JP6615223B2 - 半導体加工用粘着シート - Google Patents
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Description
さらに詳しくは、詳細には、半導体ウェハをチップにダイシングする際などにおける半導体ウェハの固定保持に適したダイシング用粘着テープおよび半導体パッケージ加工に使用されるダイシング用粘着テープについて関するものである。特に、高密度実装半導体パッケージ加工用として好適なダイシング用粘着テープに関するものである。
しかしながら、このような柔軟な粘着剤を使用することにより、ダイシングによるパッケージ側面への粘着剤付着やパッケージに捺印されているレーザーマークが剥がれるという問題が生じている。
例えば、粘着剤層に(メタ)アルキル酸エステルを用いた粘着テープが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、近年ますますパッケージの小型化により、パッケージが粘着テープに保持される面積が小さくなりパッケージフライがより発生しやすくなっている。このため、粘着剤を改良しているだけではパッケージフライを抑制するには不十分であった。
また、半導体ウェハの振動を抑制するため、粘着シートの基材面にエラストマーを入れることでダイシング時のチッピングを抑制することが提案されている(特許文献2参照)。このように粘着剤だけでなく、基材側を柔軟にすることで、パッケージとの密着性を上げられるため好ましい。一方で、市場ではパッケージの小サイズ化が進行し、従来のピン突き上げによるピックアップ方法では、ピックアップに非常に時間がかかるようになっている。そのため、ピンセット等によりテープの背面を擦ることによりテープを撓ませて、パッケージを一気に落とす(以下、擦り落としという)ことでピックアップを行うようになってきた。
しかしながら、粘着シートの基材面にエラストマーを入れて基材側を柔軟にすると、柔軟なために、逆に、擦り落としによりテープを撓ませてもパッケージが立たないため擦り落としがうまくいかないという課題があった。
すなわち、本発明の上記課題は以下の手段によって解決される。
前記半導体加工用粘着シートを幅5mmに加工した試験片を用いて、動的粘弾性測定装置によりフィルム状で測定した損失係数が、周波数0.01〜10Hzの時に0.08以上0.15未満であり、
前記基材フィルムが、1層であって、ベース樹脂100質量部に対してスチレン系ブロック共重合体5〜39質量部を含み、
前記スチレン系ブロック共重合体が、スチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−水添ブタジエン−スチレンブロック共重合体およびスチレン−水添イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体から選択される少なくとも1種の樹脂であり、
前記ベース樹脂が、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体加硫物、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアミド、アイオノマー、ニトリルゴム、ブチルゴム、スチレンイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴムおよびその水添加物もしくは変性物から選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする半導体加工用粘着シート。
〔2〕前記ベース樹脂が、ポリプロピレンであることを特徴とする〔1〕に記載の半導体加工用粘着シート。
〔3〕前記粘着剤層を形成する粘着剤が、アクリル系粘着剤であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の半導体加工用粘着シート。
〔4〕前記スチレン系ブロック共重合体が、ベース樹脂100質量部に対して10〜35質量部であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の半導体加工用粘着シート。
〔5〕半導体パッケージのダイシングに用いられることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の半導体加工用粘着シート。
また、アクリル系をより明確にするため、(メタ)アクリル系のように、「(メタ)」の括弧部分は、これがあってもなくてもよいことを意味し、例えば、(メタ)アクリル系は、アクリル系、メタクリル系もしくはこれらを含む場合のいずれでも構わない。
本発明の上記および他の特徴および利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
本発明の半導体加工用粘着シート12は、図1で模式的に示す概略断面図のように、基材フィルム1上の少なくとも一方の面に粘着剤層2を有する。
最初に、基材フィルムから順に説明する。
本発明では、基材フィルムは複数の樹脂フィルムが積層された積層体でなく、1層、すなわち、単一の樹脂フィルムからなる。
基材フィルムを構成する樹脂は、単一の樹脂ではなく、ベース樹脂と少なくとも、スチレン系ブロック共重合体からなる。
スチレン系ブロック共重合体は、エラストマーであり、スチレン系熱可塑性エラストマーもしくはスチレン系エラストマーとも称される。
スチレン系ブロック共重合体は、ハードセグメントのポリスチレンとソフトセグメントからなるスチレンブロック共重合体が好ましく、ソフトセグメントとしては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエン(すなわち、エチレン/プロピレン)、水素添加ポリイソブチレン(すなわち、エチレン/ブチレン)、水素添加イソプレン/ブタジエン(すなわち、エチレン−エチレン/プロピレン)、ブタジエンラバー、エポキシ化ポリブタジエンなどが挙げられる。
スチレン系ブロック共重合体の含有量が5質量部未満であると、基材フィルムが剛直になり、半導体パッケージとの密着性を高めることができなくなる。逆に、39質量部を超えると、擦り落としにより半導体加工用粘着シートを撓ませてもパッケージが立たないため、擦り落としがうまくいかない。
本発明において、ベース樹脂は、スチレン系ブロック共重合体以外の樹脂である。
ベース樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましく、基材フィルムの耐水性および耐熱性に優れているものがより好ましく、特に合成樹脂フィルムが好ましい。
熱可塑性樹脂のうち、ポリオレフィン樹が特に好ましい。
なお、熱可塑性樹脂は、酸変性など、変性されていてもよく、結晶性でも非晶性でも構わない
ポリオレフィン樹脂は、少なくとも1種のオレフィンを重合してなるポリオレフィン樹脂であり、単独重合体であっても共重合体であっても構わない。
このようなオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、イソブテン(1−ブテン)を含む炭素原子数4〜12のα−オレフィン、ブタジエン、イソプレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、アクリロニトリルなどが挙げられる。
なお、立体規則性はアイソタクチックインデックス、シンジオタクチックインデックスと称される。
アイソタクチックインデックスが高いものは、結晶性が高く、0.96以上が好ましく、0.97以上がより好ましく、0.98以上がさらに好ましい。
なお、本発明では、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重下で10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)である。
基材フィルムの厚さは特に制限されるものではないが、30〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましく、50〜150μmがさらに好ましい。
また、本発明では、100μmを超えるものも好ましく、この場合、100μmを超え300μm以下が好ましく、110〜300μmがより好ましく、110〜250μmがさらに好ましく、110〜200μmが特に好ましい。
粘着剤層は、従来より公知の種々の粘着剤により形成され得る。このような粘着剤としては、何ら限定されるものではないが、例えばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系等をベースポリマーとした粘着剤が用いられる。
本発明では、アクリル系粘着剤が好ましい。
架橋剤としては、ベースポリマーに対応して、例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン樹脂などが挙げられる。さらに粘着剤には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、各種添加成分を含有させることができる。
放射線硬化型の粘着剤としては、紫外線、電子線等で硬化し、剥離時には剥離しやすくなる粘着剤を使用することができる。また、加熱発泡型の粘着剤としては、加熱により発泡剤や膨張剤により剥離しやすくなる粘着剤を使用することができる。さらに、粘着剤としてはダイシング・ダインボンディング兼用可能な接着剤であってもよい。放射線硬化型粘着剤としては、例えば、特公平1−56112号公報、特開平7−135189号公報等に記載のものが好ましく使用されるがこれらに限定されることはない。本発明においては、紫外線硬化型粘着剤を用いることが好ましい。その場合には、放射線により硬化し三次元網状化する性質を有すればよく、例えば通常のゴム系あるいはアクリル系の感圧性ベース樹脂(ポリマー)に対して、分子中に少なくとも2個の光重合性炭素−炭素二重結合を有する低分子量化合物(以下、光重合性化合物という)および光重合開始剤が配合されてなるものが使用される。
このような光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノンなどが挙げられる。
本発明では、例えば、10万〜200万が好ましい範囲として挙げられ、25万〜200万がより好ましい範囲として挙げられる。別の範囲例を示せば、例えば、20万〜150万の範囲も挙げられる。
質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算して得られたものである。
半導体加工用粘着シートを幅5mmに加工した試験片を用いて、JISK7244に準拠した方法で、動的粘弾性測定装置によりフィルム状で測定した損失係数(tanδ)が、周波数0.01〜10Hzの時に0.08以上0.15未満である。
本発明では、損失係数(tanδ)は、0.1〜0.13が好ましい。
なお、損失係数(tanδ)は、tanδ=損失弾性率E’’/ 貯蔵弾性率 E’で表され、数字が大きいほど柔らかい材料となる。
本発明では、半導体加工用粘着シートから幅5mm×長さ10mmの試験片を切り出し、動的粘弾性測定装置に試験片を支持用治具で固定し、温度23℃、周波数0.01〜10Hzで測定して得られた値である。
1)基材フィルムA
スチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)〔商品名:セプトンKF−2104、(株)クラレ社製〕とホモプロピレン(PP)〔商品名:J−105G、宇部興産(株)社製〕を下記表1に示す配合比で混合し、2軸混練機で、約200℃でフィルム押出成形にて加工し、厚さ150μmの基材フィルムAを製造した。
スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)〔商品名:ハイブラー5127、(株)クラレ社製〕とホモプロピレン(PP)〔商品名:J−105G、宇部興産(株)社製〕を下記表1に示す配合比で混合し、2軸混練機で、約200℃でフィルム押出成形にて加工し、厚さ150μmの基材フィルムBを製造した。
スチレン−水添ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)〔商品名:セプトン8104、(株)クラレ社製〕とホモプロピレン(PP)〔商品名:J−105G、宇部興産(株)社製〕を下記表1に示す配合比で混合し、2軸混練機で、約200℃でフィルム押出成形にて加工し、厚さ150μmの基材フィルムCを製造した。
チレン−水添イソプレン/ブタジエン−スチレン共重合体(SEEPS)〔商品名:セプトンセプトン4033、(株)クラレ社製〕とホモプロピレン(PP)〔商品名:J−105G、宇部興産(株)社製〕を下記表1に示す配合比で混合し、2軸混練機で、約200℃でフィルム押出成形にて加工し、厚さ150μmの基材フィルムDを製造した。
アクリル系ベースポリマー(2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートからなる共重合体、質量平均分子量40万、ガラス転移温度:−35℃)100質量部にポリイソシアネート化合物〔商品名:コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)社製〕3質量部、光重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物としてテトラメチロールメタンテトラアクリレート50質量部、光重合開始剤としてα−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1質量部を添加し、混合して得た。
上記基材フィルムAの一方の表面に、上記の粘着剤を厚さ20μmに塗工して、粘着剤層を形成し、実施例1〜3および比較例1の各半導体加工用粘着シートを製造した。
上記基材フィルムBを用いた以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを製造した。
上記基材フィルムCを用いた以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを製造した。
上記基材フィルムDを用いた以外は実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを製造した。
半導体加工用粘着シートから幅5mm×長さ10mmの試験片を切り出した。
JISK7244に準拠した方法で、動的粘弾性測定装置(UBM社製、Rheogel−E4000)に試験片を支持用治具で固定し、温度23℃、周波数0.01〜10Hzで測定した。この周波数範囲内での損失係数(tanδ=損失弾性率E’’/ 貯蔵弾性率 E’)を得た。
各半導体加工用粘着シートにQFNパッケージ(60mm×150mm、厚さ0.95mm)を貼合した。ダイサー〔(株)DISCO社製 DFD6340〕にて、ブレード回転数20000rpm、切削速度30mm/min、粘着シートへの切り込み量60μmの条件で、チップサイズ1mm×1mmとなるようダイシングした。
ダイシング後、以下の評価基準で評価した。
○:チップが全て半導体加工用粘着シート上に残っている
×:チップが1つ以上飛んだ
以下の擦り落としによる方法で評価を行った。
ダイシング後に紫外線照射(200mJ/cm2)し、半導体加工用粘着シートの背面をピンセットで擦り、チップを落とした。
なお、表中、ブランクは、未使用であることを意味する。
これに対して、比較例1の半導体加工用粘着シートは、エラストマー成分が多く、損失係数の値が高くなった結果、パッケージフライは発生しなかったものの、擦り落としピックアップ時に、半導体加工用粘着シートを撓ませても全てのパッケージが立たなかったため、擦り落としがうまくいかないチップが半導体加工用粘着シート上に残ってしまった。
一方、比較例2の半導体加工用粘着シートは、エラストマー成分が少なく、損失係数が低くなった結果、ダイシング時の振動を半導体加工用粘着シートが吸収しきれず、パッケージフライが発生してしまった。
2 粘着剤層
11 ホルダー
12 半導体加工用粘着シート
13 半導体ウェハ
14 半導体チップ
15 実線矢印方向
16 エキスパンダー
17 点線矢印方向
Claims (5)
- 基材フィルム上に粘着剤層を有する半導体加工用粘着シートであって、
前記半導体加工用粘着シートを幅5mmに加工した試験片を用いて、動的粘弾性測定装置によりフィルム状で測定した損失係数が、周波数0.01〜10Hzの時に0.08以上0.15未満であり、
前記基材フィルムが、1層であって、ベース樹脂100質量部に対してスチレン系ブロック共重合体5〜39質量部を含み、
前記スチレン系ブロック共重合体が、スチレン−水添イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−水添ブタジエン−スチレンブロック共重合体およびスチレン−水添イソプレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体から選択される少なくとも1種の樹脂であり、
前記ベース樹脂が、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体加硫物、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアミド、アイオノマー、ニトリルゴム、ブチルゴム、スチレンイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴムおよびその水添加物もしくは変性物から選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする半導体加工用粘着シート。 - 前記ベース樹脂が、ポリプロピレンであることを特徴とする請求項1に記載の半導体加工用粘着シート。
- 前記粘着剤層を形成する粘着剤が、アクリル系粘着剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体加工用粘着シート。
- 前記スチレン系ブロック共重合体が、ベース樹脂100質量部に対して10〜35質量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体加工用粘着シート。
- 半導体パッケージのダイシングに用いられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体加工用粘着シート。
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