JP6608417B2 - 摺動部材及びその製造方法、並びに接着剤の前駆体 - Google Patents

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Description

本発明は、摺動部材及びその製造方法、並びに接着剤の前駆体に関する。
従来、特に金属製の摺動部材には、その摺動性を良好にする観点から表面にオイルやグリースを塗布することが知られている。しかしながら、そのような方法では、潤滑剤を常時供給する必要があり、また、液だれ等の問題が生じることもある。一方、摺動部材の摺動性を良好にする別の手段として、その表面に潤滑塗膜を塗装して乾燥させる手段が挙げられる。この手段によると、一度の塗装加工で摺動性が長期間、安定に保持されるものの、低摩擦性、耐久性及びコストの面から更に改善の余地がある。
そこで近年、超高分子量ポリエチレンを用いて摺動性を向上させる手段が注目を集めている。例えば、超高分子量ポリエチレン自体を摺動部材として用いる方法が知られているが、摺動部材の全体を超高分子量ポリエチレンにより形成すると、コストや、複雑な形状への加工性の観点から、更に改善の余地がある。
一方、超高分子量ポリエチレンをフィルム状にして摺動部材の表面に接着させる方法も提案されている。例えば、特許文献1では、コロナ放電処理で発生したヒドロペルオキシ基に硬化剤のイソシアネートが効率よく反応するように過剰量のイソシアネートを配合した接着剤で超高分子量ポリエチレン樹脂を接着することにより、各種加工によってもフィルム剥離等が生じない優れた接着強度をもち、超高分子量ポリエチレン樹脂の優れた摺動性や耐摩耗性が活用される樹脂フィルムラミネート金属板を提供することを意図して、金属板表面に接着剤層を介して超高分子量ポリエチレン樹脂フィルムが積層されたラミネート金属板であり、超高分子量ポリエチレン樹脂フィルムとしてコロナ放電処理によって接着剤層に接する面がJISK6768の濡れ指数で38dyne/cm以上の表面張力をもつフィルムが使用され、接着剤層がポリオール樹脂の−OH基に対するイソシアネートの−NCO基の比率が3〜15に調整されたポリオール樹脂とイソシアネートからなる接着剤で形成されていることを特徴とする接着強度の高い樹脂フィルムラミネート金属板が提案されている。また、特許文献2では、低摩擦係数、耐摩耗特性を備え、しかもその効果が経時的に失われることのない、優れたモータ軸受用摺動材の提供を意図して、連続気孔からなる多孔を有する高分子(例えば超高分子ポリエチレン)多孔質シートによって形成され、上記多孔の少なくとも一部に潤滑剤が含有されていることを特徴とするモータ軸受用摺動材が提案されている。
特開平11−157005号公報 特開平9−14268号公報
しかしながら、特許文献1に記載のようにコロナ処理を施した上で特定の接着剤層を形成する場合は、やはりコストの面で難があり、また、接着させるまでに長い時間を要すため大量生産には向いていない。さらに、特許文献2に記載のように多孔質シートの多孔に潤滑剤を含有させることは、摺動部材の強度・耐摩耗性を低下させ、耐久性が十分になり難い。また、使用している接着剤の都合上、低温での多孔質シートの接着力低下を招きやすい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、被着部材と超高分子量ポリエチレンフィルムとを備える摺動部材であって、被着部材と超高分子量ポリエチレンフィルムとの間で常温及び低温において高い接着強度を有し、かつ低摩擦性を有する摺動部材を提供することを目的とする。また、本発明はそのような摺動部材の製造方法であって、短時間かつ低コストで摺動部材を製造可能な摺動部材の製造方法、及びそのような製造方法に用いられる接着剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、超高分子量ポリエチレンフィルムと被着部材を接着するのに特定の接着剤を用いることで、それらの間で常温及び低温において高い接着強度を有し、かつ低摩擦性をも有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]被着部材と、前記被着部材上に配置される超高分子量ポリエチレンフィルムと、前記被着部材と前記超高分子量ポリエチレンフィルムとの間に配置され、前記被着部材と前記超高分子量ポリエチレンフィルムとを接着する接着層と、を備え、前記接着層は、超高分子量ポリエチレンと前記超高分子量ポリエチレンとは異なるポリオレフィン系接着剤とを含む接着剤、及びシアノアクリレート系接着剤からなる群より選ばれる1種以上を含む接着剤の固化物であり、前記ポリオレフィン系接着剤は、ポリエチレン系接着剤又は変性ポリオレフィン系接着剤である、摺動部材。
[2]被着部材(ただし、ポリエチレンテレフタレートフィルムを除く。)と、前記被着部材上に配置される超高分子量ポリエチレンフィルムと、前記被着部材と前記超高分子量ポリエチレンフィルムとの間に配置され、前記被着部材と前記超高分子量ポリエチレンフィルムとを接着する接着層と、を備え、前記接着層は、シリコーン系粘着剤の固化物である、摺動部材。
]前記被着部材と前記超高分子量ポリエチレンフィルムとを接着する前記接着剤は、前記超高分子量ポリエチレンと前記超高分子量ポリエチレンとは異なるポリオレフィン系接着剤とを含む前記接着剤を含む、上記摺動部材。
]前記ポリオレフィン系接着剤は、アクリル変性ポリオレフィン系接着剤である、上記摺動部材。
]前記超高分子量ポリエチレンフィルムは、該超高分子量ポリエチレンフィルムに含浸した潤滑剤を含有する、上記摺動部材。
]前記超高分子量ポリエチレンフィルム上に潤滑剤を更に備える、上記摺動部材。
]前記潤滑剤は、乾燥潤滑剤又は湿潤潤滑剤である、上記摺動部材。
]前記超高分子量ポリエチレンフィルムの前記潤滑剤側の表面が複数の溝を有する、上記摺動部材。
]前記超高分子量ポリエチレンフィルムの前記潤滑剤側の表面が梨地面状である、上記摺動部材。
10]前記被着部材は金属製被着部材である、上記摺動部材。
11]前記超高分子量ポリエチレンフィルムの厚さは、5μm以上200μm以下である、上記摺動部材。
12]前記接着層の厚さは、5μm以上50μm以下である、上記摺動部材。
13]被着部材と、前記被着部材上に配置される超高分子量ポリエチレンフィルムと、前記被着部材と前記超高分子量ポリエチレンフィルムとの間に配置され、前記被着部材と前記超高分子量ポリエチレンフィルムとを接着する接着剤の固化物である接着層と、を備える摺動部材の製造方法であって、前記被着部材及び前記超高分子量ポリエチレンフィルムの少なくとも一方の表面に、超高分子量ポリエチレンの粉末と前記超高分子量ポリエチレンとは異なるポリオレフィン系接着剤とを含む第1の接着剤を塗布する工程と、塗布した前記第1の接着剤を加熱することにより該第1の接着剤に含まれる前記超高分子量ポリエチレンの粉末を液化する工程と、前記液化する工程の後に前記第1の接着剤を冷却することにより、前記第1の接着剤を固化した接着層を得る工程と、前記被着部材と前記超高分子量ポリエチレンフィルムとを前記接着層で接着した摺動部材を得る工程と、を有し、前記ポリオレフィン系接着剤は、ポリエチレン系接着剤又は変性ポリオレフィン系接着剤である、製造方法。
14]被着部材と超高分子量ポリエチレンフィルムとを接着するために用いられる接着剤であって、超高分子量ポリエチレンの粉末とポリオレフィン系接着剤とを含み、前記ポリオレフィン系接着剤は、ポリエチレン系接着剤又は変性ポリオレフィン系接着剤である、接着剤。
本発明によれば、被着部材と超高分子量ポリエチレンフィルムとを備える摺動部材であって、被着部材と超高分子量ポリエチレンフィルムとの間で常温及び低温において高い接着強度を有し、かつ低摩擦性を有する摺動部材を提供することができる。また、本発明によれば、そのような摺動部材の製造方法であって、短時間かつ低コストで摺動部材を製造可能な摺動部材の製造方法、及びそのような製造方法に用いられる接着剤の前駆体を提供することができる。
本発明の摺動部材の一態様を示す模式的な部分断面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明は下記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本実施形態の摺動部材は、被着部材と、その被着部材上に配置される超高分子量ポリエチレンフィルムと、上記被着部材と上記超高分子量ポリエチレンフィルムとの間に配置され、上記被着部材と上記超高分子量ポリエチレンフィルムとを接着する接着層とを備え、その接着層は、シリコーン系粘着剤、超高分子量ポリエチレンとその超高分子量ポリエチレンとは異なるポリオレフィン系接着剤とを含む接着剤、及びシアノアクリレート系接着剤からなる群より選ばれる1種以上の接着剤の固化物である。このような摺動部材の一例を図1に示す。図1は、本実施形態の摺動部材の一例を示す模式的な部分断面図である。図1によると、摺動部材は、被着部材3と、その被着部材3上に配置される超高分子量ポリエチレンフィルム1と、上記被着部材3と上記超高分子量ポリエチレンフィルム1との間に配置され、上記被着部材3と上記超高分子量ポリエチレンフィルム1とを接着する接着層2とを備える。
被着部材は、摺動性が付与される部材であり、その素材は、樹脂であっても金属であってもよいが、湾曲させたり折り曲げたりしても損傷し難いものであると好ましい。そのような素材の具体例としては、樹脂及び金属が挙げられる。樹脂としては特に限定されず、例えばプラスティック及びエラストマーが挙げられる。また、金属としても特に限定されず、例えば、鉄及びアルミニウムのような純金属、並びにステンレスのような合金が挙げられる。これらの中では、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、素材が金属であると好ましい。被着部材の形状も特に限定されず、摺動部材の用途に適した形状であればよい。摺動部材の用途としては、例えば、チルトテレスコピックステアリング部材、ベアリング部材及びヒンジ部材のような、車載用・産業用・建築用・家庭用等の摺動機構部品が挙げられる。本実施形態の摺動部材は、湾曲させたり折り曲げたりしても、超高分子量ポリエチレンフィルムが剥離したり損傷したりし難い点で優れている。
超高分子量ポリエチレンフィルムは、超高分子量ポリエチレンをフィルム状に成形したものである。超高分子量ポリエチレンは、通常の高密度ポリエチレンの数十倍の重合度を有し、極めて長い直鎖状高分子である。超高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量は、一般的には50万以上であるが、本実施形態においては、100万以上であると好ましく、500万以上であるとより好ましい。その上限は特に限定されず、例えば、800万以下であってもよい。超高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量が上記範囲内にあることにより、特に摺動部材の低摩擦性が一層良好になる。超高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量は、特開2005−314544号公報及び特開2005−313391号公報に記載されるように、下記式(1)から求められる。
Mv=5.37×104[η]1.49 (1)
ここで、Mvは粘度平均分子量を示し、[η]は極限粘度を示す。
超高分子量ポリエチレンフィルムを構成する超高分子量ポリエチレンは、常法により合成されてもよく、市販品を入手してもよい。超高分子量ポリエチレンの合成方法としては、例えば低圧法(チーグラー法)が挙げられる。また、市販品の超高分子量ポリエチレンとしては、例えば、三井化学社から入手可能な「ハイゼックスミリオン(製品名)」及び「ミペロン(製品名)」、タイコナ社から入手可能な「ホスタレンGUR(製品名)」、旭化成ケミカルズ社から入手可能な「サンファイン(登録商標)」、及び、作新工業社から入手可能な「ニューライト(製品名)」が挙げられる。
超高分子量ポリエチレンフィルムは、上記の超高分子量ポリエチレンを常法によってフィルム状に成形することによって得られる。より具体的には、超高分子量ポリエチレンを射出成形によってインゴット状に成形し、そのインゴッドから、スカイビングによってフィルムを形成することができる。また、超高分子量ポリエチレンフィルムは多孔質のものであっても、孔を有していない無孔質のものであってもよい。これらの中では、機械的強度が高く耐久性により優れており、また、表面にも孔を有していないことにより低摩擦性にもより優れる観点から、無孔質の高分子量ポリエチレンフィルムが好ましい。
超高分子量ポリエチレンフィルムは、そのフィルムに含浸した潤滑剤を含有すると好ましい。これにより、被着部材と超高分子量ポリエチレンフィルムとの間で常温及び低温において高い接着強度を有した状態のまま、摺動部材の低摩擦性と耐久性を更に高めることができる。超高分子量ポリエチレンフィルムに潤滑剤を含浸させる方法としては、(1)超高分子量ポリエチレンの粉末と潤滑剤と溶剤とを混合した混合液を基材(得られるフィルムを剥離可能な基材)に塗布した後に加熱することにより、溶剤を揮発させると共に超高分子量ポリエチレンの粉末を溶融し、更に冷却して液を固化したフィルムを得た後、そのフィルムを基材から剥離する方法、及び(2)多孔質の超高分子量ポリエチレンフィルムを常法により作製した後、その超高分子量ポリエチレンフィルムを潤滑剤と接触させることで超高分子量ポリエチレンフィルムの孔内に潤滑剤を浸入させる方法が挙げられる。上記(1)の方法により得られた潤滑剤を含浸した超高分子量ポリエチレンフィルムは多孔質でない場合(例えば、後述の気孔率が20%未満の場合や孔を有していない無孔質の場合)でも潤滑剤を含浸できる。したがって、その超高分子量ポリエチレンフィルムは、潤滑剤による低摩擦性や高耐久性の効果を奏するだけでなく、多孔質でない場合には、フィルムの機械的強度が高く耐久性に一層優れており、また、表面の開気孔も少ないことにより低摩擦性にも更に優れる。さらに、超高分子量ポリエチレンの分子同士の絡み合いを更に高めることができる結果、超高分子量ポリエチレンフィルムの被着部材からの剥離をより防止することができる。
上記(1)の方法において用いられる溶剤としては、特に限定されないが、例えば、炭化水素系溶剤、及び酢酸ブチルのような炭化水素系溶剤以外の高沸点溶剤が挙げられる。これらの中では、超高分子量ポリエチレンの粉末及び潤滑剤を容易に溶解できる観点から、炭化水素系溶剤が好ましい。炭化水素系溶剤としては、例えば、イソパラフィン(例えば出光社製製品名「ダフニーアルファクリーナーMX」)が挙げられる。溶剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。混合液中の溶剤の含有量は、得られる超高分子量ポリエチレンフィルムの厚さを所望の厚さにするよう、適宜調整すればよい。
上記(1)の方法において加熱する際の加熱温度は特に限定されないが、超高分子量ポリエチレンの融点以上200℃以下であると好ましく、140℃以上170℃以下であるとより好ましい。加熱温度が超高分子量ポリエチレンの融点以上であることにより、高分子量ポリエチレンの粉末がより溶融しやすくなり、高分子量ポリエチレンの分子が互いにより十分に絡まりやすくなる結果、フィルムの機械的強度がより高くなる傾向にある。一方、加熱温度が200℃以下であることにより、超高分子量ポリエチレンの材質が劣化するのをより抑制することができる。また、加熱する際の加熱時間は特に限定されないが、上記の高分子量ポリエチレンの粉末の溶融のしやすさ及び材質の劣化のし難さの観点から、30分以上5時間以下であると好ましい。加熱する際に用いる手段としては、例えば、オーブン内での加熱及びホットプレート上での加熱が挙げられるが、これらに限定されない。
超高分子量ポリエチレンフィルムに含浸する潤滑剤としては特に限定されず、後述の乾燥潤滑剤及び湿潤潤滑剤であってもよく、それらとして例示されたものであってもよい。これらの中では、超高分子量ポリエチレンフィルムの全体に亘ってより一様に潤滑剤を含有させることによる効果を付与する観点から、湿潤潤滑剤が好ましい。
潤滑剤を含浸する場合の超高分子量ポリエチレンフィルムにおける潤滑剤の含有量は、特に限定されないが、超高分子量ポリエチレンフィルムと潤滑剤との総量100質量%に対して、5質量%以上50質量%以下であると好ましく、20質量%以上50質量%以下であると更に好ましい。潤滑剤の含有量が5質量%以上であることにより、低摩擦性を始めとする、潤滑剤を含浸させることによる上記効果をより有効かつ確実に奏することができる。また、潤滑剤の含有量が50質量%以下であることにより、潤滑剤を含浸した超高分子量ポリエチレンフィルム機械的強度を更に高めることができる。
超高分子量ポリエチレンフィルムの厚さは、特に限定されないが、5μm以上100μm以下であると好ましい。この厚さが5μm以上であることにより、超高分子量ポリエチレンフィルムによる低摩擦性の低下をより有効かつ確実に奏することができる。一方、超高分子量ポリエチレンフィルムの厚さが100μm以下であることにより、母材である被着部材からの寸法変化をより小さくできる点で好ましく、また、100μmの厚さを超えても、低摩擦性の低下効果の更なる向上を望み難くなる。さらには、その厚さが100μm以下であることにより、摺動部材を湾曲させたり折り曲げたりした場合の超高分子量ポリエチレンフィルムの剥離性を、より抑制することができる。同様の観点から、超高分子量ポリエチレンフィルムの厚さは、10μm以上100μm以下であるとより好ましく、20μm以上75μm以下であると更に好ましい。
本実施形態の係る超高分子量ポリエチレンフィルムの表面粗さRaは、0.5μm以下であると好ましく、0.35μm以下であるとより好ましい。表面粗さRaが上記範囲内にあることにより、摺動部材の低摩擦性が更に良好になる。表面粗さRaの下限は特に限定されず、例えば、0.2μm以上であってもよい。表面粗さRaは、表面粗さ計を用い、JIS B0601に準じて測定される。
本実施形態においては、超高分子量ポリエチレンフィルムの表面にコロナ処理を施さなくても、超高分子量ポリエチレンフィルムと被着部材との間で優れた密着性を確保することができる。そのような観点から、本実施形態に係る超高分子量ポリエチレンフィルムは、その表面にコロナ処理が施されたものでなくてもよい。また、本実施形態では、超高分子量ポリエチレンフィルムを多孔質にしなくても、摺動部材の耐久性は優れたものとなり得る。そのような観点から、本実施形態に係る超高分子量ポリエチレンフィルムは、多孔質でなくてもよい。ただし、上記(2)の方法により高分子量ポリエチレンフィルムに潤滑剤を含浸させる場合は、超高分子量ポリエチレンフィルムが多孔質となる。この場合、超高分子量ポリエチレンフィルムの気孔率は、20%以上70%以下であると好ましく、25%以上50%以下であると好ましい。気孔率が20%以上であることにより、潤滑剤との併用により低摩擦性を更に高めることができ、70%以下であることにより、超高分子量ポリエチレンフィルム自体の機械的強度を更に高めることができ、また、超高分子量ポリエチレンの分子同士の絡み合いを更に高めることができる結果、超高分子量ポリエチレンフィルムの被着部材からの剥離をより防止することができる。ここで、上記気孔率は、超高分子量ポリエチレンフィルムの見掛けの表面積と厚さとの積から見掛けの体積Vcm3を算出し、その質量Wg、及び超高分子量ポリエチレンの真比重ρを用いて、下記式により算出できる。
気孔率(%)=(1−W/V/ρ)×100
本実施形態の摺動部材が、超高分子量ポリエチレンフィルム上に後述の潤滑剤を更に備える場合、超高分子量ポリエチレンフィルムは、その潤滑剤側の表面が複数の溝を有すると好ましく、あるいは、梨地面状であると好ましい。これにより、超高分子量ポリエチレンフィルムの潤滑剤側の表面が潤滑剤を保持しやすくなるので、摺動部材の耐久性が更に向上する。複数の溝のパターン形状(超高分子量ポリエチレンフィルムをその表面側から見た場合の溝のパターン形状)は特に限定されず、例えば格子状、放射状、縞状、同心円状、及び螺旋状が挙げられる。また、溝の断面形状も特に限定されず、例えば、U字状、V字状及び矩形状が挙げられる。溝又は梨地面における凹部の深さも特に限定されず、例えば、0.1μm以上50μm以下であってもよく、超高分子量ポリエチレンフィルムの厚さに対して、5%以上50%以下であってもよい。
本実施形態に係る接着層は、シリコーン系粘着剤、超高分子量ポリエチレンとその超高分子量ポリエチレンとは異なるポリオレフィン系接着剤とを含む接着剤、及びシアノアクリレート系接着剤からなる群より選ばれる1種以上を含む接着剤の固化物である。上記の接着剤のうち、特に常温及び低温においてより高い接着強度を有し、また、一層高いレベルの低摩擦性と高耐久性とを有する摺動部材を得ることができる観点から、超高分子量ポリエチレンとその超高分子量ポリエチレンとは異なるポリオレフィン系接着剤とを含む接着剤が好ましい。
本実施形態に係るシリコーン系粘着剤は、シリコーン樹脂を含有する粘着剤であれば特に限定されず、例えば、過酸化物硬化型、付加反応型、脱水素反応型、及び湿気硬化型のシリコーンを含む粘着剤が挙げられる。このような粘着剤は、シート化し固化(硬化)した後でも粘着性を発現し、超高分子量ポリエチレンフィルムと被着部材との間の接着性を優れたものとすることができる。また、本実施形態に係るシリコーン系粘着剤は、SiO2単位と(CH33SiO単位とからなる共重合体であるシリコーン樹脂と、ジオルガノポリシロキサン生ゴムとを縮合させて得られる粘着剤であってもよい。このようなシリコーン系粘着剤を用いることによっても、超高分子量ポリエチレンフィルムと被着部材との間の接着性を優れたものとすることができる。
シリコーン系粘着剤は、常法により合成しても市販品を入手してもよい。市販品としては、例えば、荒川化学工業社製AS−PSA001(型式名、付加硬化型)、及び東レダウコーニング社製SD4584PSA(型式名、付加硬化型)が挙げられる。
超高分子量ポリエチレンとその超高分子量ポリエチレンとは異なるポリオレフィン系接着剤(以下、「PO系接着剤」とも表記する。)とを含む接着剤(以下、「UHPE−PO系接着剤」とも表記する。)における超高分子量ポリエチレンは、常法により合成されてもよく、市販品を入手してもよい。超高分子量ポリエチレンの合成方法としては、例えば低圧法(チーグラー法)が挙げられる。また、市販品の超高分子量ポリエチレンとしては、例えば、三井化学社から入手可能な「ハイゼックスミリオン(製品名)」、タイコナ社から入手可能な「ホスタレンGUR(製品名)」、旭化成ケミカルズ社から入手可能な「サンファイン(登録商標)」、及び、作新工業社から入手可能な「ニューライト(製品名)」が挙げられる。
超高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量は、10万以上であると好ましい。その上限は特に限定されず、例えば、800万以下であってもよいが、上記の超高分子量ポリエチレンフィルムの粘度平均分子量よりも低いことが好ましい。具体的には、接着剤における超高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量は、100万以下であるとより好ましく、80万以下であると好ましい。粘度平均分子量が10万以上であることにより、超高分子量ポリエチレンフィルムと被着部材との接着性をより高めることができる。一方、粘度平均分子量が超高分子量ポリエチレンフィルムの粘度平均分子量よりも低いと、UHPE−PO系接着剤に接着性を付与するための加熱の際に超高分子量ポリエチレンフィルムが変形するのをより抑制することができる。
PO系接着剤としては、例えばポリエチレン系接着剤、ポリプロピレン系接着剤及びポリエチレン−ポリプロピレン共重合体系接着剤が挙げられる。これらの中では、超高分子量ポリエチレンとの相溶性がより良好であり、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、ポリエチレン系接着剤が好ましい。また、同様の観点から、PO系接着剤を構成するポリオレフィンは変性されていると好ましい。変性の種類としては、例えば、酸変性、水酸基変性、及びアクリル変性が挙げられ、これらの中では上記と同様の観点からアクリル変性が好ましい。PO系接着剤におけるポリオレフィンの分子量は特に限定されず、例えば重量平均分子量で3万以上25万以下であってもよい。重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によって測定される。
UHPE−PO系接着剤におけるポリオレフィン系接着剤の含有量は、超高分子量ポリエチレン100質量部に対して、100質量部以上500質量部以下であると好ましく、200質量部以上400質量部以下であるとより好ましく、250質量部以上350質量部以下であると更に好ましい。ポリオレフィン系接着剤の含有量が100質量部以上であることにより、より高い接着性を発現することができる傾向にある。一方、ポリオレフィン系接着剤の含有量が500質量部以下であることにより、高温での接着力の低下をより有効に抑止できる傾向にある。
UHPE−PO系接着剤は、超高分子量ポリエチレンやポリオレフィン系接着剤を溶解したり分散したりする観点から、溶剤を含むと好ましい。溶剤としては、超高分子量ポリエチレンやポリオレフィン系接着剤を溶解したり分散したりできるものであれば特に限定されないが、例えば、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノンのようなケトン系溶剤、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びn−プロピルアセテートのようなエステル系溶剤、トルエン、シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサンのような炭化水素系溶剤、イソパラフィン、ミネラルスピリット並びに水が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
UHPE−PO系接着剤が溶剤を含む場合、溶剤の含有量は、超高分子量ポリエチレン及びポリオレフィン系接着剤の含有量100質量部に対して、50質量部以上400質量部以下であると好ましく、80質量部以上300質量部以下であるとより好ましく、100質量部以上200質量部以下であると更に好ましい。溶剤の含有量が50質量部以上であることにより、塗布するのに適切な粘度を得やすくなる傾向にある。一方、溶剤の含有量が400質量部以下であることにより、過度な希釈による超高分子量ポリエチレンの分布の偏り(塗りムラ)をより有効に防止できる傾向にある。
UHPE−PO系接着剤おけるPO系接着剤は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、溶剤をも含んだ形態として、例えば、三井化学社から入手可能な「ユニストール(製品名)」、及び三井化学社から入手可能な「ケミパール(製品名)」が挙げられる。
UHPE−PO系接着剤は、超高分子量ポリエチレンの粉末とポリオレフィン系接着剤とを含む接着剤であってもよく、そのうち上記粉末を液化したものであってもよい。上記粉末の液化は、粉末を加熱して溶融することであってもよく、更に溶媒を含む場合は、その溶媒により上記粉末を溶解することであってもよい。UHPE−PO系接着剤が超高分子量ポリエチレンの粉末を含む場合、その粉末の平均粒径は特に限定されず、例えば50μm以上250μm以下であってもよく、100μm以上200μm以下であってもよい。平均粒径はコールターカウンター法によって測定されるが、他の方法、例えば三井化学法により測定した平均粒径を、標準試料を対象として作成した検量線を用いて、コールカウンター法によって測定した場合の平均粒径に換算してもよい。
シアノアクリレート系接着剤は、シアノアクリレートを含有する接着剤であれば特に限定されない。シアノアクリレート系接着剤は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、例えば、セメダイン社から入手可能な「セメダインPPX(製品名)」、東亜合成社から入手可能な「エクストラ2000(製品名)」、及びスリーボンド社から入手可能な「TB1700シリーズ(製品名)」が挙げられる。
本実施形態に係る接着層に用いられる接着剤は、好ましくは、JIS K6854−2による180度引き剥がしによる接着強度が、−40℃において500gf/25mm以上であると好ましく、750gf/25mm以上であるとより好ましく、1000gf/25mm以上であると更に好ましい。また、上記の接着強度が、25℃において400gf/25mm以上であると好ましく、800gf/25mm以上であるとより好ましく、1200gf/25mm以上であると更に好ましい。これにより、摺動部材の常温及び/又は低温における接着強度をより優れたものとすることができる。接着強度の測定方法は、より具体的には実施例に示すとおりである。
接着層の厚さは5μm以上50μm以下であると好ましく、10μm以上40μm以下であるとより好ましく、25μm以上30μm以下であると更に好ましい。接着層の厚さが5μm以上であることにより、超高分子量ポリエチレンフィルムと被着部材との間の接着性をより高めることができる。また、接着層の厚さが50μm以下であると、母材である被着部材からの寸法変化をより小さくできる点で好ましく、また、50μmの厚さを超えても、上記接着性の更なる向上を望み難くなる。さらには、その厚さが50μm以下であることにより、摺動部材を湾曲させたり折り曲げたりした場合の被着部材と超高分子量ポリエチレンフィルムとの間の接着性の低下を、より抑制することができる。
本実施形態に係る超高分子量ポリエチレンフィルム及び接着層に用いられる接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれていてもよい。例えば、本実施形態に係る接着剤としてシリコーン系粘着剤を用いる場合、シリコーン系粘着剤は、その硬化反応を促進するために、触媒を含んでもよい。そのような触媒としては、例えば、白金系触媒、スズ系触媒、及びロジウム系触媒からなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
本実施形態の摺動部材は、超高分子ポリエチレンフィルム上に潤滑剤を更に備えると好ましい。これにより、摺動部材の摩擦係数を更に低下させることができる。潤滑剤としては、例えば、乾燥潤滑剤及び湿潤潤滑剤が挙げられ、これらのいずれか一方のみを用いてもよく、両方を併用してもよい。乾燥潤滑剤は、常温で固体の潤滑剤であり、乾燥潤滑剤としては、例えば、二硫化モリブデン及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられる、乾燥潤滑剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。また、湿潤潤滑剤は、常温で半固体又は液体の潤滑剤であり、湿潤潤滑剤としては、例えば、鉱物油や、合成炭化水素油、シリコーンオイル、及びフッ素オイルに代表される合成油、並びに前述のオイルを基油にしたグリースが挙げられる。湿潤潤滑剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中では、超高分子量ポリエチレンフィルムが多孔質でない場合(例えば上記気孔率が20%未満である場合)、潤滑剤が超高分子量ポリエチレンフィルム上に残存しやすい観点から、乾燥潤滑剤が好ましい。
また、湿潤潤滑剤としては、オレフィン系オイル又はオレフィン系グリースが好ましい。湿潤潤滑剤としてオレフィン系オイル又はオレフィン系グリースを用いることにより、超高分子量ポリエチレンフィルムとの親和性が更に高まり、オレフィン系オイルが超高分子量ポリエチレンフィルムの表面に残存しやすくなるので、摺動部材の低摩擦性及び耐久性に更に優れたものとなる。オレフィン系オイルとしては、例えば、ポリアルファオレフィン(PAO)が挙げられる。オレフィン系オイルは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。また、オレフィン系グリースとしては、例えば、上記のPAOを基油としたグリースが挙げられる。オレフィン系オイル及びオレフィン系グリースは、それぞれ1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態の摺動部材は、例えば、下記のようにして製造することができる。ただし、本実施形態の摺動部材の製造方法はこれに限定されない。本実施形態の摺動部材の製造方法は、被着部材と、その被着部材上に配置される超高分子量ポリエチレンフィルムと、被着部材と超高分子量ポリエチレンフィルムとの間に配置され、被着部材と超高分子量ポリエチレンフィルムとを接着する接着剤の固化物である接着層とを備える摺動部材の製造方法であって、被着部材及び超高分子量ポリエチレンフィルムの少なくとも一方の表面に接着剤を塗布する工程と、塗布した接着剤を固化して接着層を得る工程と、被着部材と超高分子量ポリエチレンフィルムとを接着層で接着した摺動部材を得る工程とを有する。
より具体的には、例えば、まず、被着部材を準備する。この際、被着部材の表面を必要に応じて脱脂洗浄してもよい。また、それとは別に、超高分子量ポリエチレンフィルムと接着層を形成するための接着剤とを準備し、超高分子量ポリエチレンフィルム又は被着部材の表面に接着剤を塗布する。塗布方法として、例えばブレードによる塗布及びスプレー塗布が挙げられる。スプレー塗布を採用する場合は、作業性向上の観点から、接着剤をその溶剤で希釈してスプレー塗布に適した粘度に調整してから塗布してもよい。また、接着剤がシリコーン系粘着剤である場合は、必要に応じて予め触媒を含むものであってもよい。
次いで、超高分子量ポリエチレンフィルム又は被着部材に塗布した接着剤を、必要に応じて加熱することにより硬化(固化)させて接着層を得る。それと同時に、又は、その後に、被着部材と超高分子量ポリエチレンフィルムとを接着層で接着した摺動部材を得る。例えば、接着剤がシリコーン系粘着剤である場合、塗布したシリコーン系粘着剤を必要に応じて加熱(固化)させて、超高分子量ポリエチレンとシリコーン系粘着剤の固化物からなる接着層とを積層した積層体、あるいは被着部材とシリコーン系粘着剤の固化物からなる接着層とを積層した積層体を得る。次に、その積層体の接着層側を、接着層を介して接着する相手部材(被着部材又は超高分子量ポリエチレンフィルム)と対向するようにして、相手部材に対して積層体を密着し、適宜それらを積層方向に押圧することにより、相手部材に積層体を貼り付けて摺動部材を得る。
また、例えば接着剤がUHPE−PO系接着剤である場合、塗布したUHPE−PO系接着剤を挟み込むように被着部材と超高分子量ポリエチレンフィルムとを重ねて積層体を得る工程と、塗布したUHPE−PO系接着剤を加熱する工程と、その加熱する工程の後にUHPE−PO系接着剤を冷却することにより、その接着剤を固化した接着層を得ると共に、その接着層により被着部材と超高分子量ポリエチレンフィルムとを接着した摺動部材を得る工程とを有してもよい。UHPE−PO系接着剤を加熱することにより、PO系接着剤中の超高分子量ポリエチレンの分子が一層互いに絡まり合い、その状態で冷却することにより、超高分子量ポリエチレンの分子が互いに絡まった状態で固定化されるため、接着層の機械的強度が高まり、特に低温及び常温での接着強度が高くなる結果、摺動部材の機械的強度も向上する。加熱する前のUHPE−PO系接着剤に含まれる超高分子量ポリエチレンが粉末である場合は、加熱する工程の前では超高分子量ポリエチレンの分子の絡まり合いが少ないため、接着剤の粘度が低く抑制され、塗布性などのハンドリング性により優れると共に、接着剤の粘度の制御も一層容易となる。その一方、塗布した後に加熱することで超高分子量ポリエチレンの粉末が溶融し、あるいは接着剤が溶剤を含む場合はその粉末が溶剤に溶解するため、超高分子量ポリエチレンの分子は良好に互いに絡み合う。
さらに、例えば接着剤がシアノアクリレート系接着剤である場合、塗布したシアノアクリレート系接着剤を挟み込むように被着部材と超高分子量ポリエチレンフィルムとを重ねることにより、シアノアクリレート系接着剤が被着部材や超高分子量ポリエチレンフィルムにごく微量に存在し得る水分により硬化して接着層を形成すると共に、その接着層により被着部材と超高分子量ポリエチレンフィルムとを接着した摺動部材を得る。
本実施形態の摺動部材の製造方法によれば、特許文献1に記載のようにコロナ処理を施す必要がないため、短時間かつ低コストで摺動部材を製造することができる。
本実施形態の摺動部材は、例えば、その動摩擦係数を0.05以上0.10以下の範囲とすることができる。特に、本実施形態の摺動部材が潤滑剤を備える場合、その動摩擦係数を0.01以上0.04以下の範囲とすることができる。動摩擦係数は、ボールオンディスク摩擦試験によって測定される。
本実施形態の摺動部材は、主に超高分子量ポリエチレンフィルムをその表面に備えることにより、優れた低摩擦性を有すると共に優れた耐摩耗性をも有することができる。また、シリコーン系粘着剤、超高分子量ポリエチレンとその超高分子量ポリエチレンとは異なるポリオレフィン系接着剤とを含む接着剤、及びシアノアクリレート系接着剤からなる群より選ばれる1種以上の接着剤の固化物である接着層を介して、被着部材と超高分子量ポリエチレンフィルムとを接着することにより、被着部材と超高分子量ポリエチレンフィルムとの特に低温及び常温での接着性が高まり、またその結果、本実施形態の摺動部材は耐久性にも優れたものとなる。接着剤としてシリコーン系粘着剤を用いた場合に低温及び常温での接着性が高まる理由は、低温及び常温において、シリコーン系粘着剤と被着部材との間、並びにシリコーン系粘着剤と超高分子量ポリエチレンフィルムとの間で、いずれも高い分子間力を有するためと推測される。また、接着剤としてUHPE−PO系接着剤を用いた場合に低温及び常温での接着性が高まる理由は、低温及び常温において、特にUHPE−PO系接着剤と超高分子量ポリエチレンフィルムとの間でポリマーの分子同士が絡み合うためと推測される。さらに、接着剤としてシアノアクリレート系接着剤を用いた場合に低温及び常温での接着性が高まる理由は、低温及び常温において、シアノアクリレート系接着剤が特に超高分子量ポリエチレンフィルムとの間で化学結合を有するためと推測される。ただし、要因はこれらに限定されない。
さらに、接着剤が固化する前に、超高分子量ポリエチレンフィルムと被着部材との間に接着剤を介在させると、それらの層間(すなわち超高分子量ポリエチレンフィルムと接着剤との間、及び、接着剤と被着部材との間)に空気が混入し難い。このように空気の混入を防ぐことで、特にその空気が存在する部分を起点としたそれらの層間の剥離を抑制することができるため、摺動部材の耐久性を更に高めることができる。また、通常、空気が混入することにより摺動部材の外観が損なわれるところ、本実施形態の摺動部材は、上記のように空気の混入を防ぐこともできるので、外観が損なわれるのを抑制することができる。さらにいえば、接着剤がシリコーン系粘着剤である場合は、その接着剤自体が耐薬品性、高温耐久性及び低温耐久性に優れたものであるが、それに加えて、接着層により空気の混入を防ぐことができるため、層間への薬品の浸入を防ぐこともでき、このことにも起因して、摺動部材は一層耐薬品性に優れたものとなる。また、上述の接着剤を用いることにより、上記の層間での密着性に優れるため、異物の混入も防ぐことができ、その結果、耐久性はもちろんのこと、不使用時の摺動部材の劣化等をも抑制することができ、摺動部材の長期安定性にも優れたものとなる。さらに、本実施形態に係る接着層は、湾曲させたり折り曲げたりした場合でも被着部材や超高分子量ポリエチレンフィルムへの追従性に優れているので、摺動部材を湾曲させたり折り曲げたりした場合であっても、上記層間の剥離を抑制でき、その結果、湾曲時及び折り曲げ時の低摩擦性、耐摩耗性、耐薬品性、及び耐久性にも優れたものとなる。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
被着部材として鉄製の平板、超高分子量ポリエチレンフィルムとして作新工業株式会社製のニューライト(製品名、粘度平均分子量:100万〜600万、厚さ:75μm、表面粗さ:0.35μm)、接着剤として荒川化学工業株式会社製のシリコーン系粘着剤であるAS−PSA001(型式名、付加硬化型)、その触媒として荒川工業株式会社製CATA93B(型式名、白金系触媒)を準備した。次に、被着部材の表面を脱脂洗浄した。それとは別に、シリコーン系粘着剤に対して触媒を必要量添加した後、それらを室温にて混合撹拌した。次いで、超高分子量ポリエチレンフィルムの表面に混合攪拌後のシリコーン系粘着剤を、スプレーを用いて塗布した。次に、シリコーン系粘着剤を塗布した超高分子量ポリエチレンフィルムをオーブンに収容して、120℃で1分間加熱することにより、シリコーン系粘着剤を硬化して、それらの積層体を得た。続いて、その積層体のシリコーン系粘着剤側を被着部材と対向するようにして、被着部材に対して積層体を密着した上で押圧することにより、被着部材に積層体を貼り付けた。こうして、被着部材上に、厚さ25μmの接着層と、厚さ75μm、表面粗さRa1.0の超高分子量ポリエチレンフィルムとをこの順に備えた摺動部材を得た。
(実施例2)
超高分子量ポリエチレンの粉末として三井化学株式会社製のハイゼックスミリオン030S(製品名、粘度平均分子量:50万、平均粒径130μm)、及び、溶剤をも含むPO系接着剤として三井化学株式会社製のユニストールH300(製品名、アクリル変性ポリオレフィン、固形分濃度:32質量%、溶剤:n−プロピルアセテート及びメチルシクロヘキサン)を準備した。これらを超高分子量ポリエチレンの粉末とアクリル変性ポリオレフィンとの質量比が10:28.8となるように混合してUHPE−PO系接着剤を得た。また、被着部材として鉄製の平板、超高分子量ポリエチレンフィルムとして作新工業株式会社製のニューライト(製品名、粘度平均分子量:100万〜600万、厚さ:75μm、表面粗さ:0.35μm)を準備した。次に、被着部材の表面を脱脂洗浄した。次いで、その被着部材の表面にUHPE−PO系接着剤を、ブレードを用いて塗布した。次に、塗布したUHPE−PO系接着剤を被着部材と共に挟むようにして、超高分子量ポリエチレンフィルムをその接着剤に密着させて、それらの積層体を得た。続いて、その積層体をホットプレート上に載置して、150℃で1時間加熱した。そして、その後自然冷却を経ることにより、接着剤を固化させて、被着部材と超高分子量ポリエチレンフィルムとを接着する接着層を形成した。こうして、被着部材上に、厚さ約25μmの接着層と、厚さ75μm、表面粗さ1.0μmの超高分子量ポリエチレンフィルムとをこの順に備えた摺動部材を得た。
(実施例3)
実施例2において得られた摺動部材における超高分子量ポリエチレンフィルムの表面にPAO系リチウム石鹸グリース(エスティーティー社製、製品名「SOLVEST TAC−4」)を表層に薄く塗布して、実施例3の摺動部材を得た。
(実施例4)
潤滑剤を含浸した超高分子量ポリエチレンフィルムを以下のようにして準備した。まず、超高分子量ポリエチレンの粉末として三井化学株式会社製のミペロンPM−200(製品名、粘度平均分子量:180万、平均粒径10μm)、潤滑剤としてオイル(エクソンモービル社製、製品名「SPECTRASYN PLUS6」)、及び溶剤として炭化水素系溶剤である出光社製製品名「ダフニーアルファクリーナーMX」を準備した。次に、超高分子量ポリエチレンフィルムと潤滑剤と溶剤との質量比が36:3:61になるようにそれらを配合し十分に混合して混合物を得た。次いで、その混合物を基材(素材:ステンレス)に塗布した後、オーブンに収容して150℃で30分間加熱して溶剤を除去し、さらに自然冷却により固化した。そして、固化後の塗膜を基材から剥離することにより、厚さ35μmの潤滑剤を含浸した超高分子量ポリエチレンフィルムを得た。超高分子量ポリエチレンフィルムとして、作新工業株式会社製のニューライトに代えて上述のようにして得た潤滑剤を含浸した超高分子量ポリエチレンフィルムを用いた以外は実施例2と同様にして、超高分子量ポリエチレンフィルムと潤滑剤との総量100質量%に対して、被着部材上に、厚さ25μmの接着層と、厚さ35μm、表面粗さRa1.5μmの超高分子量ポリエチレンフィルムとをこの順に備えた摺動部材を得た。
(実施例5)
潤滑剤を含浸した超高分子量ポリエチレンフィルムを以下のようにして準備した。まず、超高分子量ポリエチレンの粉末として三井化学株式会社製のミペロンPM−200(製品名、粘度平均分子量:180万、平均粒径10μm)、潤滑剤としてオイル(エクソンモービル社製、製品名「SPECTRASYN PLUS6」)、及び溶剤として炭化水素系溶剤である出光社製製品名「ダフニーアルファクリーナーMX」を準備した。次に、超高分子量ポリエチレンフィルムと潤滑剤と溶剤との質量比が36:23:41になるようにそれらを配合し十分に混合して混合物を得た。次いで、その混合物を基材(素材:ステンレス)に塗布した後、オーブンに収容して150℃で30分間加熱し溶剤を除去し、さらに自然冷却により固化した。そして、固化後の塗膜を基材から剥離することにより、厚さ35μmの潤滑剤を含浸した超高分子量ポリエチレンフィルムを得た。超高分子量ポリエチレンフィルムとして、作新工業株式会社製のニューライトに代えて上述のようにして得た潤滑剤を含浸した超高分子量ポリエチレンフィルムを用いた以外は実施例2と同様にして、超高分子量ポリエチレンフィルムと潤滑剤との総量100質量%に対して、被着部材上に、厚さ25μmの接着層と、厚さ35μm、表面粗さRa1.5μmの超高分子量ポリエチレンフィルムとをこの順に備えた摺動部材を得た。
(実施例6)
被着部材として鉄製の平板、超高分子量ポリエチレンフィルムとして作新工業株式会社製ニューライト(製品名、粘度平均分子量:100万〜600万、厚さ:75μm、表面粗さ:0.35μm)、及び接着剤としてセメダイン株式会社製のシアノアクリレート系接着剤であるセメダインPPX(製品名)を準備した。次に、被着部材の表面を脱脂洗浄した。次いで、被着部材の表面に、シアノアクリレート系接着剤をブレードを用いて塗布し、その後速やかに、塗布したシアノアクリレート系接着剤を被着部材と共に挟むようにして、超高分子量ポリエチレンフィルムをその接着剤に密着させ、さらに接着剤を固化させて、被着部材と超高分子量ポリエチレンフィルムとを接着する接着層を形成した。こうして、被着部材上に、厚さ25μmの接着層と、厚さ75μm、表面粗さRa1.0μmの超高分子量ポリエチレンフィルムとをこの順に備えた摺動部材を得た。
(比較例1)
上記脱脂洗浄後の被着部材の表面に、SOLVEST360(株式会社エスティーティー社製製品名、固体潤滑剤入り樹脂系被膜)を接着することで、比較例1の摺動部材を得た。
(比較例2)
比較例1において得られた摺動部材における超高分子量ポリエチレンフィルムの表面にグリース(エスティーティー社製、製品名「SOLVEST TAC−4」)を塗布して、比較例2の摺動部材を得た。
(比較例3)
日東電工社製のアクリル系粘着剤付きのUHPEシートであるNo.4430(型番名)を準備した。次に、そのシートのアクリル系粘着剤側を、表面を脱脂処理した被着部材と対向するようにして、被着部材に対してシートを密着した上で押圧することにより、被着部材に積層体を貼り付けた。こうして、被着部材上に、厚さ25μmの接着層と、厚さ75μm、表面粗さRa1.0の超高分子量ポリエチレンフィルムとをこの順に備えた摺動部材を得た。
(低摩擦性試験1)
下記のようにして低摩擦性及び耐久性の試験を行った。すなわち、表面性測定器(製品名「HEIDON−14FW」、新東化学株式会社製)の所定の位置に、15cm×5cmの矩形に切断した摺動部材の試験片を設置した。次いで、以下の試験条件にて試験片と相手材とを互いに摺動させて、試験初期の低摩擦性を摩擦係数にて評価すると共に、その摩擦係数の経時変化を測定した。試験条件は、荷重:1kgf(約10MPa)、速度:3000mm/min、ストローク:10mm、相手材:SUJ−2(φ5mm)、雰囲気:室温(25℃)とした。
実施例2及び比較例1の摺動部材の測定結果を対比すると、実施例2における試験初期の摩擦係数は、静摩擦係数で0.09、動摩擦係数で0.07であったのに対して、比較例2における試験初期の摩擦係数は、静摩擦係数で0.09、動摩擦係数で0.04であった。また、実施例2においては、10000回以上のサイクルでも静摩擦係数が0.30を超えず0.17程度であったのに対して、比較例1においては、2000回のサイクルを超えた時点で、静摩擦係数が0.30を超え、試験を終了せざるを得なかった。
実施例3及び比較例2の摺動部材の測定結果を対比すると、実施例3における試験初期の摩擦係数は、静摩擦係数で0.08、動摩擦係数で0.03であったのに対して、比較例2における試験初期の摩擦係数は、静摩擦係数で0.07、動摩擦係数で0.02であった。また、実施例3においては、45000回以上のサイクルでも静摩擦係数が0.30を超えず0.10程度であったのに対して、比較例2においては、10000回のサイクルを超えた時点で、静摩擦係数が0.30を超え、試験を終了せざるを得なかった。
なお、実施例1、6については実施例2と同様の結果であった。
(低摩擦性試験2)
下記のようにして低摩擦性試験を行った。すなわち、表面性測定器(製品名「HEIDON−HHS−2000」、新東化学株式会社製)の所定の位置に、15cm×5cmの矩形に切断した摺動部材の試験片を設置した。次いで、以下の試験条件にて試験片と相手材とを互いに摺動させて、摺動10回目における動摩擦係数を測定した。試験初期の低摩擦性を摩擦係数にて評価すると共に、その摩擦係数の経時変化を測定した。試験条件は、荷重:10kgf(約100MPa)、速度:600mm/min、ストローク:10mm、相手材:SUJ−2(φ5mm)、雰囲気:室温(25℃)とした。その結果、実施例2〜5の動摩擦係数は、順に0.070、0.030、0.033、0.021となった。また、実施例1、6については実施例2と同様の結果であった。
(接着性試験)
実施例1、2、6、及び比較例3の摺動部材について、引張試験機を用いて、JIS K 6854−2の「接着剤−はく離接着強さ試験」に準拠して、超高分子量ポリエチレンフィルムと被着部材との間の180度剥離試験を行った。なお、この接着性試験は、−40℃(低温)、25℃(常温)及び100℃(高温)で行った。結果を表1に示す。実施例1、2及び6では、いずれも低温及び常温での接着強度が高い数値を示したのに対して、比較例3では、低温での接着強度が劣る結果となった。なお、表1中、「測定不能」となっているのは、接着強度が高すぎたため、超高分子量ポリエチレンフィルムと被着部材との間で剥離するよりも前に、超高分子量ポリエチレンフィルムが破壊された結果、接着強度を測定できなかったことを示す。
本発明の摺動部材は、低摩擦性、耐摩耗性、耐久性、低温及び常温における接着強度及び長期安定性に優れるので、そのような特性を求められる技術分野、例えば自動車の摺動部材のような技術分野に産業上の利用可能性がある。
1…超高分子ポリエチレンフィルム、2…接着層、3…被着部材。

Claims (14)

  1. 被着部材と、前記被着部材上に配置される超高分子量ポリエチレンフィルムと、前記被着部材と前記超高分子量ポリエチレンフィルムとの間に配置され、前記被着部材と前記超高分子量ポリエチレンフィルムとを接着する接着層と、を備え、
    前記接着層は、超高分子量ポリエチレンと前記超高分子量ポリエチレンとは異なるポリオレフィン系接着剤とを含む接着剤、及びシアノアクリレート系接着剤からなる群より選ばれる1種以上を含む接着剤の固化物であり、前記ポリオレフィン系接着剤は、ポリエチレン系接着剤又は変性ポリオレフィン系接着剤である、摺動部材。
  2. 被着部材(ただし、ポリエチレンテレフタレートフィルムを除く。)と、前記被着部材上に配置される超高分子量ポリエチレンフィルムと、前記被着部材と前記超高分子量ポリエチレンフィルムとの間に配置され、前記被着部材と前記超高分子量ポリエチレンフィルムとを接着する接着層と、を備え、
    前記接着層は、シリコーン系粘着剤の固化物である、摺動部材。
  3. 前記被着部材と前記超高分子量ポリエチレンフィルムとを接着する前記接着剤は、前記超高分子量ポリエチレンと前記超高分子量ポリエチレンとは異なるポリオレフィン系接着剤とを含む前記接着剤を含む、請求項1に記載の摺動部材。
  4. 前記ポリオレフィン系接着剤は、アクリル変性ポリオレフィン系接着剤である、請求項1又はに記載の摺動部材。
  5. 前記超高分子量ポリエチレンフィルムは、該超高分子量ポリエチレンフィルムに含浸した潤滑剤を含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の摺動部材。
  6. 前記超高分子量ポリエチレンフィルム上に潤滑剤を更に備える、請求項1〜のいずれ1項に記載の摺動部材。
  7. 前記潤滑剤は、乾燥潤滑剤又は湿潤潤滑剤である、請求項に記載の摺動部材。
  8. 前記超高分子量ポリエチレンフィルムの前記潤滑剤側の表面が複数の溝を有する、請求項6又は7に記載の摺動部材。
  9. 前記超高分子量ポリエチレンフィルムの前記潤滑剤側の表面が梨地面状である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の摺動部材。
  10. 前記被着部材は金属製被着部材である、請求項1〜のいずれか1項に記載の摺動部材。
  11. 前記超高分子量ポリエチレンフィルムの厚さは、5μm以上200μm以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の摺動部材。
  12. 前記接着層の厚さは、5μm以上50μm以下である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の摺動部材。
  13. 被着部材と、前記被着部材上に配置される超高分子量ポリエチレンフィルムと、前記被着部材と前記超高分子量ポリエチレンフィルムとの間に配置され、前記被着部材と前記超高分子量ポリエチレンフィルムとを接着する接着剤の固化物である接着層と、を備える摺動部材の製造方法であって、
    前記被着部材及び前記超高分子量ポリエチレンフィルムの少なくとも一方の表面に、超高分子量ポリエチレンの粉末と前記超高分子量ポリエチレンとは異なるポリオレフィン系接着剤とを含む第1の接着剤を塗布する工程と、
    塗布した前記第1の接着剤を加熱することにより該第1の接着剤に含まれる前記超高分子量ポリエチレンの粉末を液化する工程と、
    前記液化する工程の後に前記第1の接着剤を冷却することにより、前記第1の接着剤を固化した接着層を得る工程と、
    前記被着部材と前記超高分子量ポリエチレンフィルムとを前記接着層で接着した摺動部材を得る工程と、を有し、
    前記ポリオレフィン系接着剤は、ポリエチレン系接着剤又は変性ポリオレフィン系接着剤である、製造方法。
  14. 被着部材と超高分子量ポリエチレンフィルムとを接着するために用いられる接着剤であって、超高分子量ポリエチレンの粉末とポリオレフィン系接着剤とを含み、
    前記ポリオレフィン系接着剤は、ポリエチレン系接着剤又は変性ポリオレフィン系接着剤である、接着剤。
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