JP3977539B2 - アルミニウム材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、押出形材等のアルミニウム材であって、所謂梨地肌に均一な光沢を発する高級感のある表面を有するアルミニウム材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
建物の窓や玄関の建具には、アルミニウム合金からなる押出形材や板材が広汎に使用されている。また、ビルの外壁や内装の建材にも上記押出形材や板材が広く使用されている。これらの形材や板材のアルミニウム材の表面は、一般に陽極酸化処理による陽極酸化皮膜(アルマイト)層が形成され、防食と美観を保っている。ところで、表面に単に酸化皮膜層を形成したアルミニウム材は銀白色を呈する反面、軽薄な印象を周囲に与える。そこで、アルミニウム材の表面に任意の着色を施すため、上記酸化皮膜層中の多数の微細な孔内に金属又は金属酸化物を充填して、例えばブロンズ等の色彩を与えることも行われている。
【0003】
更に、上記酸化皮膜層による銀白色や着色皮膜層を表面に有するアルミニウム材は、全体として高めの光沢を有するため、落ち着きのない印象を与え易い。これを解決すべく、予めアルミニウム材の表面にショットブラストを施し且つ着色皮膜層を形成した後、これと異なる色彩の塗膜を被覆し、更にこの塗膜の一部を払拭する処理方法も提案されている(特開昭59−31892号公報参照)。
これによれば、ブラスト処理による梨地肌と着色皮膜層及び表面塗膜の複合色による重厚感に冨み深淵な印象を周囲に与えることができる。
【0004】
【発明が解決すべき課題】
しかしながら、上記表面処理方法ではアルミニウム材の表面は梨地肌であるため、その光沢が低いため薄い印象を与えるに留まるという問題点があった。しかも、社会における価値観の多様化に伴い色彩の他、光沢についても多様なニーズが求められる現在において、好みの彩色と共に適度な光沢を表面に有し高級感を与えるアルミニウム材が要求されているが、これを満足するアルミニウム材やその製造方法は提案されていなかった。
本発明は、以上に説明した従来の技術における問題点を解決し、深み乃至落ち付きを有し且つ適度な光沢・輝きを表面に有して高級感を与えるアルミニウム材とこれを得るための製造方法を提案することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、発明者らの鋭意研究の結果、アルミニウム材の表面において粗面部分及び光沢を得る部分を所定の割合にすることにより、表面に任意の彩色と適度な光沢を有するアルミニウム材が得られるとの知見により成されたものである。
即ち、本発明のアルミニウム材(請求項1)は、ショットブラストを施したアルミニウム又はアルミニウム合金からなる素材の表面が、その60〜80%を占めるRz:20μm以上の粗面部と、この粗面部以外の表面内に略均一に分布し且つ斑点状に互いに離間して複数形成され、Rz:1μm以下であり且つ平面視の大きさが円相当径で100μm〜400μmの範囲内にある光沢部と、を併有すると共に、上記粗面部と光沢部とからなる表面全体の輝き度Sが3〜8であり、係る粗面部及び光沢部の表面に、陽極酸化皮膜層が形成されている、ことを特徴とする。
これによれば、微細な凹凸により光を拡散反射する光沢の低い所謂梨地肌を呈する粗面部の生地と、この粗面部内に略均一に分布し且つ平坦で光を鏡面反射する光沢度の高い複数の光沢(残存)部とが表面に併存している。
このため、粗面部による落ち着いた地肌に光沢部による輝きが均一に加わるので、人が目視した際に、奥行き(深み)と適度な明るさ・輝きとを併有する高級感を与えることが可能となる。しかも、粗面部及び光沢部の表面に陽極酸化皮膜層が形成されているため、係る表面に耐食性が付与され、上記アルミニウム材を建材等に適用した場合、高級感を有しつつ耐久性及び寿命を高めることができる。
尚、輝き度Sは、同じ入射光から生じる拡散反射強度と鏡面反射強度との比によって測定され、例えば、アルミニウム材の表面に対し垂直線の角度を0°とした場合、−45°の入射光によって生じる拡散反射光のうちで−35°の拡散反射領域における反射強度s1を分母とし、+45°の鏡面反射領域における反射強度s2を分子とした比(s2/s1)が輝き度Sとなる。
【0006】
上記粗面部をRz(表面粗さ)20μm以上としたのは係る大きさの凹凸により所謂梨地面が形成できるためである。また、その広さが表面全体の80%を超えると梨地肌部分が広くなり過ぎるため高級感が得られず、一方、粗面部の面積比が60%未満になるとベースとなる梨地肌部分が少なくなり且つ光沢部が広くなるため、斑点状に分布する粗面部が表面の汚れのような印象を与える。従って、これらを避けるため上記の範囲とした。
また、光沢部をRz1μm以下としたのは平行光による鏡面反射を得るためである。しかも、その大きさを円相当径で100μm〜400μmの範囲内としたのは、100μmよりも小さくなると目視において光沢部による輝きを感じることができなくなり、一方400μmよりも大きくなると目視において光沢部を模様として感じ、高級感が薄れてくるため、これらの範囲を除外したものである。
更に、輝き度Sを3〜8としたのは、3未満では光沢部が小さく且つ少ないため地味になり、一方、輝き度Sが8を越えると光沢部が過大となり且つ互いに接続し易くなるので、これらを除いた範囲とした。この輝き度Sは、後述するように、同じ入射光から生じる拡散反射強度と鏡面反射強度との比により測定される。
尚、Rz1μm超〜20μm未満の範囲は、後述する粒度分布のショットを用いることにより、可及的に小さくすることができる。また、Rzは表面粗さにおける十点平均粗さ(JIS:B0601)を示す。
【0007】
更に、前記陽極酸化皮膜層の中に、更に電解着色層が形成されている、アルミニウム材(請求項2)も含まれる。
これによれば、上記に加えて粗面部と光沢部との間における明度差、彩度差、及び/又は色相差が形成されるので、例えば明度差により一層深みのある色調を呈する表面を有するアルミニウム材にすることができる。
【0008】
尚、前記アルミニウム材を得るには、前記粗面部と複数の前記光沢部とを併有し且つ前記範囲の輝き度Sの表面を有するアルミニウム材の製造方法であって、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる素材の表面全体がRzで1μm以下の平坦な光沢面であり、約1メートル/分の送り速度で送られる上記表面に対し、最大粒径が1mm以下であって且つ粒径が350μm以上のものを70vol%以上含むアルミナ粒子を用い、ショット圧力1〜2kg/cm2の範囲内でショットブラストを施す工程、を含む、製造方法が挙げられる。
これによる場合、前記高級感を与える表面を有するアルミニウム材を確実に提供することが可能となる。
前記ショットにアルミナ粒子を用いるのは、硬質で微細な凹凸を容易に形成でき且つアルミニウム材の表面に残留した場合、後工程の陽極酸化処理等で悪影響を及ぼさないためである。このため、同様の作用効果が得られる他のセラミック、砂、又は金属粒子を用いることも可能である。
【0009】
また、アルミナ粒子につき粒径350μm以上のものを70vol%以上含むとしたのは、光沢部の大きさを円相当径で100μm以上にするためである。即ち、粒径350μm以上のものが70vol%未満では、形成される光沢部の大きさが円相当径で100μm未満となって、目視で光沢部による輝きを視認し難くなり高級感が薄れてくるため、これを除外したものである。
更に、粒子の最大粒径を1mm以下としたのは、これが1mmを超えると該粒子によって形成される凹みが大きくなり過ぎ、目視で穴又は窪みと視認してしまい、表面の高級感が薄れてくるので、これを除外したものである。
加えて、係る粒度分布のアルミナ粒子を用いることで、前記アルミニウム材の表面におけるRz1μm超〜20μm未満の粗さ面を可及的に少なくできる。
【0010】
また、前記ショットブラスト工程の後に、更に陽極酸化処理、及び/又は、上記陽極酸化皮膜層に対し着色処理を施す工程を有する、アルミニウム材の製造方法も含まれる。これによれば、表面の耐食性を向上させ、これに加えて粗面部と光沢部との間における明度差、彩度差、及び/又は、色相差を形成できるので、例えば明度差により深みのある色調を呈する表面を有するアルミニウム材を得ることが可能となる。尚、上記陽極酸化処理には、所謂硫酸法又は蓚酸法等の公知の方法が適用される。また、上記着色処理には、金属塩浴内においてCo,Ni,Sn,Zn,Cu等の金属成分や金属酸化物を陽極酸化皮膜中における多数の孔内に充填させる電解着色処理等が用いられる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下において本発明の実施に好適な形態を図面と共に説明する。
先ず、アルミニウム又はアルミニウム合金(以下単にアルミニウムとする)の押出形材又は板材(素材:以下アルミニウム材と称する)1を公知の製造方法により用意する。図1(A)及び(a)に示すように、係るアルミニウム材1の表面2は、全体がRzで1μm以下の平坦な光沢面6からなる。
次に、このアルミニウム材1の表面2に対しアルミナ粒子を用いてショットブラストを施す。このアルミナ粒子は最大粒径が1mm以下で且つ粒径350μm以上のものを70vol%以上含んでいる。また、アルミニウム材1の送り速度は約1メートル/分程度とし、且つショット圧力は1〜2kg/cm2の範囲内で適宜選択される。尚、上記送り速度を遅くするか又はショット圧力を上げると、下記粗面部4を広くし且つ光沢部6を狭くでき、これらの面積比を容易に調整できる。
【0012】
その結果、図1(B)に示すように、アルミニウム材1の表面2において、表面粗さがRzで20μm以上の凹凸を有する粗面部4と、この粗面部4内に略均一に分布し且つ斑点状に互いに離間する複数の光沢部6,6,…とが形成される。
図1(b)の断面図に示すように、粗面部4はRzで20μm以上の微細な凹凸5を有し、その間にRzで1μm以下の平坦な表面8の光沢部6が形成される。粗面部4の凹凸5に平行光が反射すると、あらゆる方向に光が反射する拡散反射が生じ、光沢部6の表面8に平行光が反射すると入射角と対称の反射角に沿って平行光が反射する、所謂鏡面反射を生じる。従って、粗面部4による落ち着いた梨地ベース肌に光沢部6による輝きが均一に加わるので、人が目視した際に奥行き乃至深みと適度な明るさ・輝きを有する高級感を与えることが可能となる。
【0013】
更に、図2(A)に示す粗面部4及び多数の光沢部6を有する上記表面2に対し、陽極酸化処理を施す。すると、図2(B)に示すように、粗面部4の凹凸5及び各光沢部6の表面8に沿って表面全体に略均一な厚さの陽極酸化皮膜層10が形成される。この皮膜層10は厚さ数μm〜50μmのアルミナ層からなり、且つ厚さ方向に沿って細径の孔(図示せず)が多数内包されている。係る各孔を直ちに公知の方法により封孔処理しても良い。或いは、この皮膜層10の上に公知の電着塗装又はスプレー塗装を施すこともできる。これらにより、上記高級感と共に耐食性も併有させることができ、窓枠や内外装材等の建材として活用すると高級感の印象を長期間に渉って周囲に与えることができる。
【0014】
加えて、上記皮膜層10に対し着色処理を施すことも可能である。
係る着色処理には、例えば金属塩浴を用いて金属成分又は金属酸化物を皮膜層10の各孔内に充填させる公知の電解着色処理が用いられる。この電解着色処理は、Co,Ni,Cu等の金属塩浴中に浸漬したアルミニウム材1に対し交流、矩形波電流又はパルス電流を供給して電解することにより、Co,Ni,Cu等の金属成分又は金属酸化物を陽極酸化皮膜層10の各孔中に充填させるものである。これらの後に前記封孔処理が施され、或いはこの皮膜層10の上に電着塗装又はスプレー塗装が必要に応じて施される。
【0015】
図2(C)に示すように、上記着色処理を施すと、皮膜層10における表面2の面方向、即ち図示で左右方向に沿って着色層12が形成される。従って、着色層12が被覆されることにより、粗面部4と光沢部6間における明度差、彩度差、及び/又は、色相差が形成されるので、例えば明度差により一層深みのある色調を呈する表面2とすることが可能となる。
【0016】
【実施例】
以下において本発明の具体的な実施例を比較例と共に説明する。
アルミニウム合金(JIS:A6063)からなる同じ形状とサイズを有する押出形材を複数個用意し、実施例1〜6及び比較例1〜4とした。比較例1を除き、表1中に示す条件でアルミナ粒子によるショットブラストを施した。このアルミナ粒子の組成は、アルミナ;96.6wt%,TiO2;2.4wt%,SiO2;0.6wt%,その他を含むものである。
【0017】
また、アルミナ粒子の粒径は、実施例1,2,4〜6では最大粒径が840μmで且つ粒径420〜520μmが70vol%以上(平均粒径500μm)であり、実施例3では最大粒径が1000μmで且つ粒径500〜710μmが70vol%以上(平均粒径600μm)である。また、比較例2,4では最大粒径が420μmで且つ粒径210〜297μmが65vol%以上(平均粒径250μm)であり、比較例3では最大粒径が1190μmで且つ粒径590〜710μmが70vol%以上(平均粒径700μm)である。
そして、各例の表面における粗面部と光沢部の表面粗さRzを表面粗さ計で測定し、それぞれRz20μm以上の粗面部及びRz1μm以下の光沢部を確認した後、各粗面部の面積率を測定して、表1中に示した。尚、Rz1μm超〜20μm未満の表面粗さの範囲は極く少ないので除外した。
【0018】
次いで、実施例2〜6と比較例1〜4の表面に対し、硫酸法による陽極酸化処理を施し各例の表面に平均膜厚10μmの陽極酸化層を形成した。この処理は、硫酸160g/リットルで23℃の電解液を用い、且つ電流密度150A/m2,通電時間23分間の条件で行った。得られた陽極酸化層に対し実施例4,5例を除いて封孔処理を施した。
更に、実施例4,5の表面における上記陽極酸化層に対し、引き続き表1中に示す金属塩浴を用いた電解着色処理(着色処理)を施した後、封孔処理した。
【0019】
【表1】
【0020】
以上の実施例1〜3,6及び比較例1〜4について、表面に分布する各光沢部による輝き度を同じ入射光から生じる拡散反射強度と鏡面反射強度との比によって測定した。この方法は、図3に示すように、表面2に対し垂直線の角度を0°とした場合、−45°の入射光によって生じる拡散反射光のうちで−35°の拡散反射領域における反射強度s1を分母とし、+45°の鏡面反射領域における反射強度s2を分子とした比(s2/s1)を輝き度Sとした。
具体的には、各例の表面2に対し、変角分光光度計(村上色彩技術研究所製のGSP-2)を用いて上記各反射強度s1,s2を測定し、且つ輝き度Sを算出した。これらも表1中に示した。尚、電解着色を施した実施例4,5はその彩色(ブロンズ、赤)により各反射強度s1,s2の定量化が困難なため除外した。
【0021】
また、実施例1〜6及び比較例1〜4について、目視による観察で高級感の程度を評価した。即ち、20人の観察者に対し、従来のアルミニウム押出形材で表面に陽極酸化皮膜を形成した一般的なアルミニウム材の表面と比較して、各例の表面から高級感を受けるか否かを質問し、非常に感じるを5点、高級に感じるを4点、感じないを3点、却って低級に感じるを2点、非常に低級に感じるを1点として、各例ごとに観察者全員の平均値を算出した。その結果も表1中に示した。尚、上記20人の観察者の年齢層は20才代〜50才代の各年代毎に各4人ずつで且つ男女同数とし、各例の表面に対し視力1.0になる距離において評価した。
【0022】
表1の結果、前記輝き度Sについて、実施例1〜3,6は3.2〜5.3の範囲内となり、比較例1〜4は1.2〜1.5又は11.6〜25.1の範囲内となった。因みに、輝き度Sが3未満では、光沢部が小さく且つ少ないため地味になり、各光沢部と粗面部との違いが顕在化せず高級感が感じられない。一方、輝き度Sが8を超えると光沢部が過大になり且つ互いに接続し易くなるため、明るいものの薄く深み(奥行き)がなく、上記と逆の観点から高級感が感じられなくなる。
即ち、輝き度Sは3〜8の範囲内にあると、表面全体に対する粗面部の面積率が略60〜80%となり、落ち着き(深み)と輝きを併有する高級感を発揮する。
【0023】
実施例1〜3,6は、輝き度Sが3〜8の範囲にあるため高級感を有し、且つ高級感評価も4.1〜5.0と高く上記輝き度Sの結果を裏付けている。
一方、比較例1,3は光沢部が広過ぎるため、輝き度Sは25.1又は11.6と高く明るいものの深みのない感じしか与えず、高級感評価も3.0又は2.2と低くなった。更に、比較例2,4は逆に粗面部が広く目立ち光沢部が小さ過ぎることにより、輝き度Sも1.5又は1.2と低く地味で暗い感じしか与えず、高級感評価も3.2又は3.0の低い範囲に留まった。
以上の結果から、本発明のアルミニウム材及びその製造方法の効果が裏付けられたことが理解されると共に、前記高級感の評価も輝き度Sの結果によってその客観性が裏打ちされたことが判明した。
【0024】
本発明は以上において説明した実施形態や実施例に限定されるものではない。例えば、アルミニウム材には、圧延加工された厚肉又は薄肉のアルミニウム板材や、これらを適宜折り曲げ加工した曲げ加工材も含まれる。
また、粗面部と光沢部とを併有する本発明の表面は、平坦面に限らず、湾曲面又は球状面も含み、且つ適宜のコーナ線を介して連続する複数の平坦面及び/又は湾曲(球状)面の組合せも含まれる。
更に、ショットブラスト処理はアルミニウム材の一部のみ、例えば窓枠の場合、室内側又は室外側の表面のみ施し、係る表面にのみ着色層を形成したり、或いは同じ表面の一部のみ、例えば室内の天井寄り又は床面寄りの位置を除いたり、これとは逆に中間位置を除いた上下部分に形成しても良い。
【0025】
また、ショットブラストをアルミニウム材の表面上において円形又は楕円形等の所望形状の範囲内に施し、その後で表面全体に陽極酸化処理や着色処理を施すことにより、任意の図形や模様を表わした意匠を形成することも可能である。
加えて、着色処理も上記ショットブラストと同様アルミニウム材の一部にのみ施すことができ、且つ任意の意匠を形成することもできる。
尚、ショットブラストには、前記アルミナ粒子と同等の作用と効果を発揮し得る他のセラミック、砂、又は金属等からなる粒子を適用することも可能である。
【0026】
【発明の効果】
以上において説明した本発明のアルミニウム材(請求項1)によれば、光沢の低い地肌を呈する粗面部の生地と、この粗面部内に略均一に分布し且つ平坦で光を鏡面反射する複数の光沢(残存)部とが表面に併存し且つこれらが所定範囲の輝き度を表面全体に与えている。このため、上記粗面部による落ち着いたベースに複数の光沢部による輝きが均一に加わるので、人が目視した際に奥行き(深み)と、適度な明るさ・輝きとを有する高級感を与えることが可能となる。しかも、上記粗面部と光沢部とからなる表面に陽極酸化皮膜が形成されているため、上記に加えて耐食性と耐久性を高められる。
また、請求項2のアルミニウム材によれば、上記粗面部と光沢部との間における明度差、彩度差、及び/又は、色相差が形成されるので、例えば明度差により一層深みのある色調を呈する表面にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)及び(B)は本発明のアルミニウム材を得るためのショットブラスト前後における表面を示す模式的平面図、(a),(b)は(A),(B)中のa−a線,b−b線に沿う断面図。
【図2】 (A)乃至(C)は図1の後における本発明の各製造工程を示す概略断面図。
【図3】実施例等における輝き度を説明するための概略図。
【符号の説明】
1……アルミニウム材(素材), 2……表面,
4……粗面部, 6……光沢部,
10…陽極酸化皮膜層, 12…着色層
Claims (2)
- ショットブラストを施したアルミニウム又はアルミニウム合金からなる素材の表面が、その60〜80%を占めるRz:20μm以上の粗面部と、
上記粗面部内に略均一に分布し且つ斑点状に互いに離間して複数形成され、Rz:1μm以下であり且つ平面視の大きさが円相当径で100μm〜400μmの範囲内にある光沢部と、を併有すると共に、
上記粗面部と光沢部とからなる表面全体の輝き度Sが3〜8であり、係る粗面部及び光沢部の表面に、陽極酸化皮膜層が形成されている、
ことを特徴とするアルミニウム材。 - 前記陽極酸化皮膜層中に、更に着色層が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム材。
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