JP6623478B2 - 多軸nc木工旋盤システム、工具経路生成方法、工具経路生成プログラムおよび記録媒体 - Google Patents
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Description
しかし、円盤型回転工具による切削加工は、回転工具の厚みや半径の大きさによって加工可能な形状が制約され、より微細な切削加工を行うために円盤型回転工具の厚みや半径を小さくするとしても構造的に一定の限界が存在するのも事実である。そのため、さらなる微細な切削加工を行う場合には、5軸加工機を用いる必要があったり、前述した複雑で高価なソフトウエアを必要とするなど、結果として加工時間が長くなったり、コスト高を招くという課題があった。
Z軸方向および前記Z軸に直交するX軸方向に移動可能な円盤型回転工具と、前記円盤型回転工具と同じステージ上に設置され、XZ平面内を移動しかつXZ平面に直角なB軸回りに旋回可能な、先端が球状ないしは半球状の球状回転工具と、を備えた多軸NC木工旋盤システムであって、
表面が三角形で分割されコンピュータに入力されている製品の三次元形状モデルを前記C軸にチャッキングしたと仮定し、
前記円盤型回転工具と同じ形状を有する仮想の薄肉円盤の外周が、旋回中の前記三次元形状モデルに対して接した状態を維持しながらZ軸方向に移動することを前提に、C軸の任意の旋回角度θと前記仮想の薄肉円盤の外周の任意のZ座標に対して前記仮想の薄肉円盤の回転中心のX座標を得るとともに、
前記球状回転工具と同じ直径の球体の先端形状を有する仮想の球体の表面が、前記C軸回りに旋回中の前記三次元形状モデルに対して接した状態を維持しながら、該球状回転工具の回転軸の向きを常にZ軸上の任意の点Zhに向き続けるようB軸回りに旋回することを前提に、
C軸の任意の旋回角度θと、前記球状回転工具における回転軸のZ軸とのなす任意の旋回角度αに対して前記球体の中心のX座標とZ座標を求める際、
前記球体の表面と前記三次元形状モデルを構成する三角形の頂点とが接するときの第一加工点と、前記球体の表面と前記三次元形状モデルを構成する三角形の辺とが接するときの第二加工点と、前記球体の表面と前記三次元形状モデルを構成する三角形平面とが接するときの第三加工点と、の3通りの加工点の候補の中から実際の加工に寄与すべき加工点を一つだけ抽出することで前記球体の中心のX座標とZ座標を得るようにしたことを特徴としている。
前記円盤型回転工具と同じ形状を有する仮想の薄肉円盤の外周が、旋回中の前記三次元形状モデルに対して接した状態を維持しながらZ軸方向に移動するとともに、前記仮想の薄肉円盤の向きを前記三次元形状モデルの表面に対して垂直に向けることを前提に、
前記仮想の薄肉円盤の外周と前記三次元形状モデルの表面との接触点から、法線方向に向けた長さが仮想の薄肉円盤の半径の法線ベクトルを計算し、前記法線ベクトルの先端位置からZ軸に垂直な直線がXZ平面と一致するまで前記三次元形状モデルをZ軸周りに回転させた回転角γと、前記法線ベクトルのXZ平面への投影成分がX軸とのなす角度βと、C軸の任意の旋回角度θとに対して前記仮想の薄肉円盤の中心のX座標とZ座標を得るようにしたことを特徴としている。
前記仮想の薄肉円盤の向きを前記三次元形状モデルの表面に対して垂直に向けるために、前記角度βだけスイングさせたと仮定した時、前記工具座標系で定義した多数の点のうちの少なくとも1点が、前記三次元形状モデルの内側にあれば、前記仮想の薄肉円盤が前記三次元形状モデルに干渉したと判断し、
前記仮想の薄肉円盤の向きを角度β−90°スイングし、前記仮想の薄肉円盤の先端を前記三次元形状モデルの加工点に接触するよう位置決めすることを特徴としている。
前記帯鋸盤の帯鋸刃と同じ形状を有する仮想の帯鋸工具が、C軸の旋回角度θがゼロ度における前記三次元形状モデルに対してZ軸に平行なZ軸方向でスライスする時に、Z軸方向とZ軸に直交するF方向に移動することを前提に、
前記三次元形状モデルをZ軸方向に向けて適宜間隔でXY平面に平行な多数の仮想スライス断面を形成し、各仮想スライス断面において+F方向の最大点Fmaxと最小点Fminを計算し、前記各Fmax同士を結んだ最大部輪郭線と前記各Fmin同士を結んだ最小部輪郭線とを計算し、前記最大部輪郭線に対する最大部オフセット線と、前記最小部輪郭線に対する最小部オフセット線を計算し、前記最大部オフセット線と前記最小部オフセット線のうちの少なくとも一方を前記仮想の帯鋸工具の工具経路として得ることを特徴としている。
前記ベルトサンダーの研磨ベルトと同じ形状を有する仮想の研磨工具が、C軸の旋回角度θがゼロ度における前記三次元形状モデルに対して研磨する時に、Z軸方向とZ軸に直交するF方向に移動することを前提に、
前記三次元形状モデルをZ軸方向に向けて適宜間隔でXY平面に平行な多数の仮想スライス断面を形成し、各仮想スライス断面において+F方向の最大点Fmaxと最小点Fminを計算し、前記各Fmax同士を結んだ最大部輪郭線と前記各Fmin同士を結んだ最小部輪郭線とを計算し、前記最大部輪郭線と前記最小部輪郭線のうちの少なくとも一方を前記仮想の研磨工具の工具経路として得ることを特徴としている。
表面が三角形で分割されコンピュータに入力されている製品の三次元形状モデルを、多軸NC木工旋盤上での旋回角度を制御可能な旋回軸であるC軸にチャッキングしたと仮定し、
第一の工具経路生成方法は、前記円盤型回転工具と同じ形状を有する仮想の薄肉円盤の外周が、C軸回りに旋回中の前記三次元形状モデルに対して接した状態を維持しながらZ軸方向に移動することを前提に、C軸の任意の旋回角度θと前記仮想の薄肉円盤の外周の任意のZ座標に対して前記仮想の薄肉円盤の回転中心のX座標を求めて工具経路を生成し、
第二の工具経路生成方法は、前記球状回転工具と同じ直径の球体の先端形状を有する仮想の球体の表面が、C軸回りに旋回中の前記三次元形状モデルに対して接した状態を維持しながら、球状回転工具の回転軸がZ軸上の任意の点Zhに常に向いたままXZ平面内を移動しかつXZ平面に直交するB軸回りに旋回することを前提に前記球体の中心のX座標とZ座標を求めるために、C軸の任意の旋回角度θと、前記球状回転工具における回転軸のZ軸とのなす任意の旋回角度αとした場合に、
前記三次元形状モデルと前記球状回転工具の両方を同時に、XZ平面に直角で前記Zhを通る直線回りに前記旋回角度αと同じ旋回角度だけ逆方向に旋回して回転座標変換することで前記球状回転工具の回転軸をZ軸に一致した状態とし、
前記球体の表面と前記三次元形状モデルを構成する三角形の頂点とが接するときの前記球体の中心のZ座標群と、前記球体の表面と前記三次元形状モデルを構成する三角形の辺とが接するときの前記球体の中心のZ座標群と、前記球体の表面と前記三次元形状モデルを構成する三角形平面とが接するときの前記球体の中心のZ座標群と、からなる全部のZ座標群のうちで、点Z=Zhから前記三次元形状モデルの外側に位置する+Z方向へ最も遠いZ座標を採用し、この採用したZ座標を、XZ平面に直角で前記Zhを通る直線回りに前記旋回角度αだけ正方向に旋回して回転座標変換して得られるX座標とZ座標とを工具経路にすることを特徴としている。
前記仮想の薄肉円盤の外周と前記三次元形状モデルの表面との接触点から、法線方向に向けた長さが仮想の薄肉円盤の半径の法線ベクトルを計算し、前記法線ベクトルの先端位置からZ軸に垂直な直線がXZ平面と一致するまで前記三次元形状モデルをZ軸周りに回転させた回転角γと、前記法線ベクトルのXZ平面への投影成分がX軸とのなす角度βと、C軸の任意の旋回角度θとに対して前記仮想の薄肉円盤の中心のX座標とZ座標を得るようにしたことを特徴としている。
前記仮想の薄肉円盤の向きを前記三次元形状モデルの表面に対して垂直に向けるために、前記角度βだけスイングさせたと仮定した時、前記工具座標系で定義した多数の点のうちの少なくとも1点が、前記三次元形状モデルの内側にあれば、前記仮想の薄肉円盤が前記三次元形状モデルに干渉したと判断し、
前記仮想の薄肉円盤の向きを角度β−90°スイングし、前記仮想の薄肉円盤の先端を前記三次元形状モデルの加工点に接触するよう位置決めすることを特徴としている。
前記第三の工具経路生成方法としては、前記帯鋸盤の帯鋸刃と同じ形状を有する仮想の帯鋸工具が、C軸の旋回角度θがゼロ度における前記三次元形状モデルに対してZ軸に平行なZ軸方向でスライスする時に、Z軸方向とZ軸に直交するF方向に移動することを前提に、
前記三次元形状モデルをZ軸方向に向けて適宜間隔でXY平面に平行な多数の仮想スライス断面を形成し、各仮想スライス断面において+F方向の最大点Fmaxと最小点Fminを計算し、前記各Fmax同士を結んだ最大部輪郭線と前記各Fmin同士を結んだ最小部輪郭線とを計算し、前記最大部輪郭線に対する最大部オフセット線と、前記最小部輪郭線に対する最小部オフセット線を計算し、前記最大部オフセット線と前記最小部オフセット線のうちの少なくとも一方を前記仮想の帯鋸工具の工具経路を生成することを特徴としている。
前記第四の工具経路生成方法としては、前記ベルトサンダーの研磨ベルトと同じ形状を有する仮想の研磨工具が、C軸の旋回角度θがゼロ度における前記三次元形状モデルに対して研磨する時に、Z軸方向とZ軸に直交するF方向に移動することを前提に、
前記三次元形状モデルをZ軸方向に向けて適宜間隔でXY平面に平行な多数の仮想スライス断面を形成し、各仮想スライス断面において+F方向の最大点Fmaxと最小点Fminを計算し、前記各Fmax同士を結んだ最大部輪郭線と前記各Fmin同士を結んだ最小部輪郭線とを計算し、前記最大部輪郭線と前記最小部輪郭線のうちの少なくとも一方を前記仮想の研磨工具の工具経路を生成することを特徴としている。
第一の工具経路生成プログラムは、前記円盤型回転工具と同じ形状を有する仮想の薄肉円盤の外周が、C軸回りに旋回中の前記三次元形状モデルに対して接した状態を維持しながらZ軸方向に移動することを前提に、C軸の任意の旋回角度θと前記仮想の薄肉円盤の外周の任意のZ座標に対し、前記仮想の薄肉円盤の回転中心のX座標を求めることにより、前記円盤型回転工具の工具経路とする。
第二の工具経路生成プログラムは、前記球状回転工具と同じ直径の球体の先端形状を有する仮想の球体の表面が、C軸回りに旋回中の前記三次元形状モデルに対して接した状態を維持しながら、球状回転工具の回転軸がZ軸上の任意の点Zhに常に向いたままXZ平面内を移動しかつXZ平面に直交する旋回することを前提に前記球体の中心のX座標とZ座標を求めるために、C軸の任意の旋回角度θと前記球状回転工具における回転軸のZ軸とのなす任意の旋回角度αとした場合、前記三次元形状モデルと前記球状回転工具の両方を同時に、XZ平面に直角で前記Zhを通る直線回りに前記旋回角度αと同じ旋回角度だけ逆方向に旋回して回転座標変換することで前記球状回転工具の回転軸をZ軸に一致した状態にし、
前記球体の表面と前記三次元形状モデルを構成する三角形の頂点とが接するときの前記球体の中心のZ座標群と、前記球体の表面と前記三次元形状モデルを構成する三角形の辺とが接するときの前記球体の中心のZ座標群と、前記球体の表面と前記三次元形状モデルを構成する三角形平面とが接するときの前記球体の中心のZ座標群と、からなる全部のZ座標群のうちで、点Z=Zhから前記三次元形状モデルの外側に位置する+Z方向へ最も遠いZ座標を採用し、
この採用したZ座標を、XZ平面に直角で前記Zhを通る直線回りに前記旋回角度αだけ正方向に旋回して回転座標変換して得られるX座標とZ座標とを、前記球状回転工具の工具経路とすることを特徴とする。
前記仮想の薄肉円盤の外周と前記三次元形状モデルの表面との接触点から、法線方向に向けた長さが仮想の薄肉円盤の半径の法線ベクトルを計算し、前記法線ベクトルの先端位置からZ軸に垂直な直線がXZ平面と一致するまで前記三次元形状モデルをZ軸周りに回転させた回転角γと、前記法線ベクトルのXZ平面への投影成分がX軸とのなす角度βと、C軸の任意の旋回角度θとに対して前記仮想の薄肉円盤の中心のX座標とZ座標を得るようにしたことを特徴としている。
前記仮想の薄肉円盤の向きを前記三次元形状モデルの表面に対して垂直に向けるために、前記角度βだけスイングさせたと仮定した時、前記工具座標系で定義した多数の点のうちの少なくとも1点が、前記三次元形状モデルの内側にあれば、前記仮想の薄肉円盤が前記三次元形状モデルに干渉したと判断し、
前記仮想の薄肉円盤の向きを角度β−90°スイングし、前記仮想の薄肉円盤の先端を前記三次元形状モデルの加工点に接触するよう位置決めすることを特徴としている。
前記第三の工具経路生成プログラムは、前記帯鋸盤の帯鋸刃と同じ形状を有する仮想の帯鋸工具が、C軸の旋回角度θがゼロ度における前記三次元形状モデルに対してZ軸に平行なZ軸方向でスライスする時に、Z軸方向とZ軸に直交するF方向に移動することを前提に、
前記三次元形状モデルをZ軸方向に向けて適宜間隔でXY平面に平行な多数の仮想スライス断面を形成し、各仮想スライス断面において+F方向の最大点Fmaxと最小点Fminを計算し、前記各Fmax同士を結んだ最大部輪郭線と前記各Fmin同士を結んだ最小部輪郭線とを計算し、前記最大部輪郭線に対する最大部オフセット線と、前記最小部輪郭線に対する最小部オフセット線を計算し、前記最大部オフセット線と前記最小部オフセット線のうちの少なくとも一方を前記仮想の帯鋸工具の工具経路にすることを特徴としている。
前記第四の工具経路生成プログラムとしては、前記ベルトサンダーの研磨ベルトと同じ形状を有する仮想の研磨工具が、C軸の旋回角度θがゼロ度における前記三次元形状モデルに対して研磨する時に、Z軸方向とZ軸に直交するF方向に移動することを前提に、
前記三次元形状モデルをZ軸方向に向けて適宜間隔でXY平面に平行な多数の仮想スライス断面を形成し、各仮想スライス断面において+F方向の最大点Fmaxと最小点Fminを計算し、前記各Fmax同士を結んだ最大部輪郭線と前記各Fmin同士を結んだ最小部輪郭線とを計算し、前記最大部輪郭線と前記最小部輪郭線のうちの少なくとも一方を前記仮想の研磨工具の工具経路を生成することを特徴としている。
前記仮想の薄肉円板による工具経路に基づいて円盤型切削工具で一度の送り動作だけによる粗加工を先ず行い、その後、材料を取り外すことなく直ちに前記仮想の球体による工具経路に基づいて球状回転工具で微細な凹凸の加工を行うことができる。その結果、粗加工から微細加工までの一連の工程を、1台の加工機の上で連続して加工することが可能になるので、結果的に微細な三次元の旋盤加工を短時間で且つ精度良く行うことが可能となる。これにより、複雑で高価なハードウエアやソフトウエアを必要とせずに安価で、しかも微細な凹凸加工も含め、全体的に短時間で効率の良い三次元加工を行うことを可能ならしめている。
図2(a)は、三次元形状モデル2が仮想的にC軸にチャッキングされている状態と、円盤型回転工具20と同じ形状を有する仮想の薄肉円盤21を示している。図2(a)における仮想の薄肉円盤21は、円盤型回転工具20の厚みと直径が同一な薄肉の円盤としている。
図2(a)では、球状回転工具31の先端の球体と同じ直径の仮想の球体32を示している。仮想の球体32は、球状回転工具31の回転軸と同じ軸心を有する。
なお、Z軸上の任意の点Zhは、図5(a)に示すように、製品形状の先端部を半球体に近似したときの底面の中心のZ座標である。製品形状の後端部は前記の先端部の半球体に連なる円筒体となる。
その結果、図5(b)に示すように、三次元形状モデル2の表面の三角形と接する位置を単にZ軸上に中心を持つ半径rbの仮想の球体32の中心位置を求める状態に簡略化することができる。
チャック11によってC軸回りに旋回する三次元形状モデル2の回転軸をZ軸とし、チャック11から遠のく方向を+Zとする。Z軸およびZ軸に直交するX軸でなすXZ平面において仮想の薄肉円盤21が遠のく方向を+Xとする。XZ平面に垂直な軸をY軸とし、+Z軸から+X軸へと右ねじを回した時にねじが進む方向を+Yとする。すなわち、図5(a)における紙面上のX軸とZ軸の交点に直交するY軸において紙面の手前側が+Yとなる。また、Z軸と球状回転工具31の回転軸rとのなす旋回角度をαとする。三次元形状モデル2のC軸回りの旋回角度をθとし、三次元形状モデル2をチャック11に向かって右回りに旋回する方向を+θとする。
三角形の頂点は、図7に示すように、空間における任意の点P(xp,yp,zp)とする。球体32の半径はrbとする。球体32の中心のZ座標ZCは、式(1)で求められる。
三角形の辺は、図8に示すように、点A(x1,y1,z1)を通り、方向余弦が(l,m,n)の直線gとする。球体32の半径はrbとする。球体32の中心のZ座標ZCは、式(2)で求められる。
三角形平面は、図9に示すように、点P1(x1,y1,z1),点P2(x2,y2,z2),点P3(x3,y3,z3),を通る平面πとする。球体32の半径はrbとする。球体32の中心のZ座標ZCは、式(3)で求められる。
これらの全部のZ座標群のうちで、Z=Zhから最も遠いZ座標を球状回転工具31のZ軸上における工具経路として採用する。
この採用したZ軸上のZ座標は、点Z=Zh回りに前記旋回角度αだけ正方向に旋回して回転座標変換することでX座標とZ座標が得られ、球状回転工具31の工具経路となる。
なお、球状回転工具31は、円盤型回転工具20と同じステージ上に設けたとしても、単にX軸方向とZ軸方向に移動するだけであれば、微細な凹凸加工を行うことができないが、本実施形態では球状回転工具31をB軸回りに旋回(スイング)させるようにしていることから、材料の端面から側面に至る方向まで、連続的に微細な凹凸加工を効果的に行うことが可能になっている。
したがって、表面が三次元曲面の多角形ポリゴンに分割された製品の三次元形状モデル2に対しても、上記の分割された三角形に対して、前述の実施形態と同様に加工点を得ることができる。
したがって、表面が三次元曲面の多角形ポリゴンに分割された製品の三次元形状モデル2に対しても、上記の分割された三角形に対して、前述の実施形態と同様に加工点を得ることができる。
円盤型回転工具20は、外周の鋸刃23が常に旋回中の三次元形状モデル2に接した状態を維持しながらZ軸方向に移動するが、これに新たな機能を備える。すなわち、円盤型回転工具20が三次元形状モデル2の表面に対して垂直方向、つまり法線方向に向けるように制御される。
円盤型回転工具20は、図10(a),図11及び図12において、Z軸方向およびZ軸に直交するX軸方向に移動可能である。さらに、円盤型回転工具20の回転中心を通過し、かつ、XZ平面に垂直なD軸回りに旋回可能である。
図12、図13及び図14に示すように、任意のZ座標Ziと、C軸の旋回角度θiにおいて、XZ平面内のZ軸に垂直でX軸と平行な直線と、三次元形状モデル2の表面との交点をP(Xi,θi,Zi)とする。交点Pは仮想の薄肉円盤21の外周が三次元形状モデル2の表面に対して垂直に接触する予定の点である。
交点Pから法線方向に向けて、長さが仮想の薄肉円盤21の半径Rcの法線ベクトルPOcを計算する。法線ベクトルPOcの先端位置OcからZ軸におろした垂線の足(つまりZ軸との交点)をHとし、HOcの長さをXcとする。このとき、HOcがXZ平面と一致するまで三次元形状モデル2をZ軸周りに回転させた回転角をγとする。このときの法線ベクトルPOcのXZ平面への投影成分POc’がX軸とのなす角度をβとし、仮想の薄肉円盤21の中心のX座標がXcとなる。
なお、仮想の薄肉円盤21の中心21cのZ座標Zcは、ベクトルHOcと角度γから回転の座標変換により計算することができる。
上記の実施形態では、円盤型回転工具20が三次元形状モデル2の表面に対して法線方向に向くように制御される。しかし、三次元形状モデル2が、例えば、図15に示すように凹み2bが大きい形状の場合は、図16の斜線で示すように、円盤型回転工具20と三次元形状モデル2が干渉するという問題が生じる。
次いで、仮想の薄肉円盤21の先端を三次元形状モデル2の加工点に接触するよう位置決めする。円盤型回転工具20としては、例えばバチ状のチップ20a(切断刃)を備えたチップソー20を使用している。チップ20aの側面の長さの範囲内の位置、例えばチップ長さの中間点で加工点に接触するように、チップソー20の位置を決める。
この加工システムは、基本的に、例えば正角材の木工材料Wから三次元形状を削り出す際に、木工材料Wの正方形の外形と三次元形状の輪郭との間の削り代を、予め帯鋸刃23を用いて塊として切り落とすことで、少ないエネルギーで、かつ、短時間で除去することを目的とする。
なお、F方向としては、本実施形態では、図17に示すようにY方向が該当しているが、このY方向に限定されない。すなわち、帯鋸刃41が、全体としてZ軸方向と、Z軸に直交するX方向に移動可能であってもよく、あるいはZ軸に直交する方向であればその他の方向であってもよい。つまり、帯鋸盤40の設置状態は、帯鋸刃41が全体としてZ軸方向に移動しながら、Z軸に対して接近・離反する方向が一つに限定されず、任意に設定できる。
最大部オフセット線5の計算方法としては、図20に示すように、まず、最大部輪郭線3に対してNURBSなどのスプライン関数で、各仮想スライス断面2cにおける各Fmaxの全点を補間する。この補間された最大部輪郭線3に対して一定距離にある最大部オフセット線5を計算する。前記の一定距離としては、例えばチップソー20のチップ20aの長さ(例えば2〜3mm)以下の距離とすることができる。
次に、前記の最大部オフセット線5と、スライスした仮想スライス断面2cとの交点を求め、最大部オフセット線5の線上の点の離散データを求める。
なお、最小部オフセット線6の計算方法は、基本的に、最大部オフセット線5の計算方法と同様であるので、詳しい説明は省略する。
帯鋸刃41は、三次元形状モデル2をC軸の旋回角度θごとに旋回して得た2つの最大部オフセット線5及び最小部オフセット線6のうち、最大部オフセット線5に沿って切断する。帯鋸刃41の先端が最大部オフセット線5の線上の点間を移動し、帯鋸刃41はオフセット線の接線方向を向きながら木工材料Wを切断する。
まず、図22(a)では、正角材の木工材料WをC軸にチャッキングし、C軸を旋回しながら、帯鋸刃41による切断端の位置に、予め円盤型回転工具20にて切れ目24を入れておく。
なお、図示していないが、球状回転工具31の工具経路は、予め球状回転工具31と同じ直径の球体の先端形状を有する仮想の球体32によって得ている。球状回転工具31は、前記工具経路に基づいて移動し、三次元形状の輪郭の残った部分を切削する。
この加工システムは、円盤型回転工具20や球状回転工具31を用いて、木工材料Wから三次元形状を削り出した後に、前記三次元形状の輪郭を研磨ベルト51にて自動的に研磨することで、研磨工程の時間短縮と省力化を図ることを目的とする。
なお、F方向としては、前述の帯鋸刃41で説明したように、本実施形態では、図23に示すようにX方向が該当しているが、このX方向に限定されない。すなわち、研磨ベルト51が、全体としてZ軸方向と、Z軸に直交するY方向に移動可能であってもよく、あるいはZ軸に直交する方向であればその他の方向であってもよい。つまり、ベルトサンダー50の設置状態は、研磨ベルト51が全体としてZ軸方向に移動しながら、Z軸に対して接近・離反する方向が一つに限定されず、任意に設定できる。
次に、前記各Xmax(Fmax)同士を結んだ最大部輪郭線と、前記各Xmin(Fmin)同士を結んだ最小部輪郭線とを計算する。
なお、上記の仮想の研磨工具54の研磨する位置は、前述の帯鋸刃41による削り代の切断の際に求めた工具経路を活用することができる。
研磨ベルト51は、三次元形状モデル2をC軸の旋回角度θごとに旋回して得た2つの最大部輪郭線及び最小部輪郭線のうち、最大部輪郭線に沿って研磨する。研磨ベルト51が最大部輪郭線上の点間を移動し、研磨ベルト51の研磨面は最大部輪郭線の接線方向と同じ面方向になるように研磨する。
以上のことから、本実施形態の多軸NC木工旋盤システム1は、三次元形状の加工品の仕上げとして、加工品の輪郭に対して研磨ベルト51にて自動的に研磨することで、研磨工程の時間短縮と省力化を図ることができる。
2a; スライス片 2b; 凹み
2c; 仮想スライス断面 3; 最大部輪郭線
4; 最小部輪郭線 5; 最大部オフセット線
6; 最小部オフセット線
10; 4軸NC木工旋盤 11; チャック
20; 円盤型回転工具 20a; チップ
21; 仮想の薄肉円盤
21a; 側面 21b; 側面
21c; 中心(仮想の薄肉円盤の)
22; 空間領域(仮想の薄肉円盤21の)
22a; 第一の平面 22b; 第二の平面
23; 鋸刃 24; 切れ目
31; 球状回転工具 32; 仮想の球体
33; 空間領域(球状回転工具31の)
40; 帯鋸盤 41; 帯鋸刃
41b; 台金 42; 駆動ホイール
43; 従動ホイール 44; 仮想の帯鋸工具
45; 切断溝
50; ベルトサンダー 51; 研磨ベルト
52; 駆動ホイール 53; 従動ホイール
54; 仮想の研磨工具
W; 木工材料
Claims (23)
- 旋回角度を制御可能な旋回軸であるC軸にチャッキングして前記C軸回りに旋回する木工材料を切削するために、
Z軸方向および前記Z軸に直交するX軸方向に移動可能な円盤型回転工具と、
前記円盤型回転工具と同じステージ上に設置され、XZ平面内を移動しかつXZ平面に直角なB軸回りに旋回可能な、先端が球状ないしは半球状の球状回転工具とを備えた多軸NC木工旋盤システムであって、
表面が三角形で分割されコンピュータに入力されている製品の三次元形状モデルを前記C軸にチャッキングしたと仮定し、
前記円盤型回転工具と同じ形状を有する仮想の薄肉円盤の外周が、旋回中の前記三次元形状モデルに対して接した状態を維持しながらZ軸方向に移動することを前提に、C軸の任意の旋回角度θと前記仮想の薄肉円盤の外周の任意のZ座標に対して前記仮想の薄肉円盤の回転中心のX座標を得るとともに、
前記球状回転工具と同じ直径の球体の先端形状を有する仮想の球体の表面が、前記C軸回りに旋回中の前記三次元形状モデルに対して接した状態を維持しながら、該球状回転工具の回転軸の向きを常にZ軸上の任意の点Zhに向き続けるようB軸回りに旋回することを前提に、
C軸の任意の旋回角度θと、前記球状回転工具における回転軸のZ軸とのなす任意の旋回角度αに対して前記球体の中心のX座標とZ座標を求める際、
前記球体の表面と前記三次元形状モデルを構成する三角形の頂点とが接するときの第一加工点と、前記球体の表面と前記三次元形状モデルを構成する三角形の辺とが接するときの第二加工点と、前記球体の表面と前記三次元形状モデルを構成する三角形平面とが接するときの第三加工点と、の3通りの加工点の候補の中から実際の加工に寄与すべき加工点を一つだけ抽出することで前記球体の中心のX座標とZ座標を得るようにしたことを特徴とする多軸NC木工旋盤システム。 - 前記三次元形状モデルは、表面が三次元曲面の多角形ポリゴンに分割された製品に対して、前記多角形ポリゴンの曲面上に頂点を持ち、頂点同士を直線で結ばれた三角形に分割したと仮定することを特徴とする請求項1に記載の多軸NC木工旋盤システム。
- 前記円盤型回転工具は、Z軸方向および前記Z軸に直交するX軸方向に移動可能であるとともに、円盤型回転工具の回転中心を通過し、かつXZ平面に直角なD軸回りに旋回可能であり、
前記円盤型回転工具と同じ形状を有する仮想の薄肉円盤の外周が、旋回中の前記三次元形状モデルに対して接した状態を維持しながらZ軸方向に移動するとともに、前記仮想の薄肉円盤の向きを前記三次元形状モデルの表面に対して垂直に向けることを前提に、
前記仮想の薄肉円盤の外周と前記三次元形状モデルの表面との接触点から、法線方向に向けた長さが仮想の薄肉円盤の半径の法線ベクトルを計算し、前記法線ベクトルの先端位置からZ軸に垂直な直線がXZ平面と一致するまで前記三次元形状モデルをZ軸周りに回転させた回転角γと、前記法線ベクトルのXZ平面への投影成分がX軸とのなす角度βと、C軸の任意の旋回角度θとに対して前記仮想の薄肉円盤の中心のX座標とZ座標を得るようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の多軸NC木工旋盤システム。 - 前記仮想の薄肉円盤は、その表面の周囲に多数の点からなる工具座標系で定義し、
前記仮想の薄肉円盤の向きを前記三次元形状モデルの表面に対して垂直に向けるために、前記角度βだけスイングさせたと仮定した時、前記工具座標系で定義した多数の点のうちの少なくとも1点が、前記三次元形状モデルの内側にあれば、前記仮想の薄肉円盤が前記三次元形状モデルに干渉したと判断し、
前記仮想の薄肉円盤の向きを角度β−90°スイングし、前記仮想の薄肉円盤の先端を前記三次元形状モデルの加工点に接触するよう位置決めすることを特徴とする請求項3に記載の多軸NC木工旋盤システム。 - 前記Z軸上の任意の点Zhは、製品形状の先端部を半球体に近似したときの底面の中心のZ座標であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多軸NC木工旋盤システム。
- 前記球状回転工具は、先端が球状ないしは半球状の木工用ボールビットあるいは木工用ルータビットであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の多軸NC木工旋盤システム。
- 請求項1、2又は3に記載の多軸NC木工旋盤システムにおいて、
C軸に直交する方向と平行に走行する帯鋸刃を備えるとともに、前記帯鋸刃が全体としてZ軸に平行なZ軸方向と、Z軸に直交するF方向に移動可能で、かつ、前記帯鋸刃の向きをZ軸方向に対して傾斜するように変向可能である帯鋸盤を備え、
前記帯鋸盤の帯鋸刃と同じ形状を有する仮想の帯鋸工具が、C軸の旋回角度θがゼロ度における前記三次元形状モデルに対してZ軸に平行なZ軸方向でスライスする時に、Z軸方向とZ軸に直交するF方向に移動することを前提に、
前記三次元形状モデルをZ軸方向に向けて適宜間隔でXY平面に平行な多数の仮想スライス断面を形成し、各仮想スライス断面において+F方向の最大点Fmaxと最小点Fminを計算し、前記各Fmax同士を結んだ最大部輪郭線と前記各Fmin同士を結んだ最小部輪郭線とを計算し、前記最大部輪郭線に対する最大部オフセット線と、前記最小部輪郭線に対する最小部オフセット線を計算し、前記最大部オフセット線と前記最小部オフセット線のうちの少なくとも一方を前記仮想の帯鋸工具の工具経路として得ることを特徴とする多軸NC木工旋盤システム。 - 前記最大部輪郭線と前記最小部輪郭線は、前記三次元形状モデルをC軸の適宜ピッチの旋回角度θで回転させるごとに停止して計算し、最大部輪郭線と最小部輪郭線のそれぞれに対応する最大部オフセット線と最小部オフセット線を計算して得ることを特徴とする請求項7に記載の多軸NC木工旋盤システム。
- 請求項1、2、3又は7に記載の多軸NC木工旋盤システムにおいて、
C軸に直交する方向と平行に走行する研磨ベルトを備えるとともに、前記研磨ベルトが全体としてZ軸に平行なZ軸方向と、Z軸に直交するF方向に移動可能で、かつ、前記研磨ベルトの向きをZ軸方向に対して傾斜するように変向可能であるベルトサンダーを備え、
前記ベルトサンダーの研磨ベルトと同じ形状を有する仮想の研磨工具が、C軸の旋回角度θがゼロ度における前記三次元形状モデルに対して研磨する時に、Z軸方向とZ軸に直交するF方向に移動することを前提に、
前記三次元形状モデルをZ軸方向に向けて適宜間隔でXY平面に平行な多数の仮想スライス断面を形成し、各仮想スライス断面において+F方向の最大点Fmaxと最小点Fminを計算し、前記各Fmax同士を結んだ最大部輪郭線と前記各Fmin同士を結んだ最小部輪郭線とを計算し、前記最大部輪郭線と前記最小部輪郭線のうちの少なくとも一方を前記仮想の研磨工具の工具経路として得ることを特徴とする多軸NC木工旋盤システム。 - 前記最大部輪郭線と前記最小部輪郭線は、前記三次元形状モデルをC軸の適宜ピッチの旋回角度θで回転させるごとに停止して計算して得ることを特徴とする請求項9に記載の多軸NC木工旋盤システム。
- 円盤型回転工具を用いた三次元加工に必要な第一の工具経路生成方法と、先端が球状ないしは半球状の回転工具である球状回転工具を用いた三次元加工に必要な第二の工具経路生成方法と、を組み合わせた工具経路生成方法であって、
表面が三角形で分割されコンピュータに入力されている製品の三次元形状モデルを、4軸NC木工旋盤上での旋回角度を制御可能な旋回軸であるC軸にチャッキングしたと仮定し、
第一の工具経路生成方法としては、前記円盤型回転工具と同じ形状を有する仮想の薄肉円盤の外周が、C軸回りに旋回中の前記三次元形状モデルに対して接した状態を維持しながらZ軸方向に移動することを前提に、C軸の任意の旋回角度θと前記仮想の薄肉円盤の外周の任意のZ座標に対して前記仮想の薄肉円盤の回転中心のX座標を求めて工具経路を生成し、
第二の工具経路生成方法としては、前記球状回転工具と同じ直径の球体の先端形状を有する仮想の球体の表面が、C軸回りに旋回中の前記三次元形状モデルに対して接した状態を維持しながら、球状回転工具の回転軸がZ軸上の任意の点Zhに常に向いたままXZ平面内を移動しかつXZ平面に直交するB軸回りに旋回することを前提に前記球体の中心のX座標とZ座標を求めるために、C軸の任意の旋回角度θと、前記球状回転工具における回転軸のZ軸とのなす任意の旋回角度αとした場合に、
前記三次元形状モデルと前記球状回転工具の両方を同時に、XZ平面に直角で前記Zhを通る直線回りに前記旋回角度αと同じ旋回角度だけ逆方向に旋回して回転座標変換することで前記球状回転工具の回転軸をZ軸に一致した状態とし、
前記球体の表面と前記三次元形状モデルを構成する三角形の頂点とが接するときの前記球体の中心のZ座標群と、前記球体の表面と前記三次元形状モデルを構成する三角形の辺とが接するときの前記球体の中心のZ座標群と、前記球体の表面と前記三次元形状モデルを構成する三角形平面とが接するときの前記球体の中心のZ座標群と、からなる全部のZ座標群のうちで、点Z=Zhから前記三次元形状モデルの外側に位置する+Z方向へ最も遠いZ座標を採用し、この採用したZ座標を、XZ平面に直角で前記Zhを通る直線回りに前記旋回角度αだけ正方向に旋回して回転座標変換して得られるX座標とZ座標とを工具経路にすることを特徴とする工具経路生成方法。 - 前記三次元形状モデルは、表面が三次元曲面の多角形ポリゴンに分割された製品に対して、前記多角形ポリゴンの曲面上に頂点を持ち、頂点同士を直線で結ばれた三角形に分割したと仮定することを特徴とする請求項11に記載の工具経路生成方法。
- 前記第一の工具経路生成方法としては、前記円盤型回転工具と同じ形状を有する仮想の薄肉円盤の外周が、C軸周りに旋回中の前記三次元形状モデルに対して接した状態を維持しながらZ軸方向に移動するとともに、前記仮想の薄肉円盤の向きを前記三次元形状モデルの表面に対して垂直に向けることを前提に、
前記仮想の薄肉円盤の外周と前記三次元形状モデルの表面との接触点から、法線方向に向けた長さが仮想の薄肉円盤の半径の法線ベクトルを計算し、前記法線ベクトルの先端位置からZ軸に垂直な直線がXZ平面と一致するまで前記三次元形状モデルをZ軸周りに回転させた回転角γと、前記法線ベクトルのXZ平面への投影成分がX軸とのなす角度βと、C軸の任意の旋回角度θとに対して前記仮想の薄肉円盤の中心のX座標とZ座標を得るようにしたことを特徴とする請求項11又は12に記載の工具経路生成方法。 - 前記仮想の薄肉円盤は、その表面の周囲に多数の点からなる工具座標系で定義し、
前記仮想の薄肉円盤の向きを前記三次元形状モデルの表面に対して垂直に向けるために、前記角度βだけスイングさせたと仮定した時、前記工具座標系で定義した多数の点のうちの少なくとも1点が、前記三次元形状モデルの内側にあれば、前記仮想の薄肉円盤が前記三次元形状モデルに干渉したと判断し、
前記仮想の薄肉円盤の向きを角度β−90°スイングし、前記仮想の薄肉円盤の先端を前記三次元形状モデルの加工点に接触するよう位置決めすることを特徴とする請求項13に記載の工具経路生成方法。 - 請求項11〜14のいずれかに記載の工具経路生成方法において、
C軸に直交する方向と平行に走行する帯鋸刃を備えるとともに、前記帯鋸刃が全体としてZ軸に平行なZ軸方向と、Z軸に直交するF方向に移動可能で、かつ、前記帯鋸刃の向きをZ軸方向に対して傾斜するように変向可能である帯鋸盤を用いた三次元加工に必要な第三の工具経路生成方法を加え、
前記第三の工具経路生成方法としては、前記帯鋸盤の帯鋸刃と同じ形状を有する仮想の帯鋸工具が、C軸の旋回角度θがゼロ度における前記三次元形状モデルに対してZ軸に平行なZ軸方向でスライスする時に、Z軸方向とZ軸に直交するF方向に移動することを前提に、
前記三次元形状モデルをZ軸方向に向けて適宜間隔でXY平面に平行な多数の仮想スライス断面を形成し、各仮想スライス断面において+F方向の最大点Fmaxと最小点Fminを計算し、前記各Fmax同士を結んだ最大部輪郭線と前記各Fmin同士を結んだ最小部輪郭線とを計算し、前記最大部輪郭線に対する最大部オフセット線と、前記最小部輪郭線に対する最小部オフセット線を計算し、前記最大部オフセット線と前記最小部オフセット線のうちの少なくとも一方を前記仮想の帯鋸工具の工具経路を生成することを特徴とする工具経路生成方法。 - 請求項11〜15のいずれかに記載の工具経路生成方法において、
C軸に直交する方向と平行に走行する研磨ベルトを備えるとともに、前記研磨ベルトが全体としてZ軸に平行なZ軸方向と、Z軸に直交するF方向に移動可能で、かつ、前記研磨ベルトの向きをZ軸方向に対して傾斜するように変向可能であるベルトサンダーを用いた三次元加工に必要な第四の工具経路生成方法を加え、
前記第四の工具経路生成方法としては、前記ベルトサンダーの研磨ベルトと同じ形状を有する仮想の研磨工具が、C軸の旋回角度θがゼロ度における前記三次元形状モデルに対して研磨する時に、Z軸方向とZ軸に直交するF方向に移動することを前提に、
前記三次元形状モデルをZ軸方向に向けて適宜間隔でXY平面に平行な多数の仮想スライス断面を形成し、各仮想スライス断面において+F方向の最大点Fmaxと最小点Fminを計算し、前記各Fmax同士を結んだ最大部輪郭線と前記各Fmin同士を結んだ最小部輪郭線とを計算し、前記最大部輪郭線と前記最小部輪郭線のうちの少なくとも一方を前記仮想の研磨工具の工具経路を生成することを特徴とする工具経路生成方法。 - 表面が三角形で分割されコンピュータに入力されている製品の三次元形状モデルを、4軸NC木工旋盤上での旋回角度を制御可能な旋回軸であるC軸にチャッキングしたと仮定し、円盤型回転工具を用いた三次元加工に必要な第一の工具経路生成プログラムと、先端が球状ないしは半球状の回転工具である球状回転工具を用いた三次元加工に必要な第二の工具経路生成プログラムと、を組み合わせた工具経路生成プログラムであって、
前記第一の工具経路生成プログラムは、
前記円盤型回転工具と同じ形状を有する仮想の薄肉円盤の外周が、C軸回りに旋回中の前記三次元形状モデルに対して接した状態を維持しながらZ軸方向に移動することを前提に、C軸の任意の旋回角度θと前記仮想の薄肉円盤の外周の任意のZ座標に対し、前記仮想の薄肉円盤の回転中心のX座標を求めることにより、前記円盤型回転工具の工具経路と
し、
前記第二の工具経路生成プログラムは、
前記球状回転工具と同じ直径の球体の先端形状を有する仮想の球体の表面が、C軸回りに旋回中の前記三次元形状モデルに対して接した状態を維持しながら、球状回転工具の回転軸がZ軸上の任意の点Zhに常に向いたままXZ平面内を移動しかつXZ平面に直交するB軸回りに旋回することを前提に前記球体の中心のX座標とZ座標を求めるために、
C軸の任意の旋回角度θと前記球状回転工具における回転軸のZ軸とのなす任意の旋回角度αとした場合、前記三次元形状モデルと前記球状回転工具の両方を同時に、XZ平面に直角で前記Zhを通る直線回りに前記旋回角度αと同じ旋回角度だけ逆方向に旋回して回転座標変換することで前記球状回転工具の回転軸をZ軸に一致した状態にし、
前記球体の表面と前記三次元形状モデルを構成する三角形の頂点とが接するときの前記球体の中心のZ座標群と、前記球体の表面と前記三次元形状モデルを構成する三角形の辺とが接するときの前記球体の中心のZ座標群と、前記球体の表面と前記三次元形状モデルを構成する三角形平面とが接するときの前記球体の中心のZ座標群と、からなる全部のZ座標群のうちで、点Z=Zhから前記三次元形状モデルの外側に位置する+Z方向へ最も遠いZ座標を採用し、
この採用したZ座標を、XZ平面に直角で前記Zhを通る直線回りに前記旋回角度αだけ正方向に旋回して回転座標変換して得られるX座標とZ座標とを工具経路にすることを特徴とする工具経路生成プログラム。 - 前記三次元形状モデルは、表面が三次元曲面の多角形ポリゴンに分割された製品に対して、前記多角ポリゴンの曲面上に頂点を持ち、頂点同士を直線で結ばれた三角形に分割したと仮定することを特徴とする請求項17に記載の工具経路生成プログラム。
- 前記第一の工具経路生成プログラムは、
前記円盤型回転工具と同じ形状を有する仮想の薄肉円盤の外周が、C軸周りに旋回中の前記三次元形状モデルに対して接した状態を維持しながらZ軸方向に移動するとともに、前記仮想の薄肉円盤の向きを前記三次元形状モデルの表面に対して垂直に向けることを前提に、
前記仮想の薄肉円盤の外周と前記三次元形状モデルの表面との接触点から、法線方向に向けた長さが仮想の薄肉円盤の半径の法線ベクトルを計算し、前記法線ベクトルの先端位置からZ軸に垂直な直線がXZ平面と一致するまで前記三次元形状モデルをZ軸周りに回転させた回転角γと、前記法線ベクトルのXZ平面への投影成分がX軸とのなす角度βと、C軸の任意の旋回角度θとに対して前記仮想の薄肉円盤の中心のX座標とZ座標を得るようにしたことを特徴とする請求項17又は18に記載の工具経路生成プログラム。 - 前記仮想の薄肉円盤は、その表面の周囲に多数の点からなる工具座標系で定義し、
前記仮想の薄肉円盤の向きを前記三次元形状モデルの表面に対して垂直に向けるために、前記角度βだけスイングさせたと仮定した時、前記工具座標系で定義した多数の点のうちの少なくとも1点が、前記三次元形状モデルの内側にあれば、前記仮想の薄肉円盤が前記三次元形状モデルに干渉したと判断し、
前記仮想の薄肉円盤の向きを角度β−90°スイングし、前記仮想の薄肉円盤の先端を前記三次元形状モデルの加工点に接触するよう位置決めすることを特徴とする請求項19に記載の工具経路生成プログラム。 - 請求項17〜20のいずれかに記載の工具経路生成プログラムにおいて、
C軸に直交する方向と平行に走行する帯鋸刃を備えるとともに、前記帯鋸刃が全体としてZ軸に平行なZ軸方向と、Z軸に直交するF方向に移動可能で、かつ、前記帯鋸刃の向きをZ軸方向に対して傾斜するように変向可能である帯鋸盤を用いた三次元加工に必要な第三の工具経路生成プログラムを加え、
前記第三の工具経路生成プログラムは、前記帯鋸盤の帯鋸刃と同じ形状を有する仮想の帯鋸工具が、C軸の旋回角度θがゼロ度における前記三次元形状モデルに対してZ軸に平行なZ軸方向でスライスする時に、Z軸方向とZ軸に直交するF方向に移動することを前提に、
前記三次元形状モデルをZ軸方向に向けて適宜間隔でXY平面に平行な多数の仮想スライス断面を形成し、各仮想スライス断面において+F方向の最大点Fmaxと最小点Fminを計算し、前記各Fmax同士を結んだ最大部輪郭線と前記各Fmin同士を結んだ最小部輪郭線とを計算し、前記最大部輪郭線に対する最大部オフセット線と、前記最小部輪郭線に対する最小部オフセット線を計算し、前記最大部オフセット線と前記最小部オフセット線のうちの少なくとも一方を前記仮想の帯鋸工具の工具経路にすることを特徴とする工具経路生成プログラム。 - 請求項17〜21のいずれかに記載の工具経路生成プログラムにおいて、
C軸に直交する方向と平行に走行する研磨ベルトを備えるとともに、前記研磨ベルトが全体としてZ軸に平行なZ軸方向と、Z軸に直交するF方向に移動可能で、かつ、前記研磨ベルトの向きをZ軸方向に対して傾斜するように変向可能であるベルトサンダーを用いた三次元加工に必要な第四の工具経路生成プログラムを加え、
前記第四の工具経路生成プログラムとしては、前記ベルトサンダーの研磨ベルトと同じ形状を有する仮想の研磨工具が、C軸の旋回角度θがゼロ度における前記三次元形状モデルに対して研磨する時に、Z軸方向とZ軸に直交するF方向に移動することを前提に、
前記三次元形状モデルをZ軸方向に向けて適宜間隔でXY平面に平行な多数の仮想スライス断面を形成し、各仮想スライス断面において+F方向の最大点Fmaxと最小点Fminを計算し、前記各Fmax同士を結んだ最大部輪郭線と前記各Fmin同士を結んだ最小部輪郭線とを計算し、前記最大部輪郭線と前記最小部輪郭線のうちの少なくとも一方を前記仮想の研磨工具の工具経路を生成することを特徴とする工具経路生成プログラム。 - 請求項17〜22のいずれかに記載の工具経路生成プログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。
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