6aを介してグランドに接続され、IGBT2のゲートG2はMOSFET8aを介してグランドに接続され、それぞれオフ状態が保持されている。
そして、制御回路9は、外部から駆動信号SAが与えられると、ステップA1として、始動用の半導体素子であるIGBT1を定電流で駆動させるためのローレベルのゲート駆動信号SA1を出力する。ゲート駆動信号SA1により、ゲートオフスイッチ6のMOSFET6aはオフされ、さらに電流遮断スイッチ5のMOSFET5aはオン駆動される。IGBT1は、ゲートG1に電源VDから定電流回路3を介してゲート電流Isが流れ、ゲート駆動電圧VG1が供給される。これにより、IGBT1は、dV/dtを比較的緩やかな状態でゲート電圧VG1が印加されるので、スイッチング損失のばらつきを低減した状態で駆動をすることができる。
この後、IGBT1のゲート電圧が安定すると、次に、制御回路9では、ステップA2で、切り替えスイッチ4のバッファ回路4bにローレベルの切り替え信号SXを出力する。これにより、MOSFET4aがオンされるので、定電流回路3による定電流供給状態が停止され、電源VDを直接供給する定電圧供給状態に切り替わる。
このとき、IGBT1の電流Ic1は、電流検出回路10により検出されている。電流検出回路10では、IGBT1の電流値Ic1に相当する検出電圧Vse1が入力され、閾値電流Ith1を設定する参照電圧Vref1以上になると、電流検出回路10は、検出信号S1を制御回路9に出力する。検出電圧Vse1のレベルが上昇してコンパレータ10aからハイレベルの信号が一定時間以上継続すると、フィルタ10cから検出信号S1が出力される。
電流検出回路10によるIGBT1の電流値Ic1が閾値電流Ith1未満の状態であるときには、制御回路9は、ステップA3でYESとして、IGBT1単独のオン状態を継続する。また、電流値Ic1が閾値電流Ith1以上になって検出信号S1が出力されると、制御回路9は、ステップA4に進み、IGBT2を定電圧駆動する。制御回路9は、IGBT1に加えてIGBT2にもゲート駆動信号SA2を出力する。
ゲート駆動信号SA2により、ゲートオフスイッチ8のMOSFET8aはオフされ、さらに電流遮断スイッチ7のMOSFET7aはオン駆動される。IGBT2は、ゲートG2に電源VDから切り替えスイッチ4のMOSFET4aを介してゲート電圧が印加される。このとき、IGBT2は、既にIGBT1がオンしていることでドレイン・ソース間にかかる電圧が低い状態であるから、定電圧駆動をすることで損失を削減することができる。
また、これにより、2個のIGBT1および2を駆動することで、全体としてオン抵抗を低下させた状態で全体の電流を流すことができ、オン抵抗損失の低減を図ることができる。
上記した動作において、電流検出回路10の閾値電流Ith1の値は、これ以上IGBT1のコレクタ電流Ic1が増えると、IGBT1のオン抵抗による損失が増大することとなり、IGBT2も駆動することでスイッチング損失が増大してもオン抵抗による損失を低減することで、全体として損失を低減できるレベルに設定されている。
これによって、初期駆動時はスイッチング損失のばらつきを低減するために、IGBT1を定電流Isで駆動し、IGBT1の電流Ic1が閾値電流Ith1以上になると、次段駆動用の半導体素子であるIGBT2を定電圧VDで駆動することで、dV/dtを上げて損失を削減したオン動作を行うことができる。
次に、上記の動作について、図4および図5を参照して説明する。図4は、図示しない負荷に流れる電流が大きく、2個のIGBT1および2を、共にオン動作させる場合のタイムチャートを示す。また、図5は、負荷に流れる電流が少なく、IGBT1だけをオン動作させる場合のタイムチャートを示している。
図4(a)に示すように、時刻ta1でハイレベルの駆動信号SAが入力されると、制御回路9は、図4(c)に示すように、IGBT1をオンさせるためにローレベルのゲート駆動信号SA1を出力する。これにより、ゲートオフスイッチ6はオフされ、電流遮断スイッチ5はオンされ、IGBT1のゲートG1に定電流回路3から定電流Isによってゲート駆動電圧VG1が与えられる。
IGBT1のゲート電圧Vg1は、図4(b)に実線で示すように、ゲートG1に一定電流Isを供給することで一定の傾斜をもって上昇し、図4(e)に示すように、IGBT1のコレクタ電流Ic1が徐々に増加していく。IGBT1のゲート電圧Vg1が所定レベル以上になった後に、制御回路9は、切り替えスイッチ4をオン状態に切り替えて定電流回路3を無効化して定電圧供給状態に切り替える。
この後、図4(e)に示すように、時刻ta2でIGBT1のコレクタ電流Ic1が閾値電流Ith1に達すると、制御回路9は、図4(d)に示すように、IGBT2をオンさせるためにローレベルのゲート駆動信号SA2を出力する。これにより、ゲートオフスイッチ8はオフされ、電流遮断スイッチ7はオンされ、IGBT2のゲートG2に電源VDから定電圧でゲート駆動電圧VG2が与えられる。
IGBT2のゲート電圧Vg2は、図4(b)に破線で示すように、ゲートG2に定電圧が印加されることでIGBT1のゲート電圧Vg1よりも急峻な傾きで上昇し、図4(f)に示すように、IGBT2のコレクタ電流Ic2が増加していく。このとき、IGBT1のコレクタ電流Ic1は、図4(e)に示すように、IGBT2のコレクタ電流Ic2が増加することで分担する電流が低下するので閾値電流Ith1以下になる。これによって、2個のIGBT1および2によって負荷への給電が行われる状態となる。
この後、図4(f)に示すように、時刻ta3でIGBT2のコレクタ電流Ic2の上昇が止まり、一定電流になると、IGBT1のコレクタ電流Ic1も一定電流になり、全体として負荷に流れる電流が一定になった状態となる。これにより、IGBT2をオンさせるときのスイッチング損失が増えるものの、2個のIGBT1および2によるオン抵抗による損失の和がそれ以上に低下するので、全体としての損失を低減することができる。
また、図4(a)に示すように、時刻ta4になって外部からオフ動作のローレベルの駆動信号SAが制御回路9に入力されると、制御回路9は、図4(c)、(d)に示すように、ハイレベルのゲート駆動信号SA1およびSA2を出力する。これにより、電流遮断スイッチ5および7はオフされ、ゲートオフスイッチ6および8がオンされ、IGBT1および2のゲート電圧Vg1およびVg2は低下し、コレクタ電流Ic1およびIc2も低下してオフ状態に移行する。
次に、負荷に流れる電流が少なく、IGBT1だけをオン動作させる場合には、図5(a)に示すような動作が行われる。すなわち、時刻tb1でハイレベルの駆動信号SAが入力されると、制御回路9は、図5(c)に示すように、IGBT1をオンさせるためにローレベルのゲート駆動信号SA1を出力する。これにより、前述同様にして、IGBT1のゲートG1に定電流回路3から定電流Isによってゲート駆動電圧VG1が与えられる。
IGBT1のゲート電圧Vg1は、図5(b)に実線で示すように、ゲートG1に一定電流Isを供給することで一定の傾斜をもって上昇し、図5(e)に示すように、IGBT1のコレクタ電流Ic1が徐々に増加していく。IGBT1のゲート電圧Vg1が所定レベル以上になった後に、制御回路9は、切り替えスイッチ4をオン状態に切り替えて定電流回路3を無効化する。
この後、時刻tb2でIGBT1のコレクタ電流Ic1が閾値電流Ith1に達する前に一定電流レベルになると、IGBT2はオン動作されず、制御回路9によりIGBT1の単独オン状態が保持される。したがって、この状態では、制御回路9は、図5(d)に示すように、ゲート駆動信号SA2はハイレベルが保持され、図5(f)に示すように、IGBT2のコレクタ電流Ic2はゼロの状態のままである。
この状態でのIGBT1のオン動作による損失は、スイッチング損失およびオン抵抗損失の合計となるが、負荷に流れる電流つまりIGBT1のコレクタ電流Ic1のレベルでは、IGBT2もオンさせた場合に比べて低減することができる。
この後、図5(a)に示すように、時刻tb3になって外部からオフ動作のローレベルの駆動信号SAが制御回路9に入力されると、制御回路9は、図5(c)に示すように、ハイレベルのゲート駆動信号SA1を出力する。これにより、電流遮断スイッチ5はオフされ、ゲートオフスイッチ6がオンされ、IGBT1のゲート電圧Vg1は低下して、コレクタ電流Ic1も低下してオフ状態に移行する。
次に、制御回路9によるローテーション動作について説明する。本実施形態では、IGBT2にも電流検出回路11が設ける構成としている。上記したIGBT1および2の駆動制御では用いていないが、駆動信号SAが与えられる毎に、最初に駆動するIGBTをIGBT1および2で入れ替えて行うようにするものである。
したがって、次回外部から駆動信号SAが入力されると、制御回路9は、最初にIGBT2を定電流Isでゲート駆動電圧VG2を印加するように駆動制御する。そして、IGBT2のコレクタ電流Ic2が閾値電流Ith1に達すると、制御回路9は、電流検出回路11から入力される電流検出信号S2に応じて、IGBT1をオン動作させるようにゲート駆動信号SA1を出力して駆動制御する。
なお、上記のようなローテーション制御は、駆動信号SAが入力される毎にIGBT1および2を入れ替えて駆動するようにしても良いし、複数回の駆動信号SAの入力毎にカウンタなどによって切り替えるように設定することもできる。また、駆動信号SAの入力回数ではなく、他の方式によってローテーション制御を行うことも可能である。
このように制御回路9によりIGBT1および2をローテーション制御することで、IGBT1および2を平均化させた使用状態とすることができ、これによってIGBT1および2の寿命を平均化させることができる。
このような本実施形態によれば、制御回路9により、IGBT1を定電流Isで駆動し、IGBT1のコレクタ電流Ic1が電流閾値Ith1に達したときに、IGBT2を定電圧VDで駆動するようにしたので、IGBT1だけを駆動した場合や、IGBT1および2を同時に駆動した場合に比べて、スイッチング損失とオン抵抗損失の合算値を低減することができる。
また、2個のIGBT1および2の駆動個数を、負荷に流れる電流に応じて変化させることで、スイッチング損失およびオン抵抗損失の和が小さくなる条件で駆動することができる。換言すれば、閾値電流Ith1をそのようなレベルに設定することで、上記した条件を設定して駆動制御することができる。
なお、上記実施形態では、IGBT1および2を制御回路9によりローテーション制御することを前提として、IGBT2のコレクタ電流Ic2を検出する電流検出回路11を設ける構成としたが、IGBT1を始動用として専用に用いる場合には、IGBT1に対する電流検出回路10を設け、電流検出回路11は設けない構成とすることができる。
また、制御回路9による切り替えスイッチ4への駆動信号SXの出力タイミングは、IGBT1のゲート電圧Vg1が所定レベルに達した時点としたが、IGBT1のコレクタ電流Ic1が閾値電流Ith1に達してIGBT2をオン動作させるときに、これに先立って実施するようにすることもできる。
(第2実施形態)
図6から図11は第2実施形態を示すもので、以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、複数の半導体素子として3個のIGBT21〜23を並列接続した構成に適用するゲート駆動装置の例を示している。
図6は概略的な電気的構成を示すもので、IGBT21〜23は、それぞれコレクタC1〜C3、エミッタE1〜E3、ゲートG1〜G3を備え、さらに電流をモニタするためのセンスエミッタSE1〜SE3を有する。
IGBT21〜および23は図示しない負荷への給電経路に設けられ、各コレクタC1〜C3を共通に接続されるとともに、エミッタE1〜E3を共通に接続された並列駆動方式の構成である。3個のIGBT21〜23へのゲート駆動電圧VG1〜VG3は、直流電源VDから、定電流回路24および切り替えスイッチ25の並列回路を介して供給するように構成されている。
IGBT21のゲートG1は、定電流回路24からゲート電流遮断スイッチ26を介してゲート駆動電圧VG1が与えられる。また、IGBT21のゲートG1は、ゲートオフスイッチ27を介してグランドに接続される。IGBT22のゲートG2は、定電流回路24からゲート電流遮断スイッチ28を介してゲート駆動電圧VG2が与えられる。また、IGBT22のゲートG2は、ゲートオフスイッチ29を介してグランドに接続される。IGBT23のゲートG3は、定電流回路24からゲート電流遮断スイッチ30を介してゲート駆動電圧VG3が与えられる。また、IGBT23のゲートG3は、ゲートオフスイッチ31を介してグランドに接続される。
制御回路32は、ゲート駆動回路などが含まれた論理回路から構成されるもので、外部からの駆動信号SAに応じてIGBT21〜23に対するゲート駆動信号SA1〜SA3を与える。電流検出回路33〜35は、それぞれIGBT21〜23のセンスエミッタSE1〜SE3からコレクタ・エミッタ電流Ic1〜Ic3に対応した信号が入力され、電流検出信号S1〜S3を制御回路32に出力する。制御回路32は、電流検出信号S1〜S3に応じて、後述するようにして切り替えスイッチ25、電流遮断スイッチ26、28、30およびゲートオフスイッチ27、29、30のオンオフ制御を行う。
なお、上記構成の具体的な回路構成については、説明を省略するが、図2に示した第1実施形態とほぼ同等の回路構成が3個のIGBT21〜23に対応して設けられている。また、この実施形態では、電流検出回路33〜35は、それぞれが閾値電流Ith1およびIth2の2つの閾値電流でコレクタ電流Ic1〜Ic3のレベルを判定している。電流検出信号S1〜S3は、それぞれの検出レベルに応じた信号が出力される。
次に、上記構成の作用について、図7から図11も参照して説明する。
図7は、制御回路32のロジック機能によるIGBT21〜23のゲート駆動制御動作の流れを示している。スタンバイ状態では、制御回路32は、切り替えスイッチ25に対してオフ状態を保持するローレベルの信号SXを出力しており、これにより、電源VDは、定電流回路24で生成される定電流Isを流すことでゲート駆動電圧VG1〜VG3を供給する状態である。
IGBT21〜23を駆動していない状態では、制御回路32は、IGBT21〜23に対して、ハイレベルのゲート駆動信号SA1〜SA3を出力している。これにより、電流遮断スイッチ26、28、30はオフ状態に保持され、ゲートオフスイッチ27、29、31はオン状態に保持されている。IGBT21〜23の各ゲートG1〜G3はゲートオフスイッチ27、29、31を介してグランドに接続され、それぞれオフ状態が保持されている。
そして、制御回路32は、外部からハイレベルの駆動信号SAが与えられると、第1実施形態と同様にして、ステップA1として、始動用の半導体素子であるIGBT21を定電流で駆動させる。この後、IGBT21のゲート電圧が安定すると、次に、制御回路32では、ステップA2で、切り替えスイッチ25にローレベルの切り替え信号SXを出力して定電流回路24による定電流供給状態を停止し、電源VDを直接供給する定電圧供給状態に切り替える。
電流検出回路33は、IGBT21の電流値Ic1が閾値電流Ith1以上になることを検出すると、検出信号S1を制御回路32に出力する。IGBT21の電流値Ic1が閾値電流Ith1未満の状態であるときには、制御回路32は、ステップA3でYESとして、IGBT21単独のオン状態を継続する。また、電流値Ic1が閾値電流Ith1以上になって電流検出回路33から閾値電流Ith1以上に達した検出信号S1が出力されると、制御回路32は、ステップA4に進み、IGBT22を定電圧駆動する。
このとき、IGBT22は、既にIGBT21がオンしていることでドレイン・ソース間にかかる電圧が低い状態であるから、定電圧駆動をすることで損失を削減することができる。また、これにより、2個のIGBT21および22を駆動することで、全体としてオン抵抗を低下させた状態で全体の電流を流すことができ、オン抵抗損失の低減を図ることができる。
この状態で、電流検出回路34は、IGBT22の電流値Ic2が閾値電流Ith2以上になることを検出すると、検出信号S2を制御回路32に出力する。IGBT22の電流値Ic2が閾値電流Ith2に達していない状態であるときには、制御回路32は、ステップA5でYESとして、IGBT21および22のオン状態を継続する。また、電流値Ic2が閾値電流Ith2以上になって電流検出回路34から閾値電流Ith2以上に達した検出信号S2が出力されると、制御回路32は、ステップA6に進み、さらにIGBT23を定電圧駆動する。
このとき、IGBT23は、既にIGBT21、22がオンしていることでドレイン・ソース間にかかる電圧が低い状態であるから、定電圧駆動をすることで損失を削減することができる。また、これにより、3個のIGBT21〜23を駆動することで、全体としてオン抵抗を低下させた状態で全体の電流を流すことができ、オン抵抗損失の低減を図ることができる。
上記した動作において、電流検出回路33の閾値電流Ith1の値は、これ以上IGBT21のコレクタ電流Ic1が増えると、IGBT21のオン抵抗による損失が増大することとなり、IGBT22も駆動することでスイッチング損失が増大してもオン抵抗による損失を低減することで、全体として損失を低減できるレベルに設定されている。
また、電流検出回路34の閾値電流Ith2の値は、これ以上IGBT22のコレクタ電流Ic2が増えると、IGBT21および22のオン抵抗による損失が増大することとなり、IGBT23も駆動することでスイッチング損失が増大してもオン抵抗による損失を低減することで、全体として損失を低減できるレベルに設定されている。
これによって、初期駆動時はスイッチング損失のばらつきを低減するために、IGBT21を定電流で駆動し、IGBT21の電流Ic1が閾値電流Ith1以上になると、次段駆動用の半導体素子であるIGBT22を定電圧で駆動することで、dV/dtを上げて損失を削減したオン動作を行うことができる。さらに、IGBT22の電流Ic2が閾値電流Ith2以上になると、次段駆動用で最終駆動用の半導体素子であるIGBT23を定電圧で駆動することで、dV/dtを上げて損失を削減したオン動作を行うことができる。
次に、上記の動作について、図8〜図10を参照して説明する。
図8は、負荷に流れる電流が大きく、3個のIGBT21〜23を、共にオン動作させる場合のタイムチャートを示す。また、図9は、負荷に流れる電流が中程度で、IGBT21および22をオン動作させる場合のタイムチャートを示している。図10は、負荷に流れる電流が小さく、IGBT21だけをオン動作させる場合のタイムチャートを示している。
図8(a)に示すように、時刻ta1でハイレベルの駆動信号SAが入力されると、制御回路32は、図8(c)に示すように、IGBT21をオンさせるためにローレベルのゲート駆動信号SA1を出力する。これにより、ゲートオフスイッチ27はオフされ、電流遮断スイッチ26はオンされ、IGBT21のゲートG1に定電流回路24から定電流Isによってゲート駆動電圧VG1が与えられる。
IGBT21のゲート電圧Vg1は、図8(b)に実線で示すように、ゲートG1に一定電流Isを供給することで一定の傾斜をもって上昇し、図8(f)に示すように、IGBT21のコレクタ電流Ic1が徐々に増加していく。IGBT21のゲート電圧Vg1が所定レベル以上になった後に、制御回路32は、切り替えスイッチ25をオン状態に切り替えて定電流回路24を無効化する。
この後、時刻ta2でIGBT21のコレクタ電流Ic1が閾値電流Ith1に達すると、制御回路32は、図8(d)に示すように、IGBT22をオンさせるためにローレベルのゲート駆動信号SA2を出力する。これにより、ゲートオフスイッチ29はオフされ、電流遮断スイッチ28はオンされ、IGBT22のゲートG2に電源VDから定電圧でゲート駆動電圧VG2が与えられる。
IGBT22のゲート電圧Vg2は、図8(b)に破線で示すように、ゲートG2に定電圧が印加されることでIGBT21のゲート電圧Vg1よりも急峻な傾きで上昇し、図8(g)に示すように、IGBT22のコレクタ電流Ic2が増加していく。このとき、IGBT21のコレクタ電流Ic1は、IGBT22のコレクタ電流Ic2が増加することで分担する電流が低下するので閾値電流Ith1以下になる。これによって、2個のIGBT21および22によって負荷への給電が行われる状態となる。
この後、時刻ta3でIGBT22のコレクタ電流Ic2が閾値電流Ith2に達すると、制御回路32は、図8(e)に示すように、IGBT23をオンさせるためにローレベルのゲート駆動信号SA3を出力する。これにより、ゲートオフスイッチ31はオフされ、電流遮断スイッチ30はオンされ、IGBT23のゲートG3に電源VDから定電圧でゲート駆動電圧VG3が与えられる。
IGBT23のゲート電圧Vg3は、図8(b)に点線で示すように、ゲートG3に定電圧が印加されることでIGBT22のゲート電圧Vg2と同様にして急峻な傾きで上昇し、図8(h)に示すように、IGBT23のコレクタ電流Ic3が増加していく。このとき、IGBT21および22のコレクタ電流Ic1、Ic2は、IGBT23のコレクタ電流Ic3が増加することで分担する電流が低下し、コレクタ電流Ic2は閾値電流Ith2以下になる。これによって、3個のIGBT21〜23によって負荷への給電が行われる状態となる。
この後、時刻ta4でIGBT23のコレクタ電流Ic3の上昇が止まり、一定電流になると、IGBT21および22のコレクタ電流Ic1およびIc2も一定電流になり、全体として負荷に流れる電流が一定になった状態となる。これにより、IGBT22および23をオンさせるときのスイッチング損失が増えるものの、3個のIGBT21〜23によるオン抵抗による損失の和がそれ以上に低下するので、全体としての損失を低減することができる。
また、図8(a)に示すように、時刻ta5になって外部からオフ動作のローレベルの駆動信号SAが制御回路32に入力されると、制御回路32は、図8(c)〜(e)に示すように、ハイレベルのゲート駆動信号SA1〜SA3を出力する。これにより、電流遮断スイッチ26、28、30はオフされ、ゲートオフスイッチ27、29、31がオンされ、IGBT21〜23のゲート電圧Vg1〜Vg3は低下し、コレクタ電流Ic1〜Ic3も低下してオフ状態に移行する。
次に、負荷に流れる電流が中程度で、IGBT21および22をオン動作させる場合には、図9に示すような動作が行われる。この動作については、第1実施形態で説明した図4に示した場合の動作と同等であるので、説明を省略する。同様に、負荷に流れる電流が少なく、IGBT21のみオン動作させる場合には、図10に示すような動作が行われる。この動作についても、第1実施形態で説明した図5に示した場合の動作と同等であるので、説明を省略する。
次に、上記の動作と損失の発生との関係について、図11を参照して説明する。この実施形態では、3個のIGBT21〜23を負荷電流の大きさに応じてオン動作を制御する構成としている。この場合において、オン動作させるIGBT21〜23の個数と、その時に発生するスイッチング損失およびオン抵抗損失、合算損失の関係を示している。
スイッチング損失については、IGBT1個あたりの損失は定電流駆動がやや少なく、定電流駆動後の定電圧駆動では発生する損失はほぼ同じとなっている。したがって、図中黒四角と点線で示しているように、オン動作させるIGBTの個数にほぼ比例して増加する傾向を示している。
一方、オン抵抗損失については、負荷電流の電流レベルに応じて異なるものであり、負荷電流が「大」、「中」、「小」の場合に対応して示している。上記した3個のIGBT21〜23をオン動作させる場合を負荷電流「大」とし黒四角と実線で示している。2個のIGBT21、22をオン動作させる場合を負荷電流「中」として黒四角と破線で示している。IGBT21だけをオン動作させる場合を負荷電流「小」として黒四角と一点鎖線で示している。オン抵抗損失は、いずれの負荷電流レベルにおいても、IGBTのオン動作の個数が多いほど低下する傾向にある。
IGBT21〜23をオン動作させる場合の全体の損失は、スイッチング損失とオン抵抗損失を合算したものである。合算損失は図中に負荷電流の電流レベル「大」、「中」、「小」に応じて、太実線、太破線、太一点鎖線と黒三角で示している。したがって、合算損失が最も小さくなるときのIGBTの駆動個数が適切な駆動制御状態であると言える。
この結果、負荷電流が「大」では、白抜き三角に「3」を記載した3個のIGBT21〜23をオン動作させたときの合算損失が最も小さい。負荷電流が「中」では、白抜き三角に「2」を記載した2個のIGBT21、22をオン動作させたときの合算損失が最も小さい。負荷電流が「小」では、白抜き三角に「1」を記載した1個のIGBT21をオン動作させたときの合算損失が最も小さい。
換言すれば、上記のように負荷電流のレベルによってIGBT21〜23の駆動個数を切り替えるように、閾値電流Ith1、Ith2を設定することで、負荷電流のレベルによって発生する合算損失を最も低減することができるのである。
なお、上記構成においても、それぞれのIGBT21〜23に対応して電流検出回路33〜35を設けているので、第1実施形態と同様にして、制御回路32によるIGBT21〜23のローテーション動作により駆動制御することができる。
また、制御回路32によるローテーション制御は、駆動信号SAが入力される毎にIGBT21〜23を適宜入れ替えて駆動するようにしても良いし、複数回の駆動信号SAの入力毎にカウンタなどによって切り替えるように設定することもできる。また、駆動信号SAの入力回数ではなく、他の方式によってローテーション制御を行うことも可能である。
このように制御回路32によりIGBT21〜23をローテーション制御することで、IGBT21〜23を平均化させた使用状態とすることができ、これによってIGBT21〜23の寿命を平均化させることができる。
したがって、このような第2実施形態によっても、3個のIGBT21〜23を設けた場合においても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、上記実施形態においても、IGBT21〜23を制御回路32によりローテーション制御することを前提として、IGBT23のコレクタ電流Ic3を検出する電流検出回路35を設ける構成としたが、電流検出回路35を設けない構成として、2個のIGBT21および22をローテーション動作させることもできる。
(第3実施形態)
図12から図14は第3実施形態を示すもので、以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、上記した第1実施形態と同様の構成において、IGBT1および2を共にオン動作させている状態で、オフ動作させる場合の制御について示している。なお、この実施形態では、オフ動作を主体とした制御を示すため、オン動作については、2個のIGBT1および2を同時にオンさせる場合を示しているが、勿論、第1実施形態のようにオン動作についての制御を実施することができるものである。
図12は、制御回路9によるオン動作中のIGBT1および2をオフ駆動させるときの制御動作の流れを示している。この実施形態では、外部から与えられる駆動信号SAによるオン期間Tonがある程度の範囲に入るように設定されている場合において、先にオフさせるIGBT2のオフ時間toffが予め設定されている。
制御回路9は、外部からオン動作のハイレベルの駆動信号SAが入力されると、その時点からの経過時間のカウントを開始している。制御回路9は、2個のIGBT1および2をオン動作させたときには、図12に示す動作を行う。すなわち、制御回路9は、まず、ステップB1として、経過時間がオフ時間toffを経過するのを待ちながら、ステップBで、駆動信号SAがオフ動作を示すローレベルに変化したか否かを判断する。
ここでは、通常の場合には、先にオフ時間toffが経過するので、制御回路9は、ステップB3として、IGBT2を先にオフさせるようにハイレベルのゲート駆動信号SA2を出力する。これにより、IGBT1がオンを保持した状態でIGBT2はオフする。制御回路9は、この後、ステップB4で、外部からローレベルの駆動信号SAが入力されるのを待って、ステップB5になると、IGBT1をオフさせて動作を終了する。
一方、制御回路9は、オフ時間toffが経過する前に外部からローレベルの駆動信号SAが入力されると、ステップB2でYESとなって、この後、ステップB6で、2個のIGBT1および2を共にオフさせる。
次に、上記のオフ動作について、図13および図14を参照して説明する。図13は、2個のIGBT1、2をオン動作させた後、ローレベルの駆動信号SAが入力される前にオフ期間toffが経過する場合のタイムチャートを示している。図14は、2個のIGBT1、2をオン動作させた後、オフ期間toffが経過する前にローレベルの駆動信号SAが入力された場合のタイムチャートを示している。
まず、図13の動作では、図13(a)に示すように、時刻tx1でハイレベルの駆動信号SAが入力されると、制御回路9は、図13(c)、(d)に示すように、IGBT1および2をオンさせるためにローレベルのゲート駆動信号SA1、SA2を出力する。これにより、ゲートオフスイッチ6、8はオフされ、電流遮断スイッチ5、7はオンされ、IGBT1、2のゲートG1、G2に定電流回路3から定電流Isによってゲート駆動電圧VG1、VG2が与えられる。
IGBT1、2のゲート電圧Vg1、Vg2は、図13(b)に実線および破線で示すように、ゲートG1およびG2に一定電流Isを供給することで一定の傾斜をもって上昇し、図13(e)、(f)に示すように、IGBT1、2のコレクタ電流Ic1、Ic2が徐々に増加してオン状態となる。この後、制御回路9は、切り替えスイッチ4をオン状態に切り替えて定電流回路3を無効化する。
この後、IGBT1および2のオン動作中に、時刻tx2でオフ期間toffの経過になると、制御回路9は、図13(d)に示すように、ハイレベルのゲート駆動信号SA2を出力してIGBT2をオフさせる。IGBT2のゲート電圧Vg2は、図13(b)に示すようにゼロに低下し、コレクタ電流Ic2も図13(f)に示すようにゼロに低下する。このとき、IGBT1のコレクタ電流Ic1は、図13(e)に示すように、IGBT2に流れていたコレクタ電流Ic2の分が加算されて増大する。
この後、時刻txnで、図13(a)に示すように、外部からローレベルの駆動信号SAが入力されると、制御回路9は、図13(c)に示すように、ハイレベルのゲート駆動信号SA1を出力してIGBT1をオフさせる。IGBT1のゲート電圧Vg1は、図13(b)に示すように徐々に低下し、コレクタ電流Ic1も図13(e)に示すように低下してゼロになる。
この結果、オン動作中の2個のIGBT1および2に対して、先にタイマ時間toffが経過した時点でIGBT2をオフさせてからIGBT1をオフさせるので、2個のIGBT1、2を同時にオフ動作さる場合に比べて、オフ駆動時のテール電流に起因した発熱等のスイッチングオフ損失を低減させることができる。
次に、上記の動作では、ローレベルの駆動信号SAが外部から入力するまでの期間Toffが経過する前に、オフ期間toffが経過するように設定しているので、IGBT2を先にオフ動作させることができるものである。しかし、期間Toffが経過する前にオフ動作を指示するローレベルの駆動信号SAが入力される場合を想定して、図14に示す動作を実施する。
すなわち、図14において、2個のIGBT1、2がオン状態で、図14(a)に示すように、オフ期間toffが経過する時刻tx2になる前の時刻txnに、ローレベルの駆動信号SAが外部から入力すると、制御回路9は、図14(c)、(d)に示すようにハイレベルのゲート駆動信号SA1、SA2を出力する。これにより、2個のIGBT1、2は、図14(b)に示すように、共にゲート電圧Vg1、Vg2がゼロに低下し、図14(e)、(f)に示すように、コレクタ電流Ic1、Ic2がゼロになってオフする。
このような第3実施形態によれば、制御回路9により、オフ時間toffの経過時点でIGBT2を先にオフさせた後に、駆動信号SAのタイミングでIGBT1をオフ動作させることで、オフ駆動時のテール電流に起因した発熱等のスイッチングオフ損失を低減させることができる。
なお、上記実施形態では、2個のIGBT1、2の場合であるが、IGBTが3個の第2実施形態や4個以上並列に設けられる構成においても適用することができる。この場合において、最後にオフ動作させるIGBTを1個残して残りのIGBTを同時にオフ動作させることができる。
(第4実施形態)
図15は第4実施形態を示すもので、第3実施形態と異なる部分について説明する。この実施形態では、制御回路9に対して与えるゲート駆動信号を、最終的にオフ動作させる駆動信号SAaに対して、これに先立ってオフ動作させる駆動信号SAbを与える構成としている。
制御回路9は、前述同様にして2個のIGBT1、2を時刻ty1でオン動作させると、この後、図15(b)に示すように、時刻ty2で外部からローレベルの駆動信号SAbが入力される。これにより、制御回路9は、図15(e)に示すように、ハイレベルのゲート駆動信号SA2を出力してIGBT2をオフ動作させる。IGBT2のゲート電圧Vg2は、図15(c)に示すようにゼロまで低下し、コレクタ電流Ic2も図13(g)に示すようにゼロまで低下する。このとき、IGBT1のコレクタ電流Ic1は、図1f(e)に示すように、IGBT2に流れていたコレクタ電流Ic2の分が加算されて増大する。
この後、時刻ty3で、図15(a)に示すように、外部からローレベルの駆動信号SAaが入力されると、制御回路9は、図1d(c)に示すように、ハイレベルのゲート駆動信号SA1を出力してIGBT1をオフさせる。IGBT1のゲート電圧Vg1は、図15(b)に示すように徐々に低下し、コレクタ電流Ic1も図15(e)に示すように低下してゼロになる。
この結果、オン動作中の2個のIGBT1および2に対して、異なるタイミングで入力される駆動信号SAa、SAbによって、IGBT2をオフさせてからIGBT1をオフさせるので、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、この実施形態においても、第3実施形態と同様に、IGBTが3個の第2実施形態や4個以上並列に設けられる構成においても適用することができる。
(第5実施形態)
図16および図17は第5実施形態を示すもので、以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。電気的構成については、第1実施形態で示した図1、図2と同様の構成である。この実施形態では、複数個のIGBT1、2を共に駆動している状態あるいは、一方を駆動している状態において、コレクタ電流Ic1が変動する場合の動作を示すものである。なお、この実施形態では、オフ動作を主体とした制御を示すため、オン動作については、2個のIGBT1および2を同時にオンさせる場合を示しているが、勿論、第1実施形態のようにオン動作についての制御を実施することができるものである。
図16は、制御回路9によるオン動作中のIGBT1および2について、IGBT1のコレクタ電流Ic1を検出しながら、IGBT2のオフ動作の制御をしたり、あるいはIGBT2のオフさせた後にオン動作させる場合の制御動作の流れを示している。
制御回路9は、外部からオン動作のハイレベルの駆動信号SAが入力されて、IGBT1、2を駆動した後に、図16に示すゲート駆動制御の動作を開始する。制御回路9は、まず、ステップC1として、現在IGBT2をオン動作させているか否かを判断し、最初の段階では、IGBT1、2がオン動作されているので、YESとしてステップC2に進む。
制御回路9は、ステップC2で、IGBT1のコレクタ電流Ic1のレベルが単独のオン動作が可能なレベルであるか否かを判定レベルとしてオフレベルの閾値電流Ith1xにより判断する。オフレベルの閾値電流Ith1xは前述の閾値電流Ith1に対して例えば1/2以下程度に設定されている。したがって、ここでYESになった場合には、制御回路9は、ステップC3でIGBT2をオフさせる。これにより、2個のIGBT1、2で分担していたコレクタ電流Ic1、Ic2を合算したコレクタ電流がIGBT1に流れるが、このときのコレクタ電流Ic1は閾値電流Ith1を超えないレベルになる。
また、制御回路9は、ステップC2でNOの場合、つまりIGBT1のコレクタ電流Ic1がオフレベルの閾値電流Ith1xを下回っていない場合には、IGBT2をオン状態に保持する。以下、2個のIGBT1、2を駆動している状態では、制御回路9は、上記したステップを繰り返し実行する。
次に、IGBT1を単独で駆動する状態では、制御回路9は、ステップC1でNOとなってステップC4に進み、IGBT1のコレクタ電流Ic1が閾値電流Ith1を下回るか否かを判断する。前述の状態からコレクタ電流Ic1が増加していなければ、制御回路9はステップC4でYESと判断し、何もしない状態となる。
一方、IGBT1のコレクタ電流Ic1が増加して閾値電流Ith1以上になっている場合には、制御回路9は、ステップC4でNOと判断してステップC5に進み、IGBT2を前述同様にして定電圧駆動する。この後、制御回路9は、IGBT1、2に対して外部からの信号SAとしてオフ信号が与えられるまでの間、上記のゲート駆動制御を繰り返し実施する。
次に、上記のゲート駆動制御の一例について、図17を参照して説明する。図17は、2個のIGBT1、2を同時にオン動作させた後、IGBT1のコレクタ電流Ic1の変化に応じてゲート駆動制御をする場合のタイムチャートである。
図17(a)に示すように、時刻ts1でハイレベルの駆動信号SAが入力されると、制御回路9は、図17(c)、(d)に示すように、IGBT1および2をオンさせるためにローレベルのゲート駆動信号SA1、SA2を出力する。これにより、ゲートオフスイッチ6、8はオフされ、電流遮断スイッチ5、7はオンされ、IGBT1、2のゲートG1、G2に定電流回路3から定電流Isによってゲート駆動電圧VG1、VG2が与えられる。
IGBT1、2のゲート電圧Vg1、Vg2は、図17(b)に実線および破線で示すように、ゲートG1およびG2に一定電流Isを供給することで一定の傾斜をもって上昇し、図17(e)、(f)に示すように、IGBT1、2のコレクタ電流Ic1、Ic2が徐々に増加してオン状態となる。この後、制御回路9は、切り替えスイッチ4をオン状態に切り替えて定電流回路3を無効化する。
この後、IGBT1および2のオン動作中に、IGBT1のコレクタ電流Ic1のレベルがオフレベルの閾値電流Ith1x以上にならない場合に、制御回路9は、時刻tx2でIGBT2をオフさせる。これにより、2個のIGBT1、2で分担していたコレクタ電流Ic1、Ic2を合算したコレクタ電流がIGBT1に流れる状態となる。
この後、IGBT1に流れるコレクタ電流Ic1が徐々に増加し、時刻ts3で閾値電流Ith1以上になると、制御回路9はIGBT2を定電圧駆動する。これにより、IGBT1に流れていたコレクタ電流Ic1の一部がIGBT2のコレクタ電流Ic2として流れるようになり、IGBT1のコレクタ電流Ic1は、閾値電流Ith1よりも小さくなる。
このようなゲート駆動制御が制御回路9により繰り返し実行され、負荷に流れる電流が変化することに対応して、IGBT1および2が閾値電流Ith1を超えることがないように駆動制御されるようになる。
このような第5実施形態によれば、制御回路9により、2個のIGBT1、2のオン動作中にIGBT2をオフ動作させたり、1個のIGBT1のオン動作中にIGBT2を定電圧でオン動作させることで、IGBT1、2の動作中においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、上記実施形態では、2個のIGBT1、2の場合であるが、IGBTが3個の第2実施形態や4個以上並列に設けられる構成においても適用することができる。
(他の実施形態)
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能であり、例えば、以下のように変形または拡張することができる。
複数の半導体素子として、4個以上のIGBTを設けることもできる。
また、ゲート駆動型の半導体素子は、IGBT以外に、MOSFETなどのゲート駆動型のものを設けることもできる。
電流検出回路10、11、33〜35は、閾値電流を基準として比較するコンパレータにより電流レベルを判断する構成としたが、電流値をA/D変換回路などにより読み取って、制御回路9あるいは32内で電流レベルを判定するようにしても良い。
IGBTのオンオフ制御について、制御回路9、32により、論理回路を用いたハード的な処理により実施しているが、プログラムを用いたソフトウェアで制御することもできる。