JP6631230B2 - 電動車の制御装置 - Google Patents
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Description
ここで、バッテリ内の一部の電池セルに異常が生じた場合、バッテリ全体の電流流路が遮断されるため、電動車の走行が行えなくなる場合がある。これを回避するため、それぞれの電池セルに対して並列に整流素子(ダイオードなど)を接続し、電池セルの異常時には整流素子側に電流を迂回させることによって、電動車の走行を継続可能とした技術が知られている(たとえば、下記特許文献1参照)。
上述した従来技術では、モータの回生発電に関しての検討はなされておらず、改善の余地がある。
前記ジェネレータ制御部は、前記回生発電で生じた電力を用いて前記エンジンを駆動させるよう前記ジェネレータを電動機として駆動する、ことを特徴とする。
請求項2の発明にかかる電動車の制御装置は、前記モータ制御部は、前記回生発電で生じる回生トルクが所定トルク以下の場合には、前記回生発電を許可しない、ことを特徴とする。
請求項3の発明にかかる電動車の制御装置は、前記ジェネレータ制御部は、前記ジェネレータによる前記エンジンの駆動が、前記回生発電よりも先に開始するよう前記ジェネレータを制御する、ことを特徴とする。
請求項4の発明にかかる電動車の制御装置は、前記モータ制御部は、前記回生発電で生じる電力が前記ジェネレータの消費電力以下となるよう前記モータを制御する、ことを特徴とする。
本発明によれば、電動車の走行速度が所定速度以下の場合には、回生発電を許可するので、高速走行時と比較して車両の走行抵抗が小さくなったタイミングで回生発電による制動力を得ることができ、電動車の運転フィーリングを通常時に近づける上で有利となる。また、回生発電で生じた電力を用いてジェネレータを駆動するので、バッテリを充電することなくモータを回生発電させる上で有利となる。
本発明によれば、回生発電で生じる回生トルクが所定トルク以下の場合、すなわち回生発電による減速度が小さい場合には回生発電を許可しないので、回生発電による減速の実効性を向上させる上で有利となる。
本発明によれば、ジェネレータによるエンジンの駆動を、モータの回生発電よりも先に開始させるので、回生発電により生じる電力をより確実にジェネレータで消費することができ、バッテリの保護を図る上で有利となる。
本発明によれば、回生発電で生じる電力がジェネレータの消費電力以下となるようにするので、回生発電により生じる電力をより確実にジェネレータで消費することができ、バッテリの保護を図る上で有利となる。
本実施の形態では、電動車10が、モータ23とエンジン25とを備えたハイブリッド車両であるものとして説明する。
図1は、実施の形態にかかる電動車10の構成を示す説明図である。
電動車10は、走行システム20と、発電システム30と、ECU70とを備えている。
走行システム20は、電動車10の駆動機構であり、前輪21および後輪22と、モータ23と、インバータ24と、エンジン25と、モータ23の出力軸23Aの回転とエンジン25の出力軸25Aの回転とを前輪21に伝達する伝達機構26と、燃料タンク40と、バッテリ50とを備えている。
モータ23は、バッテリ50に蓄積された電力を用いて駆動し、出力軸23Aから回転力(トルク)を出力する。なお、モータ23は、電動車10の減速時(アクセルペダル71の戻し時など)に回生発電を行い回生発電することも可能である。回生発電により発生した電力はインバータ24を介してバッテリ50に供給され、バッテリ50を充電する。
なお、モータ23が電動車10を駆動する際の運転方向を「力行方向」、回生発電時の運転方向を「回生方向」という。
バッテリ50は、モータ23の動力源である電力を蓄積する。バッテリ50にはBMU(Battery Monitoring Unit)51が接続されている。BMU51は、バッテリ50の電圧や温度、入出力される電流等を検出し、充電率(SOC:State Of Charge)を含むバッテリ50の状態を検出する。BMU51は、バッテリ50の状態(少なくとも充電率)をECU70に送信する。
また、後述するシリーズ走行モードでは、ジェネレータ31が発電した交流電力がそのままモータ23の駆動に用いられる。この場合、ジェネレータ31の発電電力はインバータ24で適宜周波数が変換された上でモータ23に供給される。
なお、ジェネレータ31が発電を行う際の運転方向を「発電(回生)方向」、エンジン25を始動させる際の運転方向を「力行方向」という。
ECU70は、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。
図2は、電動車10の電源系統を示す説明図である。
バッテリ50は、直列接続された複数の電池セルCn(n=1〜m)と、それぞれの電池セルCnに並列に接続された複数の整流素子Dn(n=1〜m)と、を備える。すなわち、各電池セルCnには、異常時に電流の迂回路として用いられるダイオードなどの整流素子が並列に接続されている。
通常時(異常がない時)には、ダイオードによって電流の回り込みが抑制されるため、電流は電池セルCn側を流れる。一方、いずれかの電池セルCnに異常が生じた場合、当該電池セルCnの抵抗が増加するため、並列に設けられた整流素子Dnの方が抵抗値が低くなり、電流は整流素子Dn側を流れる。
なお、電池セルCnの異常とは、電池セルCnの故障の他、電池セルCn以外の部品の故障などにより電池セルCnに期待される動作が正常に行えない場合などを含む。
スイッチを設けた場合、通常時(異常がない時)にはスイッチはオフにされ、電流は電池セルCn側を流れる。また、いずれかの電池セルCnの異常が検知された場合、当該電池セルCnに並列に設けられたスイッチをECU70等でオンにして、電流が整流素子Dn側を流れるようにする。
また、バッテリ50とバッテリ50から電力の供給を受けて稼働する機器(本実施の形態ではモータ23や空調装置75)との間には電流計63が設けられ、バッテリ50からの出力電流を測定する。電流計63の測定値は、BMU50Aに入力される。
図3は、電動車10の制御部の機能的構成を示すブロック図である。
図3に示すように、電動車10の制御部はECU70およびBMU50Aであり、それぞれの制御部のCPUが制御プログラムを実行することにより、要求出力算出部700、駆動制御部701、バッテリ制御部702、ジェネレータ制御部703、エンジン制御部704、モータ制御部705、異常検知部706を実現する。
駆動制御部701は、バッテリ制御部702、ジェネレータ制御部703、モータ制御部705およびエンジン制御部704を含んで構成される。バッテリ制御部702はバッテリ50を、ジェネレータ制御部703はジェネレータ31を、エンジン制御部704はエンジン25を、モータ制御部705はモータ23を、それぞれ制御する。
なお、駆動制御部701は、上記以外にも例えばクラッチ装置27の駆動部27C等、電動車10の駆動に用いられる各種機構を制御する。
エンジン25は停止し、モータ23の駆動力で車軸を回転させて走行するモードである。EV走行モードでモータ23に供給される電力は、バッテリ50に蓄積された蓄積電力である。
エンジン25でジェネレータ31を駆動しながら、モータ23の駆動力で車軸を回転させて走行するモードである。シリーズ走行モードでモータ23に供給される電力は、バッテリ50に蓄積された蓄積電力およびジェネレータ31で発電された発電電力である。
エンジン25の駆動力およびモータ23の駆動力で車軸を回転させて走行するモードである。
特に、高速走行時等、エンジン25による車軸駆動の効率が高い場合にパラレル走行モードに移行する。なお、パラレル走行モード時にも、エンジン25の駆動力をジェネレータ31に伝達して発電を行う(すなわち、エンジン25の駆動力を走行と発電とに振り分ける)ことが可能である。
なお、電動車10の走行速度が高速の場合にはパラレル走行モードに移行するようにしてもよい。
電池セルCnの異常検知は、従来技術の様々な方法を用いることが可能である。具体的には、たとえばそれぞれの電池セルCnのセル電圧を測定し、セル電圧が所定電圧未満の電池セルがある場合に当該電池セルに異常が生じていると検知する。
なお、電池セルCnに異常が生じた場合、当該電池セルCnの内部抵抗が増加し、最終的には絶縁するため、当該電池セルCnと並列に設けられた整流素子Dn側を電流が流れるようになる。その結果、異常が生じた電池セルCnが電源回路から切り離され、セル電圧VCnは0Vとなる。
また、異常検知部706は、それぞれの電池セルCnのセル温度を測定し、セル温度が所定温度以上となった場合に当該電池セルCnに異常が生じていると検知してもよい。
また、異常検知部706は、バッテリ50の出力電流が第1の所定電流未満の時の各電池セルCnのセル電圧を基準電圧とし、バッテリ50の出力電流が第1の所定電流より大きい第2の所定電流を超える時の各電池セルCnのセル電圧を比較電圧とし、比較電圧と基準電流との差が所定電圧以下の電池セルCnがある場合、当該電池セルCnに異常が生じていると検知するようにしてもよい。
本実施の形態では、いずれかの電池セルCnの異常が検知された場合にはバッテリ50からの放電は最小限にして、ジェネレータ31の発電電力を主に用いて走行する。
また、要求出力に対応するモータ23の消費電力に対してジェネレータ31の発電電力が不足する場合には、バッテリ50の蓄積電力で不足分を補う。バッテリ制御部702は、このときの最大出力電力PBMXを整流素子Dnの最大許容電流IBFHに基づいて決定する。
より詳細には、バッテリ制御部702は、整流素子Dnの最大許容電流IBFHと、異常が生じた電池セルCnを除いたバッテリ50の出力電圧VBとの積を最大出力電力PBMXと決定する。すなわち、バッテリ50の最大出力電力PBMXを下記式(1)とする。
これにより、整流素子Dnの破損を防止し、また異常が生じた電池セルCnの出力分を差し引いた適切な出力電力を設定することができる。
PBMX = IBFH×VB・・・(1)
このため、バッテリ制御部702は、例えば車載充電器66に対してバッテリ50の充電を禁止する制御信号を出力したり、充電コネクタ65に対してロックをかけて給電コネクタの接続を禁止したりする。
また、後述のように、モータ制御部705によりモータ23の回生発電を禁止する。
ジェネレータ制御部703は、電池セルCnの異常が検知された場合、ジェネレータ31の発電電力量が、常時モータ23における消費電力以下になるように設定する。これは、ジェネレータ31で発電した電力を確実にモータ23で消費して、余剰電力が生じないようにするためである。
Prg = Pm+Pv+Pchg・・・(2)
Pg = Pm+Pv−Pmrg・・・(3)
すなわち、通常時も異常時も、モータ23の消費電力量Pmと補機類の消費電力量Pvとを発電することは共通しているが、異常時にはバッテリ50の充電電力量Pcrg分は発電しない。
また、電池セル異常時の発電電力補正値Pmrgとは、ジェネレータ31の発電電力量Pgが消費電力量(Pm+Pv)を上回らないようにするためのマージンである。上述のように、電池セルCnに異常が生じたバッテリ50は、一定範囲の放電は可能であるものの、充電は禁止される。一方で、発電電力量Pgと消費電力量(Pm+Pv)とを常時一致させるのは難しい。よって、発電電力量Pgは、消費電力量(Pm+Pv)から発電電力補正値Pmrgを差し引いた値とし、不足分はバッテリ50から放電させるようにしている。
図4において、縦軸は電流であり、紙面上方側が充電(回生)電流、紙面下方側が放電電流となっている。横軸は時間である。
太点線で示す通常時には、バッテリ50からの放電の他、通常時回生上限の範囲でモータ23の回生発電が許可され、回生発電時にはバッテリ50が充電される。
一方、実線で示す異常時には、モータ23の回生発電は禁止され、常時放電側で運転するように制御される。図中に示す異常時放電下限は、上記発電電力補正値Pmrgに対応し、バッテリ50から常時一定の放電を行い、充電がなされないようにしている。
これは、減速によりモータ23の消費電力が低減することを見込み、ジェネレータ31の発電電力に余剰が生じないように事前に発電量を抑えるためである。
これは、ジェネレータ31の発電電力に余剰が生じないように、発電電力量が低減してから、モータ23の減速を開始するものである。
モータ制御部705は、例えばジェネレータ31の発電量がゼロになった後にモータ23の出力トルクがゼロとなるように制御する。
Tm = TTGT×Km+Tm(n−1)×(1−Km) ・・・(4)
上記式(4)において、TTGTは要求出力から算出される目標出力トルク、Kmはモータ用フィルタ係数、Tm(n−1)は前回の出力トルク算出タイミングにおける出力トルクである。上記式(4)のように、目標出力トルクTTGTをモータ用フィルタ係数Kmおよび前回の出力トルクTm(n−1)によって補正することにより、急激な出力トルクの変化を防止している。
ここで、モータ用フィルタ係数Kmは、通常時フィルタ係数KNLと異常時フィルタ係数KFLとがあり、異常時フィルタ係数KFLの方が通常時フィルタ係数KNLよりも小さい値である(KFL<KNL)。モータ制御部705は、電池セルCnの異常時には異常時フィルタ係数KFLを用いて、通常時よりもモータトルクの変化を緩やかにする。
図5Aはモータ23およびジェネレータ31のトルクを示しており、一点破線は通常時のモータトルクを、太実線は異常時のモータトルクを、太点線は通常時のジェネレータトルクを、細点線は異常時のジェネレータトルクをそれぞれ示している。
図5Bはエンジン25の回転数を示しており、太実線は通常時のエンジン回転数を、細点線は異常時のエンジン回転数をそれぞれ示している。
なお、モータトルクはモータ23の消費電力に比例する。また、ジェネレータトルクはジェネレータ31の発電電力に比例する。
時刻Tα2に電動車10の減速指示があると、ジェネレータ31は発電電力を低減させるが、通常時には時刻Tα2から時刻Tα5までかけて発電電力を0まで低減させるところ、異常時には時刻Tα2から時刻Tα3(<時刻Tα5)で発電電力を0まで低減させる。
このように、図5Aでは異常時には発電電力を低減させる速度を通常時よりも速くして、通常時よりも早いタイミングでジェネレータ31の発電トルクを低減させている。
この他、異常時には発電電力を低減開始する時刻を通常時よりも早くして、通常時よりも早いタイミングでジェネレータ31の発電トルクを低減させてもよい。
このように、図5Aでは異常時にはモータトルクを低減させる速度を通常時よりも遅くして、通常時よりも遅いタイミングでモータトルクを低減させている。
この他、異常時には減速指示後、所定の遅延時間TLを経てから出力トルクを低減させて、通常時よりも遅いタイミングでモータトルクを低減させるようにしてもよい。
これにより、モータ23の消費電力が常時ジェネレータ31の発電電力を上回り、発電電力の余剰によりバッテリ50が充電されるのを防止することができる。
つぎに、エンジン制御部704について説明する。
エンジン制御部704は、電池セルCnの異常検知時には、エンジン25の始動時の目標回転数を通常時(異常の非検知時)よりも少なくする。
上述のように、エンジン25の始動時にはジェネレータ31が力行方向に運転しスタータとして機能するが、通常時にはエンジン25の始動後にジェネレータ31を発電方向に運転させて、エンジン始動時の吹け上がりを抑えている。
一方、異常時にはジェネレータ31の発電方向への運転はバッテリ50の充電につながる可能性があるため回避する必要がある。よって、エンジン25の目標回転数を低く設定して、ジェネレータ31による抑え込みがなくてもエンジン始動時に過度なエンジン回転数の上昇が生じないようにしている。
一方、異常時には目標回転数が少なく設定するため、エンジン回転数の増加量は通常時ほど大きくなく、ジェネレータ31も発電方向に運転することなく運転を停止する。
図6において、縦軸はエンジン25の回転数、横軸は時間である。
通常時におけるエンジン始動時の目標回転数をNNL、異常時におけるエンジン始動時の目標回転数をNFL(<NNL)とする。時刻Tβ3には停止していたエンジン25が、ジェネレータ31の力行運転により時刻Tβ4までにはそれぞれの目標回転数NNLまたはNFLとなる。時刻Tβ4にエンジン25が点火されると、通常時には急激にエンジン回転数が増加するが、異常時には元々の回転数が少ないためエンジン回転数の増加度合いは緩やかである。なお、点火後の目標回転数は通常時と同様(例えばNNL)とすればよい。
また、ジェネレータ31の発電電力量をモータ23の消費電力以下とするので、バッテリ50が充電されることがなく、整流素子Dnを保護してバッテリ50の劣化を防止する上で有利となる。
また、電池セルCnの異常検知時に電動車10の減速指示があった場合には、モータ23の出力トルクより先にジェネレータ31の発電電力量が低減するようにしたので、モータ23の消費電力が低減する減速時に発電電力量が消費電力量を上回ってバッテリ50が充電されるのを防止する上で有利となる。
また、電池セルCnの異常検知時には、エンジン25の始動時の目標回転数を通常時よりも少なくするので、ジェネレータ31の発電運転を行うことなくエンジン始動時の吹け上がりを防止することができ、ジェネレータ31の発電によりバッテリ50が充電されるのを防止する上で有利となる。
実施の形態1では、電池セルCnの異常時にはモータ23の回生発電が一切禁止されていた。実施の形態2では、電池セルCnの異常時にも所定の条件下であればモータ23の回生発電を可能とする。
所定の条件とは、例えば電動車10の走行速度が所定速度以下の場合である。一般に、高速走行時には車両に対する走行抵抗が大きく、アクセルペダル71の踏み戻し時などに減速が生じやすい。一方、高速走行時以外には車両に対する走行抵抗があまり大きくなく、減速が生じにくい。このため、電池セルCnの異常によりモータ23の回生発電が禁止されると、異常がない時との運転フィーリングの差が大きくなる。
そこで、電動車10の走行速度が所定速度以下の場合には、電池セルCnの異常検知時にもモータ23における回生発電を許可し、異常がない時に近い運転フィーリングを実現する。
本実施の形態では、回生発電で生じた電力をジェネレータ31に供給し、ジェネレータ31でエンジン25を回転させる、すなわちジェネレータ31を電動機として用いることによって消費する。
なお、実施の形態2においても、電動車10の構成は実施の形態1と同様であるので、詳細な説明を省略する。
図7Aはモータ23およびジェネレータ31のトルクを示しており、太実線はモータトルクを、点線はジェネレータトルクをそれぞれ示している。
図7Bはエンジン25の回転数を示している。
時刻Tγ1に電動車10の減速指示があると、ジェネレータ31は発電トルクを低減させ、時刻Tγ2には発電トルクが0となる。ジェネレータ31を駆動するエンジン25の回転数も時刻Tγ1以降、徐々に低下する。また、モータ23も時刻Tγ1からモータトルク(力行トルク)を低減させ、時刻Tγ3には力行トルクが0となる。
時刻Tγ2に発電トルクが0となった後、ジェネレータ31はインバータ24から電力供給を受けて力行運転を行い、エンジン25を回転させる。これにより、ジェネレータ31による電力消費が行われる。
また、ジェネレータ31が力行運転を開始した後の時刻Tγ3には、モータ23が回生発電を開始する。モータ23の回生発電で生じた電力は、ジェネレータ31に供給される。
すなわち、時刻Tγ2直後にインバータ24からジェネレータ31に供給される電力は、バッテリ50の蓄積電力であるが、時刻T3以降にインバータ24からジェネレータ31に供給される電力は、モータ23の回生発電によって発電した電力である。
エンジン25の回転数は、後述するようにジェネレータ31の目標消費電力量によって変動する。
なお、ジェネレータ制御部703は、ジェネレータ31によるエンジン25の駆動が、モータ23の回生発電よりも先に開始するようジェネレータ31を制御する。これは、モータ23の回生発電がジェネレータ31によるエンジン25の駆動より先に開始すると、回生発電により発電した電力を消費することができず、バッテリ50が充電される可能性があるためである。
電池セルCnの異常が検知されると(ステップS800:Yes)、ジェネレータ制御部703は、モータ制御部705からモータ23の目標出力トルク(目標モータトルク)Tmを取得して、目標モータトルクTmが0未満か、すなわちモータ23が回生発電する可能性があるか否かを判断する(ステップS802)。
目標モータトルクTmが0未満でない場合(ステップS802:No)、すなわち力行側のトルクである場合には、そのままステップS800に戻り、以降の処理をくり返す。
電動車10の走行速度が所定速度を超えている場合には(ステップS804:No)、モータ23の回生発電は許可しないため、そのままステップS800に戻り、以降の処理をくり返す。
目標ジェネレータ消費電力量Pcgは、下記式(5)により算出する。
Pcg = Prm−Pv+Pcmrg・・・(5)
上記式(5)において、Prmはモータ23の回生発電により発生する電力量(回生電力量)、Pvは空調装置75などの補機類の消費電力量、Pcmrgは電池セル異常時の消費電力補正値である。
回生電力量Prmは、ジェネレータ31の実消費電力に合わせて設定される。すなわち、ジェネレータ31の始動時には回生電力量Prmは0に設定され、以降はジェネレータ31の実消費電力の値が回生電力量Prmとして設定される。
消費電力補正値Pcmrgは、ジェネレータ31の消費電力量Pcgが回生電力量Prmを下回らないようにするためのマージンである。すなわち、目標ジェネレータ消費電力量Pcmは、回生電力量Prmから補機類の消費電力量Pvを差し引いた値よりも常に大きくなるように設定されている(Pcmrg>Prm−Pv)。これにより、回生発電で生じる電力がジェネレータ31の消費電力以下となるようジェネレータ31を制御することができる。
そして、ジェネレータ制御部703は、ジェネレータ31に電力を供給して力行運転させる(ステップS810)。このとき、ステップS808で算出した目標回転数でエンジン25を回転させるようにジェネレータ31を駆動する。
なお、ジェネレータ31の力行運転開始時には、バッテリ50の蓄積電力を用いてジェネレータ31を駆動するが、その後モータ23の回生発電が開始した後はモータ23の回生発電により発電した電力を用いてジェネレータ31を駆動する。
モータ制御部705は、上記式(4)に従ってモータ23の出力トルク(モータトルク)Tmを算出する(ステップS900)。
目標モータトルクTmが0以上(Tm≧0)の場合は(ステップS901:No)、回生発電ではなく力行運転となるので、ステップS904に移行し、実際にモータ23で出力するトルク(実モータトルクTrm)をTmに設定して(ステップS904)、決定した実モータトルクTrmでモータ23を駆動(力行運転)する(ステップS914)。
力行運転を行っていない場合は(ステップS906:No)、モータ23の回生発電による発電電力の消費先がなく、回生発電は禁止されるので、実モータトルクTrmを0に設定して(ステップS912)、決定した実モータトルクTrmでモータ23を駆動、この場合は運転停止する(ステップS914)。
Tlim = (Pcg’+Pv)÷Nm×Kt
上記式(6)において、Pcg’は実際のジェネレータ消費電力量、Pvは空調装置75などの補機類の消費電力量、Nmはモータ23の回転数、Ktはトルクへの変換係数である。
制限トルクTlimは、ジェネレータ31での消費電力量に合わせた回生トルク値であり、その値は負である。
なお、制限トルクTlimおよび目標モータトルクTmはそれぞれ負であるため、数値が大きい方とは、絶対値が小さく0に近い値をとる方のトルクである。
すなわち、制限トルクTlimは回生トルク値の限界値に対応し、目標モータトルクTmが制限トルクTlimよりも大きい(絶対値が小さい)場合は目標モータトルクTmをそのまま実モータトルクTrmとし、目標モータトルクTmが制限トルクTlimよりも小さい(絶対値が大きい)場合は制限トルクTlimを実モータトルクTrmとする。
これにより、モータ23の回生発電により発生する電力を、ジェネレータ31で確実に消費することができる。
また、電動車10の走行速度が所定速度以下の場合には、モータ23の回生発電を許可するので、高速走行時と比較して車両の走行抵抗が小さくなったタイミングで回生発電による制動力を得ることができ、電動車10の運転フィーリングを通常時に近づける上で有利となる。
また、回生発電で生じた電力を用いてジェネレータ31を駆動するので、バッテリ50を充電することなくモータ23を回生発電させる上で有利となる。
また、回生発電で生じる回生トルクが所定トルク以下の場合、すなわち回生発電による減速度が小さい場合には回生発電を許可しないので、回生発電の実効性を向上させる上で有利となる。
また、ジェネレータ31によるエンジン25の駆動を、モータ23の回生発電よりも先に開始させるので、回生発電により生じる電力をより確実にジェネレータ31で消費することができ、バッテリ50の保護を図る上で有利となる。
また、回生発電で生じる電力がジェネレータ31の消費電力以下となるようにするので、回生発電により生じる電力をより確実にジェネレータ31で消費することができ、バッテリ50の保護を図る上で有利となる。
Claims (4)
- バッテリに蓄積された蓄積電力を用いてモータを駆動して走行する電動車の制御装置であって、
前記電動車は、エンジンと、前記エンジンにより駆動されて発電するジェネレータと、前記ジェネレータの駆動を制御するジェネレータ制御部と、前記電動車の走行速度を検知する車速検知部とを備え、
前記バッテリは、直列接続された複数の電池セルと、それぞれの前記電池セルに対して並列に接続され前記電池セルの異常時に当該電池セルを迂回して電流が流れる複数の整流素子と、を有し、
前記電池セルの異常を検知する異常検知部と、
前記モータの出力トルクを制御するモータ制御部と、を備え、
前記モータ制御部は、前記電池セルの異常が検知された場合、前記モータにおける回生発電を禁止するとともに、前記走行速度が所定速度以下の場合には、前記電池セルの異常検知時にも前記回生発電を許可し、
前記ジェネレータ制御部は、前記回生発電で生じた電力を用いて前記エンジンを駆動させるよう前記ジェネレータを電動機として駆動する、
ことを特徴とする電動車の制御装置。 - 前記モータ制御部は、前記回生発電で生じる回生トルクが所定トルク以下の場合には、前記回生発電を許可しない、
ことを特徴とする請求項1記載の電動車の制御装置。 - 前記ジェネレータ制御部は、前記ジェネレータによる前記エンジンの駆動が、前記回生発電よりも先に開始するよう前記ジェネレータを制御する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の電動車の制御装置。 - 前記モータ制御部は、前記回生発電で生じる電力が前記ジェネレータの消費電力以下となるよう前記モータを制御する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の電動車の制御装置。
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