以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[第1実施形態]
(1)受給電システムの概要
図1に示すように、第1実施形態の受給電システムは、主に、建物1と、駐車場3と、受給電切替装置5と、車両10と、を備える。
建物1は、本実施形態では企業の敷地内にある建屋の1つである。建物1の中には、後述するように、電力を受けて動作する電気負荷が複数設けられている。建物1内において、各電気負荷には、通常、外部の商用交流系統100(図1では不図示。図2参照。)から受電される交流電力が供給され、各電気負荷はその交流電力によって動作する。ただし、本実施形態では、必要に応じて、駐車場3に駐車されている車両10から電力を受電してその受電電力によって建物1内の各電気負荷を動作させることが可能に構成されている。
駐車場3は、車両10を駐車可能な駐車区画が複数設けられており、駐車区画毎に1台の車両10を駐車させることが可能に構成されている。駐車場3には、車両出入口8から車両10を出入りさせることができる。図1は、複数の駐車区画P001,P002,・・・のうち、少なくとも駐車区画P001,P003,P004,P081,P082,P083,P085にそれぞれ車両10が駐車されている状態を図示している。
車両10は、本実施形態では、バッテリ40(図1では不図示。図4参照。)を備え、バッテリ40に充電されている電力を外部に供給したり外部からバッテリ40を充電したりすることが可能に構成された電動車両である。ただし、駐車場3に駐車可能な車両が電動車両に限定されるわけではなく、駐車場3にはあらゆる種類の車両を駐車させることができる。
駐車場3内の各駐車区画には、それぞれ、受給電スタンド7が設置されている。受給電スタンド7は、車両10のバッテリ40から電力を受電したり車両10のバッテリ40に充電用の電力を供給したりすることが可能な、電力受給電用の設備である。
車両10のバッテリ40を充電させるための電力(充電用電力)は、受給電切替装置5から受給電スタンド7へ給電される。受給電スタンド7の中継装置11に設けられている接続ケーブル12のコネクタ13を車両10に接続することで、車両10へ充電用電力を供給することができる。
また、本実施形態では、車両10のバッテリ40から建物1へ電力を供給することもできる。接続ケーブル12のコネクタ13が車両10に接続されている状態で、建物1内において所定の受電実行条件が成立した場合は、そのときのバッテリ40の状態や車両10のユーザのスケジュールなどに応じて、バッテリ40から電力が取り出される場合がある。その場合、車両10のバッテリ40の電力は、受給電スタンド7及び受給電切替装置5を経て建物1内に供給される。ただし、バッテリ40に充電(蓄電)されている電力(バッテリ電力)が車両10から取り出されて建物1で受電された場合は、その後、後述するように、受給電切替装置5から車両10へ再び電力が供給されて、バッテリ40が充電される。
また、受給電スタンド7の中継装置11には、入出力部14が設けられている。車両10のユーザは、出社時に、車両10を駐車区画に駐車させた後、その駐車区画内の受給電スタンド7の入出力部14に携帯端末60(図5参照)をかざすことで、出社登録を行うことができる。逆に、退社時には、携帯端末60を再び入出力部14にかざすことで、退社登録を行うことができる。その他、携帯端末60が入出力部14にかざされると、携帯端末60と建物1内のシステム制御装置30(図2参照)との間でユーザ情報の同期処理が行われる。このユーザ情報の同期処理については後で説明する。
受給電切替装置5は、外部の商用交流系統100の交流電力に基づいて車両10のバッテリ40の充電用電力を生成して車両10側へ出力(詳しくは受給電スタンド7へ出力)する充電電力出力機能を有する。また、受給電切替装置5は、車両10のバッテリ電力を建物1内へ出力することにより建物1内で受電させる受電中継機能を有する。
受給電切替装置5における上記各機能の作動は、建物1内のシステム制御装置30により制御される。システム制御装置30は、必要に応じて、受給電切替装置5に対して受電中継機能を作動させて車両10からバッテリ電力を受電させたり、逆に充電電力出力機能を作動させて車両10へバッテリ40の充電用電力を供給させたりする。
(2)建物1の説明
次に、建物1の具体的構成について、図2を用いて説明する。図2に示すように、建物1には、分電装置21と、AC100V負荷群26と、AC200V負荷群27と、システム制御装置30とが設けられている。そして、分電装置21に、商用交流系統100から電力が入力される。
商用交流系統100から当該受給電システムに入力される交流電力は、本実施形態では、単相200V交流及び三相200V交流である。このうち単相200V交流は少なくとも建物1内の分電装置21に入力され、三相200V交流は少なくとも受給電切替装置5に入力される。
また、商用交流系統100から入力される交流電力の電気料金は、時間帯によって異なる。本実施形態では、例えば午前10時から午後2時までのピーク時間帯は、一日の中で最も電気料金が高い。逆に、例えば午後7時から翌午前6時までの夜間時間帯は、一日の中で最も電気料金が安い。
AC100V負荷群26は、AC100Vの交流電力を電源として動作可能に構成された複数の電気負荷の総称である。AC100V負荷群26を構成する電気負荷としては、例えば、照明器具、各種事務機器、情報処理装置やその周辺機器などが挙げられる。
AC200V負荷群27は、AC200Vの交流電力を電源として動作可能に構成された複数の電気負荷の総称である。AC200V負荷群27を構成する電気負荷としては、例えば、空調装置、冷蔵・冷凍装置、加熱装置などが挙げられる。
分電装置21は、系統分電回路22と、DC/ACコンバータ23と、配電回路24とを備える。系統分電回路22は、商用交流系統100から単相200V交流が入力され、その単相200V交流からAC100Vの交流電力及びAC200Vの交流電力を取り出して、配電回路24へ出力する。
なお、本実施形態では、電力を消費する電気負荷として上記のようにAC100V負荷群26とAC200V負荷群27が設けられていることから、系統分電回路22はAC100V及びAC200Vの各交流電力を出力する構成となっているが、例えば電気負荷としてAC100V負荷群26のみ設けられている場合は、系統分電回路22はAC100の電力のみ出力する構成であってもよい。つまり、系統分電回路22は、電力供給対象の電気負荷に応じた交流電力を出力可能に構成されていればよい。
DC/ACコンバータ23は、駐車場3に駐車されている車両10から受給電切替装置5経由でバッテリ電力を受電した場合に、その受電したバッテリ電力をAC100V及びAV200Vの交流電力に変換して、配電回路24へ出力する。DC/ACコンバータ23は、常時作動しているわけではなく、むしろ通常は動作を停止している。そして、車両10からバッテリ電力を受電する必要がある場合に、システム制御装置30からの指令に従って動作する。
DC/ACコンバータ23は、バッテリ電力の受電対象の車両10が複数ある場合は、その複数の車両10からのバッテリ電力を混合してそれを交流電力に変換してもよいし、各車両10のバッテリ電力を個別に交流電力に変換してその変換後の交流電力を混合して配電回路24へ出力するようにしてもよい。なお、DC/ACコンバータ23は、バッテリ電力を電力供給対象の各電気負荷が必要とする交流電力に変換して出力できる限り、その具体的構成は特に限定されない。
配電回路24には、系統分電回路22から交流電力が入力されると共に、DC/ACコンバータ23の作動中はそのDC/ACコンバータ23からも交流電力が入力される。配電回路24は、系統分電回路22から入力される交流電力(以下「系統側交流電力」ともいう)、及びDC/ACコンバータ23から入力される交流電力(以下「車両側交流電力」ともいう)のうち少なくとも一方を、各負荷群26,27へ出力する。系統側交流電力及び車両側交流電力の双方を出力する場合は、両者を適宜混合して出力する。
配電回路24から各負荷群26,27への交流電力の出力は、システム制御装置30により制御される。システム制御装置30は、各負荷群26,27へ車両側交流電力を出力する場合は、各負荷群26,27が必要としている電力(需要電力)、出力可能な系統側交流電力、出力可能な車両側交流電力、系統側交流電力のコスト(例えば電気料金)などに基づいて、各負荷群26,27へ出力すべき系統側交流電力及び車両側交流電力の割合を決定し、その割合に従って各交流電力を出力する。その割合の決定方法は種々考えられる。車両側交流電力のみで各負荷群26,27を全て動作させることが可能な場合は、系統側交流電力の出力を停止して車両側交流電力のみ各負荷群26,27へ出力するようにしてもよい。
なお、配電回路24から各負荷群26,27への交流電力の供給経路には、それぞれ、電力センサ28,29が設けられている。各電力センサ28,29は、それぞれ対応する負荷群への実際の供給電力を検出し、その検出結果を示す信号をシステム制御装置30へ出力する。そのため、システム制御装置30は、各電力センサ28,29からの検出信号に基づいて、各負荷群26,27で実際にどの程度の電力が消費されているのか、即ち電力需要量を、知ることができる。
システム制御装置30は、システム制御部31と、システム記憶部32とを備える。システム制御装置30は、駐車場3内の各中継装置11と通信用ケーブルによって接続されており、これにより、システム制御装置30は各中継装置11との間でデータを送受でき、且つ中継装置11を介して車両10との間でデータを送受できる。
システム記憶部32は、各種データを記憶及び読み出し可能な記憶デバイス(例えばハードディスク、半導体メモリなど)である。システム記憶部32には、様々なプログラム(ソフトウェア)やデータなどが記憶されている。システム記憶部32に記憶されているプログラムには、勤怠管理ソフト及びシステム電力制御ソフトが含まれる。また、システム記憶部32に記憶されているデータには、ユーザ管理テーブル(図6参照)が含まれる。
ユーザ管理テーブルは、図6に示すように、駐車場3の駐車区画毎の、その駐車区画に駐車されている車両10及びそのユーザに関する各種情報が登録されてなるデータベースである。ユーザ管理テーブルに登録される各種情報には、図6に示すように、少なくとも、ユーザ名、出庫予定時刻、ケーブル接続情報、外部給電可否情報、車両情報、バッテリ情報、及び受電関連情報がある。
ユーザ名は、駐車中の車両10のユーザを特定可能な情報である。ユーザ名として具体的に何を登録するかは適宜決めることができる。例えば、ユーザの氏名を直接示す情報であってもよいし、例えば特定の番号や記号などの、ユーザ毎に割り当てられたユーザ固有の情報であってもよい。ユーザ名は、後述するように主に携帯端末60から取得されてユーザ管理テーブルに登録される。
出庫予定時刻は、駐車中の車両10が出庫する予定の時刻である。出庫予定時刻は、後述するように主に携帯端末60から取得されるユーザスケジュールに基づいてユーザ管理テーブルに登録される。なお、図6では、出庫予定時刻が時単位で登録されている例が示されているが、時分単位で登録することもできる。
ケーブル接続情報は、駐車中の車両10に受給電スタンド7のコネクタ13が接続されているか否かを示す情報である。ケーブル接続情報は、後述するように主に中継装置11から取得されてユーザ管理テーブルに登録される。
外部給電可否情報は、駐車中の車両10からバッテリ電力を取り出してもよいか否か(即ちバッテリ電力を取り出すことが許可されているか否か)を示す情報である。外部給電可否情報は、後述するように主に車両10から取得されてユーザ管理テーブルに登録される。
車両情報は、駐車区画に駐車されている車両10の種類やユーザを特定するための複数種類の情報の総称である。本実施形態では、車両情報として、車名、型式、及びナンバーが含まれる。なお、車両情報として、車両10のバッテリ40の定格容量Bc0[Ah]が含まれていてもよい。車両情報は、後述するように主に車両10から取得されてユーザ管理テーブルに登録される。
バッテリ情報は、車両10のバッテリ40の性能や状態を示す複数種類の情報の総称である。本実施形態では、バッテリ情報として、現在のバッテリ40の容量(以下「現容量」とも言う)Bc[Ah]、バッテリ40の残量(以下「バッテリ残量」とも言う)Br[Ah]、SOC(State of Charge ;充電率)[%]、SOH(State of Health ;健全度)、SOP(State of Power;充放電許容電力)[W]、バッテリ40の電圧(以下「バッテリ電圧」とも言う)Vb[V]、及びバッテリ40の定格容量Bc0[Ah]が含まれる。バッテリ情報は、後述するように主に車両10から取得されてユーザ管理テーブルに登録される。
受電関連情報は、車両10からバッテリ電力を受電する際にその受電の可否を判断するための複数種類の情報及び受電結果に基づいて演算・更新される複数種類の情報の総称である。本実施形態では、受電関連情報として、残量下限Ur[Ah]、SOC下限Us[%]、充電電力単価Eb[円/Wh]、売電価格Es[円/Wh]、今回受電量G0[Wh]、今回給電量K0[Wh]、累積受電量Gx[Wh]、累積給電量Kx[Wh]、及び累積受電回数J[回]などがある。
残量下限Urは、バッテリ40に最低限残しておくべきバッテリ残量Brの下限値である。バッテリ40から建物1へのバッテリ電力の供給は、バッテリ残量Brが残量下限Ur以上である限り許容されるが、バッテリ残量Brが残量下限Urまで低下すると、バッテリ電力の外部供給は車両10側において強制的に停止される。
SOC下限Usは、バッテリ40のSOCの下限値である。バッテリ40から建物1へのバッテリ電力の供給は、バッテリ40のSOCがSOC下限Us以上である限り許容されるが、SOCがSOC下限Usまで低下すると、バッテリ電力の外部供給は車両10側において強制的に停止される。
充電電力単価Ebは、バッテリ40に充電されている電力の単価である。この充電電力単価Ebは、後述するように車両10において随時演算され、最新の値に更新される。
売電価格Esは、車両10からバッテリ電力を外部へ供給する際の、その外部供給を許可するか否かの判断基準となり得る情報である。この売電価格Esは、本第1実施形態では用いられず、後述する第2実施形態で用いられる。そのため、売電価格Esについては第2実施形態で具体的に説明する。
なお、以下の説明では、残量下限Ur、SOC下限Us、充電電力単価Eb、及び売電価格Esを、まとめて「外部給電関連情報」とも言う。外部給電関連情報は、主に車両10から取得されてユーザ管理テーブルに登録される。
今回受電量G0は、システム制御部31の電力管理機能によって車両10から建物1へバッテリ電力の受電が一定期間行われた場合の、その一定期間に受電された電力量である。建物1において車両10のバッテリ電力の受電が行われる度に、システム制御装置30は、車両10から受電した電力量(受電量)を計測する。そして、その計測された受電量が、今回受電量G0として更新、記憶される。
今回給電量K0は、システム制御部31の電力管理機能によって受給電切替装置5から車両10へバッテリ40の充電用電力が一定期間給電された場合の、その一定期間に車両10へ給電された電力量である。受給電切替装置5から車両10への充電用電力の給電は、基本的に、建物1において車両10のバッテリ電力の受電が行われる度に、その受電終了後の特定のタイミングで実行される。車両10への充電用電力の給電が行われる度に、システム制御装置30は、車両10へ給電された電力量(給電量)を計測する。そして、その計測された給電量が、今回給電量K0として更新、記憶される。
累積受電量Gxは、ユーザ毎の、過去にそのユーザの車両10から建物1へ受電されたバッテリ電力の累積値である。システム制御装置30は、車両10から建物1への受電が行われて今回受電量G0を計測する度に、その今回受電量G0を累積加算していくことで、累積受電量Gxを算出する。
累積給電量Kxは、ユーザ毎の、過去にそのユーザの車両10へ受給電切替装置5から給電された充電用電力の累積値である。システム制御装置30は、受給電切替装置5から車両10へ給電が行われて今回給電量K0を計測する度に、その今回給電量K0を累積加算していくことで、累積給電量Kxを算出する。
累積受電回数Jは、ユーザ毎の、過去にそのユーザの車両10から建物1へ受電が行われた合計回数である。システム制御装置30は、車両10から建物1への受電が行われて今回受電量G0を計測する度に、累積受電回数Jを累積加算していく。
図2に戻り、建物1内のシステム制御装置30の説明を続ける。システム制御装置30内のシステム制御部31は、システム記憶部32に記憶されている各種プログラムを実行することで、各種機能を実現する。例えば、勤怠管理ソフトが実行されると、勤怠管理機能が実現される。また、システム電力制御ソフトが実行されると、電力管理機能が実現される。
勤怠管理機能とは、駐車場3に車両10を駐車させた社員の出社時刻及び退社時刻を記憶することによりその社員の勤怠を管理する機能である。駐車場3に車両10を駐車させた社員が、その駐車区画の中継装置11の入出力部14にその社員の携帯端末60をかざすと、その携帯端末60と入出力部14との間で非接触近距離通信が開始され、システム制御部31と携帯端末60との間で中継装置11を介してデータ通信可能な状態となる。
そして、システム制御部31は、携帯端末60がかざされた駐車区画を示す区画情報をその中継装置11から取得すると共に、携帯端末60からユーザ情報を取得する。ユーザ情報とは、携帯端末60のユーザ固有の情報であり、本実施形態では少なくともユーザ名(即ち社員名)とユーザスケジュールが含まれる。
ユーザスケジュールは、当該ユーザのスケジュールを示す情報である。ユーザスケジュールには、少なくとも、当日における当該ユーザが退社する予定の時刻である退社予定時刻が含まれる。システム制御部31は、この退社予定時刻、又はこの退社予定時刻よりも所定時間経過後の時刻を、ユーザが車両10を駐車場3から出庫させる出庫予定時刻として、ユーザ管理テーブルに登録する。
ユーザスケジュールは、携帯端末60においてユーザが適宜管理(入力操作)することができる。また、システム制御装置30側においても不図示の情報処理装置を介した入力操作によって管理することができる。そして、携帯端末60に記憶されているユーザスケジュールとシステム記憶部32に記憶されているユーザスケジュールは、所定のタイミングで同期がとられることにより、その同期タイミング毎に常に最新のユーザスケジュールが双方で共有される。ユーザスケジュールの同期タイミングは適宜決めることができる。例えば、携帯端末60が中継装置11にかざされた時でもよいし、どちらか一方でスケジュールが更新される度にその更新された一方から他方へ更新情報を送信して他方側でその更新情報に更新させるようにしてもよい。
勤怠管理機能において、システム制御部31は、携帯端末60からユーザ情報を取得すると、その取得した時の時刻に基づいて、そのユーザが出社又は退社したこと及びその時刻(出社時刻又は退社時刻)を登録する。出社時刻及び退社時刻は、携帯端末60がかざされた時の時刻としてもよいし、駐車場3から建物1内のそのユーザの所属部署までの往復時間を考慮して、出社時刻についてはかざされた時から所定時間経過した時刻とし、逆に退社時刻についてはかざされた時よりも所定時間前の時刻としてもよい。
また、電力管理機能において、システム制御部31は、携帯端末60がかざされた中継装置11から区画情報を取得すると共にその携帯端末60からユーザ情報を取得した場合、ユーザ管理テーブルにおける、その取得した区画情報が示す駐車区画の情報として、携帯端末60のユーザが車両10を駐車したことを登録する。
具体的に、該当する駐車区画のユーザ名として携帯端末60から取得したユーザ名を登録し、且つ、携帯端末60から取得したユーザスケジュールに含まれている退社予定時刻又はそれより所定時間経過後の時刻を出庫予定時刻として登録する。
さらに、システム制御部31は、車両10に中継装置11のコネクタ13が接続されているか否かを検出し、その検出結果を、ユーザ管理テーブルにおけるケーブル接続情報として登録する。
そして、システム制御部31は、所定の受電実行条件が成立したら、駐車場3に駐車されている車両10からの受電(即ち電力を借りること)を試みる。受電実行条件は適宜決めることができる。例えば、建物1内の電力需要が一定レベル以上になったこと、電力需要が一定レベル以上になる可能性が高い所定の時間帯であること、商用交流系統100の電気料金が高い所定の時間帯(例えば既述のピーク時間帯)であること、などを、受電実行条件として設定してもよい。
システム制御部31は、受電実行条件が成立すると、駐車中の車両10からの電力受電(借電)、及びその後の車両10への電力給電(返電)を行うが、これらの具体的処理内容については、後で図8及び図9を用いて具体的に説明する。
(3)受給電切替装置の説明
次に、受給電切替装置5の具体的構成について、図2を用いて説明する。受給電切替装置5は、AC/DCコンバータ16と、系統遮断スイッチ15と、複数の給電経路スイッチ17と、複数の受電経路スイッチ18とを備える。
系統遮断スイッチ15は、商用交流系統100からAC/DCコンバータ16への交流電力(本実施形態では三相200V)の供給経路を導通・遮断するためのスイッチである。この系統遮断スイッチ15のオン、オフはシステム制御装置30により制御される。
AC/DCコンバータ16は、系統遮断スイッチ15がオンされているときに商用交流系統100から系統遮断スイッチ15を経て入力される交流電力を、所定電圧値の直流電力に変換して出力する。本実施形態では、車両10のバッテリ電圧Vbの定格値(例えば直流400V)又はそれより若干高い値の電圧値の直流電力に変換される。
給電経路スイッチ17は、駐車場3の駐車区画毎に個別に設けられている。各給電経路スイッチ17の一端はAC/DCコンバータ16に接続され、他端はそれぞれ各駐車区画の各中継装置11に接続されている。給電経路スイッチ17がオンされると、AC/DCコンバータ16で生成された直流電力が、そのオンされた給電経路スイッチ17に接続されている中継装置11へ出力される。そして、その中継装置11に車両10が接続されている場合は、その直流電力が車両10に給電され、車両10内のバッテリ40が充電される。各給電経路スイッチ17のオン、オフは、システム制御装置30により制御される。
受電経路スイッチ18も、駐車場3の駐車区画毎に個別に設けられている。各受電経路スイッチ18の一端は分電装置21内のDC/ACコンバータ23に接続され、他端はそれぞれ各駐車区画の各中継装置11に接続されている。受電経路スイッチ18がオンされると、そのオンされた受電経路スイッチ18に接続されている中継装置11から分電装置21へ、その中継装置11に接続されている車両10のバッテリ電力が出力される。これにより、その車両10のバッテリ電力を各負荷群26,27へ出力可能な状態となる。各受電経路スイッチ18のオン、オフは、システム制御装置30により制御される。
受給電切替装置5が備える既述の充電電力出力機能及び受電中継機能のうち、充電電力出力機能は、系統遮断スイッチ15及び給電経路スイッチ17がオンされることにより実現され、受電中継機能は、受電経路スイッチ18がオンされることにより実現される。
なお、これら2つの機能は、互いに排他関係となる機能として、一方の機能を作動させているときは他方の機能を停止させるようにしてもよい。或いは、駐車区画毎に個別に、どちらかの機能を作動させてもよい。例えば、ある駐車区画に対しては受電中継機能を作動させて車両10から建物1へバッテリ電力を受電させ、別の駐車区画に対しては充電電力出力機能を作動させて車両10のバッテリ40を充電させるようにしてもよい。
(4)受給電スタンドの説明
次に、受給電スタンド7の具体的構成について、図3を用いて説明する。受給電スタンド7は、中継装置11と、接続ケーブル12と、コネクタ13とを備える。
コネクタ13は、接続ケーブル12の一端に設けられている。接続ケーブル12の他端は中継装置11に接続されている。接続ケーブル12は、直流電力通電用の電力線12aとデータ送受用の通信線12bとを備える。
電力線12aは、中継装置11を経由して受給電切替装置5に接続されている。そのため、コネクタ13を車両10に接続することで、バッテリ40の充電用電力を受給電切替装置5から中継装置11を介して車両10へ供給したり、バッテリ40のバッテリ電力を中継装置11及び受給電切替装置5を介して建物1側にて受電させることができる。
通信線12bは、中継装置11内においてデータ中継部9に接続されている。データ中継部9は、建物1内のシステム制御装置30に接続されている。データ中継部9は、車両10とシステム制御装置30とのデータ通信を中継する機能を担う。即ち、両者間で送受されるデータを中継する。
また、データ中継部9は、入出力部14に接続されている。入出力部14は、入力部14aと、表示部14bと、非接触通信部14cとを備える。入力部14aは、例えばタッチパネルやユーザにより直接操作されるボタン、スイッチなどを備え、ユーザによる各種入力操作を受け付け可能に構成されている。
表示部14bは、例えば液晶ディスプレイなど、画像を表示可能な表示デバイスである。ユーザは、入力部14aを操作することで、例えば、車両10が保持している各種情報(車両情報やバッテリ情報、外部給電関連情報など)をデータ中継部9に取得させてそれを表示部14bに表示させたり、システム記憶部32に記憶されているユーザ管理テーブル中の、当該中継装置11が設置されている駐車区画に対応した各種登録情報を、データ中継部9に取得させてそれを表示部14bに表示させたりすることができる。
非接触通信部14cは、非接触近距離無線通信(例えばNFC)による電波の送受を行う無線通信デバイスである。非接触近距離無線通信機能を有する無線機器を非接触通信部14cにかざすと、その無線機器と非接触通信部14cとの間で非接触近距離無線通信の通信プロトコルに従った通信セッションが確立する。これにより、その無線機器とシステム制御装置30との間でデータ中継部9を経由したデータ通信が可能となる。後述する図5の携帯端末60は、非接触近距離無線通信機能を備えている。
データ中継部9には、マイコンが搭載されており、そのマイコンが、入出力部14を制御したりデータ中継を制御したりする。また、データ中継部9は、コネクタ13が車両10に接続されているか否かを周期的に検出し、その検出結果をシステム制御装置30へ通知する機能を備えている。システム制御装置30では、その周期的な通知が行われる度に、ユーザ管理テーブル内のケーブル接続情報を更新する。なお、コネクタ13が車両10に接続されているか否かの情報は、例えばシステム制御装置30が自ら積極的にサーチして取得するようにしてもよいし、車両10とのデータ通信に基づいて(例えばデータ通信を実行できたか否かに基づいて)取得するようにしてもよい。
(5)車両の説明
次に、車両10の具体的構成について、図4を用いて説明する。車両10は、バッテリユニット41と、充電用高圧コネクタ43と、インバータ45と、モータ46と、車両制御ユニット47と、無線通信機48と、外部受給電スイッチ49とを備える。
バッテリユニット41は、バッテリ40を備えている。バッテリ40は、例えばニッケル水素二次電池やリチウムイオン二次電池などの、繰り返し充放電可能な二次電池である。バッテリ40の定格電圧は本実施形態では400Vである。
バッテリユニット41は、バッテリ40の状態を監視する機能を備えている。具体的に、バッテリユニット41は、バッテリ40のバッテリ情報のうち現容量Bc、バッテリ残量Br、SOC、SOH、SOP、及びバッテリ電圧Vbを、周期的に検出して、その検出結果を車両制御ユニット47へ出力する。上記検出結果が出力される度に、車両制御ユニット47内の車両記憶部52には、その出力された検出結果が記憶される。即ち、車両記憶部52に記憶されているバッテリ情報のうち、バッテリユニット41から周期的に出力される上記各情報は、バッテリユニット41から出力される度にその出力された情報に更新される。
充電用高圧コネクタ43は、外部の充電器から充電用の高圧の直流電力(本実施形態では直流400V)を取り込んだり、逆にバッテリ40のバッテリ電力を車外へ供給したりするためのコネクタである。駐車場3に設置されている受給電スタンド7のコネクタ13は、車両10の充電用高圧コネクタ43に接続可能である。即ち、受給電スタンド7のコネクタ13を車両10に接続する、とは、より具体的には、車両10の充電用高圧コネクタ43に接続することを意味する。
受給電スタンド7のコネクタ13が車両10の充電用高圧コネクタ43に接続されると、受給電スタンド7側の電力線12aと車両10内の電力線43aとが電気的に接続され、且つ、受給電スタンド7側の通信線12bと車両10内の通信線43bとが電気的に接続される。これによりバッテリ40と外部との電力受給電が可能となると共に、車両制御ユニット47とシステム制御装置30とのデータ通信が可能となる。
モータ46は、車両10の駆動輪(不図示)を回転させるための駆動源となるモータである。インバータ45は、バッテリ40のバッテリ電力をモータ46の駆動用の電力に変換してモータ46へ出力する。インバータ45の動作(ひいてはモータ46の回転)は車両制御ユニット47により制御される。
車両制御ユニット47は、バッテリ40の充放電制御や、インバータ45の駆動制御などの、各種の機能を実現する。車両制御ユニット47は、車両制御部51と、車両記憶部52とを備える。車両記憶部52は、データの記憶及び読み出しが可能な記憶デバイスである。車両記憶部52には、後述する図10〜図13の各処理のプログラムが記憶されている。また、車両記憶部52には、既述の車両情報、バッテリ情報、外部給電関連情報、及び外部給電可否情報が記憶されている。さらに、携帯端末60から無線通信によってユーザ情報を取得し、そのユーザ情報を車両記憶部52に記憶させることもできる。
車両制御部51は、車両記憶部52に記憶されている各種プログラムを実行することで、車両10が備える各種機能を実現する。無線通信機48は、所定の無線通信方式(例えば無線LAN、LTEなど)による無線通信を行うための通信デバイスである。
外部受給電スイッチ49は、車両10の外部へのバッテリ電力出力を許可するか否かをユーザに設定させるためのスイッチであり、その設定内容が外部給電可否情報として車両記憶部52に記憶される。例えば、外部受給電スイッチ49により外部出力が許可されている場合は、外部給電可否情報として、バッテリ電力の外部出力が可能である旨の情報が車両記憶部52に記憶される。逆に、外部受給電スイッチ49により外部出力が拒否されている場合は、外部給電可否情報として、バッテリ電力の外部出力が拒否されていて不可能である旨の情報が車両記憶部52に記憶される。
なお、図4では図示を省略したが、車両10には、外部からAC100V又はAC200Vの交流電力を取り込むためのコネクタと、そのコネクタから取り込まれた交流電力をバッテリ40の充電用電力(直流400V)に変換してバッテリ40へ供給する車載充電器とが設けられている。そのため、バッテリ40は、直流400Vを出力する充電器によって充電できるだけではなく、商用のAC100V又はAC200Vの交流電力によっても充電することができる。
(6)携帯端末の説明
次に、携帯端末60の具体的構成について、図5を用いて説明する。携帯端末60は、端末制御部61と、端末記憶部62と、無線通信部63と、非接触通信部64と、入力部65と、表示部66とを備える。
端末記憶部62は、データの記憶及び読み出しが可能な記憶デバイスである。端末記憶部62には、各種プログラムやデータが記憶されている。端末記憶部62に記憶されているデータには、ユーザ情報が含まれる。ユーザ情報はユーザ操作によって任意に変更することができる。
無線通信部63は、所定の無線通信方式(例えば無線LAN、LTEなど)による無線通信を行うための通信デバイスである。この無線通信部63と、車両10の無線通信機48とは、同じ無線通信方式にて相互にデータ送受を行うことができる。
非接触通信部64は、中継装置11が備える非接触通信部14c(図3参照)と基本的に同じ構成であって同じ機能を有する。携帯端末60を中継装置11にかざす、とは、より詳しくは、携帯端末60における非接触通信部64が搭載されている部分を中継装置11における非接触通信部14cが搭載されている部分に近接させることを意味する。
入力部65は、例えばタッチパネルやユーザにより直接操作されるボタン、スイッチなどを備え、ユーザによる各種入力操作を受け付け可能に構成されている。表示部66は、例えば液晶ディスプレイなど、画像を表示可能な表示デバイスである。
端末制御部61は、端末記憶部62に記憶されている各種プログラムやデータに基づいて各種機能を実現する。
(7)システム制御装置で実行される処理
システム制御装置30のシステム制御部31が実行する各種処理について、図7〜図9を用いて説明する。なお、本実施形態では、システム制御装置30と携帯端末60とのデータ通信(情報送受)は、特にことわりのない限り、受給電スタンド7を経由して行われるものとする。また、システム制御装置30と車両10との間のデータ通信(情報送受)は、特にことわりのない限り、受給電スタンド7を経由した有線データ通信にて行われるものとする。
(7−1)出退管理処理
まず、出退管理処理について、図7を用いて説明する。出退管理処理は、駐車場3の駐車区画に車両10を駐車させたユーザ(社員)毎に出社・退社状況を管理すると共にその駐車区画に駐車された車両10に関する基本情報(ユーザ名、出庫予定時刻、及びケーブル接続情報)をユーザ管理テーブルに登録する処理である。システム制御部31は、起動後、システム記憶部32から図7の出退管理処理のプログラムを読み込んで周期的に繰り返し実行する。
システム制御部31は、図7の出退管理処理を開始すると、S101で、駐車場3内の何れかの駐車区画の中継装置11に携帯端末60がかざされたか否か判断する。携帯端末60がかざされていない場合は(S101:NO)、出退管理処理を終了する。
何れかの中継装置11に携帯端末60がかざされた場合は(S101:YES)、そのかざされた中継装置11が設置されている駐車区画を対象として、S103以降の処理に進む。S103では、携帯端末60からユーザ情報を取得する。ユーザ情報とは、既述の通り、ユーザ名及びユーザスケジュールである。
S105では、携帯端末60のユーザの出退ステータスを確認する。出退ステータスは、出社しているかそれとも退社しているかを示す情報であり、ユーザ毎(即ち企業の社員毎)に個別に設定されている。S107では、出退ステータスが退社登録されているか否か判断する。退社登録されている場合は(S107:YES)、S109で、出退ステータスを出社登録に変更する。これにより、当該ユーザ(社員)が出社したことが勤怠管理システム上で登録される。
S111では、スケジュール同期処理を行う。具体的に、携帯端末60から取得したユーザスケジュールと、システム記憶部32に記憶されているユーザスケジュールとを比較して、双方共に同じ且つ最新の情報が共有されるようにする。
S113では、中継装置11の接続ケーブル12のコネクタ13が車両10に接続されているか否かを判断する。この判断は、中継装置11に問い合わせることによって行うことができるが、例えば車両10とのデータ通信を試みるなど、別の方法を用いて判断することもできる。
S123では、S103で取得したユーザ情報及びS113での確認結果に基づいて、ユーザ管理テーブル中の対象駐車区画に対応した情報を更新する。具体的には、ユーザ名、出庫予定時刻、及びケーブル接続情報を更新する。
S107で、出退ステータスが出社登録されている場合は(S107:NO)、S115で、出退ステータスを退社登録に変更する。これにより、当該ユーザ(社員)が退社したことが勤怠管理システム上で登録される。S117では、S111と同様にスケジュール同期処理を行う。
S119では、中継装置11の接続ケーブル12のコネクタ13がまだ車両10に接続されたままか否か判断する。まだ接続中であれば(S119:YES)、S121で、コネクタ13を外すよう警告を出力して、S119に戻る。なお、警告は、例えば中継装置11の表示部14bに表示させたり、中継装置11が備える不図示のスピーカから音声により行うようにしてもよい。
S119で、コネクタ13が車両10から外されている場合は(S119:NO)、S123に進み、ユーザ管理テーブル中のユーザ名、出庫予定時刻、及びケーブル接続情報を更新する。S119からS123に進んだ場合のS123の処理は、ユーザ管理テーブル中の該当駐車区画に対応したユーザ名及び出庫予定時刻を共に消去し且つケーブル接続情報を「無」に更新する処理となる。
(7−2)受電処理
次に、受電処理について、図8を用いて説明する。受電処理は、駐車場3に駐車されている車両10からバッテリ電力を取り込んで建物1内の各負荷群26,27の動作用電力として利用させるための処理である。システム制御部31は、起動後、システム記憶部32から図8の受電処理のプログラムを読み込んで周期的に繰り返し実行する。
システム制御部31は、図8の受電処理を開始すると、S151で、受電実行条件が成立しているか否か判断する。例えば建物1内の電力需要が一定レベル以上になったり、ピーク時間帯になったりするなど、所定の受電実行条件が成立した場合は(S151:YES)、駐車中の車両10からバッテリ電力を受電すべく、S153以降の処理に進む。受電実行条件が成立していない場合は(S151:NO)、受電処理を終了する。
S153では、駐車場3内の駐車区画に駐車されている車両10であって且つその駐車区画の受給電スタンド7のコネクタ13が接続されている車両(以下「接続車両」という)から、その接続車両に記憶されている外部給電可否情報を取得して、ユーザ管理テーブルに登録する。接続車両が複数存在している場合は、接続車両毎に個別に外部給電可否情報を取得する。
S155では、各接続車両のうち、外部給電が許可されている接続車両、即ち、外部給電可否情報が、外部給電が許可されていることを示す「可」に設定されている接続車両を、許可接続車両に設定する。S157では、許可接続車両から車両保持情報を取得する。車両保持情報とは、車両10の車両記憶部52に記憶されている各種データのうち、車両情報、バッテリ情報、及び外部給電関連情報を示す。そして、その取得した車両保持情報及びユーザ管理テーブル中の出庫予定時刻を少なくとも含む各種情報に基づいて、許可接続車両の中から、バッテリ電力を受電可能な車両を受電対象車両として決定する。
受電対象車両の決定方法は種々考えられる。例えば、バッテリ残量Brが残量下限Urよりも一定値以上大きいこと、SOCが一定レベル以上あること、充電電力単価Ebが一定価格以下であること、出庫予定時刻が所定時刻以後(例えば17時以後)であること、などを、受電対象車両の決定条件として用いることができる。いくつの決定条件をどのように組み合わせて受電対象車両を決定するかについても適宜決めることができる。なお、上記各条件のうち、特に、バッテリ残量Brが残量下限Urよりも一定値以上大きいこと、及びSOCが一定レベル以上あること、の2つは、いずれも、本発明の残量条件の一例に相当する。
本実施形態では、一例として、ピーク時間帯に車両10からバッテリ電力を受電して各負荷群26,27の動作用電力として利用するように設定されているものとして説明する。よって、この例では、受電実行条件とは、ピーク時間帯に入ること、である。また、受電対象車両の決定条件として、一例として、出庫予定時刻が17時以降であること、及びSOCが一定レベル以上であること、が設定されているものとして説明する。
電力を受電する期間の終了時から出庫予定時刻までの時間が短いと、出庫予定時刻までに受電対象車両に対して十分な電力量(後述の今回給電量K0)を返すことができない可能性がある。そのため、受電対象車両を決定するにあたっては、受電の終了時から出庫予定時刻までの時間が規定時間以上あることを条件とすることが望ましい。なお、規定時間は、所望の電力量を返す(即ちバッテリ40を所望の電力量充電させる)ことが可能な時間の範囲内で適宜決めればよい。
S159では、受電対象車両からの受電を実行可能か否か判断する。具体的に、S157で決定された全ての受電対象車両から受電可能な受電電力の合計(総受電電力)が規定レベル以上あるか否か判判断する。総受電電力が規定レベルに満たない場合は、受電を実行可能ではないと判断し、総受電電力が規定レベル以上であれば受電を実行可能と判断する。受電対象車両からバッテリ電力を受電できたとしても、その総受電電力が低すぎると、ピーク時間帯での電気料金削減効果があまり得られない。そのため、本実施形態では、総受電電力が規定レベル未満の場合はあえて車両のバッテリ電力を利用しないようにし、総受電電力が規定レベル以上の場合に、車両のバッテリ電力を利用することでピーク時間帯での電気料金削減効果を得るようにしている。
S159で、受電対象車両からの受電を実行可能ではないと判断した場合(つまり総受電電力が規定レベルに満たない場合)は、受電処理を終了する。S159で、受電対象車両からの受電を実行可能であると判断した場合(つまり総受電電力が規定レベル以上である場合)は、S161に進む。
S161では、受電対象車両毎に受給電プランを決定する。受給電プランには、受電対象車両毎の、その受電対象車両から電力を受電する受電期間、及びその受電期間の終了後に受電対象車両に対して充電用電力を供給する充電用給電期間が含まれる。受電期間とは、受電対象車両からいつ受電を開始していつ受電を終了するかを示す期間である。また、充電用給電期間とは、受電対象車両に対して受電期間終了後にいつ充電用電力の供給を開始していつその供給を終了するかを示す期間である。
本実施形態では、受電期間に関しては、各受電対象車両全て、ピーク時間帯の開始時に受電を開始し、ピーク時間帯の終了時に受電を終了するように設定される。ただし、受電対象車両毎に個別に受電開始時刻及び受電終了時刻を設定するようにしてもよい。例えば、受電対象車両のバッテリ残量Brと残量下限Urとに基づいて、その受電対象車両から受電可能な電力量を算出し、その算出結果に基づいてその受電対象車両からの受電を終了する時刻を決定するようにしてもよい。
或いは、受電終了タイミングを時刻で指定するのではなく(或いは時刻指定をベースにしつつ)、受電量又はバッテリ残量Brなどに基づいて指定するようにしてもよい。例えば、受電対象車両毎に受電量の目標値を設定し、受電量がその目標値に達したら、まだ受電終了時刻に達していなくても受電を終了するようにしてもよい。受電量の目標値は、例えば、バッテリ残量Brと残量下限Urとの差に基づいて、その差よりも少ない範囲内で適宜設定することができる。また例えば、バッテリ残量Brと残量下限Urとの差が一定量以下となったら、まだ受電終了時刻に達していなくても受電を終了するようにしてもよい。上述した受電期間の設定例はあくまでも一例であり、受電期間を具体的にどの時間帯に設定するか、また、
一方、充電用給電期間については、全ての受電対象車両に対して同じ共通の期間を設定してもよいが、本実施形態では、受電対象車両毎に個別に設定する。例えば、出庫予定時刻が早い受電対象車両ほど、充電用電力の給電開始時刻を早めに設定する。充電用給電期間は、出庫予定時刻までに所望の電力量(S173で算出される今回給電量K0)を給電できる限り、適宜決めることができる。出庫予定時刻が夜間時間帯に設定されている車両10に対しては、給電量のうち少しでも多くを夜間時間帯に給電できるように充電用給電期間を設定するようにしてもよい。
なお、受給電プランを全てS161で決定すること(つまり受電開始前に全て決定すること)は必須ではなく、例えば受給電プランのうち充電用給電期間については、受電対象車両からの受電が終了した後に決定してもよい。具体的には、例えば、受電対象車両からの受電が終了し(S167)、その後今回給電量K0が算出(S173)された後に、その今回給電量KOや出庫予定時刻などに基づいて、その今回給電量K0の電力を出庫予定時刻までに受電対象車両へ給電できるように、充電用給電期間を決定するようにしてもよい。
S161で受給電プランを決定した後は、S163に進む。S163では、各受電対象車両からの受電を実行する。具体的に、受給電切替装置5に対し、系統遮断スイッチ15及び各給電経路スイッチ17を全てオフさせると共に、受電対象車両に対応した受電経路スイッチ18をオンさせることで、受電対象車両のバッテリ電力を中継装置11及び受電経路スイッチ18を経て分電装置21に入力させる。さらに、受電対象車両に対して受電要求信号を送信することで、受電対象車両を、バッテリ電力を外部に出力可能な状態にさせる。さらに、分電装置21内のDC/ACコンバータ23を作動させると共に配電回路24を制御することで、受電対象車両から受電したバッテリ電力に基づく電力を各負荷群26,27へ供給させる。これにより、受電対象車両のバッテリ電力が各負荷群26,27の動作に利用されることになる。
受電対象車両のバッテリ電力が各負荷群26,27の動作に利用されている間は、需要電力に応じて商用交流系統100の電力消費量を抑えるようにしてもよい。例えば、受電対象車両のバッテリ電力を消費させることを優先させ、足りない分を商用交流系統100から補うようにしてもよい。逆に、商用交流系統100から各負荷群26,27に供給すべき電力の上限を設定しておき、需要電力がその上限を超えた場合に、その超えた分を受電対象車両のバッテリ電力を用いて補うようにしてもよい。
S165では、バッテリ電力の受電を終了すべき受電対象車両があるか否か判断する。例えば、S161で決定した受給電プランが示す受電終了タイミングに到達した場合は、受電を終了すべきと判断する。また例えば、各受電対象車両のバッテリ残量BrやSOCなどを定期的に取得して、SOCがSOC下限Us以下になるか或いはバッテリ残量Brが残量下限Ur以下になった場合は、受電終了タイミングにまだ到達していなくても受電を終了すべきと判断するようにしてもよい。
受電を終了すべき受電対象車両がある場合は(S165:YES)、S167で、当該受電対象車両からのバッテリ電力の受電を終了する。具体的に、少なくとも受給電切替装置5内の受電経路スイッチ18をオフさせることで、受電対象車両から分電装置21へバッテリ電力が入力されるのを阻止する。さらに、受電対象車両に対して受電完了信号を送信することで、受電対象車両を、バッテリ電力が外部に出力されない状態にさせる。S169では、当該受電対象車両へ受電完了信号を送信する。
S171では、ユーザ管理テーブルにおける、当該受電対象車両の今回受電量G0、累積受電量Gx、及び累積受電回数Jを更新する。今回受電量G0は、S161で予め決定しておいた場合にはその値に更新してもよい。或いは、電力センサ(不図示)などの不図示のセンシング手段を用いて実際に受電した電力量を検出し、その検出値を今回受電量G0とするようにしてもよい。累積受電量Gxは、現在の累積受電量Gxに対して今回受電量G0を加算することで算出する。累積受電回数Jは、現在の累積受電回数Jを1つインクリメントすることにより算出する。
S173では、後の個別給電処理(図9)において当該受電対象車両へバッテリ充電用として給電すべき給電量(今回給電量K0)を算出する。今回給電量K0は、種々の方法で算出することができる。例えば、今回受電量G0と同じ電力量を今回給電量K0に設定することで、借りた分だけ返すようにしてもよい。また例えば、今回受電量G0よりも多い電力量を今回給電量K0に設定することで、借りた分よりも多めに返すようにしてもよい。具体的に、例えば、累積受電量Gxが多いほど今回給電量K0を大きい値に設定するようにしてもよいし、累積受電回数Jが多いほど今回給電量K0を大きい値に設定するようにしてもよい。また例えば、受電したバッテリ電力の充電電力単価Ebが高いほど今回給電量K0を大きい値に設定するようにしてもよい。つまり、受電対象車両の貢献度(いかにバッテリ電力が必要な時に多くの電力量をシステム側へ供給してくれたか)に応じて、貢献度が高いほど、受電した電力量よりもより多くの電力量を受電対象車両へ供給するようにしてもよい。
S173で今回給電量K0を算出した後は、S175に進む。S175では、バッテリ電力の受電を実行中の受電対象車両があるか否か判断する。バッテリ電力の受電実行中の受電対象車両がまだある場合は(S175:YES)、S165に戻る。全ての受電対象車両について受電が終了している場合は(S175:NO)、受電処理を終了する。
(7−3)個別給電処理
次に、個別給電処理について、図9を用いて説明する。個別給電処理は、図8の受電処理によってバッテリ電力を建物1へ供給した車両10に対し、バッテリ40の充電用電力を供給してバッテリ40を充電させるための処理である。
システム制御部31は、図8の受電処理において受電対象車両からの受電が終了する度、つまりある受電対象車両についてS167〜S173の処理が実行される度に、その受電対象車両毎に個別に、その受電対象車両を充電用電力を供給すべき給電対象車両として、図9の個別給電処理を周期的に繰り返し実行する。
システム制御部31は、ある給電対象車両を対象として図9の個別給電処理を開始すると、S201で、その給電対象車両に対してバッテリ充電用の電力を給電すべき給電実行条件が成立しているか否か判断する。給電実行条件は種々考えられ、例えば、図8のS161で決定された受給電プランの中で設定されている給電開始時刻に到達したこと、とすることができる。
給電実行条件が成立していない場合は(S201:NO)、個別給電処理を終了する。給電実行条件が成立した場合は(S201:YES)、S203に進む。S203では、給電対象車両へ給電要求信号を送信する。
S205では、給電対象車両から給電許可信号を受信したか否か判断する。給電許可信号を受信しなかった場合、即ち給電不可信号を受信した場合は(S205:NO)、個別給電処理を終了する。給電許可信号を受信した場合は(S205:YES)、S207で、給電対象車両への充電用電力の給電を実行する。具体的に、受給電切替装置5に対し、受電経路スイッチ18を全てオフさせると共に、系統遮断スイッチ15をオンさせ、且つ給電対象車両に対応した給電経路スイッチ17をオンさせることで、受給電切替装置5のAC/DCコンバータ16で生成された充電用電力を給電対象車両へ供給する。
給電対象車両への充電用電力の給電は、当該給電対象車両について図8のS173で算出された今回給電量K0を給電することを目標として行う。S209では、給電が完了したか否か判断する。
具体的には、給電電力量が今回給電量K0に達したか否か判断する。給電がまだ完了していない(即ちまだ今回給電量K0に達していない)場合は(S209:NO)、S207に戻り、給電を継続する。給電が完了した(即ち給電量が今回給電量K0に達した)場合は(S209:YES)、S211で、給電終了処理を行う。具体的には、給電対象車両に対応した給電経路スイッチ17をオフさせることで、当該給電対象車両への充電用電力の供給を停止させる。なお、全ての給電対象車両に対して充電用電力の供給が完了している場合は、系統遮断スイッチ15もオフさせる。S213では、給電対象車両へ給電完了信号を送信する。
なお、何らかの要因で今回給電量K0の電力量を全て給電できなかった場合は、翌日以降にその不足分を給電するようにしてもよい。
(8)車両で実行される処理
車両10において、車両制御ユニット47の車両制御部51が実行する各種処理について、図10〜図13を用いて説明する。
(8−1)車両情報管理処理
まず、車両情報管理処理について、図10を用いて説明する。車両情報管理処理は、外部から各種情報を受信して車両記憶部52に記憶したり、逆に車両記憶部52に記憶されている情報を外部に送信したり、車両記憶部52に記憶されているバッテリ情報を定期的に更新したりする処理である。車両制御部51は、起動後、車両記憶部52から図10の車両情報管理処理のプログラムを読み込んで周期的に繰り返し実行する。
車両制御部51は、図10の車両情報管理処理を開始すると、S251で、携帯端末60から無線通信にて情報を受信したか否か判断する。携帯端末60から受信される情報としては、例えば、ユーザ情報(ユーザ名及びユーザスケジュール)がある。携帯端末60から情報を受信していない場合は(S251:NO)、S255に進む。
携帯端末60から情報を受信した場合は(S251:YES)、S253で、その受信した情報に基づいて車両記憶部52に記憶されている情報を更新する。既述の通り、車両記憶部52には、ユーザ情報が記憶可能である。そのため、携帯端末60からユーザ情報を受信した場合は、車両記憶部52に記憶されているユーザ情報を、その受信したユーザ情報に更新する。
S255では、バッテリ情報(ただし定格容量Bc0を除く)の更新タイミングであるか否か判断する。既述の通り、バッテリユニット41は、バッテリ40のバッテリ情報のうち現容量Bc、バッテリ残量Br、SOC、SOH、SOP、及びバッテリ電圧Vbを、周期的に検出して、その検出結果を車両制御ユニット47へ出力する。S255における更新タイミングとは、バッテリユニット41から上記検出結果が出力されるタイミングである。つまり、S255の処理は、言い換えれば、バッテリユニット41から上記各バッテリ情報の検出結果が出力されたか否かを判断する処理と言える。
バッテリ情報の更新タイミングではない(即ちバッテリユニット41から検出結果が出力されていない)場合は(S255:NO)、S261に進む。バッテリ情報の更新タイミングである(即ちバッテリユニット41から検出結果が出力された)場合は(S255:YES)、S257で、バッテリユニット41から出力されたバッテリ情報の最新の検出結果を取得する。S259では、車両記憶部52に記憶されているバッテリ情報を、S257で取得した最新のバッテリ情報に更新する。
S261では、システム制御装置30から車両保持情報が要求されたか否か判断する。車両保持情報が要求されていない場合は(S261:NO)、車両情報管理処理を終了する。車両保持情報が要求されている場合は(S261:YES)、S263で、システム制御装置30へ、車両記憶部52に記憶されている車両保持情報を送信する。なお、図8のS157の処理は、詳しくは、システム制御部31が許可接続車両へ車両保持情報を要求し、その要求に対して許可接続車両が図10のS263の処理によって要求元の許可接続車両へ車両保持情報を送信することにより実現される処理である。
(8−2)通常充電処理
次に、通常充電処理について、図11を用いて説明する。通常充電処理は、不図示の充電器から充電用高圧コネクタ43を介してバッテリ40を充電させる処理である。充電用高圧コネクタ43に充電器のコネクタが接続されると、車両制御部51は、車両記憶部52から図11の通常充電処理のプログラムを読み込んで実行する。
車両制御部51は、図11の通常充電処理を開始すると、S301で、バッテリ40が満充電状態であるか否か判断する。どのような状態を満充電状態とするかについては適宜決めておくことができ、例えば、現容量Bcが全て充電されている状態としてもよいし、現容量Bcの90%以上が充電されている状態としてもよい。
既に満充電状態である場合は(S301:YES)、S303で充電完了処理を実行して、通常充電処理を終了する。充電完了処理としては、例えば、外部の充電器へ既に満充電状態であることを通知する処理や、ユーザに対して既に満充電状態であることを報知する処理が考えられる。
まだ満充電状態ではない場合は(S301:NO)、S305で、充電単価ecを取得する。充電単価ecは、これから充電器による充電に要する費用であり、より具体的には1[Wh]の電力量を充電するのに要する費用である。充電単価ecは、例えば充電器側から通知される構成であってもよいし、車両10に予め記憶されていてもよいし、車両10が無線通信等を利用して外部から取得できるようにしてもよい。
S307では、充電制御パラメータを演算する。充電制御パラメータとは、外部の充電器がバッテリ40の充電を行うために必要な各種パラメータであり、例えば、充電時の充電電圧、充電電流などが考えられる。S309では、外部の充電器へ充電指令を送信することにより、充電を開始させる。充電指令には、S307で演算された充電制御パラメータが含まれる。外部充電器へ充電指令を送信することで、外部充電器から充電用の電力が供給される。S311では、その供給される充電電力を受電してバッテリ40を充電させる。
充電実行中、バッテリ40の状態は、バッテリユニット41から周期的に通知される。その通知内容に基づき、S313では、バッテリ40の充電が完了したか否か判断する。本実施形態では、満充電状態になった場合に充電が完了したと判断する。充電がまだ完了していない場合は(S313:NO)、S315で、現在のバッテリ状態に基づいて充電制御パラメータを再演算し、S309に戻る。充電が完了した場合は(S313:YES)、S317で、S303と同じように充電完了処理を行う。
S319では、充電器による今回の充電の結果(例えば充電電力量及び充電単価ec)に基づいて、充電電力単価Ebを演算する。S319における充電電力単価Ebの具体的演算方法は種々考えられる。例えば、今回の充電前の充電電力単価Ebと今回充電時の充電単価ecとを、今回の充電前のバッテリ残量Brと今回の充電電力量との比率に応じた重み付け平均演算することで、最新の充電電力単価Ebを算出するようにしてもよい。具体例を挙げると、例えば充電前のバッテリ残量と今回の充電電力量の比率がa:bであり、充電前の充電電力単価EbがX円で今回充電時の充電単価ecがY円だったとする。この場合、両者の重み付け平均演算を行うと、最新の受電電力単価Ebは、(a・X+b・Y)/(a+b)[円]となる。なお、このように重み付け平均演算を行うことはあくまでも一例であり、他の演算方法を用いて最新の充電電力単価Ebを演算してもよい。
S319で最新の充電電力単価Ebを演算した後は、S321で、車両記憶部52に記憶されているバッテリ情報を、今回の充電後の最新の状態に基づいて更新する。今回充電が行われたことで、バッテリ情報のうち少なくともバッテリ残量Br及びSOCは増加することになる。また、充電電力単価Ebについても、S319で演算された最新の充電電力単価Ebに更新される。
このように、車両制御部51は、外部の充電器によるバッテリ40の充電が行われる度に、その充電結果に基づいて、車両記憶部52に記憶されているバッテリ情報を更新する。
(8−3)受電対応処理
次に、受電対応処理について、図12を用いて説明する。受電対応処理は、バッテリ40に充電されているバッテリ電力を建物1へ出力して各負荷群26,27の動作用電力として利用させる為の処理である。車両制御部51は、起動後、車両記憶部52から図12の受電対応処理のプログラムを読み込んで周期的に繰り返し実行する。
車両制御部51は、図12の受電対応処理を開始すると、S351で、システム制御部31から受電要求信号を受信したか否か判断する。受電要求信号は、図8のS163の処理の1つとしてシステム制御装置30から送信される。
受電要求信号を受信していない場合は(S351:NO)、受電対応処理を終了する。受電要求信号を受信した場合は(S351:YES)、S353で、外部給電を実行する。即ち、バッテリ40に充電されているバッテリ電力を充電用高圧コネクタ43から外部へ出力させる。これにより、バッテリ電力は、受給電切替装置5内の受電経路スイッチ18を経て建物1内の分電装置21へ入力される。そして、分電装置21内でAC100V及びAC200の交流電力に変換されて各負荷群26,27へ供給される。
S355では、システム制御部31から受電完了信号を受信したか否か判断する。受電完了信号は、図8のS169で送信される。受電完了信号を受信していない場合は(S355:NO)、S353に戻る。受電完了信号を受信した場合は(S355:YES)、S357で、バッテリ電力の外部への給電を停止する。
なお、図12では図示を省略したが、受電完了信号の受信を待っている間に、バッテリ電力の外部給電を停止すべき所定の条件が成立した場合は、受電完了信号を受信していなくてもS357に進み、外部への給電を停止させる。外部給電を停止すべき所定の条件は適宜決めることができるが、本実施形態では、バッテリ残量Brが残量下限Ur以下になること、及びバッテリ40のSOCがSOC下限Us以下になること、が設定されている。これら2つの条件のうち一方でも成立すると、バッテリ電力の外部給電は停止される。
S359では、車両記憶部52に記憶されているバッテリ情報を、今回の外部給電後の最新の状態に基づいて更新する。今回外部給電が行われたことで、バッテリ情報のうち少なくともバッテリ残量Br及びSOCは減少することになる。
(8−4)給電対応処理
次に、給電対応処理について、図13を用いて説明する。給電対応処理は、図12の受電対応処理の後に受給電切替装置5から給電される充電用電力に基づいてバッテリ40を充電させる為の処理である。車両制御部51は、起動後、車両記憶部52から図13の給電対応処理のプログラムを読み込んで周期的に繰り返し実行する。
車両制御部51は、図13の給電対応処理を開始すると、S401で、システム制御部31から給電要求信号を受信したか否か判断する。給電要求信号は、図9のS203でシステム制御装置30から送信される。
給電要求信号を受信していない場合は(S401:NO)、給電対応処理を終了する。給電要求信号を受信した場合は(S401:YES)、S403で、バッテリ40を充電可能な状態か否か判断する。例えばバッテリ40が既に満充電状態になっている場合や、バッテリ40の温度が充電許容範囲を外れている場合などは、バッテリ40は充電可能な状態ではない。
バッテリ40の充電が可能な状態ではない場合は(S403:NO)、S405で、システム制御部31へ給電不可信号を送信して、給電対応処理を終了する。バッテリ40の充電が可能な状態の場合は(S403:YES)、S407で、システム制御部31へ給電許可信号を送信する。S407で給電許可信号を送信することで、受給電切替装置5から充電用電力が供給される。S409では、その供給される充電用電力に基づいて、バッテリ40を充電させる。
S411では、システム制御部31から給電完了信号を受信したか否か判断する。給電完了信号を受信していない場合は(S411:NO)、S409に戻る。給電完了信号を受信した場合は(S411:YES)、S413で、外部からバッテリ40への電力経路を遮断することでバッテリ40の充電を停止させる。もっとも、給電完了信号を受信したということは、受給電切替装置5からの充電用電力の供給自体、既に停止されている。
S415では、車両記憶部52に記憶されているバッテリ情報を、今回の充電後の最新の状態に基づいて更新する。今回充電が行われたことで、バッテリ情報のうち少なくともバッテリ残量Br及びSOCは増加することになる。
(9)第1実施形態の効果
以上説明したように、本実施形態の受給電システムでは、駐車場3に駐車中の車両10のバッテリ電力を、建物1内の各負荷群26,27の動作用電力として利用することができる。そのため、電力需要量が多い時間帯に、商用交流系統100からの電力に加えて車両10からの電力も用いることで、その多い電力需要に対応することができる。
また、電気料金が相対的に高い時間帯(例えばピーク時間帯)に車両10のバッテリ電力を受電してその分商用交流系統100からの交流電力の受電量を抑制し、その後、電気料金が相対的に低い時間帯になったときに車両10のバッテリ40へ電力を返すことで、結果として、一日を通した電気料金の総額を抑制することができる。
このように、本実施形態では、各負荷群26,27の動作用電力を、商用交流系統100に加えて、駐車中の車両10からも受電することができる。そのため、電力需要の増加に対して余裕をもって対応することが可能となり、また、電気料金を抑制することも可能となる。
また、駐車中の車両10からバッテリ電力を受電する際、駐車中の全ての車両10から無条件にバッテリ電力を取り出すわけではなく、駐車中の車両10の中から受電可能な車両10(受電対象車両)を決定する(S157)。そして、その受電対象車両からバッテリ電力を受電して負荷動作用に利用する。そのため、駐車中の車両10に与える影響を抑制しつつ、車両10のバッテリ電力を有効利用することができる。
受電対象車両の決定は、主に、各車両10のバッテリ情報及び外部給電関連情報に基づいて行われる。即ち、システム制御部31は、車両10からバッテリ電力を受電しようとする際、外部給電が許可されている車両(許可接続車両)から、バッテリ情報及び外部給電関連情報を取得する。バッテリ情報には、既述の通り、バッテリ残量BrやSOC、SOHなどが含まれており、外部給電関連情報には、既述の通り残量下限UrやSOC下限Usが含まれている。
そして、システム制御部31は、例えば、バッテリ残量Brが残量下限Urに近い場合や、SOCがSOC下限Usに近い場合などは、受電対象車両から除外する。つまり、バッテリ残量Brに余裕がある車両10を優先的に受電対象車両に決定する。そのため、もともとバッテリ残量Brが少ない車両10からバッテリ電力を取り出すことによってさらにバッテリ残量Brが減少してしまってその後の走行に支障を与えてしまうことを抑制できる。
また、バッテリ残量Brに余裕があっても、その車両10の出庫予定時刻が早い時間だと、その車両10からバッテリ電力を受電した後、その車両10が出庫するまでにバッテリ40を十分に充電させることができない可能性がある。そこで、受電対象車両を決定するにあたってユーザのスケジュール(特に出庫予定時刻)を考慮することで、受電対象車両をより適切に決定することができる。特に、出庫予定時刻が夜間時間帯の車両10がある場合、その車両10からバッテリ電力を受電してその後電力を返す際に、その返す時間帯の少なくとも一部を夜間時間帯に設定することができる。その場合、電気料金をより安価に抑えることができる。
また、本実施形態では、車両10を駐車区画に駐車させたユーザがその駐車区画内の中継装置11に携帯端末60をかざすことで、システム制御装置30へユーザ情報及びユーザスケジュールが送信される。そのため、システム制御装置30は、ユーザの手間をとらせることなく効率的に駐車状態を管理することができる。しかも、携帯端末60がかざされてユーザ情報が送信されることで、システム制御装置30は、当該ユーザの出社・退社の管理(勤怠管理)を行うこともできる。
また、システム制御装置30は、受電対象車両からバッテリ電力を受電して再びその受電対象車両に電力を返す(充電用電力を供給する)際、その返す電力量を、受電対象車両の貢献度(いかにバッテリ電力が必要な時に多くの電力量をシステム側へ供給してくれたか)が高いほど、受電した電力量よりも多くする。例えば、累積受電量Gxが多いほど、或いは累積受電回数Jが多いほど、より多くの電力量を車両へ返す。そのため、車両10のユーザの、バッテリ電力をシステム側へ貸すことに対するモチベーションが高まり、より多くの車両10からバッテリ電力を受電可能な状況を生じさせることができるようになる。
なお、本実施形態において、コネクタ13は本発明の車両接続部の一例に相当する。受給電切替装置5及び分電装置21は本発明の電力受電部の一例に相当する。受給電切替装置5は本発明の充電電力出力部の一例にも相当する。システム制御部31は、本発明の受電対象決定部、受電指示部、充電指示部、残量情報取得部、及び解除時刻情報取得部の一例に相当する。バッテリ残量Br及びSOCは本発明の残量情報の一例に相当する。出庫予定時刻は本発明の解除時刻情報の一例に相当する。
また、図8のS163〜S167の処理、及び図14のS613の処理は、いずれも、本発明の受電指示部の処理の一例に相当する。また、図9のS207〜S211の処理は、本発明の充電指示部の処理の一例に相当する。また、図8のS157の処理及び図14のS605の処理はいずれも本発明の残量情報取得部の処理の一例に相当する。また、図7のS123の処理は本発明の解除時刻情報取得部の処理の一例に相当する。
なお、本発明の受電指示部に相当する具体的処理は、上記各処理(図8のS163〜S167など)に限らない。受電期間中に受電対象車両からバッテリ電力を受電できる(ひいてはその受電した電力を各負荷群26,27に供給できる)限り、車両10のバッテリ40から各負荷群26,27に至る電力供給経路の具体的構成や、それら構成に対するシステム制御部31の具体的処理内容は、適宜決めることができる。
また、本発明の充電指示部に相当する具体的処理についても、図9のS207〜S211の処理に限らない。充電用給電期間中に充電対象車両へバッテリ40の充電用電力を供給できる限り、充電用電力を生成して車両10へ供給するための具体的回路構成やシステム制御部31の具体的処理内容は、適宜決めることができる。
[第2実施形態]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
前述した第1実施形態では、どの車両10からバッテリ電力を受電するかを決める(即ち受電対象車両を決める)にあたり、各車両10のバッテリ電力の価値は参照されなかった。これに対し、第2実施形態では、受電対象車両を決めるにあたって、主に各車両10のバッテリ電力の価値(詳しくは売電価格Es)を考慮する。
また、第1実施形態は、受電対象車両からバッテリ電力を受電して負荷動作用に利用した場合、再びその受電対象車両へ電力を返す構成であった。これに対し、第2実施形態では、受電対象車両からバッテリ電力を購入する。即ち、受電対象車両から電力を受電した分、その受電量分の価格をユーザに還元(例えば現金で支払い)する。
売電価格Esは、バッテリ電力を車両10の外部に売電する際の、単位電力量あたりの単価である。売電価格Esは、車両10において、外部給電関連情報の一部として記憶されている。売電価格Esは、車両制御部51が自動的に設定してもよいし、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。
車両制御部51が自動的に売電価格Esを設定する場合、例えば、充電電力単価Ebをそのまま売電価格Esに設定するようにしてもよいし、充電電力単価Esよりも一定額高い価格を売電価格Esに設定するようにしてもよい。
一方、ユーザが売電価格Esを任意に設定できる構成としては、例えば、車両10の内部に設けられた入力装置を介してユーザが売電価格Esを直接入力可能な構成が考えられる。また例えば、携帯端末60で売電価格Esを入力し、その入力した売電価格Esを無線通信にて車両10へ送信することにより設定できるようにしてもよい。
図14を用いて、本実施形態の受電処理を説明する。図14の受電処理は、図8に示した第1実施形態の受電処理と同様、システム制御部31により実行される処理である。
システム制御部31は、図14の受電処理を開始すると、S601で、受電実行条件が成立しているか否か判断する。この判断方法は、図8のS151と全く同じである。即ち、例えば建物1内の電力需要が一定レベル以上になったり、ピーク時間帯になったりするなど、所定の受電実行条件が成立した場合は(S601:YES)、S603に進む。
S603では、外部給電が許可されている接続車両(許可接続車両)をサーチする。このS603の処理は、実質的には、図8のS153〜S155の処理と同じ処理である。S605では、S603でサーチされた許可接続車両から、その許可接続車両の車両記憶部52に記憶されている車両保持情報を取得する。S607では、取得した各許可接続車両の車両保持情報に基づいて、バッテリ電力を受電することが可能な受電可能車両を決定する。この受電可能車両の決定方法は、図8におけるS157での受電対象車両の決定方法と同じである。
S607で受電可能車両を決定する際には、まだ売電価格Esは考慮されない。S607では、純粋に、バッテリ電力を外部に供給できるだけの容量的余裕やスケジュール的余裕があるか否かに基づいて受電可能車両が決定される。
そして、S609で、各受電可能車両の売電価格Esに基づいて、各受電可能車両の中から受電対象車両を決定する。売電価格Esに基づく受電対象車両の具体的決定方法は種々考えられる。例えば、売電価格Esが最も安い受電可能車両から順に所定台数を受電対象車両に決定してもよい。また例えば、上限価格を設定して、売電価格Esがその上限価格よりも安い受電可能車両を、受電対象車両に決定してもよい。その場合、売電価格Esが上限価格よりも安い受電可能車両の中から、さらに、売電価格Esが最も安い順に台数を絞って受電対象車両を決定するようにしてもよい。
S609で受電対象車両を決定した後は、S611で、その決定した受電対象車両毎に、受電量を決定する。この受電量の決定方法も種々考えられる。例えば、全ての受電対象車両に対して同じ受電量を均等に設定してもよい。また例えば、売電価格Esが安いほど受電量を多く設定するようにしてもよい。なお、受電量を決定する際は、前提として、受電実行後のバッテリ残量Brが残量下限Ur未満にならないようにする必要がある。
S613では、各受電対象車両からのバッテリ電力の受電を実行する。具体的に、各受電対象車両から、S611で決定した受電量の電力を受電し、各負荷群26,27へ供給する。S615では、各受電対象車両のユーザに対する、受電量に応じた還元価格を決定し、その還元価格をユーザに還元する。
還元価格の決定方法は適宜決めることができる。例えば、単に売電価格Esに受電量を乗じた価格(以下「基本価格」ともいう)としてもよいし、基本価格よりも所定額高い価格としてもよい。その場合、例えば、売電価格Esが安いほど基本価格に付加する額を高くするようにしてもよい。また例えば、累積受電量Gxが多い程、或いは累積受電回数Jが多い程、基本価格に付加する額を高くするようにしてもよい。また、還元価格をユーザへ還元すること自体、あくまで一例であり、他の方法でユーザに報いるようにしてもよい。例えば、何らかのクーポン券(例えば社員食堂の利用券、近隣商業施設で利用可能な商品券など)を与えてもよいし、当該ユーザの業務査定のプラス材料として考慮するようにしてもよいし、当該ユーザが企業内融資を利用している場合には受電量が多いほど金利を優遇する(例えば受電量が一定レベルに達したら金利を0.01%下げる)ようにしてもよい。
以上詳述した第2実施形態によれば、駐車中の車両10から電力を買電しようとする際、できる限り安価に買電することができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得る。
(1)システム制御装置30による車両保持情報の取得は、車両10から直接取得する方法以外の他の方法で取得できるようにしてもよい。例えば、システム制御装置30がユーザの携帯端末60に対して車両保持情報の要求を行い、その要求を受けた携帯端末60が車両10から車両保持情報を取得してそれをシステム制御装置30へ送信することが可能に構成されていてもよい。また、車両10から車両保持情報を直接取得する場合も、上記実施形態のように中継装置11経由で取得する方法以外の他の方法で取得してもよい。また、有線通信に限らず無線通信にて車両保持情報を取得してもよい。例えば、車両10から無線にて車両保持情報を取得できるようにしてもよい。
(2)建物1内に、車両10のバッテリ40から受電した電力を蓄電する蓄電手段を備えていてもよい。そして、例えば、ある時間帯に車両10からバッテリ電力を取りだして蓄電手段に蓄電しておき、別の時間帯にその蓄電電力を各負荷群26,27へ供給することができるようにしてもよい。
(3)駐車区画毎に受給電スタンド7を設けることは必須ではない。例えば、駐車区画には、車両10の充電用高圧コネクタ43と受給電切替装置5とを電気的に接続するための簡易的な設備(例えばコンセント、或いは接続ケーブル。何れも本発明の車両接続部の一例に相当。)を設けるようにしてもよい。
(4)車両10の外部とバッテリ40との電気的接続方法は、コネクタ13を介した有線接続に限定されない。例えは、車両側及び地上側に相互に非接触で電力を給電可能な構成(本発明の車両接続部の一例)を設け、非接触にて電力を送受できるようにしてもよい。このような非接触給電システムの具体的方式としては、例えば、電磁誘導方式、共鳴方式、電波受信方式などを採用することができる。
(5)第2実施形態において、システム側が車両10から電力を購入するか否かを、電気料金と各車の売電価格Esとを比較して決定するようにしてもよい。例えば、時間帯にかかわらず、売電価格Esが現時刻の電気料金よりも一定額以上安い車両10が一定数以上ある場合は、それら一定数以上の車両10から電力を購入するようにしてもよい。
(6)駐車中の車両10との間で受電、給電を行う地上側の施設等は、建物1以外の他の施設等であってもよい。また、1つの建造物に限らず、複数の建造物やその他の設備を含む集合体であってもよい。電力を消費する負荷設備を有するあらゆる種類の施設等に対して本発明を適用することができる。そして、本発明を適用することにより、施設等が必要に応じて車両から電力を受電(借電又は買電)したり、逆に施設等から車両へ電力を供給(返電又は売電)したりすることができる。
(7)バッテリ電力を受電してそのバッテリ電力により動作させる負荷は、上記実施形態の各負荷群26,27に限定されない。建物1の内外に設けられたあらゆる電気負荷の少なくとも一部をバッテリ電力で動作させることができる。
(8)充電用電力は、受給電切替装置5内のAC/DCコンバータ16以外の他の構成を用いて生成してもよい。また、商用交流系統100からの交流電力を用いずに充電用電力を生成してもよい。例えば、発電機を備え、その発電機によって充電用電力を生成して車両10へ供給できるようにしてもよい。
(9)その他、上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
(10)上述した受給電システムの他、当該受給電システムを構成する各構成要素、当該受給電システムの各構成要素としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した媒体、当該受給電システムにおいて用いられている各種方法など、種々の形態で本発明を実現することもできる。
[実施形態から把握される技術思想]
以上詳述した種々の実施形態から、少なくとも以下の技術思想が把握される。
[1]複数の車両を駐車させることが可能な特定の駐車領域に設けられ、その駐車領域に駐車中の前記車両に電気的に接続可能であってその駐車中の車両が有するバッテリに対して外部から電力の授受を行うことが可能に構成された複数の車両接続部と、
前記車両接続部に接続されている前記車両のうち少なくとも1台を、前記バッテリからそのバッテリの電力を受電する対象の車両である受電対象車両として決定する受電対象決定部と、
前記受電対象決定部により決定された前記受電対象車両から前記バッテリの電力を特定の受電期間に受電するバッテリ電力受電部と、
前記受電期間の終了後、前記受電対象車両へ前記バッテリを充電させるための充電用電力を出力する充電電力出力部と、
を備えることを特徴とする車両電力管理装置。
なお、バッテリ電力受電部とは、受電対象車両から出力されるバッテリ電力を受電する構成要素である。また、充電電力出力部とは、受電対象車両に対し、バッテリ電力受電部によるバッテリ電力の受電終了後(つまり受電対象車両からのバッテリ電力の外部出力が終了後)に受電対象車両へバッテリ充電用の電力を出力する構成要素である。上記実施形態においては、駐車場3(詳しくは駐車場3内の各駐車区画)が上記の駐車領域の一例に相当し、受給電切替装置5及び分電装置21が上記のバッテリ電力受電部の一例に相当し、受給電切替装置5は上記の充電電力出力部の一例にも相当する。
[2][1]の車両電力管理装置において、
外部の商用交流系統から交流電力を受電し、その受電した交流電力に基づいて電気負荷の動作用の電力を生成して、その生成した電力を前記電気負荷へ出力するように構成された負荷電力出力部と、
前記バッテリ電力受電部により受電された前記バッテリの電力に基づいて前記電気負荷の動作用の電力を生成するように構成された負荷電力生成部と、
を備え、
前記負荷電力出力部は、前記交流電力に基づいて生成した電力、及び前記負荷電力生成部により生成された電力、のうち少なくとも一方を前記電気負荷へ出力し、前記受電期間の少なくとも一部では、少なくとも前記負荷電力生成部により生成された電力を前記電気負荷へ出力するように構成されている
ことを特徴とする車両電力管理装置。
負荷電力出力部は、系統からの交流電力をそのまま(電圧変換、相変換、周波数変換、交直変換等せずに)電気負荷へ出力(電気負荷が複数ある場合は各々に分配)するようにしてもよいし、電気負荷の仕様に合わせて系統からの交流電力を例えば降圧したり交直変換したりして電気負荷へ出力するようにしてもよい。負荷電力生成部で生成された電力をどのように処理して電気負荷へ出力するかについても同様である。また、負荷電力生成部が、受電したバッテリ電力に基づいて具体的にどのような電力を生成するか(電圧、電流、或いは交流なのか直流なのか、など)については、適宜決めることができる。なお、上記実施形態においては、系統分電回路22及び配電回路24が上記の負荷電力出力部の一例に相当し、DC/ACコンバータ23が上記の負荷電力生成部の一例に相当する。
[3][2]の車両電力管理装置において、
前記負荷電力出力部は、前記受電期間の少なくとも一部では、前記交流電力に基づいて生成した電力、及び前記負荷電力生成部により生成された電力、の双方を前記電気負荷へ出力するように構成されている
ことを特徴とする車両電力管理装置。
[4][1]〜[3]の何れか1つの車両電力管理装置において、
前記商用交流系統から受電される交流電力に対しては、1日のうちの複数の時間帯毎に異なる電力使用料金が設定されており、
前記受電期間の少なくとも一部は、前記複数の時間帯のうち前記電力使用料金が最も高い時間帯に含まれる
ことを特徴とする車両電力管理装置。
なお、上記実施形態においては、電気料金が上記の電力使用料金の一例に相当し、ピーク時間帯が上記の電力使用料金が最も高い時間帯の一例に相当する。
[5]複数の車両を駐車させることが可能な特定の駐車領域に設けられ、その駐車領域に駐車中の前記車両に電気的に接続可能であってその駐車中の車両が有するバッテリに対して外部から電力の授受を行うことが可能に構成された複数の車両接続部と、
前記車両接続部に接続されている前記車両のうち少なくとも1台を、前記バッテリからそのバッテリの電力を受電する対象の車両である受電対象車両として決定する受電対象決定部と、
前記受電対象決定部により決定された前記受電対象車両から前記バッテリの電力を特定の受電期間に受電するバッテリ電力受電部と、
前記バッテリ電力受電部による前記受電対象車両からの前記バッテリの電力の受電が終了した後、前記受電対象車両毎に、その受電した電力に対する金銭的還元方法を決定する還元方法決定部と、
を備え、
前記車両には、それぞれ、前記バッテリの電力の金銭的価値を示す電力価値情報が保持されており、
前記受電対象決定部は、複数の前記車両接続部にそれぞれ前記車両が接続されている場合、その接続されている各前記車両に保持されている前記電力価値情報に基づく特定の決定方法を用いて、前記受電対象車両を決定する
ことを特徴とする車両電力管理装置。
金銭的還元方法とは、受電対象車両のユーザに対する、バッテリ電力を受電させてくれた(即ちバッテリ電力を提供してくれた)ことに対して金銭的な見返りを実施するための方法である。上記実施形態においては、図14のS615の処理が上記の還元方法決定部の処理の一例に相当し、売電価格Esが上記の電力価値情報の一例に相当する。
[6][5]の車両電力管理装置において、
前記決定方法は、前記電力価値情報が示す前記金銭的価値が低い順に所定台数を前記受電対象車両として決定すること、である
ことを特徴とする車両電力管理装置。