JP6632197B2 - 装飾用粘着シート及び装飾方法 - Google Patents

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Description

本発明は、粗面又は多孔質面装飾用粘着シート、及び該粘着シートを用いた装飾方法に関する。
従来から、窓等の平坦面に貼付される装飾用粘着シートとして、被着体に貼付する際に被着体と粘着面との間に生じる空気溜まりによる外観不良を避けるため、あるいは、各種樹脂材料からなる被着体から発生するガスによるブリスターの発生を抑制するため、微小な貫通孔を高密度に備えた粘着シートが提案されている。例えば、特許文献1には、貫通孔の孔径を0.1〜300μm、孔密度を30〜50,000個/100cmとした粘着シートが開示され、孔径0.5〜100μm、孔密度100〜10,000個/100cmが好ましい範囲として記載されている。
一方、看板、壁装材、床材、建築物等の分野では、その表面装飾、屋外広告等のために、粘着剤層を有するマーキングフィルムが用いられている。近年、建築物等の構造物には多様な材質が用いられており、またその外観にも多様性が求められている。そのため、多様な材質からなる壁面に対して、効果的に装飾を施すことが可能な粘着シートが求められている。
建築物等へ適用できる装飾シートとして、特許文献2には、所定の(メタ)アクリル系フィルムが、凹凸面を有する被着体への施工性に優れ、優れた耐候性を有するマーキングフィルムとして利用できることが開示されている。このような装飾フィルムでは、被着体への貼付時は、被着体自体が表面に有する凹凸が空気の通路を形成し得るため、貼り付け時の空気溜まりは、平坦面に貼り付ける場合に比べて生じ難い。
特開2005−75953号公報 特開2009−108136号公報
しかし、建築物の外壁材等では、壁面が粗面又は多孔質面となる場合があり、このような壁面にマーキングフィルムを貼付すると、雨や雪を受けて、フィルムと壁面との間に湿気、水等が浸入して膨れが生じ、耐久性の低下、外観の悪化等の問題が生じるおそれがある。
本発明の目的の一つは、粗面又は多孔質面装飾用粘着シートであって、貼付後に被着体との間に侵入した湿気、水分等が効率的に排除され、膨れの発生が防止され、長期間にわたって耐久性及び外観が維持される、粘着シートを提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記粘着シートを用いた装飾方法、及び上記粘着シートで表面装飾された構造物を提供することにある。
本発明の一側面は、粗面又は多孔質面装飾用のコンフォーマブルな粘着シートに関する。上記粘着シートは、第一の主面及び第二の主面を有するフィルム基材と、上記第一の主面上に設けられた粘着剤層と、を備える。また、上記粘着シートは、上記フィルム基材及び上記粘着剤層を貫通する複数の貫通孔を有し、上記第二の主面上において、上記貫通孔の孔密度は10〜100個/100cmであり、上記貫通孔の平均開孔面積は0.05〜0.30mmである。
本発明の他の側面は、粗面又は多孔質面を有する対象物の装飾方法に関する。この装飾方法は、上記粗面又は上記多孔質面の少なくとも一部を、上記粘着シートで表面修飾する工程を含む。
本発明によれば、粗面又は多孔質面装飾用のコンフォーマブルな粘着シートであって、貼付後に被着体との間に侵入した湿気、水分等が効率的に排除され、膨れの発生が防止され、長期間にわたって耐久性及び外観が維持される、装飾用粘着シートが提供される。また、本発明によれば、上記粘着シートを用いた装飾方法、及び上記粘着シートで表面装飾された構造物が提供される。
装飾用粘着シートの一実施形態を示す模式図である。 装飾用粘着シートの一実施形態を示す模式断面図である。 装飾用粘着シートの他の一実施形態を示す模式断面図である。
本発明の好適な実施形態について以下に説明する。
本実施形態に係る粘着シートは、粗面又は多孔質面装飾用のコンフォーマブルな粘着シートであって、第一の主面及び第二の主面を有するフィルム基材と、フィルム基材の第一の主面上に設けられた粘着剤層とを備える。
粘着シートには、フィルム基材及び粘着剤層を貫通する複数の貫通孔が設けられており、フィルム基材の第二の主面上において、貫通孔の平均開孔面積は0.05〜0.30mmであり、貫通孔の孔密度は10〜100個/100cmである。
建築物の外壁等では、その壁材に応じた粗面又は多孔質面が形成される。このような壁面に粘着シートを貼付すると、粘着シートの周縁部からの浸入、壁面裏側からの透過等によって、粘着シートと壁面との間に湿気、水分等が浸入する場合がある。
本実施形態に係る粘着シートによれば、従来の平坦面に貼付される貫通孔付き装飾用粘着シートに較べ、比較的大きな開口面積の大きい貫通孔をフィルム面に備えることで、粗面又は多孔質面に貼付した場合でも、貼付後に被着体との間に侵入した湿気、水分等を効率的に排除し、膨れの発生を防止することができる。このため、本実施形態に係る粘着シートによれば、粗面又は多孔質面に貼付した場合でも、長期間にわたって耐久性及び外観を維持することができる。
本実施形態に係る粘着シートは、粗面又は多孔質面の凹凸に追従可能なコンフォーマブルな粘着シートであって、凹凸を有する被着面に対し追従し、貼り付け後もほぼその追従性を維持し得るシートである。例えば、20℃における2%モジュラスが9MPa以下の粘着シートが、コンフォーマブルな粘着シートとして使用可能である。なお、本明細書中、2%モジュラスは、JIS Z 0237に準拠して求められる2%延伸時の引張応力の値を示す。
粘着シートの2%モジュラスは、具体的には以下の方法で測定できる。
粘着シートを長さ150mm×幅25mmに切断して試験片とする。引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製テンシロン万能試験機、型番:RTC−1210A)を用い、20℃、初期つかみ間隔100mm、引張速度300mm/分の条件で伸び率2%時点の引っ張り強度T(N/25mm)を測定する。試験片の厚さt(mm)を測定し、2%モジュラスを以下の式から求める。
2%モジュラス(MPa)=T/(25×t)
本実施形態において、貫通孔の開孔面積は、光学顕微鏡で第二の主面上における各貫通孔の開孔面積を直接測定して求められる。また、本実施形態においては、貫通孔の開孔面積の円相当径を、貫通孔の孔径として表す。また、平均開孔面積及び平均孔径は、複数の貫通孔の開孔面積及び孔径から、それぞれの算術平均で求める。
貫通孔の孔形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、矩形、多角形、不定形、スリット形状等であってよい。
貫通孔の平均開孔面積は、0.05mm以上であり、好ましくは0.10mm以上であり、0.15mm以上であってもよい。貫通孔の平均開口面積を0.05mm以上とすることで、貼付後に被着体との間に侵入した湿気、水分等を効率的に排除することができる。なお、一般の平滑面に貼付される装飾シートにおいて、貼付時の空気溜まりを抑制する場合と異なり、外壁等の凹凸ある被着面から多量に生じる水又は水蒸気をより効率的に逃すためには、より大きな貫通孔を形成することが望ましい。
貫通孔の平均開孔面積は、0.30mm以下であり、好ましくは0.28mm以下であり、0.20mm以下であってもよく、0.16mm以下であってもよい。貫通孔の平均開孔面積を上記のように小さくすることで、被着体への貼付後に、一般の観察者に違和感を与える外観上の欠陥になりにくい。
貫通孔の平均孔径は、好ましくは300μm以上であり、より好ましくは350μm以上であり、400μm以上であってもよい。貫通孔の平均孔径を300μm以上とすることで、水や水蒸気を一層効率よく排除することができる。また、貫通孔の平均孔径は、貼付後の外観により優れる観点からは、600μm以下であることが好ましく、550μm以下であることがより好ましく、500μm以下であってもよい。
貫通孔の孔密度は、好ましくは10個/100cm以上であり、より好ましくは12個/100cm以上であり、15個/100cm以上であってもよい。孔密度が高い程、水蒸気等を効率的に逃すことが可能であるが、その一方で、上述のとおり本実施形態では比較的大きな貫通孔が求められることから、装飾フィルムとしての外観を損ねないよう孔密度はある程度抑えることが望ましい。この観点から、貫通孔の孔密度は、好ましくは100個/100cm以下であり、より好ましくは50個/100cm以下であり、30個/100cm以下であってもよい。
複数の貫通孔は、それぞれ所定の間隔で設けられていることが好ましい。例えば、第二の主面上において、一つの貫通孔と該貫通孔に最も近い貫通孔との距離は、例えば5〜50mmとすることが好ましく、10〜40mmとしてもよい。
粘着シートの均質性が向上する観点からは、複数の貫通孔は、規則性をもって連続して設けられていることが好ましい。例えば、複数の貫通孔は、フィルム基材の流れ方向と幅方向とに沿って、所定の間隔で連続して設けられていてよい。
貫通孔の形成方法は特に限定されない。貫通孔は、例えば、レーザ加工により形成されたものであってよく、ニードルの押しつけによる穴あけ加工により形成されたものであってよい。また、貫通孔の形成には、パンチング、ウォータージェット、マイクロドリル等の方法を適用することもできる。
レーザ加工により貫通孔を形成する場合は、開孔面積、孔径、孔のピッチ等を制御し易いという利点がある。また、ニードルの押しつけによる穴あけ加工により貫通孔を形成する場合は、形成した貫通孔の周囲にシートが残留するため、貫通孔が外観上目立ちにくくなる利点がある。
本実施形態において、粘着シートは、被着面(粗面又は多孔質面)に対して追従可能なシートであることが好ましい。粘着シートの20℃における2%モジュラスは、9MPa以下であることが好ましく、6MPa以下であることがより好ましい。粘着シートの追従性を高めることで、粘着シートと被着面との接触面積が大きくなり、接着性が向上する傾向がある。この結果、被着体から水蒸気等が発生した場合の粘着シートの膨れを一層顕著に抑制することができる。
粘着シートは、施工時の破れを防止して作業性を向上させる観点からは、十分な引張強さを有するものであることが好ましい。粘着シートの20℃における引張強さは、好ましくは3MPa以上であり、より好ましくは5MPa以上であり、さらに好ましくは7MPa以上であり、10MPa以上であってもよい。このような粘着シートによれば、施工時の破れが防止され、作業性が向上する。引張強さの上限は特に制限されず、例えば50MPa以下であってよく、40MPa以下であってもよい。
粘着シートの20℃における切断時伸びは、好ましくは25%以上であり、より好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは75%以上である。このような粘着シートによれば、被着面の凹凸に対して十分に追従して密着し、被着面を効果的に装飾することができる。上記切断時伸びの上限は特に制限されず、例えば500%以下であってよく、300%以下であってもよい。
なお、本明細書中、粘着シートの20℃における引張強さ及び切断時伸びは、JIS Z 0237に規定される方法に準拠して測定される値を示す。
フィルム基材の組成は特に限定されず、例えば上述の2%モジュラス、引張強さ及び切断時伸びを示す樹脂フィルムを適宜選択して用いることができる。
一態様において、フィルム基材は、カルボキシル基を有する第一の(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基を有する第二の(メタ)アクリル系ポリマーが配合された樹脂組成物から形成されたものであってよい。
第一の(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば、モノエチレン性不飽和モノマーとカルボキシル基を含有する不飽和モノマーとを共重合することにより得られる。また、第二の(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば、モノメチレン性不飽和モノマーとアミノ基を有する不飽和モノマーとを共重合することにより得られる。
上記共重合は、ラジカル重合により行うことが好ましい。この場合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合等の公知の重合方法を用いることができる。開始剤としては、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、ビス(4−ターシャリーブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物や、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、4,4’−アゾビスー4−シアノバレリアン酸、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、アゾビス2,4−ジメチルバレロ二トリル(AVN)等のアゾ系重合開始剤を用いることができる。この開始剤の使用量としては、モノマー混合物100質量部あたり、0.05〜5質量部とするのがよい。
この態様において、第一の(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)を高く(好ましくは0℃以上)とした場合には、第二の(メタ)アクリル系ポリマーのTgはそれより低く(好ましくは0℃以下)とすることが好ましく、第一の(メタ)アクリル系ポリマーのTgを低く(好ましくは0℃以下)した場合には、第二の(メタ)アクリル系ポリマーのTgは高く(好ましくは0℃以上)するのがよい。高いTgを有する(メタ)アクリル系ポリマーによりフィルムの高い引張強さが発揮され、低いTgを有する(メタ)アクリル系ポリマーによりフィルムの低温での伸び特性が良好となることから、このような組合せによれば、上述の引張強さ及び切断時伸びを有する粘着シートが得られ易くなる。
第一及び第二の(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、通常は、10000以上、好ましくは50000以上、さらに好ましくは100000以上である。また、第一及び第二の(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、例えば2000000以下であってよく、1500000以下であってもよい。なお、この重量平均分子量は、GPC法によるスチレン換算分子量を意味する。
第一及び第二の(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノエチレン性不飽和モノマーは、上記各ポリマーの主成分となるものであって、式CH=CRCOOR(式中、Rは水素又はメチル基であり、Rは直鎖又は分岐状のアルキル基、フェニル基、アルコキシアルキル基、又はフェノキシアルキル基である)で表されるものの他、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニルモノマー、酢酸ビニル等のビニルエステル類も含まれる。このようなモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノキシアルキル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレートなどがあり、所望のガラス転移温度や引張強さ、伸び特性を得るために、その目的に応じて1種又は2種以上を使用する。
例えば、メチルメタクリレート(MMA)、n−ブチルメタクリレート(BMA)などのホモポリマーのTgが0℃以上となるモノマーを主成分として共重合させることにより、容易にTgが0℃以上の(メタ)アクリル系ポリマーを得ることができる。
また、エチルアクリレート(EA)、n−ブチルアクリレート(BA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)など、ホモポリマーのTgが0℃以下となるモノマーを主成分として共重合させることにより、容易にTgが0℃以下の(メタ)アクリル系ポリマーを得ることができる。
ここで、第一の(メタ)アクリル系ポリマー及び第二の(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、各ポリマーがn種類のモノマーから共重合されているとして、FOXの式(下式)より求めた。
1/Tg=X/(Tg+273.15)+X/(Tg+273.15)+・・・+X/(Tg+273.15)
(Tg:成分1のホモポリマーのガラス転移点
Tg:成分2のホモポリマーのガラス転移点
:重合の際に添加した成分1のモノマーの重量分率
:重合の際に添加した成分2のモノマーの重量分率
+X+・・・+X=1)
上記モノエチレン性不飽和モノマーと共重合して第一の(メタ)アクリル系ポリマーを構成する、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。
第一の(メタ)アクリル系ポリマーとしては、モノエチレン性不飽和モノマー80〜95.5質量部と、カルボキシル基を含有する不飽和モノマー0.5〜20質量部とを共重合して得られるポリマーが好ましい。
上記モノエチレン性不飽和モノマーと共重合して第二の(メタ)アクリル系ポリマーを構成する、アミノ基を含有する不飽和モノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)などのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、及びビニルイミダゾールなどの含窒素複素環を有するビニルモノマーに代表される3級アミノ基を有するモノマーなどが挙げられる。
第二の(メタ)アクリル系ポリマーとしては、モノエチレン性不飽和モノマー80〜99.5質量部と、アミノ基を含有する不飽和モノマー0.5〜20質量部とを共重合して得られるポリマーが好ましい。
上記のように第一の(メタ)アクリル系ポリマーと、第二の(メタ)アクリル系ポリマーとをそれぞれ別々に重合した後、通常のフィルム成形方法により、本態様に係るフィルム基材を形成することができる。具体的には、例えば、第一及び第二の(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を混合し、ライナーの剥離面上に塗布し、乾燥・固化させることによりフィルム基材を形成することができる。この塗布装置としては、通常のコータ、例えば、バーコータ、ナイフコータ、ロールコータ、ダイコータ等を用いることができる。固化操作は、揮発性溶媒を含む塗料の場合の乾燥操作や、溶融した樹脂成分を冷却する操作と同様である。また、このフィルム基材は、溶融押出成形法によっても形成することができる。
これらのフィルム基材の形成において、第一の(メタ)アクリル系ポリマーと、第二の(メタ)アクリル系ポリマーとの配合比を変化することにより、所望の引張強さ及び伸び特性を有するフィルム基材を得ることができる。具体的には、第一の(メタ)アクリル系ポリマーと第二の(メタ)アクリル系ポリマーのうちTgが高いポリマーとTgが低いポリマーの配合比(質量比)は10:90〜90:10、より好ましくは20:80〜90:10、より好ましくは30:70〜90:10である。
本態様に係るフィルム基材の形成において、第一の(メタ)アクリル系ポリマーと第二の(メタ)アクリル系ポリマーとを架橋させることが好ましい。架橋させることにより網目構造が形成され、低温における伸び特性がさらに向上する。架橋成分としては、カルボキシル基と反応することのできる官能基を有する架橋剤を用い、具体的にはビスアミド系架橋剤(例えば、3M製RD1054)、アジリジン系架橋剤(例えば、日本触媒製ケミタイトPZ33、アビシア製NeoCryl CX−100)、カルボジイミド系架橋剤(例えば、日清紡製カルボジライトV−03,V−05,V−07)、エポキシ系架橋剤(例えば綜研化学製E−AX,E−5XM,E5C)等を用いる。この架橋剤の添加量は、第一の(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましい。
他の態様において、フィルム基材は、30℃以上180℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する第三の(メタ)アクリル系ポリマーと、−80℃を超え30℃未満のTgを有する第四の(メタ)アクリル系ポリマーとが配合された樹脂組成物から形成されたものであってよい。なお、第三及び第四の(メタ)アクリル系ポリマーは、上述したFOXの式で求められる。
この態様において、第三及び第四の(メタ)アクリル系ポリマーのうち、一方はカルボキシル基を含み、他方はアミド基を含むことが好ましい。
第三又は第四の(メタ)アクリル系ポリマー中のカルボキシル基は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、及びω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の、カルボキシル基を有するモノマーに由来するものであってよい。
第三又は第四の(メタ)アクリル系ポリマー中のアミド基は、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、及びジアセトン(メタ)アクリルアミド等の、アミド基を有するモノマーに由来するものであってよい。
第三及び第四の(メタ)アクリル系ポリマーの一方は、ポリマーを構成するモノマー全量に対して4〜20モル%のカルボキシル基を有するモノマーを共重合させたものであってよく、他方は、ポリマーを構成するモノマー全量に対して5〜15モル%のアミド基を有するモノマーを共重合させたものであってよい。また、別の態様では、第三及び第四の(メタ)アクリル系ポリマーの一方は、ポリマーを構成するモノマー全量に対して5〜15モル%のカルボキシル基を有するモノマーを共重合させたものであってよく、他方は、ポリマーを構成するモノマー全量に対して10〜40モル%のアミド基を有するモノマーを共重合させたものであってよい。
第三の(メタ)アクリルポリマーの例としては、メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート/メタアクリル酸の共重合体、メチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/メタクリル酸の共重合体、メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/メタクリル酸の共重合体、及び、メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート/N,N−ジメチルアクリルアミドの共重合体等が挙げられる。
第四の(メタ)アクリルポリマーの例としては、ブチルアクリレート/N,N−ジメチルアクリルアミドの共重合体、ブチルアクリレート/ジアセトンアクリルアミドの共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート/N,N−ジメチルアクリルアミドの共重合体、ブチルアクリレート/N−イソプロピルアクリルアミドの共重合体等が挙げられる。
本態様に係るフィルム基材は、公知のフィルム形成方法によって形成され得る。例えば、フィルム基材は、第三及び第四の(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を混合し、混合溶液をライナーの剥離面上に適用し、溶液を乾燥によって固化することによって形成され得る。コーティング装置としては、バーコーター、ナイフコーター、ロールコーター及びダイコーターなどの公知のコーターが使用され得る。また、このフィルム基材は、溶融押出法によっても形成され得る。固化操作は、溶融樹脂成分を冷却する操作と同じである。
本態様においては、第三の(メタ)アクリル系ポリマーと第四の(メタ)アクリル系ポリマーの配合比を変化させることで、所望の引張強さ及び伸び特性を有するフィルム基材を得ることができる。具体的には、例えば、第三の(メタ)アクリル系ポリマーと第四の(メタ)アクリル系ポリマーの配合比(質量比)は、10:90〜90:10の範囲であってよく、より好ましくは20:80〜90:10の範囲とすることができ、さらに好ましくは30:70〜90:10の範囲とすることができる。
また、本態様においては、多官能(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーを添加することによっても、引張強さ及び伸び特性を調節することができる。多官能(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーは、紫外線光で照射することによってポリマーに組み込まれ得る。多官能(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーの例としては、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート変性ビスフェノールA、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、エチレングリコールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、グリセリンジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物などのエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等も挙げられる。
第三の(メタ)アクリル系ポリマー及び/又は第四の(メタ)アクリル系ポリマーは、ラジカル発生基によって架橋されてもよく、ヒドロキシル基とポリイソシアネートの反応によって架橋されてもよい。ポリマー架橋によってネットワークを形成することで、低温における伸び特性の改善が期待できる。
本態様の一例として、第三の(メタ)アクリルポリマーが50℃以上のガラス転移温度を有し、かつ5〜15モル%のカルボキシル基を有するモノマーが共重合されたものであり、第四の(メタ)アクリルポリマーが30℃以下のガラス転移温度を有し、かつ10〜40モル%のアミド基を有するモノマーが共重合されたものであってよい。
また他の例として、第三の(メタ)アクリルポリマーが50℃以上のガラス転移温度を有し、かつ10〜40モル%のアミド基を有するモノマーが共重合されたものであり、第四の(メタ)アクリルポリマーが30℃以下のガラス転移温度を有し、かつ5〜15モル%のカルボキシル基を有するモノマーが共重合されたものであってよい。
以上、フィルム基材を構成する樹脂組成物の好適な態様について説明したが、本実施形態に係るフィルム基材は、上記態様に限定されるものではない。
フィルム基材を構成する樹脂組成物には、例えば、染料、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、滑材、帯電防止剤、難燃剤、充填剤等の添加剤が配合されていてもよい。
また、樹脂組成物は、有機溶媒をさらに含有する、溶液状の組成物であってもよい。このような樹脂組成物によれば容易にフィルム基材を形成することができる。有機溶媒は、樹脂組成物に含まれるポリマーを溶解可能なものであればよく、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、イソプロピルアルコール、ヘプタン、ヘキサン等を好適に用いることができる。
フィルム基材の厚さは、その用途に応じて適宜調整することができるが、例えば1〜1000μmであってよく、好ましくは5〜500μm、より好ましくは20〜150μmである。このような厚さであると機械的強度及び被着体への追従性のバランスに優れたものとなる傾向がある。
フィルム基材は、上述の樹脂組成物に染料又は顔料が配合され、着色されたものであってよい。また、フィルム基材は、第二の主面上に着色が施されたものであってもよい。
また、フィルム基材は、第二の主面上に着色剤を含む装飾層が設けられていてもよい。着色剤としては、公知の着色剤を特に制限なく用いることができる。装飾層は、例えば、レセプター層と、該レセプター層に受容された着色剤とを含むものであってよい。
レセプター層を形成する樹脂に特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリオレフィン、ポリビニルアセタール、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、これらの混合物等が使用できる。レセプター層を形成する樹脂のガラス転移温度は、例えば0〜100℃であってよい。レセプター層の厚さは、例えば2〜50μmであってよく、5〜40μmであってもよい。
また、フィルム基材は、第二の主面上において、上記装飾層を保護するトップコート層がさらに設けられていてもよい。トップコート層は、例えば、バーコータ、ナイフコータ、ロールコータ、ダイコータ、グラビアコータ等の方法により形成することができる。また、トップコート層は、形成する樹脂に特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー、フッ素樹脂、ポリオレフィン、メラミンアルキド樹脂、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、これらの混合物等が使用できる。
一態様の粘着シートにおいて、上述の装飾層及びトップコート層は上述の貫通孔を塞がないように設けられている。すなわち、一態様において、粘着シートが装飾層及びトップコート層を備えるとき、貫通孔は、フィルム基材及び粘着剤層のみならず、装飾層及びトップコート層をも貫通している。
本実施形態に係る粘着シートは、フィルム基材の第二の主面上に、粘着剤層を備えるものである。粘着剤層は、例えば、粘着性ポリマーを含有する粘着剤の塗膜から形成することができる。粘着剤層を形成する粘着剤の種類は特に制限されず、被着体の材質、用途等に応じて適宜選択することができる。
粘着性ポリマーとしては、例えば、アクリル系ポリマー、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル等が使用できる。
粘着剤は、例えば、粘着性ポリマーと架橋剤とを含有するものであってもよい。架橋剤の添加量は、粘着性ポリマー及び架橋剤の種類に応じて適宜調整できるが、例えば粘着性ポリマー100質量部に対して0.02〜2質量部としてよく、0.003〜1質量部としてもよい。架橋剤としては、例えば、イソシアネート化合物、メラミン化合物、ポリ(メタ)アクリレート化合物、エポキシ化合物、アミド化合物、ビスアミド化合物等を用いることができる。
粘着剤はまた、粘着付与剤、弾性微小球、粘着性ポリマー微小球、結晶性ポリマー、無機粉末、紫外線吸収剤等の添加剤をさらに含有していてもよい。
粘着剤層は、動的粘弾性測定装置(Rheometrics Scientific Inc.社製、RDA−II)を用いて測定されるTanδ(測定条件は、シェアレート=1ラジアン/秒のねじれモード、昇温範囲は−60℃〜100℃、昇温温度は5℃/秒、試料厚さ1〜2mm。)から求めたガラス転移温度(Tg)が、−50℃〜0℃であることが好ましく、−45℃〜−5℃であることがより好ましい。
粘着剤層の厚さは特に制限されないが、例えば5〜200μmであってよく、好ましくは10〜100μmであり、より好ましくは15〜80μmである。
粘着剤層は、フィルム基材と接する面と反対側の面において、平坦な接着面を形成するものであってよい。また、粘着剤層は、凹凸構造を有する接着面を形成していてもよい。なお、凹凸構造を有する接着面は、例えば、凹凸構造を有する剥離面を有するライナー上に粘着剤層を形成し、当該粘着剤層をフィルム基材上に転写することで得ることができる。
本実施形態に係る粘着シートは、フィルム基材の第二の主面側の最外層に、プレマスクを備えるものであってよい。
本実施形態において、フィルム基材は粗面又は多孔質面に十分に追従可能な柔軟性を有するものであってよく、この場合、フィルム基材及び粘着剤層のみでは貼り付け作業が困難となる場合がある。粘着シートがプレマスクを備えることで、貼り付け時にフィルム基材及び粘着剤層をプレマスクで支持することができ、作業性が向上する。
また、本実施形態に係る粘着シートでは、被着体への貼付後、その粗面又は多孔質面の凹凸に対してフィルム基材が追従するように、背面から押圧することが好ましい。このとき、粘着シートがプレマスクを備えると、押圧時の装飾面の損傷を防止することができる。なお、プレマスクは、被着体への貼付後に剥離することができる。
プレマスクとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、紙等を好適に用いることができる。
プレマスクは、容易に剥離可能な接着力で粘着シート上に接着されていることが好ましく、その接着力は、好ましくは3N/25mm以下であり、より好ましくは1N/25mm以下であり、0.5N/25mm以下であってもよい。また、プレマスクは、そのモジュラスが、プレマスク剥離後の粘着シートより高いことが望ましく、例えば、20℃における2%モジュラスが6Mpa以上であることが好ましく、10MPa以上であることがより好ましい。
本実施形態に係る粘着シートにおいて、上述の複数の貫通孔は、フィルム基材及び粘着剤層のみならず、プレマスクを貫通していてもよい。このような粘着シートでは、被着体への貼付時に、被着体と粘着シートとの間に入り込んだ空気を貫通孔から容易に抜くことができるため、作業性に一層優れるものとなる。
なお、プレマスクは、貼り付け後に剥離されるものであるから、膨れの発生の防止、耐久性及び外観維持の観点からは、プレマスクは必ずしも貫通孔により貫通されている必要はない。
本実施形態に係る粘着シートは、粘着剤層上に剥離フィルムを備えるものであってよい。剥離フィルムは、粘着シートの保管時及び移送時に、粘着剤層を保護するものであって、被着体への貼付前に剥離される。
剥離フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、クレーコート紙、ポリエチレンラミネート紙等を好適に用いることができる。
本実施形態に係る粘着シートにおいて、上述の複数の貫通孔は、剥離フィルムを貫通していてもよい。剥離フィルムを備えた粘着シートに対して穴あけ加工を行うことで、貫通孔の作成時の作業性を向上させることができる。なお、剥離フィルムは、被着体への貼り付け前に剥離されるものであるから、必ずしも貫通孔により貫通されている必要はない。
以下に図面を参照して、本実施形態に係る粘着シートの好適な一態様について説明する。
図1は、本実施形態に係る粘着シートの好適な一態様を示す模式図であり、図2は、当該粘着シートのI−I断面図を示す模式断面図である。図1及び図2において、粘着シート1は、複数の貫通孔10が、長辺及び短辺に沿った方向に所定の間隔で連続して設けられている。
粘着シート1は、フィルム基材11を有し、フィルム基材11の第一の主面上には粘着剤層12が設けられている。また、フィルム基材11の第二の主面側の最外層には、プレマスク14が設けられており、粘着剤層12のフィルム基材11と反対側の面上には、剥離フィルム13が設けられている。また、粘着シート1において、貫通孔10は、フィルム基材11、粘着剤層12、剥離フィルム13及びプレマスク14を貫通している。
図3は、粘着シートの他の好適な一態様を示す模式断面図である。図3の粘着シート2は、フィルム基材21と、フィルム基材21の第一の主面上に設けられた粘着剤層22と、フィルム基材21の第二の主面側の最外層に設けられたプレマスク24と、粘着剤層22のフィルム基材21と反対側の面上に設けられた剥離フィルム23と、を備える。また、粘着シート2は、フィルム基材21、粘着剤層22及びプレマスク24を貫通する貫通孔20を複数有している。
本発明の一側面は、上述の粗面又は多孔質面の装飾用粘着シートを用いて、粗面又は多孔質面を有する対象物を装飾する、装飾方法に関する。
一実施形態に係る装飾方法は、粗面又は多孔質面を有する対象物の、粗面又は多孔質面の少なくとも一部(以下、場合により被装飾面と称する。)を、上述の粘着シートで表面修飾する工程(以下、場合により表面修飾工程と称する。)を含む。
表面修飾工程は、例えば、粘着シートから剥離フィルムを剥離して粘着剤層を露出させ、該粘着剤層が被装飾面に接するように、粘着シートを被装飾面に剥離し、粘着シートを押圧して被装飾面に追従させ、必要に応じてプレマスクを剥離して、行うことができる。
対象物において、粗面又は多孔質面を構成する材質は特に制限されず、例えば、コンクリート、セメント、モルタル、レンガ、アスファルト、木材等が挙げられる。
粗面は、凹凸を有する面であり、例えば、その表面粗さ(Rz)が1μm以上の面であってよく、10μm以上の面であってもよい。なお、本明細書中、表面粗さは、表面粗さ計(株式会社東京精密製サーフコムE−35A)で測定される値を示す。なお、建築物の壁面の表面粗さは、その材質により様々であるが、例えばコンクリートの打放し面であれば、一般に表面粗さは10μm〜1mmといわれている。
多孔質面は、表面に露出した微小孔又は連通孔が複数形成された面であり、例えば、平均孔径数μm〜数百μmの複数の微小孔を有する面であってよい。
本発明のさらに他の側面は、粗面又は多孔質面を有する構造物の、上記粗面又は上記多孔質面の少なくとも一部を上記粘着シートで表面装飾してなる、表面装飾された構造物に関する。
構造物が有する粗面又は多孔質面としては、例えば、建築物が有する外壁、内壁、防火壁、塀、支柱等の表面が挙げられる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
剥離紙、粘着剤層、フィルム基材及びプレマスクがこの順で積層された粘着シートとして、スリーエムジャパン社製スコッチカルTMペイントフィルム PF150APのロール体を準備した。この粘着シートの総厚さは、約295μmであった。また、プレマスクを除去した粘着シートの20℃での2%モジュラスは約3MPaであった。
上記粘着シートをロール体から巻き出し、パーフォレータを用いてプレマスク側から針を押しつけ、穴あけ加工を行った。穴あけ加工の結果、剥離紙からプレマスクまで貫通する貫通孔が形成された。貫通孔は、粘着シートの巻き出し方向及び幅方向に沿って連続して形成し、巻き出し方向における貫通孔の間隔は約10mm、幅方向における貫通孔の間隔は約33mmとした。貫通孔の平均開孔面積は0.2mm、貫通孔の平均孔径は500μm、貫通孔の孔密度は20個/100cmであった。
貫通孔が形成された粘着シートに対して、下記の方法でエア抜け試験及び耐膨れ試験を行った。試験結果は、表1に示すとおりとなった。
[エア抜け試験]
粘着シートを100mm角に切断して試験片を作成した。次いで、中央部に深さ約0.7mm、直径約40mmの窪みを有する、150mm角のアルミ板を準備した。剥離紙を剥離後、試験片を、アルミ板の窪みに追従するように貼付した。エア溜まり(アルミ板と試験片との間に混入した空気による膨れ)の有無を目視で確認し、エア溜まりが観測されなかった場合をA、エア溜まりが観測された場合をBとして評価した。
[耐膨れ試験]
粘着シートを100mm角に切断して試験片を作成した。剥離紙を剥離後、試験片を外壁材(昭和電工電材製ラムダ15ヨコSP−Y、150mm角、多孔質、表面粗さRz:33μm)にリベットブラシ(スリーエムジャパン製、RBA−1)を用いて貼付し、貼付後、プレマスクを剥離した。次いで、外壁材の試験片が貼付された面と反対側を水中に約10mm浸漬させ、試験片は大気中に露出した状態にした。この状態で、室温下、4日間放置した。その後、試験片表面の膨れの有無を目視で確認し、膨れが全く観測されなかった場合をA、膨れの直径が5mm未満の場合をB、膨れの直径が5mm以上7mm未満の場合をC、膨れの直径が7mm以上の場合をDとして評価した。
(実施例2)
貫通孔の孔密度を30個/100cmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、貫通孔を有する粘着シートを作製した。
作製した粘着シートについて、実施例1と同様にエア抜け試験及び耐膨れ試験を行った。試験結果は、表1に示すとおりとなった。
(比較例1)
穴あけ加工を行わず、スリーエムジャパン社製スコッチカルTMペイントフィルム PF150APを用いて、実施例1と同様のエア抜け試験及び耐膨れ試験を行った。試験結果は、表1に示すとおりとなった。
Figure 0006632197
(実施例3)
スリーエムジャパン社製スコッチカルTMペイントフィルム PF150APに対して、レーザ孔あけ装置(Preco Industries, Inc.製)を用いてプレマスク側からレーザーを照射し、剥離紙からプレマスクまで貫通する貫通孔を形成した。貫通孔は、粘着シートの巻き出し方向及び幅方向に沿って連続して形成し、巻き出し方向における貫通孔の間隔は12mm、幅方向における貫通孔の間隔は12mmとした。貫通孔の平均開孔面積は0.07mm、貫通孔の平均孔径は300μm、貫通孔の孔密度は81個/100cmであった。
貫通孔が形成された粘着シートに対して、下記の方法で耐膨れ試験を行った。試験結果は表2に示すとおりとなった。
[耐膨れ試験]
粘着シートを100mm角に切断して試験片を作成した。剥離紙を剥離後、押出成形セメント板(ラムダエンジニアリング製ラムダ15ヨコSP−Y、150mm角)にプラスチックスキージーを用いて貼付した。次いでプレマスクを剥離し、リベットブラシを用いて再度試験片をセメント板に圧着させ、セメント板の微小な凹凸面に試験片を追従させた。その後、常温環境下で24時間放置したものを試験体とした。
試験体を、試験片貼付面を上側にしてプラスチックケース上に水平に設置した。試験片にかからないように水道水を投入し、試験体のセメント板部分を浸漬させ、室温下で1週間放置した。その後、試験片表面の膨れの有無を目視で確認し、膨れが全く観測されなかった場合をA、膨れの直径が5mm未満の場合をB、膨れの直径が5mm以上7mm未満の場合をC、膨れの直径が7mm以上の場合をDとして評価した。
(実施例4)
巻き出し方向における貫通孔の間隔を36mm、幅方向における貫通孔の間隔を12mm、貫通孔の孔密度を27個/100cm、貫通孔の平均開孔面積を0.07mm、貫通孔の平均孔径を300μmとしたこと以外は実施例3と同様にして、貫通孔を有する粘着シートを作製した。
作製した粘着シートについて、実施例3と同様に耐膨れ試験を行った。試験結果は表2に示すとおりとなった。
(実施例5)
巻き出し方向における貫通孔の間隔を36mm、幅方向における貫通孔の間隔を12mm、貫通孔の孔密度を27個/100cm、貫通孔の平均開孔面積は0.10mm、貫通孔の孔密度を350μmとしたこと以外は実施例3と同様にして、貫通孔を有する粘着シートを作製した。
作製した粘着シートについて、実施例3と同様に耐膨れ試験を行った。試験結果は表2に示すとおりとなった。
(実施例6)
巻き出し方向における貫通孔の間隔を36mm、幅方向における貫通孔の間隔を12mm、貫通孔の孔密度を27個/100cm、貫通孔の平均開孔面積を0.15mm、貫通孔の孔密度を430μmとしたこと以外は実施例3と同様にして、貫通孔を有する粘着シートを作製した。
作製した粘着シートについて、実施例3と同様に耐膨れ試験を行った。試験結果は表2に示すとおりとなった。
(実施例7)
巻き出し方向における貫通孔の間隔を30mm、幅方向における貫通孔の間隔を30mm、貫通孔の孔密度を16個/100cm、貫通孔の平均開孔面積を0.07mm、貫通孔の孔密度を300μmとしたこと以外は実施例3と同様にして、貫通孔を有する粘着シートを作製した。
作製した粘着シートについて、実施例3と同様に耐膨れ試験を行った。試験結果は表3に示すとおりとなった。
(実施例8)
巻き出し方向における貫通孔の間隔を30mm、幅方向における貫通孔の間隔を30mm、貫通孔の孔密度を16個/100cm、貫通孔の平均開孔面積を0.15mm、貫通孔の孔密度を430μmとしたこと以外は実施例3と同様にして、貫通孔を有する粘着シートを作製した。
作製した粘着シートについて、実施例3と同様に耐膨れ試験を行った。試験結果は表3に示すとおりとなった。
(比較例2)
レーザーを剥離紙側から照射し、巻き出し方向における貫通孔の間隔を20mm、幅方向における貫通孔の間隔を30mm、貫通孔の孔密度を24個/100cm、貫通孔の平均開孔面積を0.02mm、貫通孔の孔密度を140μmとしたこと以外は実施例3と同様にして、貫通孔を有する粘着シートを作製した。
作製した粘着シートについて、実施例3と同様に耐膨れ試験を行った。試験結果は表3に示すとおりとなった。
(比較例3)
レーザーを剥離紙側から照射し、巻き出し方向における貫通孔の間隔を20mm、幅方向における貫通孔の間隔を30mm、貫通孔の孔密度を24個/100cm、貫通孔の平均開孔面積を0.02mm、貫通孔の孔密度を260μmとしたこと以外は実施例3と同様にして、貫通孔を有する粘着シートを作製した。
作製した粘着シートについて、実施例3と同様に耐膨れ試験を行った。試験結果は表3に示すとおりとなった。
Figure 0006632197
Figure 0006632197
1,2…装飾用粘着シート、10,20…貫通孔、11,21…フィルム基材、12,22…粘着剤層、13,23…剥離フィルム、14,24…プレマスク。

Claims (8)

  1. 粗面又は多孔質面装飾用の20℃における2%モジュラスが9MPa以下の粘着シートであって、
    第一の主面及び第二の主面を有するフィルム基材と、前記第一の主面上に設けられた粘着剤層と、を備え、
    前記フィルム基材及び前記粘着剤層を貫通する複数の貫通孔を有し、
    前記第二の主面上において、前記貫通孔の孔密度が10〜50個/100cm、前記貫通孔の平均開孔面積が0.05〜0.30mmである、粘着シート。
  2. 20℃における引張強さが3MPa以上であり、20℃における切断時伸びが25%以上である、請求項1に記載の粘着シート。
  3. 前記フィルム基材は、カルボキシル基を有する第一の(メタ)アクリル系ポリマーとアミノ基を有する第二の(メタ)アクリル系ポリマーとが配合された樹脂組成物から形成されたものである、請求項1又は2に記載の粘着シート。
  4. 前記貫通孔の平均孔径が350μm以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着シート。
  5. 前記第二の主面側の最外層としてプレマスクを備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着シート。
  6. 建物の外壁に貼付される装飾用粘着シートである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着シート。
  7. 粗面又は多孔質面を有する対象物の装飾方法であって、
    前記粗面又は前記多孔質面の少なくとも一部を、請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着シートで表面装飾する工程を含む、装飾方法。
  8. 粗面又は多孔質面を有する構造物の、前記粗面又は前記多孔質面の少なくとも一部を、請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着シートで表面装飾してなる、表面装飾された建造物。
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