JP2017149817A - 熱可塑性樹脂組成物及びこれを用いた成形品。 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びこれを用いた成形品。 Download PDF

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Abstract

【課題】 建築材料分野、電気・電子分野、自動車分野、光学部品分野、雑貨分野などのように、耐衝撃性とヘーズの低さが要求される用途に用いるため、成形品とした際に、耐衝撃性に優れ、ヘーズの低い熱可塑性樹脂組成物、これを成形してなる成形品を提供する。【解決手段】 特定のジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート樹脂(A)およびアクリル系樹脂組成物(B)を含有し、アクリル系樹脂組成物(B)が、アクリル系樹脂(B−1)およびゴム質グラフト重合体(B−2)を含有するものである熱可塑性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、成形品とした際に、耐衝撃性に優れ、ヘーズの低い熱可塑性樹脂組成物、これを成形してなる成形品に関する。
ポリカーボネートは一般的に石油資源から誘導される原料を用いて製造される。しかしながら、近年、石油資源の枯渇が危惧されており、植物などのバイオマス資源から得られる原料を用いたポリカーボネートの提供が求められている。また、二酸化炭素排出量の増加、蓄積による地球温暖化が、気候変動などをもたらすことが危惧されていることからも、使用後の廃棄処分をしてもカーボンニュートラルな、植物由来モノマーを原料としたポリカーボネートの開発が求められている。なかでも、建築材料分野、電気・電子分野、自動車分野、光学部品分野、雑貨分野などのように耐衝撃性とヘーズの低さが要求される用途に用いるため、成形品とした際に、耐衝撃性に優れ、ヘーズの低い樹脂組成物が求められてきている。
従来、植物由来モノマーを原料とした種々のポリカーボネートが開発されている。 例えば、植物由来モノマーとしてイソソルビドを使用し、炭酸ジフェニルとのエステル交換により、ポリカーボネートを得ることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、従来広く用いられてきた芳香族ポリカーボネート樹脂の場合には樹脂そのものの耐衝撃性に優れていたが、イソソルビドを使用する場合には芳香族ポリカーボネート樹脂と比べて耐衝撃性に劣り、改良が必要となる。この問題に対し、ガラス転移温度の高いポリカーボネート樹脂とゴム質重合体とを含有するポリカーボネート樹脂組成物が耐衝撃性を高めるものとして提案されている(例えば、特許文献2参照)。
英国特許第1079686号明細書 特開2014−201679号公報
しかしながら、引用文献1に記載の発明においては、イソソルビドを原料としてなるポリカーボネートの耐衝撃性という観点には着目されておらず、また、耐衝撃性を改善できるような処置もされていないことから、耐衝撃性の観点から満足できるものではない。
また、引用文献2については、それぞれ、イソソルビドを原料としてなるポリカーボネートにゴム質グラフト重合体を添加することが記載されているものの、さらなる耐衝撃性の改善、ヘーズの低減が求められていた。
つまり、本発明の目的は、成形品とした際に、耐衝撃性に優れ、ヘーズの低い熱可塑性樹脂組成物、これを成形してなる成形品を提供することである。
本発明者らが検討を行った結果、特定のジヒドロキシ化合物由来の構造単位を含有するポリカーボネート樹脂(A)およびアクリル系樹脂組成物(B)を含有し、
アクリル系樹脂組成物(B)が、アクリル系樹脂(B−1)およびゴム質グラフト重合体(B−2)を含有する熱可塑性樹脂組成物とすることで、耐衝撃性に優れ、ヘーズが低い成形品となることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート樹脂(A)およびアクリル系樹脂組成物(B)を含有し、
アクリル系樹脂組成物(B)が、アクリル系樹脂(B−1)およびゴム質グラフト重合体(B−2)を含有するものである熱可塑性樹脂組成物。
Figure 2017149817
[2]アクリル系樹脂組成物(B)中、アクリル系樹脂(B−1)とゴム質グラフト重合体(B−2)の構成重量比率が95/5〜5/95の範囲である[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3]ゴム質グラフト重合体(B−2)は、ゴム部がアルキルアクリレート構造単位を有するものである[1]または[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4][1]〜[3]のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を含有してなる成形品。
[5]ゴム質グラフト重合体(B−2)をアクリル系樹脂(B−1)に混合し、
下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート樹脂(A)に混合する熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
[6]アクリル系樹脂組成物(B)中、アクリル系樹脂(B−1)とゴム質グラフト重合体(B-2)の構成重量比率が95/5〜5/95の範囲である[5]に記載の熱可塑性
樹脂組成物の製造方法。
[7]ゴム質グラフト重合体(B−2)は、ゴム部がアルキルアクリレート構造単位を有するものである[5]または[6]に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
本発明によれば、耐衝撃性に優れ、ヘーズの低い成形品であることが求められる用途(例えば、建築材料分野、電気・電子分野、自動車分野、光学部品分野、雑貨分野等)に好適に用いることができる熱可塑性樹脂組成物及びこれを成形してなる成形品を提供することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
<ポリカーボネート樹脂(A)>
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)は、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)を含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂である。
Figure 2017149817
上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、成形性、耐熱性、耐衝撃性、表面硬度、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物は、環状エーテル構造を有するため、酸素によって徐々に酸化されやすいので、保管や、製造時には、酸素による分解を防ぐため、水分が混入しないようにし、また、脱酸素剤等を用いたり、窒素雰囲気下で取り扱うことが肝要である。例えば、イソソルビドが酸化されると、蟻酸等の分解物が発生する場合がある。これら分解物を含むイソソルビドをポリカーボネート樹脂の製造原料として使用すると、得られるポリカーボネート樹脂及び熱可塑性樹脂組成物の着色を招く可能性があり、又、物性を著しく劣化させる可能性があるだけではなく、重合反応に影響を与え、高分子量の重合体が得られない場合もある。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)は、式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)以外に、脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物、芳香族ビスフェノール類及び式(1)で表されるジヒドロキシ化合物以外のエーテル基含有ジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれる一種以上のジヒドロキシ化合物(以下、「他のジヒドロキシ化合物」と称す場合がある。)に由来する構造単位(b)を含む共重合ポリカーボネート樹脂であることが、ポリカーボネート樹脂(A)の耐衝撃性の面で好ましい。中でも、肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物、芳香族ビスフェノール類からなる群より選ばれる一種以上のジヒドロキシ化合物が好ましく、ポリカーボネート樹脂の耐光性の観点からは、分子構造内に芳香環構造を有しないジヒドロキシ化合物、即ち脂肪族ジヒドロキシ化合物及び/又は脂環式ジヒドロキシ化合物がさらに好ましく、耐熱性も加味して考慮すると、脂環式ジヒドロキシ化合物が最も好ましい。
脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、直鎖脂肪族ジヒドロキシ化合物であっても、分岐鎖脂肪族ジヒドロキシ化合物であってもよく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどが挙げられる。
脂環式ジヒドロキシ化合物としては、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、2,3−デカリンジメタノール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール、1,3−アダマンタンジメタノール、リモネン等が挙げ
られる。
芳香族ビスフェノール類としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ−2−メチル)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレンが挙げられる。
エーテル基含有ジヒドロキシ化合物としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量150〜2000)、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)における他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)の含有割合は、ポリカーボネート樹脂(A)中の全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位において、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上が特に好ましい。また、60モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましく、45モル%以下が特に好ましい。ポリカーボネート樹脂(A)中の他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)が少なすぎると耐衝撃性が不足する可能性があり、多すぎると耐熱性が不足する場合がある。
なお、本発明のポリカーボネート樹脂(A)は二種以上を混合することもできるが、その場合のポリカーボネート樹脂(A)における他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(b)の含有割合は、ポリカーボネート樹脂(A)に該当するものそれぞれのポリカーボネート樹脂を含有量に応じて平均して上記の範囲であれば、同様に好ましいものである。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)は、一般に用いられるポリカーボネート樹脂の製造方法で製造することができ、その製造方法は、ホスゲンを用いた溶液重合法、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とを反応させる溶融重合法のいずれの方法でもよいが、重合触媒の存在下に、式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物を、より環境への毒性の低い炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法が好ましい。また、溶融重合における重合触媒(エステル交換触媒)としては、公知のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が使用される。アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物と共に補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能である。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)は、上述のように式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルをエステル交換反応させて製造することができる。より詳細には、エステル交換反応させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。この場合、通常、エステル交換反応触媒の存在下でエステル交換反応により溶融重合を行う。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)の製造時に使用し得るエステル交換反応触媒(以下、「触媒」と称する場合がある)としては、例えば長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)における1族又は2族(以下、単に「1族」、「2族」と表記する。)の金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。これらの中でも、好ましくは1族金属化合物及び/又は2族金属化合物が使用され、透明性、耐候性の点から、特に好ましくは2族金属化合物が使用される。
1族金属化合物及び/又は2族金属化合物と共に、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能であるが、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物のみを使用することが特に好ましい。
また、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、又は炭酸塩、カルボン酸塩、フェノール塩といった塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩が好ましい。
1族金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム,カリウム,リチウム,セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩,2カリウム塩,2リチウム塩,2セシウム塩等が挙げられ、中でもセシウム化合物、リチウム化合物が好ましい。
2族金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられ、中でもマグネシウム化合物、カルシウム化合物、バリウム化合物が好ましく、マグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物が更に好ましい。
塩基性ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩,カリウム塩,リチウム塩,カルシウム塩,バリウム塩,マグネシウム塩,あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
上記の中でも、第2族金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を触媒として用いるのが、得られるポリカーボネート樹脂(A)の透明性、色相、耐光性等の種々の物性を優れたものとするために好ましい。
また、上記ポリカーボネート樹脂(A)の透明性、色相、耐光性を特に優れたものとするために、触媒が、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、及びバリウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが好ましく、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが特に好ましい。
前記触媒の使用量は、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の場合、反応に供する全ジヒドロキシ化合物1モルに対して、金属換算量として、好ましくは0.1〜300μモル、より好ましくは0.1〜100μモル、さらに好ましくは0.5〜50μモル、特に好ましくは1〜25μモルの範囲内である。
上記の中でも2族金属からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含む化合物を用いる場合、金属換算量として、反応に供する全ジヒドロキシ化合物1モル当たり、好ましくは0.1μモル以上、更に好ましくは0.5μモル以上、特に好ましくは0.7μモル以上とする。また、上限としては、好ましくは20μモル、更に好ましくは10μモル、特に好ましくは3μモル、最も好ましくは2.0μモルである。
触媒の使用量が少なすぎると、所望の分子量のポリカーボネート樹脂(A)を製造するのに必要な重合活性が得られず、充分な破壊エネルギーが得られない可能性がある。一方、触媒の使用量が多すぎると、得られるポリカーボネート樹脂(A)の色相が悪化するだけでなく、副生成物が発生したりして流動性の低下やゲルの発生が多くなり、脆性破壊の起因となる場合があり、目標とする品質のポリカーボネート樹脂(A)の製造が困難になる可能性がある。
なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物において、触媒の金属の使用量は、ポリカーボネート樹脂製造に用いられる触媒に由来して熱可塑性樹脂組成物中に含まれるものである。したがって、熱可塑性樹脂組成物中の触媒の金属の使用量は、上記規定する範囲と同じ使用
量である。
重合反応の形式は、公知の形式を用いることができ、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよい。
また、本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)を製造する際には、異物の混入を防止するため、フィルターを設置することが望ましい。フィルターの設置位置は押出機の下流側が好ましく、フィルターの異物除去の大きさ(目開き)は、99%除去の濾過精度として通常100μm以下が好ましい。特に、フィルム用途等で微少な異物の混入を嫌う場合は、40μm以下が好ましく、さらには10μm以下が好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)の押出は、押出後の異物混入を防止するために、好ましくはJIS B 9920(2002年)に定義されるクラス7、更に好ましくはクラス6より清浄度の高いクリーンルーム中で実施することが望ましい。
また、押出されたポリカーボネート樹脂(A)を冷却しチップ化する際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、ヘパフィルター等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが望ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、さらにフィルターにて、水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは、99%除去の濾過精度として10μm〜0.45μmであることが好ましい。
本発明に使用するポリカーボネート樹脂(A)の分子量は、還元粘度で表すことができ、還元粘度は、通常0.30dL/g以上が好ましく、0.35dL/g以上がより好ましい。還元粘度の上限は、通常1.20dL/g以下が好ましく、1.00dL/g以下がより好ましく、0.80dL/g以下が更に好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A)の還元粘度が低すぎると樹脂組成物としたときの靱性が小さい可能性があり、還元粘度が大きすぎると、電気・電子機器部品や自動車内外装部品を成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。また、成形温度を適正以上に高くしなければならず、色調が悪化する場合がある。
尚、ポリカーボネート樹脂の還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート樹脂濃度を0.6g/dLに精密に調製し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定する。
本発明で使用するポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度は、90℃以上145℃以下が好ましく、100℃以上135℃以下がより好ましく、特に110℃以上125℃以下が好ましい。ガラス転移温度が90℃未満では耐熱性が不足し、145℃以上では成形時に流動性が不足し、樹脂組成物が製品の末端まで充填されなかったり、ウエルド部での強度が低下したりすることがある。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)の全光線透過率およびヘーズ(Haze)は、以下の方法により測定することができる。
(1)ペレット製造
3つのベント口および注水設備を供えた二軸押出機に連続的に溶融状態のポリカーボネート樹脂を供給し、該ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、酸化防止剤としてイルガノックス1010(BASF・ジャパン株式会社製、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])を0.1質量部、アデカスタブ2112(株式会社ADEKA製、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)を0.05質量部および離型剤としてユニスターE−275(日油株式会社製)0.3質量部を連続的に添加するとともに、二軸押出機に具備された各ベント部にてフェノールなどの低分子量物を減圧脱揮した後、ペレタイザーによりペレット化を行う。
(2)射出成形
二軸押出機で混練したペレットについて、80℃で4時間予備乾燥したペレットを日本製鋼所製J75EII型射出成形機で、シリンダー温度230℃、成形サイクル45秒、金型温度60℃で、60mm×60mm×3mmtの平板を成形する。
(3)ヘーズ(Haze)および全光線透過率測定
日本電色工業社製ヘーズメーターNDH2000を使用し、D65光源にて上記試験片のヘーズ(Haze(%))および全光線透過率(%)を測定する。 本発明のポリカーボネート樹脂(A)の全光線透過率は、85%以上であることが好ましく、さらに88%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。この光線透過率が上記下限よりも高いと、熱可塑性樹脂組成物としたときの全光線透過率が高くなる。この光線透過率の測定方法の詳細は実施例の項で記載する。
本発明のポリカーボネート樹脂(A)のJIS K7105に準拠したヘーズ(Haze)が、通常2以下、好ましくは1.5以下、最も好ましくは1以下である。ヘーズ(Haze)が上記範囲であれば、熱可塑性樹脂組成物としたときに高い全光線透過率と高いヘーズ(Haze)を両立することができる。
なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、ポリカーボネート樹脂(A)として、1種を単独で用いてもよく、他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の種類や共重合割合、物性等の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
<アクリル系樹脂組成物(B)>
[アクリル系樹脂(B−1)]
本発明に用いるアクリル系樹脂(B−1)としては、熱可塑性樹脂としてのアクリル系樹脂が使用される。アクリル系樹脂に使用される単量体として以下の化合物が挙げられる。例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、アクリル酸、ベンジル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸2−(メタ)アクロイルオキシエチル、マレイン酸2−(メタ)アクロイルオキシエチル、フタル酸2−(メタ)アクロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−(メタ)アクリオイルオキシエチル、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が例示される。これらは、単独で重合して使用してもよく、2種類以上を重合して使用してもよい。これらの中でも、メタクリル酸アルキルとアクリル酸アルキルの少なくとも一方を用いるものが、耐衝撃性およびヘーズの低さから好ましい。また、これらのアクリル系単量体と重合され得る他の単量体、例えばポリオレフィン系単量体、ビニル系単量体等を併用してもよい。
前記アクリル系樹脂(B−1)の分子量は特に限定されるものではないが、重量平均分子量で3万以上、30万以下の範囲であれば、多層体として成形する際に流れムラ等の外観不良を生じることがなく、機械特性、耐熱性に優れた多層体を提供することができる。
<ゴム質グラフト重合体(B−2)>
本発明のゴム質グラフト重合体(B−2)は、好ましくは、ゴム部がアルキルアクリレート構造単位を有するものであり、さらに好ましくはゴム部がブタジエン構造単位及びアルキルアクリレート構造単位を有するものである。また、脂肪族系乳化剤を用いた乳化重合により得られたゴム質グラフト重合体ラテックスを、アルカリ土類金属塩を用いて凝析して回収して得られる。このゴム質グラフト重合体ラテックスは、好ましくは、ブタジエン構造単位及びアルキルアクリレート構造単位を有するゴムラテックスの存在下でビニル単量体(G)、好ましくは極性基を有するビニル単量体(P)を含有するビニル単量体(G)を重合して得られる。
上記のゴムラテックスとしては、エラストマーを用いることが好ましく、中でも熱可塑性のエラストマーを用いることが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、各種共重合樹脂が用いられるが、ガラス転移温度が通常−20℃以下、中でも−30℃以下のものが好ましく、−50℃以下のものがより好ましく、更には−70℃以下のものが好ましい。
ブタジエン構造単位及びアルキルアクリレート構造単位を有するゴムラテックスは、ブタジエン構造単位1〜99重量%、アルキルアクリレート構造単位99〜1重量%及びその他のビニル単量体構造単位0〜30重量%を有する(ただし、ゴムラテックス中の固形分全体を100重量%とする)ことが好ましい。また、ブタジエン構造単位1〜99重量%、アルキルアクリレート構造単位99〜1重量%及びその他のビニル単量体構造単位0〜10重量%を有することがより好ましい。ゴムラテックス中のブタジエン構造単位の含有率が1重量%以上であれば、耐衝撃性の点で好ましく、99重量%以下であれば、YI値(熱着色性)の点で好ましい。その他のビニル単量体構造単位が30重量%以下であれば、本発明のゴム質グラフト重合体と本発明のポリカーボネート樹脂の屈折率の差が小さくなるため好ましい。
なお、ここで、ブタジエン構造単位とは、ゴムラテックスの製造に用いるブタジエン単量体に由来する構造単位をさし、アルキルアクリレート構造単位とは、ゴムラテックスの製造に用いるアルキルアルキレート単量体に由来する構造単位をさし、ビニル単量体構造単位とは、ゴムラテックスの製造に必要に応じて用いられるその他のビニル単量体に由来する構造単位をさす。
ゴムラテックスはブタジエン単量体、アルキルアクリレート単量体及び必要に応じて用いられるその他のビニル単量体を重合することにより得られる。
ブタジエン単量体としては、特に限定されないが、ブタジエン、イソプレンなどのジエン系モノマー、例えば1,3−ブタジエンが挙げられる。
アルキルアクリレート単量体としては、特に限定されないが、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、t−ブチルアクリレートが挙げられる。
これらの単量体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。乳化重合の重合安定性の理由から、アルキルアクリレート単量体としては、炭素数が2〜8のアルキルアクリレートが好ましく、炭素数が3〜6のアルキルアクリレートがより好ましく、ブチルアクリレートが特に好ましい。
その他のビニル単量体としては、ブタジエン単量体やアルキルアクリレート単量体と共重合性の、単官能性又は多官能性のビニル単量体を用いることができる。その他のビニル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、アルキルメタクリレートに代表される単官能性単量体;ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能性単量体が挙げられる。その他のビニル単量体についても1種を単独で用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。
ゴムラテックスの重合方法は特に限定されないが、ゴムラテックスの粒子径制御、コア・シェル構造にしやすいという理由から、乳化重合が好ましい。
ゴムラテックスの重合に用いる重合開始剤は特に限定されず、例えばアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤を使用することができる。これらの重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、通常原料として用いる単量体100重量部に対して0.05〜1.0重量部、特に0.1〜0.3重量部程度とすることが好ましい。
ゴムラテックスの重合に用いる乳化剤は特に限定されず、例えばアニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤、カチオン系乳化剤、ノニオンアニオン系乳化剤を使用することができる。これらの重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。熱着色低減の理由から、乳化剤としては、N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等の脂肪族系乳化剤を用いることが好ましい。脂肪族系乳化剤等の乳化剤の使用量は、通常原料として用いる単量体100重量部に対して0.05〜3重量部、特に0.1〜2重量部程度とすることが好ましい。
ゴムラテックス中のゴム粒子の体積平均粒子径は0.1〜1μmであることが好ましく、0.15μm以上がより好ましい。またゴムラテックス中のゴム粒子の体積平均粒子径は0.7μm以下がより好ましく、0.5μm以下がさらに好ましい。ゴムラテックス中のゴム粒子の体積平均粒子径が0.1μm以上であると、本発明のポリカーボネート樹脂に本発明のゴム質グラフト重合体を添加した本発明のポリカーボネート樹脂組成物の低温での耐衝撃性を向上させることができるため好ましく、1μm以下であると、本発明のゴム質グラフト重合体の製造時にカレットが発生しにくいため好ましい。ここでゴムラテックス中のゴム粒子の体積平均粒子径は、光散乱粒子計を用いて測定したゴムラテックス中のゴム粒子の50%体積平均粒子径をさし、詳細には後掲の実施例の項に記載される方法で測定される。
ゴムラテックス中のゴム粒子の体積平均粒子径は、通常の乳化重合によれば、約0.1μmとなる。その体積平均粒子径を0.1〜1μmとするには、肥大化剤によりゴムラテックス中のゴム粒子を肥大化するなどの方法が用いられる。
ゴム粒子の肥大化は、ゴムラテックスに対して肥大化剤を添加することで行うことができる。
肥大化剤は公知のものから任意に選択することができるが、酸基含有共重合体(K)及び/又は酸素酸塩(M)を用いることが好ましい。
酸基含有共重合体(K)は、不飽和酸、アルキルアクリレート及び必要に応じて用いられるその他の共重合可能な単量体を重合したものが好ましい。
酸基含有共重合体(K)の重合に用いられる不飽和酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、ケイヒ酸、ソルビン酸及びp−スチレンスルホン酸が挙げられる。なかでも、入手しやすさ、及び取り扱いやすさの点で、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。これらの不飽和酸は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸基含有共重合体(K)の重合に用いられるアルキルアクリレートとしては、アルキル基の炭素数が1〜12のアルキルアクリレートが好ましく、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレートが挙げられる。これらのアルキルアクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種
以上を併用してもよい。
酸基含有共重合体(K)の重合に必要に応じて用いられるその他の共重合可能な単量体としては、例えば、スチレン、α−メチレンスチレン等のスチレン誘導体、アルキルメタクリレート、及びアクリロニトリルが挙げられる。これらのその他の共重合可能な単量体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸基含有共重合体(K)に用いる単量体の割合としては、不飽和酸3〜40重量%、アルキルアクリレート97〜35質量及びその他の共重合可能な単量体0〜40重量%が好ましく、不飽和酸5〜35重量%、アルキルアクリレート95〜30質量及びその他の共重合可能な単量体0〜35重量%がより好ましい。組成が上記範囲内にあることで、肥大化を行う際のラテックスの安定性が優れ、肥大化して得られるゴムラテックスのゴム粒子径を制御しやすい。
酸基含有共重合体(K)は、前記組成の単量体混合物を、公知の乳化重合法によって重合することにより得ることができる。重合は一段階で行っても多段階で行ってもよい。多段階で重合することによって、2層以上の多層構造を有する酸基含有共重合体(K)を得ることができる。
酸素酸塩(M)は、酸素酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、又は亜鉛、ニッケル及びアルミニウムの塩の中から選ばれた少なくとも一種の酸素酸塩(M)であることが好ましい。このような酸素酸塩(M)の例としては、硫酸、硝酸、リン酸等と、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ニッケル、アルミニウムとの塩が挙げられる。酸素酸塩(M)は、肥大化を行う際の粒子径制御の行いやすさ、入手しやすさ、及び取り扱いやすさの点で、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウムなどが好ましい。
これらの酸基含有共重合体(K)及び酸素酸塩(M)は、それぞれ1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
これらの酸基含有共重合体(K)及び酸素酸塩(M)を各々単独で用いる場合、酸基含有共重合体(K)の添加量はポリマー固形分としてゴムラテックスの固形分100重量部当たり0.1〜5重量部が好ましく、0.5〜4重量部がより好ましく、0.5〜3重量部がさらに好ましい。また、酸素酸塩(M)の添加量は、ゴムラテックスの固形分100重量部当たり0.1〜5重量部が好ましく、0.1〜4重量部がより好ましい。酸基含有共重合体(K)及び酸素酸塩(M)をこれらの範囲で添加することでゴムラテックス中のゴム粒子の肥大化がより効率的に行われ、得られる肥大化ゴムラテックスの安定性も大幅に向上する。
なお、酸基含有共重合体(K)を用いて肥大化処理を行う場合、ゴムラテックスのpHは7以上であることが好ましい。pHが酸性側にある場合には、酸基含有共重合体(K)を添加しても肥大化効率が低い場合がある。
ゴムラテックスのpHは、ゴムラテックスの製造中に調製しても良いし、また、肥大化処理の前に別途行っても良い。
ゴム質グラフト共重合体ラテックスは、前記ゴムラテックスに、ビニル単量体(G)をグラフト重合することで得られる。
ビニル単量体(G)は、それを重合して得られる重合体のガラス転移温度が70〜120℃となる成分を用いることがゴム質グラフト重合体ラテックスを凝析して粉体として回収する際の回収性の点において好ましい。
ビニル単量体(G)としては、極性基を有さないビニル単量体として、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2
−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、安息香酸ビニル、酢酸ビニル等が挙げられる。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」と「メタアクリレート」の一方又は双方をさす。これらの単量体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニル単量体(G)は極性基を有するビニル単量体(P)を含有することが好ましい。ビニル単量体(G)が極性基を有するビニル単量体(P)を含有することで、本発明のポリカーボネート樹脂に本発明のゴム質グラフト重合体を均一に分散させることができる。また、それにより、得られるポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性を向上させることができる。
極性基を有するビニル単量体(P)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩、アクリロイルモルホリン、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩、イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ブロモフェニル(メタ)アクリレート、ジブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、モノクロルフェニル(メタ)アクリレート、ジクロルフェニル(メタ)アクリレート、トリクロルフェニル(メタ)アクリレート、2−ビニル−2−オキサゾリン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドが挙げられる。乳化重合のしやすさ(カレットの生成、他のグラフトモノマーとの共重合性)の理由から、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートが好ましい。これらの単量体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニル単量体(G)中の極性基を有するビニル単量体(P)の割合は任意に設定することができるが、0.1〜20重量%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましい(ただし、ビニル単量体(G)全体を100重量%とする)。ビニル単量体(G)が極性基を有するビニル単量体(P)を0.1重量%以上含有することにより、本発明のポリカーボネート樹脂に本発明のゴム質グラフト重合体を均一に分散させることができる。一方、ビニル単量体(G)が極性基を有するビニル単量体(P)を20重量%以下含有することが、本発明のポリカーボネート樹脂と本発明のゴム質グラフト重合体との屈折率差や重合中のカレット量の理由から好ましい。
ゴム質グラフト共重合体ラテックス中のゴムラテックスの割合は任意に設定することができるが、各々の固形分量として50〜90重量%が好ましい(ただし、ゴム質グラフト共重合体ラテックスの固形分全体を100重量%とする)。ゴム質グラフト重合体ラテックス中のゴムラテックスが50重量%以上であれば、強度発現の面で好ましい。また、ゴム質グラフト重合体ラテックス中のゴムラテックスが90重量%以下であれば、本発明のポリカーボネート樹脂への分散性、ゴム質グラフト重合体の凝固回収の点で好ましい。
ゴムラテックスへのビニル単量体(G)のグラフト重合方法は特に限定されないが、ゴム粒子径の制御、コア・シェル構造を容易に形成できるといった理由から、乳化重合が好ましい。
乳化重合法としては、単量体の一括添加重合、単量体の連続添加重合、多段階重合などの一般に知られている乳化重合法を採用することができ、乳化剤も単量体と同様にして添加することができる。
グラフト層は1層であっても2層以上であってもかまわない。ブタジエン構造単位を有するゴムに、疎水性が高くかつ重合性が低いビニル単量体、例えばスチレンを共重合すると、ブタジエンゴムとスチレンが共重合してしまい、ゴムが硬くなったり屈折率が振れやすくなることがある。そのため、本発明におけるゴム質グラフト重合体のグラフト重合においては、親水性が高く重合性が高く、かつガラス転移温度の高い単量体、例えばメチルメタクリレートを主成分とする単量体をグラフト重合をした後、スチレンのような疎水性の高いビニル単量体(G)を重合することが好ましい。
ゴム質グラフト共重合体ラテックスの重合に用いる重合開始剤は、ゴムラテックスを重合する際の重合開始剤と同じものを使用することができ、その使用量は通常原料として用いる単量体100重量部に対して0.05〜1.0重量部、特に0.1〜0.3重量部程度とすることが好ましい。
また、ゴム質グラフト共重合体ラテックスの重合に用いる乳化剤は、ゴムラテックスを重合する際の乳化剤と同じものを使用することができ、その使用量は、通常原料として用いる単量体100重量部に対して0.05〜3重量部、特に0.1〜2重量部程度とすることが好ましい。
本発明のゴム質グラフト重合体は、上記のようにして得られるゴム質グラフト重合体ラテックスから凝析して粉体として回収することにより得られる。
ゴム質グラフト重合体ラテックスを凝析する際の凝析剤としては、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸などの無機酸;酢酸などの有機酸;ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどと無機酸、有機酸との塩などを用いることができる。これらの凝析剤は、単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。その中でも得られるポリカーボネート樹脂組成物の黄変が防止できることからアルカリ土類金属塩が好ましく、硫酸塩を含まないアルカリ土類金属塩がより好ましく、酢酸カルシウムが特に好ましい。これらの凝固剤は水溶液として用い、その添加量は特に限定されるものではないが、ラテックスを充分に凝固させる量が使用される。例えば、ラテックス中のポリマーを100重量部とした場合、凝固剤の添加量は2重量部以上が好ましく、4重量部以上がより好ましい。また、10重量部以下が好ましく、8重量部以下がより好ましい。
<アクリル系樹脂組成物(B)中のアクリル系樹脂(B−1)およびゴム質グラフト重合体(B−2)の構成重量比率>
アクリル系樹脂組成物(B)中、アクリル系樹脂(B−1)とゴム質グラフト重合体(B−2)の構成重量比率が95/5〜5/95の範囲であることが、耐衝撃性が良好となるため好ましく、90/10〜20/80の範囲であることが更に好ましく、80/20〜30/70の範囲であることがより好ましく、70/30〜40/60の範囲であることが最も好ましい。
なお、本発明のように、ゴム質グラフト重合体がアクリル系樹脂に含有されたものをポリカーボネート樹脂に含有させたポリカーボネート樹脂組成物であることは、以下の方法で推認することができる。つまり、透過型電子顕微鏡などで、ポリカーボネート樹脂組成物中でのゴム質グラフト重合体の分散状態を確認し、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、ゴム質グラフト重合体とを同時に混合したポリカーボネート樹脂組成物よりも、ゴム質グラフト重合体の分散状態が良好であれば、そのポリカーボネート樹脂組成物は、ゴム質グラフト重合体がアクリル系樹脂に含有されたものをポリカーボネート樹脂に含有させたポリカーボネート樹脂組成物であると推認できる。
<ポリカーボネート樹脂組成物中のアクリル樹脂組成物の含有量>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物において、本発明のポリカーボネート樹脂(A)およびアクリル系樹脂組成物(B)の合計100重量部に対する本発明のアクリル樹脂組成物の含有量は10重量部以上、60重量部以下であることが好ましい。 本発明のアクリル樹脂組成物の含有量が上述の範囲から外れて少なすぎる場合には、充分な衝撃強度の改質効果が得られず、成形部材が破断するおそれがある。一方、上述の範囲から外れて多すぎる場合には、良好な成形性が損なわれて成形時にヤケが発生したり、透明性が損なわれたりするおそれがある。本発明のポリカーボネート樹脂組成物中の本発明のアクリル樹脂組成物の含有量は、本発明のポリカーボネート樹脂(A)およびアクリル系樹脂組成物(B)の合計100重量部に対して、より好ましくは15重量部以下、さらに好ましくは50重量部以下である。
<ポリカーボネート樹脂組成物中のゴム質グラフト重合体の含有量>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物において、本発明のポリカーボネート樹脂(A)およびアクリル系樹脂組成物(B)の合計100重量部に対する本発明のゴム質グラフト重合体の含有量は1重量部以上、20重量部以下であることが好ましい。 本発明のゴム質グラフト重合体の含有量が上述の範囲から外れて少なすぎる場合には、充分な衝撃強度の改質効果が得られず、成形部材が破断するおそれがある。一方、上述の範囲から外れて多すぎる場合には、良好な成形性が損なわれて成形時にヤケが発生したり、透明性が損なわれたりするおそれがある。本発明のポリカーボネート樹脂組成物中の本発明のゴム質グラフト重合体の含有量は、本発明のポリカーボネート樹脂(A)およびアクリル系樹脂組成物(B)の合計100重量部に対して、より好ましくは15重量部以下、さらに好ましくは12.5重量部以下である。
<添加剤>
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、軋み音発生の抑制効果を維持できる範囲において、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、中和剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、難燃剤、充填剤等を添加することも出来る。
(離型剤)
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、シート成形時の冷却ロールからのロール離れ、或いは射出成形時の金型からの離型性をより向上させるなどのために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤が配合されていてもよい。
かかる離型剤としては、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基及び/又はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。離型剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
高級脂肪酸エステルとしては、炭素数1〜炭素数20の一価又は多価アルコールと炭素数10〜炭素数30の飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルが好ましい。かかる一価又は多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸モノグリセリド、ベヘニン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。なかでも、ステアリ
ン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましく用いられる。離型性と透明性の観点から離型剤としてより好ましいのはステアリン酸エステルである。
ステアリン酸エステルとしては、置換又は無置換の炭素数1〜炭素数20の一価又は多価アルコールとステアリン酸との部分エステル又は全エステルが好ましい。かかる一価又は多価アルコールとステアリン酸との部分エステル又は全エステルとしては、エチレングリコールジステアレート、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、ブチルステアレート、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレートなどがより好ましい。なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリルステアレートが更に好ましく、エチレングリコールジステアレート、ステアリン酸モノグリセリドが特に好ましい。
高級脂肪酸としては、置換又は無置換の炭素数10〜炭素数30の飽和脂肪酸が好ましい。なかでも無置換の炭素数10〜炭素数30の飽和脂肪酸がより好ましく、このような高級脂肪酸としては、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等が挙げられる。中でも炭素数16〜18の飽和脂肪酸が更に好ましく、このような飽和脂肪酸としてパルミチン酸、ステアリン酸などが挙げられるが、ステアリン酸が特に好ましい。
離型剤を用いる場合には、その配合量は本発明のポリカーボネート樹脂(A)およびアクリル系樹脂組成物(B)の合計100重量部に対し、通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上であり、また、通常2重量部以下、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下である。離型剤の含有量が過度に多いと成形時に金型付着物が増える場合があり、大量に成形を実施した場合には金型の整備に労力を要する可能性があり、また、得られる成形品に外観不良をきたす可能性がある。熱可塑性樹脂組成物中の離型剤の含有量が上記下限以上であると成形時、成形品が金型から離型しやすくなり、成形品が取得しやすいという利点がある。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては樹脂に使用される一般的な酸化防止剤が使用できるが、酸化安定性、熱安定性、漆黒性等の観点から、ホスファイト系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、およびフェノール系酸化防止剤が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に、酸化防止剤を添加する場合、その添加量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、通常0.001質量部以上が好ましく、より好ましくは0.002質量部以上、更に好ましくは0.005質量部以上であり、通常5質量部以下が好ましく、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。
酸化防止剤の添加量が5質量部より多いと、成形時、金型を汚染し、優れた表面外観の成形品が得られないことがある。一方、0.001質量部未満であると、耐候試験に対する十分な改良効果が得られない傾向がある。
<ホスファイト系酸化防止剤>
ホスファイト系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、
ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
これらの中でも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく使用される。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<イオウ系酸化防止剤>
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、ビス[2−メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)等が挙げられる。
これらの中でも、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)が好ましい。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<フェノール系酸化防止剤>
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール等の化合物が挙げられる。
これらの化合物の中でも、炭素数5以上のアルキル基によって1つ以上置換された芳香族モノヒドロキシ化合物が好ましく、具体的には、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトール−テ
トラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が好ましく、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が更に好ましい。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(耐光安定剤)
対光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられ、その分子量は、1000以下が好ましく、900以下がより好ましい。分子量が1000を超えると、成形品としたときに耐候性が十分得られない可能性がある。また分子量は300以上が好ましく、400以上がより好ましい。分子量が300未満では、耐熱性に乏しく、成形時に金型を汚染し、優れた表面外観の成形品が得られないことがある。
さらに、ピペリジン構造を有する化合物が好ましい。ここで規定するピペリジン構造とは、飽和6員環のアミン構造となっていればよく、ピペリジン構造の一部が置換基により置換されているものも含む。置換基としては、炭素数4以下のアルキル基が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、特に、ピペリジン構造を複数有する化合物が好ましく、それら複数のピペリジン構造がエステル構造により連結されている化合物が好ましい。
そのような耐光安定剤としては、4−ピペリジノール,2,2,6,6−テトラメチル−4−ベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−カルボン酸)1,2,3,4−ブタンテトライル、2,2,6,6−テトラメチル−ピレリジノールとトリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の縮合物、2,2,6,6−テトラメチル−ピレリジノールとメタノールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の縮合物、ビス(1,2,3,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、1−[2−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4,4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサンジアミンポリマーと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−ジエタノールとの縮合物、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合物、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合物等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に耐光安定剤を添加する場合、その添加量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、通常0.001質量部以上5質量部以下であり、好ましくは0.005質量部以上3質量部以下、より好ましくは0.01質量部以上1質量部以下である。 耐光安定剤の添加量が5質量部より多いと、着色する傾向にあり、着色剤を添加したとしても、例えば深みと清澄感のある漆黒を得難い。一方、0.001質量部未満であると、自動車内外装品としたときに耐候性が十分得られない可能性がある。
<熱可塑性樹脂組成物の製造方法>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記成分を所定の割合で同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。
<成形品>
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて成形品を成形する際、任意の成形法を用いることができるが、射出成形、射出圧縮、射出プレス成形が好適に用いられる。その際に用いるランナーも、通常のコールドランナー方式だけでなく、ホットランナー方式を用いることも可能である。また、インサート成形、インモールドコーティング成形、二色成形、サンドイッチ成形等も可能である。さらに意匠性を得るために、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形を用いることも可能である。
(1)シャルピー衝撃強度の測定
ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、熱風乾燥機を用いて、90℃で6時間乾燥した。次に、乾燥したポリカーボネート共重合体又は樹脂組成物のペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:J75EII型)に供給し、樹脂温度240℃、金型温度60℃、成形サイクル40秒間の条件で、機械物性用ISO試験片を成形した。前記で得られた機械物性用ISO試験片について、ISO179(2000年)に準拠してノッチ付シャルピー衝撃試験を実施した。この値が高いほど耐衝撃性が高いことを示す。
(2)ヘーズ測定
ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、熱風乾燥機を用いて、90℃で6時間乾燥した。次に、乾燥したポリカーボネート樹脂組成物のペレットを射出成形機(日本製鋼所社製:J75EII型)に供給し、樹脂温度240℃、金型温度60℃、成形サイクル40秒間の条件で、射出成形板(幅60mm×長さ60mm×厚さ2mm)を成形した。得られた射出成形板についてJIS K7105(1981年)に準拠し、ヘーズメーター(日本電色工業社製NDH2000)を使用し、D65光源にて前記試験片のヘーズを測定した。
(3)総合判定
下記条件を全て満たしたものを合格とした。
ノッチ付シャルピー衝撃強度:15kJ/m以上
ヘーズ:60%以下
(製造例1)
撹拌翼及び100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、イソソルビド(ISB、ロケットフルーレ社製:POLYSORB)とシクロヘキサンジメタノール(CHDM、イーストマン社製)、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたジフェニルカーボネート(DPC、三菱化学(株)製)及び酢酸カルシウム1水和物を、
モル比率でISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.70/0.30/1.00/1.3×10−6になるように仕込み、十分に窒素置換して、酸素濃度0.0005〜0.001体積%に調節した。続いて熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始し、内温が100℃になるように制御しながら内容物を融解させ均一にした。その後、昇温を開始し、40分で内温を210℃にし、内温が210℃に到達した時点でこの温度を保持するように制御すると同時に、減圧を開始し、210℃に到達してから90分で13.3kPa(絶対圧力、以下同様)にして、この圧力を保持するようにしながら、さらに60分間保持した。
重合反応とともに副生するフェノール蒸気は、還流冷却器への入口温度として100℃に制御された蒸気を冷媒として用いた還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるジヒドロキシ化合物や炭酸ジエステルを重合反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の温水を冷媒として用いた凝縮器に導いて回収した。このようにしてオリゴマー化させた内容物を、一旦大気圧にまで復圧させた後、撹拌翼及び前記同様に制御された還流冷却器を具備した別の重合反応装置に移し、昇温及び減圧を開始して、60分で内温220℃、圧力200Paにした。
その後、20分かけて内温230℃、圧力133Pa以下にして、所定撹拌動力になった時点で大気圧に復圧し、内容物をストランドの形態で抜出し、回転式カッターでカーボネート共重合体のペレットにした。
(製造例2)
製造例1において、仕込み組成をISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.50/0.50/1.00/1.3×10−6になるように変更した以外は、製造例1と同様にカーボネート共重合体のペレットにした。
なお、以下の実施例及び比較例で用いた化合物の略号は次の通りである。
ISB:イソソルビド(ロケットフルーレ社製、商品名:POLYSORB)
CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール(イーストマン社製)
DPC:ジフェニルカーボネート(三菱化学(株)製)
<アクリル系樹脂>
VRL40:ゴム質グラフト重合体(メタクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル・スチレン共重合物)含有ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂(三菱レイヨン社製、商品名:アクリペットVRL40)
VH:ゴム質グラフト重合体非含有ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂(三菱レイヨン社製、商品名:アクリペットVH)
<ゴム質グラフト重合体>
W−450A:アクリル系ゴム(三菱レイヨン社製、商品名:メタブレンW−450A)
<酸化防止剤>
AS2112:ホスファイト系酸化防止剤(ADEKA社製、商品名:アデカスタブ2112)
IRGANOX1010:フェノール系酸化防止剤(BASFジャパン社製、商品名:IRGANOX1010)
<耐光安定剤>
LA−29:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(ADEKA社製、商品名:アデカスタブLA−29)
LA−77:ヒンダードアミン系光安定剤(ADEKA社製、商品名:アデカスタブLA−77)
<離型剤>
E−275:ジステアリン酸グリコール(日油社製、商品名:ユニスターE−275)
(実施例1〜2)
製造例1において製造したカーボネート共重合体のペレット及びPMMA樹脂VRL40を用い、表1に示すポリカーボネート樹脂組成物配合で各成分を配合し、2つのベント口を有する日本製鋼所社製2軸押出機(LABOTEX30HSS−32)を用いて、押出機出口の樹脂温度が250℃になるようにストランド状に押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化した。この際、ベント口は真空ポンプに連結し、ベント口での圧力が500Paになるように制御した。熱可塑性樹脂組成物の評価を行い、結果を表1に示した。
(実施例3〜4)
製造例1及び製造例2において製造したカーボネート共重合体のペレット及びPMMA樹脂VRL40を用い、表1に示した組成となるようにした以外は、実施例1と同様に行い、ポリカーボネート樹脂組成物の製造と評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1〜2)
製造例1及び製造例2において製造したカーボネート共重合体のペレット及びPMMA樹脂VHを用い、表1に示した組成となるようにした以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
製造例1において製造したカーボネート共重合体のペレット及びPMMA樹脂VH及びゴム質グラフト重合体W−450Aを用い、表1に示した組成となるようにした以外は、実施例1と同様に行い、ポリカーボネート樹脂組成物の製造と評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
製造例2において製造したカーボネート共重合体のペレット及びゴム質グラフト重合体W−450Aを用い、表1に示した組成となるようにした以外は、実施例1と同様に行い、ポリカーボネート樹脂組成物の製造と評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2017149817

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート樹脂(A)およびアクリル系樹脂組成物(B)を含有し、
    アクリル系樹脂組成物(B)が、アクリル系樹脂(B−1)およびゴム質グラフト重合体(B−2)を含有するものである熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 2017149817
  2. アクリル系樹脂組成物(B)中、アクリル系樹脂(B−1)とゴム質グラフト重合体(B−2)の構成重量比率が95/5〜5/95の範囲である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. ゴム質グラフト重合体(B−2)は、ゴム部がアルキルアクリレート構造単位を有するものである請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を含有してなる成形品。
  5. ゴム質グラフト重合体(B−2)をアクリル系樹脂(B−1)に混合し、
    下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート樹脂(A)に混合する熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  6. アクリル系樹脂組成物(B)中、アクリル系樹脂(B−1)とゴム質グラフト重合体(B−2)の構成重量比率が95/5〜5/95の範囲である請求項5に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  7. ゴム質グラフト重合体(B−2)は、ゴム部がアルキルアクリレート構造単位を有するものである請求項5または6に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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