JP6613112B2 - 気体分離膜 - Google Patents

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Description

本発明は、CO、オレフィン等に対して優れた分離性能を示す気体分離膜に関する。
気体分離膜による気体の分離・濃縮は、蒸留法、高圧吸着法等と比べた場合にエネルギー効率に優れ、省エネルギーで且つ安全性の高い方法である。先駆的な実用例としては、例えば、気体分離膜による気体の分離濃縮、アンモニア製造プロセスにおける水素分離等が挙げられる。最近では、気体分離膜を用いて、合成ガス、天然ガス等から温室効果ガスである二酸化炭素を除去回収する方法についても盛んに検討が行われている(特許文献1、2、及び3等参照)。
気体分離膜の一般的な形態は、多孔性支持体の表面上に分離層を形成したものである。この形態は、膜にある程度の強度を付与しつつ、気体の透過量を多く持たせることに有効である。この場合の分離層とは、気体分離性高分子のみからなる層を指す。
一般に、気体分離膜の性能は、透過速度及び分離係数を指標として表される。透過速度は、下記数式:
(気体分離性高分子の透過係数)/(分離層の厚み)
によって表される。前記数式から明らかなように、透過速度の大きな膜を得るためには、分離層の厚みを可能な限り薄くすることが必要である。また、分離係数は分離しようとする2種の気体の透過速度の比で表され、気体分離性高分子の素材に依存する値である。
以上のことから、気体分離膜として実用的な性能を得るためには、分離層の厚みを欠陥なく限りなく薄くすることが必要となり、盛んに検討が行われている(特許文献4及び5等参照)。また、前記式から明らかなように、気体の透過係数が高い程、透過速度は大きくなる。即ち、透過係数、分離係数の大きな素材で、極限まで薄膜化させることが重要となる。なぜなら、気体分離膜は、理想的には透過速度・分離係数が大きい程優れ、効率的な膜プロセスとなるためである。尚、分離係数は分離しようとする2種の気体の透過速度の比で表され、気体分離性高分子の素材に依存する値である。
国際公開第2014/157069号 特開2011―161387号公報 特開平9―898号公報 特許第5507079号公報 特許第5019502号公報
しかしながら、従来技術においては、欠陥なく、限りなく薄い膜厚の分離層を、多孔性支持体の表面上に形成させることは困難であった。その理由として、多孔性支持体の表面上に均一な薄膜を形成することが、支持体内部に気体分離性高分子が入り込むことによって妨害されることが挙げられる。その結果、気体分離性能の低下(分離係数の低下及び透過速度の減少)を来たすことになる。また、限りなく膜厚を薄い分離層を形成させることができたとしても、気体分離性高分子の透過係数が低い場合、満足できる透過速度を得ることができない。
このような背景から、多孔性支持体上に、欠陥なく、限りなく薄い膜厚の分離層が形成することと、透過係数を増加させることによって実用性の高い気体分離膜を提供することを本発明の解決すべき課題として設定した。即ちこの課題が達成できると、無欠陥で高い透過速度を得ることが可能となる。この課題を解決するために、鋭意検討を行った。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意検討を行った。その結果、多孔性支持体上に、架橋構造を有するオリゴ糖から形成された構造の気体分離膜が、上記の課題を解決することを見出し、この知見に基づいて、本発明をなしたものである。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1] 多孔性支持体と、前記多孔性支持体上に形成されたオリゴ糖層を少なくとも有する気体分離膜であって、前記オリゴ糖がアミド基、イミド基、イミノ基、ウレア基、カーボネート基、ウレタン基、スルホニル基及びエステル基からなる群から選ばれる官能基の少なくとも一つによって化学修飾されており、かつ前記官能基が赤外吸収を有する以下の特定波数領域:アミド基、イミド基又はイミノ基(1,700cm−1〜1,500cm−1);ウレア基、カーボネート基又はウレタン基(1,850cm−1〜1,650cm−1);スルホニル基(1,350cm−1〜1,300cm−1);エステル基(1,300cm−1〜1,000cm−1);における前記官能基のピーク吸光度Aと、1000cm−1〜1100cm−1の波数領域に吸収を有する炭素−酸素結合のピーク吸光度Bとが、
(吸光度A)/(吸光度B)=0.05以上5以下の関係にあることを特徴とする、前記気体分離膜である。
[2] 前記オリゴ糖層が、アミノ基、アルデヒド基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択される基を少なくとも含む、[1]に記載の気体分離膜である。
[3] 前記オリゴ糖がオリゴグルコサミンである、[1]又は[2]に記載の気体分離膜である。
[4] 供給側ガス流量を190cc/min、透過側ガス流量を50cc/minとし、加湿雰囲気下等圧式によって30℃において測定されたCOガスの透過速度が1GPU以上1000GPU以下の範囲であり、かつCO/Nの分離係数αが20以上100以下の範囲である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の気体分離膜である。
[5] 前記オリゴ糖層が、Ag及びCuより成る群から選択される1種以上の金属原子を含む金属塩を含有する、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の気体分離膜である。
[6] プロパン40質量%及びプロピレン60質量%から成る混合ガスを用い、供給側ガス流量を190cc/min、透過側ガス流量を50cc/minとし、加湿雰囲気下等圧式によって30℃において測定されたプロピレンガスの透過速度が15GPU以上1,500GPU以下であり、かつプロピレン/プロパンの分離係数αが50以上1000以下の範囲である、[5]に記載の気体分離膜である。
[7] 前記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の気体分離膜の製造方法であって、以下の工程:
オリゴ糖を溶かした水溶液と、架橋剤を溶かした水溶液を室温以上の温度で混合して反応せしめることで塗工液を製造する工程;
得られた塗工液を多孔性支持体の表面に塗布する工程;
を含むことを特徴とする、前記方法である。
[8] 前記多孔性支持体の表面に孔径が10nm以上100nm以下の孔を有する、[7]に記載の方法である。
本発明によると、CO、オレフィン等に対して、高い透過速度及び高い分離性能を示す気体分離膜を提供することができる。
分析例2で得られた、気体分離膜について撮影された走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 分析例3で得られた、気体分離膜について撮影された走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 分析例4〜6で得られた、気体分離膜の反射型赤外分光(IR−ATR)チャートである。 分析例7で得られた、気体分離膜の反射型赤外分光(IR−ATR)チャートである。
以下、本発明について、その好ましい形態を中心に、詳細を説明する。
本実施形態における気体分離膜は、多孔性支持体と、前記多孔性支持体上に配置されたオリゴ糖層とを有し、前記オリゴ糖層は架橋構造を有する。
[多孔性支持体]
本実施形態の気体分離膜における多孔性支持体は、膜の表裏をつないで貫通する微細な穴を多数有する膜から成る支持体である。この多孔性支持体は、実質的には気体分離性能を有さないが、本実施形態の気体分離膜に機械的強度を与えることができる。その形状としては、例えば、中空糸状、平膜状等であることができる。
多孔性支持体の素材は問わない。耐薬品性及び耐溶剤性の観点からは、ポリスルホン、ポリエーテルスルフォン、PVDF、PTFE等が好ましく;耐熱性の観点からは、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール等のホモポリマー又はコポリマー等が好ましく;これらのうちのいずれか単独又はこれらの混合物から形成されるものが好ましい。
多孔性支持体の平均孔径は、透過性及び機械的強度の双方を十分に確保し易くし、分離係数を適当な範囲に調整する観点から、1nm以上1,000nm以下が好ましく、1nm以上100nm以下がより好ましい。
多孔質支持体の膜厚は、機械的強度と透過性とのバランスを良好とする観点から、5μm以上200μm以下が好ましい。
多孔質支持体が中空糸状である場合、その外径としては、0.3mm以上3mm以下が好ましく、0.5mm以上1.5mm以下がより好ましい。これは、中空糸膜の外径が小さすぎると、中空糸膜モジュールを作製する際に、中空糸の取り扱いが困難になる等の問題が生じ;逆に中空糸膜の外径が大きすぎると、同じサイズの筒状容器内に挿入できる中空糸膜の本数が減って濾過面積が減少する等の問題が生じるためである。
中空糸状の多孔質支持体の内径は、0.05mm以上1mm以下が好ましく、0.1mm以上0.5mm以下がより好ましい。これは、中空糸の内径が小さすぎると、圧損及び原料代の増加につながる等の問題を生じ;逆に、中空糸膜の内径が大きすぎると、稼働の加圧で膜が折れる等の問題が生じるためである。
これらの平均孔径、膜厚、並びに中空糸の外形及び内径は、それぞれ、多孔性支持体の製造条件を制御することにより、所望の範囲に調整することができる。
中空糸状の多孔質支持体は、1本のみを使用してもよく、複数本をまとめて使用してもよい。中空糸状の多孔質支持体の複数をまとめて使用する場合の使用本数としては、10本以上100,000本以下とすることが好ましく、10,000本以上50,000本以下とすることがより好ましい。
[オリゴ糖層]
オリゴ糖層は、本実施形態の気体分離膜に実用性のある気体分離性能を付与するものである。このオリゴ糖層は、架橋構造を有する。
このようなオリゴ糖としては、例えば、オリゴグルコース、オリゴマンノース、オリゴガラクトース、オリゴグルコサミン、オリゴガラクトサミン等が挙げられる。
ここでのオリゴ糖とは、繰り返し単位が100以下のものを指す。
前記オリゴ糖層が、オリゴグルコサミン、オリゴガラクトサミンから形成されたものである場合、後工程において任意的に添加される金属塩と配位できるアミノ基を数多く有する点で、特に好ましい。
オリゴ糖層における架橋構造は、アミド基を有する構造、イミド基を有する構造、イミノ基を有する構造、ウレア基、ピリジニウム基を有する構造、スルホン基を有する構造、及びエステル基を有する構造より成る群から選択される構造の1種類以上を含むことが、製造上の容易さの点から、好ましい。
オリゴ糖層の膜厚は、気体分離性能と透過性とのバランスを良好とする観点から、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.01μm以上3μm以下であることがより好ましく、0.01μm以上1μm以下であることが更に好ましい。これは、オリゴ糖層の膜厚が厚すぎると、実用性の点で重要な高い透過性が得られないためである。
オリゴ糖層における架橋構造の存在は、例えば、赤外分光分析、X線光電子分光分析(XPS)、固体核磁気共鳴分析(固体NMR)、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)等により、確認することができる。
例えば赤外線分光分析の場合、アミド基、イミド基又はイミノ基の場合は波数1,700cm−1〜1,500cm−1の領域に、ウレア基、カーボネート基又はウレタン基の場合は波数1,850cm−1〜1,650cm−1の領域に、ピリジニウム基の場合は波数1,700cm−1〜1,500cm−1の領域に、スルホン基の場合は波数1,350cm−1〜1,300cm−1の領域に、エステル基の場合は1,300cm−1〜1,000cm−1の領域に、それぞれ吸収を有する。
従って、これらのピークにより、架橋構造の存否及びその種類を知ることができる。
アミノ基を有するオリゴ糖を用いる場合、オリゴ糖層は、上記のような架橋構造を有するとともに、原料であるオリゴ糖に由来するアミノ基の一部が残存していることが好ましい。オリゴ糖層がアミノ基を有することにより、後工程において任意的に添加される金属塩との配位が容易となり、得られる気体分離膜を、例えばオレフィンとパラフィンとの分離に好適に適用することができることとなる。
オリゴ糖層におけるアミノ基の存在は、例えば赤外分光分析によって確認することができる。アミノ基は、波数3,500cm−1〜3,000cm−1の領域に赤外吸収を有するから、この領域のピークを調べることにより、アミノ基の存否を確認することができる。
本実施形態の気体分離膜のオリゴ糖におけるオリゴ糖と架橋剤の存在比率は、赤外分光分析における架橋構造由来の吸光度の、オリゴ糖由来の吸光度に対する比として定義される官能基比率によって評価することができる。本実施形態の気体分離膜におけるオリゴ糖層は、この官能基比率が、0.05以上2以下であることが好ましく、0.1以上1以下であることがより好ましい。官能基比率が低すぎると、架橋が十分に起こらず、実用性のある気体分離性能が得られないという問題を生じる。また官能基比率が高すぎても同様に、実用性のある気体分離性能が得られないという問題を生じる。
オリゴ糖は、赤外線分光分析において、波数1,100cm−1〜1,000cm−1の領域に、C−O結合由来の吸収を有する。架橋構造は、アミド基、イミド基又はイミノ基の場合は波数1,700cm−1〜1,500cm−1の領域に、ウレア基、カーボネート基又はウレタン基の場合は波数1,850cm−1〜1,650cm−1の領域に、ピリジニウム基の場合は波数1,700cm−1〜1,500cm−1の領域に、スルホン基の場合は波数1,350cm−1〜1,300cm−1の領域に、エステル基の場合は1300cm−1〜1,000cm−1の領域に、それぞれ吸収を有する。
本実施形態におけるオリゴ糖層は、金属塩を含んでいても構わない。金属塩としては、
一価の銀、及び一価の銅からなる群より選ばれる金属イオン、又はその錯イオンと;
、Cl、Br、I、CN、NO 、SCN、ClO 、CFSO 、BF 、及びPF からなる群より選ばれるアニオンと;から構成される金属塩であることが好ましい。
オリゴ糖層中における金属塩の濃度は、10質量%以上70質量%以下が好ましく、30質量%以上70質量%以下がより好ましく、50質量%以上70質量%以下が更に好ましい。これは、金属塩の濃度が低すぎると、実用性の高い気体分離性能が得られないためである。
[気体分離膜の性能]
本実施形態における気体分離膜は、例えば、CO/N混合ガスからCOを分離するために好適に用いることができる。具体的には、供給側ガス流量を190cc/min、透過側ガス流量を50cc/minとし、加湿雰囲気下等圧式によって30℃において測定されたCOガスの透過速度Qが1GPU以上100GPU以下であり、CO/Nの分離係数αが20以上100以下である。COガスの透過速度Qは、好ましくは5GPU以上100GPU以下であり、より好ましくは10GPU以上100GPU以下である。CO/Nの分離係数αは、好ましくは30以上100以下であり、より好ましくは40以上100以下である。
更に、オリゴ糖層に金属塩を含む実施形態の気体分離膜は、オレフィンとアルカンとの分離に好適に用いることができる。具体的には、例えば、プロパン40質量%及びプロピレン60質量%から成る混合ガスを用い、供給側ガス流量を190cc/min、透過側ガス流量を50cc/minとし、加湿雰囲気下等圧式によって30℃において測定されたプロピレンガスの透過速度Qが15GPU以上1,500GPU以下であり、プロピレン/プロパンの分離係数αが50以上1、000以下である。プロピレンガスの透過速度Qは、好ましくは50GPU以上1,500GPU以下であり、より好ましくは100GPU以上1,500GPU以下である。プロピレン/プロパンの分離係数αは、好ましくは100以上1,000以下であり、より好ましくは150以上1,000以下である。これらの値は、プロピレン分圧1気圧以下、具体的には0.6気圧の条件で測定されるべきである。
[気体分離膜の製造方法]
次に、本実施形態の気体分離膜の製造方法について説明する。
本実施形態の気体分離膜は、多孔性支持体を製造する工程と、オリゴ糖と架橋剤を反応せしめ、架橋オリゴ糖を含有する水溶液(架橋オリゴ糖水溶液)を製造する工程と、得られた架橋オリゴ糖水溶液を多孔性支持体表面に塗布する工程と、上記接触後の多孔性支持体を静置して塗工液を乾燥させる工程と、を含むことを特徴とする。
(多孔性支持体の製造方法)
先ず、本実施形態に好ましく使用される多孔性支持体の製造方法について記載する。
多孔性支持体は、非溶媒誘起相分離法又は熱誘起相分離法により得ることができる。
以下に、非溶媒誘起相分離法によってポリエーテルスルフォンの中空糸膜を製造する場合について説明する。
先ず、ポリエーテルスルフォン(PES)を溶媒に溶解させ、PES溶液を準備する。本実施形態で使用されるPESの分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーによって測定したポリスチレン換算の数平均分子量として、好ましくは2,000以上100,000以下であり、より好ましくは10,000以上50,000以下である。これは、分子量が低すぎると、実用性の高い耐久性を示さない等の問題を生じる場合があり;逆に、分子量が大きすぎると、該多孔性支持体の製造が困難になる等の問題を生じる場合があるためである。
本実施の形態において、上記PES溶液中のPESの濃度は、15質量%以上50質量%以下が好ましく、25質量%以上40質量%以下がより好ましい。これは、PESの濃度が低すぎると、実用性の高い耐久性を示さない等の問題を生じる場合があり;逆に、PESの濃度が高すぎると、該多孔性支持体の製造が困難になる等の問題を生じる場合があるためである。
PES溶液の溶媒としては、例えば、N―メチル―2―ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の良溶媒;グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等の貧溶媒が用いられる。PES溶液中の良溶媒/貧溶媒の質量比は、該PES溶液を紡糸原液として用いる場合の安定性を高めること、均質膜構造を得易くすること等を考慮して、97/3から40/60とするのが好ましい。
次いで、上記で得られたPES溶液を紡糸原液として用いて紡糸を行う。二重管状ノズルの外側スリットから該PES溶液を、中心孔から芯液を、それぞれ吐出する。芯液は、紡糸原液であるPES溶液に対して不活性な流体を使用する。不活性な流体とは、紡糸原液を凝固せず、紡糸原液と混和しない流体であり、液体及び気体のいずれであってもよい。
不活性な液体としては、例えば、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィン、ミスチリン酸イソプロピル等が挙げられる。不活性な気体としては、例えば、窒素、アルゴン等が挙げられる。芯液として紡糸原液に対して不活性な流体を用いると、中空糸膜の構造が均一な構造を取り易く、乾燥時に表面張力の影響を受けて膜構造が変化し易いので、好適に適用することができる。芯液の吐出量は、紡糸原液であるPES溶液の吐出量に対して、0.1倍以上10倍以下とすることが好ましく、0.2倍以上8倍以下とすることがより好ましい。芯液の吐出量と、紡糸原液であるPES溶液の吐出量とを、上記範囲で適当に制御することにより、好ましい形状の多孔性支持体を製造できる。
ノズルから吐出された紡糸原液は、空中走行部を通過させた後、凝固漕に浸漬させて、凝固及び相分離を行わせることにより、中空糸膜が形成される。凝固層中の凝固液としては、例えば水を用いることができる。
凝固漕から引き上げられた湿潤状態の中空糸膜は、溶媒等を除去するために洗浄漕で洗浄した後、ドライヤーに通して乾燥させる。
上記のようにして、中空糸状の多孔質支持体を得ることができる。
この中空糸状の多孔質支持体は、1本のみを次の工程に供してもよいし、複数本をまとめて次の工程に供してもよい。
このようにして得られる多孔性支持体を、引続き、オリゴ糖と架橋剤を反応せしめ、架橋オリゴ糖を含有する水溶液(架橋オリゴ糖水溶液)と接触させる。接触操作は複数回繰り返してもよい。接触操作の後には、任意的に乾燥工程(溶媒除去工程)を設けてもよい。
以下架橋オリゴ糖を含有する塗工液の製造工程、架橋オリゴ糖水溶液との接触及びその後に任意的に行われる乾燥工程、並びに静置工程について、順次に説明する。
(架橋オリゴ糖水溶液を製造する工程)
架橋オリゴ糖は、架橋剤とオリゴ糖を反応せしめることによって、得ることができる。
架橋剤は、オリゴ糖中のアミノ基もしくはヒドロキシル基と反応可能な反応性基として、酸ハロゲン基、無水カルボン酸基、アルデヒド基、ケトン基、及びイソシアネート基から成る群より選択される1種類以上の基を有する化合物である。架橋剤は、これらの基から選択される1種以上の基を、1個の分子内に2個以上有する脂肪族又は芳香族の化合物であることが好ましい。1個の分子内に存在する2個以上の反応性基は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
本実施形態における架橋剤の例としては、例えば、トリメシン酸ハライド、イソフタル酸ハライド、テレフタル酸ハライド、トリメト酸ハライド等の芳香族酸ハロゲン化物;1,2,3,4―ブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族無水カルボン酸;トルエンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;テレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド等の芳香族アルデヒド;グルタルアルデヒド、マロンジアルデヒド等の脂肪族アルデヒド;2,5−ヘキサジオン等の脂肪族ケトン;VS−B、VS−C(以上、富士フィルムファインケミカル製)等のビニルスルホン;等を挙げることができる。これらの架橋剤は、単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
オリゴ糖としては、例えば、オリゴグルコース、オリゴマンノース、オリゴガラクトース、オリゴグルコサミン、オリゴガラクトサミン等が挙げられる。
前記オリゴ糖が、オリゴグルコサミン、オリゴガラクトサミンである場合、架橋剤と反応することができるアミノ基を数多く有する点で、特に好ましい。
反応は、溶媒の全量に対して80質量%以下の範囲で有機溶媒が含まれていても構わない。ここで使用される有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール;アセニトトリル、アセトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の極性溶媒;等が用いられる。これらの有機溶媒は単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
反応は、架橋剤とオリゴ糖の濃度がそれぞれ0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましい。架橋剤とオリゴ糖の濃度がそれぞれ0.1質量%以上であると、反応が十分に進む。
反応溶液には、界面活性剤を添加しても構わない。界面活性剤は、架橋剤及びオリゴ糖と静電反発しないこと、酸性、中性、及び塩基性のいずれの水溶液にも均一に溶解すること、等の観点から、ノニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンの長鎖脂肪酸エステル、パーフルオロ基を有するフッ素界面活性剤等が挙げられる。その具体例としては、ポリオキシエチレンの長鎖脂肪酸エステルとして、例えば、Tween20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)、Tween40(ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート)、Tween60(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)、Tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)(以上、東京化成工業社製)、トリトン−X100、プルロニック−F68、プルロニック−F127等を;パーフルオロ基を有するフッ素界面活性剤として、例えば、フッ素系界面活性剤FC−4430、FC−4432(以上、3M社製)、S−241、S−242、S−243(以上AGCセイミケミカル)等を;それぞれ挙げることができる。
反応溶液における界面活性剤の濃度は、全量に対して、0.001質量%以上1質量%以下とすることが好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下とすることがより好ましい。これは、界面活性剤の濃度が高すぎると、該界面活性剤が反応溶液へ溶解し難くなる等の問題を生じる場合があるためである。
反応温度は、0℃以上100℃以下とすることが好ましく、20℃以上80℃以下とすることがより好ましい。温度が低すぎると、反応が十分に進まないという問題が起こり、逆に温度が高すぎると溶媒が揮発してしまうという問題が起こる。
反応時間は、6時間以上36時間以下が好ましく、12時間以上24時間以下がより好ましい。反応時間が短すぎると、反応が十分に進まないという問題があり、逆に反応時間が長すぎると製造効率が悪くなるという問題がある。
反応後の溶液は、そのまま多孔性支持体表面に塗布する工程に用いる。
(架橋オリゴ糖水溶液を多孔性支持体表面に塗布する工程)
多孔性支持体を架橋オリゴ糖水溶液と接触させる方法としては、例えば、ディップ塗工法(浸漬法)、グラビア塗工法、ダイ塗工法、噴霧塗工法等による塗工が好ましい。
多孔性支持体と接触させる際の架橋オリゴ糖水溶液の温度は、0℃以上100℃以下とすることが好ましく、20℃以上80℃以下とすることがより好ましい。接触温度が低すぎると、架橋オリゴ糖水溶液が多孔性支持体上に均一に塗布されない等の問題を生じる場合があり;逆に、接触温度が高すぎると、接触中に架橋オリゴ糖水溶液の溶媒(水)が過度に揮発する等の問題を生じる場合があるためである。接触を浸漬法による場合の接触時間(浸漬時間)は、15分以上5時間以下とすることが好ましく、30分以上3時間以下とすることがより好ましい。接触時間が短すぎると、多孔性支持体上への塗布が十分に起こらない等の問題を生じる場合があり;逆に、接触時間が長すぎると、気体分離膜の製造効率が落ちる等の問題を生じる場合がある。
多孔性支持体を架橋オリゴ糖水溶液と接触させた後、多孔支持体の融点未満の温度で乾燥工程(溶媒除去工程)を設けることができる。この乾燥工程は、接触後の多孔性支持体を、好ましくは80℃以上160℃以下、より好ましくは120℃以上160℃以下の環境下に、好ましくは5分以上5時間以下、より好ましくは10分以上3時間以下静置することにより行うことができる。これは、乾燥温度が過度に低い場合若しくは乾燥時間が過度に短い場合又はこれらの双方である場合には、溶媒を十分に乾燥させることができない等の問題を生じる場合があり;逆に、乾燥温度が過度に高い場合若しくは乾燥時間が過度に長い場合又はこれらの双方である場合には、製造代の増加、製造効率の低下等の問題を生じる場合があるためである。
(金属塩を含有するオリゴ糖層を有する気体分離膜の製造方法)
オリゴ糖層が金属塩を含有する気体分離膜は、上記のようにして得られた気体分離膜を、所望の金属塩を含有する金属塩水溶液と更に接触させる処理するに供することにより、製造することができる。
上記金属塩水溶液中の金属塩の濃度は、0.1モル/L(M)以上50M以下が好ましい。金属塩水溶液中の金属塩の濃度が0.1M以下であると、オレフィンとアルカンとの分離において、実用性の高い分離性能を示さない。この濃度が50Mを超えると、原料代の増加につながる等の不都合が生じる。
気体分離膜の、金属塩水溶液による処理は、浸漬によることが好ましい。浸漬時の水溶液温度は、10℃以上90℃以下とすることが好ましく、20℃以上80℃以下とすることがより好ましい。この浸漬温度が低過ぎると、オリゴ糖層への金属塩の含浸が十分に起こらない等の問題を生じる場合があり;逆に、浸漬温度が高過ぎると、浸漬中に金属塩水溶液の溶媒(水)が過度に揮発する等の問題を生じる場合がある。
以上の製造条件により、本実施形態の気体分離膜を製造することができる。
以下に、本発明について、実施例等を用いて更に具体的に説明する。しかしながら本発明は、これらの実施例等に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
本実施例においては、多孔性支持体として、外径500μm、内径300μm、表面の孔径が50nm、及び長さ20cmのポリエーテルスルフォンから成る中空糸を用いた。この中空糸を200本束ねて筒状容器内に収納し、パッケージ化したものを本実施例における多孔性支持体として用いた。
オリゴグルコサミンを0.5質量%、グルタルアルデヒドを1質量%、及びその他の成分として酢酸0.5質量%を含む水溶液を25℃で24時間撹拌した後、Tween20(商品名、東京化成工業社製、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)を0.2質量%添加することで、オリゴ糖水溶液を製造した。
前記多孔性支持体を、前記オリゴ糖水溶液中に、1cm/secの速度で浸漬させ、支持体の全部が上記水溶液中に没した後、5秒静置した。その後、1cm/secの速度で引上げ、140℃において10分加熱することにより、中空糸状の気体分離膜を製造した。
上記で得た気体分離膜を用いて、CO及びNの透過速度を測定した。
測定は、純ガス(供給側はCO及びN、透過側はヘリウム)を用い、供給側ガス流量を190cc/min、透過側ガス流量を50cc/minとして、加湿雰囲気下等圧式により、測定温度30℃において行った。その結果を表1に示す。
[実施例2〜10]
上記実施例1において、原料である多孔性支持体の表面孔径、架橋剤水溶液及びオリゴ糖水溶液の組成、並びに浸漬順、並びに浸漬後の加熱温度を、それぞれ、表1に記載のとおりとした以外は、実施例1と同様の方法により、中空糸状気体分離膜を製造し、CO及びNの透過速度を測定した。その結果を表1に示す。
表1における界面活性剤種類欄の略称は、以下の意味である。
(界面活性剤種類)
Tween20:商品名、東京化成工業社製、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレアート
FC−4430:Novec FC−4430、商品名、3M社製、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤
[実施例11]
実施例1と同様の方法によって製造した中空糸状気体分離膜を、0.8M水酸化ナトリウム溶液(溶媒=エタノール:水=(体積比80:20))に3日間浸漬した後、蒸留水で5回洗浄した。その後、7M硝酸銀水溶液に24時間浸漬することにより、銀塩を含有する中空糸状気体分離膜を得た。この銀塩を含有する前後のオリゴ糖層につき、硝酸銀水溶液浸漬前後の質量を電子天秤により測定し、比較したところ、該多オリゴ糖層に含有される銀塩(硝酸銀)の濃度は67質量%であることが分かった。
この銀塩を含有する中空糸状気体分離膜を用いて、プロパン及びプロピレンの透過速度を測定した。
測定は、透過側にプロパン及びプロピレンから成る混合ガス(プロパン:プロピレン=40:60(質量比))を、供給側にヘリウムを、それぞれ用い、供給側ガス流量を50cc/min、透過側ガス流量を50cc/minとして、加湿雰囲気下等圧式により、測定温度30℃において行った。その結果を表2に示す。
[実施例12]
オリゴグルコサミンを5重量%、グルタルアルデヒドを2.5重量%、反応時間を12時間、界面活性剤をNovec FC−4430(商品名、3M社製、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤)を0.05重量%とした以外は実施例1と同様の方法により製造した中空糸状気体分離膜を、実施例11と同様の方法によって水酸化ナトリウム処理及び硝酸銀処理することにより、銀塩を含有する中空糸状気体分離膜を得た。得られた気体分離膜の多オリゴ糖層に含有される銀塩(硝酸銀)の濃度を実施例11と同様の方法により測定したところ、65質量%であった。
この銀塩を含有する中空糸状気体分離膜を用いて、実施例11と同様にしてプロパン及びプロピレンの透過速度を測定した。その結果を表2に示す。
[分析例1]
実施例1と同様の方法により製造した中空糸状気体分離膜について、X線光電子分光装置(XPS)を用いて、外側表面の相対元素濃度を調べた。その結果を表3に示す。
表3に示したとおり、気体分離膜表面では、キトサン由来のNが検出され、支持体であるポリエーテルスルフォンの指標となるSは検出限界以下であった。これらのことから、該中空糸状気体分離膜の外側表面にキトサンを含有するオリゴ糖層が存在することが示された。
[分析例2〜3]
実施例1と同様の方法により製造した中空糸状気体分離膜(分析例2)、並びに比較例1の方法により製造した中空糸状気体分離膜(分析例3)について、それぞれ、走査型電子顕微鏡(SEM)により、断面の観察を行った。その結果を図1(分析例2)及び図2(分析例3)にそれぞれ示す。
これらの図に示したとおり、オリゴ糖層の厚さは、中空糸状気体分離膜(分析例2)について約2μm、中空糸状気体分離膜(分析例3)について約19μmであった。分析例2は、オリゴ糖を架橋することにより、多孔性支持体への入りこみを抑制することができた。その結果、膜厚を薄くすることができた。一方、分析例3は、多孔性支持体へのはいりこみを生じてしまい、膜厚が厚くなった。入りこんでしまった部分も、気体分離性高分子の膜厚となってしまうためである。
[分析例4〜7]
架橋剤としてVS−Cを0.5質量%とする以外は実施例1と同様の方法により製造した中空糸状気体分離膜(分析例4)、架橋剤としてVS−Cを0.4質量%とする以外は実施例1と同様の方法により製造した中空糸状気体分離膜(分析例5)、架橋剤としてVS−Cを0.25質量%とする以外は実施例1と同様の方法により製造した中空糸状気体分離膜(分析例6)、グルタルアルデヒドを0.5重量%とし、界面活性剤としてNovec FC−4430(商品名、3M社製、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤)を0.01重量%とした以外は実施例1と同様の方法により製造した中空糸状気体分離膜(分析例7)の外側表面について、それぞれ、反射型赤外分光法(IR−ATR)を用いて赤外吸光分光を行った。その結果を図3(分析例4〜6)及び図4(分析例7)に示す。
図3を参照すると、分析例4〜6の中空糸状気体分離膜表面からは、架橋構造であるスルホン基に帰属される1300cm−1付近のピークが見られる。このことから、これらの気体分離膜におけるオリゴ糖層には、キトサン由来のアミノ基とVS−C由来のビニルスルホン基との反応により生成したスルホン基を有する架橋構造が存在することが確認された。また、図4に示される分析例7の中空糸状気体分離膜表面からは、架橋構造であるイミノ基に帰属される波数1,500cm−1付近のピークが見られる。このことから、これらの気体分離膜におけるオリゴ糖層には、キトサン由来のアミノ基とグルタルアルデヒド由来のアルデヒド基との反応により生成したイミノ基を有する架橋構造が存在することが確認された。
上記オリゴ糖由来の1060cm−1付近のピークの架橋構造由来の上記スルホン基もしくはイミノ基ピークに対する比として算出される官能基比率を表4に示す。
表4に示したとおり、気体分性能に優れる気体分離膜は、官能基比率が高く、従って架橋度が高いことが示された。
以上の実施例から、オリゴ糖を架橋剤で架橋した架橋オリゴ糖を含有する塗工液を用いる気体分離膜の製造方法によると、実用性の高い分離性能を示す気体分離膜を製造できることが検証された。その理由は、本発明の製造方法によると、オリゴ糖が架橋することによって、気体分離性層が多孔性支持体内部へ深く入り込むことを抑制できたことと、架橋オリゴ糖が高い透過係数をもつことによると推察される。
一方、比較例に示すように、オリゴ糖を架橋剤と反応させないで製造された気体分離膜やオリゴ糖の代わりに多糖を用いて製造された気体分離膜は、実用性のある分離性能を示さなかった。
本発明の実施形態では、省エネルギーかつ高い安全性を持つCOやオレフィンガス等の分離方法を提供することができる。
1 分析例2で得られた実施例1の気体分離膜のSEM像
2 分析例3で得られた比較例1の気体分離膜のSEM像
3 分析例4
4 分析例5
5 分析例6
6 分析例7

Claims (9)

  1. 多孔性支持体と、前記多孔性支持体上に形成されたオリゴ糖層を少なくとも有する気体分離膜であって、
    前記オリゴ糖層は、架橋構造を有するオリゴ糖を含み、
    前記オリゴ糖は、オリゴグルコース、オリゴマンノース、オリゴガラクトース、オリゴグルコサミン及びオリゴガラクトサミンからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、
    前記架橋構造アミド基、イミド基、イミノ基、ウレア基、カーボネート基、ウレタン基、スルホニル基及びエステル基からなる群から選ばれる官能基の少なくとも一つを有し、かつ
    前記官能基が赤外吸収を有する以下の特定波数領域:アミド基、イミド基又はイミノ基(1,700cm−1〜1,500cm−1);ウレア基、カーボネート基又はウレタン基(1,850cm−1〜1,650cm−1);スルホニル基(1,350cm−1〜1,300cm−1);エステル基(1,300cm−1〜1,000cm−1);における前記官能基のピーク吸光度Aと、1,000cm−1〜1,100cm−1の波数領域に吸収を有する炭素−酸素結合のピーク吸光度Bとが、
    (吸光度A)/(吸光度B)=0.05以上5以下の関係にあることを特徴とする、
    前記気体分離膜。
  2. 前記オリゴ糖層が、アミノ基、アルデヒド基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択される基を少なくとも含む、請求項1に記載の気体分離膜。
  3. 前記オリゴ糖がオリゴグルコサミン及びオリゴガラクトサミンからなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1又は2に記載の気体分離膜。
  4. 前記オリゴ糖がオリゴグルコサミンである、請求項1又は2に記載の気体分離膜。
  5. 供給側ガス流量を190cc/min、透過側ガス流量を50cc/minとし、加湿雰囲気下等圧式によって30℃において測定されたCOガスの透過速度が1GPU以上1,000GPU以下の範囲であり、かつCO/Nの分離係数αが20以上100以下の範囲である、請求項1〜のいずれか一項に記載の気体分離膜。
  6. 前記オリゴ糖層が、Ag及びCuより成る群から選択される1種以上の金属原子を含む金属塩を含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の気体分離膜。
  7. プロパン40質量%及びプロピレン60質量%から成る混合ガスを用い、供給側ガス流量を190cc/min、透過側ガス流量を50cc/minとし、加湿雰囲気下等圧式によって30℃において測定されたプロピレンガスの透過速度が15GPU以上1,500GPU以下であり、かつプロピレン/プロパンの分離係数αが50以上1,000以下の範囲である、請求項に記載の気体分離膜。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の気体分離膜の製造方法であって、以下の工程:
    オリゴ糖を溶かした水溶液と、架橋剤を溶かした水溶液を室温以上の温度で混合して反応せしめることで塗工液を製造する工程;
    得られた塗工液を多孔性支持体の表面に塗布する工程;
    を含むことを特徴とする、前記方法。
  9. 前記多孔性支持体の表面に孔径が10nm以上100nm以下の孔を有する、請求項に記載の方法。
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