JP6629650B2 - 免震構造に発生する加速度のピークを低減する方法及び免震構造 - Google Patents

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Description

本発明は、すべり支承装置と、当該すべり支承装置を有する免震構造に関する。
免震技術は、地震時の建物の揺れを低減して、安全で安心な居住空間を提供する。免震構造には、その構成要素としてすべり支承が用いられる。
すべり支承として、例えば、特許文献1に開示されたような、積層ゴムとすべり支承とを組み合わせたいわゆる弾性すべり支承とよばれる装置が知られている。このすべり支承装置は、下部構造体と上部構造体との間に配置されるすべり支承機構を有している。すべり支承機構は、リング状の積層ゴム板と積層ゴム板の穴に配置された鉛製の円板とが組み合わされた弾塑性体を有する。そして、この弾塑性体は、鋼板を介してフッ素樹脂層と一体化され、下部構造体に設けられた樹脂コーティング層に対して滑る。このすべり支承機構によれば、下部構造体に対する上部構造体の水平方向への相対変位を許容すると共に、上部構造体の荷重を下部構造体に伝達して支持することができる。すなわち、中規模又は小規模の地震では積層ゴムの変形による免震効果が発揮される。さらに、大規模な地震ではフッ素樹脂層と樹脂コーティング層の間におけるすべりによる免震効果が発揮される。
特開2009−2461号公報
すべり支承装置においてすべりが発生したとき、すべり支承装置は、入力される地震の加速度方向に対応して往復移動する。このすべり支承装置の往復移動にあっては、すべり支承装置の移動方向が反転するときに免震構造に加速度のピークを生じることがある。近年、免震構造の高性能化が進み、地震時において免震構造に発生する加速度の大きさは低減する傾向にある。従って、地震時において免震構造に発生する加速度に対して、この移動方向の反転に伴う加速度の影響が無視できなくなる場合があり得る。
そこで、本発明は、地震時において免震構造に発生する加速度のピークを低減可能なすべり支承装置を提供することを目的とする。
本発明の一形態は、上部構造と下部構造との間に設けられる免震構造に適用されるすべり支承装置であって、下部構造上に載置され、上部構造に発生した水平力が下部構造との間の摩擦力を上回ったとき、下部構造に対して水平方向に移動する支承部と、支承部と上部構造との間に配置され、支承部の主面に固定される下面と、上部構造に固定される主面とを有すると共に、支承部に対する上部構造の水平方向における相対変位量に対応する水平方向の復元力を生じさせる弾性部と、を備え、弾性部の下面及び弾性部の主面の面積は、支承部における主面の面積より小さい、すべり支承装置。
このすべり支承装置では、上部構造に作用する水平力が支承部と下部構造との間における摩擦力を上回ったとき、下部構造に対して支承部がすべる。次に、すべりが生じている間に上部構造の水平力が減少し、摩擦力を下回ると下部構造に対する支承部のすべりが止まる。一方、上部構造は慣性力によってさらに移動し続けようとするが、この移動は弾性部の復元力によって妨げられると共に、上部構造の移動方向が当初の移動方向とは逆向きに反転する。移動方向が反転した後に反対向きに滑り出す直前に加速度のピークが生じる。このすべり支承装置にあっては、弾性部の弾性係数が通常よりも小さいので、反転により生じる加速度のピークが低減される。従って、すべり支承装置によれば、地震時において免震構造に発生する加速度のピークを低減することができる。
弾性部の下面及び弾性部の主面の面積は、支承部における主面の面積の20%以上であってもよい。この構成によれば、上部構造の移動方向が反転するときに生じる加速度のピークをより好適に低減することができる。
弾性部は、輪状をなす復元力発生部と、復元力発生部に囲まれた復元力非発生部と、を有していてもよい。この構造によれば、支承部のすべり時に生じるモーメントの作用を抑制し、支承部と下部構造との間における面圧の偏在を小さくすることができる。
弾性部は、復元力非発生部に配置され、支承部と上部構造とに固定された支持部をさらに有していてもよい。この構造によれば、すべり支承装置の鉛直方向に沿った軸力を支持部によって好適に支持することができる。
弾性部は、復元力非発生部に形成された減衰部をさらに有していてもよい。この構造によれば、ばね要素である弾性部に対して並列に接続された減衰要素を容易に設けることができる。
弾性部は、少なくとも4枚の板状シートを有し、板状シートは、支承部の鉛直方向における中心軸線のまわりに等間隔に配置されていてもよい。この構造によれば、支承部のすべり時に生じるモーメントの作用を抑制し、支承部と下部構造との間における面圧の偏在を小さくすることができる。
本発明の別の形態は、上部構造と下部構造との間に設けられる免震構造であって、上部構造と下部構造との間に設けられたすべり支承装置を備え、すべり支承装置は、下部構造上に載置され、上部構造に発生した水平力が下部構造との間の摩擦力を上回ったとき、下部構造に対して水平方向に移動する支承部と、支承部と上部構造との間に配置され、支承部の主面に固定される下面と、上部構造に固定される主面とを有すると共に、支承部に対する上部構造の水平方向における相対変位量に対応する水平方向の復元力を生じさせる弾性部と、を備え、弾性部の下面及び弾性部の主面の面積は、支承部における主面の面積より小さい。この免震構造によれば、上述したすべり支承装置を備えているので、上部構造の移動方向が反転するときに生じる加速度のピークをより好適に低減することができる。従って、免震構造の性能を向上させることができる。
本発明によれば、地震時において免震構造に発生する加速度のピークを低減することができる。
図1は、本実施形態に係るすべり支承装置を備えた免震構造が適用された建物を示す図である。 図2は、本実施形態に係るすべり支承装置を示す図である。 図3は、すべり支承装置の動作を示す図である。 図4は、すべり支承装置の動作を示す図である。 図5は、比較例に係るすべり支承装置の作用を示す図である。 図6は、実施例に係るすべり支承装置の設定方法の一例を示すグラフである。 図7は、実施例に係るすべり支承装置の効果を示すグラフである。 図8は、実施例に係るすべり支承装置の効果を示すグラフである。 図9は、変形例に係るすべり支承装置を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1に示されるように、建物100は、免震構造1と上部構造2と下部構造3とを有する。免震構造1は、上部構造2と下部構造3との間に配置されている。免震構造1は、下部構造3から上部構造2へ伝達される地震波の振幅や加速度を低減する。例えば、この免震構造1は、大地震時における免震構造1上の加速度応答値が50Gal程度になるように設計される。免震構造1は、地震用弾性バネ4(弾性装置)と、オイルダンパ6と、すべり支承装置7とを有する。
上部構造2と下部構造3とに連結された地震用弾性バネ4は、免震構造1の周期(T2)を設定する。周期(T2=2π√(m/k2)は、地震用弾性バネ4の弾性係数(k2)と上部構造2の質量(m)とにより決定される。この地震用弾性バネ4は、免震構造1の周期が長周期化するように設定される。例えば、地震用弾性バネ4の弾性係数(k2)は、15階建て高さ60m、各階床面積1000mの建物で6t/cm程度である。オイルダンパ6は、免震構造1における加速度を低減させる。
地震用弾性バネ4に対して並列になるように上部構造2と下部構造3とに連結されたすべり支承装置7は、次の機能を有する。第1の機能として、すべり支承装置7は、比較的小さい振動が下部構造3に入力されたとき、弾性要素として機能する。具体的には、すべり支承装置7は、下部構造3に対して上部構造2が相対的に水平方向へ移動したとき、移動方向とは逆向きの復元力を生じさせる。この場合には、すべり支承装置7は、地震用弾性バネ4に対して並列に接続された弾性要素として取り扱われる。第2の機能として、すべり支承装置7は、比較的大きい振動が下部構造に入力されたとき、すべり要素として機能する。具体的には、すべり支承装置7は、下部構造3に対して上部構造2が相対的に水平方向へ移動した場合であって、上部構造2に作用する加速度と上部構造2の質量とにより決定される水平方向への加振力がすべり支承装置7の摩擦力を上回った場合に、水平方向へすべる。
図2に示されるように、すべり支承装置7は、滑り部8と、支承部9と、中空弾性ゴム11とを有する。
滑り部8は、支承部9と協働してすべり支承装置7のすべり機能を実現する。滑り部8は、下部構造3の主面3aに設けられた円板状部材である。滑り部8を構成する部材は、摩擦係数が小さい材料により形成される。例えば、滑り部8は、フッ素樹脂を利用することができる。例えば、滑り部8と支承部9との間の摩擦係数は、0.5%〜1.0%程度とされる。
支承部9は、滑り部8と協働してすべり支承装置7のすべり機能を実現すると共に、上部構造2の鉛直方向に沿った重量を支持する。支承部9は、すべり支承装置7の基体をなす金属製の柱状部材である。滑り部8と対面する支承部9の下面9bは、滑り部8に対して摩擦係数が小さい。例えば、支承部9の下面9bは、金属製の本体の下面に設けられた樹脂板12であってもよい。
中空弾性ゴム11は、水平方向の復元力を生じさせる。この復元力は、支承部9に対する上部構造2の水平方向における相対変位量に対応する。中空弾性ゴム11は、支承部9の主面9aと上部構造2の下面2aとの間に配置される。中空弾性ゴム11は、復元力発生部13と、復元力非発生部14と、を有する。復元力発生部13は、輪状を有する部材である。復元力発生部13の高さは、支承部9の高さよりも小さくコンパクトにすることが可能である。すなわち、中空弾性ゴム11はいわゆる積層ゴムではない。また、復元力発生部13は、上部構造2の移動方向が反転するときの変形量に追従するだけのため、大変形を許容する必要がなく、積層ゴムとする必要がない。
復元力発生部13は、支承部9の主面9aに固定される下面13bと、上部構造2に固定される主面13aとを有する。従って、下部構造3に対して上部構造2が水平方向に移動すると、復元力発生部13の下面13bに対して主面13aが水平方向に移動して、復元力発生部13に水平方向のせん断変形が生じる。このせん断変形により、復元力が生じる。復元力発生部13には貫通孔が形成されており、この貫通孔が復元力非発生部14に対応する。すなわち、復元力非発生部14は、支承部9の主面9aと上部構造2との間に形成された空間である。従って、復元力非発生部14は、復元力を発生させない。なお、必要に応じて復元力非発生部14には、粘性材を封入して減衰効果を持たせた減衰部を形成してもよい。
復元力発生部13の外径は、支承部9の外径と略同じである。そして、復元力非発生部14の内径は、一定である。そうすると、復元力発生部13の主面13a及び下面13bの面積は、復元力非発生部14の分だけ支承部9の主面9aの面積より小さい。具体的には、復元力発生部13の主面13a及び下面13bの面積は、支承部9の主面9aの面積未満であり、且つ、支承部9における主面9aの面積の20%以上である。また、望ましくは、復元力発生部13の主面13a及び下面13bの面積は、支承部9における主面9aの面積の70%以下且つ20%以上である。また、さらに望ましくは、復元力発生部13の主面13a及び下面13bの面積は、支承部9における主面9aの面積の40%以下且つ20%以上である。
次に、すべり支承装置7の動作と作用効果について説明する。図3の(a)部に示されるように、地震による振動が印加されていないときは、上部構造2と下部構造3との間では水平方向の相対移動が生じない。従って、すべり支承装置7の支承部9が滑り部8に対してすべることもなく、中空弾性ゴム11にせん断変形が生じることもない。この状態では、すべり支承装置7は、支承部9により上部構造2の重量が支持される。
図4の(a)部に示されるように、比較的大きい地震による振動が印加された場合、上部構造2に作用する水平力F1が支承部9と滑り部8との間における摩擦力F2を上回って滑り部8に対して支承部9がすべる。次に、すべりが生じている間に上部構造2の水平力F1が減少し、摩擦力F2を下回ると滑り部8に対する支承部9のすべりが止まる。一方、図4の(b)部に示されるように、上部構造2は慣性力F3によってさらに移動し続けようとするが、この移動は中空弾性ゴム11の復元力F4によって妨げられる。図4の(c)部に示されるように、復元力F4によって、上部構造2の移動方向が当初の移動方向とは逆向きに反転する。移動方向が反転した後の過渡状態において、加速度のピークが生じる。
ここで、比較例に係る一般的なすべり支承装置を備える免震構造では、すべり支承と積層ゴムが平面的に併用される。そうすると、すべり支承に直列に設置された弾性ゴムの影響が緩和されると共に、大地震時における免震構造上の加速度応答値が200Gal程度になることが想定される。免震構造上の加速度応答値が200Gal程度である場合、移動方向が反転したときの加速度ピークが顕在化しにくい。しかし実際には、すべり支承が備える弾性ゴムが硬い(弾性係数が大きい)場合には、すべりが生じていない時間帯で構造体の振動数が急激に上がった強制振動となり、移動方向が反転したときの加速度ピークが大きくなる傾向にある。
一方、本実施形態に係る免震構造1では、免震構造1上の加速度応答値が50Gal程度になるように設定される。そうすると、移動方向が反転したときの加速度ピークが顕在化しやすい。そして、このすべり支承装置7にあっては、中空弾性ゴム11の第1の弾性係数(k1)が、地震用弾性バネ4の第2の弾性係数(k2)の15倍程度に抑えられる(通常は100倍程度)ため移動方向の反転により生じる加速度のピークが低減される。
ここで、図5に示された比較例に係るすべり支承装置201は、複数の弾性ゴムが積層された積層ゴム部202と支承部203を有する。積層ゴム部202の厚みが大きくなると、上部構造2が振動したとき水平方向を回転軸線とする揺れ運動(矢印N1参照)が生じやすくなるので、回転安定性が低下する傾向にある。この揺れ運動によれば、支承部9が滑り部8を押圧する面圧N2に偏りが生じる。高性能免震構造では繰り返し摺動回数が多くなる傾向にあるので、滑り部8と支承部9との摩擦状態に偏りを生じさせる面圧の偏在は抑制することが望まれる。
本実施形態に係るすべり支承装置7では、中空弾性ゴム11は、単層であり、且つ、薄いゴムシートにより形成されているので、厚みが小さい。従って、水平方向を回転軸線とする回転安定性の低下を抑制し、支承部9と滑り部8との間の面圧分布の偏在を抑制できる。
<実施例1>
すべり支承装置7は、中空弾性ゴム11の面積を支承部9の面積よりも小さくすることにより弾性係数を低下させている。そこで、中空弾性ゴム11の面積を設定する方法の一例について説明する。図6は、免震構造1上の応答加速度との関係(グラフG1a)、加速度ピークの低減の度合い(グラフG1b)、免震構造1上の変形量(グラフG1c)、面積比(グラフG1d)を示す。具体的には、横軸は、面積比である。面積比(A)は、式(1)により示される。また、低減率(F)は、式(2)により示される。
A=S/SA…(1)
A:面積比
S:復元力発生部の主面(又は下面)の面積
SA:支承部の主面の面積
F=(E1−E2)/E1…(2)
F:低減率
E1:復元力発生部13の主面(又は下面)の面積が支承部9の主面の面積と等しいときの加速度
E2:復元力発生部13の主面(又は下面)の面積が所定値であるときの加速度
応答加速度(グラフG1a)と面積比(グラフG1d)とを参照すると、面積比の低下(すなわち弾性係数が低下)に伴って、応答加速度は低下することがわかった。また、応低減率(グラフG1b)と面積比(グラフG1d)とを参照すると、面積比が20%以下になると低減率低下の度合いが緩やかになることがわかった。また、免震構造1における水平方向の変形量(グラフG1c)と面積比(グラフG1d)とを参照すると、水平方向の変形量には略変化がないことがわかった。
一方、中空弾性ゴム11に用いられるゴムの耐力は、150N/mmまで検証されている。これは、復元力発生部13の主面13a(又は下面13b)の面積が支承部9の主面9aの面積と等しく、且つ、面圧が20N/mmであるとした条件下において、中空弾性ゴム11の面積を14%程度まで低下させても耐力に達しないことを示している。従って、復元力発生部13の主面13a(又は下面13b)の面積(すなわち、ゴム水平剛性)を20%に設定することにより、通常の免震ゴム耐力によりすべり支承装置7としての機能を発揮しつつ、加速度ピークの低減効果を得ることができることがわかった。
<実施例2>
実施例2では、中空弾性ゴム11の弾性係数と、免震構造1上の応答加速度との関係を計算により確認した。中空弾性ゴム11の弾性係数は、復元力発生部13の主面13a(又は下面13b)の面積が支承部9の主面9aの面積と等しい場合の弾性係数を100%とした場合を参考例とし、この参考例に対して弾性係数が75%、50%、30%、20%、10%の5個の条件を設定した。図7の(a)部〜(c)部及び図8の(a)部〜(c)部は、計算の結果を示す図である。それぞれの図において、横軸は時間(秒)を示し、縦軸は加速度(Gal)を示す。また、それぞれの図において、グラフG2は摩擦力(トン)の時刻歴を示し、グラフG3は免震構造1上の応答加速度(Gal)を示し、グラフG4は頂部の応答加速度(Gal)を示す。
図7の(a)部は、弾性係数が100%であるときの計算結果であり、図7の(b)部は、弾性係数が75%であるときの計算結果であり、図7の(c)部は、弾性係数が50%であるときの計算結果である。図8の(a)部は、弾性係数が30%であるときの計算結果であり、図8の(b)部は、弾性係数が20%であるときの計算結果であり、図8の(c)部は、弾性係数が10%であるときの計算結果である。
摩擦力(グラフG2)に注目する。グラフG2において摩擦力が一定である期間は、すべり支承装置7においてすべりが生じている期間である。一方、グラフG2において摩擦力が変化している期間は、すべり支承装置7において上部構造2の移動方向の反転が生じる期間である。例えば、図7の(a)部における期間G2aに注目すると、上部構造2の移動方向の反転によって免震構造1上の応答加速度に(グラフG3)にピークが生じていることがわかる。
弾性係数と、対応する免震構造1上の応答加速度のピークと、免震構造1の変位との関係を表1に示す。表1を参照すると、例えば、弾性係数を20%としたとき、免震構造1上の応答加速度のピーク値は、弾性係数を100%としたときの6割程度に低減できることがわかった。
Figure 0006629650
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
<変形例1>
図9の(a)部に示されるように、すべり支承装置7Aは、復元力非発生部14に配置された軸力支持用弾性ゴム16(支持部)を備えていてもよい。軸力支持用弾性ゴム16は、円柱状を呈し、その中心軸線A1が支承部9の中心軸線A2と一致するように配置される。この軸力支持用弾性ゴム16を備えるすべり支承装置7Aによれば、中空弾性ゴム11によって曲げモーメントが負担され、軸力支持用弾性ゴム16によって軸力が負担される。従って、大きな軸力が作用する場合であっても、軸力支持用弾性ゴム16によって軸力が負担されるので、中空弾性ゴム11における加速度のピークを低減する効果を好適に奏することができる。
<変形例2>
図9の(b)部に示されるように、すべり支承装置7Bは4枚の円形弾性ゴム17(板状シート)を有する弾性部13Aであってもよい。円形弾性ゴム17は、支承部9の主面9aにおいて四隅に配置される。換言すると、円形弾性ゴム17は、支承部9の鉛直方向における中心軸線A2のまわりに等間隔に配置される。この円形弾性ゴム17は、ゴムシートに対する1回の打ち抜き加工で容易に製造することができる。また、円形弾性ゴム17における水平変形の安定性を左右する形状係数(S1=(D−d)/4t:D:外径、d:内径、t:厚さ)を大きくすることができる。さらに、円形弾性ゴム17を有する弾性部13Aによれば、高軸力に対する安定性を向上させることができる。
1…免震構造、2…上部構造、3…下部構造、4…地震用弾性バネ(弾性装置)、6…オイルダンパ、7…すべり支承装置、8…滑り部、9…支承部、11…中空弾性ゴム(弾性部)、13…復元力発生部、14…復元力非発生部。

Claims (2)

  1. 上部構造と下部構造との間に設けられる免震構造に適用されるすべり支承装置を用いた、前記免震構造に発生する加速度のピークを低減する方法であって、
    前記下部構造上に載置される前記すべり支承装置が備える支承部であって、前記上部構造に発生した水平力が前記下部構造と前記支承部との間の摩擦力を上回ったとき前記下部構造に対して水平方向に前記支承部を含む前記すべり支承装置が前記上部構造と共に移動する過程と
    前記水平力が前記下部構造と前記支承部との間の摩擦力を上回った状態から、前記水平力が前記下部構造と前記支承部との間の摩擦力を下回った状態に移行したときに、前記下部構造に対する前記支承部の水平方向への移動が停止する過程と、
    前記下部構造に対する前記支承部の水平方向への移動が停止する過程の後に、前記支承部と前記上部構造との間に配置され、前記支承部の主面に固定される下面と、前記上部構造に固定される主面とを有すると共に、前記支承部に対する前記上部構造の水平方向における相対変位量に対応する水平方向の復元力を生じさせる弾性部が、前記上部構造に作用する慣性力に応じた前記上部構造の移動を妨げる過程と、
    前記上部構造に作用する慣性力に応じた前記上部構造の移動を妨げる過程の後に、前記弾性部の復元力によって前記上部構造の移動方向が逆向きに反転する過程と、を有する、前記免震構造に発生する加速度のピークを低減する方法。
  2. 上部構造と下部構造との間に設けられる免震構造であって、
    前記上部構造と前記下部構造との間に設けられたすべり支承装置と、
    前記上部構造と前記下部構造との間において、前記すべり支承装置に対して並置された弾性装置と、を備え、
    前記すべり支承装置は、
    前記下部構造上に載置され、前記上部構造に発生した水平力が前記下部構造との間の摩擦力を上回ったとき、前記下部構造に対して水平方向に移動する支承部と、
    前記支承部と前記上部構造との間に配置され、前記支承部の主面に固定される下面と、前記上部構造に固定される主面とを有すると共に、前記支承部に対する前記上部構造の水平方向における相対変位量に対応する水平方向の復元力を生じさせる弾性部と、を備え、
    前記弾性部の下面及び前記弾性部の主面の面積は、前記支承部における主面の面積より小さく、
    前記すべり支承装置における前記弾性部の弾性係数は、前記弾性装置の弾性係数の15倍である、免震構造。
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