JP6621008B2 - 機械式時計 - Google Patents

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Description

本発明は、新しい機構を用いた機械式時計に関する。
従来のゼンマイを動力源とする機械式時計の輪列構造は、特許文献１に記載されている。巻き込まれたゼンマイの反発力を香箱車が回転トルクに変換し、二番車、三番車、四番車の順に伝達される。一方、四番車にはガンギ車とアンクルとからなる脱進機と、ヒゲゼンマイとテンプとからなる調速機が係合されていて、上記輪列の回転運動を制御している。
また、波動歯車と呼ばれる機構は１９５７年に原理が発明された後実用化され、特許文献２に開示されているような関節機構を始め多くの機械装置に主として減速機構として採用されている。
波動歯車は楕円と真円の差動を利用した減速機であり、リング状で内周に歯が刻まれたサーキュラ・スプライン、弾性体からなり外周に歯の刻まれたフレクスプライン、及び楕円状カムの外周にボールベアリングが配置されたウェーブ・ジェネレータからなる。ウェーブ・ジェネレータの外側にフレクスプライン、その外側にサーキュラ・スプラインが配置された構成となっており、サーキュラ・スプラインを固定した上でウェーブ・ジェネレータを回転させることにより、サーキュラ・スプラインとフレクスプラインの歯数の違い分だけフレクスプラインがウェーブ・ジェネレータと逆方向に回転する。ウェーブ・ジェネレータを入力軸としフレクスプラインを出力軸とすることで小型・高精度・高減速比の減速装置として機能する。
特開平９−１３８２８６号公報 特開昭５７−１１４０５１号公報
上記のような従来型の機械式時計では香箱車からガンギ車まで多数の歯車が関係しているため摩擦抵抗が大きくなり、エネルギーの損失が増大する。また、多数の歯車が関係しているということはバックラッシも大きくなり、精度が悪くなる原因ともなる。
従って本発明による機械式時計では、波動歯車を増速機構として機械式時計に採用することにより、歯車数を減少させて摩擦抵抗を減らし、またバックラッシのない高精度な伝達機構を実現し、さらにそれにより秒針、分針、時針の配置の自由度を格段に高めることを課題とする。
上記課題を解決するため本発明では、エネルギーを蓄積するゼンマイを具備した香箱と、香箱からの回転エネルギー出力を増速する増速輪列と、規則正しい往復回転運動を行う調速機と、前記調速機と連動して前記増速輪列を制御する脱進機とからなる機械式時計において、前記増速輪列として波動歯車を用い、前記波動歯車内に前記香箱を配置し、前記波動歯車の入力部が前記香箱に接続され、出力部が脱進機のガンギ車に接続されていることを特徴とする。
本発明による機械式時計では、波動歯車を増速機構として採用することにより、歯車数が減少することにより摩擦抵抗が減少し、またバックラッシのない高精度な伝達機構が実現でき、さらにそれにより秒針、分針、時針の配置の自由度を格段に高めることが可能となる。
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。図１に本発明による機械式時計主要部の断面図を示した。香箱１０は波動歯車２０内に配置されている。香箱１０のゼンマイ軸１１は波動歯車２０のフレックスプライン２２に接続されており、その外側では香箱車１２を介して竜頭５０に噛合している。波動歯車２０のサーキュラ・スプライン２１はケース２１に固定されている。フレックスプライン２２は香箱１０内のゼンマイ（図示していない）に接続されている。ウェーブ・ジェネレータ２３はボールベアリング２４を介してフレックスプライン２２に接しており、その軸２５は出力軸として出力歯車３０と係合している。出力歯車３０はガンギ車カナ４１を介してガンギ車と噛合している。
上述の実施例によれば、香箱１０のゼンマイのエネルギーは波動歯車２０のフレックスプライン２２に伝達され、それがボールベアリング２４を通してウェーブ・ジェネレータ２３に伝達される。ウェーブ・ジェネレータ２３は出力歯車３０に連結されているため、波動歯車２０から直接ガンギ車４０に連絡することになる。波動歯車は通常、ウェーブ・ジェネレータが入力側となり、フレックスプラインが出力側となるため減速装置として使用されることが多いが、本発明では逆に、フレックスプライン２２が入力側となり、ウェーブ・ジェネレータ２３が出力側となるため、増速装置として機能する。波動歯車２０は一体化されているため、多くの輪列を介してガンギ車に接続する従来の構成に比較してエネルギー出力機構をコンパクトにすることができる。従って、秒針、分針、時針等の配置に自由度を持たせることが可能となる。
波動歯車２０は一体化されているため、多くの輪列を介してガンギ車に接続する従来の構成に比較してエネルギー出力機構をコンパクトにすることができる。従って、秒針、分針、時針等の配置に自由度を持たせることが可能となる。
本発明による機械式時計の実施例主要部を示す断面図である。
１０ 香箱
１１ ゼンマイ軸
１２ 香箱車
２０ 波動歯車
２１ サーキュラ・スプライン
２２ フレックスプライン
２３ ウェーブ・ジェネレータ
２４ ボールベアリング
２５ 出力軸
３０ 出力歯車
４０ ガンギ車
４１ ガンギ車カナ
５０ 竜頭
１００ ケース
１０１ ケース

Claims (1)

  1. エネルギーを蓄積するゼンマイを具備した香箱と、香箱からの回転エネルギー出力を増速する増速輪列と、規則正しい往復回転運動を行う調速機と、前記調速機と連動して前記増速輪列を制御する脱進機とからなる機械式時計において、前記増速輪列として波動歯車を用い、前記波動歯車内に前記香箱を配置し、前記波動歯車の入力部が前記香箱に接続され、出力部が脱進機のガンギ車に接続されていることを特徴とする機械式時計。
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