図9は、従来の遠心ポンプの縦断面図、図10は、従来の遠心ポンプにおいて、誤って複数枚のスラストワッシャー230を介装してしまった場合の状態を示す図9と同様な縦断面図、図11は、図10のG部分の部分拡大断面図、図12は、従来の遠心ポンプにおいて、誤ってスラストワッシャー230を介装するのを忘れてしまった場合の状態を示す図9と同様な縦断面図、図13は、図12のI部分の部分拡大断面図である。
図9に示したように、従来の遠心ポンプ100は、回転羽根部材102を備えている。この回転羽根部材102は、円管状の軸受け部104の上部に、外周方向に放射状に延設された複数枚の羽根車部材106を備えている。
なお、本明細書中、「上側」、「上部」、「上方」、「下側」、「下部」、「下方」などの上下方向を示す用語は、各図面において、上下方向を示すものであり、各部材の相対的な位置関係を示すものであって、絶対的な位置関係を示すものではない。
羽根車部材106は、軸受け部104の下部外周方向に延設された基端部分108と、この基端部分108から上方に外周方向に拡径した拡径部110と、この拡径部110から外周方向に延設された外側羽根部112とから構成されている。
また、回転羽根部材102は、基端部分108の外周に、環状の永久磁石からなるロータマグネット122が設けられている。
なお、ロータマグネット122と羽根車部材106との間は、羽根車部材106に対して、ロータマグネット122の回り止め、抜け落ちが防止される構造となっており、羽根車部材106がロータマグネット122とともに、軸部材154の周りを回転するように構成されている。
さらに、従来の遠心ポンプ100は、図9に示したように、回転羽根部材102を収容する本体ケース124を備えている。本体ケース124は、上側本体ケース126を備えており、上側本体ケース126は、頂壁128と、頂壁128の外周から下方に延設された側周壁130とから構成されている。
上側本体ケース126の側周壁130には、吸込側継手部材(吸い込み側導管)132が、密封状態で固着されている。これにより、本体ケース124内に、吸込側継手部材132が連通するように構成されている。
また、上側本体ケース126の側周壁130には、吸込側継手部材132と対向するように、吐出側継手部材136が、密封状態で固着されている。これにより、本体ケース124内に、吐出側継手部材136が連通するように構成されている。
また、図9に示したように、本体ケース124は、下側本体ケース(ロータケース)138を備えている。そして、上側本体ケース126の側周壁130の下端141の内壁に、下側本体ケース138の外周フランジ142が密封状態で固着されている。これにより、本体ケース124内に、上側本体ケース126と下側本体ケース138で囲まれた内部空間S1が形成されている。
この下側本体ケース138は、図9に示したように、下側本体ケース138の外周フランジ142から、内周側に延びた羽根収容部144と、この羽根収容部144から下方に延びたロータマグネット収容部146とを備えている。さらに、このロータマグネット収容部146の下方に、有底筒状の軸固定部材収容部148が形成されている。
そして、軸固定部材収容部148に、軸固定部材150が、例えば、圧入などによって嵌着されている。この軸固定部材150に形成された軸穴152に、軸部材154の下端部156が、軸支されるように固定されている。
また、この回転羽根部材102の軸受け部104内に、回転羽根部材102が回転できるように軸部材154が挿通されている。
さらに、本体ケース124は、羽根ケース158を備えている。この羽根ケース158は、吸込側継手部材132側において、この羽根ケース158の外周フランジ160が、上側本体ケース126の側周壁130の下方に、密封状態で固着されている。
すなわち、羽根ケース158の外周フランジ160が、上側本体ケース126の側周壁130の下端141の内壁と、下側本体ケース138の外周フランジ142との間に挟着されるように、密封状態で固着されている。
一方、羽根ケース158は、吐出側継手部材136側において、その側周壁162に開口部が形成され、この側周壁162の開口部の周囲が、本体ケース124の側周壁130に、吐出側継手部材136とともに、密封状態で固着されている。
また、羽根ケース158は、外周フランジ160から上方に延びた側周壁162と、側周壁162から、羽根車部材106の外側羽根部112に沿うように水平方向内側に延設された延設部164を備えている。
このような形状とすることで、羽根ケース158と下側本体ケース138の羽根収容部144との間に、羽根車部材106を収容することができるようになっている。
また、羽根ケース158によって、上側本体ケース126と下側本体ケース138とで形成された内部空間S1が仕切られて、上方に流体導入流路174が形成されるとともに、下方に回転羽根部材102を収容する回転部収容空間S2が形成されている。
また、図9に示したように、従来の遠心ポンプ100は、ロータマグネット122の周囲に位置するように、下側本体ケース138のロータマグネット収容部146の外周に配置され、回転羽根部材102を回転させるコイル部204を備えている。コイル部204は、ボビンケース206に巻かれた巻線208から構成される複数個のコイル210が、周方向に一定間隔で離間して設けられている。
そして、これらのコイル210が、略円筒形状のコイルカバー本体214の内部において、本体ケース124の下側本体ケース138のロータマグネット収容部146の外周に嵌合するように装着されている、
なお、図9に示したように、本体ケース側固定金具186と、コイル側固定突出部216とを係合することによって、コイル部204を収容したコイルカバー本体214を、本体ケース124の下方に脱着自在に取り付けることができるように構成されている。
なお、図9中、符号226は、コネクタ、228は、リード線を示している。
このように構成される従来の遠心ポンプ100では、コイル部204のコイル210に電流を流すことによって、コイル210が励磁され、これにより、回転羽根部材102のロータマグネット122に作用して、回転羽根部材102が軸受け部104に挿通された軸部材154の周りで回転できるようになっている。
これにより、吸込側継手部材132から吸い込まれた流体が、羽根ケース158と上側本体ケース126によって形成された流体導入流路174から、羽根ケース158の延設部164の内周側開口部164aを通過する。そして、内周側開口部164aを通過した流体は、羽根ケース158と下側本体ケース138によって形成された回転部収容空間S2に導入されるようになっている。
また、回転羽根部材102の羽根車部材106の回転力によって、回転部収容空間S2に導入された流体は、本体ケース124の回転部収容空間S2から、吐出側継手部材136を介して吐出されるようになっている。
ところで、このような従来の遠心ポンプ100では、回転羽根部材102と軸部材154との回転摺動による摩耗や接触音を防止するために、図9に示したように、回転羽根部材102の下端部102aと、軸固定部材150の上端部150aとの間の軸部材154の周囲に、スラストワッシャー230が介装されている。
すなわち、スラストワッシャー230を介装することによって、回転羽根部材102(軸受け部104)と軸部材154の2部材の間の動摩擦を緩和している。このように動摩擦を緩和することによって、回転羽根部材102(軸受け部104)と軸部材154との間の摩耗による異物の発生や接触音の発生を防いでいる。
さらに、スラストワッシャー230には、回転羽根部材102に発生するスラスト方向(すなわち、回転軸である軸部材(シャフト)154に向かう方向)の力を緩和する効果もあり、回転羽根部材102(軸受け部104)と、回転軸である軸部材154との間の摩耗を防ぐ作用がある。
ところで、このような従来の遠心ポンプ100は、例えば、流体の循環を利用して発熱部品、機器などの冷却を補助するシステムに使用され、組込むシステムの用途によっては、産業工業用だけでなく、家庭用機器(家電)にも使用される場合がある。
近年、家庭用機器は、小型化、静音化が進んでおり、これを実現するために、流体循環を行うポンプについても同様な仕様が求められている。
また、純度の高い流体の循環を目的としたポンプは、高気密性、耐食性などが要求されるとともに、製作時、使用時において、内部の残渣、異物の侵入は許されない。
ところで、図9に示したように、従来の遠心ポンプ100では、遠心ポンプ100の構造上、回転羽根部材102は、スラストワッシャー230上を回転摺動するように構成されている。
しかしながら、図10、図11に示したように、回転羽根部材102の下端部102aと、軸固定部材150の上端部150aとの間の軸部材154の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャー230を介装してしまうおそれが考えられる。
この場合には、スラストワッシャー230の間で、相互に摺動することによって、摩耗による異物の発生(摩耗粉)が生じることになる。
一方、図12、図13に示したように、回転羽根部材102の下端部102aと、軸固定部材150の上端部150aとの間の軸部材154の周囲に、誤ってスラストワッシャー230を介装するのを忘れてしまうおそれが考えられる。
この場合には、回転羽根部材102(軸受け部104)と軸部材154との間の摺動抵抗が増加して、摩耗による異物の発生や接触音の発生が生じて、耐久性が低下することになる。
しかしながら、遠心ポンプ100を組立てた後は、内部を確認できないため、回転羽根部材102の下端部102aと、軸固定部材150の上端部150aとの間の軸部材154の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャー230を介装してしまったか、または、誤ってスラストワッシャー230を介装するのを忘れてしまったかを確認することができない。
本発明は、このような現状に鑑み、複雑な構造や、検査機構を用いることなく、回転羽根部材の下端部と、軸固定部材の上端部との間の軸部材の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャーを介装してしまったか、または、誤ってスラストワッシャーを介装するのを忘れてしまったかを確認することが可能で、製造工程の誤りで耐久性が低下するのを防止することが可能な遠心ポンプを提供することを目的とする。
また、本発明は、摩耗粉の発生を抑制することができ、摩耗粉が、回転羽根部材と軸部材(シャフト)の間の摺動部に入り込むことがなく、耐久性、作動性に優れ、異音が発生することがなく、静音性に優れるとともに、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能な遠心ポンプを提供することを目的とする。
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の遠心ポンプは、
羽根車部材と羽根車部材に設けられたロータマグネットとから構成される回転羽根部材と、
前記回転羽根部材を収容する本体ケースと、
前記ロータマグネットの周囲に位置するように配置され、回転羽根部材を回転させるコイル部と、
前記本体ケースに設けられ、回転羽根部材がその周囲を回転するように軸支される軸部材と、
前記軸部材の軸方向の端部に配置され、軸部材の端部を固定する軸固定部材と、
前記回転羽根部材と軸固定部材との間に介装されたスラストワッシャーと、
を備えた遠心ポンプであって、
前記回転羽根部材と軸固定部材との間に介装されたスラストワッシャーの厚さtと、回転羽根部材の軸方向の端部と、本体ケースとの間の間隙Hとの関係が、
H<t
となるように設定されていることを特徴とする。
このように構成することによって、回転羽根部材と軸固定部材との間に介装されたスラストワッシャーの厚さtと、回転羽根部材の軸方向の端部と、本体ケースとの間の間隙Hとの関係が、
H<t
となるように設定されている。
従って、回転羽根部材の下端部と、軸固定部材の上端部との間の軸部材の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャーを介装してしまった場合に、回転羽根部材の軸方向の端部と本体ケースとの間が当接することになる。
また、回転羽根部材の下端部と、軸固定部材の上端部との間の軸部材の周囲に、誤ってスラストワッシャーを介装するのを忘れてしまった場合にも、回転羽根部材と軸固定部材との間が直接当接することになるとともに、回転羽根部材の軸方向の端部と本体ケースとの間が当接することになる。
以上の通り、回転羽根部材の軸方向の端部と本体ケースとが当接してしまうので、回転羽根部材の回転に対して回転抵抗となり、電流値が増加したり、回転羽根部材の回転数が減少することになる。
その結果、電流値や回転数という遠心ポンプの性能値に影響が出てくるため、例えば、電流計、回転数検知計などの従来の測定装置を用いることができ、検出が容易となる。
従って、複雑な構造や、検査機構を用いることなく、回転羽根部材の下端部と、軸固定部材の上端部との間の軸部材の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャーを介装してしまったか、または、誤ってスラストワッシャーを介装するのを忘れてしまったかを確認することが可能で、製造工程の誤りで耐久性が低下するのを防止することが可能である。
このため、摩耗粉の発生を抑制することができ、摩耗粉が、回転羽根部材と軸部材(シャフト)の間の摺動部に入り込むことがなく、耐久性、作動性に優れ、異音が発生することがなく、静音性に優れるとともに、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
また、本発明の遠心ポンプは、前記回転羽根部材の軸方向の端部と、本体ケースとの間の間隙Hが、回転羽根部材の軸方向の軸固定部材側の端部と、本体ケースとの間の間隙Hであることを特徴とする。
このように構成することによって、回転羽根部材の下端部と、軸固定部材の上端部との間の軸部材の周囲に、誤ってスラストワッシャーを介装するのを忘れてしまった場合に、回転羽根部材の軸方向の軸固定部材側の端部と、本体ケースとが当接することになる。
これにより、回転羽根部材の軸方向の軸固定部材側の端部と、本体ケースとが当接することによって、回転羽根部材の回転に対して回転抵抗となり、電流値が増加したり、回転羽根部材の回転数が減少することになる。
その結果、電流値や回転数という遠心ポンプの性能値に影響が出てくるため、例えば、電流計、回転数検知計などの従来の測定装置を用いることができ、検出が容易となる。
従って、複雑な構造や、検査機構を用いることなく、回転羽根部材の下端部と、軸固定部材の上端部との間の軸部材の周囲に、誤ってスラストワッシャーを介装するのを忘れてしまったかどうかを確認することが可能で、製造工程の誤りで耐久性が低下するのを防止することが可能である。
また、本発明の遠心ポンプは、
前記回転羽根部材の軸方向の端部と、本体ケースとの間の間隙Hが、回転羽根部材のロータマグネットの軸方向の端部と、本体ケースとの間の間隙H1であり、
H1<t
となるように設定されていることを特徴とする。
このように構成することによって、H1<tとなるように設定されているので、回転羽根部材の下端部と、軸固定部材の上端部との間の軸部材の周囲に、誤ってスラストワッシャーを介装するのを忘れてしまった場合に、回転羽根部材のロータマグネットの軸方向の端部と、本体ケースとが当接することになる。
これにより、回転羽根部材のロータマグネットの軸方向の端部と、本体ケースとが当接することによって、回転羽根部材の回転に対して回転抵抗となり、電流値が増加したり、回転羽根部材の回転数が減少することになる。
その結果、電流値や回転数という遠心ポンプの性能値に影響が出てくるため、例えば、電流計、回転数検知計などの従来の測定装置を用いることができ、検出が容易となる。
従って、複雑な構造や、検査機構を用いることなく、回転羽根部材の下端部と、軸固定部材の上端部との間の軸部材の周囲に、誤ってスラストワッシャーを介装するのを忘れてしまったかどうかを確認することが可能で、製造工程の誤りで耐久性が低下するのを防止することが可能である。
このため、摩耗粉の発生を抑制することができ、摩耗粉が、回転羽根部材と軸部材(シャフト)の間の摺動部に入り込むことがなく、耐久性、作動性に優れ、異音が発生することがなく、静音性に優れるとともに、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
また、本発明の遠心ポンプは、前記回転羽根部材の軸方向の端部と、本体ケースとの間の間隙Hが、羽根車部材の軸方向の軸固定部材側と反対側の端部と、本体ケースとの間の間隙Hであることを特徴とする。
このように構成することによって、回転羽根部材の下端部と、軸固定部材の上端部との間の軸部材の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャーを介装してしまった場合に、羽根車部材の軸方向の軸固定部材側と反対側の端部と、本体ケースとが当接することになる。
これにより、羽根車部材の軸方向の軸固定部材側と反対側の端部と、本体ケースとが当接することによって、回転羽根部材の回転に対して回転抵抗となり、電流値が増加したり、回転羽根部材の回転数が減少することになる。
その結果、電流値や回転数という遠心ポンプの性能値に影響が出てくるため、例えば、電流計、回転数検知計などの従来の測定装置を用いることができ、検出が容易となる。
従って、複雑な構造や、検査機構を用いることなく、回転羽根部材の下端部と、軸固定部材の上端部との間の軸部材の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャーを介装してしまったかどうかを確認することが可能で、製造工程の誤りで耐久性が低下するのを防止することが可能である。
このため、摩耗粉の発生を抑制することができ、摩耗粉が、回転羽根部材と軸部材(シャフト)の間の摺動部に入り込むことがなく、耐久性、作動性に優れ、異音が発生することがなく、静音性に優れるとともに、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
また、本発明の遠心ポンプは、
前記回転羽根部材の軸方向の端部と、本体ケースとの間の間隙Hが、回転羽根部材の羽根車部材の外側羽根部の軸方向の端部と、本体ケースとの間の間隙H2であり、
H2<t
となるように設定されていることを特徴とする。
このように構成することによって、H2<tとなるように設定されているので、回転羽根部材の下端部と、軸固定部材の上端部との間の軸部材の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャーを介装してしまった場合に、回転羽根部材の羽根車部材の外側羽根部の軸方向の端部と、本体ケースとが当接することになる。
これにより、回転羽根部材の羽根車部材の外側羽根部の軸方向の端部と、本体ケースとが当接することによって、回転羽根部材の回転に対して回転抵抗となり、電流値が増加したり、回転羽根部材の回転数が減少することになる。
その結果、電流値や回転数という遠心ポンプの性能値に影響が出てくるため、例えば、電流計、回転数検知計などの従来の測定装置を用いることができ、検出が容易となる。
従って、複雑な構造や、検査機構を用いることなく、回転羽根部材の下端部と、軸固定部材の上端部との間の軸部材の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャーを介装してしまったかどうかを確認することが可能で、製造工程の誤りで耐久性が低下するのを防止することが可能である。
このため、摩耗粉の発生を抑制することができ、摩耗粉が、回転羽根部材と軸部材(シャフト)の間の摺動部に入り込むことがなく、耐久性、作動性に優れ、異音が発生することがなく、静音性に優れるとともに、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
また、本発明の遠心ポンプは、
前記回転羽根部材の軸方向の端部と、本体ケースとの間の間隙Hが、回転羽根部材の羽根車部材の軸受け部の軸方向の端部と、本体ケースとの間の間隙H3であり、
H3<t
となるように設定されていることを特徴とする。
このように構成することによって、H3<tとなるように設定されているので、回転羽根部材の下端部と、軸固定部材の上端部との間の軸部材の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャーを介装してしまった場合に、回転羽根部材の羽根車部材の軸受け部の軸方向の端部と、本体ケースとが当接することになる。
これにより、回転羽根部材の羽根車部材の軸受け部の軸方向の端部と、本体ケースとが当接することによって、回転羽根部材の回転に対して回転抵抗となり、電流値が増加したり、回転羽根部材の回転数が減少することになる。
その結果、電流値や回転数という遠心ポンプの性能値に影響が出てくるため、例えば、電流計、回転数検知計などの従来の測定装置を用いることができ、検出が容易となる。
従って、複雑な構造や、検査機構を用いることなく、回転羽根部材の下端部と、軸固定部材の上端部との間の軸部材の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャーを介装してしまったかどうかを確認することが可能で、製造工程の誤りで耐久性が低下するのを防止することが可能である。
このため、摩耗粉の発生を抑制することができ、摩耗粉が、回転羽根部材と軸部材(シャフト)の間の摺動部に入り込むことがなく、耐久性、作動性に優れ、異音が発生することがなく、静音性に優れるとともに、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
また、本発明の遠心ポンプを用いた冷却システムは、
前述のいずれかに記載の遠心ポンプを用いた冷却システムであって、
被冷却物体を冷却するための熱媒体循環経路を備えた冷却システムにおいて、熱媒体循環経路に遠心ポンプを配設したことを特徴とする。
このように構成することによって、例えば、流体の循環を利用して発熱部品、機器などの冷却を補助するシステムに使用した場合に、耐久性、作動性に優れ、異音が発生することがなく、静音性に優れた冷却システムを提供することができる。
本発明によれば、回転羽根部材と軸固定部材との間に介装されたスラストワッシャーの厚さtと、回転羽根部材の軸方向の端部と、本体ケースとの間の間隙Hとの関係が、
H<t
となるように設定されている。
従って、回転羽根部材の下端部と、軸固定部材の上端部との間の軸部材の周囲に、誤ってスラストワッシャーを介装するのを忘れてしまった場合に、回転羽根部材と軸固定部材との間が直接当接することになるとともに、回転羽根部材の軸方向の端部と本体ケースとの間が当接することになる。
また、回転羽根部材の下端部と、軸固定部材の上端部との間の軸部材の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャーを介装してしまった場合に、回転羽根部材の軸方向の端部と本体ケースとの間が当接することになる。
以上の通り、回転羽根部材の軸方向の端部と本体ケースとが当接してしまうので、回転羽根部材の回転に対して回転抵抗となり、電流値が増加したり、回転羽根部材の回転数が減少することになる。
その結果、電流値や回転数という遠心ポンプの性能値に影響が出てくるため、例えば、電流計、回転数検知計などの従来の測定装置を用いることができ、検出が容易となる。
従って、複雑な構造や、検査機構を用いることなく、回転羽根部材の下端部と、軸固定部材の上端部との間の軸部材の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャーを介装してしまったか、または、誤ってスラストワッシャーを介装するのを忘れてしまったかを確認することが可能で、製造工程の誤りで耐久性が低下するのを防止することが可能である。
このため、摩耗粉の発生を抑制することができ、摩耗粉が、回転羽根部材と軸部材(シャフト)の間の摺動部に入り込むことがなく、耐久性、作動性に優れ、異音が発生することがなく、静音性に優れるとともに、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の遠心ポンプの縦断面図、図2は、図1の遠心ポンプのC部分の部分拡大断面図、図3は、図1の遠心ポンプのD部分の部分拡大断面図、図4は、本発明の遠心ポンプにおいて、誤ってスラストワッシャー50を介装するのを忘れてしまった場合の状態を示す図1と同様な縦断面図、図5は、図4のE部分の部分拡大断面図、図6は、本発明の遠心ポンプにおいて、誤って複数枚のスラストワッシャー50を介装してしまった場合の状態を示す図1と同様な縦断面図、図7は、図6のF部分の部分拡大断面図である。
図1においては、符号10は、全体で本発明の遠心ポンプを示している。
図1に示したように、本発明の遠心ポンプ10は、回転羽根部材12を備えている。この回転羽根部材12は、円管状の軸受け部14の上部に、外周方向に放射状に延設された複数枚の羽根車部材16を備えている。
なお、この羽根車部材16の枚数は、遠心ポンプ10の用途、必要とするポンプ能力に応じて選択すれば良く、特に限定されるものではない。
図1に示したように、羽根車部材16は、軸受け部14の下部外周方向に延設された基端部分18と、この基端部分18から上方に外周方向に拡径した拡径部20と、この拡径部20から外周方向に延設された外側羽根部22とから構成されている。
羽根車部材16の形状をこのような形状とすることで、羽根車部材16の回転による外側羽根部22の作用によって、吐出能力を向上することができる。
また、回転羽根部材12は、基端部分18の外周に、環状の永久磁石からなるロータマグネット32が設けられている。
なお、ロータマグネット32と羽根車部材16との間は、羽根車部材16に対して、ロータマグネット32の回り止め、抜け落ちが防止される構造となっており、羽根車部材16がロータマグネット32とともに、軸部材64の周りを回転するように構成されている。
また、本発明の遠心ポンプ10は、図1に示したように、回転羽根部材12を収容する本体ケース34を備えている。本体ケース34は、上側本体ケース36を備えており、上側本体ケース36は、頂壁38と、頂壁38の外周から下方に延設された側周壁40とから構成されている。
そして、図1に示したように、上側本体ケース36の側周壁40には、吸込側継手部材42を固定するための開口部が形成されている。図1に示したように、この開口部に、吸込側継手部材42が、例えば、溶接、ろう付、溶着などによって、密封状態で固着されている。これにより、本体ケース34内に、吸込側継手部材42が連通するように構成されている。
上側本体ケース36の側周壁40には、吐出側継手部材46を固定するための開口部が形成されている。
図1に示したように、この開口部に、吐出側継手部材46が、例えば、溶接、ろう付、溶着などによって、密封状態で固着されている。これにより、本体ケース34内に、吐出側継手部材46が連通するように構成されている。
また、図1に示したように、本体ケース34は、下側本体ケース48を備えている。そして、上側本体ケース36の側周壁40の下端51の内壁に、下側本体ケース48の外周フランジ52を、例えば、溶接、ろう付、溶着などによって、密封状態で固着されている。これにより、本体ケース34内に、上側本体ケース36と下側本体ケース48で囲まれた内部空間S1が形成されている。
この下側本体ケース48は、図1に示したように、下側本体ケース48の外周フランジ52から、内周側に水平に延びた羽根収容部54と、この羽根収容部54から下方に延びたロータマグネット収容部56とを備えている。さらに、このロータマグネット収容部56の下方に、有底筒状の軸固定部材収容部58が形成されている。
そして、軸固定部材収容部58に、軸固定部材60が、例えば、圧入などによって嵌着されている。この軸固定部材60に形成された軸穴62に、軸部材64の下端部66が、例えば、圧入などによって軸支されるように固定されている。
すなわち、図1に示したように、この実施例の遠心ポンプ10では、軸部材64の上端部が軸支されず、軸部材64が、本体ケース34の軸固定部材収容部58に、軸固定部材60を介して固定されている。すなわち、軸部材64が、軸部材64の軸方向のロータマグネット32側の端部で固定されているいわゆる「片持ち形式」となっている。
従って、軸部材64が傾いて固定される場合がないので、ポンプの作動効率が低下することがなく、組み立てに細心の注意が不要で、精密性が要求されることもない。
また、この実施例の遠心ポンプ10では、羽根車部材16の軸受け部14の軸方向の流体導入流路84側の端部、すなわち、軸受け部14の上端部14aが、羽根ケース68の延設部74の内周側開口部76から上方に、流体導入流路84に露出するように突設されている。
従って、いわゆる「片持ち形式」であるので、従来のいわゆる「両持ち形式」のように、羽根ケースの内周側開口部に軸固定部が存在しない。
これにより、流体の軸固定部への衝突に起因する流体の流れに圧力損失が生じることがなく、ポンプ効率が低下することもなく、しかも、異音などの騒音の発生もなく、耐久性、静音性に優れ、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
また、このように構成することによって、回転羽根部材12が回転して、吸込側継手部材42から吸い込まれた流体が、羽根ケース68と上側本体ケース36によって形成された流体導入流路84から、羽根ケース68の延設部74の内周側開口部76を通過する。
この際に、流体が羽根車部材16の上端部14aの回転運動に沿って、この回転により回転流(整流)となる。
これによって、流入孔である内周側開口部76を介して、内部空間S1、回転部収容空間S2に円滑に流入しやすくなり、その結果、圧力損失を低減することができるように構成されている。
従って、流体の流れに圧力損失が生じることがなく、ポンプ効率が低下することもなく、しかも、異音などの騒音の発生もなく、耐久性、静音性に優れ、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
また、この回転羽根部材12の軸受け部14内に、回転羽根部材12が回転できるように軸部材64が挿通されている。
さらに、図1に示したように、本体ケース34は、羽根ケース68を備えている。この羽根ケース68は、吸込側継手部材42側において、この羽根ケース68の外周フランジ70が、上側本体ケース36の側周壁40の下方に、密封状態で固着されている。
すなわち、羽根ケース68の外周フランジ70が、上側本体ケース36の側周壁40の下端51の内壁と、下側本体ケース48の外周フランジ52との間に挟着されるように、例えば、溶接、ろう付、溶着などによって、密封状態で固着されている。
一方、羽根ケース68は、吐出側継手部材46側において、その側周壁72に開口部が形成され、この側周壁72の開口部の周囲が、本体ケース34の側周壁40に、吐出側継手部材46とともに、密封状態で固着されている。
また、羽根ケース68は、外周フランジ70から上方に延びた側周壁72と、側周壁72から、羽根車部材16の外側羽根部22に沿うような形状で水平方向内側に延設された延設部74を備えている。
このような形状とすることで、羽根ケース68と下側本体ケース48の羽根収容部54との間に、羽根車部材16を収容することができるようになっている。
また、図1に示したように、羽根ケース68の側周壁72の径は、上側本体ケース36の側周壁40の径より小さく形成されているとともに、羽根ケース68の側周壁72の高さは、上側本体ケース36の側周壁40の高さより小さく形成されている。
これにより、羽根ケース68によって、上側本体ケース36と下側本体ケース48とで形成された内部空間S1が仕切られて、上方に流体導入流路84が形成されるとともに、下方に回転羽根部材12を収容する回転部収容空間S2が形成されている。
また、図1に示したように、本発明の遠心ポンプ10は、ロータマグネット32の周囲に位置するように、下側本体ケース48のロータマグネット収容部56の外周に配置され、回転羽根部材12を回転させるコイル部24を備えている。コイル部24は、ボビンケース26に巻かれた巻線28から構成される複数個のコイル30が、周方向に一定間隔で離間して設けられている。
そして、これらのコイル30が、略円筒形状のコイルカバー本体33の内部において、本体ケース34の下側本体ケース48のロータマグネット収容部56の外周に嵌合するように装着されている。
なお、図1に示したように、本体ケース側固定金具96と、コイル側固定突出部31とを係合することによって、コイル部24を収容したコイルカバー本体33を、本体ケース34の下方に脱着自在に取り付けることができるように構成されている。
なお、図1中、符号35は、コネクタ、37は、リード線を示している。
このように構成される本発明の遠心ポンプ10は、以下のように作動される。
先ず、コイル部24のコイル30に電流を流すことによって、コイル30が励磁され、これにより、回転羽根部材12のロータマグネット32に作用して、回転羽根部材12が軸受け部14に挿通された軸部材64の周りで回転できるようになっている。
これにより、回転羽根部材12が回転して、図1の矢印Aで示したように、吸込側継手部材42から吸い込まれた流体が、羽根ケース68と上側本体ケース36によって形成された流体導入流路84から、羽根ケース68の延設部74の内周側開口部76を通過する。
そして、内周側開口部76を通過した流体は、羽根ケース68と下側本体ケース48によって形成された回転部収容空間S2に導入される。
また、回転羽根部材12の羽根車部材16の回転力によって、回転部収容空間S2に導入された流体は、図1の矢印Bで示したように、本体ケース34の回転部収容空間S2から、吐出側継手部材46を介して吐出されるようになっている。
ところで、このような本発明の遠心ポンプ10では、回転羽根部材12と軸部材64との回転摺動による摩耗や接触音を防止するために、図1〜図3に示したように、回転羽根部材12の下端部12aと、軸固定部材60の上端部60aとの間の軸部材64の周囲に、スラストワッシャー50が介装されている。
すなわち、スラストワッシャー50を介装することによって、回転羽根部材12(軸受け部14)と軸部材64の2部材の間の動摩擦を緩和している。このように動摩擦を緩和することによって、回転羽根部材12(軸受け部14)と軸部材64との間の摩耗による異物の発生や接触音の発生を防いでいる。
さらに、スラストワッシャー50には、回転羽根部材12に発生するスラスト方向(すなわち、回転軸である軸部材(シャフト)64に向かう方向)の力を緩和する効果もあり、回転羽根部材12(軸受け部14)と、回転軸である軸部材64との間の摩耗を防ぐ作用がある。
ところで、図9に示したように、従来の遠心ポンプ100では、遠心ポンプ100の構造上、回転羽根部材102は、スラストワッシャー230上を回転摺動するように構成されている。
しかしながら、図10、図11に示したように、回転羽根部材102の下端部102aと、軸固定部材150の上端部150aとの間の軸部材154の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャー230を介装してしまうおそれが考えられる。
この場合には、スラストワッシャー230の間で、相互に摺動することによって、摩耗による異物の発生(摩耗粉)が生じることになる。
一方、図12、図13に示したように、回転羽根部材102の下端部102aと、軸固定部材150の上端部150aとの間の軸部材154の周囲に、誤ってスラストワッシャー230を介装するのを忘れてしまうおそれが考えられる。
この場合には、回転羽根部材102(軸受け部104)と軸部材154との間の摺動抵抗が増加して、摩耗による異物の発生や接触音の発生が生じて、耐久性が低下することになる。
しかしながら、遠心ポンプ100を組立てた後は、内部を確認できないため、回転羽根部材102の下端部102aと、軸固定部材150の上端部150aとの間の軸部材154の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャー230を介装してしまったか、または、誤ってスラストワッシャー230を介装するのを忘れてしまったかを確認することができない。
このため、本発明の遠心ポンプ10では、図1〜図3に示したように、回転羽根部材12と軸固定部材60との間に介装されたスラストワッシャー50の厚さtが、回転羽根部材12の軸方向の端部(すなわち、後述する回転羽根部材12のロータマグネット32の軸方向の端部32a、回転羽根部材12の羽根車部材16の外側羽根部22の軸方向の端部22a、回転羽根部材12の羽根車部材16の軸受け部14の軸方向の上端部14a)と、本体ケース34との間の間隙H(後述する、H1、H2、H3)との関係が、
H<t
となるように設定されている。
このように構成することによって、回転羽根部材12と軸固定部材60との間に介装されたスラストワッシャー50の厚さtと、回転羽根部材12の軸方向の端部と、本体ケース34との間の間隙Hとの関係が、
H<t
となるように設定されている。
従って、回転羽根部材12の下端部と、軸固定部材60の上端部との間の軸部材64の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャー50を介装してしまった場合に、回転羽根部材12の軸方向の端部と本体ケース34との間が当接することになる。
また、回転羽根部材12の下端部と、軸固定部材60の上端部との間の軸部材64の周囲に、誤ってスラストワッシャー50を介装するのを忘れてしまった場合にも、回転羽根部材12と軸固定部材60との間が直接当接することになるとともに、回転羽根部材12の軸方向の端部と本体ケース34との間が当接することになる。
以上の通り、回転羽根部材12の軸方向の端部と本体ケース34とが当接してしまうので、回転羽根部材12の回転に対して回転抵抗となり、電流値が増加したり、回転羽根部材12の回転数が減少することになる。
その結果、電流値や回転数という遠心ポンプの性能値に影響が出てくるため、例えば、電流計、回転数検知計などの従来の測定装置を用いることができ、検出が容易となる。
従って、複雑な構造や、検査機構を用いることなく、回転羽根部材12の下端部と、軸固定部材60の上端部との間の軸部材の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャー50を介装してしまったか、または、誤ってスラストワッシャー50を介装するのを忘れてしまったかを確認することが可能で、製造工程の誤りで耐久性が低下するのを防止することが可能である。
このため、摩耗粉の発生を抑制することができ、摩耗粉が、回転羽根部材と軸部材(シャフト)の間の摺動部に入り込むことがなく、耐久性、作動性に優れ、異音が発生することがなく、静音性に優れるとともに、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
すなわち、回転羽根部材12の軸方向の端部と、本体ケース34との間の間隙Hが、回転羽根部材12の軸方向の軸固定部材側の端部と、本体ケースとの間の間隙Hである。
具体的には、図1、図2に示したように、本発明の遠心ポンプ10では、回転羽根部材12の軸方向の端部と、本体ケース34との間の間隙Hが、回転羽根部材12のロータマグネット32の軸方向の端部32aと、本体ケース34の下側本体ケース48の水平部48aとの間の間隙H1であり、
H1<t
となるように設定されている。
このように構成することによって、H1<tとなるように設定されているので回転羽根部材12の下端部と、軸固定部材60の上端部との間の軸部材64の周囲に、誤ってスラストワッシャー50を介装するのを忘れてしまった場合に、図4、図5に示したように、回転羽根部材12のロータマグネット32の軸方向の端部32aと、本体ケース34の下側本体ケース48の水平部48aとが、図4、図5のJ部分で示したように、当接(接触)することになる。
これにより、回転羽根部材12のロータマグネット32の軸方向の端部32aと、本体ケース34の下側本体ケース48の水平部48aとが当接することによって、回転羽根部材12の回転に対して回転抵抗となり、電流値が増加したり、回転羽根部材12の回転数が減少することになる。
その結果、電流値や回転数という遠心ポンプの性能値に影響が出てくるため、例えば、電流計、回転数検知計などの従来の測定装置を用いることができ、検出が容易となる。
従って、複雑な構造や、検査機構を用いることなく、回転羽根部材12の下端部と、軸固定部材60の上端部との間の軸部材64の周囲に、誤ってスラストワッシャーを介装するのを忘れてしまったかどうかを確認することが可能で、製造工程の誤りで耐久性が低下するのを防止することが可能である。
このため、摩耗粉の発生を抑制することができ、摩耗粉が、回転羽根部材12と軸部材(シャフト)64の間の摺動部に入り込むことがなく、耐久性、作動性に優れ、異音が発生することがなく、静音性に優れるとともに、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
次に、回転羽根部材12の軸方向の端部と、本体ケース34との間の間隙Hが、羽根車部材16の軸方向の軸固定部材側と反対側の端部と、本体ケース34との間の間隙Hである部位について説明する。
この部位については、図1、図3に示したように、本発明の遠心ポンプ10では、回転羽根部材12の軸方向の端部と、本体ケース34との間の間隙Hが、回転羽根部材12の羽根車部材16の外側羽根部22の軸方向の端部22aと、本体ケース34の羽根ケース68との間の間隙H2であり、
H2<t
となるように設定されている。
このような場合、H2<tとなるように設定されているので、回転羽根部材12の下端部と、軸固定部材60の上端部との間の軸部材64の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャー50を介装してしまった場合に、図6、図7に示したように、回転羽根部材12の羽根車部材16の外側羽根部22の軸方向の端部22aと、本体ケース34の羽根ケース68とが、図6、図7のK部分で示したように、当接(接触)することになる。
これにより、回転羽根部材12の羽根車部材16の外側羽根部22の軸方向の端部22aと、本体ケース34の羽根ケース68とが当接することによって、回転羽根部材12の回転に対して回転抵抗となり、電流値が増加したり、回転羽根部材12の回転数が減少することになる。
その結果、電流値や回転数という遠心ポンプの性能値に影響が出てくるため、例えば、電流計、回転数検知計などの従来の測定装置を用いることができ、検出が容易となる。
従って、複雑な構造や、検査機構を用いることなく、回転羽根部材12の下端部と、軸固定部材60の上端部との間の軸部材64の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャー50を介装してしまったかどうかを確認することが可能で、製造工程の誤りで耐久性が低下するのを防止することが可能である。
このため、摩耗粉の発生を抑制することができ、摩耗粉が、回転羽根部材12と軸部材(シャフト)64の間の摺動部に入り込むことがなく、耐久性、作動性に優れ、異音が発生することがなく、静音性に優れるとともに、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
最後に、図1、図3に示したように、本発明の遠心ポンプ10では、回転羽根部材12の軸方向の端部と、本体ケース34との間の間隙Hが、回転羽根部材12の羽根車部材16の軸受け部14の軸方向の上端部14aと、本体ケース34の頂壁38との間の間隙H3であり、
H3<t
となるように設定されている部位について説明する。
この部位については、H3<tとなるように設定されているので、回転羽根部材12の下端部と、軸固定部材60の上端部との間の軸部材64の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャー50を介装してしまった場合に、図6、図7に示したように、回転羽根部材12の羽根車部材16の軸受け部14の軸方向の上端部14aと、本体ケース34の頂壁38とが、図6、図7のL部分で示したように、当接(接触)することになる。
これにより、回転羽根部材12の羽根車部材16の軸受け部14の軸方向の上端部14aと、本体ケース34の頂壁38とが当接することによって、回転羽根部材12の回転に対して回転抵抗となり、電流値が増加したり、回転羽根部材12の回転数が減少することになる。
その結果、電流値や回転数という遠心ポンプの性能値に影響が出てくるため、例えば、電流計、回転数検知計などの従来の測定装置を用いることができ、検出が容易となる。
従って、複雑な構造や、検査機構を用いることなく、回転羽根部材12の下端部と、軸固定部材60の上端部との間の軸部材64の周囲に、誤って複数枚のスラストワッシャー50を介装してしまったかどうかを確認することが可能で、製造工程の誤りで耐久性が低下するのを防止することが可能である。
このため、摩耗粉の発生を抑制することができ、摩耗粉が、回転羽根部材12と軸部材(シャフト)64の間の摺動部に入り込むことがなく、耐久性、作動性に優れ、異音が発生することがなく、静音性に優れるとともに、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
以上の実施例において、回転羽根部材12の軸方向の端部と、本体ケース34との間の間隙Hが、羽根車部材16の軸方向の軸固定部材側と反対側の端部と、本体ケース34との間の間隙Hは、もっとも小さい間隙Hについて、
H<t
となるように設定されていればよい。
すなわち、この実施例の遠心ポンプ10では、回転羽根部材12の羽根車部材16の外側羽根部22の軸方向の端部22aと、本体ケース34の羽根ケース68との間の間隙H2、回転羽根部材12の羽根車部材16の軸受け部14の軸方向の上端部14aと、本体ケース34の頂壁38との間の間隙H3については、少なくとも、間隙H2、間隙H3のうちの、小さい方の間隙Hについて、
回転羽根部材と軸固定部材との間に介装されたスラストワッシャーの厚さtと、回転羽根部材の軸方向の端部と、本体ケースとの間の間隙Hとの関係が、
H<t
となるように設定されていればよい。
(実施例2)
図8は、本発明の遠心ポンプを用いた冷却システム300の実施例を示す概略図である。
この実施例の冷却システム300で用いられる遠心ポンプ10は、図1〜図7に示した実施例の遠心ポンプ10と基本的には同様な構成である。
この実施例の冷却システム300は、図8に示したように、被冷却物体を冷却するための熱媒体循環経路302を備えた冷却システム300において、熱媒体循環経路302に遠心ポンプ10を配設した構成である。
すなわち、この実施例の冷却システム300は、熱媒体循環経路302に、遠心ポンプ10を備えており、熱媒体が、この遠心ポンプ10によって、例えば、水などの熱媒体が熱媒体循環経路302aを介して、ラジエータ304に送られるようになっている。
ラジエータ304では、図示しないが、例えば、ファンなどによる空冷、水冷などによって、熱媒体が冷却されるようになっている。
そして、このラジエータ304を通過して冷やされた熱媒体が、熱媒体循環経路302b、302cを介して、熱交換器306に送られるようになっている。この熱交換器306には、冷却される被冷却物体308が付設されており、被冷却物体308の熱が、熱媒体に熱交換されて、被冷却物体308が冷却されるとともに、熱媒体が温められるようになっている。
そして、熱交換器306を通過することにより温められた熱媒体が、熱媒体循環経路302a、302bを介して、再び、遠心ポンプ10に循環されるようになっている。
そして、このような循環冷却サイクルが繰り返し行われるように構成されている。
このように構成することによって、例えば、流体の循環を利用して発熱部品、機器などの冷却を補助するシステムに使用した場合に、耐久性、作動性に優れ、異音が発生することがなく、静音性に優れた冷却システムを提供することができる。
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、本体ケース34、上側本体ケース36、下側本体ケース48、羽根ケース68、回転羽根部材12、スラストワッシャー50、軸部材64などの材質は、金属製であっても樹脂製であっても良く、用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
また、上記実施例では、吸込側継手部材42、吐出側継手部材46の数をそれぞれ1個としたが、吸込側継手部材42、吐出側継手部材46の数を複数個設けることも可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。