JP6603585B2 - 車両の制御装置及び車両の制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の制御装置及び車両の制御方法に関する。
従来、例えば下記の特許文献1には、自車から所定間隔離れた前方を走行中の他車が検出した天候情報から悪天候が予想される場合には、ダウンシフト制御により減速し、車両の安定性を確保する制御装置が記載されている。
特開2005−285135号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている技術では、前方を走行中の他車が雨であると判定した場合は、自動変速機をダウンシフトして減速を促すようにしているが、現在走行中の路面状況が悪化している場合に、現在走行中の路面状況を考慮した上で最適な制御を行うことは想定していない。
特に、現在走行中の路面状況が雨路、雪路などの場合は、将来的に走行する路面に基づいて車両を制御すると、現在走行中の路面状況に対応する制御が困難となるため、車両がスリップするなど車両挙動が不安定になることが想定される。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、車両の将来的な環境情報と、車両の現在の走行状況に基づいて駆動トルクを制御することで、車両挙動を確実に安定させることが可能な、新規かつ改良された車両の制御装置及び車両の制御方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、車両の将来的な環境情報に基づいて、車両の旋回方向に付与する第1駆動トルクを演算する第1駆動トルク演算部と、車両の現在の走行状況に基づいて、車両の旋回方向に付与する第2駆動トルクを演算する第2駆動トルク演算部と、車両の現在の走行状況に基づいて前記第1駆動トルクと前記第2駆動トルクを重み付けすることで、車両の旋回方向に付与する駆動要求トルクを演算する駆動要求トルク演算部と、を備え、前記第1駆動トルク演算部は、悪天候の兆候を検知してからの経過時間が長いほど前記第1駆動トルクを減少させる車両の制御装置が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、車両の将来的な環境情報に基づいて、車両の旋回方向に付与する第1駆動トルクを演算する第1駆動トルク演算部と、車両の現在の走行状況に基づいて、車両の旋回方向に付与する第2駆動トルクを演算する第2駆動トルク演算部と、車両の現在の走行状況が車両挙動を不安定化させるときは、車両挙動を不安定化させないときに比べ、前記第1駆動トルクに対する前記第2駆動トルクの重み付けを高くするように、前記第1駆動トルクと前記第2駆動トルクを重み付けすることで、車両の旋回方向に付与する駆動要求トルクを演算する駆動要求トルク演算部と、を備える車両の制御装置が提供される。
前記第1駆動トルク演算部は、将来の予測到達地点の路面状況に基づいて、前記第1駆動トルクを演算するものであっても良い。
前記第1駆動トルクは、左右の車輪に対する偶力として車両の旋回方向に付与され、前記第1駆動トルク演算部は、前記第1駆動トルクを減少することで左右の車輪の駆動力差を減少させるものであっても良い。
また、前記第2駆動トルクは、左右の車輪に対する偶力として車両の旋回方向に付与され、前記第2駆動トルク演算部は、前記第2駆動トルクを減少することで左右の車輪の駆動力差を減少させるものであっても良い。
また、前記第2駆動トルク演算部は、カメラで路面を撮像して得られた画像情報に基づいて、現在の路面状況が悪いほど前記第2駆動トルクを減少させるものであっても良い。
また、前記第2駆動トルク演算部は、車両モデルから演算されたヨーレートモデル値とヨーレートセンサが検出した実ヨーレートとの差分に基づいて、前記差分が大きいほど前記第2駆動トルクを減少させるものであっても良い。
また、前記駆動要求トルク演算部は、カメラで路面を撮像して得られた画像情報に基づいて、現在の路面状況が悪いほど前記第1駆動トルクに対する前記第2駆動トルクの重み付けを高くするものであっても良い。
また、前記駆動要求トルク演算部は、車両速度が高いほど前記第1駆動トルクに対する前記第2駆動トルクの重み付けを高くするものであっても良い。
また、前記駆動要求トルク演算部は、車両モデルから演算されたヨーレートモデル値とヨーレートセンサが検出した実ヨーレートとの差分に基づいて、前記差分が大きいほど前記第1駆動トルクに対する前記第2駆動トルクの重み付けを高くするものであっても良い。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、車両の将来的な環境情報に基づいて、車両の旋回方向に付与する第1駆動トルクを演算するステップであって、悪天候の兆候を検知してからの経過時間が長いほど前記第1駆動トルクを減少させるステップと、車両の現在の走行状況に基づいて、車両の旋回方向に付与する第2駆動トルクを演算するステップと、車両の現在の走行状況に基づいて前記第1駆動トルクと前記第2駆動トルクを重み付けすることで、車両の旋回方向に付与する駆動要求トルクを演算するステップと、を備える車両の制御方法が提供される。
以上説明したように本発明によれば、車両の将来的な環境情報と、車両の現在の走行状況に基づいて駆動トルクを制御することで、車両挙動を確実に安定させることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る車両を示す模式図である。 操舵による旋回制御を示す模式図である。 制御装置の構成を示す模式図である。 制御装置で行われる処理を示すフローチャートである。 降雨時に路面の摩擦係数μが時間に伴って変化する様子を示す模式図である。 第1駆動トルク補正係数演算部がゲインζを算出するためのゲインマップ270を示す特性図である。 第1駆動トルク補正係数演算部が単位時間当たりのゲインζの変化量Δζを算出する処理を示すフローチャートである。 図7の処理に基づいて、変化量Δζによって調整されたゲインζの変化を示す特性図である。 ステレオカメラが撮像した矩形の画像内に設定された、マトリクス状の複数の監視領域を示す模式図である。 第2駆動トルク補正係数演算部がゲインτを算出するためのゲインマップを示す特性図である。 第2駆動トルク補正係数演算部がゲインκを算出するためのゲインマップ274を示す特性図である。 第2駆動トルク補正係数演算部が車両速度Vに応じたゲイン(GainV)を算出するためのゲインマップを示す特性図である。 第2駆動トルク補正係数演算部がヨーレート偏差γ_diffに応じたゲイン(Gainγ_diff)を算出するためのゲインマップを示す特性図である。 外界認識部が検知した路面状況に応じたゲイン(GainRoadCondition)を算出するゲインマップを示す特性図である。 本実施形態の処理により制御された各パラメータを示す模式図である。 本実施形態の処理により制御された各パラメータを示す模式図である。 本実施形態の処理により制御された各パラメータを示す模式図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
1.本発明の一実施形態に係る車両の構成例
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る車両1000の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る車両1000を示す模式図である。図1に示すように、車両1000は、前輪100,102、後輪104,106、前輪100,102及び後輪104,106のそれぞれを駆動する駆動力発生装置(モータ)108,110,112,114、前輪100,102及び後輪104,106のそれぞれの車輪速を検出する車輪速センサ116,118,120,122、ステアリングホイール124、舵角センサ130、パワーステアリング機構140、ヨーレートセンサ150、横加速度センサ160、制御装置(コントローラ)200、外界認識部220を有して構成されている。
本実施形態に係る車両1000は、前輪100,102及び後輪104,106のそれぞれを駆動するためにモータ108,110,112,114が設けられている。このため、前輪100,102及び後輪104,106のそれぞれで駆動トルクを制御することができる。従って、前輪100,102の操舵によるヨーレート発生とは独立して、前輪100,102及び後輪104,106のそれぞれを駆動することで、トルクベクタリング制御によりヨーレートを発生させることができる。特に、後輪104,106のトルクを個別に制御することで、ハンドル操舵系とは独立してヨーレートを発生させることができる。後輪104,106は、制御装置200の指令に基づき、後輪104,106に対応するモータ112,114が制御されることで、駆動トルクが制御される。
パワーステアリング機構140は、ドライバによるステアリングホイール124の操作に応じて、トルク制御又は角度制御により前輪100,102の舵角を制御する。舵角センサ130は、運転者がステアリングホイール124を操作して入力した舵角θを検出する。ヨーレートセンサ150は、車両1000の実ヨーレートγを検出する。車輪速センサ116,118,120,122は、車両1000の車両速度Vを検出する。
なお、本実施形態はこの形態に限られることなく、前輪100,102を駆動するモータ108,102が設けられておらず、後輪104,106のみがモータ112,114で独立して駆動力を発生する車両であっても良い。また、後輪104,106を駆動するモータ112,114が設けられておらず、前輪100,102のみがモータ108,102で独立して駆動力を発生する車両であっても良い。
図2は、本実施形態に係る車両1000が行う操舵による旋回制御(操安制御)を示す模式図である。操舵による旋回制御では、ドライバによるステアリングホイール130の操作に応じて後輪104,106に駆動力差を生じさせることで、車両1000の旋回を支援する。図2に示す例では、ドライバ(運転者)の操舵により車両1000が左に旋回している。また、後輪104,106の駆動力差によって、右側の後輪106に前向きの駆動力を発生させ、左側の後輪104には右側の後輪106に対して駆動力を抑制、または後ろ向きに駆動力を発生させることで、左右に駆動力差を発生させ、左回りの旋回を支援する方向にモーメントを発生させている。
本実施形態に係る車両1000は、舵角センサ130、車輪速センサ116,118,120,122、ヨーレートセンサ150、横加速度センサ160など、車両の走行状態を計測するセンサから旋回支援に伴う駆動力の目標値を算出する車両であり、外界認識部220から取得した将来的な環境情報から車両1000が不安定になる予兆を検知した場合には、将来的な情報に基づき指定する第1駆動トルクの配分を高めて、左右の駆動力差を徐々に抑制する。
一方、外界認識部220から取得した進行路等の周囲の環境情報、または現在の車両挙動に基づき車両が不安定になる環境を検知した場合には、現在の状況に基づき指定する第2駆動トルクの配分を高めた状況で各輪の要求駆動力を指定することで、将来的な環境情報から車両1000が不安定になる予兆を検知した状況に比べ、速やかに左右の駆動力差を抑制する。以下、詳細に説明する。
2.制御装置の構成
図3は、制御装置200の構成を示す模式図である。制御装置200は、車載センサ210、GPS212、外界認識部220、駆動目標トルク演算部230、第1駆動トルク補正係数演算部240、第2駆動トルク補正係数演算部250、車両モデル演算部260、減算部262、ゲインマップ処理部270,272,274,276,278,279、駆動目標トルク補正処理部280、を有している。駆動目標トルク補正処理部280は、第1駆動トルク演算部282、第2駆動トルク演算部284、トルク補正係数演算部286、駆動要求トルク算出部288を有して構成されている。
外界認識部220は、外部の環境を認識するための構成要素である。外部認識部220は、天候情報を位置情報(GPS情報)とともに取得することができる。また、外界認識部220は、ステレオカメラ、雨滴センサ、勾配センサ等のセンサを含み、車両周辺の天候、路面の傾斜等の環境情報を取得する。外界認識部220は、無線通信部を備え、天候情報を無線通信により取得する。また、外界認識部220は、GPS212から位置情報と可降水量を取得することができ、可降水量を天候情報の指標として活用し、一定以上の可降水量が見込める場合に、悪天候と認識することができる。また、外部認識部220が備えるステレオカメラは、車両外部を撮像し、車両外部の画像情報、特に車両前方の路面、走行レーンを示す車線、先行車、信号機、各種標識類の画像情報を取得する。ステレオカメラは、CCDセンサ、CMOSセンサ等の撮像素子を有する左右1対のカメラを有して構成され、車両外の外部環境を撮像することで画像情報を取得する。
3.制御装置で行われる処理の概要
図4は、制御装置200で行われる処理を示すフローチャートである。図4において、先ず、ステップS100では、駆動目標トルク演算部230が各車輪の駆動目標トルクMotTrqTgtを演算する。次のステップS110では、車両モデル演算部260が車両モデルを演算する。次のステップS120では、第1駆動トルク補正係数演算部240が、第1駆動目標トルクの補正係数Coef1を演算する。次のステップS130では、第1駆動トルク演算部282が第1駆動トルクMotTrq1を演算する。次のステップS140では、第2駆動トルク補正係数演算部250が、第2駆動目標トルクの補正係数Coef2を演算する。次のステップS150では、第2駆動トルク演算部284が第2駆動トルクMotTrq2を演算する。次のステップS160では、トルク補正係数演算部286がトルク補正係数TrqCoefを演算する。次のステップS170では、駆動要求トルク算出部288が駆動トルクを演算する。なお、各ステップの処理は各車輪毎に行われるものであって良い。
4.制御装置の各構成要素で行われる処理
以下では、図3に示す制御装置200の各構成要素で行われる処理について詳細に説明する。駆動目標トルク演算部230は、車両速度Vやアクセル開度等によって定まる前後駆動トルクとは別に、舵角、車速、ヨーレートから、車輪に付与する制御目標トルク(左右トルク配分)を各輪分算出する。ここで算出される制御目標トルク(左右トルク配分)には、アクセル開度等によって定まる前後駆動トルク分は含まれない。具体的には、駆動目標トルク演算部230は、車両速度V、操舵角θ、ヨーレートγに基づいて、各車輪に付与する制御目標トルクMotTrqTgtFL(FL輪),MotTrqTgtFR(FR輪),MotTrqTgtRL(RL輪),MotTrqTgtRR(RR輪)を算出する。MotTrqTgtFLは左前輪の制御目標トルクであり、MotTrqTgtFRは右前輪の制御目標トルクであり、MotTrqTgtRLは左後輪の制御目標トルクであり、MotTrqTgtRRは右後輪の制御目標トルクである。また、ここで算出される制御目標トルクMotTrqTgtFL,MotTrqTgtFR,MotTrqTgtRL,MotTrqTgtRRは、左右駆動力配分の基本量となるトルクである。なお、駆動目標トルク演算部230が演算する制御目標トルクMotTrqTgtは、他の方法で算出されても良く、例えば、ステアリングによる操安制御や、外界認識部220の車線検知による車両制御で算出される状態量、マップで与えられる指示値、などで定まるものであっても良い。
第1駆動トルク補正係数演算部240は、ゲインマップ270によるマップ処理により、将来的な悪天候の兆候を検知してからの経過時間に応じて、制御目標トルクMotTrqTgtを補正するゲインζを算出する。
図5は、降雨時に路面の摩擦係数μが時間に伴って変化する様子を示す模式図である。図5に示すように、時刻0では乾いた路面状態であり摩擦係数μは高いが、時刻t0で雨が降り始めると摩擦係数μが低下し始め、降り始めから20分程度が経過した時点で、泥やホコリの影響により最も摩擦係数μが低くなる。その後は、雨が降り続いていても、泥やホコリが路面上から洗い流されるため、摩擦係数μは増加する。そして、時刻t1で雨が止むと摩擦係数μは増加していき、路面が乾くと摩擦係数μが元の高い状態に復帰する。
以上のように、図5によれば、雨の降り始めから20分程度経過した時点が最も滑りやすい路面状態であることが判る。このため、第1駆動トルク補正係数演算部240は、悪天候の兆候を検知してからの経過時間に応じて、雨の降り始めから20分程度経過した時点で制御目標トルクMotTrqTgtを最も低下させるためのゲインζを算出する。なお、例えば外界認識部220が有するステレオカメラや雨滴センサにより最初に雨滴を検出した時点で将来的な悪天候の兆候を検知したものとすることができる。これにより、将来的な環境情報として、最初の検知から20分走行後の予測到達地点において路面状況が悪くなることを推定できる。
図6は、第1駆動トルク補正係数演算部240がゲインζを算出するためのゲインマップ270を示す特性図である。図6に示すように、悪天候の兆候を検知してからの経過時間が長くなるほど、ゲインζの値は小さくなり、経過時間TH2_Pに達するとゲインζは0となる。一例として、時刻t=0で悪天候の兆候を検知した場合、TH2_Pを20分後に設定する。これにより、雨の降り始めから20分程度経過した時点で、ゲインζが0となる。第1駆動トルク補正係数演算部240は、第1駆動トルク補正係数Coef1として、ゲインζを指定する(Coef1=ζ)。ここで、ゲインζは、悪天候の兆候を検知してからの経過時間から求まる将来的な予測到達地点の路面状況に応じたゲインであるため、第駆動トルク補正係数Coefは、将来的な車両の環境情報に基づく補正係数となる。
第1駆動トルク演算部282は、車両の旋回状況によって求まる左右駆動トルク配分のうち、将来的な情報によって求まる第1駆動トルクMotTrq1を、第1駆動トルク補正係数Coef1(各輪分)と駆動目標トルクMotTrqTgt(各輪分)の積により算出する。すなわち、第1駆動トルクMotTrq1は、以下の式(1)より算出される。なお、(#)は同一の輪が対象であることを示しており、#はFL(左前輪)、FR(右前輪)、RL(左後輪)、RR(右後輪)を表している。
MotTrq1(#)=MotTrqTgt(#)×Coef1(#) ・・・(1)
駆動目標トルクMotTrqTgtは、車速やアクセル開度等によって定まる前後駆動トルクとは別個に(パラレルに)求められるため、駆動目標トルクMotTrqTgtには前後駆動トルク分が含まれない。このため、左右輪の駆動目標トルクMotTrqTgtにCoef1を乗算することで、特に経過時間が長くCoef1の値が低下している場合に、左右輪の駆動力差が抑制される。
以上のように、第1駆動トルク演算部282は、外界の環境情報を取得する車両において、将来的な情報から悪天候の兆候を取得した際には、車両1000の旋回に関する所定の操作量と将来的な情報に基づいて車両1000に付与する第1駆動トルクMotTrq1を演算することで、将来的な左右の駆動力差を抑制し、車両の安定性能を確保する。また、将来的な情報から悪天候の兆候を検知した際には、最も滑りやすく危険な時間帯に合わせて左右の駆動力差を抑制する方向へ徐々に変更する。これにより、車両挙動を確実に安定化することができる。
また、悪天候の兆候を検知し、最も滑りやすい時間帯に合わせて左右の駆動力差を徐々に変更させる場合は、左右等トルク(例えば4輪等トルクモード)に相当する駆動力配分を目標水準としても良い。例えば、最も危険な時間帯においては、最終的に4輪等トルクモードでの配分となる様に、左右トルク配分の目標値を減少方向へ徐々に変化させるようにしても良い。
以上のような観点から、第1駆動トルク演算部282は、悪天候の兆候を検知してからの経過時間や、GPSの位置情報など将来的な状態を示すパラメータの推移に応じて算出される第1駆動トルク補正係数Coef1で、左右トルク配分の目標値を徐々に0へ推移させる。これにより、左右のトルク差が0となる方向へ駆動目標トルクMotTrqTgtが徐々に変化し、第1駆動トルクMotTrq1が算出される。
次に、ゲインζの算出について詳細に説明する。第1駆動トルク補正係数演算部240は、車両速度Vと天候情報(GPS)に基づいて、単位時間当たりのゲインζの変化量Δζを算出する。具体的には、第1駆動トルク補正係数演算部240は、悪天候の兆候を取得してからの経過時間、悪天候の兆候を検知してから車両が走行した走行距離から、単位時間当たりのゲインζの変化量Δζを算出する。
図7は、第1駆動トルク補正係数演算部240が単位時間当たりのゲインζの変化量Δζを算出する処理を示すフローチャートである。図7の処理は、所定の制御周期毎に行われる。先ず、ステップS10では、車両速度Vと予想到達時間(例えば20分)TESTから予測到達地点までの距離LESTを算出する。距離LESTは以下の式(2)から算出される。
EST=V×TEST ・・・(2)
経過時間TESTとして、雨が降り始めてから最も危険な時間(20分)を指定する。車両速度Vとしては、検知時点の現在の車速を使用する。但し、車両速度Vとしては、これに限定されるものではなく、ある所定の時間帯(数〜数百サンプリング前まで)から算出される車両速度Vの平均値VMEANで代用しても良い。
上述したように、図5によれば、雨の降り始めから20分程度経過した時点が最も滑りやすい路面状態であることが判る。このため、図7のステップS10では、経過時間TESTを20分として予測到達地点までの距離LESTを算出する。これにより、予測到達地点は最も滑り易い路面状態である地点に相当し、距離LESTは現在の車両1000の位置から予測到達地点までの距離に相当する。
次のステップS12では、悪天候の兆候を取得したか否かを判定し、悪天候の兆候を取得した場合はステップS14へ進む。悪天候の兆候は、外界認識部220のステレオカメラ、雨滴センサから取得することが可能である。また、外部から天候情報(GPS)を取得することで悪天候の兆候を取得することも可能である。
ステップS14では、車両速度Vと悪天候を検知してからの経過時間から走行距離LNOWを算出する。具体的には、以下の式(3)に基づいて、サンプリング時間Δtと各サンプリング時の車速Vkを積算することで、ステップS12で悪天候の兆候を取得してからの走行距離LNOWを算出する。
Figure 0006603585
次のステップS16では、以下の式(4)に基づいて、LESTからLNOWを減算することでΔLを求める。
ΔL=LEST−LNOW ・・・(4)
ここで算出されたΔLは、予測到達地点までの残りの距離を表しているため、ΔLが小さいほど予測到達地点(最も滑り易い路面状態である地点)に近づいていることになる。
一方、ステップS12で悪天候の兆候を取得しなかった場合は、ステップS18へ進む。つまり、好天だと想定される場合は、ステップS18へ進む。ステップS18では、悪天候の兆候を取得してから積算し始めた走行距離(LNOW)を0にリセットする(LNOW=0)。次のステップS20では、ΔL=ΔLMAX1とする。ここで、ΔLMAX1として、悪天候時には到達しない値を指定する。ΔLMAX1は、例えば、正の値であって、マイコンの演算処理上、最大値として取り扱われるガード値とする。
ステップS16,S20の後はステップS22へ進む。ステップS16,S20で求めたΔLの値は、車両1000の現在位置から予測到達地点(最も滑り易い路面状態である地点)までの距離を表しており、ΔLが小さいほど路面が滑り易いことが想定される。ステップS22では、ΔL<ΔLMAX2であるか否かを判定し、ΔL<ΔLMAX2の場合はステップS24へ進む。一方、ΔL<ΔLMAX2でない場合はステップS26へ進む。なお、ΔLMAX1とΔLMAX2の大小関係は、ΔLMAX1>ΔLMAX2とする。また、ΔLMAX2に相当する時間が、図6のTH1_Pに対応する。
ステップS24へ進んだ場合、予測到達地点(最も滑り易い路面状態である地点)に近いと考えられるため、単位時間当たりのゲインζの変化量ΔζをDELTA_ZETA_Pとする。ここで、DELTA_ZETA_Pは正の値である(DELTA_ZETA_P>0)。
また、ステップS26へ進んだ場合、良天候であるため、単位時間当たりのゲインζの変化量ΔζをDELTA_ZETA_Mとする。ここで、DELTA_ZETA_Mは負の値である(DELTA_ZETA_M<0)。
以上のようにして、第1駆動トルク補正係数演算部240は、悪天候の兆候がある場合は、現在位置から予測到達地点までの距離に応じて、単位時間当たりのゲインζの変化量Δζとして正の値を出力する。一方、第1駆動トルク補正係数演算部240は、悪天候の兆候がない場合は、通常制御復帰モードとし、単位時間当たりのゲインζの変化量Δζとして負の値を出力する。そして、第1駆動トルク補正係数演算部240は、図7の処理を繰り返すことで、変化量Δζを積算することでゲインζを算出し、ゲインζに基づいて第1駆動トルク補正係数を演算する。
図8は、図7の処理に基づいて、変化量Δζに基づいて第1駆動トルク補正係数演算部240が算出したゲインζを示す特性図である。図8に示すように、図7の処理を行うことで、ΔLの変化に応じてζが変化し、ΔLが小さくなるほどζの値が大きくなる。従って、悪天候の兆候を検知してからの経過時間に応じて、図6のマップに対して更に高精度にゲインζを算出することができる。
このように、本実施形態では、将来的な予測到達地点での環境情報を予測し、悪天候の兆候があり、予測到達地点で最も滑り易い路面状態になることが想定される場合は、予想到達地点としてLMAX1、トルクを徐変し始める距離をLMAX2として指定し、第1駆動トルク補正係数Coef1によって第1駆動トルクMotTrq1を調整することで、将来的な環境情報に応じた駆動トルクの制御を実現する。これにより、予測到達地点に到着した際に駆動トルクが最適に制御されるため、予測到達地点での車両挙動を確実に判定させることができる。なお、上述した例では、雨の降り始めから20分程度経過した時間帯が最も滑り易いことから、20分経過時に車両が走行している地点での環境情報を将来的な環境情報としているが、これに限定されるものではない。例えば、地域的な天候情報を位置情報とともに取得し、ナビゲーションシステムから得られる自車の目的地までの経路が雨の地域を通過する場合は、雨の地域を予測到達地点として、予測到達地点に到着した際に駆動トルクを最適に制御することもできる。
第2駆動トルク補正係数演算部250は、ゲインマップ272によるマップ処理により、外界認識部220で検知した路面状況に応じてゲインτを算出する。また、第2駆動トルク補正係数演算部250は、ゲインマップ274によるマップ処理により、ヨーレートモデル値γ_mdlと実ヨーレートγとの偏差γ_diffに応じてゲインκを算出する。そして、第2駆動トルク補正係数演算部250は、ゲインτとゲインκの積から、制御目標トルクMotTrqTgtを補正するための第2駆動トルク補正係数Coef2を算出する。
先ず、ゲインτの算出について説明する。図9は、ステレオカメラが撮像した矩形の画像240内に設定された、マトリクス状の複数の監視領域300を示す模式図である。図9に示す例では、ステレオカメラにより車両前方の景色が被写体として撮像されており、先行車両350の一部、および車線360の一部が画像340内に写っている。
図9に示すように、ステレオカメラ130が撮像した画像をマトリクス状の複数の領域に分割してそれぞれを監視領域300とし、各監視領域内でウェットデータ率RTおよび平均輝度A、輝度エッジ数Nを算出する。雪路であるか否かの判定は、各監視領域300の水平方向に関する輝度エッジ数Nと、各監視領域300の全体的な平均輝度Aを算出し、輝度エッジ数Nが閾値より小さく、かつ平均輝度Aが閾値より大きい場合に雪路と判定することができる。このような手法は、例えば特開2001−43352号公報に記載されている。
また、ウェット路であるか否かの判定は、ステレオカメラから得られる監視領域300の各所定領域までの距離データに関して三次元空間における高さを求め、走行路の路面よりも低い位置で立体物が路面に移りこんでいることに起因した距離データ数をウェットデータ数としてカウントする。ウェットデータ数を走行路の路面に対応する距離データ数(ドライデータ数)で割ったものをウェットデータ率RTとして算出し、ウェットデータ率RTが閾値より大きい場合にウェット路と判定する。このような手法は、例えば特開2001−41741号公報に記載されている。
図10は、第2駆動トルク補正係数演算部250がゲインτを算出するためのゲインマップ272を示す特性図である。図10に示すように、外界認識部220で検知した路面状況(Road Condition)が良好なほど、すなわち、ドライ路面であるほど、ゲインτの値は大きくなり、路面状況(Road Condition)がTH2に達するとゲインτはMAX_GAINとなる。また、路面状況(Road Condition)がTH1より小さい場合は、ゲインτはMIN_GAIN(=0)となる。
次に、ゲインκの算出について説明する。車両モデル演算部260は、車両速度V、タイヤ舵角δに基づいて、車両の挙動を模擬した車両モデル(平面2輪モデル)を参照し、以下の式(5)、式(6)のγをヨーレートモデル値γ_mdlとして算出する。また、以下の式(5)、式(6)のβを横すべり角モデル値(β_mdl)として算出する。なお、タイヤ舵角δは、ステアリング操舵角θをステアリングギヤ比で除算して算出する。
Figure 0006603585
なお、上式において、定数、変数は以下の通りである。
m:車両の慣性重量
I:車両のヨー慣性
δ:舵角(タイヤ転舵角)
V:車両速度
β:車体横すべり角
γ:ヨーレート(=γ_mdl)
lf:前軸位置と重心位置との距離
lr:後軸位置と重心位置との距離
Kf,Kr:コーナーリングフォース
減算部262は、車両に搭載されているヨーレートセンサ150が検出したヨーレートセンサ値(実ヨーレートγ)と、ヨーレートモデル値γ_mdlとの差分を取ることでヨーレート偏差(γ_diff)を算出する。すなわち、ヨーレート偏差γ_diffは、以下の式から算出される。ヨーレート偏差γ_diffは、車両モデルと実車挙動との乖離度合(モデル信頼度)を判別する指標となる。
γ_diff=γ_mdl−γ
図11は、第2駆動トルク補正係数演算部250がゲインκを算出するためのゲインマップ274を示す特性図である。なお、図11において、TH1_Pは重み付けゲインの切り替えしきい値(+側)であり、TH2_Pは重み付けゲインの切り替えしきい値(+側)であり、TH1_Mは重み付けゲインの切り替えしきい値(−側)であり、TH2_Mは重み付けゲインの切り替えしきい値(−側)である。各しきい値の大小関係は、TH1_P<TH2_P、TH1_M>TH2_Mとする。第2駆動トルク補正係数演算部250は、γ_diffを入力とするゲインマップ274を使用して、重みづけゲインκを算出する。図11に示すように、γ_diffが所定のしきい値(TH1_P及びTH1_M)の範囲内であれば、車両モデルから算出したヨーレートモデル値γ_mdlの信頼度が高いと判別してκ=MAX_GAIN(例えばMAX_GAIN=1)とする。また、|γ_diff|が所定の閾値(TH2_PまたはTH2_M)よりも大きい場合は、車両モデルから算出したヨーレートモデル値γ_mdlの信頼度が低いと判別してκ=0とする。また、TH1_P<γ_diff<TH2_P、またはTH2_M<γ_diff<TH1_Mの範囲では、γ_mdlとγの乖離度合(モデル信頼度)に応じて、0と1の間でκを線形補間する。以上のように、ヨーレート偏差γ_diffのゲイン(絶対値)が大きくなるほど、ヨーレートモデル値γ_mdlの信頼度が低く、路面状況が悪いことが推定される。
第2駆動トルク補正係数演算部250は、ゲインτとゲインκの積から第2駆動トルク補正係数Coef2を算出する(Coef2=κ×τ)。ここで、ゲインτとゲインκは、自車周囲の現在的な情報から求まるゲインであるため、第2駆動トルク補正係数Coef2は、現在の車両の走行状況に基づく補正係数となる。
以上のようにして、第2駆動トルク演算部284は、車両速度Vやアクセル開度等によって定まる前後駆動トルクとは別に、車両の旋回状況によって求まる左右駆動トルク配分のうち、自車周囲の現在的な情報から求まる第2駆動トルクMotTrq2を、第2駆動トルク補正係数Coef2(各輪分)と駆動目標トルクMotTrqTgt(各輪分)の積により算出する。すなわち、第2駆動トルクMotTrq2は、以下の式(7)より算出される。
MotTrq2(#)=MotTrqTgt(#)×Coef2(#) ・・・(7)
駆動目標トルクMotTrqTgtは、車速やアクセル開度等によって定まる前後駆動トルクとは別に求められるため、駆動目標トルクMotTrqTgtには前後駆動トルク分が含まれない。このため、左右輪の駆動目標トルクMotTrqTgtに第2駆動トルク補正係数Coef2を乗算することで、特に路面状況が悪い場合またはヨーレートモデル値γ_mdlの信頼度が低い場合であって、第2駆動トルク補正係数Coef2の値が低下している場合は、左右輪の駆動力差が抑制される。これにより、車両挙動を安定させることができる。
トルク補正係数演算部286は、第1駆動トルクMotTrq1と第2駆動トルクMotTrq2を重み付けして駆動要求トルクMotTrqReqを算出するための補正係数TrqCoefを演算する。トルク補正係数演算部286は、車両速度V、ヨーレート偏差γ_diff、路面状況(Road Condition)に応じて、第1駆動トルクMotTrq1と第2駆動トルクMotTrq2を重み付けするための補正係数TrqCoefを演算する。
図12は、第2駆動トルク補正係数演算部250が車両速度Vに応じたゲイン(GainV)を算出するためのゲインマップ276を示す特性図である。図12に示すように、車両速度Vによる補正ゲイン(GainV)は、最大値MAX_GAINと最小値MIN_GAINの間で変動し、車両速度Vが高くなると値が低下する。
図13は、第2駆動トルク補正係数演算部250がヨーレート偏差γ_diffに応じたゲイン(Gainγ_diff)を算出するためのゲインマップ278を示す特性図である。図13に示すように、ヨーレート偏差γ_diffによる補正ゲイン(Gainγ_diff)は、γ_diffの絶対値が大きくなると値が低下する。
図14は、外界認識部220が検知した路面状況に応じたゲイン(GainRoadCondition)を算出するゲインマップ279を示す特性図である。図14に示すように、路面状況に応じた補正ゲイン(GainRoadCondition)は、路面状況が良好になると値が増加する。
トルク補正係数演算部286は、GainV、Gainγ_diff、及びGainRoadConditionの積によりトルク補正係数TrqCoefを算出する。すなわち、トルク補正係数TrqCoefは以下の式(8)より算出される。
TrqCoef=GainV×Gainγ_diff×GainRoadCondition
・・・(8)
駆動要求トルクの補正処理部288は、駆動トルク補正係数TrqCoefに基づいて、第1駆動トルクMotTrq1と第2駆動トルクMotTrq2を重み付けし、駆動要求トルクMotTrqReqを算出する。駆動要求トルクMotTrqReqは、以下の式(9)から算出される。
MotTrqReq(#)=TrqCoef×MotTrq1(#)+(1−TrqCoef)×MotTrq2(#) ・・・(9)
車両速度Vが高い場合、ヨーレート偏差γ_diffが大きい状況(車両モデルの状態量と実車挙動との乖離が大きい状況)、ステレオカメラで検知される路面状況が悪い場合など、自車周囲の走行環境が不安定である場合には、駆動トルク補正係数TrqCoefの値が小さくなる。この場合、上式により自車周囲の現在情報に基づいて制御する第2駆動トルクMotTrq2の重みを高めることで、車両挙動を安定させることができる。また、自車周囲の走行環境が安定している場合には、駆動トルク補正係数TrqCoefの値が大きくなるため、将来的な情報に基づき算出する第1駆動トルクMotTrq1の重みを高めることができる。
従って、車両1000が低μの路面で滑り出した時のように、車両モデルの状態量と車両挙動との乖離が大きい場合や、外界認識部220により走行ルート上に車両が不安定になる恐れのある路面を検知した場合など、自車周囲の走行環境が不安定な状況下では、将来的な情報から悪天候の兆候を検知した状況に比べ、現在的な情報に基づいて算出する第2駆動トルクMotTrq2の配分を高めることで、車両旋回に関わる所定の操作量に対する左右の駆動力差を速やかに抑制することができる。
また、第2駆動トルクMotTrq2の処理を、第駆動トルクMotTrqの処理に対して優先して実施することで、自車周囲の現在的な情報を優先する状況では、ヨーレート偏差γ_diffによって判断した状況と、ステレオカメラや雨滴センサ等の自車周囲の環境情報によって判断した状況が異なる場合であって、水たまりや積雪路面など不安定な路面へ進入する場合は、外界認識部220が検知した路面状況に基づいて第2駆動トルクMotTrq2の配分を高めるための駆動トルク補正係数TrqCoefを算出する。
一方、水たまりや積雪路面など不安定な路面から脱出する場合は、車両挙動(ヨーレート偏差γ_diff等)に基づいて第2駆動トルクMotTrq2の配分を高めるための駆動トルク補正係数TrqCoefを算出する。更に、将来的な情報を優先する状況では、第1駆動トルクMotTrq1の配分を高める機能も有する。
また、ハイドロプレーニング現象の発生が想定される水量をステレオカメラで検知した場合は、現在の状況に基づく第2駆動トルク補正係数Coef2により左右トルク配分の駆動目標トルク差を速やかに0へ推移させる(左右差0の方向へ徐変させる)。また、ハイドロプレーニング現象の発生を検知するまでの遷移域では、第1駆動トルクMotTrq1と第2駆動トルクMotTrq2の重み付けにより、左右トルク配分(目標値)の補正を行う。
なお、車両モデルと実車挙動との乖離度合(例えばヨーレート偏差γ_diff)により第1の補正係数と第2の補正係数の重み付けを行っても良く、乖離が大きくなる場合には、左右のトルク配分(目標値)の補正を速やかに0へ行う第2駆動トルク補正係数Coef2の重みを高めても良い。
上述したように、本実施形態では、左右駆動力配分のトルク(旋回方向のトルク)を制御するため、駆動要求トルク演算部288が算出した駆動要求トルクMotTrqReqは左右駆動力配分のトルクである。一方、アクセル開度、車輪速VwFL,VwFR,VwRL,VwRR等に基づいて、前後駆動力配分のための駆動トルクは別途求めることができる。前後駆動力配分のための駆動目標トルクと左右駆動力配分のための駆動目標トルクとは各々の輪で加算され、各車輪の駆動力配分が決定される。以上のように、アクセル操作等によって定まる前後方向の駆動目標トルクと、車両1000の旋回状況に伴って定まる駆動トルクを各輪で合算することで、モータに対する最終的な駆動要求トルクが算出され、各輪に対する駆動力配分が決定される。
5.本実施形態の処理により制御された各パラメータについて
図15〜図17は、本実施形態の処理により制御された各パラメータを示す模式図である。図15では、車両速度V、ステアリング操舵角θ、ゲインζ、駆動目標トルクMotTrqTgtの左右差(ΔMotTrqTgt)、ヨーレートγをそれぞれ示している。
図15において、破線の特性は本実施形態に係る処理により将来的な環境情報に基づいて駆動目標トルクの左右差を制御した場合を示しており、実線の特性は本実施形態に係る処理を行わない場合を示している。具体的に、本実施形態に係る処理では、ゲインζを低下させている。図15に示すように、本実施形態に係る処理を行った場合は、駆動目標トルクの左右差が減少し、ヨーレートが低下していることが判る。従って、将来的な予測到達地点の環境情報に基づいてゲインζを低下させることで、予測到達地点で路面状況が悪くなった際に車両1000が旋回し過ぎてしまうことを確実に抑止できる。
図16では、車両速度V、ステアリング操舵角θ、ゲインκ、駆動目標トルクMotTrqTgtの左右差(ΔMotTrqTgt)、ヨーレートγをそれぞれ示している。
図16において、破線の特性は本実施形態に係る処理により現在の走行状況に基づいて駆動目標トルクの左右差を制御した場合を示しており、実線の特性は本実施形態に係る処理を行わない場合を示している。具体的に、本実施形態に係る処理では、ゲインκを低下させている。図16に示すように、本実施形態に係る処理を行った場合は、駆動目標トルクの左右差が減少し、ヨーレートが低下していることが判る。従って、現在の走行状況報に基づいてゲインκを低下させることで、現在の路面状況が悪い場合に車両1000が旋回し過ぎてしまうことを確実に抑止できる。
また、図17では、将来的な環境情報と現在の走行状況を組み合わせて制御しており、車両速度V、ステアリング操舵角θ、ゲインζ、ゲインκ、駆動トルク補正係数TrqCoef、第1駆動トルクMotTrq1の左右差(ΔMotTrq1(実線))、第2駆動トルクMotTrq2の左右差(ΔMotTrq2(細い破線))、駆動要求トルクMotTrqReqの左右差(ΔMotTrqReq(太い破線))、駆動目標トルクの左右差(ΔMotTrqTgt(実線)、駆動要求トルクMotTrqReqの左右差(ΔMotTrqReq(破線))、ヨーレートγをそれぞれ示している。ヨーレートγの値は、実線が本実施形態による制御を行わない場合を示しており、破線が本実施形態による制御を行った場合を示している。
図17に示すように、将来的な環境情報に基づくゲインζ、現在の走行状況に基づくゲインκに応じて駆動トルク補正係数TrqCoefが低下することで、駆動要求トルクMotTrqReqの左右差(ΔMotTrqReq)が低下していることが判る。また、本実施形態による制御を行った場合、ヨーレートγが低下していることが判る。従って、車両1000が旋回し過ぎてしまうことを確実に抑止できる。
以上説明したように本実施形態によれば、車両の将来的な環境情報に基づいて車両の旋回方向に付与する第1駆動トルクMotTrq1を演算し、車両の現在の走行状況に基づいて第2駆動トルクMotTrq2を演算し、車両の現在の走行状況に基づいて第1駆動トルクと第2駆動トルクを重み付けするようにした。これにより、将来的な環境情報に基づいて駆動トルクを最適に制御できるとともに、現在の走行状況で路面状況が悪いなどの状況がある場合は、現在の走行状況に基づいて駆動トルクを最適に制御することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
200 制御装置
230 駆動目標トルク演算部
282 第1駆動トルク演算部
284 第2駆動トルク演算部
288 駆動要求トルク演算部

Claims (11)

  1. 車両の将来的な環境情報に基づいて、車両の旋回方向に付与する第1駆動トルクを演算する第1駆動トルク演算部と、
    車両の現在の走行状況に基づいて、車両の旋回方向に付与する第2駆動トルクを演算する第2駆動トルク演算部と、
    車両の現在の走行状況に基づいて前記第1駆動トルクと前記第2駆動トルクを重み付けすることで、車両の旋回方向に付与する駆動要求トルクを演算する駆動要求トルク演算部と、
    を備え
    前記第1駆動トルク演算部は、悪天候の兆候を検知してからの経過時間が長いほど前記第1駆動トルクを減少させることを特徴とする、車両の制御装置。
  2. 前記第1駆動トルク演算部は、将来の予測到達地点の路面状況に基づいて、前記第1駆動トルクを演算することを特徴とする、請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 前記第1駆動トルクは、左右の車輪に対する偶力として車両の旋回方向に付与され、
    前記第1駆動トルク演算部は、前記第1駆動トルクを減少することで左右の車輪の駆動力差を減少させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両の制御装置。
  4. 前記第2駆動トルクは、左右の車輪に対する偶力として車両の旋回方向に付与され、
    前記第2駆動トルク演算部は、前記第2駆動トルクを減少することで左右の車輪の駆動力差を減少させることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の車両の制御装置。
  5. 前記第2駆動トルク演算部は、カメラで路面を撮像して得られた画像情報に基づいて、現在の路面状況が悪いほど前記第2駆動トルクを減少させることを特徴とする、請求項1
    のいずれかに記載の車両の制御装置。
  6. 前記第2駆動トルク演算部は、車両モデルから演算されたヨーレートモデル値とヨーレートセンサが検出した実ヨーレートとの差分に基づいて、前記差分が大きいほど前記第2駆動トルクを減少させることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の車両の制御装置。
  7. 前記駆動要求トルク演算部は、カメラで路面を撮像して得られた画像情報に基づいて、現在の路面状況が悪いほど前記第1駆動トルクに対する前記第2駆動トルクの重み付けを高くすることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の車両の制御装置。
  8. 前記駆動要求トルク演算部は、車両速度が高いほど前記第1駆動トルクに対する前記第2駆動トルクの重み付けを高くすることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の車両の制御装置。
  9. 前記駆動要求トルク演算部は、車両モデルから演算されたヨーレートモデル値とヨーレートセンサが検出した実ヨーレートとの差分に基づいて、前記差分が大きいほど前記第1駆動トルクに対する前記第2駆動トルクの重み付けを高くすることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の車両の制御装置。
  10. 車両の将来的な環境情報に基づいて、車両の旋回方向に付与する第1駆動トルクを演算する第1駆動トルク演算部と、
    車両の現在の走行状況に基づいて、車両の旋回方向に付与する第2駆動トルクを演算する第2駆動トルク演算部と、
    車両の現在の走行状況が車両挙動を不安定化させるときは、車両挙動を不安定化させないときに比べ、前記第1駆動トルクに対する前記第2駆動トルクの重み付けを高くするように、前記第1駆動トルクと前記第2駆動トルクを重み付けすることで、車両の旋回方向に付与する駆動要求トルクを演算する駆動要求トルク演算部と、
    を備えることを特徴とする、車両の制御装置。
  11. 車両の将来的な環境情報に基づいて、車両の旋回方向に付与する第1駆動トルクを演算するステップであって、悪天候の兆候を検知してからの経過時間が長いほど前記第1駆動トルクを減少させるステップと、
    車両の現在の走行状況に基づいて、車両の旋回方向に付与する第2駆動トルクを演算するステップと、
    車両の現在の走行状況に基づいて前記第1駆動トルクと前記第2駆動トルクを重み付けすることで、車両の旋回方向に付与する駆動要求トルクを演算するステップと、
    を備えることを特徴とする、車両の制御方法。
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