JP6628340B2 - コイル及びそれを用いた磁気刺激装置 - Google Patents

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Description

本発明は、コイル及びそれを用いた磁気刺激装置に関するものである。
経頭蓋磁気刺激法(TMS: Transcranial Magnetic Stimulation)は、電磁誘導によって脳内に電流を生じさせ、ニューロンを刺激する手法である。この手法によれば、図1〜図3に示すように、頭部の皮膚上に置いた刺激コイルに交流または所定の電流波形を印加することで変動磁場を形成するとともにその変動磁場の影響を受けて脳内にコイル電流とは逆向きの渦電流を誘導し、その渦電流でニューロンを刺激することによって活動電位を発生させる。このような経頭蓋磁気刺激法は、神経伝導速度の計測を始めとした臨床検査や脳機能研究に用いられている。
近年においては、神経障害性疼痛やパーキンソン病、うつ病などの治療的応用として磁気刺激が注目されている。このような病気においては薬剤による治療では効果が見られないケースがあり、例えば難治性の神経障害性疼痛に対しては、電極を脳に埋め込むことで脳に電気刺激を与えるという治療法がある。しかし、この治療法は、開頭手術を必要とすることから、希望しない患者が多い。
そこで、手術を要さない非侵襲的な磁気刺激を反復して行う反復経頭蓋磁気刺激が治療法として研究されている。難治性神経障害性疼痛に対する治療では、大脳の一次運動野に磁気刺激を行った後1日間ほど除痛効果をえられたことが報告されている。
しかし、従来の磁気刺激装置は約70Kgの重量があり、また設置に際しては200V電源から電力供給を行えるようにするための電気工事が必要となるため、設備の整った医療機関でのみ利用可能となっている。また、実際の治療時には治療対象の疾患によっては患者のMRIデータを参照しながら刺激位置を決定する必要があるため、その場合熟練した医療従事者による治療が必要である。難治性神経障害性疼痛の治療では、標的となる一次運動野の上に、1mmの単位でコイルの位置決めを行う必要がある。
経頭蓋磁気刺激療法では、現在、磁気刺激法の刺激コイルとして、円形コイル、8字コイル(「8」という形状をおおよそ描くように周回されたコイル)をはじめ、4葉コイル、Hesedコイル、小さな円形コイルを頭部表面に多数配置したコイルなど様々な形状が提案されており、現在は円形コイルと8字コイルが主に利用されている。
8字コイル(下記特許文献1及び2参照)は、1本の導線によりシリーズに形成された2つの円形コイルを部分的に重ねて配置したもので、それらの円形コイルに逆向きに電流を流すことで、コイル交差部直下に渦電流を集中させて局所への刺激が可能である。
一方、治療の対象や、患者個人の症状によっては、局所的な刺激とは逆に、より広い範囲で刺激することが有効な場合がある。
また、局所に刺激が集中するコイルでは、対象の部位へ正確に位置を決めることが求められ、この場合、ナビゲーションシステム等による正確な位置決めを実施する必要があった。
在宅治療に用いる磁気刺激の開発を行ううえで、非医療従事者の手により刺激位置を決定するためのナビゲーションシステムの開発も進められている。このシステムによれば、患者はまず病院において磁気センサの付いたメガネを装着し、メガネを毎回同じ位置に装着するために永久磁石を用いてキャリブレーションを行う。次に、患者のMRI画像と光学式トラッキング座標系を合成する手法により医師が最適刺激位置を特定し、最適刺激位置およびその周囲5cmの範囲内のランダムな位置のデータを記録する。周囲の位置データを記録することにより、患者がコイル位置を決定する際にコイルが現在どこにあるのかを視覚的に知ることが可能となる。
在宅治療時はまずメガネのキャリブレーションを行う。その後、刺激コイルに装着された永久磁石の位置をデータと比較することで3次元位置を測定する。コイルの現在位置および最適刺激位置を視覚的に確認することにより、直観的にコイルの位置決めを行うことができる。
実験によれば、このナビゲーションシステムにおける誘導誤差は、最適刺激位置から最大で例えば5mmであり、一方、先に説明した8字コイルは、この5mm以内に照射部位(最適刺激位置)がある場合に治療上有効に目的の部位を刺激することが可能である。このため、ナビゲーションシステムを用いて誘導された刺激位置において、8字コイルで磁気刺激を行う治療装置を用いると、照射すべき部位(最適刺激位置)が治療コイルの刺激有効範囲に入らない可能性があるので、正確に治療部分に刺激を行うことが難しい。そこで例えば10mm以内に照射すべき部位がある場合に治療上有効に目的の部位を刺激することができるような、より広い範囲に均等に渦電流を発生することが可能なコイルの開発が必要とされている。
そこで、本発明者らは、ロバスト性が高い(すなわち、より広い範囲に均等に渦電流を発生することができる)刺激コイルを実現するため、ドーム型のコイル装置(以下この明細書において「ドーム型コイル」と称することがある)を提案した(下記特許文献3参照)。このドーム型コイルは、8字コイルと比較してより広い範囲に渦電流を発生させることができ、しかも、広い範囲への渦電流の誘起を維持しながらインダクタンスを抑えることができるという好ましい特性を持つ。
ところで、下記特許文献3に示すドーム型コイルは、既存の8字コイルに比べ広い範囲に誘導電場を発生できる一方で、8字コイルと同じ電流量を印加した場合の電場強度が低い(同じ電流印加条件では約1/4になる)という問題点があった。
誘導電場が小さい場合は、それを補填するために、より多くの電流を印加しなければならないため、昇圧回路・キャパシタが大型化して装置コストや設置コストが増大する可能性があるだけでなく、コイル自体の加熱が早くなるのでそれへの対応手段も必要になるという問題がある。
そこで、本発明者らは、コイル形状や設計パラメータについて種々の検討を行い、その結果、ドーム型コイルと同様の広い誘導電場をとれるという特長を保持しつつ、同程度の印加電流でより強い誘導電場を発生できるような、かつ、インダクタンスが逸脱した値をとらないコイルを構成できる形状についての知見を得た。
特開2012-125546号公報 国際公開第2010/147064号公報 国際公開第2015/122506号公報(例えば図6)
本発明は、前記した知見に基づいてなされたものである。本発明の主な目的は、ドーム型コイルと同様の広い誘導電場をとることができ、かつ、ドーム型コイルと同程度の印加電流でより強い誘導電場を発生でき、しかも、インダクタンスを小さい値に抑えることができるコイルを提供することである。
前記した課題を解決する手段は、以下の項目のように記載できる。
(項目1)
対象物の表面近傍に配置されて、前記対象物の内部に誘導電場を発生させるためのコイルであって、
前記コイルは、第1〜第Nのターンを有しており、
前記第1〜第Nのターンは、それぞれ、一方向への電流を流すための作用部と、前記一方向とは逆向きの電流を流すための接続部とを備えており、
前記第1〜第Nのターンにおける前記作用部は、互いにほぼ平行に、かつ、前記対象物の表面又はそれに近似される面に沿って配置されており、
前記接続部は、前記第1〜第Nのターンにおける前記作用部を挟んで前記対象物の表面と対向せず、かつ、前記作用部の延長方向に対して側方となる空間内に配置されている
ことを特徴とするコイル、
ただしここでNは2以上の整数である。
(項目2)
前記第1〜第Nのターンのうちの第1〜第Pのターンにおける前記接続部は、第P+1〜第Nのターンにおける前記接続部とは、前記作用部を挟んで反対側の位置に配置されている
項目1に記載のコイル。
(項目3)
前記接続部は、略円弧状に形成されている
項目1又は2に記載のコイル。
(項目4)
前記作用部が配置される前記面は、断面が略円弧状に形成されているものである
項目1〜3のいずれか1項に記載のコイル。
(項目5)
第1〜第Nのターンにおける前記作用部は、等間隔で配置されている
項目1〜4のいずれか1項に記載のコイル。
(項目6)
前記対象物は生体である
項目1〜5のいずれか1項に記載のコイル。
(項目7)
前記対象物は動物の頭部であり、
前記誘導電場により、前記頭部における脳内に誘導電流を生じる構成となっている
項目1〜5のいずれか1項に記載のコイル。
(項目8)
さらにコア部材を備えており、
前記コア部材は、前記第1〜第Nのターンにより生成される磁気回路の磁気抵抗を軽減する構成となっており、
かつ、前記コア部材は、前記作用部を挟んで前記対象物とは反対側となる位置に配置されている
項目1〜7のいずれか1項に記載のコイル。
(項目9)
前記コア部材は、比透磁率の異なる複数の領域を有することを特徴とする項目8に記載のコイル。
(項目10)
前記コア部材は、前記作用部に対向する位置に配置される第1部分と、前記接続部に対向する位置に配置される第2部分とを備えており、
前記第1部分は、前記作用部の延長方向と非平行な方向に延長された複数の長尺状の第1コア体を備えており、
前記第2部分は、前記作用部の延長方向とほぼ平行となる方向に延長された複数の長尺状の第2コア体を備えている
項目8又は9に記載のコイル。
(項目11)
項目1〜10のいずれか1項に記載のコイルと、前記コイルに所定の電流を供給するための電源部とを備える磁気刺激装置。
(項目12)
対象物の表面近傍に配置されて、前記対象物の内部に誘導電場を発生させるためのコイルであって、
当該コイルが有する、入力端から出力端に至る一連の導線が、
(1)前記誘導電場発生に用いる複数の作用導線部、
(2)前記複数の作用導線部を相互に接続し、且つ、前記作用導線部が発生させた誘導電場に対する強度への影響が実質的に無視できる態様にて構成された接続導線部、
からなるように構成されたことを特徴とするコイル。
(項目13)
対象物の表面近傍に配置されて、前記対象物の内部に誘導電場を発生させるためのコイルと支持体とを備えた磁気刺激装置であって、
前記コイルは、第1〜第Nのターンを有しており、
前記第1〜第Nのターンは、それぞれ、一方向への電流を流すための作用部と、前記一方向とは逆向きの電流を流すための接続部とを備えており、
前記第1〜第Nのターンにおける前記作用部は、互いにほぼ平行に配置されており、
前記接続部は、前記作用部の延長方向に対して側方となる空間内に配置されており、
前記作用部は、前記支持体により支持されており、
前記支持体の下面は、略扁平状に形成されている
磁気刺激装置、
ただしここでNは2以上の整数である。
(項目14)
前記対象物の表面は、略球形状とされており、これによって、前記支持体の下面は、そのほぼ中央において、前記対象物の表面に接触する構成となっている
項目13に記載の磁気刺激装置。
本発明によれば、比較的に広い誘導電場をとるように作用部の面積を設計上広くしたとしても、印加電流に対する誘導電場の発生効率が高く、しかも、インダクタンスを小さい値に抑えることができるコイルを提供することが可能となる。
また本発明によれば、コイル表面から刺激点までの距離の変化に対する刺激点での磁束密度の変化率が所定の数値以下となるように構成したので、脳内の照射ターゲットを磁気刺激する治療に際して頭皮付近をも刺激することに起因する不快感を軽減することが可能となる。
従来の磁気刺激装置の使用方法を説明するための説明図である。 従来の磁気刺激装置に用いられるコイルにより発生する磁場と、脳表面に生じる誘導電流との関係を示す説明図である。 従来の磁気刺激装置の使用方法を説明するための説明図である。 本発明の一実施形態における磁気刺激装置の構成を説明するための概略的な説明図である。 図4の装置において用いられる装着部を拡大した斜視図である。 図5のA−A線に沿う概略的な断面図であって、対象物(頭部)の上面に載置した状態での装着部を示している。 図6の装着部において用いられるコイルの配置状態を説明するための平面図である。 コイルにおける電流の流れ方向を説明するための説明図である。 図6の装着部において用いられる支持体の斜視図である。 図6に相当する位置における、支持体の断面図である。 本実施形態のコイルを用いたシミュレーションにおける条件を説明するための説明図である。 シミュレーションによる結果のグラフであり、横軸は内径a、縦軸は誘導電場強度及びインダクタンスを示す。 シミュレーションによる結果のグラフであり、横軸は巻き数N、縦軸は誘導電場強度及びインダクタンスを示す。 シミュレーションによる結果の説明図であり、本実施形態のコイルによって発生する電場の広がりを説明するための説明図である。 従来の各種コイルと、本実施形態のコイルとを比較するグラフであって、横軸は測定位置(コイル中央を中心とした回転角度)、縦軸は誘導電場強度である。 従来の各種コイルと、本実施形態のコイルとを比較するグラフであって、横軸は測定位置(コイルから対象物方向(下面方向)への距離)、縦軸は磁束密度である。 本実施形態の変形例を説明するための説明図であって、コイル表面にコア部材を載置した状態で、コア部材のみを切断した要部断面図である。 コア部材に用いる珪素鋼板の比透磁率の設定例を示すグラフであって、横軸は磁場強度、縦軸は磁束密度である。 コア部材を用いたシミュレーションによって得られた誘導電場の様子を示す説明図である。 コア部材を用いたコイルの特性を説明するためのグラフであって、横軸は測定位置(コイル中央を中心とした回転角度)、縦軸は誘導電場強度である。 実測による、従来の各種コイルと、本実施形態のコイルとを比較するグラフであって、横軸は測定位置(コイルから対象物方向(下面方向)への距離)、縦軸は磁束密度である。 実測によるコイルの電流波形を示すグラフであって、横軸は時間(μs)、縦軸は電流値である。 実測によるコイルの瞬時磁場を示すグラフであって、横軸は時間(μs)、縦軸は瞬時磁場である。 従来の8字コイルと、本実施形態のコイルとを比較するグラフであって、横軸は測定位置(コイルから対象物方向(下面方向)への距離)、縦軸は磁束密度である。 本発明の第2実施形態に係る磁気刺激装置に用いられる装着部の概略的な斜視図である。 図25のX−X’線に沿う横断面図である。 図25のY−Y’線に沿う縦断面図である。 図25に示す装着部の変形例を示す説明図であって、図27に対応する位置での縦断面図である。 本発明の第3実施形態に係る磁気刺激装置に用いられる装着部の概略的な斜視図である。 図29のX−X’線に沿う横断面図である。 図29のY−Y’ 線に沿う縦断面図である。 図29に示す装着部の変形例を示す説明図であって、図31に対応する位置での縦断面図である。 本発明の第4実施形態に係る磁気刺激装置に用いられる装着部の概略的な斜視図である。 図33のX−X’ 線に沿う横断面図である。 図33のY−Y’ 線に沿う縦断面図である。 シミュレーションによる結果の説明図であり、実施例3のコイルによって発生する正規化された電場強度を示す説明図である。 シミュレーションによる結果の説明図であり、実施例1のコイルによって発生する正規化された電場強度を図36との比較のために示す説明図である。 シミュレーションによる結果の説明図であり、従来の8字コイルによって発生する正規化された電場強度を図36との比較のために示す説明図である。 実施例3のコイル(flat-d)と、実施例1のコイル(Double-D)と、従来の8字コイル(figure-8)とを比較するグラフであって、横軸は測定位置(コイル中央を中心とした変位)、縦軸は誘導電場強度である。 実施例3のコイル(flat-d)と、実施例1のコイル(Double-D)と、従来の8字コイル(figure-8)とを比較するグラフであって、横軸は測定位置(コイルから対象物方向(下面方向)への距離)、縦軸は磁束密度である。
以下、本発明の一実施形態に係る磁気刺激装置を、添付の図面を参照しながら説明する。本実施形態の磁気刺激装置は、変動磁場により生成される誘導電流を用いて脳に刺激を与える手法である経頭蓋磁気刺激法を行うための装置である。
(磁気刺激装置の構成)
本実施形態の磁気刺激装置(図4参照)は、電源部10と、ケーブル20と、装着部30とを備えている。この磁気刺激装置は、対象物1の内部に誘導電流を発生させるためのものである。ここで、本実施形態では、対象物1として、生体、特に、人体の頭部が用いられている。このため、以降では、対象物1に代えて、頭部1と称することがある。
(電源部)
電源部10は、装着部30におけるコイル31(後述)に所定の電流を供給することにより、対象物1の内部に所定の誘導電流を発生させる構成となっている。電源部10から供給される電流としては、誘導電流を発生できる交流成分を有していれば、直流成分を有していてもよい。したがって、電流としては、例えば、単相性(monophasic)パルス状、二相性(biphasic)パルス状など、用途に応じて各種の波形のものを用いることができる。パルスの発生周期は、用途に応じて適宜に設定されている。このような電源部10としては、従来と同様のもの(例えば前記特許文献3を参照)を利用可能なので、これ以上詳しい説明は省略する。
(ケーブル)
ケーブル20は、電源部10から装着部30のコイル31(後述)に所定の電流を供給する構成となっている。ケーブル20は、ある程度の柔軟性を有しており、装着部30を対象者の頭部1における適切な位置に配置できるようになっている。ケーブル20についても、従来と同様のものを利用可能なので、これ以上詳しい説明は省略する。
(装着部)
装着部30(図5参照)は、前記したコイル31と、このコイル31を支持する支持体32とを備えている。
(コイル)
コイル31(図6〜図8参照)は、対象物(すなわち対象者の頭部)1の表面近傍に配置されて、対象物1の内部に誘導電場を発生させる構成となっている。
本実施形態のコイル31は、第1〜第Nのターン311〜31Nを有している。ただしここでNは2以上、好ましくは3以上の整数であり、巻き数が多いほど誘導電場を強め、かつ、対象領域を広げることが容易になる。一方、適正なインダクタンスを考慮すると、巻き数は20以下、より好ましくは14以下とすることが好適である。図示例では巻き数N=14となっている。
コイル31における第1〜第Nのターン311〜31Nは、それぞれ、一方向への電流を流すための作用部311aと、この一方向とは逆向きの電流を流すための接続部311bとを備えている。ここで、作用部は、各ターンについて備えられているが、この明細書では、各作用部について同じ符号311aを付す。接続部311bについても同様である。また、前記において「逆向きの電流」とは、導線方向に沿った向きではなく、コイルが配置された空間内での向きにおいて逆という意味である。つまり、コイルに流れる電流iに対して逆向きである電流−iを流すという意味ではない。図7及び8において、コイルにおける電流の流れ方向を、矢印で示す。
本実施形態におけるコイル31は、支持体32に支持されることにより、その空間的配置状態が規定されている(図5及び図6参照)。具体的には、第1〜第Nのターン311〜31Nにおける複数の作用部311aは、互いにほぼ平行に、かつ、対象物1の表面又はそれに近似される面に沿って配置されている。より具体的には、人体の頭部はほぼ球面に近似できるので、作用部311aは、球面(より詳しくは球面の一部)に沿うように配置される。本実施形態では、作用部311aが配置される面(具体的には、後述する支持体32の当接部321の上面)が、略円球面とされている。
さらに、本実施形態では、第1〜第Nのターンにおける作用部311aが、等間隔で配置されたものとなっている。
また、第1〜第Nのターン311〜31Nにおける複数の接続部311bは、第1〜第Nのターンにおける作用部311aを挟んで対象物1の表面と対向せず、かつ、作用部311aの延長方向に対して側方となる空間内に配置されている(図6参照)。より具体的には、接続部311bは、作用部311aの延長方向(図7において図中上下方向)にほぼ直交する方向において、周期的に配置されたものとなっている。
また、本実施形態では、第1〜第Nのターンのうちの第1〜第Pのターンにおける接続部311bは、第P+1〜第Nのターンにおける接続部311bとは、作用部311aを挟んで反対側の位置に配置されている(図7参照)。図6の例では、N=14、P=7とされているが、この数字に限定されるものではなく、各種の設定条件に応じて変更可能である。
接続部311bは、平面視して略円弧状となるように形成されている(図7参照)。また、作用部311aの左右に分かれた接続部311bは、作用部311aを挟んで左右対称とされている。さらに、作用部311aの片側における接続部311bは、ほぼ同心円状とされている。なお、左右に分かれた接続部311bの本数が異なっていてもよい。つまり、コイル31の形状としては、左右対称でなく、非対称とすることもできる。例えば巻き数N=14でP=8のような構成も可能である。もちろんこれらの数値は単なる一例であり、この数値には制約されない。
換言すれば本実施例コイルは、対象物の表面近傍に配置されて前記対象物の内部に誘導電場を発生させるためのコイルであって、コイルが有する、入力端から出力端に至る一連の導線が、
(1)誘導電場発生に用いる複数の作用導線部、
(2)複数の作用導線部を相互に接続し、且つ、作用導線部が発生させた誘導電場に対する強度への影響が実質的に無視できる態様にて構成された接続導線部、
からなるように構成されたことを特徴とするコイルである。
(支持体)
支持体32は、対象物1の表面に当接可能とされた当接部321と、当接部321の外周縁に形成された鍔部322とを備えている。
当接部321は、球面の一部を構成するように(つまり球面状に)湾曲された略板状ないし略円盤状に形成されており、これによって、当接部321の下面に、対象物としての頭部1の一部を収容することができるようになっている(図6参照)。
当接部321の上面には、コイル31の作用部311aを収容し、それらの位置決めを行うための溝321aが形成されている(図6及び図10参照)。溝321aは、本実施形態では、前記作用部311aと同様に、互いにほぼ平行かつ等間隔で、当接部321の上面に沿って形成されている(図9参照)。
鍔部322は、当接部321の外周縁から、外側方向に延長されて形成されている(図9参照)。本実施形態の鍔部322は、全体として、ほぼ断面平板状に形成されており、これにより、鍔部322と、略球面状の対象物表面とが若干離間できるようになっている(図6参照)。鍔部322の上面には、コイル31の接続部311bを収容し、それらの位置決めを行うための溝322a(図6及び図10)が形成されている。溝322aは、本実施形態では、前記接続部311bと同様に、同心円をなすように(あるいは平行曲線となるように)、鍔部322の上面に沿って形成されている(図9参照)。
(実施例1…設計条件最適化)
つぎに、前記した本実施形態において用いたコイル31の設計条件について、シミュレーションを用いて検討する。
以下の検討においては、本実施形態のコイル31(以下この明細書において「Double-Dコイル」と称することがある)が頭部1に接触する面積(具体的には、支持体32の当接部321を介して頭部に接触する面積)を一定と仮定したうえで、作用部311aと接続部311bとの最小間隔a(図11参照)とコイルの巻数Nとを変化させ、これらの設計パラメータが、コイルにより生じる誘導電場にどのような影響を与えるのかを明らかにする。その上で、特に実用性の高い(現状の駆動回路に接続可能なインダクタンスを持ち、かつ従来の8字コイルに比して劣らない誘導電場の発生効率を達成できる)Double-Dコイルの設計パラメータを決定した上で、既存のコイルとの比較を行い、その有効性を確認する。
(シミュレーション条件)
Double-Dコイルの形状最適化を行う。なお、下記に示す設計上の数値は、いずれも単なる一例であり、これらによって本発明の範囲が制約されるものではない。
まず、作用部311aが配置される面(球面)の曲率半径を100mm、作用部311a全体の幅(配列方向での幅)を78mm、作用部311a全体の底面によるカバー範囲の半径(つまり作用部311aの最大長さの半分)を56mmとした。前記した最小間隔aを可変とし、これを14mmから38mmの間で変化させた(図11参照)。また、コイル31の導線による頭部のカバー面積を一定として、コイル31の全巻き数Nを14から20の間で変化させた(図11参照)。なお、図11では、螺旋の巻き線構造は無視して簡略に記載してある。コイル導線の断面形状としては、幅2mm高さ6mmを仮定した。
シミュレーションにおいては、半径75mmの導体半球の1cm直上にコイル31を位置させ、最大電流5.3kA、パルス周波数3.4kHzでパルス電流を印加した際の誘導電場を計算により求めた。電場強度については、刺激中央(目標とする対象物表面の中央部分、例えば大脳における運動野中の特定部位)から半径10mmの球内の平均値を用いて評価した。電場の広がりについては、印加電流により生じる誘導電場の最大強度を基準とし、この最大強度の50%以上の電場が発生したボクセルの総面積を用いて評価した。計算には、本発明者らのオリジナルソフトウェア(その概要の説明は後述する)によるスカラーポテンシャル有限差分法(SPFD法)を利用した。有限差分法による計算とは別に、コイルのインダクタンスをノイマンの公式より近似計算した。ノイマンの公式においては、p個に分割された微小線路群CにおけるインダクタンスLは式(1)、(2)、(3)によって求められる。なお式(3)では、導電体の断面形状を、幅 w 高さ h の長方形、導電体の線分長さを l としている。mijは各微小線路の部分インダクタンス、si、sj は各微小電流路ベクトルを表している。ねじれの位置にある微小電流線路同士の距離 r は、本例では簡易的に各微小線分の中点間の距離として近似した。
また、SPFD法によるシミュレーションに加え、正確性を期するため、有限要素法によるシミュレーションを併用し、空気領域に発生される磁場から求められる、より正確なインダクタンスと、磁束密度の強度を求めた。既存コイルとの比較のために、全巻数 20、外半径(コイル外周での半径) 100mm、導線間隔 1mm の8字コイル(前記特許文献1及び2)と、全巻き数 10、外半径 100mm の円形コイルと、高さ 39mm、外半径 66mm、幅 78mm のドーム型コイル(前記特許文献3)の3モデルを用意し、インダクタンスや磁束密度の強度、半球モデル表層部(表面から1mmの深さ)における電場強度を求めた。なお有限要素法でのシミュレーションにはPhoto-Series (Photon Co. Ltd.) を用いた。
(結果1・考察 - コイル内径幅による誘導電場の変化)
巻数 20 のコイルを用いてその内径幅(最小間隔) a を変化させた場合における、電場強度、インダクタンス、誘導電場の広がりの変化について、結果を表1にまとめる。電場強度とインダクタンスについてグラフにすると図12のようになる。
得られた結果によれば、コイル側部の幅aが広ければ広いほどインダクタンスが大きく上昇する一方で、頭部モデル(対象物)に発生できる誘導電場の強度や広がりはあまり変化がないということが分かる。誘導電場が殆ど変わらないのであれば、インダクタンスは低いほうが好ましいため、Double-D コイルの内径幅aは、頭部表面とコイル(具体的にはその支持体の下面)とが干渉する限界のところまで、出来る限り狭めるのが良いと結論できる。また巻数N=20、幅a=14mm の場合でのインダクタンス=18.5μH という値は、市販の駆動回路に接続するには大きい値であり、ここから巻数を減らしていくことで更にインダクタンスを下げることが好ましい。
(結果2・考察-頭部接触面における巻き数による誘導電場の変化)
内径幅a=14mmとして、コイルの巻数 N(変数)に対する電場強度、インダクタンス、誘導電場の広がりの変化につい て、結果を表 2 にまとめる。電場強度とインダクタンスについてグラフにすると、図13のようになる。
得られた結果より、誘導電場の広がりは、巻き数によって変わることが殆ど無いとわかる。またコイルの巻数を下げていくことで、インダクタンスを下げることができる一方、誘導電場の強度も大きく下がっていくことがわかる。市販の駆動回路に接続するには、インダクタンスは 10μH 程度かそれ以下を狙うことが好ましいとされており、これらを踏まえるとコイルの全巻き数は 14 が適切である。
ここで、実際のコイルでは、制作を容易とするために導線間隔を広くとることが考えられる。すると、コイルの鎖交磁束が増加して、インダクタンスが増える可能性がある。また、駆動回路とコイルを接続するケーブル20によっても全体のインダクタンスが増加する。したがって、コイル31でのインダクタンスの設計値は 10μH に比ベてさらに余裕をもたせるのが良いと考えられる。本例では、インダクタンスの値に余裕のある幅a=14mm 巻数N=14 を採用して、既存コイルとの比較や具体的な製作を進めていくことにする。
(結果3・評価-既存コイルとの比較)
有限要素法によるシミュレーション結果として、8字コイルと Double-D コイルを用いた場合の、半球モデル(対象物を半球形状としたモデル)での電場の広がりを図14に示す。この図では、電場強度を、最大値を100%として正規化して示している。また、半球モデルにおける深さ 1mm 地点の電場強度についての各コイルでの比較を図15に示す。また、駆動回路の最大出力として 5.3kA の通電を仮定した際の、コイル中央の表面からの距離と磁束密度の強度の関係を、各コイルについてプロットしたものを図16に示す。SPFD法によって得られた電場強度の値及び広がりと、有限要素法により得られたインダクタンスの値とを表 3 に示す。
表3と図15において、計算領域での電場強度の平均値として8字コイルの場合が202V/mであるのに対し Double-D コイルの場合が 209V/mであり、深さ 1mm 地点の誘導電場の最大値において8字コイルが 215V/m に対し Double-D コイル が 237V/m であった。このように Double-D コイルの最終設計は、既存の8字コイルに比して同等以上の誘導電場強度を達成できている。加えて、図14のように、本例のコイルによれば、誘導電場の広がりが大きく、従って位置ずれに強いという利点を持つ。インダクタンスの値も、10μH 以内に抑えられているため、一般的な駆動回路への接続に好適である。
また図16において、コイル表面から 5mm の位置における磁場強度は8字コイルでは 0.81T に対し Double-D コイルでは 0.63T と、8字コイルの磁束密度のほうが高かった。しかし一方で、表面からの距離 16mm において両コイルは 0.48T と同じ値となり、さらに表面からの距離 20mm での磁束密度は8字コイルでは 0.40T、Double-D コイルでは 0.42T と、強度の上下関係が逆転した。
これはすなわち、8字コイルよりも Double-D コイルの方が、コイル表面から 16mm 以上離れた位置に対して誘導電場の発生効率が良い、ということである。頭皮や頭蓋、脳脊髄液を間にして、脳の灰白質表面の刺激点が位置するのは、コイル表面から 15mm 以上離れた位置となるため、この特性により、Double-D コイルは灰白質表面付近の刺激に対し有効な特性を備えていると言える。
また、付随的に以下の 2 点においても好都合である。
まず、コイル表面における誘導電場は、低いことが望ましい。運動野直上の頭皮付近には側頭筋や腿膜が存在し、磁気刺激に伴いこれらの筋肉が動き、被験者によっては不快感を伴うことが問題であった。また施術は基本的に無痛ではあるが、被験者によっては皮膚の感覚受容器が刺激され、僅かな痒みなどを訴える場合があった。コイル表面付近の誘導電場が小さいことにより、これらの軽微な副作用を軽減できる可能性がある。
このために本実施例コイルは、図16の「Double-D coil」としてプロットされた本実施例コイルの、先に示した本実施例シミュレーション条件の下での特性曲線に見られる通り、コイル表面から刺激点までの距離(mm)の変化に対する刺激点での磁束密度の変化率を、0.014[T/mm]近傍または図16から読み取れる変化率であるか、それら数値以下となるように構成したので、脳内の照射ターゲットを磁気刺激する治療に際して頭皮付近をも刺激することに起因する不快感を軽減することが可能となる。
これに対して、同じ図16で「Figure-8 coil」としてプロットされた8字コイルでは同様の変化率が0.027[T/mm]近傍となるので、本実施例コイルが奏する効果を奏することはない。具体的には、脳内の刺激点に対して同じ強度の磁束密度を生成する磁気刺激を行った場合、図16から明らかなように、コイル表面からの距離が短い位置にある頭皮付近の磁束密度が、本実施例コイルは8字コイルよりも小さな値となるので、頭皮付近を刺激することに起因する不快感が生じたとしても、8字コイルより程度が小さくなる。
なお、同じ図16において「Dome coil」としてプロットされたドーム型コイルは、上記の変化率が本実施例コイルよりも小さいが、この比較例に用いたドーム型コイルの設計条件では生成する磁束密度の大きさが本実施例コイルよりも小さいので、臨床に用いる場合には刺激強度が小さくなり、必要な刺激強度を確保するためには電流値すなわち供給電力を増大させる必要がある。
即ち本実施例コイルは、最大電流5.3kA、パルス周波数3.4kHzでパルス電流を印加した際の、コイル表面から刺激点までの距離(mm)の変化に対する刺激点での磁束密度の変化率を、0.014[T/mm]近傍または図16から読み取れる変化率であるか、それら数値以下となるようにし、且つ刺激点における磁束密度の大きさが0.2[T]以上となるように構成した磁気刺激治療用コイルである。
また 2 つ目のポイントとして、灰白質表面よりも深い部分の誘導電場は、高いほうが望ましい(すなわち、深い位置まで刺激できる方が望ましい)。灰白質は脳表面から 5mm 以内に分布する上、脳溝の深さも 10mm 程度あり、治療のために刺激する運動野の錐体細胞の神経群は、脳の外側表面から 15mm 程度の深さまで分布すると考えられる。うつ病治療の例では、前頭前野を広くかつ深く刺激するために新形状のコイルを開発している例があり、このことも鑑みると、深い位置まで刺激できることがより高い治療効果に繋がる可能性が高い。
(変形例…異方向積層鉄心を併用した刺激焦点の限局手法)
本実施形態において記載したDouble-D コイルは、誘導電場の広がり、電場強度、インダクタンスの全てについて実用上十分な特性を備えている一方で、既に図14で示したように、接続部311b(つまり側部導線)による誘導電場が若干強く発生するため、実際に磁気刺激を行った際に意図しない脳部位に若干の誘導電場を発生する可能性がある。これを解決するために、変形例として、コア部材33(図17参照)を用いた磁気刺激装置を説明する。なお、この変形例の説明においては、前記した実施形態と基本的に共通する要素について同一符号を用いることで、記載の簡略化を図る。また、この変形例においては、いわゆる異方向積層鉄心(単に積層鉄心又は鉄心と称することがある)がコア部材33として用いられている。コア部材33の詳しい構成については後述する。
(積層鉄心が磁気刺激焦点へ及ぼす効果)
まず、経頭蓋磁気刺激コイルに対する積層鉄心の及ぼす効果について説明する。TMS コイルに対して強磁性体を組み合わせることで磁気刺激効果を高める研究はいくつかあり、古くは Han らにより、円形コイルの上部に積層鉄心を配置する形が提案されている(B. H. Han, S. Y. Lee, J.H. Kim, J.H. Yi, "Some technical aspects of magnetic stimulation coil design with the ferromagnetic effect," Medical & Biological Engineering & Computing, vol. 41(5), pp. 516-518, 2003)。宮脇らはこれを拡張し、8字コイルの 限局性を高めた偏心8字コイルに対して異方向の積層鉄鋼板を組み合わせることで、磁気刺激効果を大 きく高めることができることを報告している(K. Yamamoto, Y. Miyawaki, Y. Saitoh, and M. Sekino, “Improvement in Efficiency of Tran- scranial Magnetic Stimulator Coil by Combination of Iron Core Plates Laminated in Different Directions,” IEEE Transactions on Magnetics, vol. 52, 2016)。この基本的な原理は、導線に対して垂直方向に積層した鉄鋼板は導線直下の誘導電場を高める効果をもたらし、逆に導線に対して平行方向に積層した鉄鋼板は、大きな損失電流が鉄鋼板内に発生することにより導線直下の誘導電場を減衰させる効果をもたらす、という点にある。宮脇らは、偏心8字コイルの外側については縦向きの積層を、内側は横向きの積層を施した鉄鋼板を用意することで、刺激を強めたい中央部の誘導電場を大きくし、刺激が不要な外縁部の誘導電場を小さくすることで、刺激強度を最大に高めることができるという結果を得ている。
この変形例では、この結果に倣い、本実施形態の Double-D コイルにおける刺激不要点の誘導電場を減弱させ、また中央部における誘導電場を増幅することを目的とし、Double-D コイルとコア部材33としての積層鉄鋼板を組み合わせたモデルについて検証を行う。
(シミュレーション条件)
鉄鋼板の効果をシミュレーションする必要があるため、すベて有限要素法により計算を行った。Double- D コイルの巻数は14とした。コア部材33は、図17に示すように Double-D コイルの形状に沿い、コイル全体をカバーするような形状となっている。なお、図17は、コア部材33のみを切断した状態を示している。導体半球は半径 75mm、空気領域は半径 150mm とした。ここでは、コイルにより周囲に発生する磁束を正確に計算シミュレーションするため、十分な広さを持つ空気領域を設定した。鉄鋼の導電率を非積層方向に 107 とし、積層方向には 10-7 とした。比透磁率は珪素鋼板を仮定して最大磁束密度が約 2T で飽和するという仮定で、図18のように非線形的に設定した。鉄鋼の厚みは
5mm とした。表皮効果により、下記式(4)から、σ = 107S/m、f = 3.15kHz とすると、磁束の浸透は 40μm の深さまでにしか起こらないと考えられ、この 5mm という厚みはこれに対して十分大きい。積層方向は、コア部材33の中央から 44mm の部分までを導線(作用部311a)に対して垂直に鉄鋼板(…第1コア体331aに対応)が並ぶ方向(横積層)、それより外側においては導線に対して平行に鉄鋼板(…第2コア体332aに対応)が並ぶ方向(縦積層)となるように設定した。コイルに流す電流は 5.3kA、3.15kHz とした。第1コア体331aの間の部分331bと、第2コア体332aの間の部分332bとは、比透磁率の小さい材質から構成されている。
(結果・考察)
得られた誘導電場の様子を図19に示す。また半球表面から深さ 1mm における誘導電場の強度を図20に示す。図20における第一ピーク (Double-D コイルの側部導線(接続部311b)の直下にあたる部分) の誘導電場強度は、 異方向鉄鋼板を配置しない場合は 86.6V/m であった一方で、鉄鋼板を配置した場合 60.2V/m となった。 また、第二ピークとして中央に発生する誘導電場の最大強度は、鉄鋼板を配置しない場合は238.7V/m、配置した場合は 292.0V/m となった。インダクタンスの値については、コア部材がない状態で 7.4μH であったのに対して、コア部材(積層鉄)を配置すると 1904μH となった。
この結果より、Double-D コイルにおいても、異方向積層鉄鋼板を利用することで刺激不要点の誘導電場をうまく抑制することができ、また刺激中央点における電場強度は大きく向上できることがわかる。しかしながら、インダクタンスの値が非常に大きいため、通常の駆動回路には接続できないと考えられる。これを回避するためには、インダクタンスの値を下げることを意図して、鉄鋼板をより小さく、薄くしていく必要があると考えられる。もしくは Peterchev らが提案するような、インダクタンスの値に依らず波長を任意に変更できる応用的な駆動回路の利用を想定する必要がある(A. V. Peterchev, R. Jalinous, and S. H. Lisanby, “A Transcranial Magnetic Stimulator Inducing Near-Rectangular Pulses With Controllable Pulse Width (cTMS),” IEEE Transactions on Biomedical Engineering, vol. 55, 2008, pp.257-266)。
変形例の装置は、下記のように表現できる。
(A1)
コア部材33は、第1〜第Nのターンにより生成される磁気回路の磁気抵抗を軽減する構成となっており、かつ、前記コア部材は、作用部311aを挟んで対象物1とは反対側となる位置に配置されているコイル。
(A2)
コア部材33は、比透磁率の異なる複数の領域(331a、331b、332a、332b)を有することを特徴とする項目A1に記載のコイル。
(A3)
前記コア部材33は、作用部311aに対向する位置に配置される第1部分331と、接続部311bに対向する位置に配置される第2部分332とを備えており、第1部分331は、作用部311aの延長方向と非平行な(又は直交する)方向に延長された複数の長尺状の第1コア体331aを備えており、第2部分332は、作用部311aの延長方向とほぼ平行となる方向に延長された複数の長尺状の第2コア体332aを備えている項目A1又はA2に記載のコイル。
(実施例2…実測による特性評価)
実施例2では、実施形態として説明した巻数 14、内径幅 14mm の Double-D コイルについて、実際に製作を行い、通電・測定実験を行った結果を示す。この実施例2では、コイル31を構成するための導線として、幅 0.8mm、高さ 4mm の錫めっき網組銅線を2枚重ねたものを用い、これを支持体32上面の溝に嵌め込んだ。導線の実効断面積は3.4mm2となる。このような2枚重ねの網組銅線を用いることで、平易に巻線でき、かつ、電流路の重心を低くすることができる。
結果を下記の表4に示す。
本実施形態のコイルのインダクタンスは 10.3μH であった。市販の円形コイル(MagPro 社の円形コイルC100)は 9.6μH、8字コイルは 12.1μH であった。このことより、本実施形態のコイルは、既存コイルとほぼ同等のインダクタンス特性を持ち、既存の電源装置に適用可能であることがわかる。
(直流電流を通電した際の静磁場測定)
駆動回路によって発生される磁束密度の最大値は、直流電流により発生される静磁場での磁束密度の値に近似できる。そのため、コイルに直流電流を印加した際の静磁場を測定することで、駆動時の磁束密度を予測できる。ここでは駆動回路を用いて通電する前の事前実験として、本実施形態のコイルと比較用の8字コイルに直流電流を流し、発生する静磁場を測定した。
(実験条件)
コイル自体に寄生抵抗があることを踏まえ、定電流源にコイルを直接接続して測定を行った。電源は TEXIO 社 PAR18-6A を用いた。静磁場測定用のガウスメータとして、HIRST
magnetic Instruments 社の GM07 を用いた。
(結果・考察)
結果を図21に示す。5A の定電流によって発生される磁束密度は、コイル表面から 0mm から 20mm においては、8字コイルの方が高い値であった。一方で、コイル表面から 20mm より離れた地点におい て、Double-D コイルは8字コイルより強い磁場を発生した。なおコイル表面から 20mm の地点における磁束密度の値は8字コイルでは 0.33mT、Double-D コイルでは 0.32mT であった。
これらの結果を踏まえ、併せて、頭皮表面から灰白質表面までの距離が平均的に 20mm 程度であることを考えると、Double-D コイルによる灰白質神経群に対する刺激強度は8字コイルのそれとほぼ同等となることが分かる。これは図16のシミュレーション結果におおよそ合致する。但し、シミュレーションでは Double-D コイルによる磁束密度が8字コイルより高くなるのが 16mm 以降であった点を踏まえると、多少の誤差がある。これは、シミュレーションモデルと実機との間の若干の差異によるものと考えられる。
(実際の駆動回路を用いた印加電流・動磁場の測定)
作成した Double-D コイルを商用の駆動回路に接続し、通電試験と動磁場の測定を行った。
(実験条件)
駆動回路には MagVenture 社の MagProCompact を用いた。電流計としてPEARSON Electronics 社のカレントモニタ 4418 を用い、オシロスコープを接続して電流波形を記録した。磁場は、外径 7.6mm で 6 回巻きのサーチコイル (実効面積 272mm2) を作成し コイル上に位置させ、オシロスコープに接続して瞬時磁束密度の波形を記録した。サーチコイルの位置は、8字コイル、Double-D コイルの中央において、接触部を 0mm として 30mm の距離まで、5mm ずつ測定点を取った。これに加え磁束密度の最大値として、得られる瞬時磁場の 1/4 周期までの積分値を求めた上で、駆動電流値を 1kA として規格化し比較を行った。
(結果1・考察 - 通電時の電流波形)
測定時の8字コイルの電流振幅は 1.9kA、Double-D コイルの電流振幅は 1.4kA であった。振幅を 1kA として規格化した8字コイル、Double-D コイルの電流波形を図22に示す。8字コイルによる電流波長が 295μs であり、Double-D コイルによる波長は 283μs
であった。また、コイルの寄生抵抗による減衰は、それぞれの振幅の第一ピークの絶対値を 1 として、第二ピークの値が8字コイルでは 0.875、 Double-D コイルでは 0.806 であった。
波長について、Double-D コイルは8字コイルと同様の波形の三相性パルスが発生でき、インダクタンスの値に留意して設計した結果として、300μs より短い波長が得られている。このことより、波長という観点から、確かに脳神経の刺激が可能である。
また、電流波形の減衰から寄生抵抗 R の値を求めることができる。第一ピークの値 を
I1 第二ピークの値を I2 とすると、RLC直列回路における抵抗Rは以下のように表せる。

ここでTは電流の波長であり、
T=2π×√(LC)で表せる。
また、
L:回路のインダクタンス
C:回路のキャパシタンス
である。
これに測定したインダクタンスと得られた波長を代入すると、8字コイルの抵抗が 17.0mΩ、Double-D コイルの抵抗が 21.0mΩとなった。その理由は、Double-D コイルでは、巻線の長さがおおよそ8字コイルに等しい一方で、巻線として、断面積の小さい網組導線を用いているためである。寄生抵抗の値が高いことにより、高頻度連続通電時のコイル加熱は早くなることが懸念されるため、巻線の断面積を大きくする方向での改良は好ましいと考えられる。しかしながら、先述した通り同一の誘導電場強度を灰白質に与えるための印加電流は Double-D コイルのほうが小さく済むため、実際の加熱速度は同程度になることが予測できる。また、波形として減衰はそれほど大きくなく既存のものに近いことにより、少なくとも単発での神経刺激は十分可能であると考えて良い。
(結果2・考察 - 通電時の瞬時磁束密度の波形と、最大磁束密度の値)
8字コイル、Double-D コイルの表面から 15mm 位置での瞬時磁場 (dB/dt) を、1kA 通電時として規格化したものの波形を図23に示す。図のように、8字コイルと同強度の瞬時磁束密度が得られた。このことより、磁場強度という観点からも、確かに脳神経の刺激が可能である。また、コイル表面からの距離に対して、瞬時磁場の強度から求められた磁束密度の値を 5kA 相当に定数倍したものを図24に示す。この結果は、図16のシミュレーションともほぼ合致する結果であり、Double-D コイルにおいて8字コイル同様の強い誘導電場を得ることができることを示すものである。また静磁場での測定とも、非常に近い結果が得られている。そして厳密には静磁場測定の場合と同様、8字コイルよりも Double-D コイルの磁束密度が強くなる距離については、シミュレーションでは位置 17mm であったが、実測では 20mm と、若干のずれがある。これは、シミュレーションモデルと実際作製された装置との寸法等の差異によるもので、本質的なものではないと評価できる。
(補足)
以下では、前記実施形態の動作確認のために使用した、オリジナルのシミュレーションソフトウェアについて説明する。このソフトウェアでは、コイルの形状を電流ベクトルの集合として入力し、導体に発生する誘導電流を求めることが可能となっている。これに脳MRI画像データを取り込むことで、複数種類の導体を含むような形状が複雑なモデルに対しても、シミュレーションが可能である。
ここではまず本ソフトウェアの原理を概説する。SPFD 法では、誘導電場を動磁場により発生させる対象物を微小直方体に分割し、各微小体積に発生する誘導電場を磁気ベクトルポテンシャルの差分方程式の解として得ることができる(T. W. Dawson and M. A. Stuchly, “Analytic validation of a three-dimensional scalar-potential finite-difference code for low-frequency magnetic induction," Applied Computational Electro-magnetics Society Journal, Vol. 16, pp. 63-71, 1996)。まず、コイルにより発生する電場 E を磁気ベクトルポテンシャル A0 及びスカラーポテンシャル ∇φ を用いて表すと以下となる。
また、電流連続の式及びオームの法則より、誘導される電流密度 J と電場 E、導電率σに対して以下の式が成り立つ。
以上の2式より、以下の式が成立する。

ここで微小六面体を仮定し、Sn を各直線のコンダクタンス、ln を各直線の長さ、φn を節点 n におけるスカラーポテンシャル、A0n を節点 0 と節点 n を結ぶ方向成分の磁気ベクトルポテンシャルとする。上式を離散化すると、これらの値に対して以下の式が成り立つ。
この式をボクセル全体について解くことにより、誘導電場を求めることができる。
前記したように、本実施形態のコイル及びそれを用いた磁気刺激装置によれば、ドーム型コイルと同様の広い誘導電場をとることができ、かつ、ドーム型コイルと同程度の印加電流でより強い誘導電場を発生でき、しかも、インダクタンスを小さい値に抑えることができるコイルを提供することができるという利点がある。
(第2実施形態)
つぎに、本発明の第2実施形態に係る磁気刺激装置を、図25〜図27を参照しながら説明する。なお、すでに説明した前記実施形態の磁気刺激装置と基本的に共通する要素については、同一符号を付することにより、説明の重複を避ける。
本実施形態の磁気刺激装置では、装着部30の支持体32を構成する当接部321を、ほぼ平板状でかつ円形状に構成した。そして、鍔部322を、当接部321の周縁から頭部1の方向に傾斜するように延長させて形成した(図26及び図27参照)。
図6に示すように当接部321の底面を球面とした場合において、仮に、頭部1の曲率が当接部321の底面の曲率よりも小さかった場合(つまり頭部1における装着面が平坦面に近かった場合)には、「片当たり」という現象を生じることがある。これは、支持体32の下面周縁部の一端側が頭部1に当たっているが、他端側は頭部1から離間してしまっている状態である。この状態では、コイル31と頭部1との位置関係を所期の通りに設定できず、所望の効果を発揮できないおそれがある。
そこで、この第2実施形態では、当接部321の底面形状(すなわち支持体32の下面の形状)を平坦面に近づける(すなわち扁平化する)ことにより、この問題に対応している。本実施形態においては、装着部30を頭部1に装着する際に、当接部321の底面を頭部1の表面に接触させる。これにより、当接部321の中央付近を頭部1に密着させて位置決めすることができる。このため、本実施形態では、コイル31と頭部1との位置関係を所期の通りに設定することができ、所望の磁気刺激を行うことができるという利点がある。ここで、この第2実施形態では、作用部311aが配置される当接部321の上面形状も扁平化している。これにより、本実施形態の作用部311aは、当接部321と対象物(頭部)1との接点における、対象物1の接平面にほぼ沿う方向に配置された状態となっている。対象物1の表面がほぼ球面形状となっている場合には、当接部321と対象物1とは一点(微小領域の面である場合を含む)で接し、少なくともこの接点近傍においては、この接平面は、対象物1の表面形状に近似した面を持つことになる。
なお、この第2実施形態の装置の変形例を図28に示す。前記した第2実施形態では、当接部321と鍔部322とのなす角度を、当接部321の全周にわたり、一様に角度θ1(図26参照)としていた。図26における角度θ1は、図25におけるX−X’方向での当接部321と鍔部322とのなす角度である。これに対して、この変形例では、Y−Y’方向での当接部321と鍔部322とのなす角度をθ2とすると、θ1>θ2としている。つまり、この変形例では、当接部321と鍔部322とのなす角を場所により異ならせている。これにより、この変形例では、支持体32を頭部1に装着する際に、鍔部322と頭部1との干渉の可能性を減らすことができるという利点がある。
この第2実施形態における他の構成及び利点は、前記した実施形態と同様なので、これ以上詳しい説明は省略する。
(第3実施形態)
つぎに、本発明の第3実施形態に係る磁気刺激装置を、図29〜図30を参照しながら説明する。なお、すでに説明した第2実施形態の磁気刺激装置と基本的に共通する要素については、同一符号を付することにより、説明の重複を避ける。
本実施形態の磁気刺激装置では、装着部30の支持体32を構成する当接部321を、ほぼ平板状でかつ楕円状に構成した。
なお、この第3実施形態の装置の変形例を図32に示す。前記した第3実施形態では、当接部321と鍔部322とのなす角度を一様にθ1としていた(図30参照)。これに対してこの変形例では、θ1>θ2のように、位置によりこの角度を異ならせている。
この第3実施形態における他の構成及び利点は、前記した第2実施形態と同様なので、これ以上詳しい説明は省略する。
(第4実施形態)
つぎに、本発明の第4実施形態に係る磁気刺激装置を、図33〜図35を参照しながら説明する。なお、すでに説明した第2実施形態の磁気刺激装置と基本的に共通する要素については、同一符号を付することにより、説明の重複を避ける。
本実施形態の磁気刺激装置では、鍔部322を、当接部321の周縁から、当接部321の延長方向と同じ方向に延長させて構成した。これにより、本実施形態では、支持体32の全体として、一枚の円板形状となっている。
この第4実施形態における他の構成及び利点は、前記した第2実施形態と同様なので、これ以上詳しい説明は省略する。
(実施例3)
前記した第4実施形態のコイル31の構成を前提にしてシミュレーションを行った。シミュレーション条件は、前記した実施例1と基本的に同様とした。ただし、この実施例3では、
対象物:半径100 mmの半球導体
空気領域:半径200mm
コイルを構成する導体の導電率:0.106 S/m
とした点が前記実施例1でのシミュレーション条件と異なる。
結果を下記表5に示す。この表では、実施例3のコイルを「F−Dコイル」とした。また、比較のため、実施例1のコイルでの結果を「D−Dコイル」、前記した表3の8字コイルと同様に構成した8字コイルでの結果を「8字コイル」として示した。さらに、これらのコイルにおける、半球モデルでの電場の広がりを図36〜図38に示す。
なお、この表5において「電場の広がり」とは、最大電場強度の1/2以上が誘導されているエリアの中心長さとした。さらに、これらのコイルにおける脳表面の誘導電波分布を図39に、深さ方向での磁束密度の分布を図40に示す。
これらの結果から、実施例3に係るF−Dコイルは、実施例1のD−Dコイルとほぼ同様の電場の広がりを持つことがわかる。さらに、頭部表面(つまり当接部321と対象物1との接点)から約20mmより深い位置においては、実施例3のF−Dコイルは、従来の8字コイルとほぼ同等の磁束密度を有することがわかる。したがって、実施例3のF−Dコイルによれば、実施例1のコイルと同様のロバスト性を有しつつ、従来の8字コイルと同程度の磁気刺激を行うことができるという利点がある。
なお、本発明の内容は、前記各実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲に記載された範囲内において、具体的な構成に対して種々の変更を加えうるものである。
例えば、前記各実施形態では、対象物として人体の頭部としたが、適宜な生体(動物を含む)とすることができる。なお、この明細書において、動物とはヒトを含む意味で用いている。
1 対象物(対象者の頭部)
10 電源部
20 ケーブル
30 装着部
31 コイル
311〜31N ターン
311a 作用部(作用導線部)
311b 接続部(接続導線部)
32 支持体
321 当接部
321a 当接部上の溝
322 鍔部
322a 鍔部上の溝
33 コア部材
331 第1部分
331a 第1コア体
331b 低透磁率部分
332 第2部分
332a 第2コア体
332b 低透磁率部分
a 作用部と接続部との間の間隔

Claims (16)

  1. 対象物の表面近傍に配置されて、前記対象物の内部に誘導電場を発生させるためのコイルであって、
    前記コイルは、第1〜第Nのターンとコア部材とを備えており、
    前記第1〜第Nのターンは、それぞれ、一方向への電流を流すための作用部と、前記一方向とは逆向きの電流を流すための接続部とを備えており、
    前記第1〜第Nのターンにおける前記作用部は、互いにほぼ平行に、かつ、前記対象物の表面又はそれに近似される面に沿って配置されており、
    前記接続部は、前記作用部の延長方向に対して側方となる空間内に配置されており、
    前記コア部材は、前記第1〜第Nのターンにより生成される磁気回路の磁気抵抗を軽減する構成となっており、かつ、前記コア部材は、前記作用部を挟んで前記対象物とは反対側となる位置に配置されており、
    さらに、前記コア部材は、前記作用部に対向する位置に配置される第1部分と、前記接続部に対向する位置に配置される第2部分とを備えており、
    前記第1部分は、前記作用部の延長方向と非平行な方向に延長された複数の長尺状の第1コア体を備えており、
    前記第2部分は、前記作用部の延長方向とほぼ平行となる方向に延長された複数の長尺状の第2コア体を備えている
    ことを特徴とするコイル、
    ただしここでNは2以上の整数である。
  2. 前記第1〜第Nのターンのうちの第1〜第Pのターンにおける前記接続部は、第P+1〜第Nのターンにおける前記接続部とは、前記作用部を挟んで反対側の位置に配置されている
    請求項1に記載のコイル。
  3. 前記接続部は、略円弧状に形成されている
    請求項1又は2に記載のコイル。
  4. 前記作用部が配置される前記面は、断面が略円弧状に形成されているものである
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のコイル。
  5. 第1〜第Nのターンにおける前記作用部は、等間隔で配置されている
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のコイル。
  6. 前記対象物は生体である
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のコイル。
  7. 前記対象物は動物の頭部であり、
    前記誘導電場により、前記頭部における脳内に誘導電流を生じる構成となっている
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のコイル。
  8. 前記第1コア体は、前記作用部を横断するように配置されており、
    前記第1コア体の長手方向における両端の位置は、前記作用部よりも外側であってかつ前記接続部よりも内側となる位置に設定されており、
    前記第2コア体の側面は、前記第1コア体の長手方向における端部に突き当てられている
    請求項1〜7のいずれか1項に記載のコイル。
  9. 前記コア部材は、比透磁率の異なる複数の領域を有することを特徴とする請求項8に記載のコイル。
  10. 前記第1コア体は、前記作用部の延長方向において積層されており、
    前記第2コア体は、前記接続部の延長方向に交差する方向において積層されており、
    これによって、前記第1部分は、前記第1コア体の積層方向における導電率が、前記第1コア体の延長方向における導電率よりも低く設定されており、
    さらに、前記第2部分は、前記第2コア体の積層方向における導電率が、前記第2コア体の延長方向における導電率よりも低く設定されている
    請求項1〜9のいずれか1項に記載のコイル。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のコイルと、前記コイルに所定の電流を供給するための電源部とを備える磁気刺激装置。
  12. 対象物の表面近傍に配置されて、前記対象物の内部に誘導電場を発生させるためのコイルであって、
    当該コイルは、入力端から出力端に至る一連の導線により構成される第1〜第Nのターンと、コア部材とを備えており、
    前記導線は、
    (1)前記誘導電場発生に用いる複数の作用導線部、
    (2)前記複数の作用導線部を相互に接続し、且つ、前記作用導線部が発生させた誘導電場に対する強度への影響が実質的に無視できる態様にて構成された接続導線部、
    から構成されており、
    前記コア部材は、前記第1〜第Nのターンにより生成される磁気回路の磁気抵抗を軽減する構成となっており、かつ、前記コア部材は、前記作用導線部を挟んで前記対象物とは反対側となる位置に配置されており、
    さらに、前記コア部材は、前記作用導線部に対向する位置に配置される第1部分と、前記接続導線部に対向する位置に配置される第2部分とを備えており、
    前記第1部分は、前記作用導線部の延長方向と非平行な方向に延長された複数の長尺状の第1コア体を備えており、
    前記第2部分は、前記作用導線部の延長方向とほぼ平行となる方向に延長された複数の長尺状の第2コア体を備えている
    ことを特徴とするコイル
    ただしここでNは2以上の整数である
  13. 対象物の表面近傍に配置されて、前記対象物の内部に誘導電場を発生させるためのコイルと支持体とを備えた磁気刺激装置であって、
    前記コイルは、第1〜第Nのターンを有しており、
    前記第1〜第Nのターンは、それぞれ、一方向への電流を流すための作用部と、前記一方向とは逆向きの電流を流すための接続部とを備えており、
    前記第1〜第Nのターンにおける前記作用部は、互いにほぼ平行に配置されており、
    前記接続部は、前記作用部の延長方向に対して側方となる空間内に配置されており、
    前記作用部は、前記支持体により支持されており、
    前記支持体は、前記作用部を収容して所定位置に位置決めする凹状の溝部と、前記接続部を収容して所定位置に位置決めする凹状の溝部とを備えている
    磁気刺激装置、
    ただしここでNは2以上の整数である。
  14. 前記コイルは、さらにコア部材を備えており、
    前記コア部材は、前記第1〜第Nのターンにより生成される磁気回路の磁気抵抗を軽減する構成となっており、かつ、前記コア部材は、前記作用部を挟んで前記対象物とは反対側となる位置に配置されており、
    さらに、前記コア部材は、前記作用部に対向する位置に配置される第1部分と、前記接続部に対向する位置に配置される第2部分とを備えており、
    前記第1部分は、前記作用部の延長方向と非平行な方向に延長された複数の長尺状の第1コア体を備えており、
    前記第2部分は、前記作用部の延長方向とほぼ平行となる方向に延長された複数の長尺状の第2コア体を備えている
    請求項13に記載の磁気刺激装置。
  15. 前記支持体の下面は、略扁平状に形成されている
    請求項13又は14に記載の磁気刺激装置。
  16. 前記対象物の表面は、略球形状とされており、これによって、前記支持体の下面は、そのほぼ中央において、前記対象物の表面に接触する構成となっている
    請求項15に記載の磁気刺激装置。
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