以下、図1〜図14を用いて、本発明の一実施形態である移動位置調整機構を備えた子供乗せ装置について説明する。なお、図において適宜示される矢印UPは、子供乗せ装置の上方側を示しており、矢印FRは、子供乗せ装置の前方側を示しており、矢印Wは、子供乗せ装置の幅方向外側又は内側を示している。
図1には、本発明の一実施形態である移動位置調整機構を備えた子供乗せ装置が前方側から見た斜視図にて示されている。図2には、図1に示す子供乗せ装置に設けられた可動部材としてのヘッドガードを子供乗せ装置本体に対して移動した状態が斜視図にて示されている。図3(A)には、図2に示す子供乗せ装置が後方側から見た斜視図にて示されている。図1〜図3(A)に示されるように、二輪車2は、略上下方向に沿って延在されるハンドルポスト(図示省略)の上部に連結されるハンドルバー4を備えている。ハンドルバー4は、略幅方向に沿って配置される下部バー4Aと、下部バー4Aの両端部から上方側に延びた側部バー4Bと、側部バー4Bの上端部から幅方向外側及び斜め後方側に延びた端部バー4Cと、を備えている。
図1〜図3(A)に示されるように、子供乗せ装置10は、ハンドルバー4の下部バー4Aの上部に取付部6(図3(A)参照)を介して取り付けられる子供乗せ装置本体(座席部)12を備えている。子供乗せ装置本体12は、子供が着席可能な座部12Aと、この座部12Aの後方部から上方斜め後方側に起立するように延びた背凭れ部12Bと、この背凭れ部12Bから座部12Aの両サイドを囲むように連続して立設された側面部12Cと、両サイドの側面部12Cの前方下側に掛け渡された前面部12Eと、を備えている。座部12Aと背凭れ部12Bと側面部12Cと前面部12Eは連続した湾曲面を形成するように一体的に設けられている。前面部12Eと座部12Aとの間には、座部12Aに子供が着席したときに脚部が挿通される開口部12Fが設けられている。子供乗せ装置本体12の両サイドの側面部12Cは、それぞれハンドルバー4の側部バー4Bに取付部7によって取り付けられている。
子供乗せ装置本体12の両サイドの側面部12Cの前側上部には、座部12Aに着席した子供の前方側をガードする略逆U字状のハンドル部(握り部材)14が設けられている。ハンドル部14を設けることで、座部12Aに着席した子供がハンドル部14を握って自身の身体を支えることができるようになっている。
子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bの内側面(前方側の面)の上部側には、背凭れ部12Bの内側面と一部が重なり合うように可動部材としてのヘッドガード(ヘッドレスト)16が設けられている。ヘッドガード16は、座部12Aに着席した子供の頭部を保護するものである。ヘッドガード16は、後面部から両サイドが前方側に突出した湾曲形状に形成されており、座部12Aに着席した子供の後頭部および側頭部を保護するようになっている。
座部12Aの前方側には、開口部12Fと対向する位置に、子供の足が置載されるフットガード(フットレスト)18が設けられている。座部12Aの前方下部には、前方側に向かって下り勾配となるように傾斜するベース部20が設けられており、ベース部20に沿ってフットガード18が略上下方向に移動可能となっている。
図4に示されるように、子供乗せ装置10には、ヘッドガード16を背凭れ部12Bに沿って略上下方向に移動させて所定の位置で固定する移動位置調整機構としての移動位置調整装置(高さ調整装置)30が設けられている。図4では、背凭れ部12Bに対してヘッドガード16が固定されたロック時の状態が示されている。移動位置調整装置30は、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに設けられた被係合部としての左右両側の凸部32Bを備えた突出部32と、ヘッドガード16に設けられると共に複数の係合部としての複数の凹部36Aを備えた左右両側の長尺部材34と、を備えている。また、移動位置調整装置30は、ヘッドガード16に対して移動可能に設けられた操作部としての操作レバー38と、を備えている。
図5(A)、(B)には、子供乗せ装置本体12単体が斜視図にて示されている。図5(A)、(B)に示されるように、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bの上部には、背凭れ部12Bの内側面31(前方側の面)から前方側に突出する左右両側の突出部32を備えている。左右両側の突出部32は、背凭れ部12Bのほぼ同じ高さに離れて配置され、左右対称とされている。突出部32は、子供乗せ装置本体12の平面視にて略L字状に形成されている。より具体的には、突出部32は、背凭れ部12Bの内側面31から前方側に向かって配置された立設部32Aと、立設部32Aの先端から背凭れ部12Bの幅方向内側に向かって配置された凸部32Bと、を備えている。本実施形態では、凸部32Bの幅方向内側の壁面は、略V字状に形成されている。より詳細には、凸部32Bは、幅方向内側の壁面に、上下方向の中央部から上方側及び幅方向外側に向かって傾斜した上側傾斜部32Cと、上下方向の中央部から下方側及び幅方向外側に向かって傾斜した下側傾斜部32Dと、を備えている(図5(B)参照)。突出部32は、ビス33で背凭れ部12Bに締結固定されている。
図7(A)、(B)には、ヘッドガード16単体が正面図及び斜視図にて示されている。図4及び図7(A)、(B)に示されるように、ヘッドガード16は、背凭れ部12B(図1参照)に沿って略上下方向に配置されたセンター部16Aと、センター部16Aから背凭れ部12B及び側面部12C(図1参照)に沿って幅方向両側に延びた左右の翼部16Bと、を備えている。センター部16Aは、ヘッドガード16の正面視にて略矩形状に形成されている。より具体的には、センター部16Aは、左右の翼部16Bから前方側に突出した前壁部40Aと、前壁部40Aの幅方向中央部に段差部40Bを介して後方側に窪んだ略矩形状の底壁部40Cと、を備えている。左右両側の段差部40B及び段差部40Bと前壁部40Aとの境界部分には、ヘッドガード16の移動方向(略上下方向)に沿ってガイド孔42が形成されている。背凭れ部12Bの凸部32Bは、それぞれガイド孔42に貫通されている(図4参照)。この状態で、ヘッドガード16は、背凭れ部12Bに対して上下方向に移動する。その際、ヘッドガード16のガイド孔42が背凭れ部12Bの突出部32でガイドされるようになっている。
図4に示されるように、2つの長尺部材34は、ヘッドガード16の底壁部40C内の幅方向両側に、ヘッドガード16の移動方向(略上下方向)に沿って配置されており、左右対称に形成されている(図6参照)。長尺部材34の下端部は、底壁部40Cの下側の段差部40Bに接触するように配置されている。
図6には、左右一対の長尺部材34及び操作レバー38を分解した状態で正面図にて示されている。図4及び図6に示されるように、長尺部材34は、幅方向外側(ヘッドガード16の幅方向外側)の壁部に略上下方向に沿って複数の凹部36Aが形成されている。隣り合う凹部36Aの間は、幅方向外側の突出する頂部36Bとされている。複数の凹部36Aは、背凭れ部12Bの凸部32Bに係合する形状とされており、背凭れ部12Bに対するヘッドガード16のロック時には、複数の凹部36Aのいずれか1つが背凭れ部12Bの凸部32Bに係合されるようになっている(図4参照)。本実施形態では、凹部36Aは、上下方向の中央部から上方側及び幅方向外側に向かって傾斜した上側傾斜部36Cと、上下方向の中央部から下方側及び幅方向外側に向かって傾斜した下側傾斜部36Dと、を備えている(図6参照)。凹部36Aの上側傾斜部36Cは、凸部32Bの上側傾斜部32Cに対応した形状とされており、凹部36Aの下側傾斜部36Dは、凸部32Bの上側傾斜部32Cに対応した形状とされている(図5参照)。複数の凹部36Aは、上側傾斜部36Cと下側傾斜部36Dとが略上下方向に沿って交互に連続して配置された形状とされている。
長尺部材34における複数の凹部36Aの背面側の壁34Aには、幅方向内側(ヘッドガード16の幅方向内側)及び下方側に向かって湾曲しながら延びた弾性体44が設けられている。弾性体44は、長手方向の中間部が上下方向の上側に向かって凸状に湾曲する形状とされており、弾性体44の先端部は、球状に形成されている。弾性体44は、長尺部材34の壁34Aの上下方向の2箇所に設けられている。左右一対の長尺部材34がヘッドガード16の底壁部40Cに配置された状態で、弾性体44の先端部は、操作レバー38の後述する延出部38Bに接触している(図4参照)。弾性体44の機能については、後に説明する。
長尺部材34における複数の凹部36Aの背面側の壁34Aには、幅方向内側(ヘッドガード16の幅方向内側)に突出する接触部としての突出部46が設けられている。突出部46は、長尺部材34の壁34Aの上下方向に間隔をおいて3つ形成されている。本実施形態では、長尺部材34の上端部に突出部46が設けられており、上下方向下側の2つの突出部46は、2つの弾性体44の間に設けられている。また、長尺部材34の壁34Aの下端部には、幅方向内側(ヘッドガード16の幅方向内側)に突出する接触部としての突出部47が設けられている。前述のように左右一対の長尺部材34は、ヘッドガード16の底壁部40Cに配置されており、背凭れ部12Bに対するヘッドガード16のロック時に、突出部46及び突出部47が操作レバー38の後述する突起部56にそれぞれ接触するようになっている(図4参照)。本実施形態では、長尺部材34は、合成樹脂で一体成形されている。
図4に示されるように、操作レバー38は、ヘッドガード16の底壁部40C内の幅方向中央部に、略上下方向に配置されている(図6参照)。操作レバー38は、ヘッドガード16に対して略上下方向に移動可能とされている。図4及び図6に示されるように、操作レバー38は、正面視にて上下方向の上端部に配置された略矩形状の把持部38Aと、把持部38Aの下部から下方側に延びた2つの延出部38Bと、を備えている。2つの延出部38Bは、長尺部材34における複数の凹部36Aの背面側の壁34Aに沿って延びている。2つの延出部38Bは、左右対称に形成されており、上下方向中間部(上下方向の中央部よりも下部側)に幅方向外側に窪んだ凹状部48が形成されている。凹状部48は、略矩形状に形成されており、凹状部48の下側の下壁部48A(図6参照)には、略上下方向に配置される付勢部材としてのスプリング52(図4参照)の下端が支持される支持部50が形成されている。
図4に示されるように、ヘッドガード16の底壁部40Cには、前方側に突出する左右一対の突起54が設けられている(図7参照)。突起54は、左右対称とされており、略L字状に形成されている。ヘッドガード16の突起54は、ヘッドガード16の底壁部40Cに配置された操作レバー38の凹状部48内に挿入されており、スプリング52の上端は、突起54に支持されている。これにより、操作レバー38は、スプリング52により、ヘッドガード16に対し下側のロック位置(図4に示す位置)に向けて付勢されている。ヘッドガード16には、操作レバー38のロック位置で把持部38Aの下面が当たるストッパ70が設けられている(図7参照)。ストッパ70は、ヘッドガード16の上部に左右一対で形成されている。操作レバー38の把持部38Aの下面がストッパ70に当たることで、操作レバー38がロック位置で保持される。すなわち、操作レバー38は、通常の状態では、スプリング52の力により、把持部38Aの下面がヘッドガード16のストッパ70に当たるロック位置に保持されている。
図4及び図6に示されるように、操作レバー38における2つの延出部38Bの幅方向外側の壁38Cには、幅方向外側(ヘッドガード16の幅方向外側)に突出する複数の突起部56が形成されている。突起部56は、正面視にて円弧状に形成されている。突起部56は、長尺部材34の3つの突出部46及び下端側の突出部47と対応する位置に4つ形成されている。本実施形態では、延出部38Bの下側から2番目の突起部56は、凹状部48の外壁と隣接する位置に設けられている。本実施形態では、操作レバー38は、合成樹脂で一体成形されている。
図4に示されるように、操作レバー38のロック位置では、操作レバー38の左右両側の4つの突起部56が、長尺部材34の3つの突出部46及び下端側の突出部47にそれぞれ接触している。これにより、長尺部材34は、操作レバー38の4つの突起部56によりヘッドガード16の幅方向外側に押し付けられ、長尺部材34の長手方向の上端部と下端部がヘッドガード16の上下方向の段差部40Bに接触すると共に、長尺部材34の複数の凹部36Aのいずれか1つが、背凭れ部12Bの凸部32Bに係合されている。すなわち、操作レバー38の4つの突起部56が長尺部材34を押し付けることにより、長尺部材34の複数の凹部36Aのいずれか1つが、背凭れ部12Bの凸部32Bに係合された状態で、長尺部材34が固定されるようになっている。
長尺部材34の2つの弾性体44の先端部は、それぞれ延出部38Bの幅方向外側の壁38Cに接触している。
図3(B)に示されるように、ヘッドガード16の上部には、略矩形状の開口部58が設けられており(図7参照)、開口部58には、操作レバー38の把持部38Aの後部の一部が露出している。把持部38Aの後部には、下側が凹状に窪んだ取っ手38Dが設けられている。図8に示されるように、取っ手38Dに指を掛けて操作レバー38をヘッドガード16に対して矢印Aに示す上方側に引き上げる。これによって、図9に示されるように、操作レバー38の凹状部48の下壁部48Aがスプリング52を圧縮させ、操作レバー38がスプリング52の付勢力に抗してロック解除位置に移動する。この状態で、操作レバー38の突起部56と長尺部材34の突出部46との間に隙間が生じる。その際、長尺部材34は、弾性体44の先端部が操作レバー38の延出部38Bの壁38Cに接触することにより、凹部36Aが背凭れ部12Bの凸部32Bに接触する位置に保持されている。弾性体44の撓み変形により、長尺部材34が操作レバー38の延出部38B側に移動可能となり、長尺部材34の凹部36Aと背凭れ部12Bの凸部32Bとの係合が解除されるようになっている。すなわち、弾性体44は、操作レバー38がロック解除位置に移動したときに、長尺部材34の凹部36Aが背凭れ部12Bの凸部32Bから離脱する方向に移動することを許容する構成とされている。
また、図5に示されるように、背凭れ部12Bの内側面31の幅方向中央部には、上下方向に間隔をおいて2つの筒状の取付部60が設けられている。取付部60には、それぞれネジ62(図4参照)が締結固定されている。また、図4及び図7に示されるように、ヘッドガード16のセンター部16Aの幅方向中央部には、ヘッドガード16の移動方向(略上下方向)に沿って細長いスライド孔64が形成されている。取付部60(図5参照)の外径は、スライド孔64の幅よりも小さく、取付部60がスライド孔64の内部に挿入されている。ネジ62の頭部は、スライド孔64の幅よりも大きい。ネジ62の軸部は、スライド孔64を貫通すると共に、背凭れ部12Bの取付部60に締結固定されている。これにより、ネジ62の頭部が、ヘッドガード16の内側面(背凭れ部12Bと反対側の面)を押さえており、ヘッドガード16が、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bから外れないようになっている。
また、スライド孔64は、ヘッドガード16の移動範囲と対応する位置に設けられている。これにより、ネジ62の軸部がスライド孔64を貫通した状態で、ヘッドガード16が子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bの内側面31に沿って上下方向に移動する。すなわち、背凭れ部12Bの取付部60がヘッドガード16のスライド孔64を摺動することで、ヘッドガード16の上下方向の移動がガイドされるようになっている。なお、本実施形態では、上下の2つのネジ62の間(正面視にてスライド孔64の手前側)にガイド板72が配置されている(図4参照)。
また、図1及び図2に示されるように、ヘッドガード16の移動位置調整装置30は、組付け状態では、ヘッドガード16のセンター部16Aに取り付けられたカバー68によって覆われている。
次に、本実施形態の移動位置調整装置30の作用及び効果について説明する。
図4等に示されるように、移動位置調整装置30では、子供乗せ装置本体12に対してヘッドガード16が移動可能に設けられており、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bには、2つの凸部32Bが設けられている(図5参照)。ヘッドガード16には、ヘッドガード16の移動方向に沿って、凸部32Bとそれぞれ係合する複数の凹部36Aを備えた2つの長尺部材34が設けられている。また、移動位置調整装置30には、ヘッドガード16に対して移動可能に設けられると共にロック位置とロック解除位置とに移動する操作レバー38が設けられている。
操作レバー38は、スプリング52の付勢力により、ヘッドガード16に対し下側のロック位置(図4参照)に移動している。ロック位置では、操作レバー38の複数の突起部56が長尺部材34の突出部46、47にそれぞれ接触して長尺部材34を押し付けることで、複数の凹部36Aのいずれか1つが凸部32Bと係合された状態で長尺部材34が固定されている。複数の凹部36Aのいずれか1つが凸部32Bと係合されることで、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに対してヘッドガード16が固定されている。
子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに対するヘッドガード16の位置(高さ)を調整する際には、図8に示されるように、ヘッドガード16の背面部の開口部58に露出した操作レバー38の把持部38Aの取っ手38Dに指を掛けて、把持部38Aを上方側(矢印A方向)に引き上げる。これによって、図9に示されるように、操作レバー38がスプリング52の付勢力に抗して、ヘッドガード16に対し上側のロック解除位置に移動する。このロック解除位置では、操作レバー38の複数の突起部56と長尺部材34の突出部46、47との間にそれぞれ隙間が形成され、操作レバー38による長尺部材34の押し付けが解除される。これにより、長尺部材34の複数の凹部36Aが凸部32Bから離脱する方向に移動可能となる。本実施形態では、長尺部材34における複数の凹部36Aの背面側の壁34Aに弾性体44が設けられており、弾性体44の先端部が操作レバー38の延出部38Bの壁38Cに接触している。このため、ロック解除位置では、長尺部材34の複数の凹部36Aの1つが凸部32Bと接触した状態となっている。
移動位置調整装置30では、操作レバー38の把持部38Aを上方側(矢印A方向)に引き上げたまま、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに対してヘッドガード16を引き上げ、又はヘッドガード16を押し下げることにより、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに対するヘッドガード16の位置(高さ)を希望の位置に調整する。例えば、図10及び図11に示されるように、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに対してヘッドガード16を矢印Bに示す上方側に移動させると、背凭れ部12Bの凸部32Bに押されて、長尺部材34が操作レバー38の延出部38B側に移動する方向に長尺部材34の弾性体44が撓み変形し、長尺部材34の凹部36Aが凸部32Bから離脱される。図12に示されるように、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに対してヘッドガード16をさらに矢印Bに示す上方側に移動させると、長尺部材34の弾性体44の弾性復元力により、長尺部材34の離脱した凹部36Aの下方の凹部36Aが凸部32Bに接触するように長尺部材34が凸部32B側に移動する。さらに、図13に示されるように、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに対してヘッドガード16は、長尺部材34の凹部36Aが凸部32Bと接触する位置に移動する。
子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに対してヘッドガード16を希望の位置に移動させた状態で、操作レバー38の把持部38Aから手を放す。これにより、図14に示されるように、操作レバー38が、スプリング52の付勢力によりヘッドガード16に対し下側(矢印C方向)のロック位置に移動する。その際、操作レバー38の複数の突起部56が長尺部材34の突出部46、47にそれぞれ接触して長尺部材34を押し付けることで、複数の凹部36Aのいずれか1つが凸部32Bと係合された状態で長尺部材34が固定される。
本実施形態では、左右両側の長尺部材34の複数の凹部36Aのいずれか1つが、背凭れ部12Bの左右両側の凸部32Bにそれぞれ係合されると共に、背凭れ部12Bの取付部60(図5参照)に締結固定されたネジ62でヘッドガード16のスライド孔64の両側縁を押さえている。その際、左右両側の長尺部材34の凹部36Aと凸部32Bとの2つの係合位置と、ネジ62の位置が略逆三角形状となり、背凭れ部12Bに対してヘッドガード16を移動させても、これらの略逆三角形状の位置が変わらない。このため、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに対するヘッドガード16のガタツキをより確実に抑えることができる。
なお、図13は、長尺部材34の凹部36Aの全体が凸部32Bの全体と接触しているが、長尺部材34の凹部36Aの一部が凸部32Bの一部と接触している状態で、操作レバー38の把持部38Aから手を放してもよい。その際、操作レバー38の複数の突起部56が長尺部材34の突出部46、47をそれぞれ押すことで、長尺部材34の凹部36Aが凸部32Bと係合する位置に移動する。
また、長尺部材34には、略上下方向に沿って複数の凹部36Aが設けられているため、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに対してヘッドガード16を移動させると、弾性体44の撓み変形により、複数の凹部36Aのうちの1つが順次に凸部32Bに接触することが繰り返される。本実施形態では、複数の凹部36Aは、上側傾斜部36Cと下側傾斜部36Dが略上下方向に交互に連続した形状であり、凸部32Bは、凹部36Aの上側傾斜部36C及び下側傾斜部36Dに対応する上側傾斜部32C及び下側傾斜部32Dを備えている。このため、長尺部材34の複数の凹部36Aを背凭れ部12Bの凸部32Bに対してスムーズに摺動させることができる。
このような移動位置調整装置30を備えた子供乗せ装置10では、複数の凹部36Aを備えた長尺部材34がヘッドガード16の移動方向に沿って設けられているので、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに対するヘッドガード16の移動距離(ストローク)を長くすることができる。また、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに対してヘッドガード16を移動させたときに、長尺部材34の複数の凹部36Aのいずれか1つが背凭れ部12Bの凸部32Bに係合されるので、ヘッドガード16を背凭れ部12Bにガタつかずに安定して固定することができる。
また、移動位置調整装置30では、長尺部材34に弾性体44が設けられており、弾性体44の先端部が、操作レバー38の延出部38Bの壁38Cに接触している。弾性体44は、操作レバー38がロック解除位置に移動したときに、複数の凹部36Aが背凭れ部12Bの凸部32Bから離脱する方向に移動することを許容する。すなわち、弾性体44の撓み変形により、複数の凹部36Aが背凭れ部12Bの凸部32Bから離脱する方向に移動することで、凹部36Aと凸部32Bとの係合が解除されるため、ヘッドガード16を子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに対して移動させることができる。また、弾性体44の先端部が操作レバー38の延出部38Bの壁38Cに接触するため、長尺部材34の長手方向における長尺部材34と操作レバー38の延出部38Bとの相対的な位置関係を安定して保持することができる。
また、移動位置調整装置30では、ヘッドガード16には、スプリング52が設けられており、スプリング52の付勢力により、操作レバー38がロック位置に向けて押し付けられる。この状態で、操作レバー38が長尺部材34を押し付け、複数の凹部36Aのいずれか1つを背凭れ部12Bの凸部32Bに係合させるため、凹部36Aと凸部32Bとの係合が安定化する。
また、移動位置調整装置30では、操作レバー38は、長尺部材34における複数の凹部36Aの背面側に延びた延出部38Bを備えており、延出部38Bに設けられた突起部56が、ロック位置で長尺部材34における複数の凹部36Aの背面側の突出部46、47と接触する。これにより、突起部56で長尺部材34が押し付けられ、複数の凹部36Aのいずれか1つを背凭れ部12Bの凸部32Bに強固に係合させることができる。
また、移動位置調整装置30では、ヘッドガード16には、ヘッドガード16の移動方向に沿って配置されるガイド孔42が設けられており、ガイド孔42に背凭れ部12Bの凸部32Bが貫通した状態で、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに対してヘッドガード16が移動する。これにより、ガイド孔42が背凭れ部12Bの凸部32Bでガイドされた状態で、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに対してヘッドガード16をスムーズに移動させることができる。
なお、本実施形態では、長尺部材34に複数の凹部36Aが設けられ、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに、複数の凹部36Aのいずれか1つが係合される凸部32Bが設けられているが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、長尺部材34に複数の凸部が設けられ、子供乗せ装置本体12の背凭れ部12Bに複数の凸部のいずれか1つが係合される凹部を設ける構成でもよい。また、凹部と凸部の形状や個数も、本実施形態に限定されるものではなく、変更可能である。
また、本実施形態では、ヘッドガード16には、移動方向に沿って複数の凹部36Aを備えた左右一対の長尺部材34が設けられているが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、ヘッドガード16に、移動方向に沿って複数の係合部を備えた1つの長尺部材を備える構成でもよい。
また、本実施形態では、長尺部材34の複数の凹部36Aの背面側の壁34Aに弾性体44が設けられ、弾性体44の先端部が操作レバー38の延出部38Bに接触する構成であるが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、操作レバーに弾性体が設けられ、弾性体の先端部が、長尺部材の複数の係合部の背面側の壁に接触する構成でもよい。
また、本実施形態では、操作レバー38のロック位置で、延出部38Bに設けられた複数の突起部56が長尺部材34の接触部としての突出部46、47にそれぞれ接触する構成であるが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、突起部56又は突出部46、47の形状や個数は、変更可能である。
また、本実施形態では、子供乗せ装置本体12に対して略上下方向に移動可能なヘッドガード16に適用される移動位置調整機構であるが、本発明は、ヘッドガード16に限定されるものではない。例えば、本発明は、子供乗せ装置本体12のベース部20に対して移動可能なフットガードなどの他の可動部材の移動位置調整機構に採用してもよい。