JP6623752B2 - 熱可塑性樹脂組成物、及びこれを用いた成形品。 - Google Patents
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Description
例えば、植物由来モノマーとしてイソソルビドを使用し、炭酸ジフェニルとのエステル交換により、ポリカーボネートを得ることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、イソソルビドと脂肪族ジオールとを共重合すること(例えば、特許文献2参照)や脂環式ジヒドロキシ化合物である1,4−シクロヘキサンジメタノールを重合すること(例えば、特許文献3参照)により、イソソルビドからなるホモポリカーボネートの樹脂としての物性を改善する試みがなされている。また、ポリカーボネートの重合温度や触媒を考慮したり、ブルーイング剤を含有することで、イソソルビドを原料としてなるポリカーボネートのヘイズなどを改良することが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
[1] 下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むポリカーボネート樹脂と個数平均粒子径が1〜20μmのアクリル酸エステル・スチレン共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物。
[3] ポリカーボネート樹脂およびアクリル酸エステル・スチレン共重合体の合計量を100重量部としたときに、アクリル酸エステル・スチレン共重合体の含有量が0.1〜5重量部である[1]または[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4] ポリカーボネート樹脂の還元粘度が、0.30dL/g以上、1.20dL/g以下である[1]〜[3]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5] 耐光安定剤を含有する[1]〜[4]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6] 酸化防止剤を含有する[1]〜[5]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[7][1]〜[6]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形品。
型のスクリーン、各種ディスプレイ、液晶表示装置の光拡散シート等の、光拡散性が要求される用途に好適に用いることができる熱可塑性樹脂組成物及びこれを成形してなる成形品を提供することができる。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)は、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂である。
ンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能である。
また、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、又は炭酸塩、カルボン酸塩、フェノール塩といった塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩が好ましい。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
また、上記ポリカーボネート樹脂(A)の透明性、色相、耐光性を特に優れたものとするために、触媒が、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、及びバリウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが好ましく、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが特に好ましい。
上記の中でも2族金属からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含む化合物を用いる場合、金属換算量として、反応に供する全ジヒドロキシ化合物1モル当たり、好ましくは0.1μモル以上、更に好ましくは0.5μモル以上、特に好ましくは0.7μモル以上とする。また、上限としては、好ましくは20μモル、更に好ましくは10μモル、特に好ましくは3μモル、最も好ましくは2.0μモルである。
けでなく、副生成物が発生したりして流動性の低下やゲルの発生が多くなり、脆性破壊の起因となる場合があり、目標とする品質のポリカーボネート樹脂(A)の製造が困難になる可能性がある。
なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物において、触媒の金属の使用量は、ポリカーボネート樹脂製造に用いられる触媒に由来して熱可塑性樹脂組成物中に含まれるものである。したがって、熱可塑性樹脂組成物中の触媒の金属の使用量は、上記規定する範囲と同じ使用量である。
また、本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)を製造する際には、異物の混入を防止するため、フィルターを設置することが望ましい。フィルターの設置位置は押出機の下流側が好ましく、フィルターの異物除去の大きさ(目開き)は、99%除去の濾過精度として通常100μm以下が好ましい。特に、フィルム用途等で微少な異物の混入を嫌う場合は、40μm以下が好ましく、さらには10μm以下が好ましい。
また、押出されたポリカーボネート樹脂(A)を冷却しチップ化する際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、ヘパフィルター等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが望ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、さらにフィルターにて、水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは、99%除去の濾過精度として10μm〜0.45μmであることが好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A)の還元粘度が低すぎると樹脂組成物としたときの靱性が小さい可能性があり、還元粘度が大きすぎると、電気・電子機器部品や自動車内外装部品を成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。また、成形温度を適正以上に高くしなければならず、色調が悪化する場合がある。
尚、ポリカーボネート樹脂の還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート樹脂濃度を0.6g/dLに精密に調製し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定する。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)の全光線透過率およびヘイズ(Haze)は、以下の方法により測定することができる。
3つのベント口および注水設備を供えた二軸押出機に連続的に溶融状態のポリカーボネート樹脂を供給し、該ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、酸化防止剤としてイルガノックス1010(BASF・ジャパン株式会社製、ペンタエリスリトール−テトラ
キス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])を0.1質量部、アデカスタブ2112(株式会社ADEKA製、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)を0.05質量部および離型剤としてユニスターE−275(日油株式会社製)0.3質量部を連続的に添加するとともに、二軸押出機に具備された各ベント部にてフェノールなどの低分子量物を減圧脱揮した後、ペレタイザーによりペレット化を行う。
二軸押出機で混練したペレットについて、80℃で4時間予備乾燥したペレットを日本製鋼所製J75EII型射出成形機で、シリンダー温度230℃、成形サイクル45秒、金型温度60℃で、60mm×60mm×3mmtの平板を成形する。
日本電色工業社製ヘイズメーターNDH2000を使用し、D65光源にて上記試験片のヘイズ(Haze(%))および全光線透過率(%)を測定する。 本発明のポリカーボネート樹脂(A)の全光線透過率は、85%以上であることが好ましく、さらに88%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。この光線透過率が上記下限よりも高いと、熱可塑性樹脂組成物としたときの全光線透過率が高くなる。この光線透過率の測定方法の詳細は実施例の項で記載する。
なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、ポリカーボネート樹脂(A)として、1種を単独で用いてもよく、他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の種類や共重合割合、物性等の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
[3]光拡散剤
本発明の樹脂組成物は、光拡散剤としてアクリル酸エステル・スチレン共重合体を含有する。このように光拡散剤としてアクリル酸エステル・スチレン共重合体を含有することにより、本発明の樹脂組成物、及びそれからなる成形体の光拡散性および透明性を高めることができる。
1.5〜18μm、さらに好ましくは2〜16μm、さらに好ましくは4〜14μm、最も好ましくは6〜12μmである。粒子径が上記範囲であれば、光拡散性および透明性が充分であり、光源が透けて見えることが抑制され、添加量に対する拡散効果が良好であり、またLED光源を用いた場合などに、ぎらつきが防止され、視認性に優れる。
つまり、測定器として、レーザー粒子測定器日機装社製MICROTRAC MT−3000を用いて、測定することができる。
また、該アクリル酸エステル・スチレン共重合体の屈折率は、アクリルエステル系モノマーとスチレン系モノマーとの共重合比を99:1〜1:99の範囲で変化させることによって、1.493〜1.590の範囲で調整できる。ただし、スチレン系モノマーの共重合比が高くなりすぎると、耐光性が低下して黄色味を帯びてしまい、逆にアクリルエステル系モノマーの共重合比が高くなりすぎると、微粒子と芳香族ポリカーボネートとの屈折率の差が開きすぎて、LED光源のぎらつきが目立ち、視認性が低い。従って、アクリル酸エステル・スチレン共重合体の屈折率は、好ましくは1.50〜1.58であり、より好ましくは1.51〜1.57であり、更に好ましくは1.52〜1.56のものを使用する。
本発明において使用可能なアクリルエステル酸エステル・スチレン共重合体は、市場より入手可能なものを用いても良い。このような市販品の例としては、例えば、ガンツ化成(株)より、ガンツパール、又はスタフィロイドの商品名で市販されている、GBSシリーズ、あるいはGSMシリーズから、本発明で規定する物性に適合するものが挙げられる。
なお、光拡散剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、2種以上を混合した場合は、それらを混合した場合に測定された個数平均粒子径が上記のものであれば良い。
として使用した場合に輝度が過度に低くなる可能性が抑制される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、軋み音発生の抑制効果を維持できる範囲において、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、中和剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、難燃剤、充填剤等を添加することも出来る。
酸化防止剤としては樹脂に使用される一般的な酸化防止剤が使用できるが、酸化安定性、熱安定性、漆黒性等の観点から、ホスファイト系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、およびフェノール系酸化防止剤が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に、酸化防止剤を添加する場合、その添加量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、通常0.001質量部以上が好ましく、より好ましくは0.002質量部以上、更に好ましくは0.005質量部以上であり、通常5質量部以下が好ましく、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
酸化防止剤の添加量が5質量部より多いと、成形時、金型を汚染し、優れた表面外観の成形品が得られないことがある。一方、0.001質量部未満であると、耐候試験に対する十分な改良効果が得られない傾向がある。
ホスファイト系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
これらの中でも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく使用される。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、ビス[2−メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)等が挙げられる。
これらの中でも、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート
)が好ましい。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール等の化合物が挙げられる。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられ、その分子量は、1000以下が好ましく、900以下がより好ましい。分子量が1000を超えると、成形品としたときに耐候性が十分得られない可能性がある。また分子量は300以上が好ましく、400以上がより好ましい。分子量が300未満では、耐熱性に乏しく、成形時に金型を汚染し、優れた表面外観の成形品が得られないことがある。
さらに、ピペリジン構造を有する化合物が好ましい。ここで規定するピペリジン構造とは、飽和6員環のアミン構造となっていればよく、ピペリジン構造の一部が置換基により置換されているものも含む。置換基としては、炭素数4以下のアルキル基が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、特に、ピペリジン構造を複数有する化合物が好ましく、それら複数のピペリジン構造がエステル構造により連結されている化合物が好ましい。
2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の縮合物、2,2,6,6−テトラメチル−ピレリジノールとメタノールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の縮合物、ビス(1,2,3,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、1−[2−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4,4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサンジアミンポリマーと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−ジエタノールとの縮合物、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合物、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合物等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記成分を所定の割合で同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて成形品を成形する際、任意の成形法を用いることができるが、射出成形、射出圧縮、射出プレス成形が好適に用いられる。その際に用いるランナーも、通常のコールドランナー方式だけでなく、ホットランナー方式を用いることも可能である。また、インサート成形、インモールドコーティング成形、二色成形、サンドイッチ成形等も可能である。さらに意匠性を得るために、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形を用いることも可能である。
二軸押出機で混練したペレットについて、80℃で4時間予備乾燥したペレットを日本
製鋼所製J75EII型射出成形機で、シリンダー温度230℃、成形サイクル45秒、金型温度60℃で、60mm×60mm×3mmtの平板を成形した。
(2)ヘイズ(Haze)および全光線透過率測定
日本電色工業社製ヘイズメーターNDH2000を使用し、D65光源にて上記試験片のヘイズ(HAZE(%))および全光線透過率(%)を測定した。
(3)総合判定
ヘイズ90%以上、かつ全光線透過率90%以上の場合を合格、それ以外を不合格とした。
また、以下の実施例及び比較例で用いた樹脂は、以下の製造例に記載の方法で製造されたポリカーボネート樹脂を用い、添加剤は下記の市販品を用いた。
[製造例1:ポリカーボネート樹脂(A)−1の製造]
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、イソソルビド(ISB)と1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたジフェニルカーボネート(DPC)および酢酸カルシウム1水和物を、モル比率でISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物のモル比率を0.7/0.3/1.00/1.3×10−6になるように仕込み、十分に窒素置換した(酸素濃度0.0005体積%〜0.001体積%)。続いて熱媒で内容物の加温を行った。内温が100℃になった時点で撹拌を開始し、内温が100℃になるように制御しながら内容物を融解させ均一にした。その後、昇温を開始し、40分で内温を210℃にした。内温が210℃に到達した時点でこの温度を保持するように制御すると同時に、減圧を開始し、210℃に到達してから90分で13.3kPa(絶対圧力、以下同様)にして、この圧力を保持するようにしながら、さらに60分間保持した。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を、還流冷却器に導いた。還流冷却器で凝縮した成分を重合反応装置に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の温水を冷媒として用いた凝縮器に導いて回収した。
更に3つのベント口および注水設備を供えた二軸押出機に連続的に前記溶融状態のポリカーボネート樹脂を供給し、該ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、酸化防止剤としてイルガノックス1010(BASF・ジャパン株式会社製、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])を0.1質量部、アデカスタブ2112(株式会社ADEKA製、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)を0.05質量部および離型剤としてユニスターE−275(日油株式会社製)0.3質量部を連続的に添加するとともに、二軸押出機に具備された各ベント部にてフェノールなどの低分子量物を減圧脱揮した後、ペレタイザーによりペレット化を行い、ポリカーボネート樹脂(A)−1を得た。ポリカーボネート樹脂(A)−1の還元粘度ηsp/cは、0.44dL/gであった。
また、以下の実施例及び比較例で用いた化合物の略号は次の通りである。
GM−0853S:アクリル酸エステル・スチレン共重合体、屈折率:1.53、個数平均粒子径:8μm
(アイカ工業製、商品名ガンツパール GM−0853S)
GM−0855S:アクリル酸エステル・スチレン共重合体、屈折率:1.55、個数平
均粒子径:8μm
(アイカ工業製、商品名ガンツパール GM−0855S)
SI−045:ポリメチルシルセスキオキサン、屈折率:1.41、個数平均粒子径:4μm
(アイカ工業製、商品名ガンツパール SI−045)
GM−0806S:ポリアクリル酸エステル、屈折率:1.49、個数平均粒子径:8μm
(アイカ工業製、商品名ガンツパール GM−0855S)
GS−1105:ポリスチレン、屈折率:1.59、個数平均粒子径:11μm
(アイカ工業製、商品名ガンツパール GS−1105)
TINUVIN329:ベンゾトリアゾール系UVA(BASF社製、製品名”TINUVIN”(登録商標)329)
TINUVIN770DF:HALS(BASF社製、製品名”TINUVIN”(登録商標)770DF)
上記の表1に示した組成(重量部)となるようにポリカーボネート樹脂(A)−1と拡散剤GM−0853S、耐光安定剤としてTinuvin329、Tinuvin770DFとを2つのベント口を有する日本製鋼所社製2軸押出機(LABOTEX30HSS−32)を用いて、押出機出口の樹脂温度が250℃になるようにストランド状に押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化した。この際、ベント口は真空ポンプに連結し、ベント口での圧力が500Paになるように制御した。熱可塑性樹脂組成物の評価を行い、結果を表1に示した。
拡散剤としてGM−0853SをGM−0855に変更した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
[比較例1]
拡散剤としてGM−0853SをSI−045に変更した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
拡散剤としてGM−0853SをGM−0806Sに変更した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
[比較例3]
拡散剤としてGM−0853SをGS−1105に変更した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
[比較例4]
拡散剤を無添加に変更した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。
Claims (7)
- アクリル酸エステル・スチレン共重合体の屈折率が1.50〜1.58である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ポリカーボネート樹脂およびアクリル酸エステル・スチレン共重合体の合計量を100重量部としたときに、アクリル酸エステル・スチレン共重合体の含有量が0.1〜5重量部である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ポリカーボネート樹脂の還元粘度が、0.30dL/g以上、1.20dL/g以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 耐光安定剤を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 酸化防止剤を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015257017A JP6623752B2 (ja) | 2015-12-28 | 2015-12-28 | 熱可塑性樹脂組成物、及びこれを用いた成形品。 |
Applications Claiming Priority (1)
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