JP6628252B2 - 虚血性眼疾患の処置用の医薬組成物 - Google Patents

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Description

本特許出願は、2014年2月28日に出願された日本国特許出願第2014−38457号について優先権を主張するものであり、ここに参照することによって、その全体が本明細書中へ組み込まれるものとする。
本発明は、虚血性眼疾患の処置用の化合物、当該化合物を含む医薬組成物、当該化合物を使用することを含む虚血性眼疾患の処置用医薬の製造方法、虚血性眼疾患の処置用医薬の製造における当該化合物の使用および当該化合物または医薬組成物を投与することを含む虚血性眼疾患の処置方法を提供する。本発明により処置される虚血性眼疾患は、例えば、網膜中心動脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、虚血性視神経症、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症または糖尿病性網膜症を含む。
虚血性眼疾患は、眼虚血に起因する疾患の総称である。虚血性眼疾患の発症率・罹患率について、日本国内で、例えば、網膜中心動脈閉塞症の発症率は500人/年、網膜動脈分枝閉塞症は5000人/年、虚血性視神経症は1000−5000人/年、網膜中心静脈閉塞症の罹患率は14万人、網膜静脈分枝閉塞症は140万人、糖尿病性網膜症は300万人と推定される。
網膜中心動脈閉塞症は、網膜を栄養する唯一の血管である網膜中心動脈の閉塞に起因し、極度の視力低下が起こる疾患である。網膜動脈分枝閉塞症は、網膜動脈の分枝部の閉塞に起因し、虚血部位に対応する視野欠損が生じる疾患である。
虚血性視神経症は、視神経を栄養する短後毛様動脈の閉塞に起因し、視力および視野の障害をもたらす疾患である。
網膜中心静脈閉塞症は、網膜中心静脈の閉塞に起因し、網膜全体の出血をもたらす。網膜静脈分枝閉塞症は、網膜静脈の分枝部の閉塞に起因し、網膜の限局した部位の出血をもたらす。出血部位の毛細血管の閉塞により、虚血性変化が引き起こされる。網膜中心静脈閉塞症および網膜静脈分枝閉塞症は、それ自体が視力を低下させるが、網膜虚血やそれに続発する硝子体出血および血管新生緑内障などの合併症により、さらなる視力低下をもたらす場合もある。
糖尿病網膜症は、糖尿病の合併症の1つであり、日本国における成人の失明原因の多数を占める。高血糖により網膜の微小血管が損傷を受け、網膜虚血に陥ると、網膜に新生血管が生じる。網膜虚血そのもの、あるいは、新生血管の出血や浮腫が起こると、視力が低下する。硝子体出血や網膜剥離などの失明に繋がる重篤な疾患の原因となることも多い。
また、高眼圧による動脈の圧迫に起因する眼虚血により、視神経疾患または視神経障害が生じる場合がある。
現在のところ、虚血性眼疾患の有効な治療方法は確立されておらず、患者は高確率で失明等の永続的な高度視機能障害に至る。従って、新規の治療方法が必要とされている。
Retinal ischemia: mechanisms of damage and potential therapeutic strategies. Neville N. Osborne, Robert J. Casson, John P.M. Wood, Glyn Chidlow, Mark Graham, Jose Melena. Progress in Retinal and Eye Research 23 (2004) 91-147 Ischemic optic neuropathies - where are we now? Sohan Singh Hayreh. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol (2013) 251:1873-1884
本発明の課題は、虚血性眼疾患を処置し得る医薬を提供することである。
本発明は、虚血性眼疾患の処置用の、式(I):
〔式中、
Raはそれぞれ独立して、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、ハロ置換アルキル、アリール、ハロまたはアルキル置換アリール、アルコキシ、ヒドロキシまたはカルボキシ置換アルコキシ、アリールオキシ、ハロまたはアルキル置換アリールオキシ、CHO、C(O)−アルキル、C(O)−アリール、C(O)−アルキル−カルボキシル、C(O)−アルキレン−カルボキシエステルおよびシアノから成る群から選択され、
mは0〜4から選択される整数である〕
の化合物またはそのオキシド、エステル、プロドラッグ、薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(以下、本発明の化合物と称する)を提供する。
さらなる態様において、本発明は、上記式(I)の化合物またはそのオキシド、エステル、プロドラッグ、薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む、虚血性眼疾患の処置用の医薬組成物を提供する。
さらなる態様において、本発明は、虚血性眼疾患の処置用の医薬組成物を製造するための、上記式(I)の化合物またはそのオキシド、エステル、プロドラッグ、薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
さらなる態様において、本発明は、虚血性眼疾患の処置の方法であって、それを必要とする対象に治療上有効量の上記式(I)の化合物またはそのオキシド、エステル、プロドラッグ、薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを含む方法を提供する。
さらなる態様において、虚血性眼疾患は、網膜中心動脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、虚血性視神経症、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、糖尿病性網膜症または高眼圧症に基づく視神経疾患もしくは視神経障害である。
本発明の化合物は、網膜中心動脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、虚血性視神経症、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、糖尿病性網膜症または高眼圧症に基づく視神経疾患もしくは視神経障害などの虚血性眼疾患を処置し得る。
図1は、化合物32を経口投与した網膜虚血ラットの網膜電位図(ERG)を示す。 図2は、化合物32を腹腔内投与した網膜虚血ラットの網膜電位図(ERG)を示す。 図3は、化合物32を腹腔内投与した網膜虚血ラットのb波振幅を示すグラフである。
定義
特に具体的な定めのない限り、本明細書で使用される用語は、有機化学、医学、薬学、分子生物学、微生物学等の分野における当業者に一般に理解されるとおりの意味を有する。以下にいくつかの本明細書で使用される用語についての定義を記載するが、これらの定義は、本明細書において、一般的な理解に優先する。
「アルキル」は、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する、1価飽和脂肪族ヒドロカルビル基を意味する。「Cx−yアルキル」は、x〜y個の炭素を有するアルキル基を意味する。アルキルは、例えば直鎖および分枝鎖ヒドロカルビル基、例えばメチル(CH−)、エチル(CHCH−)、n−プロピル(CHCHCH−)、イソプロピル((CHCH−)、n−ブチル(CHCHCHCH−)、イソブチル((CHCHCH−)、sec−ブチル((CH)(CHCH)CH−)、t−ブチル((CHC−)、n−ペンチル(CHCHCHCHCH−)およびネオペンチル((CHCCH−)を意味するが、これらに限定されない。
基の接頭語「置換」は、当該基の1個以上の水素原子が、同一または異なる指定する置換基によって置換されていることを意味する。
「アルキレン」は、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する、2価飽和脂肪族ヒドロカルビル基を意味する。「Cx−yアルキレン」はx〜y個の炭素を有するアルキレンを意味する。アルキリデン基およびアルキレン基は、分枝鎖および直鎖ヒドロカルビル基を含む。
「アルコキシ」は、−O−アルキル(ここで、アルキルは本明細書に定義されている)の基を意味する。アルコキシは、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、sec−ブトキシおよびn−ペントキシを含む。
「アリール」または「Ar」は1個の環(例えばフェニル)または複数の縮合環(例えばナフチルまたはアントリル)を有する6〜14個の炭素原子の1価芳香族性炭素環式基を意味する。アリール基は典型的には、フェニルおよびナフチルを含む。
「アリールオキシ」は、−O−アリール(ここで、アリールは本明細書に定義されている)の基を意味し、例えばフェノキシおよびナフトキシを含む。
「シアノ」または「カルボニトリル」は、−CNの基を意味する。
「カルボキシル」または「カルボキシ」は−COOHまたはその塩を意味する。
「カルボキシルエステル」または「カルボキシエステル」は、−C(O)O−アルキル(ここで、アルキルは本明細書に定義されている)の基を意味する。
「ハロ」または「ハロゲン」はフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は−OHの基を意味する。
特に定めのない限り、本明細書において明示的に定義されていない置換基の命名法は、官能基の末端部分を命名し、次いで結合点に向かって隣接する官能基を命名して行う。例えば、置換基「アリールアルキルオキシカルボニル」は、(アリール)−(アルキル)−O−C(O)−を意味する。
上記定義は許容されない置換パターン(例えば5個のフルオロ基で置換されたメチル)を含むことを意図しないと理解される。かかる許容されない置換パターンは、当業者に周知である。
「化合物」は、本明細書において使用するとき、本明細書に記載の式(I)に含まれる化合物、および式(I)の具体的な化合物、ならびにそれらのオキシド、エステル、プロドラッグ、薬学的に許容される塩または溶媒和物を意味する。該用語はさらに、化合物または化合物群の立体異性体および互変異性体を含む。
化合物の「溶媒和物」は、化学量論または非化学量論量の溶媒と結合した上記定義の化合物を意味する。溶媒和物は、式(I)の化合物のオキシド、エステル、プロドラッグまたは薬学的に許容される塩の溶媒和物を含む。溶媒は、揮発性であり、非毒性であり、かつ/または、痕跡量でヒトへの投与に許容される。好適な溶媒和物は水を含む。
「立体異性体」は、1個以上の立体中心のキラリティーが異なる化合物を意味する。立体異性体はエナンチオマーおよびジアステレオマーを含む。式(I)の化合物およびその何れかの薬学的に許容される塩、エステル、オキシドおよびプロドラッグは、非対称的に置換された炭素原子を含んでいる場合がある。かかる非対称的に置換された炭素原子は、エナンチオマー、ジアステレオマーおよび(R)−または(S)−型のような絶対立体化学として定義され得る他の立体異性形態で存在する化合物をもたらし得る。その結果、化合物のすべてのかかる可能な異性体、それらの光学的に純粋な形態における個々の立体異性体、それらの混合物、ラセミ混合物(またはラセミ体)、ジアステレオマーの混合物ならびに1個のジアステレオマーが意図される。用語「S」および「R」立体配置は、本明細書において使用するとき、IUPAC 1974 RECOMMENDATIONS FOR SECTION E, FUNDAMENTAL STEREOCHEMISTRY, Pure Appl. Chem. 45:13 30 (1976) によって定義されるとおりである。
「互変異性体」は、エノールケトおよびイミンエナミン互変異性体のようなプロトンの位置が異なる、化合物の別の形態または環−NH−基および環=N−基の両方と結合した環原子を含むヘテロアリール基の互変異性型、例えばピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾールおよびテトラゾールを意味する。
「薬学的に許容される塩」は当該技術分野で周知の多様な有機および無機対イオンに由来する薬学的に許容される塩を意味し、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよびテトラアルキルアンモニウムとの塩、ならびに有機もしくは無機酸との塩、例えば塩酸、臭化水素酸、酒石酸、メシル酸、酢酸、マレイン酸およびオキサル酸との塩を含む。化合物の薬学的に許容される塩は、式(I)の化合物のオキシド、エステルまたはプロドラッグの塩を含む、薬学的に許容される塩を意味する。
本明細書において使用するとき、用語「薬学的に許容される塩」は、式(I)の化合物の非毒性酸またはアルカリ土類金属塩を含む。これらの塩は、式(I)の化合物の最終単離および精製中にインサイチュで、あるいは塩基もしくは酸官能基と好適な有機もしくは無機酸もしくは塩基を別に、それぞれ反応させて製造することができる。代表的な塩は:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ブチル酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、オキサル酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩を含むが、これらに限定されない。また、塩基性窒素含有基は、メチル、エチル、プロピルおよびブチルの塩化物、臭素化物およびヨウ化物のようなアルキルハライド;ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミル硫酸のようなジアルキル硫酸、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルの塩化物、臭素化物およびヨウ化物のような長鎖ハライド、ベンジルおよびフェネチルの塩化物のようなアラルキルハライドならびに他のもののような反応剤で4級化されていてもよい。それによって、水または油に溶解または分散する生成物が得られる。
薬学的に許容される酸付加塩を形成するために使用することができる酸の例は、塩酸、硫酸およびリン酸のような無機酸およびシュウ酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、コハク酸およびクエン酸のような有機酸を含む。塩基付加塩は、式(I)の化合物の最終単離および精製中にインサイチュで、あるいはカルボン酸基と好適な塩基、例えば薬学的に許容される金属カチオンのヒドロキシド、カルボネートもしくはビカルボネートまたはアンモニア、または有機第1級、第2級もしくは第3級アミンとを別に反応させて製造することができる。薬学的に許容される塩は、アルカリおよびアルカリ土類金属のカチオン、例えばナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムの塩等、ならびに非毒性アンモニウム、第4級アンモニウムおよびアミンのカチオン、例えば限定されないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン等を含むが、これらに限定されない。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンは、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン等を含む。
本明細書において使用するとき、用語「エステル」は、インビボで加水分解されるエステルを意味し、人体で容易に分解されて親化合物またはその塩を放出するものを含む。好適なエステル基は、例えば、薬学的に許容される脂肪族カルボン酸、特にアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸およびアルカン二酸に由来するもの(ここで、各アルキルまたはアルケニル基は有利には6個以下の炭素原子を有する)を含む。具体的なエステルの例は、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、ブチル酸エステル、アクリル酸エステルおよびエチルコハク酸エステルを含む。
用語「プロドラッグ」は、本明細書において使用するとき、合理的な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー性応答等なくヒトまたは動物の組織と接触させて使用するのに適した、合理的な利益/危険比で釣り合った、そして意図した使用に有効な化合物のプロドラッグ、ならびに可能であれば本発明の化合物の双性イオン形態を意味する。プロドラッグは、インビボで速やかに、例えば血中で加水分解によって変換されて、上記式の親化合物をもたらす化合物である。一般的な説明は、T. Higuchi and V. Stella, Pro drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14 of the A.C.S. Symposium SeriesおよびEdward B. Roche, ed., Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987に記載されている(いずれも参照により本明細書に引用する)。
式(I)の化合物またはその何れかの薬学的に許容される塩、エステル、オキシドおよびプロドラッグがヒトまたは動物体または細胞における代謝によって、インビボで処理されて代謝産物を生じ得ることが当業者には明らかであろう。用語「代謝産物」は、本明細書において使用するとき、親化合物の投与後、対象において生産される何れかの式の誘導体を意味する。誘導体は、多様な対象における生化学的変換、例えば酸化、還元、加水分解または結合によって親化合物から生産されてよく、例えばオキシドおよび脱メチル化誘導体を含む。本発明の化合物の代謝産物は、当該技術分野で既知の日常的な技術を用いて同定することができる。例えば Bertolini, G. et al., J. Med. Chem. 40:2011 2016 (1997); Shan, D. et al., J. Pharm. Sci. 86(7):765 767; Bagshawe K., Drug Dev. Res. 34:220 230 (1995); Bodor, N., Advances in Drug Res. 13:224 331 (1984); Bundgaard, H., Design of Prodrugs (Elsevier Press 1985);およびLarsen, I. K., Design and Application of Prodrugs, Drug Design and Development (Krogsgaard Larsen et al., eds., Harwood Academic Publishers, 1991) を参照されたい。式(I)の化合物またはそれらの何れかの薬学的に許容される塩、エステル、オキシドおよびプロドラッグの代謝産物である個々の化合物は、本発明の態様に含まれると理解されるべきである。
ある実施態様において、本発明の化合物は、Raが、それぞれ独立して、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、ハロ置換アルキルおよびアルコキシから成る群から選択される、式(I)の化合物またはそのオキシド、エステル、プロドラッグ、薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
ある実施態様において、本発明の化合物は、Raが、それぞれ独立して、ハロおよびアルキルから成る群から選択される、式(I)の化合物またはそのオキシド、エステル、プロドラッグ、薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
ある実施態様において、本発明の化合物は、Raが2個存在し、一方がハロであり、他方がアルキルである、式(I)の化合物またはそのオキシド、エステル、プロドラッグ、薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
ある実施態様において、本発明の化合物は、次の表1に記載の化合物1〜53から選択される化合物またはそのオキシド、エステル、プロドラッグ、薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
ある実施態様において、本発明の化合物は、式
の化合物(上記表1の化合物32)またはそのオキシド、エステル、プロドラッグ、薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、特にそのナトリウム塩である。
式(I)の化合物、特に、化合物番号1〜53の化合物の合成方法は、国際公開第2012/014994号および国際公開第2012/043891号に詳細に記載されている。これらの文献の全体を出典明示により本明細書の一部とする。
投与および医薬組成物
本発明のある実施態様では、少なくとも1種の式(I)の化合物を、単独でまたはさらなる薬剤とともに含み、ヒトまたは動物対象への投与に適した薬学的に許容される担体を含む、虚血性眼疾患の処置用の医薬組成物が提供される。
本発明のある実施態様では、虚血性眼疾患の処置用の式(I)の化合物が提供される。また、本発明のさらなる実施態様では、虚血性眼疾患の処置用の医薬組成物の製造における、式(I)の化合物の使用が提供される。
「対象」は動物を意味し、ヒトおよび非ヒト哺乳類を含む。
本明細書で使用されるとき、「処置する」または「処置」は、疾患に罹患している対象において、疾患の原因を軽減または除去すること、疾患の進行を遅延または停止させること、および/または、疾患の症状、例えば、視機能の異常を、抑制、軽減、緩和、改善または除去することを意味する。
式(I)の化合物により処置される虚血性眼疾患には、眼の虚血に起因または関連するすべての眼疾患が含まれ、例えば、網膜中心動脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、虚血性視神経症、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、糖尿病性網膜症および高眼圧症に基づく視神経疾患または視神経障害が含まれる。ある実施態様では、虚血性眼疾患は急性虚血性眼疾患である。ある実施態様では、虚血性眼疾患は虚血再灌流障害を伴うものである。
一般に、本発明の化合物は治療上有効量で、医薬的に許容される投与形態で投与される。実際の化合物、すなわち有効成分の量は、処置する疾患の重症度、対象の年齢および相対的健康、使用する化合物の能力、投与経路および形態ならびに他の要因のような多くの要因に依存する。本発明の化合物は1日1回以上、好ましくは1日3回または4回投与することができる。全てのこれらの要因は、担当臨床医の技術範囲内である。
担体物質と組み合わせて単剤形態を製造することができる有効成分の量は、処置される対象および具体的な投与形態によって変化する。しかし、何れかの具体的な対象のための具体的な用量レベルは、使用する具体的な化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康、性別、食事、投与時間、投与経路、排出速度、薬剤の組合せおよび治療を行う具体的な疾患の重症度を含む多様な要因に基づくと理解される。ある状況での治療上有効量は、日常的な実験によって容易に決定することができ、通常の臨床医の技術および判断の範囲内である。
一般に、治療上有効量は、1回または分割用量として宿主に投与される合計1日用量として、例えば約0.001〜約1000mg/kg体重/日、あるいは約1.0〜約30mg/kg体重/日の量であり得る。単位投与組成物は、1日用量を構成するために、その約数の量を含んでいてもよい。
好適な薬学的に許容される担体または希釈剤は、例えばプロセッシング剤および薬剤送達修飾剤および促進剤、例えばリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、単糖類、二糖類、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ポリビニルピロリジノン、低融点ワックス、イオン交換樹脂等、ならびにそれらの1種以上の組合せを含む。液体および半固体賦形剤は、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールおよび多様な油、例えば石油、動物、植物または合成起源のもの、例えばピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油等から選択することができる。ある実施態様において、とくに注射液のための液体担体は、水、食塩水、水性デキストロースおよびグリコールを含む。他の好適な薬学的に許容される賦形剤は、"Remington's Pharmaceutical Sciences," Mack Pub. Co., New Jersey (1991) に記載されている。
製剤の選択は、薬剤投与形態および薬剤物質の生物学的利用能のような多様な要因に基づく。該薬剤は次の経路の何れか一つまたは2つ以上の組合せによって医薬組成物として投与することができる:経口投与、全身投与(例えば、経皮、鼻腔内または座薬による)、局所投与(例えば、点眼、硝子体内、結膜下、テノン嚢内または経皮投与による)または非経腸投与(例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、胸骨内注射または輸液技術による)、好ましくは経口、点眼、硝子体内、結膜下、テノン嚢内または腹腔内投与。ある実施態様では、局所投与は、点眼、結膜下注射、テノン嚢注射、硝子体注射等、特に硝子体注射である。例示的な投与方法は、疾患の程度によって調節し得る簡便な1日投与レジメンを用いた経口投与である。組成物は錠剤、ピル、カプセル剤、半固体、粉末、徐放製剤、溶液、懸濁液、エリキシル剤、エアロゾルまたは他の適切な組成物の何れかの形態を取り得る。他の投与方法は、呼吸管に直接治療剤を送達するような吸入投与である(米国特許5,607,915参照)。局所投与はまた、経皮パッチまたはイオン泳動デバイスのような経皮投与の使用も含む。
注射製剤、例えば滅菌注射水性または油性懸濁液は、既知の技術によって、好適な分散剤または湿潤剤または懸濁剤を用いて製剤することができる。滅菌注射製剤はまた、非毒性の非経腸的に許容される希釈剤または溶媒の滅菌注射液または懸濁液、例えば1,3−プロパンジオール溶液であってもよい。使用することができる許容されるビークルおよび溶媒は、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌固定油が溶媒または分散媒として簡便に使用される。この目的で、合成モノまたはジグリセリドを含むあらゆる等級の固定油を使用することができる。さらに、オレイン酸のような脂肪酸は、注射製剤において使用できる。
薬剤の直腸投与用の座薬は、薬剤と、常温で固体であるが、直腸温度で液体であり、従って直腸で融解して薬剤を放出する好適な非刺激性賦形剤、例えばココアバターおよびポリエチレングリコールを混合して製造することができる。
経口投与用固体投与形態は、カプセル剤、錠剤、ピル、粉末および顆粒を含み得る。かかる固体投与形態において、活性化合物は少なくとも1種の不活性希釈剤、例えばショ糖、ラクトースまたはデンプンと混合してもよい。かかる投与形態はまた、通常実施されているとおり、不活性希釈剤以外の添加物、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤が含まれていてもよい。カプセル剤、錠剤およびピルの場合、該投与形態は緩衝化剤を含んでいてもよい。錠剤およびピルはさらに、腸溶コーティングで製造されていてもよい。
経口投与用液体投与形態は、水のような当該技術分野において通常使用される不活性希釈剤を含む薬学的に許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤を含んでいてもよい。かかる組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、シクロデキストリンおよび甘味剤、風味剤および芳香剤のようなアジュバントを含んでいてもよい。
本発明の化合物はまた、リポソームの形態で投与することができる。当該技術分野において知られているとおり、リポソームは一般に、リン脂質または他の脂質物質に由来する。リポソームは水性媒体に分散したモノまたはマルチラメラ水和液晶によって形成される。リポソームを形成することができるあらゆる非毒性の、生理的に許容され、代謝され得る脂質が使用され得る。リポソーム形態の本組成物は、安定化剤、保存剤、賦形剤等を含んでいてもよい。脂質の例は、天然および合成リン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成する方法は当該技術分野において既知である。例えばPrescott, Ed., Methods in Cell Biology, Volume XIV, Academic Press, New York, N.W., p. 33 et seq. (1976) を参照されたい。
圧縮ガスを用いて、本発明の化合物をエアロゾル形態に分散させることができる。この目的に好適な不活性ガスは、窒素、二酸化炭素等である。他の好適な医薬賦形剤およびそれらの製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences, edited by E. W. Martin (Mack Publishing Company, 18th ed., 1990) に記載されている。
吸入による送達のために、本発明の化合物は溶液、懸濁液、エアロゾルプロペラントまたは乾燥粉末として製剤して、投与のための好適なディスペンサーに充填することができる。多様なタイプの医薬吸入デバイス、ネブライザー、吸入器、一定用量吸入器(MDI)および乾燥粉末吸入器(DPI)が存在する。ネブライザーデバイスは、対象の呼吸管に運搬される霧として治療剤(これは液体形態で製剤される)を噴霧する、高速気流を生み出す。MDIは典型的に、圧縮ガスにパッケージされた製剤である。作動すると該デバイスは圧縮ガスによって所定量の治療剤を放出し、従って一定量の化合物を投与する信頼される方法である。DPIは、該デバイスによって対象の呼吸気流中に分散させることができる自由に流動する粉末の形態の治療剤を放出する。自由に流動する粉末を得るために、治療剤はラクトースのような賦形剤と製剤される。一定量の治療剤がカプセル形態で蓄えられており、動作毎に放出される。
本発明の化合物はまた、点眼剤の形態で投与することができる。点眼剤は、塩化ナトリウム、濃グリセリンなどの等張化剤;リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどの緩衝化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の界面活性剤;クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム等の安定化剤;塩化ベンザルコニウム、パラベン等の防腐剤等を必要に応じて用い、調製することができる。pHは眼科製剤に許容される範囲内にあればよいが、通常4〜8の範囲内である。また、眼軟膏は、白色ワセリン、流動パラフィン等の汎用される基剤を用い、調製することができる。
硝子体内投与用の注射剤は、塩化ナトリウム等の等張化剤;リン酸ナトリウム等の緩衝化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等の界面活性剤;メチルセルロース等の増粘剤等を必要に応じて用い、調製することができる。
下記実施例は本発明を説明するが、その範囲を限定するものではない。
実施例1
化合物32:4−アミノ−3−[6−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピリジン−3−イルアゾ]ナフタレン−1−スルホン酸ナトリウム塩の合成
(i)2−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−5−ニトロピリジン
2−クロロ−5−ニトロピリジン(5.0g、31.5mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.35g、0.3mmol)を1,2−ジメトキシエタン(50ml)に加え、減圧下で脱気、窒素置換を3回行った。窒素雰囲気下、室温で20分間撹拌後、4−フルオロ−2−メチルフェニルボロン酸(31.5mmol)、2M炭酸ナトリウム水溶液(31.5ml)を注加し、80℃に昇温した。80℃で3時間反応後、室温まで冷却し酢酸エチルと水を加えて抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。カラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を得た。
(ii)6−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピリジン−3−イルアミン
エタノール(20ml)と水(5ml)を混合し、鉄粉を加え70−80℃に加熱した。塩化アンモニウム(0.1g、2.1mmol)を加え、次いで(i)で得られた2−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−5−ニトロピリジン(10.0mmol)を加え、70−80℃で1時間反応を行った。反応終了後、鉄粉をセライトで熱時ろ過し、ろ液を減圧下濃縮した。残渣をイソプロピルアルコールに溶解し、水を加え晶析・ろ過し、表題化合物を得た。
(iii)4−アミノ−3−[6−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピリジン−3−イルアゾ]ナフタレン−1−スルホン酸ナトリウム塩
(ii)で得られた6−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピリジン−3−イルアミン(58.9mmol)を99%酢酸(50ml)に溶解し、35%塩酸(25g)を加え塩酸塩とした。氷冷下、36%亜硝酸ナトリウム水溶液(12g、62.5mmol)を0−5℃で滴下し、約15分間反応を行った。アミド硫酸を加え、更に5分間反応を行い、ジアゾ液を得た。4−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(13.0g、58.4mmol)を水(130ml)に懸濁し、10%水酸化ナトリウム水溶液でpH8−9に調整した。5−10℃まで冷却し、得られたジアゾ液を5−10℃で滴下した。その際、pH7−9を維持するよう10%水酸化ナトリウム水溶液で調整した。滴下終了後、5−10℃で1時間反応を行い、その後室温まで昇温した。飽和食塩水で塩析し、析出した結晶を吸引ろ過した。カラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を得た。
1H-NMR δ[ppm]=9.22 (1H, d, J=2.4Hz), 8.76 (1H, d, J=8.1), 8.49-8.44 (2H, m), 8.34 (1H, s), 7.82 (2H, bs), 7.67-7.47 (4H, m), 7.21-7.11 (2H, m), 2.41 (3H, s)
13C-NMR (DMSO-d6) δ[ppm]=163.5, 160.3, 158.2, 147.1, 146.7, 145.4, 138.8, 138.7, 136.1, 136.1, 132.4, 132.1, 131.8, 131.7, 129.2, 128.6, 128.3, 127.2, 125.1, 124.6, 124.2, 124.0, 117.3, 117.1, 116.6, 112.9, 112.6, 20.4, 20.4
実施例2
網膜虚血ラットモデルの作成
Washington University より分与された Thy1-GFP ラット(Magill CK et al. Arch Facial Plast Surg 2010)を使用して、網膜虚血(I/R)ラットモデルを作成した。8〜10週齢の雄のラットを、ケタミン(80mg/体重kg)およびキシラジン(5mg/体重kg)の筋肉内注射により麻酔し、眼球の前房内に33G注射針を刺入した後に、生理食塩水を灌流し、眼圧を150mmHgまで上昇させた。眼底観察で網膜動脈の虚脱を確認した後、高眼圧を60分間維持し、網膜虚血ラットモデルを作成した。
実施例3
網膜虚血ラットにおける網膜電位の測定
化合物32を経口投与した網膜虚血ラットで網膜電位図(ERG)を測定した。
I/R施行3日前から、生理食塩水に溶解した化合物32(50mg/kg)を、1日1回、胃ゾンデによりラットに経口投与した。対照ラットには、同じ方法で生理食塩水のみを投与した。I/R施行の開始前および7日後に、網膜電位図(ERG)を測定した。ERG測定24時間前からラットを暗順応させ、全身麻酔(80mg/kgケタミン+5mg/kgキシラジン筋注)、散瞳下(0.5%フェニレフリン、5%ネオシネジン)で検査を行った。暗順応下にて、ガンツフェルト全視野ERGで3cds/mで刺激し、角膜に装用したコンタクトレンズ型電極で波形を記録した。結果を図1に示す。
図1に示す通り、化合物32を投与したラットでは、生理食塩水を投与した対照ラットと比較して、b波およびa波の振幅低下が軽度であった。また、b波潜時の延長が軽度であった。この結果は、化合物32の投与が虚血および/または虚血再潅流による視機能の低下を抑制したことを示す。
実施例4
網膜虚血ラットにおける網膜電位の測定
化合物32を腹腔内投与した網膜虚血ラットで網膜電位図(ERG)を測定した。
I/R施行3日前から、生理食塩水に溶解した化合物32(50mg/kg)を、腹腔内注射により、1日1回ラットに投与した。対照ラットには、同じ方法で生理食塩水のみを投与した。I/R施行の開始前および7日後に、網膜電位図(ERG)を測定した。ERG測定24時間前からラットを暗順応させ、全身麻酔(80mg/kgケタミン+5mg/kgキシラジン筋注)、散瞳下(0.5%フェニレフリン、5%ネオシネジン)で検査を行った。暗順応下にて、ガンツフェルト全視野ERGで3cds/mで刺激し、角膜に装用したコンタクトレンズ型電極で波形を記録した。結果を図2に示す。
図2に示す通り、化合物32を投与したラットでは、生理食塩水を投与した対照ラットと比較して、b波およびa波の振幅低下が軽度であった。また、b波潜時の延長が軽度であった。この結果は、化合物32の投与が虚血および/または虚血再潅流による視機能の低下を抑制したことを示す。
実施例5
網膜虚血ラットにおける網膜電位の測定
実施例4と同様に、化合物32を腹腔内投与した網膜虚血ラット(N=11)および対照ラット(N=11)で網膜電位図(ERG)を測定した。結果を表2および図3に示す。
図3に示す通り、I/R実施前は、b波振幅は、化合物32を投与したラットでは、0.562±0.155mV(平均±標準偏差)、生理食塩水を投与した対照ラットでは、0.617±0.110mV(平均±標準偏差)で有意差はなかった(P=0.37)。I/R7日後のb波振幅は、化合物32を投与したラットでは、0.214±0.144mV(平均±標準偏差)、生理食塩水を投与した対照ラットでは、0.104±0.034mV(平均±標準偏差)で、化合物32投与ラットで有意に大きかった(P=0.03)。この結果は、化合物32の投与が虚血および/または虚血再潅流による視機能の低下を抑制したことを示す。
上記の試験結果により、本発明の化合物、特に化合物32を、虚血性眼疾患の処置に利用できることが理解される。

Claims (14)

  1. 虚血性眼疾患の処置用の、式(I):

    〔式中、
    Raはハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシまたはカルボキシ置換C1−6アルコキシ、CHO、C(O)−C1−6アルキル、C(O)−C1−6アルキル−カルボキシル、C(O)−C1−6アルキレン−カルボキシエステルおよびシアノから成る群から選択され、
    mは0〜4から選択される整数である〕
    の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物、但し、虚血性眼疾患は正常眼圧緑内障ではない
  2. Raが、それぞれ独立して、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシから成る群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. Raが、それぞれ独立して、ハロおよびC1−6アルキルから成る群から選択される、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
  4. Raが2個存在し、一方がハロであり、他方がC1−6アルキルである、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の医薬組成物。
  5. 化合物が、4−アミノ−3−[6−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピリジン−3−イルアゾ]ナフタレン−1−スルホン酸またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の医薬組成物。
  6. 虚血性眼疾患が急性虚血性眼疾患である、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の医薬組成物。
  7. 虚血性眼疾患が虚血再灌流障害を伴うものである、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の医薬組成物。
  8. 虚血性眼疾患が、網膜中心動脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、虚血性視神経症、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、糖尿病性網膜症または高眼圧症に基づく視神経疾患もしくは視神経障害である、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の医薬組成物。
  9. 虚血性眼疾患が、網膜中心動脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症または虚血性視神経症である、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の医薬組成物。
  10. 虚血性眼疾患が網膜中心動脈閉塞症または網膜動脈分枝閉塞症である、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の医薬組成物。
  11. 局所投与用の請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の医薬組成物。
  12. 硝子体投与用の請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の医薬組成物。
  13. 経口投与用の請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の医薬組成物。
  14. 虚血性眼疾患の処置用の医薬組成物を製造するための、請求項1に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用。
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