「第1の実施の形態」
(画像形成装置の全体構成)
図1に示される如く、第1の実施の形態に係る画像形成装置10は、フルカラー画像及び白黒画像を選択的に形成するものであり、画像形成部である第1筐体10Aと、第1筐体10Aに接続された第2筐体10Bと、を備えている。第2筐体10Bの上部には、コンピュータ等の外部装置から供給される画像データに対して画像処理を施す画像処理部13が設けられている。
なお、本明細書において、「画像形成」と「印刷」とは同義として取り扱うものとする。すなわち、例えば、静電潜像に帯電されたトナーを用いて現像する装置は通称として「画像形成装置」が適用され、用紙への画像形成の形態は、「片面印刷」、「両面印刷」、「印刷物」等が通称として適用されている。第1の実施の形態は、静電潜像を利用した画像形成に限定されず、一般的なインクを用いた画像形成(印刷)も含むため、必要に応じて、「画像形成」と「印刷」とを使い分けることとする。
第1筐体10Aの上部には、通常色として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及び、ブラック(K)、並びに、特定の色である第1特別色としてのゴールド(G)及び特定の色である第2特別色としてのシルバー(S)の各トナーを収容するトナーカートリッジ14Y、14M、14C、14K、14G、14Sが設けられている。
なお、第1の実施の形態では第1特別色及び第2特別色としては、ゴールド及びシルバーを例示したが、少なくともイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックよりも正反射率が高く、拡散反射率が低く、金属光沢感がある色が選択可能であり、第1の実施の形態で適用したゴールド及びシルバー以外に、ホワイト(W)、クリア(CL)等が適用可能である。
以下、YMCKの各色を通常色、それ以外の色を特別色、さらに、特別色の中で前記金属光沢感がある色に属する特別色を金属光沢感特別色という。
また、以下の説明では、各構成部品について第1特別色(G)、第2特別色(S)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別する場合は、符号としての数字の後にG、S、Y、M、C、Kのいずれかの英字を付して説明する。また、第1特別色(G)、第2特別色(S)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別しない場合は、G、S、Y、M、C、Kを省略する。
トナーカートリッジ14の下側には、各色のトナーに対応する6つの画像形成ユニット16G、16S、16Y、16M、16C、16K(総称する場合「画像形成ユニット16」という)が、各トナーカートリッジ14に対応するように設けられている。
画像形成ユニット16毎に設けられた露光装置40G、40S、40Y、40M、40C、40K(総称する場合、「露光装置40」という)は、前述した画像処理部13によって画像処理を施された印刷画像データを画像処理部13から受け取る。そして、この画像データに応じて変調した光ビームを後述の像保持体18G、18S、18Y、18M、18C、18K(総称する場合「像保持体18」という)へ照射するように構成されている。
各画像形成ユニット16では、各露光装置40から各像保持体18へ光ビームLが照射されることにより、各像保持体18には静電潜像が形成される。
各像保持体18の周囲には、像保持体18を帯電するコロナ放電方式(非接触帯電方式)のスコロトロン帯電器と、露光装置40によって像保持体18に形成された静電潜像を現像剤の一例であるトナーで現像する現像装置と、転写後の像保持体18に残留する現像剤を除去するブレードと、転写後の像保持体18に光を照射して除電を行う除電装置とが設けられている。なお、スコロトロン帯電器、現像装置、ブレード、および除電装置は、像保持体18の表面と対向して、像保持体18の回転方向上流側から下流側へ向けてこの順番で配置されている。
また、各画像形成ユニット16の下側には、転写部32が設けられている。転写部32は、各像保持体18と接触する環状の中間転写ベルト34と、各像保持体18に形成されたトナー像を中間転写ベルト34に多重転写させる一次転写ロール36G、36S、36Y、36M、36C、36K(総称する場合、「一次転写ロール36」という)とを含んで構成されている。
中間転写ベルト34は、モータ(図示省略)で駆動される駆動ロール38と、中間転写ベルト34に張力を付与する張力付与ロール41と、後述する二次転写ロール62に対向する対向ロール42と、複数の巻掛ロール44とに巻き掛けられている。そして、駆動ロール38により、一方向(図1における反時計回り方向)に循環移動されるようになっている。
各一次転写ロール36は、中間転写ベルト34を挟んでそれぞれの各画像形成ユニット16の像保持体18と対向配置されている。また、一次転写ロール36は、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により、像保持体18に形成されたトナー像が中間転写ベルト34に転写されるようになっている。
中間転写ベルト34を挟んで駆動ロール38の反対側には、ブレードを中間転写ベルト34に接触させて、中間転写ベルト34上の残留トナーや紙粉等を除去する除去装置46が設けられている。
転写部32の下方には、用紙等の媒体の一例としての記録媒体Pが収容される用紙収容部48が複数設けられている。用紙収容部48の各々は、第1筐体10Aから引き出し自在とされている。各用紙収容部48の一端側(図1における正面視右側)の上方には、各用紙収容部48から用紙Pを搬送経路60へ送り出す送出ロール52が設けられている。
各用紙収容部48内には、用紙Pが載せられる底板50が設けられている。この底板50は、用紙収容部48が第1筐体10Aから引き出されると、制御手段(図示省略)の指示によって下降するようになっている。底板50が下降することで、ユーザが用紙Pを補充する空間が用紙収容部48に形成される。
第1筐体10Aから引き出された用紙収容部48を第1筐体10Aに装着すると、底板50が、制御手段の指示によって上昇するようになっている。底板50が上昇することで、底板50に載せられた最上位の用紙Pと送出ロール52とが当るようになっている。
送出ロール52の用紙搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という場合がある)には、用紙収容部48から重なって送り出された用紙Pを1枚ずつに分離する分離ロール56が設けられている。分離ロール56の下流側には、用紙Pを搬送方向下流側に搬送する複数の搬送ロール54が設けられている。
用紙収容部48と転写部32との間に設けられる搬送経路60は、用紙収容部48から送り出された用紙Pを第1方向転換部60Aで図1における正面視左側に反転させる。そして、さらに、第2方向転換部60Bで図1における正面視右側に反転するように、二次転写ロール62と対向ロール42との間の転写位置Tへ延びている。
二次転写ロール62は、給電部(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー像が、二次転写ロール62によって、搬送経路60に沿って搬送されてきた用紙Pに二次転写される構成となっている。
搬送経路60の第2方向転換部60Bへ合流するように、第1筐体10Aの側面から延びる予備経路66が設けられている。第1筐体10Aに隣接して配置される別の用紙収容部(図示省略)から送り出された用紙Pが予備経路66を通って搬送経路60に入り込めるようになっている。
転写位置Tの下流側には、トナー像が転写された用紙Pを第2筐体10Bに向けて搬送する複数の搬送ベルト70が第1筐体10Aに設けられ、搬送ベルト70に搬送された用紙Pを下流側に搬送する搬送ベルト80が第2筐体10Bに設けられている。
複数の搬送ベルト70および搬送ベルト80のそれぞれは環状に形成されており、一対の巻掛ロール72に巻き掛けられている。一対の巻掛ロール72は、用紙Pの搬送方向上流側と下流側とにそれぞれ配置されており、一方が回転駆動することにより、搬送ベルト70(搬送ベルト80)を一方向(図1における時計回り方向)に循環移動させる。
搬送ベルト80の下流側には、用紙Pの表面に転写されたトナー像を用紙Pに熱と圧力で定着させる定着ユニット82が設けられている。
定着ユニット82は、定着ベルト84と、定着ベルト84に対して下側から接触するように配置された加圧ロール88と、を備えている。定着ベルト84と加圧ロール88との間には、用紙Pを加圧加熱してトナー像を定着させる定着部Nが形成されている。
定着ベルト84は、環状に形成されており、駆動ロール89および従動ロール90に巻き掛けられている。駆動ロール89は、加圧ロール88に対して上側から対向しており、
従動ロール90は、駆動ロール89よりも上側に配置されている。
駆動ロール89および従動ロール90は、それぞれに、ハロゲンヒータ等の加熱部が内蔵されている。これにより、定着ベルト84が加熱される。
図1に示されるように、定着ユニット82の下流側には、定着ユニット82から送り出された用紙Pを下流側へ搬送する搬送ベルト108が設けられている。
搬送ベルト108の下流側には、定着ユニット82によって加熱された用紙Pを冷却する冷却ユニット110が設けられている。
冷却ユニット110は、用紙Pの熱を吸収する吸収装置112と、用紙Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114とを備えている。吸収装置112は、搬送経路60に対する一方側(図1における上側)に配置され、押付装置114は、他方側(図1における下側)に配置されている。
吸収装置112は、用紙Pと接触し、用紙Pの熱を吸収する環状の吸収ベルト116を備えている。吸収ベルト116は、吸収ベルト116へ駆動力を伝達する駆動ロール120と、複数の巻掛ロール118とに巻き掛けられている。
吸収ベルト116の内周側には、吸収ベルト116と面状に接触して吸収ベルト116が吸収した熱を放熱させる、たとえばアルミニウム材料で形成されたヒートシンク122が設けられている。
さらに、ヒートシンク122から熱を奪い熱気を外部へ排出させるためのファン128が、第2筐体10Bの裏側(図1に示す紙面奥側)に配置されている。
用紙Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114は、用紙Pを吸収ベルト116へ押し付けながら用紙Pを搬送する環状の押付ベルト130を備えている。押付ベルト130は、複数の巻掛ロール132に巻き掛けられている。
冷却ユニット110の下流側には、用紙Pを挟んで搬送し、用紙Pの湾曲(カール)を矯正する矯正装置140が設けられている。
矯正装置140の下流側には、用紙Pに定着されたトナー像のトナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥等を検出する画像読取装置(内蔵イメージセンサ200)が設けられている。なお、内蔵イメージセンサ200については、詳細を後述する。
内蔵イメージセンサ200の下流側には、片面に画像が形成された用紙Pを第2筐体10Bの側面に取り付けられた排出部196に排出する排出ロール198が設けられている。
一方、両面に画像を形成させる場合は、内蔵イメージセンサ200から送出された用紙Pは、内蔵イメージセンサ200の下流側に設けられた表裏反転経路194に搬送されるようになっている。
表裏反転経路194には、搬送経路60から分岐する分岐パス194Aと、分岐パス194Aに沿って搬送される用紙Pを第1筐体10A側に向けて搬送する用紙搬送パスと、用紙搬送パス194Bに沿って搬送される用紙Pを逆方向に向けて反転してスイッチバック搬送させて表裏を反転させる表裏反転パス194Cとが設けられている。
この構成により、表裏反転パス194Cでスイッチバック搬送された用紙Pは、第1筐体10Aに向けて搬送され、さらに、用紙収容部48の上方に設けられた搬送経路60に入り込み、転写位置Tへ再度送り込まれるようになっている。
(内蔵イメージセンサ200)
第1の実施の形態に係る画像形成装置10は、前記したように矯正装置140の下流側に内蔵イメージセンサ200を備えている。内蔵イメージセンサ200は、画像形成ユニット16によって用紙Pに形成された画像に異常があるか否かを検出するため等に用いられるものである。
この場合の内蔵イメージセンサ200は、画像形成ユニット16の階調再現性や色再現性の計測手段としての機能を有する。また、当該計測手段としての機能を正常に維持するために、定期または不定期に内蔵イメージセンサ200の校正(キャリブレーション)が実行される場合がある。
以下の説明では、画像形成装置10の長さ方向(用紙Pの搬送方向である副走査方向)をX方向、装置の高さ方向をY方向、装置の奥行き方向(主走査方向)をZ方向ということとする(図1及び図2参照)。
図2に示されるように、画像読取装置の一例である内蔵イメージセンサ200は、画像が記録された用紙Pに向けて光を照射する照明部202と、照明部202から照射されて用紙Pで反射された光をCCDセンサ204に結像する結像光学系206を備えた結像部208と、内蔵イメージセンサ200の使用時やキャリブレーション時の各種基準等が設けられた設定部210とを備えている。
なお、第1の実施の形態に係るCCDセンサ204は、各々主走査方向に対応する方向に沿って配置された複数の受光素子(たとえばフォトダイオード)を含んで構成された、赤用イメージセンサ、緑用イメージセンサおよび青用イメージセンサを備える。各色用イメージセンサは、受光素子の受光面に各色成分の光を透過させるフィルタを設けている。
このCCDセンサ204の構造上、内蔵イメージセンサ200は、インラインセンサ(ILS)等と称される場合がある。)。
各色用イメージセンサは、受光素子が受光した光の各色成分の光量に応じて蓄積した電荷を信号として外部に出力する。
照明部202は、用紙Pの搬送経路60の上側に配置されており、Z方向(主走査方向)に長手とされた一対の第1ランプ212Aおよび第2ランプ212B(以下、総称する場合は、「ランプ212」という場合がある)を有する。
ランプ212としては、たとえば蛍光ランプ、キセノンランプや、主走査方向に沿って配列された複数の白色LED(図示省略)が用いられている。
ランプ212の照射範囲の長さは搬送される最大の用紙Pの幅よりも大とされている。ランプ212は、用紙Pにて反射されて結像部208に向かう光軸OA(設計上の光軸)に対し対称に配置されている。
ランプ212から照射される光は、第1ランプ212Aと第2ランプ212Bとの間の搬送経路60上の透明なウィンドウガラス286の照射位置Dに照射されるように構成されている。
ウィンドウガラス286において、ランプ212から光が照射される照射領域は、設定部210上で用紙Pの画像形成領域が通過する領域に重なる領域であって、搬送経路60上の用紙Pに形成された画像がCCDセンサ204によって読み取られる領域として予め定められた領域(画像読取領域)を含んで構成されている。
また、結像光学系206は、光軸OAに沿って導かれた光をX方向(第1の実施の形態では用紙Pの搬送方向下流側)に反射する第1ミラー214と、第1ミラー214が反射した光を上向きに反射する第2ミラー216と、第2ミラー216が反射した光を用紙Pの搬送方向上流側に反射する第3ミラー218と、第3ミラー218が反射した光をCCDセンサ204に集光(結像)するレンズ220と、光量絞り部224(224L、224S、224U))とを主要部として構成されている。
第1ミラー214のZ方向の長さは、最大の用紙Pの幅よりも大とされている。そして、第1ミラー214、第2ミラー216、第3ミラー218は、結像光学系206に入射された用紙Pの反射光をそれぞれZ方向(主走査方向)に絞りながら(集光しつつ)反射するようになっている。これにより、略円柱状のレンズ220に対し用紙Pの幅方向各部からの反射光を入射させる構成である。
内蔵イメージセンサ200は、CCDセンサ204が、結像された光すなわち画像濃度に応じた信号を、画像形成装置10の制御装置20(図1参照)に出力(フィードバック)するように構成されている。
制御装置20は、内蔵イメージセンサ200から入力された信号に基づいて、画像形成ユニット16において形成される画像を補正する処理を実施する。画像を補正する処理の一例としては、画像形成装置10の階調調整LUT(ルックアップテーブル)の修正が挙げられる。
なお、補正の他の例としては、内蔵イメージセンサ200から入力された信号に基づく露光装置40による照射光の強度、画像の形成位置などの補正、現像電位や転写電流値の補正がある。
設定部210は、Z方向に長手の基準ロール226を備えている。基準ロール226は周方向に予め定められた数の面が形成された多角形筒状に形成されるが、第1の実施の形態に係る基準ロール226では、10面を有する多角形筒状とされている。
図2に示される如く、基準ロール226は、用紙Pの画像検出を行う際に搬送経路60側に向けられる検出基準面228(基本色は黒色)と、内蔵イメージセンサ200による用紙Pの画像検出を行わない場合に搬送経路側に向けられる退避面230と、を備え、その他の各面は、色域補正処理等で用いる各色の基準面(色基準面)として機能する。
基準ロール226は、回転軸226Aの周りに回転することで、搬送経路60側に向けるべき面を切り替える構成とされている。この基準ロール226の面の切り替えは、回路基板262に設けられた制御回路100によって行われる。
なお、退避面230は、周方向の幅が他の面よりも大とされている。この退避面230は、内蔵イメージセンサ200による用紙Pの画像検出を行わない場合に、用紙Pを案内する案内面である。
図3に示される如く、第1の実施の形態に係る画像形成装置10を制御する制御装置20は、上述したように、内蔵イメージセンサ200からの信号に基づいて、画像形成ユニット16において形成される画像を補正する機能を備えている。また、制御装置20は、内蔵イメージセンサ200のキャリブレーション(たとえば、上述のCCDセンサ204のキャリブレーション等)を制御する機能も備えている。
制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、RAM(Random Access Memory)20C、及び入出力ポート20Dを備えている。そして、それぞれがアドレスバス、データバス、および制御バス等のバス20Eを介して互いに接続されている。
ROM20Bには各種プログラムが記憶されており、CPU20Aが当該プログラムをROM20Bから読み込み、RAM20Cに展開して実行することにより、各種制御が行われるようになっている。
なお、装置の電源スイッチが切られても保持しなければならない各種情報を記憶する不揮発性の記憶媒体(NVM)を装備してもよい。
入出力ポート20Dには、ユーザ・インタフェース装置(UI装置)30、画像形成制御部102、内蔵イメージセンサ200の制御回路100が接続されている。
UI装置30は、一例として、ディスプレイ上に透過型のタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成されている。そして、各種情報がディスプレイの表示面に表示されると共に、ユーザがタッチパネルに触れることにより情報や指示が受け付けられる。なお、第1の実施の形態では、UI装置30を適用した形態例を挙げて説明しているが、これに限らず、液晶ディスプレイなどの表示部とテンキーや操作ボタンなどが設けられた操作部とが別々に設けられた形態としてもよい。
図4は、上記構成の画像形成装置10の機能をブロック化して示した概略図である。
画像処理部300は、仕分手段の一例であり、画像形成部302から原稿画像データDgを受け付け、印刷画像データDiに変換する。
図4においてブロック化して記載した、印刷部304、給紙部306、用紙搬送部308、排紙部310について、それぞれ図1に示す各部材との対照関係を示す。
印刷部304は、画像形成手段の一例であり、図1の画像形成ユニット16に相当する。
給紙部306は、図1の用紙収容部48、送出ロール52、及び分離ロール56に相当する。
用紙搬送部308は、図1の搬送経路60に沿ったロール及びベルト系の搬送部材に相当する。
排紙部310は、図1の排出部196、及び排出ロール198に相当する。
また、中間印刷物Pcは、印刷部304の上流側に戻される用紙Pであり、最終印刷物Psは、全ての処理が完了した用紙Pである。
ここで、第1の実施の形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及び、ブラック(K)の各トナーを用い、第1の特別色及び第2の特別色に代表される金属光沢感特別色を含まずに画像形成した用紙Pの画像に対して、内蔵イメージセンサ200による検査、すなわち、トナー濃度欠陥、画像欠陥、及び画像位置欠陥を含む欠陥検出に基づく、フィードバック補正を行っている。
一方、第1特別色として適用したゴールド(G)、及び第2特別色として適用したシルバー(S)を含む金属光沢感特別色の各トナーを用いた画像形成した用紙P上の画像に関して、内蔵イメージセンサ200による検査を行っていない。
すなわち、図4に示す不良判定部312での、トナー濃度欠陥、画像欠陥及び画像位置欠陥を含む欠陥検出に基づく、画像処理部300でのフィードバック補正を行っていない。
例えば、ゴールド、シルバーの顔料は、少なくともイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックよりも正反射率が高く、拡散反射率が低く、金属光沢感がある。このため、特別色は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナーに比べて、内蔵イメージセンサ200による欠陥検出精度が悪い。
すなわち、ランプ212の反射光に起因して、所謂かぶりや逆光現象を起こし、CCDセンサ204での画像読み取りが困難となる。
(印刷画像データの仕分け)
そこで、第1の実施の形態では、印刷画像データに、第1特別色として適用したゴールド(G)、及び第2特別色として適用したシルバー(S)を含む金属光沢感特別色が存在する場合、仕分け手段の一例である画像処理部300では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックによる第1の印刷画像データDiAと、ゴールド、シルバーによる第2の印刷画像データDiBに仕分けるようにした。
第1の印刷画像データDiAに属するか、第2の印刷画像データDiBに属するかは、以下の表1のように、初期設定として定められている。
なお、表1では、初期設定として各トナー色を固定的に検査対象の要否を定めたが、図5に示されるように、特別色を対象として、UI装置30のタッチ操作によって、設定変更可能としてもよい。例えば、内蔵イメージセンサ200のランプ212の光量を通常よりも暗くして、YMCKの検査精度よりは劣るが、ゴールド及びシルバー等を検査対象としてもよい。
また、白色は反射率の異なる種類が存在するため、適用される白トナーの種類によって検査対象の要否を設定してもよい。
図4に示される如く、第1の印刷画像データDiAと第2の印刷画像データDiBは、印刷部304へ送出されるとき、検査対象色判定部314において、印刷画像データ種(第1の印刷画像データDiA又は第2の印刷画像データDiB)を判定する。
検査対象色判定部314では、判定の結果が第1の印刷画像データDiAの場合は、内蔵イメージセンサ200に検査対象であることを通知する。
また、検査対象色判定部314では、判定の結果が第2の印刷画像データDiBの場合は、内蔵イメージセンサ200に非検査対象である(検査対象ではない)ことを通知する。
内蔵イメージセンサ200は、この通知に基づき、印刷部304での画像形成後の画像の検査の要否を判定し、当該要否に基づいて動作する。
不良判定部312では、内蔵イメージセンサ200から印刷物画像Dpを受け付けて不良判定を行う。
このとき、第1の印刷画像データDiAによって印刷された中間印刷物Pcに相当する印刷物画像Dpは不良判定する。
一方、中間印刷物Pcに重ねるように第2の印刷画像データDiBによって印刷された印刷物画像Dpは不良判定を実行しない(検査除外措置)。
(搬送制御)
図4に示される如く、仕分けられた第1の印刷画像データDiAと第2の印刷画像データDiBは、同一面への印刷画像データであるが、それぞれ別のタイミングで印刷部304で印刷処理が実行されるようになっている。
第1の実施の形態では、用紙搬送部308の表裏反転経路194(図1参照)を適用し、画像形成部で同一面に2回の画像形成処理を行う構成とした。
より具体的には、片面印刷処理においては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナーを用いて片面印刷が終了した中間印刷物Pcを、表裏反転経路194で印刷部304(図1に示す転写位置T)へ戻す(1周目)。
このときは、用紙Pが反転しているため、内蔵イメージセンサ200の下流側まで、所謂素通り搬送した上で、再度、表裏反転経路194を適用して、印刷部304へ戻し、同一面にゴールド及びシルバーの各トナーを用いて画像形成する。
すなわち、内蔵イメージセンサ200による検査除外となる特別色の有無、及び印刷形態が片面又は両面の組み合わせにおいて、それぞれ異なる搬送工程(表2参照)を設定することになる。
まず、画像形成装置10の画像形成工程について説明する。
画像処理部13で画像処理が施された画像データが、各露光装置40に送られる。
各露光装置40では、画像データに応じて各光ビームLを出射して、スコロトロン帯電器によって帯電した各像保持体18に露光し、静電潜像が形成される。
像保持体18に形成された静電潜像は、現像装置によって現像され、第1特別色(G)、第2特別色(S)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像が形成される。
図1に示されるように、各画像形成ユニット16G、16S、16Y、16M、16C、16Kの像保持体18に形成された各色のトナー像は、6つの一次転写ロール36G、
36S、36Y、36M、36C、36Kによって中間転写ベルト34に順次多重転写される。
中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー像は、二次転写ロール62によって、用紙収容部48から搬送されてきた用紙P上に二次転写される。トナー像が転写された用紙Pは、搬送ベルト70によって第2筐体10Bの内部に設けられた定着ユニット82に向けて搬送される。
用紙P上の各色のトナー像が定着ユニット82により加熱・加圧されることで用紙Pに定着する。さらに、トナー像が定着された用紙Pは、冷却ユニット110を通過して冷却された後、矯正装置140に送り込まれ、用紙Pに生じた湾曲が矯正される。
湾曲が矯正された用紙Pは、内蔵イメージセンサ200によって画像欠陥等が検出された後、排出ロール198によって排出部196に排出される。
一方、画像が形成されていない非画像面に画像を形成させる場合(両面印刷の場合)は、内蔵イメージセンサ200を通過後に、用紙Pが表裏反転経路194で反転される。そして、用紙収容部48の上方に設けられた搬送経路60に送り込まれて、前述した手順で裏面にトナー像が形成される。
なお、第1の実施の形態に係る画像形成装置10では、第1特別色および第2特別色の画像を形成するための部品(画像形成ユニット16G・16S、露光装置40G・40S、トナーカートリッジ14G・14S、一次転写ロール36G・36S)は、ユーザの選択により、追加部品として第1筐体10Aに装着自在に構成されている。
(特別色の検査要否判定及び搬送制御)
次に、内蔵イメージセンサ200では、用紙Pに定着されたトナー像のトナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥等を検出する。
トナー濃度欠陥は、環境変化及び機差、部品の経時劣化、部品の機差(要因1〜要因3)に対して、トナー像を内蔵イメージセンサ200により読み取って、画像形成部へフィードバックして補正する。
また、トナー濃度欠陥は、色変換誤差(要因4)に対して、例えば、画像形成時に受付た画像データ(RGB)を、中間的にL*a*b*色空間等に変換して、トナー像であるcmykに変換しており、この色変換処理の際に、再現しきれば色が存在する場合がある。そこで、トナー像を内蔵イメージセンサ200により読み取って、画像形成部へフィードバックして、適正な色変換となるように補正する。
また、画像欠陥は、周囲の画像データによって補間するためのフィードバック補正を実行し、画像位置欠陥においては、画像位置を変更するためのフィードバック補正を実行する。
第1の実施の形態では、印刷画像データに、第1特別色として適用したゴールド(G)、及び第2特別色として適用したシルバー(S)が含まれている場合、図4に示す画像処理部300では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックによる第1の印刷画像データDiAと、ゴールド、シルバーによる第2の印刷画像データDiBに仕分けると共に、検査対象色判定部314で検査対象か否かを判定し、用紙搬送部308の表裏反転経路194(図1参照)を適用し、画像形成部で同一面に2回の画像形成処理を行う。
図6は、内蔵イメージセンサ200による検査対象の要否を判定し、かつ、当該要否に基づく搬送パターンで用紙Pを搬送し、印刷処理及び検査処理を実行するための制御ルーチンを示すフローチャートである。
ステップ350では、原稿像画像を受け付けたか否かが判断され、否定判定された場合は、このルーチンは終了する。
また、ステップ350で肯定判定されると、ステップ352へ移行して、画像解析を実行する。すなわち、色変換等を行い印刷画像データを生成する。
次のステップ354では、印刷形態を判別する。印刷形態とは、用紙Pの片面に印刷するのか(片面印刷)、両面に印刷するのか(両面印刷)の判別である。
次のステップ356では、各面(当然、片面印刷の場合は、片面を指す。)の特別色の有無を判別し、ステップ358へ移行する。
ステップ358では、ステップ356の判別の結果、特別色が有るか否かを判定し、肯定判定されるとステップ360へ移行する。また、このステップ358で否定判定された場合は、ステップ364へ移行する。
ステップ360では、特別色毎に設定された検査対象判別テーブル(表1)を読み出し、ステップ362へ移行して、内蔵イメージセンサ200による各特別色の検査要否を判定し、ステップ364へ移行する。
ステップ364では、印刷形態(片面印刷、両面印刷)、特別色の検査要否に基づき、表2に基づいて搬送パターンを選択し、次いでステップ366へ移行して、選択された搬送パターンに基づいて、印刷処理、及び検査処理が実行され、このルーチンは終了する。
搬送パターン1が選択された場合は、全ての色が検査対象なので、表面の通常色印刷→表面の検査→排紙の工程となる。
搬送パターン2が選択された場合は、検査除外の特別色が存在するので、表面の通常色印刷→表面の検査→反転→素通り→反転→特別色印刷→排紙。
搬送パターン3が選択された場合は、全ての色が検査対象なので、表面の通常色印刷→表面の検査→反転→裏面の通常色印刷→裏面の検査→排紙の工程となる。
搬送パターン4が選択された場合は、表面に検査除外の特別色があり、裏面は全ての色が検査対象なので、表面の通常色印刷→表面の検査→反転→裏面の通常色印刷→反転→表面の特別色印刷→反転→排紙の工程となる。
搬送パターン5が選択された場合は、表面は全ての色が検査対象で、裏面に検査除外の特別色があるので、表面の通常色印刷→表面の検査→反転→裏面の通常色印刷→裏面の検査→反転→素通り→反転→裏面の特別色印刷→排紙の工程となる。
搬送パターン6が選択された場合は、表面及び裏面共に検査除外の特別色があるので、表面の通常色印刷→表面の検査→反転→裏面の通常色印刷→裏面の検査→反転→表面の特別色印刷→反転→裏面の特別色印刷→排紙の工程となる。
なお、第1の実施の形態では、既存の表裏反転経路194を用いたため、同一面に多重印刷する場合に、2周させる必要があった。
そこで、変形例として、図1に示す表裏反転経路194に、用紙搬送パス194Bから第1筐体10Aの搬送経路60へ送り込む新たな経路(多重印刷搬送経路)を設けるようにしてもよい。これにより、用紙Pの表裏が反転しないまま周回させることが可能となる。
「第2の実施の形態」
以下に第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一構成部分については、同一の符号を付してその構成の説明を省略する。
第1の実施の形態では、単一の画像形成ユニット16(単一の印刷部304)を用い、両面印刷に適用する表裏反転経路194を利用して、用紙Pを周回させ、同一の面に2回の印刷処理を実行するようした。
これに対して、第2の実施の形態では、図7に示される如く、内蔵イメージセンサ200の上流側に通常色印刷用の第1印刷部304Aを設け、内蔵イメージセンサ200の下流側に特別色印刷用の第2印刷部304Bを設けた。
これにより、同一の面に2回の印刷を行うために用紙Pを周回させる必要がなくなる。
なお、第2の実施の形態では、第1印刷部304A及び第2印刷部304B以外は、第1の実施の形態と同一構成としたが、第2の実施の形態の変形例として、第1の実施の形態で適用された画像形成装置10を2台配列し(所謂重連配列し)、上流側の画像形成装置10で通常色を印刷し、下流側の画像形成装置10で特別色を印刷するようにしてもよい。