JP6613577B2 - 炭素繊維を含む不織布シートの切断加工システムと切断加工方法 - Google Patents
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Description
そして、シート状の炭素繊維強化樹脂を再利用するために切断する際、トムソン刃等で機械加工すると刃が損傷しやすく頻繁な交換が必要で高コストであった。しかも、炭素繊維を機械的に切断するとダメージを与えてしまう欠点がある。
また、非特許文献1に記載されたものでは30W程度の低電力でレーザー光を炭素繊維強化樹脂に複数回走査して切断するようにしている。
カーボンフライが空中に飛散すると電気を通し易いために漏電や感電等の危険があり、有機ガスや粉塵が周辺に飛散すると作業者の作業環境に悪影響を与えるおそれがあった。
本発明によれば、レーザー光源から発振されるレーザー光をガルバノ光学系等の光学系によって走査させて炭素繊維を含む不織布シートを切断し、複数の切断片に分割する。しかも、レーザー光によって炭素繊維を含む不織布シートを切断する際に、不織布シートに含まれているバインダー等の他の樹脂成分がレーザー光の熱で燃焼して燃焼ガスが発生すると共に切断によってカーボンフライを含む粉塵が発生し、周辺空間に飛散しようとするが、炭素繊維を含む不織布シートの下部に設けた回収機構によってこれら燃焼ガスと粉塵を吸引して除去するため周辺空間への飛散を防止できて作業環境を良好にできる。
炭素繊維を含む廃棄物を不織布シートに形成したものは切断加工を容易に行えて、その後の再加工やリサイクルに便利である。
炭素繊維を含む不織布シートの複数の切断片は、端部の繊維同士が絡まって繋がった状態のものがあるが、吸引回収手段による回収工程において、或いは回収後に、分離手段によって気体を吹き付けるか吸引することで複数の切断片同士を分離して再加工等をし易い状態にできる。
炭素繊維を含む不織布シートの下部に設けた吸引機構によっては十分にガスとカーボンフライを含む粉塵を回収できない場合でも、吹き出し手段によって吹き飛ばすことで除去して周辺環境の悪化を防止できる。
本発明によれば、回収機構の上に載置した炭素繊維を含む不織布シートをガルバノ光学系等の光学系によってレーザー光を走査させて切断し、切断時にレーザー光の熱で発生するバインダーや残存する樹脂等の燃焼ガスやカーボンフライ等を含む粉塵は不織布シートの下側の回収機構によって吸引回収して除去するため、周辺の作業環境の悪化を防止できる。
図1は炭素繊維を含む連続不織布シート1の切断加工装置を含む切断加工システムを示す工程図である。図1に示す切断加工システムにおいて、リサイクル用の炭素繊維を含む連続不織布シート1を間欠的に繰り出して所定長さに切断する。そして、所定長さの枚葉物である不織布シート1Aは切断ゾーン2で後述する切断加工装置5のガルバノ光学系13を用いて小片状の複数の切断片3に分断する。次いで、分断した複数の切断片3を押出成形機に入れて加圧して略円柱状のペレットPを成形して再利用のための素材として得る。
そして、これらの炭素繊維強化樹脂製の廃棄物をつぶして加熱炉に投入することで、エポキシ樹脂やサイジング剤の有機ポリマー等を燃焼させて除去して炭素繊維だけを取り出す。この炭素繊維70%に対してバインダーとして例えばポリプロピレン樹脂を30%程度混ぜて約250℃程度で加熱加圧することで、一部のポリプロピレン樹脂が溶けて炭素繊維が接着されて不織布の形状になる。これをシート状にしてロールに巻回することで、図1に示す炭素繊維を含む連続不織布シート1が得られる。
不織布シート1Aの切断加工装置5は、所定長さに切断された不織布シート1Aを載置して切断処理する載置処理部6と、レーザー光を用いて不織布シート1Aを切断加工する切断光学系7と、切断時に発生する有機ガスや短繊維であるカーボンフライを含む粉塵等を回収する回収機構8とを主として備えている。
そして、支持台10の上方に設けた切断光学系7は、レーザー光を発振するレーザー光源としてのレーザー発振器11と、レーザー光の光路上に設けたレーザー光を集光させる集光光学系12と、その前方に設けていて不織布シート1A上でレーザー光を互いに直交するX軸方向とY軸方向とに走査可能なガルバノ光学系13とを有している。
各駆動モータ16,18は互いに直交する方向に配設されており、これによって第一ガルバノミラー15は水平方向に回動してレーザー光を例えばY軸方向に走査可能であり、第二ガルバノミラー17は垂直方向に回動してレーザー光をX軸方向に走査可能である。これら第一及び第二ガルバノミラー15,17の回動によって不織布シート1A上でレーザー光をX-Y軸方向に走査させて不織布シート1Aを高速で切断可能としている。
また、各吸気筒20の上部開口部は少なくとも切断片3の各辺より小さい寸法に設定して、切断片3が吸引落下しないようにした。しかも配管22には、不織布シート1Aの切断時に発生する樹脂の燃焼ガスやカーボンフライ等を含む粉塵を吸気部21を通して吸引して捕捉する回収部24が設けられている。
まず、図1に示すロール状の炭素繊維の連続不織布シート1を間欠的に繰り出して所定長さの不織布シート1Aに切断する(ステップS1)。この不織布シート1Aを図示しないコンベア等で間欠搬送して図2に示す切断加工装置5の支持台10における吸気部21上に載置させる(ステップS2)。
なお、レーザー光で不織布シート1Aを切断すると、レーザー光はその下の吸気部21の吸気筒20まで到達して上端の一部を切断するが、各吸気筒20はそれ以上の長さを有するため吸気筒20が破損したり分解したりすることはない。
これらの燃焼ガスやカーボンフライを含む粉塵は、吸引用ポンプ23の駆動によって吸気部21における各吸気筒20から吸引され、配管22を通って回収部24によって回収される(ステップS4)。
また、回収機構8による回収と同時に吹き出し手段26から空気が噴出されるため、回収機構8で回収しきれない燃焼ガスやカーボンフライを含む粉塵があったとしても、吹き出し手段26からの空気流によって遠くに飛散させることができる。そのため、作業者の周辺に残存する燃焼ガスの臭気や粉塵等が浮遊して作業者等が吸引したりすることを防止できる。
こうして得られた多数の切断片3を図示しない押出成形機に投入してペレットPに加圧成形する(ステップS7)。得られたペレットPは炭素繊維を70%程度含有する炭素繊維素材としてリサイクルされる。
また、レーザー光による切断時に、不織布シート1Aに含有するポリプロピレン樹脂や僅かに残存するエポキシ樹脂やサイジング剤の有機ポリマー等から発生する燃焼ガスやカーボンフライ等を含む粉塵は不織布シート1Aを載置する回収機構8の各吸気筒20を介して下方に吸引回収できるため、周囲に飛散して作業者の作業環境に悪影響を与えることを防止できる。しかも炭素繊維のカーボンフライが飛散することによる電気機器等の漏電や感電等の危険を除去できる。
しかも、回収しきれなかった燃焼ガスやカーボンフライ等を含む粉塵は、吹き出し手段26から吹き出す空気によって遠くに飛散できるため、作業環境の悪化を防止できる。
また、多くの切断片3は綿状の炭素繊維同士が絡みついて取扱いに不便であるが、分離手段30によって強制的に分離してばらばらにできて取扱いが容易になる。
なお、本発明の実施形態では炭素繊維を含む不織布シート1Aを最終的に押出成形等でペレットPに固めるものとしたが、必ずしもペレットPに形成する必要はなく、小片の切断片3でもよい。
なお、上述した実施形態では炭素繊維を含む不織布シート1Aをレーザー光によって切断する切断加工装置5と切断加工方法について説明したが、本発明は不織布シートに限定されるものではなく、炭素繊維を含むシート状の部材であればよい。また、炭素繊維を含むシートを切断する手段としてガルバノ光学系13以外の反射光学系やレーザー光を走査する走査光学系等の各種光学系を設けてもよい。
1A 不織布シート
3 切断片
5 切断加工装置
8 回収機構
10 支持台
13 ガルバノ光学系
20 吸気筒
21 吸気部
24 回収部
26 吹き出し手段
28 吸引回収手段
30 分離手段
Claims (4)
- レーザー光を発振するレーザー光源と、
炭素繊維を含む不織布シートをレーザー光で切断する光学系と、
前記炭素繊維を含む不織布シートの下側に配設していて該炭素繊維を含む不織布シートを切断する際に発生する燃焼ガスとカーボンフライを含む粉塵を吸引する回収機構と、
前記不織布シートを切断した複数の切断片を吸引によって回収する吸引回収手段と、
回収されて繊維同士が絡まった前記切断片同士を送風によって吹き飛ばすことで互いに分離する分離手段と、
を備えたことを特徴とする炭素繊維を含む不織布シートの切断加工システム。 - 前記炭素繊維を含むシートを切断する際に発生する燃焼ガスとカーボンフライを含む粉塵に気体を吹き付けて除去する吹き出し手段を更に設けた請求項1に記載された炭素繊維を含む不織布シートの切断加工システム。
- 前記切断片は1辺が50mm以下の小さな切断片である請求項1または2に記載された炭素繊維を含む不織布シートの切断加工システム。
- 炭素繊維を含む不織布シートを回収機構の上に載置する工程と、
炭素繊維を含む不織布シートを光学系を用いてレーザー光によって複数の切断片へ切断する工程と、
前記炭素繊維を含む不織布シートの切断時に発生する燃焼ガス及びカーボンフライを含む粉塵を前記回収機構によって吸引する工程と、
前記複数の切断片を吸引することによって回収する工程と、
前記回収されて繊維同士が絡まった前記切断片同士を送風によって吹き飛ばすことで互いに分離する工程と、
を含むことを特徴とする炭素繊維を含む不織布シートの切断加工方法。
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