JP6603811B2 - ガスバリアフィルムおよびガスバリアフィルムの製造方法 - Google Patents

ガスバリアフィルムおよびガスバリアフィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、積層型のガスバリアフィルム、および、このガスバリアフィルムの製造方法に関する。
水分および酸素等を遮断するガスバリアフィルムが、各種の部材および材料等の保護を目的として利用されている。
例えば、近年では、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)またはプラスチック液晶等を用いる表示装置において、有機EL素子またはプラスチック液晶を保護するために、これらをガスバリアフィルムで封止することが行われている。
また、太陽電池では、光電変換層等を有する太陽電池セルが水分に弱いため、太陽電池セルをガスバリアフィルムで封止することが行われている。
ガスバリアフィルムは、通常、樹脂フィルム等を支持体として、その表面にガスバリア性を発現するガスバリア層が形成された構成を有する。
また、高いガスバリア性を発現する構成として、支持体の上に、ガスバリア層として、無機層と、無機層の下地層となる有機層との組み合わせを、1組以上有する、有機無機積層型のガスバリアフィルムが知られている。
有機無機積層型のガスバリアフィルムは、下地となる有機層の上に、ガスバリア性を発現する無機層を形成する。これにより、無機層の形成面に、凹凸および異物の影のような、無機層となる無機化合物が着膜し難い部分を無くし、基板の表面全面に、隙間無く、適正な無機層を成膜することが可能になる。その結果、有機無機積層型のガスバリアフィルムは、高いガスバリア性を発現する。
例えば、特許文献1には、このような有機無機積層型のガスバリアフィルムにおいて、無機層の上に形成される有機層が、ラジカル重合性基を有さないシランカップリング剤を含有することにより、優れたガスバリア性を有すると共に、無機層と、無機層の上に形成される有機層との密着性を向上させたガスバリアフィルムが記載されている。
特開2015−44393号公報
有機無機積層型のガスバリアフィルムでは、有機層と無機層との密着性が良好であることが要求される。
前述のように、特許文献1では、無機層の上に形成される有機層が、特定のシランカップリング剤を含有することで、無機層と、無機層の上に形成される有機層と密着性を向上している。
一方、特許文献1にも記載されるように、有機無機積層型のガスバリアフィルムでは、下地となる有機層と無機層との組み合わせの多い程、高いガスバリア性が得られる。
従って、例えば有機EL素子のように高いガスバリア性を要求される用途に、有機無機積層型のガスバリアフィルムを利用する場合には、下地となる有機層と無機層との組み合わせを2組以上有するガスバリアフィルムが好適に利用される。
下地となる有機層と無機層との組み合わせを2組以上有する有機無機積層型のガスバリアフィルムでは、無機層の間に形成される有機層、すなわち、無機層に挟持される有機層が存在する。
ところが、本発明者の検討によれば、無機層の間に形成される有機層は、他の有機層と比べて、下層となる無機層との密着性が特に低くなる傾向にある。そのため、無機層の間に形成される有機層は、シランカップリング剤等の密着性を向上させる成分を含有するだけでは、必ずしも、下層の無機層との間で十分な密着性を得られない場合も有る。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、有機無機積層型のガスバリアフィルムにおいて、高いガスバリア性を有し、さらに、無機層の間の有機層と、その下層の無機層との密着性が良好なガスバリアフィルム、および、このガスバリアフィルムの製造方法を提供することにある。
この目的を達成するために、本発明のガスバリアフィルムは、支持体の一方の面に、無機層と、無機層の下地となる有機層との組み合わせを、2組以上有し、
支持体の表面には有機層を有し、支持体の表面の有機層を下層有機層、無機層の間の有機層を中間有機層とした場合に、中間有機層の厚さが0.05〜0.5μmで、中間有機層の厚さ/下層有機層の厚さの比が0.1以下であり、さらに、
中間有機層が、下記の一般式(1)で表される(メタ)アクリレートの重合体を含有することを特徴とするガスバリアフィルムを提供する。
一般式(1)

一般式(1)中、R1は、置換基を表し、それぞれ、同一でも異なってもよい。nは、0〜5の整数を示し、それぞれ、同一でも異なってもよい。但し、R1の少なくとも1つは(メタ)アクリロイル基を含む。
このような本発明のガスバリアフィルムにおいて、中間有機層が、ウレタン(メタ)アクリレートの重合体を含有するのが好ましい。
また、ウレタン(メタ)アクリレートが6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートであるのが好ましい。
また、中間有機層が、二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートの重合体を含有するのが好ましい。
さらに、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートが、4官能以上の(メタ)アクリレートであるのが好ましい。
また、本発明のガスバリアフィルムの製造方法は、支持体の一方の面に、有機層と無機層とを交互に形成することを、有機層および無機層共に、2層以上、行い、かつ、
支持体の表面には有機層を形成し、支持体の表面に形成される有機層を下層有機層、無機層の間に形成される有機層を中間有機層とした場合に、中間有機層の厚さが0.05〜0.5μmで、中間有機層の厚さ/下層有機層の厚さの比が0.1以下となるように、下層有機層および中間有機層を形成するものであり、さらに、
中間有機層を、下記の一般式(1)で表される(メタ)アクリレートを含有する重合性組成物を無機層に塗布する塗布工程、無機層に塗布した重合性組成物を加熱して乾燥する乾燥工程、および、乾燥した重合性組成物を硬化する硬化工程、を行って形成することを特徴とするガスバリアフィルムの製造方法を提供する。
一般式(1)

一般式(1)中、R1は、置換基を表し、それぞれ、同一でも異なってもよい。nは、0〜5の整数を示し、それぞれ、同一でも異なってもよい。但し、R1の少なくとも1つは(メタ)アクリロイル基を含む。
このような本発明のガスバリアフィルムの製造方法において、重合性組成物が、ウレタン(メタ)アクリレートを含有するのが好ましい。
また、ウレタン(メタ)アクリレートが6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートであるのが好ましい。
また、重合性組成物が、二重結合当量が200以下の多官能の(メタ)アクリレートを含有するのが好ましい。
また、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートが、4官能以上の(メタ)アクリレートであるのが好ましい。
また、無機層および有機層の形成を、ロール・トゥ・ロール方式によって行うものであり、かつ、無機層を形成した後、形成した無機層が他の部材に接触する前に、無機層の表面に保護フィルムを積層し、さらに、中間有機層の形成に先立ち、無機層から保護フィルムを剥離し、無機層が他の部材に接触する前に、塗布工程を行うのが好ましい。
また、保護フィルムがポリオレフィン製であるのが好ましい。
さらに、重合性組成物の粘度が1Pa・s以上であるのが好ましい。
本発明によれば、有機無機積層型のガスバリアフィルムにおいて、高いガスバリア性を有すると共に、無機層に挟まれた有機層と、この有機層の下層の無機層との密着力が良好なガスバリアフィルムを得られる。
図1は、本発明のガスバリアフィルムの一例を概念的に示す図である。 図2は、本発明のガスバリアフィルムを製造する有機成膜装置の一例を概念的に示す図である。 図3は、本発明のガスバリアフィルムを製造する無機成膜装置の一例を概念的に示す図である。
以下、本発明のガスバリアフィルム、および、ガスバリアフィルムの製造方法について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
図1に、本発明のガスバリアフィルムの一例を概念的に示す。
なお、図1は、あくまで本発明のガスバリアフィルムの一例を概念的に示すものであり、各層の厚さの関係等は、実際の本発明のガスバリアフィルムとは異なる。
図1に示すガスバリアフィルムは、有機層と無機層とを交互に形成してなる前述の有機無機積層型のガスバリアフィルムで、支持体12と、支持体12の一方の表面に形成される下層有機層14と、下層有機層14の表面に形成される無機層16と、無機層16の表面に形成される中間有機層18と、中間有機層18の表面に形成される2層目の無機層16と、2層目の無機層16の表面に形成される保護有機層19とを有して構成される。
なお、以下の説明では、『ガスバリアフィルム10』を単に『バリアフィルム10』とも言う。また、以下の説明では、便宜的に、バリアフィルム10における保護有機層19側を『上』、支持体12側を『下』、とも言う。
前述のように、図1に示すバリアフィルム10は、支持体12の一方の面に、下層有機層14と、1層目の無機層16と、中間有機層18と、2層目の無機層16とを有し、最上層に保護有機層19を有する。
すなわち、このバリアフィルム10は、無機層と、無機層の下地となる有機層との組み合わせを、2組、有するものである。しかしながら、本発明のバリアフィルムは、これ以外にも、各種の層構成が利用可能である。
例えば、図1に示すバリアフィルム10において、2層目の無機層16の上に、2層目の中間有機層18を有し、この中間有機層18の上に3層目の無機層16を有し、3層目の有機層の上に保護有機層19を有する、無機層と、無機層の下地となる有機層との組み合わせを、3組有する構成も、好適に例示される。また、無機層と、無機層の下地となる有機層との組み合わせを、4組以上、有する構成も好適に利用可能である。
有機無機積層型のガスバリアフィルムでは、一般的に、無機層16と、無機層16の下地となる有機層との組み合わせの数が多いほど、優れたガスバリア性を発現する。
また、保護有機層19は、好ましい態様として設けられるものである。従って、本発明のガスバリアフィルムは、保護有機層19を有さない構成も利用可能である。
すなわち、本発明のガスバリアフィルムは、支持体12の表面に無機層16の下地となる有機層を有し、かつ、無機層と、無機層の下地となる有機層との組み合わせを、2組以上、有する構成であれば、各種の層構成が利用可能である。
バリアフィルム10において、支持体12は、各種のガスバリアフィルムおよび各種の積層型の機能性フィルム等において支持体として利用されている、公知のシート状物が、各種、利用可能である。
支持体12としては、具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリトニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、透明ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、環状オレフィン・コポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、および、トリアセチルセルロース(TAC)などの、各種の樹脂材料からなるフィルム(樹脂フィルム)が、好適に例示される。
また、本発明においては、このような樹脂フィルムの表面に、保護層、接着層、光反射層、反射防止層、遮光層、平坦化層、緩衝層、応力緩和層等の、各種の機能を得るための層(膜)が形成されているものを、支持体12として用いてもよい。
支持体12の厚さは、用途および形成材料等に応じて、適宜、設定すればよい。
本発明者の検討によれば、支持体12の厚さは、5〜150μmが好ましく、10〜100μmがより好ましい。
支持体12の厚さを、上記範囲とすることにより、バリアフィルム10の機械的強度を確保すると共に、バリアフィルム10の軽量化、薄手化、可撓性等の点で好ましい。
バリアフィルム10は、支持体12の上(表面)に、下層有機層14を有する。
下層有機層14は、有機化合物からなる層で、基本的に、下層有機層14となるモノマー、ダイマーおよびオリゴマー等を硬化(架橋、重合)したものである。
本発明のバリアフィルム10において、無機層16の下層の有機層は、バリアフィルム10において主にガスバリア性を発現する無機層16を適正に形成するための、下地層として機能する。すなわち、無機層16の下層の有機層は、無機層16の形成面の凹凸等を包埋して、無機層16の成膜面を、無機層16の成膜に適した状態にするものである。
このような下地となる有機層を有することにより、無機層16の形成面に、凹凸等の影のような、無機層16となる無機化合物が着膜し難い領域を無くし、無機層16の形成面の表面全面に、隙間無く、適正な無機層16を成膜することが可能になる。
従って、支持体12の上に形成される下層有機層14は、支持体12の表面の凹凸、および、支持体12の表面に付着している異物等を包埋して、無機層16の成膜面を、無機層16の成膜に適した状態にするものである。
バリアフィルム10において、下層有機層14の形成材料には、限定はなく、公知の有機化合物が、各種、利用可能である。
具体的には、ポリエステル、(メタ)アクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、アクリル化合物、などの熱可塑性樹脂、ポリシロキサン、および、その他の有機ケイ素化合物の膜が好適に例示される。これらは、複数を併用してもよい。
中でも、ガラス転移温度および強度等に優れる等の点で、ラジカル硬化性化合物およびエーテル基を官能基に有するカチオン硬化性化合物の少なくとも一方の重合体から構成された下層有機層14は、好適である。
中でも特に、屈折率が低い、透明性が高く光学特性に優れる等の点で、アクリレートおよびメタクリレートの少なくとも一方のモノマー、ダイマーおよびオリゴマー等の重合体を主成分とするアクリル樹脂およびメタクリル樹脂は、下層有機層14として好適に例示される。
その中でも特に、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(DPGDA)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(DPHA)などの、2官能以上、特に3官能以上のアクリレートおよびメタクリレートの少なくとも一方のモノマー、ダイマーおよびオリゴマー等の重合体を主成分とするアクリル樹脂およびメタクリル樹脂は、好適に例示される。また、これらのアクリル樹脂およびメタクリル樹脂の少なくとも一方を、複数、用いるのも好ましい。
また、後述する中間有機層18で用いられる、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートの重合体も、下層有機層14として利用可能である。
さらに、後述する保護有機層19で用いられるグラフト共重合体も、下層有機層14として利用可能である。
本発明のバリアフィルム10において、支持体12の上に形成される下層有機層14の厚さは、中間有機層18の厚さ/下層有機層14の厚さの比で0.1以下である。すなわち、本発明において、中間有機層18および下層有機層14は、『中間有機層18の厚さ/下層有機層14の厚さ≦0.1』を満たす。
また、後述するが、本発明のバリアフィルム10において、無機層16の間の中間有機層18の厚さは0.05〜0.5μmである。
従って、本発明のバリアフィルム10において、下層有機層14の厚さは、中間有機層18の厚さが最大の0.5μmの場合には5μm以上となり、中間有機層18の厚さが最小の0.05μmの場合でも0.5μm以上となる。
具体的には、下層有機層14の厚さは2〜10μmが好ましく、3〜6μmがより好ましい。
本発明のバリアフィルム10は、無機層16の間の有機層である中間有機層18の厚さを、非常に薄くする点が特徴の1つである。
本発明のバリアフィルム10は、このような中間有機層18に対して、下層有機層14の厚さを、中間有機層18の厚さ/下層有機層14の厚さの比で0.1以下とする。すなわち、本発明のバリアフィルム10は、下層有機層14の厚さを、最低でも0.5μm以上として、かつ、中間有機層18に比して十分に厚くする。本発明のバリアフィルム10は、このような構成を有することにより、支持体12の表面の凹凸、および、支持体12の表面に付着した異物を包埋して、下層有機層14の表面、すなわち、1層目の無機層16の成膜面を平坦化でき、1層目の無機層16を、全面的に、隙間無く、適正に形成することができる。
下層有機層14の厚さが、中間有機層18の厚さ/下層有機層14の厚さの比で0.1超の場合には、下層有機層14が薄すぎて、1層目の無機層16の下地として十分に機能せず、適正な1層目の無機層16を形成することが困難になる。
中間有機層18の厚さ/下層有機層14の厚さの比は0.07以下が好ましく、0.05以下がより好ましい。
また、好ましくは、下層有機層14の厚さを10μm以下とすることにより、下層有機層14が厚すぎることに起因する、下層有機層14のクラック、および、バリアフィルム10のカール等の問題の発生を、好適に抑制することができる。
このような下層有機層14は、形成する下層有機層14に応じて、有機化合物からなる層を形成する公知の方法で形成(成膜)すればよい。
一例として、下層有機層14は、有機溶剤、下層有機層14となる有機化合物(モノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー、ポリマー等)、界面活性剤、シランカップリング剤、光重合開始剤などを含む重合性組成物(塗布組成物)を調製して、この重合性組成物を塗布、乾燥して、さらに、必要に応じて紫外線照射等によって重合性組成物を硬化(架橋)する、いわゆる塗布法で形成すればよい。
また、下層有機層14は、いわゆるロール・トゥ・ロールによって形成するのが好ましい。以下の説明では、『ロール・トゥ・ロール』を『RtoR』とも言う。
周知のように、RtoRとは、長尺な被成膜材料をロール状に巻回してなる材料ロールから、被成膜材料を送り出し、被成膜材料を長手方向に搬送しつつ成膜を行い、成膜済の被成膜材料をロール状に巻回する製造方法である。RtoRを利用することで、高い生産性と生産効率が得られる。
下層有機層14の上には1層目の無機層16が形成され、その上に中間有機層18が形成され、その上に2層目の無機層16が形成される。
バリアフィルム10において、無機層16は、目的とするガスバリア性を、主に発現するものである。
無機層16の形成材料には、限定はなく、層状にすることでガスバリア性を発現する無機化合物が、各種、利用可能である。
具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化インジウムスズ(ITO)などの金属酸化物; 窒化アルミニウムなどの金属窒化物; 炭化アルミニウムなどの金属炭化物; 酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化窒化炭化ケイ素などのケイ素酸化物; 窒化ケイ素、窒化炭化ケイ素などのケイ素窒化物; 炭化ケイ素等のケイ素炭化物; これらの水素化物; これら2種以上の混合物; および、これらの水素含有物等の、無機化合物が、好適に例示される。また、これらの2種以上の混合物も、利用可能である。
特に、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、および、これらの2種以上の混合物は、透明性が高く、かつ、優れたガスバリア性を発現できる点で、好適に利用される。中でも特に、窒化ケイ素は、優れたガスバリア性に加え、透明性も高く、好適に利用される。
無機層16の膜厚は、形成材料に応じて、目的とするガスバリア性を発現できる厚さを、適宜、決定すればよい。本発明者の検討によれば、無機層16の厚さは、10〜200nmが好ましく、15〜100nmがより好ましく、20〜75nmが特に好ましい。
無機層16の厚さを10nm以上とすることにより、十分なガスバリア性能を安定して発現する無機層16が形成できる。また、無機層16は、一般的に脆く、厚過ぎると、割れ、ヒビ、および、剥がれ等を生じる可能性が有るが、無機層16の厚さを200nm以下とすることにより、割れが発生することを防止できる。
なお、前述のように、複数の無機層16を有する場合には、各無機層16の厚さは、同じでも異なってもよい。また、各無機層16の形成材料は、同じでも異なってもよい。
バリアフィルム10において、無機層16の形成方法には、限定はなく、形成する無機層16に応じて、公知の無機層(無機膜)の形成方法が、各種、利用可能である。
具体的には、無機層16は、CCP(Capacitively Coupled Plasma)−CVD(chemical vapor deposition)およびICP(Inductively Coupled Plasm)−CVD等のプラズマCVD、マグネトロンスパッタリングおよび反応性スパッタリング等のスパッタリング、真空蒸着などの気相成膜法によって形成すればよい。
無機層16も、RtoRによって形成するのが好ましい。
前述のように、1層目の無機層16の上には、中間有機層18が形成される。さらに、中間有機層18の上には、2層目の無機層16が形成される。
すなわち、中間有機層18は、その上に形成される2層目の無機層16を適正に形成するための、無機層16の下地となる有機層である。
中間有機層18は、無機層16の間の有機層であり、言い換えれば、無機層16に挟持された有機層である。
なお、前述のように、本発明のガスバリアフィルムは、下地となる有機層と無機層との組み合わせを、2組以上、有するものである。従って、例えば、下地となる有機層と無機層16との組み合わせを、3組、有する場合には、無機層16の間の有機層である中間有機層18は2層となり、下地となる有機層と無機層との組み合わせを、4組、有する場合には、無機層16の間の有機層である中間有機層18は3層となる。
ここで、前述のように、無機層16は、プラズマCVD等によって形成される。そのため、中間有機層18の上に無機層16を形成する際には、無機層16を形成するためのプラズマによって中間有機層18がエッチングされて、中間有機層18と上層の無機層16との間に、中間有機層18の形成成分と、無機層16の形成成分とが混合された混合層が形成される場合が有る。この混合層に関しては、前述の下層有機層14と、その上層の1層目の無機層16との間でも同様である。
このような混合層が形成された場合には、中間有機層18と上層の無機層16との密着力が向上する。
あるいは、中間有機層18と上層の無機層16との密着力の向上を目的として、無機層16の形成時に、意図的に混合層を形成するようにしてもよい。この場合、混合層の厚さを5nm以上とすると、より好適に密着力向上の効果が得られる。なお、混合層の厚さとは、無機層および有機層の形成材料の両方を有する領域の最大厚さとする。ただし、必要なガスバリア性を得るためには、混合層の厚さは、無機層16の厚さの50%以下とするのが好ましい。
このような意図的な混合層の形成、および、形成する混合層の厚さは、例えば、有機層をプラズマCVDで形成する場合には、プラズマ励起電力の調節、被成膜面側に掛けるバイアス電力の調節、原料ガスの組成および供給量の調節、等によって制御できる。
本発明のバリアフィルム10において、無機層16の間の有機層である中間有機層18は、厚さが0.05〜0.5μmで、前述のように、中間有機層18の厚さ/下層有機層14の厚さの比が0.1以下である。
なお、前述のように、有機層と上層の無機層との間に、混合層が形成された場合には、混合層は有機層の一部と見なす。従って、混合層が形成された場合には、中間有機層18および下層有機層14の厚さは混合層を含む厚さであり、有機層−混合層−無機層の積層体において、有機層の形成材料が存在する最も膜厚が厚い部分の膜厚を、中間有機層18および下層有機層14の厚さとする。
また、中間有機層18は、下記の一般式(1)で表される(メタ)アクリレートの重合体を含む。
一般式(1)

一般式(1)中、R1は、置換基を表し、それぞれ、同一でも異なってもよい。nは、0〜5の整数を示し、それぞれ、同一でも異なってもよい。但し、R1の少なくとも1つは(メタ)アクリロイル基を含む。
さらに、中間有機層18は、好ましくは、ウレタン(メタ)アクリレートの重合体または二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートの重合体を含み、より好ましくは、ウレタン(メタ)アクリレートの重合体および二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートの重合体を含む。
具体的には、中間有機層18は、一般式(1)で表される(メタ)アクリレート、好ましくは、さらに、ウレタン(メタ)アクリレートおよび二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートの少なくとも一方を含有する重合性組成物(塗布組成物)を調製して、調製した重合性組成物を無機層16の上に塗布して、塗布した重合性組成物を加熱乾燥し、さらに、重合性組成物を硬化(有機化合物を架橋(重合))することによって、形成された層である。
すなわち、好ましい態様として、中間有機層18を形成する重合性組成物が、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートに加え、ウレタン(メタ)アクリレートおよび二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートを含有する場合には、中間有機層18は、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートの重合体を主成分(最大成分)として、ウレタン(メタ)アクリレートの重合体、二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートの重合体、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートとウレタン(メタ)アクリレートのと重合体、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートと二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートとの重合体、ウレタン(メタ)アクリレートと二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートとの重合体、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートとウレタン(メタ)アクリレートと二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートとの重合体、等を含有する。
本発明のバリアフィルム10は、このような構成を有することにより、優れたガスバリア性と共に、無機層16の間の中間有機層18と、中間有機層18の下層の無機層16との密着力が十分なバリアフィルム10を実現している。
周知のように、無機化合物からなる層と、有機化合物からなる層とは、密着力が低い。そのため、特許文献1にも記載されるように、有機無機積層型のガスバリアフィルムでは、有機層を形成する重合性組成物に、シランカップリング剤等を含有させることにより、有機層と下層の無機層との密着力を確保している。
ところが、本発明者の検討によれば、下地となる有機層と無機層16との組み合わせを2組以上有する場合には、有機層にシランカップリング剤等を添加しても、無機層16の間に形成される中間有機層18は、必ずしも下層の無機層16との密着力が十分に得られない場合が有る。
すなわち、前述のように、有機層は、通常、有機層となる有機化合物を含有する重合性組成物を調製して、この塗料を乾燥、硬化することで形成される。
ここで、一般的な有機無機積層型のガスバリアフィルムでは、有機層の厚さは、通常、1〜2μm程度である。有機層が、この程度の厚さを有する場合、無機層16の上に形成される有機層では、重合性組成物が硬化する際に生じる応力によって、下層の無機層16との密着力が低くなってしまう。
また、無機層16の間に形成される中間有機層18は、その上に、無機層16を形成される。前述のように、無機層16は、プラズマCVD等によって形成される、有機層に比して遥かに高密度な層である。そのため、無機層16の間の中間有機層18は、自身の応力に加えて、上層の無機層16の応力の影響も受けて、さらに、下層の無機層16との密着力が低下してしまう。また、中間有機層18と上層の無機層16との間に、前述の混合層が形成された場合には、中間有機層18と上層の無機層16との密着力が強くなるために、上層の無機層16から受ける応力の影響が、より強くなり、下層の無機層16との密着力は、さらに低下してしまう。
そのため、有機無機積層型のガスバリアフィルムにおいて、無機層16の間に設けられる中間有機層18は、下層の無機層16との間の密着力が、非常に低くなってしまう。
このような不都合を回避するためには、無機層16の間に設けられる中間有機層18を薄くして、中間有機層18自身が有する応力を低減させればよい。
ところが、応力の影響を十分に低減するためには、中間有機層18を非常に薄くする必要が有る。そのため、無機層16の上に、中間有機層18を全面的に適正に形成することが、困難になってしまう。
すなわち、前述のように、中間有機層18を含めて、有機層は、有機層となる有機化合物を含有する重合性組成物を調製して、この重合性組成物を形成面に塗布し、重合性組成物を乾燥し、乾燥後の重合性組成物を硬化する、いわゆる塗布法によって形成する。
塗布法による有機層の成膜において、重合性組成物の乾燥は、通常、加熱によって行われる。この重合性組成物の乾燥の際の加熱によって、重合性組成物の膜が軟化する。軟化した重合性組成物の膜は、流動性が高くなる。そのため、中間有機層18すなわち重合性組成物の膜が薄い場合には、膜の流動によって、いわゆるハジキが生じてしまい、重合性組成物の膜が、下層の無機層16を適正に全面的に覆わない状態になってしまう。
重合性組成物に増粘剤を多量に入れば、このような不都合は回避できる。増粘剤としては、一般的にウレタン系の化合物が利用される。しかしながら、ウレタン系の化合物は、一般的に、耐プラズマ性が低い。
そのため、中間有機層18が多量の増粘剤を含む場合には、下層の無機層16を全面的に覆う中間有機層を形成できるが、プラズマCVD等によって上層の無機層16を形成する際に、中間有機層18に含まれる増粘剤がエッチングされて、中間有機層18が欠陥だらけになってしまい、上層に、適正な無機層16を形成することが困難になる。
さらに、後に詳述するが、本発明の製造方法では、好ましい態様として、無機層16および有機層の形成をRtoRによって行う。ここで、本発明においては、無機層16を保護するために、無機層16を形成した後、無機層16が何らかの部材に接触する前に無機層16に保護フィルムGbを積層する。また、中間有機層18の形成時には、中間有機層18を形成する前に、保護フィルムGbを剥離して、無機層16に何ら部材が接触する前に、無機層16に中間有機層18を形成する重合性組成物を塗布する。
本発明の製造方法では、これにより、無機層16の損傷を防止して、無機層16が有する高いガスバリア性を最大限に発揮した、非常に高いガスバリア性を有するバリアフィルム10を製造できる。
保護フィルムGbは、無機層16を形成した後、真空中で無機層16に積層するため、非常に高い密着力で無機層16に積層される。そのため、中間有機層18を形成するために保護フィルムGbを剥離すると、保護フィルムGbが、若干、無機層16の表面に転写されてしまう。
保護フィルムGbは、一般的に、PEおよびPP等のポリオレフィン製のフィルムである。ポリオレフィンが無機層16の表面に残存していると、重合性組成物の塗れ性が低下して、ハジキが生じ易くなってしまい、さらに、重合性組成物の膜が、下層の無機層16の全面を適正に覆いにくい状態になってしまう。
これに対し、本発明のバリアフィルム10は、無機層16の間の中間有機層18の膜厚を0.05〜0.5μmとして、中間有機層18の厚さ/下層有機層14の厚さの比を0.1以下にする。
また、中間有機層18は、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートの重合体を含む。すなわち、本発明においては、中間有機層18を形成する重合性組成物が、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートを含有する。
本発明によれば、中間有機層18が0.05〜0.5μmと十分に薄いので、中間有機層18の応力による下層の無機層16との密着力の低下を大幅に低減して、中間有機層18と下層の無機層16との密着力を確保できる。
なお、中間有機層18は、下地となる有機層の上にプラズマCVD等によって形成された無機層16の上に形成されるので、厚さが0.05μmでも、十分に下層の無機層16の凹凸等を包埋して、上層の無機層16を適正に形成するための下地層としての作用を、好適に発現できる。
中間有機層18の厚さが、0.05μm未満では、無機層16の下地層としての機能が不十分になってしまい、上層に適正な無機層16を形成できず、目的とするガスバリア性が得られなくなってしまう。
逆に、中間有機層18の膜厚が0.5μmを超えると、中間有機層18の応力が強くなってしまい、下層の無機層16との間で十分な密着力が得られない。
本発明者の検討によれば、中間有機層18の膜厚は、0.25〜0.15μmが好ましく、0.4〜0.1μmがより好ましい。
なお、本発明において、中間有機層18を、複数層、有する場合には、中間有機層18の厚さは、全て同じでもよく、厚さが異なる中間有機層18が存在してもよい。
また、前述のように、中間有機層18は、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートの重合体を含有する。すなわち、中間有機層18を形成する重合性組成物は、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートを含有する。
一般式(1)

一般式(1)中、R1は、置換基を表し、それぞれ、同一でも異なってもよい。nは、0〜5の整数を示し、それぞれ、同一でも異なってもよい。但し、R1の少なくとも1つは(メタ)アクリロイル基を含む。
一般式(1)で表される(メタ)アクリレートは、粘度が高く、しかも、重合体の耐プラズマ性も高い。
そのため、中間有機層18を形成する重合性組成物が、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートを含有することにより、乾燥のために加熱した状態でも重合性組成物は十分な粘度を保つことができる。その結果、中間有機層18を形成する重合性組成物の膜が薄くても、ハジキを生じることがない。そのため、中間有機層18を形成する重合性組成物が下層の無機層16の全面を適正に覆った状態として、無機層16の上を全面的に覆って適正な中間有機層18を形成できる。また、上層にプラズマCVD等で無機層16を形成する際にも、中間有機層18が十分な耐プラズマ性を有するので、全面に渡って欠陥等の無い適正な無機層16を形成できる。
特に、一般式(1)で表される4官能以上の(メタ)アクリレートを用いることにより、重合性組成物の粘度の向上および耐プラズマ性の点で、さらに好適な効果が得られる。
一般式(1)で表される(メタ)アクリレートにおいて、R1の置換基としては、−CR2 2−(R2は、水素原子または置換基)、−CO−、−O−、フェニレン基、−S−、−C≡C−、−NR3−(R3は、水素原子または置換基)、−CR4=CR5−(R4、R5は、ぞれぞれ、水素原子または置換基)の1つ以上と、重合性基との組み合わせからなる基が挙げられ、−CR2 2−(R2は、水素原子または置換基)、−CO−、−O−およびフェニレン基の1つ以上と、(メタ)アクリロイル基との組み合わせからなる基が好ましい。
2は、水素原子または置換基であるが、好ましくは、水素原子またはヒドロキシ基である。
1の少なくとも1つが、水酸基を含むのが好ましい。
1の少なくとも1つの分子量が10〜250であるのが好ましく、70〜150であるのがより好ましい。
1が結合している位置としては、少なくともパラ位に結合しているのが好ましい。
nは、0〜5の整数を示し、0〜2の整数であるのが好ましく、0または1であるのがより好ましく、いずれも1であるのがさらに好ましい。
一般式(1)で表される(メタ)アクリレートは、R1の少なくとも2つが同じ構造であるのが好ましい。さらに、nは、いずれも1であり、4つのR1の少なくとも2つずつがそれぞれ同じ構造であるのがより好ましく、nは、いずれも1であり、4つのR1が同じ構造であるのがさらに好ましい。
一般式(1)で表される(メタ)アクリレートにおいて、(メタ)アクリロイル基の数は、2つ以上であるのが好ましく、3つ以上であるのがより好ましく、4以上であるのが特に好ましい。すなわち、前述のように、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートは、4官能以上のメタアクリレートであるのが特に好ましい。
また、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートが有する(メタ)アクリロイル基の数の上限は特に定めるものではないが、8つ以下であるのが好ましく、6つ以下であるのがより好ましい。
一般式(1)で表される(メタ)アクリレートの分子量は、600〜1400が好ましく、800〜1200がより好ましい。
以下に、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートの具体例を示すが、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートは、これに限定されない。また、以下の(メタ)アクリレートは、一般式(1)の4つのnがいずれも1の場合を示しているが、一般式(1)の4つのnのうち、1つまたは2つまたは3つが0のもの、および、一般式(1)の4つのnのうち、1つまたは2つまたは3つ以上が2つ以上のもの(R1が1つの環に、2つ以上結合しているもの)も、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートとして例示される。
一般式(1)で表される(メタ)アクリレートは、例えば、新中村化学社製のNKオリゴ EA−8720など、市販品として入手できる。また、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートは、公知の1,1,2,2−テトラフェニルエタン誘導体の合成方法で合成できる。なお、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートは、複数を併用してもよい。
一例として、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートは、Williamsonのエーテル合成法として、一般的に知られている方法で合成できる。具体的には、原料化合物として、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタンと(メタ)アクリル酸ハロゲン化アルキルとを用い、水素化ナトリウム、カリウムt−ブトキシド等の強塩基を作用させることにより、合成できる。
これらの(メタ)アクリレートは、通常、反応の際、目的とする(メタ)アクリレートモノマーとは異なる異性体等も生成する。これらの異性体を分離したい場合は、カラムクロマトグラフィによって分離できる。
一般式(1)で表される(メタ)アクリレートの重合体は、Tg(ガラス転移温度)が200℃以上であるのが好ましい。
一般式(1)で表される(メタ)アクリレートの重合体のTgが200℃以上とすることにより、中間有機層18の耐プラズマ性を向上して、好適な無機層16を形成でき、よりガスバリア性の高いバリアフィルム10を得ることができる。なお、本発明において、Tgは、示差走査熱量分析によってJIS(Japanese Industrial Standards) K 7121に準拠して測定すればよい。また、Tgは、カタログ等に記載された数値を利用してもよい。
中間有機層18は、ウレタン(メタ)アクリレートの重合体を含有するのが好ましい。すなわち、中間有機層18を形成する重合性組成物は、ウレタン(メタ)アクリレートを含有するのが好ましい。
中間有機層18を形成する重合性組成物が、ウレタン(メタ)アクリレートを含有することにより、重合性組成物の粘度を向上して、乾燥のために加熱した状態でも重合性組成物が高い粘度を保つことができ、重合性組成物のハジキを防止して、下層の無機層16の全面に適正な中間有機層18を形成することが可能になる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、公知の各種の物が利用可能である。
一例として、アクリルポリマーを主鎖とし、側鎖として、末端がアクリロイル基のウレタンポリマーおよび末端がアクリロイル基のウレタンオリゴマーの少なくとも一方を有するグラフト共重合体が例示される。
さらに、ウレタン(メタ)アクリレートとしては、フルオレン骨格を有する化合物も、好適に利用可能である。
また、ウレタン(メタ)アクリレートとしては、先に下層有機層14で例示した2官能以上の(メタ)アクリレートの主鎖の部分がウレタンである化合物も好適に例示される。
なお、ウレタン(メタ)アクリレートは、複数を併用してもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートとして、これらの化合物、特に最初に例示したグラフト共重合体を用いることにより、中間有機層18を形成する重合性組成物の増粘効果を好適に得て、下層の無機層16の全面に良好な中間有機層18を形成することができる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートとして、フルオレン骨格を有する化合物を用いることにより、中間有機層18のTgを高くして耐プラズマ性を向上できるため、好適な無機層16の形成が可能になり、よりガスバリア性の高いバリアフィルム10を得ることができる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートであるのが好ましい。6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートを用いることにより、中間有機層18のTgを高くして中間有機層18の耐プラズマ性を向上して、好適な無機層16を形成でき、よりガスバリア性の高いバリアフィルム10を得ることができる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートは、25℃における粘度が50Pa・s以上であるのが好ましい。25℃における粘度が50Pa・s以上のウレタン(メタ)アクリレートを用いることにより、中間有機層18を形成する重合性組成物の増粘効果を好適に得て、下層の無機層16の全面に良好な中間有機層18を形成することができる。
なお、本発明において、粘度は、JIS Z8803に準拠して、B型粘度計による回転数60rpm(Revolution per Minute)における粘度を、25℃で測定すればよい。
さらに、ウレタン(メタ)アクリレートは、重量平均分子量が10000以上のポリマーであるのが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートとして、重量平均分子量が10000以上のポリマーを用いることにより、同様に、中間有機層18を形成する重合性組成物の増粘効果を好適に得て、無機層16の全面に好適な中間有機層18を形成することができる。
なお、本発明において、ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって、ポリスチレン(PS)換算の分子量として測定すればよい。より具体的には、重量平均分子量は、HLC−8220(東ソー社製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM―H(東ソー社製、6.0mmID×15.0cm)を、溶離液として10mmol/L リチウムブロミドNMP(N−メチルピロリジノン)溶液を用いることによって求めればよい。
ポリマー等の重量平均分子量は、カタログ等に記載された数値を利用してもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートは、市販品を用いてもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、一例として、大成ファインケミカル社製のアクリット8BR600、アクリット8DK2030、新中村化学社製のU−6HA、U−6LPA、U−15HA等が例示される。
前述のように、中間有機層18は、二重結合当量(アクリル当量)が200以下の(メタ)アクリレートの重合体を含有するのが好ましい。すなわち、中間有機層18を形成する重合性組成物は二重結合当量(アクリル当量)が200以下の(メタ)アクリレートを含有するのが好ましい。
中間有機層18を形成する重合性組成物が、二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートを含有することにより、中間有機層18を形成する際の硬化、すなわち、各重合性化合物の重合を安定させて、より品質の安定した中間有機層18を形成することができる。
二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートは、前述のTMPTAおよびDPHAなど、公知の二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートが、全て、利用可能である。二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートは、複数を併用してもよい。
(メタ)アクリレートの二重結合当量は、化合物の化学式から算出すればよい。また、(メタ)アクリレートの二重結合当量が化学式から算出できない場合には、公知の方法で二重結合当量を測定すればよい。さらに、(メタ)アクリレートの二重結合当量は、カタログ等に記載された数値を利用してもよい。
前述のように、中間有機層18は、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートを、溶剤(溶媒)に溶解あるいは分散してなる重合性組成物を調製し、この重合性組成物を無機層16の表面に塗布し、重合性組成物を加熱して乾燥した後、例えば、紫外線を照射することで重合性組成物を重合(硬化)することで形成する。
好ましくは、中間有機層18は、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートに加え、ウレタン(メタ)アクリレートおよび二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートの少なくとも一方を、溶剤(溶媒)に溶解あるいは分散してなる重合性組成物を調製し、この重合性組成物を、同様に、塗布し、加熱乾燥した後、重合することで形成する。
なお、溶剤は、各成分を溶解あるいは分散できるものを、適宜、選択して使用すればよい。また、中間有機層18もRtoRで形成するのが好ましい。
ここで、中間有機層18を形成する重合性組成物において、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートの含有量は、50〜90質量%であるのが好ましく、60〜80質量%であるのがより好ましい。
また、中間有機層18を形成する重合性組成物において、ウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、0.1〜5質量%であるのが好ましく、0.5〜2質量%であるのがより好ましい。
さらに、中間有機層18を形成する重合性組成物において、二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートの含有量は、5〜45質量%であるのが好ましく、10〜35質量%であるのがより好ましい。
中間有機層18を形成する重合性組成物において、これらの成分の含有量を、この範囲とすることにより、耐プラズマ性が良好で、下層の無機層16を全面的に覆う適正な中間有機層18を形成することが可能になる。
中間有機層18を形成する重合性組成物には、必要に応じて、シランカップリング剤および光重合開始剤の少なくとも一方を添加してもよい。
シランカップリング剤および光重合開始剤は、重合性組成物が含有する成分等に応じて、公知の化合物、および、市販品等が、各種、利用可能である。
中間有機層18を形成する重合性組成物へのシランカップリング剤および光重合開始剤の添加量は、ランカップリング剤および光重合開始剤の種類等に応じて、適宜、設定すればよい。
中間有機層18を形成する重合性組成物は、25℃における粘度が1Pa・s以上であるのが好ましく、5Pa・s以上であるのがより好ましい。
中間有機層18を形成する重合性組成物の25℃における粘度を1Pa・s以上とすることにより、重合性組成物のハジキを防止して、下層の無機層16の全面に良好な中間有機層18を形成することができる。
2層目の無機層16の上には、保護有機層19が形成される。
保護有機層19は、好ましい態様として設けられるものであり、バリアフィルム10に圧力および機械的な力等が掛かった場合でも、無機層16を保護して、無機層16の損傷を防止するための層である。
保護有機層19としては、前述の下層有機層14で例示したもの、および、中間有機層18で例示したものが、各種、利用可能である。
また、保護有機層19には、アクリルポリマーを主鎖とし、側鎖として、末端がアクリロイル基のウレタンポリマーおよび末端がアクリロイル基のウレタンオリゴマーの少なくとも一方を有するグラフト共重合体の重合体も、利用可能である。このようなグラフト共重合体は、市販品も好適に利用可能である。グラフト共重合体の市販品としては、一例として、大成ファインケミカル社製のアクリット8BR930が例示される。
また、保護有機層19に、このようなグラフト共重合体を用いる場合には、3官能以上の(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリレートポリマーの少なくとも一方を併用するのも好ましい。グラフト共重合体、3官能以上の(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリレートポリマーの少なくとも一方を用いて、保護有機層19を形成することにより、硬度が高く、無機層16の保護性能に優れる保護有機層19を形成できる。
さらに、保護有機層19としては、このグラフト共重合体の重合物、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートの重合物、および、グラフト共重合体と一般式(1)で表される(メタ)アクリレートとの重合物を含有する保護有機層19も、好適に利用可能である。
すなわち、保護有機層19としては、このグラフト共重合体と、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートとを含有する重合性組成物で形成された保護有機層19も、好適に利用可能である。
保護有機層19の厚さは、形成材料等に応じて、目的とする保護性能が得られる厚さを、適宜、設定すればよい。
本発明者の検討によれば、保護有機層19の厚さは、0.5〜5μmであるのが好ましく、1〜3μmであるのがより好ましい。
保護有機層19も、他の有機層と同様、溶剤、保護有機層19となる有機化合物、界面活性剤、シランカップリング剤、光重合開始剤等を含有する重合性組成物を用いて、塗布法によって形成できる。
また、保護有機層19も、RtoRで形成するのが好ましい。
以下、図2および図3の概念図を参照して、本発明のガスバリアフィルムの製造方法の一例を説明する。
図2に示す装置は、有機層を形成する有機成膜装置20である。有機成膜装置20は、RtoRによって有機層を形成するものであり、長尺な支持体(被成膜材料)を長手方向に搬送しつつ、有機層となる重合性組成物を塗布、乾燥した後、光照射によって重合性組成物を硬化(有機化合物を重合(架橋))して、無機層16の上に、下層有機層14および中間有機層18、あるいはさらに、保護有機層19を形成する。
図示例の有機成膜装置20は、一例として、塗布部26と、乾燥部28と、光照射部30と、回転軸32と、巻取り軸34と、搬送ローラ対36および38とを有する。
他方、図3に示す装置は、無機層16を形成する無機成膜装置24である。無機成膜装置24も、RtoRによって無機層16を形成するものであり、有機層を形成された長尺な支持体を長手方向に搬送しつつ、下層有機層14の上に無機層16を形成し、さらに、中間有機層18の上に無機層16を形成する。
図示例の無機成膜装置24は、供給室50、成膜室52および巻取り室54を有する。供給室50と成膜室52とは開口76aを有する隔壁76によって、成膜室52と巻取り室54とは開口78aを有する隔壁78によって、それぞれ、分離されている。
バリアフィルム10を作製する際には、まず、長尺な支持体12を巻回してなる材料ロール42が回転軸32に装填される。
回転軸32に材料ロール42が装填されると、支持体12は、材料ロール42から引き出され、搬送ローラ対36を経て、塗布部26、乾燥部28および光照射部30を通過して、搬送ローラ対38を経て、巻取り軸34に至る、所定の搬送経路を通される。
材料ロール42から引き出された支持体12は、搬送ローラ対36によって塗布部26に搬送され、表面に、下層有機層14を形成する重合性組成物を塗布される。塗布部26は、下層有機層14を形成する重合性組成物を、後に形成する中間有機層18に対して、下層有機層14の膜厚が、中間有機層18の厚さ/下層有機層14の厚さの比が0.1以下となる目的の膜厚となるように塗布する。
下層有機層14となる塗布組成物は、前述のように、有機溶剤、下層有機層14となる有機化合物、界面活性剤、シランカップリング剤、光重合開始剤などを含むものである。
また、塗布部26における重合性組成物の塗布は、ダイコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法等、公知の方法が、各種、利用可能である。
下層有機層14となる重合性組成物が塗布された支持体12は、次いで、乾燥部28によって加熱されて、重合性組成物を乾燥される。
乾燥部28は、表面側(重合性組成物側)から加熱して乾燥を行う乾燥部28aと、裏面側(支持体12側)から加熱して乾燥を行う乾燥部28bを有し、表面側と裏面側の両方から加熱して、重合性組成物の乾燥を行う。
乾燥部28における加熱は、シート状物を加熱する公知の方法で行えばよい。例えば、表面側の乾燥部28aは、温風乾燥部であり、裏面側の乾燥部28bはヒートローラ(加熱機構を有するパスローラ)である。
下層有機層14となる重合性組成物を乾燥された支持体12は、次いで、光照射部30によって紫外線を照射される。この紫外線の照射によって、重合性組成物が硬化(有機化合物が架橋(重合))されて、下層有機層14が形成される。なお、必要に応じて、下層有機層14、中間有機層18および保護有機層19となる重合性組成物の硬化は、窒素雰囲気等の不活性雰囲気で行うようにしてもよい。
下層有機層14が形成された支持体12は、搬送ローラ対38によって搬送されて、巻取り軸34によってロール状に巻回される。以下の説明では、下層有機層14が形成された支持体12を『支持体12a』とも言う。
ここで、有機成膜装置20においては、下層有機層14を形成したら、搬送ローラ対38において、供給ロール48から送り出した保護フィルムGaを形成した下層有機層14の上に積層し、下層有機層14を保護する。
保護フィルムGaおよび後述する保護フィルムGbとしては、通常、PEフィルムおよびPPフィルム等のポリオレフィン製のフィルムが用いられる。
支持体12aは、次いで、巻取り軸34に巻き取られる。所定長の下層有機層14の形成を終了すると、支持体12aは、必要に応じて切断されて、支持体12aを巻回してなる材料ロール46aとされる。
支持体12a(下層有機層14を形成された支持体12)を巻回してなる材料ロール46aは、次いで、1層目の無機層16を形成するために無機成膜装置24に供給される。
無機成膜装置24に供給された材料ロール46aは、供給室50の回転軸56に装填される。
材料ロール46aが回転軸56に装填されると、材料ロール46aから支持体12aが引き出され、供給室50から、成膜室52を経て巻取り室54の巻取り軸58に至る所定の経路を通される。
支持体12aを所定の経路に通したら、供給室50の真空排気手段61、成膜室52の真空排気手段74、および、巻取り室54の真空排気手段82を駆動して、無機成膜装置24の内部を所定の圧力にする。
無機成膜装置24の内部が所定の圧力になったら、支持体12aの搬送が開始される。材料ロール46aから送り出された支持体12aは、パスローラ60によって案内されて成膜室52に搬送される。
成膜室52に搬送された支持体12aは、パスローラ68に案内されてドラム62に巻き掛けられ、ドラム62に支持されて所定の経路を搬送されつつ、成膜手段64、例えばCCP−CVDによって1層目の無機層16を形成される。なお、無機層16を形成する際には、無機層16の形成に先立ち、パスローラ68において、下層有機層14の上に積層された保護フィルムGaを剥離して、回収ロール70で回収する。
無機層16は、CCP−CVDおよびICP−CVD等のプラズマCVD、マグネトロンスパッタリングおよび反応性スパッタリング等のスパッタリング、真空蒸着など、形成する無機層16に応じて、公知の気相堆積法による成膜方法で行えばよいのは、前述のとおりである。従って、使用する原料ガス(プロセスガス)および成膜条件等は、形成する無機層16および膜厚等に応じて、適宜、設定および選択すればよい。
無機層16を形成された支持体12aは、パスローラ72に案内されて巻取り室54に搬送される。以下の説明では、無機層16を形成された支持体12aを『支持体12b』とも言う。
ここで、無機成膜装置24においては、パスローラ72において、供給ロール73から送り出した保護フィルムGbを無機層16の上に積層し、無機層16を保護する。
巻取り室54に搬送された支持体12bは、巻取り軸58によって巻き取られる。
無機層16の形成が終了すると、無機成膜装置24の全室に清浄化した乾燥空気が導入されて、大気開放される。その後、支持体12bは、必要に応じて切断されて、支持体12bを巻回してなる材料ロール46bとされ、無機成膜装置24の巻取り室54から取り出される。
支持体12b(下層有機層14および無機層16を形成された支持体12)を巻回してなる材料ロール46bは、中間有機層18を形成するために、再度、有機成膜装置20に供給される。
支持体12bを巻回してなる材料ロール46bは、先の下層有機層14の形成と同様、回転軸32に装填され、次いで、材料ロール46bから支持体12bが引き出されて、巻取り軸34に至る所定の搬送経路を通される。
下層有機層14の形成と同様に、有機成膜装置20では、支持体12bを長手方向に搬送しつつ、塗布部26において、無機層16の上に中間有機層18を形成する重合性組成物を塗布する。
なお、無機層16の上に中間有機層18を形成する場合には、重合性組成物の塗布に先立ち、搬送ローラ対36において、無機層16の上に積層した保護フィルムGbを剥離して、回収ロール49で回収する。この際に、無機層16の表面に保護フィルムGbから剥離したポリオレフィンが残存する可能性が有るのは、前述のとおりである。
前述のように、中間有機層18を形成する重合性組成物は、一般式(1)で表される(メタ)アクリレート、好ましくは、さらにウレタン(メタ)アクリレートおよび二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートの少なくとも一方、さらに必要に応じてシランカップリング剤および光重合開始剤等を、溶剤に溶解あるいは分散してなるものである。
塗布部26は、この重合性組成物を、形成する中間有機層18の膜厚が0.05〜0.5μmの目的とする膜厚となるように塗布する。
次いで、乾燥部28において、重合性組成物を加熱して乾燥する。ここで、中間有機層18を形成する重合性組成物は、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートを含有し、好ましくは、ウレタン(メタ)アクリレートおよび二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートの少なくとも一方を含有するものである。そのため、重合性組成物は、乾燥のために加熱されても、十分な粘度を保っている。
これにより、前述のように、形成する中間有機層18の膜厚が0.05〜0.5μmと非常に薄く、さらに、保護フィルムGaから剥離されたポリオレフィンが無機層16の表面に残存していても、重合性組成物のハジキを生じることがなく、無機層16の表面を全面的に覆って、適正に、中間有機層18を形成する重合性組成物を乾燥できる。
中間有機層18を形成する重合性組成物が乾燥された支持体12bは、次いで、光照射部30において紫外線等を照射され、重合性組成物が硬化されて中間有機層18が形成される。以下の説明では、中間有機層18が形成された支持体12bを『支持体12c』とも言う。
支持体12cは、巻取り軸34によってロール状に巻き取られる。
なお、下層有機層14の形成と同様、有機成膜装置20においては、搬送ローラ対38において、供給ロール48から送り出した保護フィルムGaを中間有機層18の上に積層して、中間有機層18を保護する。
所定長の中間有機層18の形成が終了すると、先と同様に、支持体12cは、必要に応じて切断された後、支持体12cを巻回してなる材料ロール46cとされる。
支持体12c(下層有機層14、無機層16および中間有機層18を形成された支持体12)を巻回してなる材料ロール46cは、2層目の無機層16を形成するために、再度、図3に示す無機成膜装置24に供給される。
無機成膜装置24において、材料ロール46cは、先と同様に、供給室50の回転軸56に装填される。
材料ロール46cが回転軸56に装填されると、材料ロール46cから支持体12cが引き出され、供給室50から、成膜室52を経て巻取り室54の巻取り軸58に至る所定の経路を通される。支持体12cを所定の経路に通したら、先と同様に、各室が所定圧力にされ、支持体12cの搬送が開始される。
支持体12cは、先と同様に、所定の経路を搬送されつつ、成膜室52において保護フィルムGaが剥離されて、2層目の無機層16が中間有機層18の上に形成され、形成された無機層16の上に保護フィルムGbを積層される。2層目の無機層16を形成された支持体12cは、巻取り室54に搬送されて、巻取り軸58に巻き取られる。以下の説明では、2層目の無機層16が形成された支持体12cを『支持体12d』とも言う。
2層目の無機層16の形成が終了すると、先と同様に、無機成膜装置24が大気開放され、支持体12dは、必要に応じて切断されて、支持体12dを巻回してなる材料ロール42dとされ、巻取り室54から取り出される。
支持体12dを巻回してなる材料ロール42dは、保護有機層19を形成するために、再度、有機成膜装置20に供給される。
なお、前述のように、下地となる有機層と無機層との組み合わせを3組以上、形成する場合、すなわち形成、中間有機層18と無機層16との組み合わせを、2組以上する場合には、このような中間有機層18と無機層16との形成を、形成する中間有機層18と無機層16との組み合わせの数に応じて、繰り返し行えばよい。
支持体12d(下層有機層14、無機層16、中間有機層18および無機層16を形成された支持体12)を巻回してなる材料ロール42dは、先と同様に、回転軸32に装填され、次いで、支持体12dが引き出されて、巻取り軸34に至る所定の搬送経路を通される。
支持体12dは、先と同様に、所定の経路を搬送されつつ、まず、搬送ローラ対36において保護フィルムGbを剥離され、塗布部26において、2層目の無機層16の上に保護有機層19となる重合性組成物を塗布される。前述のように、保護有機層19となる塗布組成物は、有機溶剤、保護有機層19となる有機化合物、界面活性剤、シランカップリング剤、光重合開始剤などを含むものである。
重合性組成物を塗布された支持体12dは、次いで、乾燥部28において、保護有機層19となる重合性組成物を乾燥され、さらに、光照射部30において紫外線等を照射されて、保護有機層19となる重合性組成物を硬化されて、保護有機層19が形成される。
保護有機層19が形成された支持体12d、すなわち、バリアフィルム10は、巻取り軸34によってロール状に巻き取られる。
以上、本発明のガスバリアフィルム、および、ガスバリアフィルムの製造方法について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明を、より詳細に説明する。
[実施例1]
<<支持体>>
支持体12として、幅1000mm、厚さ100μm、長さ100mのPETフィルム(東洋紡社製 コスモシャインA4300)を用いた。
<<下層有機層14の形成>>
TMPTA(ダイセルオルネクス社製)および光重合開始剤(ランベルティ社製、ESACURE KTO46)を用意し、質量比として95:5となるように秤量し、これらを固形分濃度が15質量%となるようにメチルエチルケトン(MEK)に溶解して、下層有機層14を形成する重合性組成物を調製した。
図2に示す有機成膜装置20の塗布部26の所定位置に、下層有機層14を形成する重合性組成物を充填した。また、支持体12をロール状に巻回してなる材料ロール42を、回転軸32に装填して、支持体12を所定の搬送経路に挿通した。さらに、PE製の保護フィルムGaを巻回した供給ロール48を所定位置に装填して、搬送ローラ対38において、下層有機層14に積層するようにした。
有機成膜装置20において、支持体12を長手方向に搬送しつつ、塗布部26によって重合性組成物を塗布し、乾燥部28において重合性組成物を乾燥させた。塗布部26は、ダイコータを用いた。乾燥部28での加熱温度は50℃、通過時間は3分間とした。
その後、光照射部30において紫外線を照射(積算照射量約600mJ/cm2)して重合性組成物を硬化させて下層有機層14を形成した。搬送ローラ対38において、下層有機層14の表面に保護フィルムGaを積層した後、巻き取って、下層有機層14を形成した支持体12(支持体12a)を巻回した材料ロール46aとした。下層有機層14の厚さは、5μm(5000nm)であった。
<<1層目の無機層16の形成>>
支持体12a(下層有機層14を形成した支持体12)を巻回した材料ロール46aを、図3に示す、CCP−CVDによって成膜を行う無機成膜装置24の供給室50の回転軸56に装填し、支持体12aを所定の搬送経路に挿通した。また、PE製の保護フィルムGbを巻回した供給ロール73を所定位置に装填して、パスローラ72において、無機層16に積層するようにした。
無機成膜装置24において、支持体12aを長手方向に搬送しつつ、成膜室52において、パスローラ68で保護フィルムGaを剥離した後、下層有機層14の上に、無機層16として窒化ケイ素膜を形成した。次いで、パスローラ72において、無機層16の表面に保護フィルムGbを積層した後、巻取り室54において巻取り軸58で巻き取って、無機層16を形成した支持体12a(支持体12b)を巻回した材料ロール42bとした。
無機層16を形成する原料ガスは、シランガス(流量160sccm)、アンモニアガス(流量370sccm)、水素ガス(流量590sccm)および窒素ガス(流量240sccm)を用いた。電源は、周波数13.56MHzの高周波電源を用い、プラズマ励起電力は800Wとした。成膜圧力は40Paとした。無機層16の到達膜厚は、35nmであった。
<<中間有機層18の形成>>
一般式(1)で表される(メタ)アクリレートとして、下記の化合物EAを用意した。
化合物EA(新中村化学社製、NKオリゴ EA−8720)
化合物EA、シランカップリング剤(信越シリコーン社製、KBM5103)、および、光重合開始剤(ランベルティ社製、ESACURE KTO46)を、化合物EA:シランカップリング剤:光重合開始剤の質量比で87:10:3となるように秤量し、これらを固形分濃度が5質量%となるようにMEKとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)との混合溶剤(MEK:PGMEA=4:6)に溶解して、中間有機層18を形成する重合性組成物を調製した。
図2に示すRtoRによる有機成膜装置20の塗布部26の所定位置に、中間有機層18を形成する重合性組成物を充填した。また、支持体12bを巻回した材料ロール42bを回転軸32に装填して、支持体12bを所定の搬送経路に挿通した。さらに、PE製の保護フィルムGaを巻回した供給ロール48を所定位置に装填して、搬送ローラ対38において、中間有機層18に積層するようにした。
有機成膜装置20において、支持体12b(下層有機層14および無機層16を形成した支持体12)を長手方向に搬送しつつ、塗布部26によって重合性組成物を塗布し、乾燥部28において重合性組成物を乾燥させた。塗布部26は、ダイコータを用いた。乾燥部28での乾燥温度はを110℃、通過時間は3分間とした。
その後、支持体12側から80℃に加熱しつつ、光照射部30において紫外線を照射(積算照射量約600mJ/cm2)して重合性組成物を硬化させて中間有機層18を形成した。搬送ローラ対38において中間有機層18の表面に保護フィルムGaを積層した後、巻き取って、中間有機層18を形成した支持体12b(支持体12c)を巻回した材料ロール46cとした。中間有機層18の厚さは、0.15μm(150nm)であった。
<<2層目の無機層16の形成>>
支持体12c(下層有機層14、無機層16および中間有機層18を形成した支持体12)を巻回した材料ロール46cを、図3に示す無機成膜装置24の供給室50の回転軸56に装填し、所定の経路を挿通した。
次いで、1層目の無機層16と同様にして、中間有機層18の上に2層目の無機層16を形成して、ガスバリアフィルムを作製した。無機層の到達膜厚は35nmであった。
[実施例2]
中間有機層18の形成において、中間有機層18を形成する重合性組成物の塗布量を変更して、中間有機層18の膜厚を0.5μm(500nm)とした以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
[実施例3]
中間有機層18の形成において、中間有機層18を形成する重合性組成物の塗布量を変更して、中間有機層18の膜厚を0.05μm(50nm)とした以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
[実施例4]
下層有機層14の形成において、下層有機層14を形成する重合性組成物の塗布量を変更して、下層有機層14の膜厚を3μm(3000nm)とした以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
[実施例5]
下層有機層14の形成において、下層有機層14を形成する重合性組成物の塗布量を変更して、下層有機層14の膜厚を3μm(3000nm)とし、さらに、
中間有機層18の形成において、中間有機層18を形成する重合性組成物の塗布量を変更して、中間有機層18の膜厚を0.3μm(300nm)とした以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
[実施例6]
ウレタン(メタ)アクリレートとして、大成ファインケミカル社製のアクリット8BR600を用意した。
中間有機層18を形成する重合性組成物に、さらに、このウレタン(メタ)アクリレートを添加して、各材料を、化合物EA:ウレタン(メタ)アクリレート:シランカップリング剤:光重合開始剤の質量比で85:2:10:3となるように秤量した以外は、実施例1と同様に中間有機層18を形成する重合性組成物を調製した。
この重合性組成物を用いて中間有機層18を形成した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
[実施例7]
ウレタン(メタ)アクリレートとして、大成ファインケミカル社製のアクリット8DK2030を用意した。
ウレタン(メタ)アクリレートとして、アクリット8BR600に変えて、このアクリット8DK2030を用いた以外は、実施例6と同様に中間有機層18を形成する重合性組成物を調製した。
この重合性組成物を用いて中間有機層18を形成した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
[実施例8]
ウレタン(メタ)アクリレートとして、新中村化学社製のU−6LPAを用意した。
ウレタン(メタ)アクリレートとして、アクリット8BR600に変えて、このU−6LPAを用いた以外は、実施例6同様に中間有機層18を形成する重合性組成物を調製した。
この重合性組成物を用いて中間有機層18を形成した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
[実施例9]
ウレタン(メタ)アクリレートとして、新中村化学社製のU−6HAを用意した。
ウレタン(メタ)アクリレートとして、アクリット8BR600に変えて、このU−6HAを用いた以外は、実施例6と同様に中間有機層18を形成する重合性組成物を調製した。
この重合性組成物を用いて中間有機層18を形成した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
[実施例10]
ウレタン(メタ)アクリレートとして、新中村化学社製のU−15HAを用意した。
ウレタン(メタ)アクリレートとして、アクリット8BR600に変えて、このU−15HAを用いた以外は、実施例6と同様に中間有機層18を形成する重合性組成物を調製した。
この重合性組成物を用いて中間有機層18を形成した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
[実施例11]
重合性組成物の調製において、化合物EA:ウレタン(メタ)アクリレート:シランカップリング剤:光重合開始剤の質量比で82:5:10:3となるように秤量を行った以外は、実施例6と同様に中間有機層18を形成する重合性組成物を調製した。
この重合性組成物を用いて中間有機層18を形成した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
[実施例12]
重合性組成物の調製において、化合物EA:ウレタン(メタ)アクリレート:シランカップリング剤:光重合開始剤の質量比で77:10:10:3となるように秤量を行った以外は、実施例6と同様に中間有機層18を形成する重合性組成物を調製した。
この重合性組成物を用いて中間有機層18を形成した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
[実施例13]
ウレタン(メタ)アクリレートとして、大成ファインケミカル社製のアクリット8BR600を用意した。
また、二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートとして、TMPTA(ダイセルオルネクス社製)を用意した。
中間有機層18を形成する重合性組成物に、さらに、このウレタン(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリレートを添加して、化合物EA:(メタ)アクリレート:ウレタン(メタ)アクリレート:シランカップリング剤:光重合開始剤の質量比で75:10:2:10:3となるように秤量した以外は、実施例1と同様に中間有機層18を形成する重合性組成物を調製した。
この重合性組成物を用いて中間有機層18を形成した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
[実施例14]
二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートとして、DPHA(新中村化学社製、A−DPH)を用意した。
二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートとして、TMPTAに変えて、DPHAを用いた以外は、実施例13と同様に中間有機層18を形成する重合性組成物を調製した。
この重合性組成物を用いて中間有機層18を形成した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
[実施例15]
実施例1と同様のガスバリアフィルムを作製した。
また、実施例6において中間有機層18を形成した重合性組成物を用意した。
ガスバリアフィルムの2層目の無機層16の上に、この重合性組成物を用い、かつ、重合性組成物の塗布量を変更した以外は、実施例6の中間有機層18と同様に保護有機層19を形成して、図1に示すガスバリアフィルム10を作製した。保護有機層19の厚さは、1μm(1000nm)であった。
[実施例16]
実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
このガスバリアフィルムの2層目の無機層16の上に、先に形成した中間有機層18と同様にして、2層目の中間有機層18を形成した。
2層目の中間有機層18の上に、先に形成した無機層16と同様にして、3層目の無機層を形成した。これにより、下地となる有機層と無機層との組み合わせを3組、有するガスバリアフィルムを作製した。
[実施例17]
実施例6と同様にガスバリアフィルムを作製した。すなわち、このガスバリアフィルムは、中間有機層18を形成する重合性組成物が、化合物EAに加え、ウレタン(メタ)アクリレート(アクリット8BR600)を含有する。
このガスバリアフィルムの2層目の無機層16の上に、先に形成した中間有機層18と同様にして、2層目の中間有機層18を形成した。
2層目の中間有機層18の上に、先に形成した無機層16と同様にして、3層目の無機層を形成した。これにより、下地となる有機層と無機層との組み合わせを3組、有するガスバリアフィルムを作製した。
[比較例1]
下層有機層14の形成において、下層有機層14を形成する重合性組成物の塗布量を変更して、下層有機層14の膜厚を6μm(6000nm)とし、さらに、
中間有機層18の形成において、中間有機層18を形成する重合性組成物の塗布量を変更して、中間有機層18の膜厚を0.6μm(600nm)とした以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
[比較例2]
中間有機層18の形成において、中間有機層18を形成する重合性組成物の塗布量を変更して、中間有機層18の膜厚を0.02μm(20nm)とした以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
[比較例3]
下層有機層14の形成において、下層有機層14を形成する重合性組成物の塗布量を変更して、下層有機層14の膜厚を1.8μm(1800nm)とし、さらに、
中間有機層18の形成において、中間有機層18を形成する重合性組成物の塗布量を変更して、中間有機層18の膜厚を0.4μm(400nm)とした以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
[比較例4]
中間有機層18を形成する重合性組成物の調製において、化合物EAに変えて、TMPTA(ダイセルオルネクス社製)を用いた以外は、実施例1と同様に中間有機層18を形成する重合性組成物を調製した。
この重合性組成物を用いて中間有機層18を形成した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
[比較例5]
中間有機層18を形成する重合性組成物の調製において、化合物EAに変えて、DPHA(新中村化学社製、A−DPH)を用いた以外は、実施例1と同様に中間有機層18を形成する重合性組成物を調製した。
この重合性組成物を用いて中間有機層18を形成した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。
[評価]
このようにして作製したガスバリアフィルムについて、ガスバリア性および密着性を評価した。
<ガスバリア性>
カルシウム腐食法(特開2005−283561号公報に記載される方法)によって、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で水蒸気透過率[g/(m2・day)]を測定した。
なお、水蒸気透過率の測定は、ガスバリアフィルムを作製した直後と、温度85℃、相対湿度85%RHの環境下に500時間放置した後とで行った。
<密着性>
JIS K5400に準拠したクロスカット剥離試験で評価した。
各ガスバリアフィルムの保護有機層19の形成面に、カッターナイフを用いて、膜面に対して90°の切り込みを1mm間隔で入れ、1mm間隔の碁盤目を100個作成した。この上に2cm幅のマイラーテープ(日東電工製、ポリエステルテープ、No.31B)で貼り付けたテープを剥がした。保護有機層19が残存したマスの数で評価した。
なお、クロスカット剥離試験は、ガスバリアフィルムを作製した直後と、温度85℃、相対湿度85%RHの環境に500時間放置した後とで行った。
結果を下記の表に示す。
上記表に示されるように、本発明のガスバリアフィルムは、いずれも、優れたガスバリア性を有し、さらに、密着性も高い。特に、中間有機層が、一般式(1)で表される(メタ)アクリレートに加え、ウレタン(メタ)アクリレートを含有する実施例6〜10は、より優れたガスバリア性および密着性を得ている。中間有機層が、さらに、二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートを含有する実施例13および実施例14は、さらに優れたガスバリア性を得ている。また、保護有機層19を有する実施例15、下地となる有機層と無機層との組み合わせを3組有する実施例16および実施例17も、より優れたガスバリア性および密着性を得ている。
これに対し、中間有機層が厚すぎる比較例1は、ガスバリア性は良好であるが、密着性が低い。他方、中間有機層が薄すぎる比較例2は、密着性は良好であるが、ガスバリア性が低い。また、中間有機層の厚さと下層有機層の厚さとの比が0.1を超える比較例3は、密着性は良好であるが、ガスバリア性が低い。さらに、中間有機層が一般式(1)で表される(メタ)アクリレートを含有しない比較例4および比較例5は、重合性組成物のハジキによって中間有機層が適正に形成できず、ガスバリア性および密着性が、共に低い。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
太陽電池および有機EL素子等に好適に利用可能である。
10 (ガス)バリアフィルム
12,12a,12b,12c,12d 支持体
14 下層有機層
16 無機層
18 保護有機層
20 有機成膜装置
24 無機成膜装置
26 塗布部
28 乾燥部
30 光照射部
32,56 回転軸
34,58 巻取り軸
36,38 搬送ローラ対
42,42b,42d,46a,46c 材料ロール
48,70 供給ロール
49,73 回収ロール
50 供給室
52 成膜室
54 巻取り室
60,68,72,80 パスローラ
61,74,82 真空排気手段
62 ドラム
64 成膜手段
76,78 隔壁
76a,76b 開口
Ga,Gb 保護フィルム

Claims (13)

  1. 支持体の一方の面に、無機層と、前記無機層の下地となる有機層との組み合わせを、2組以上有し、
    前記支持体の表面には前記有機層を有し、前記支持体の表面の有機層を下層有機層、前記無機層の間の有機層を中間有機層とした場合に、前記中間有機層の厚さが0.05〜0.5μmで、前記中間有機層の厚さ/前記下層有機層の厚さの比が0.1以下であり、さらに、
    前記中間有機層が、下記の一般式(1)で表される(メタ)アクリレートの重合体を含有することを特徴とするガスバリアフィルム。
    一般式(1)

    一般式(1)中、R1は、置換基を表し、それぞれ、同一でも異なってもよい。nは、0〜5の整数を示し、それぞれ、同一でも異なってもよい。但し、R1の少なくとも1つは(メタ)アクリロイル基を含む。
  2. 前記中間有機層が、ウレタン(メタ)アクリレートの重合体を含有する請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  3. 前記ウレタン(メタ)アクリレートが6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートである請求項2に記載のガスバリアフィルム。
  4. 前記中間有機層が、二重結合当量が200以下の(メタ)アクリレートの重合体を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
  5. 前記一般式(1)で表される(メタ)アクリレートが、4官能以上の(メタ)アクリレートである請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム。
  6. 支持体の一方の面に、有機層と無機層とを交互に形成することを、前記有機層および前記無機層共に、2層以上、行い、かつ、
    前記支持体の表面には前記有機層を形成し、前記支持体の表面に形成される有機層を下層有機層、前記無機層の間に形成される有機層を中間有機層とした場合に、前記中間有機層の厚さが0.05〜0.5μmで、前記中間有機層の厚さ/前記下層有機層の厚さの比が0.1以下となるように、前記下層有機層および前記中間有機層を形成するものであり、さらに、
    前記中間有機層を、下記の一般式(1)で表される(メタ)アクリレートを含有する重合性組成物を前記無機層に塗布する塗布工程、前記無機層に塗布した重合性組成物を加熱して乾燥する乾燥工程、および、前記乾燥した重合性組成物を硬化する硬化工程、を行って形成することを特徴とするガスバリアフィルムの製造方法。
    一般式(1)

    一般式(1)中、R1は、置換基を表し、それぞれ、同一でも異なってもよい。nは、0〜5の整数を示し、それぞれ、同一でも異なってもよい。但し、R1の少なくとも1つは(メタ)アクリロイル基を含む。
  7. 前記重合性組成物が、ウレタン(メタ)アクリレートを含有する請求項6に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
  8. 前記ウレタン(メタ)アクリレートが6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートである請求項7に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
  9. 前記重合性組成物が、二重結合当量が200以下の多官能の(メタ)アクリレートを含有する請求項6〜8のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
  10. 前記一般式(1)で表される(メタ)アクリレートが、4官能以上の(メタ)アクリレートである請求項6〜9のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
  11. 前記無機層および前記有機層の形成を、ロール・トゥ・ロール方式によって行うものであり、かつ、
    前記無機層を形成した後、形成した前記無機層が他の部材に接触する前に、前記無機層の表面に保護フィルムを積層し、さらに、
    前記中間有機層の形成に先立ち、前記無機層から保護フィルムを剥離し、前記無機層が他の部材に接触する前に、前記塗布工程を行う請求項6〜10のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
  12. 前記保護フィルムがポリオレフィン製である請求項11に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
  13. 前記重合性組成物の粘度が1Pa・s以上である請求項6〜12のいずれか1項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
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