JP6602201B2 - 偏光板用粘着剤組成物、粘着剤付偏光板、及び表示装置 - Google Patents
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Description
一方で、屋外での過酷な環境下で使用されるなど、使用環境も多様化してきており、光学フィルムに用いられる粘着剤には、従来以上に高度な性能が求められてきている。
また、例えば特開2007−138057号公報に記載の粘着剤組成物のように、分散度の広い共重合体を使用する場合は、分散度を広くするために、重合後期に重合開始剤を多量に使用し、これにより残存モノマーが減少するので、芳香族基含有単量体を多く使用したとしても臭気の問題が生じないこともあった。しかし、広い分散度を有する共重合体を含むことにより、耐久性は十分ではなく、臭気を少なく抑えつつ、より高度な性能が求められる耐久性、光漏れの発生の抑制を解決することは困難であった。
<1> 環状基を有する単量体に由来し、共重合体の総質量に対する含有比率が2質量%〜9質量%である構成単位、水酸基を有する単量体に由来する構成単位、及びアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む(メタ)アクリル系共重合体と、多価イソシアネート化合物と、を含有し、前記(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量が80万〜180万であり、かつ分散度(前記(メタ)アクリル系共重合体の数平均分子量に対する重量平均分子量の比率(=重量平均分子量/数平均分子量))が4〜9である偏光板用粘着剤組成物である。
また、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
また、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
また、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味し、(メタ)アクリルとはアクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味する。
本発明の偏光板用粘着剤組成物(以下、単に「粘着剤組成物」ともいう)は、環状基を有する単量体に由来し、共重合体の総質量に対する含有比率が2質量%〜9質量%である構成単位、水酸基を有する単量体に由来する構成単位、及びアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む(メタ)アクリル系共重合体と、多価イソシアネート化合物と、を含有し、前記(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量が80万〜180万であり、かつ分散度(前記(メタ)アクリル系共重合体の数平均分子量に対する重量平均分子量の比率(=重量平均分子量/数平均分子量))が4〜9である。前記偏光板用粘着剤組成物は、必要に応じて更に、シランカップリング剤、硬化促進剤、その他の添加剤等の他の成分を含有してもよい。
本発明の作用は明確ではないが、以下のように推定している。
(メタ)アクリル系共重合体の分散度を特定の範囲にすることで、アクリル系共重合体中における低分子量成分の割合を低く抑えることができる。これにより、粘着剤層の凝集力不足を抑制できるため、長期使用時に発生する発泡、気泡を低減できると考えられる。
さらに、(メタ)アクリル系共重合体を形成している、環状基を有する単量体に由来する構成単位の含有量を特定の範囲にすることにより、複屈折コントロールと応力緩和性のバランスを良好に調整することができ、光漏れ性の抑制効果が向上すると考えられる。
本発明の偏光板用粘着剤組成物は、環状基を有する単量体に由来し、共重合体の総質量に対する含有比率が2質量%〜9質量%である構成単位の少なくとも1種と、水酸基を有する単量体に由来する構成単位の少なくとも1種と、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の少なくとも1種と、を含む(メタ)アクリル系共重合体(以下、単に「共重合体」ともいう)の少なくとも1種を含有する。
前記(メタ)アクリル系共重合体は、環状基を有する単量体と、水酸基を有する単量体と、アルキル(メタ)アクリレートと、必要に応じてその他の単量体とを含み、環状基を含む単量体の含有比率が総単量体量に対して2質量%〜9質量%である単量体組成物を、共重合反応させて得られる共重合体である。
前記単量体組成物がその他の単量体を含む場合、(メタ)アクリル系共重合体は、環状基を有する単量体に由来する構成単位、水酸基を含む単量体に由来する構成単位、及びアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位に加えて、その他の単量体に由来する構成単位を含むことになる。
環状基を有する単量体における環状基としては、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、脂肪族炭化水素基等が挙げられ、芳香族炭化水素基であることが好ましく、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基であることがより好ましい。環状基を有する単量体における環状基の含有数は、1〜2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
環状基を有する単量体としては、環状基を有する(メタ)アクリレート、環状基を有する(メタ)アクリルアミド、スチレン誘導体等を挙げることができる。中でも、環状基を有する単量体は、環状基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましく、芳香環基を有する(メタ)アクリレートであることがより好ましく、芳香環基がアルキレン基、オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基を介してエステル結合した(メタ)アクリレートであることが更に好ましく、芳香環基がオキシアルキレン基を介してエステル結合した(メタ)アクリレートであることが特に好ましい。
中でも、環状基を有する単量体は、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、β−ナフチルオキシエチル(メタ)アクリレート等の、芳香環基がオキシアルキレン基を介してエステル結合した(メタ)アクリレートであることが好ましい。
環状基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水酸基を有する単量体の具体例としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、エチレン性二重結合を有するアルコール誘導体等を挙げることができる。中でも、水酸基を有する単量体は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであることが好ましく、ヒドロキシアルキルアクリレートであることがより好ましい。
水酸基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有比率が1質量%以上であると、最適な弾性率に調節することができ、耐久性及びタック性確保の点で有利である。また、水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有比率が8質量%以下であると、適度な凝集力が得られ、接着性及び耐久性に優れる傾向がある。
(メタ)アクリル系共重合体における、環状基を有する単量体に由来する構成単位と、水酸基を有する単量体に由来する構成単位と、の含有比率は、特に制限されない。耐久性と光漏れの発生の抑制の観点から、環状基を有する単量体に由来する構成単位の、水酸基を有する単量体に由来する構成単位に対する含有比率(環状基を有する単量体に由来する構成単位/水酸基を有する単量体に由来する構成単位)は、質量基準で0.3〜9.0であることが好ましく、0.4〜5.0であることがより好ましく、0.5〜2.3であることが更に好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体における環状基を有する単量体に由来する構成単位及び水酸基を有する単量体に由来する構成単位の総含有率は、特に制限されない。耐久性と光漏れの発生の抑制の観点から、環状基を有する単量体に由来する構成単位及び水酸基を有する単量体に由来する構成単位の総含有率は、(メタ)アクリル系共重合体の総質量に対して、3質量%〜17質量%であることが好ましく、5質量%〜14質量%であることがより好ましく、6質量%〜13質量%であることが更に好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他の単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の酸性基を有する単量体;アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン等の塩基性基を有する単量体;アクリロニトリル、メタクロリニトリル等のシアン化ビニル単量体;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル単量体などを挙げることができる。
<条件>
・GPC:HLC−8220 GPC(東ソー株式会社製)
・カラム:TSK−GEL GMHXL 4本使用(東ソー株式会社製)
・移動相溶媒:テトラヒドロフラン
・標準試料:標準ポリスチレン
・流速:0.6ml/min.
・カラム温度:40℃
なお、アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、アクリル系反応温度、時間、溶剤量、触媒の種類や量を調整することにより、所望の分子量に調整することができる。
本発明の偏光板用粘着剤組成物は、多価イソシアネート化合物の少なくとも1種を含有する。多価イソシアネート化合物は、偏光板用粘着剤組成物において、(メタ)アクリル系共重合体に対する架橋剤として作用する。
多価イソシアネート化合物としては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましく、例えば、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物の2量体若しくは3量体;ジイソシアネート化合物を各種の2価以上のアルコール化合物等に付加反応させたイソシアネート化合物若しくはイソシアヌレート化物;などが挙げられる。
多価イソシアネート化合物は1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多価イソシアネート化合物の市販品としては、例えば、住友バイエルウレタン株式会社製の商品名「デスモジュールILBA」、「デスモジュールIL1451CN」、「デスモジュールHL」、「スミジュールFL−2」、「スミジュールFL−3」、及び「SBUイソシアネート0817」、日本ポリウレタン工業株式会社製の商品名「コロネート2030」、「コロネート2037」、並びにSAPICI社製の商品名「Polurene KC」及び「Polurene HR」を挙げることができる。
偏光板用粘着剤組成物がその他の架橋剤を含む場合、その含有量は本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されない。その他の架橋剤の含有量は、例えば、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましい。
偏光板用粘着剤組成物は、シランカップリング剤の少なくとも1種を更に含むことが好ましい。偏光板用粘着剤組成物がシランカップリング剤を含む場合、偏光板が組み込まれた表示装置(例えば液晶表示装置)が高温高湿環境下に曝されても、粘着剤層と偏光板又は液晶セルとの間に剥がれがより発生し難くなる傾向がある。更に、偏光板用粘着剤組成物が平滑なガラスに対してより優れた接着性を示すようになる傾向がある。
偏光板用粘着剤組成物は、イミダゾール化合物の少なくとも1種を含むことが好ましい。イミダゾール化合物は、偏光板用粘着剤組成物において、例えば硬化促進剤として機能する。偏光板用粘着剤組成物がイミダゾール化合物を含むことで、優れた耐久性と充分なポットライフを維持しつつ、養生時間をより短縮することができる。
N−置換イミダゾール化合物の具体例としては、下記一般式(III)で表される化合物を挙げることができる。
また、R1及びR2が互いに連結して5員〜6員の飽和脂肪族環を形成し、R3及びR4が互いに連結して6員の芳香族環を形成している態様であることも好ましく、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾールであることがより好ましい。
偏光板用粘着剤組成物は、上記成分の他、更に必要に応じて、溶剤、紫外線吸収剤等の耐候性安定剤、タッキファイアー、可塑剤、軟化剤、耐電防止剤、染料、顔料、無機充填剤などを含有してもよい。偏光板用粘着剤組成物がその他の成分を含有する場合、その他の成分の含有率は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択することができる。
本発明の粘着剤付偏光板は、少なくとも、偏光子と、既述の本発明の偏光板用粘着剤組成物の付与により偏光子上に形成された粘着剤層と、を有する。
具体的には、本発明の偏光板用粘着剤組成物を保護用シート(剥離シート)上に塗布し、乾燥させ、保護用シート上に粘着剤層を形成した後、この粘着剤層を偏光板上に転写、養生させることで粘着剤付偏光板が作製される。また、本発明の偏光板用粘着剤組成物を保護用シート(剥離シート)上に塗布し、乾燥させ、保護用シート上に粘着剤層を形成した後、粘着剤層の露出面にさらに保護用シートを密着して設けて支持体のない両面粘着テープを作製し、この粘着剤層を養生させた後、一方の保護用シートを剥離し、露出した粘着剤層を偏光板上に転写させることで粘着剤付偏光板が作製されてもよい。
また、偏光板の粘着剤層が設けられていない側の表面(露出面)には、その表面を保護する表面保護シートを更に設けてもよい。表面保護シートには、PETフィルムの片面に粘着加工されたプロテクトフィルム等が好適に用いられる。
本発明の表示装置は、画像を表示する表示パネルと、表示パネルの少なくとも一方面に配置された既述の本発明の粘着剤付偏光板と、が設けられている。
表示パネルとしては、液晶化合物が封入された液晶表示パネルや、有機エレクトロルミネッセンス表示パネルなどが挙げられる。
温度計、撹枠機、窒素導入管、及び還流冷却管を備えた反応器内に、n−ブチルアクリレート(BA)87質量部、フェノキシエチルアクリレート(PHEA)9質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)4質量部、酢酸エチル(EAc)90質量部を入れ、混合した後、反応容器内を窒素置換した。その後、撹拌下に窒素雰囲気中で、反応容器内の混合物を70℃に昇温した後に、アゾビスジメチルバレロニトリル(ABVN)0.02質量部と酢酸エチル(EAc)200質量部を逐次添加し6時間反応させた。反応終了後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、(メタ)アクリル系共重合体1の溶液を得た。
得られた(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて下記条件で測定した。その結果、重量平均分子量(Mw)は140万、分散度(Mw/Mn)は7.5であった。
[条件]
・GPC:HLC−8220 GPC(東ソー株式会社製)
・カラム:TSK−GEL GMHXL 4本使用(東ソー株式会社製)
・移動相溶媒:テトラヒドロフラン
・標準試料:標準ポリスチレン
・流速:0.6ml/min.
・カラム温度:40℃
製造例1において、(メタ)アクリル系共重合体1の合成に用いた単量体の種類及び比率を下記表1及び表2に示すように変更したこと以外は、製造例1と同様にして、(メタ)アクリル系共重合体2〜18の溶液をそれぞれ得た。
また、得られた各(メタ)アクリル系共重合体について、製造例1と同様にして、Mw及びMnの測定を行なった。結果は、下記表1及び表2に示す。
−粘着剤組成物の調製−
(メタ)アクリル系共重合体(表中では、単に「共重合体」と表記する)として、前記製造例1で得た(メタ)アクリル系共重合体1を100質量部(固形分)と、多価イソシアネート化合物(架橋剤)としてコロネート2037(日本ポリウレタン工業株式会社製)を0.15質量部(固形分)と、N−置換イミダゾール化合物(硬化促進剤)としてキュアゾール1B2PZ(四国化成株式会社製、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール)を0.03質量部と、シランカップリング剤としてX−41−1810(信越化学工業株式会社製、チオール基を有するオリゴマー型)を0.3質量部と、を充分に攪拌混合して粘着剤組成物を得た。
シリコーン系離型剤で表面処理された剥離フィルムの離型剤処理面に、乾燥後の塗工量が20g/cm2となるように、粘着剤組成物を塗布した。次に、これを熱風循環式乾燥機を用いて100℃で90秒間乾燥させ、剥離フィルム上に粘着剤層を形成した。続いて、偏光ベースフィルム〔ポリビニルアルコール(PVA)フィルムを主体とする偏光子の両面にセルローストリアセテート(TAC)フィルムをラミネートしてTACフィルム/PVAフィルム/TACフィルムの積層構造を有するもの;約190μm〕の裏面と前記粘着剤層の表面とを重ねて貼り合せ、加圧ニップロールに通して圧着した。圧着後、23℃、65%RHの環境条件下で7日間養生させ、光学フィルムサンプルとして、剥離フィルム/粘着剤層/偏光ベースフィルムの積層構造を有する偏光フィルムを作製した。
上記で作製した(メタ)アクリル系共重合体、粘着剤組成物及び偏光フィルムを用い、下記の評価を行なった。評価結果は、下記表3〜表5に示す。
上記のようにして得られた光学フィルムサンプルを、吸収軸に対して長辺が0°になるように140mm×260mmの長方形状にカットし、剥離フィルムを剥がした。その後、光学フィルムサンプルの粘着剤層の表面を、0.7mm厚みの無アルカリガラス板「イーグルXG」(コーニング社製)の片面にラミネータを用いて貼付し、試験片を作製した。得られた試験片をオートクレーブ処理(50℃、5kg/cm2(490kPa)、20分)した後、23℃、50%RHの条件で24時間放置した。その後、80℃の耐熱条件(Dry条件)、又は60℃、90%RHの耐湿熱条件(Wet条件)で500時間放置した後、目視で観察し、発泡、又は剥がれの状態を確認し、下記評価基準にしたがって評価した。
また、冷熱衝撃装置TSA−301L−W(エスペック社製)を用いて、−40℃で0.5時間放置した後に85℃で0.5時間放置するサイクルを、200サイクル繰り返すヒートショック(H/S)条件で処理した後、同様にして評価した。
<評価基準>
A:発泡は全く認められなかった。更に2辺において外周部から内側に0.5mm以上の位置に剥がれが認められなかった。
B:発泡はほとんど認められなかった。更に2辺において外周部から内側に0.8mm以上の位置に剥がれが認められなかった。
C:発泡が顕著に認められた。又は2辺において外周部から内側に1.0mm以上の位置に剥がれが認められた。
上記のようにして得られた光学フィルムサンプルを2枚用意し、140mm×260mmの長方形状にカットし、両サンプルの剥離フィルムを剥がした。その後、VA方式の液晶パネルの両面に、2枚の光学フィルムサンプルの粘着剤層の表面を、互いの偏光軸が互いに直交するようにラミネータを用いて貼付し、試験片を作製した。得られた試験片をオートクレーブ処理(50℃、5kg/cm2(490kPa)、20分)した後、23℃、50%RHの条件で24時間放置し、続いて70℃の条件で250時間放置した。その後、23℃、50%RHの条件下で試験片を1時間放置した。均一光源を使用して、光漏れの状態を目視で観察し、下記評価基準で評価した。
<評価基準>
A:光漏れがほとんど認められなかった。
B:光漏れが僅かに認められた。
C:光漏れが顕著に認められた。
前記製造例において、得られた(メタ)アクリル系共重合体の各々を酢酸エチルで希釈し、濃度を固形分15%に調整し、測定サンプルを調製した。得られた測定サンプル中の環状基を有する単量体の濃度を、ガスクロマトグラフィ(GC)を用いて下記条件で測定した。測定サンプル中の環状基を有する単量体の濃度を用いて、下記評価基準にしたがって臭気を評価した。
<条件>
・GC装置:株式会社島津製作所製 GC−17A
・カラム:ZB−5 60×0.53φ
・Inj:150℃、
・Det:260℃
・温度:40℃(5min)→ 10℃/min→240℃(10min)
・注入量:1.0μL
<評価基準>
A:濃度が2000ppm未満である。
B:濃度が2000ppm以上4000ppm未満である。
C:濃度が4000ppm以上である。
上記で得られた粘着剤組成物のポットライフを、以下のようにして粘度を測定し、粘度上昇率を算出することで評価した。
粘着剤組成物の粘度を、1500mPa・sとなるように酢酸エチルを用いて調整した。このとき、調整直後の粘度を、BH型回転粘度計(東京計器社製;以下同じ)にて25℃、1分、10rpmで測定し、粘度(a)とした。さらに、25℃、50%RHの条件下で密閉容器にて24時間放置した後、BH型回転粘度計にて25℃、1分、10rpmでの粘度(b)を測定した。得られた粘度(a)と粘度(b)を用いて、下式により粘度上昇率(%)を算出した。
粘度上昇率(%)=24時間放置後の粘度(b)/配合直後の粘度(a)×100
<評価基準>
A:粘度上昇率(%)が110%未満である。
B:粘度上昇率(%)が110%以上130%未満である。
C:粘度上昇率(%)が130%以上である。
上記で得られた粘着剤組成物が養生に要する時間(養生時間)を、以下のようにしてゲル分率を測定することで評価した。
粘着剤組成物をシリコーン系離型剤で表面処理した剥離フィルム上に塗布して、乾燥後の厚みが25μmとなるように粘着剤層を形成することで、粘着フィルムを得た。次に、得られた粘着フィルムを23℃、50%RHの環境下で保管し、保管開始から所定の保管時間が経過した後のゲル分率(24時間後、48時間後、72時間後、96時間後のゲル分率)と、168時間後のゲル分率と、を以下のようにして測定した。所定の保管時間が経過した後のゲル分率と、168時間後のゲル分率と、を比較し、両者のゲル分率の差が3%以下となるのに要した最初の保管時間を養生時間とした。
(1)精秤した250メッシュの金網(100mm×100mm)に粘着剤層を約0.25g貼付し、ゲル分が漏れないように包む。その後、精密天秤にて質量を正確に測定して試料を作製する。
(2)得られた試料を酢酸エチル80mlに3日間浸漬する。
(3)試料を取り出して少量の酢酸エチルにて洗浄し、120℃で24時間乾燥させる。その後、精密天秤にて質量を測定する。
(4)下式によりゲル分率を計算する。
ゲル分率(質量%) = (Z−X) / (Y−X)× 100
但し、Xは金網の質量(g)、Yは粘着剤層を貼付した金網の質量(粘着剤層の質量)(g)、Zは浸漬後、乾燥させた金網の質量(ゲル樹脂質量)(g)である。
<評価基準>
A:養生時間が24時間である。
B:養生時間が48時間又は72時間である。
C:養生時間が96時間以上である。
上記で得られた光学フィルムサンプルについて、吸収軸に対して長辺が180°になるように120mm×25mmの長方形状にカットし、剥離フィルムを剥がした。その後、光学フィルムサンプルの粘着剤層の表面を、0.7mm厚みの無アルカリガラス板「イーグルXG」(コーニング社製)の片面にラミネータを用いて貼付し、試験片を作製した。
得られた試験片をオートクレーブ処理(50℃、5kg/cm2(490kPa)、20分)した後、23℃、50%RHの条件で24時間放置した。その後、50℃の環境下に48時間放置した後、23℃、50%RHの環境下に1時間放置した。この試験片を用い、23℃、50%RHの条件下、180°剥離における粘着力を剥離速度300mm/minにて測定し、下記の評価基準にしたがってリワーク性を評価した。
なお、リワーク性は、例えば液晶セル等の被着体へ粘着剤層の貼り付けた場合を想定した評価であり、本評価ではガラス板に粘着剤層を貼付した後に剥離する場合において、例えば液晶セル被着体(ここではガラス板)への負荷が発生したり、被着体への糊残りや汚染が発生することなく、被着体から容易に剥離できる性能を評価する。
<評価基準>
A:粘着力が5N/25mm以下である。
B:粘着力が5N/25mmより大きく10N/25mm以下である。
C:粘着力が10N/25mmより大きく20N/25mm以下である。
D:粘着力が20N/25mmより大きい。
実施例1において、粘着剤組成物の組成を下記表3〜表5に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を作製し、これを用いて光学フィルムサンプルをそれぞれ作製した。
使用した(メタ)アクリル系共重合体、得られた粘着剤組成物、及び光学フィルムサンプルについて、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表3〜表5に示す。
(架橋剤)
・C−2037:日本ポリウレタン工業株式会社製、コロネート2037、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体
・C−2030:日本ポリウレタン工業株式会社製、コロネート2030、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体
・C−L:日本ポリウレタン工業株式会社製、コロネートL、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体
(シランカップリング剤)
・X−41−1810:信越化学工業株式会社製、チオール基を有するオリゴマー型
・KBM−803:信越化学工業株式会社製、チオール基を有するモノマー型
・KBM−403:信越化学工業株式会社製、エポキシ基を有するモノマー型
(硬化促進剤)
・1B2PZ:四国化成工業株式会社製、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール
・1B2MZ:四国化成工業株式会社製、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール
実施例1〜15で作製した粘着剤組成物を用いて作製した光学フィルムサンプル(偏光フィルム)を組み込み、液晶表示装置をそれぞれ作製した。
得られた液晶表示装置の光学特性を目視で確認したところ、光漏れがなく、光学的に優れた性能を示すことが確認された。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
Claims (7)
- 環状基を有する単量体に由来し、共重合体の総質量に対する含有比率が2質量%〜9質量%である構成単位、水酸基を有する単量体に由来する構成単位、及びアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む(メタ)アクリル系共重合体と、
多価イソシアネート化合物と、
1−ベンジル−2−メチルイミダゾール及び1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールからなる群より選択される少なくとも1つの硬化促進剤と、
を含有し、
(メタ)アクリル系共重合体における前記水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有比率は、3.5質量%〜6質量%であり、
前記(メタ)アクリル系共重合体は、重量平均分子量が80万〜180万であり、かつ分散度(前記(メタ)アクリル系共重合体の数平均分子量に対する重量平均分子量の比率)が4〜9である、偏光板用粘着剤組成物。 - 更に、チオール基を有するシランカップリング剤を含有し、
前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対する前記シランカップリング剤の含有量が、0.01質量部〜1.5質量部である請求項1に記載の偏光板用粘着剤組成物。 - 前記チオール基を有するシランカップリング剤は、オリゴマー型シランカップリング剤である請求項2に記載の偏光板用粘着剤組成物。
- 前記水酸基を有する単量体に由来する構成単位に対する、前記環状基を有する単量体に由来する構成単位の含有比率が、質量基準で0.3〜2.57である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の偏光板用粘着剤組成物。
- 前記環状基を有する単量体に由来する構成単位及び前記水酸基を有する単量体に由来する構成単位の総含有率は、前記(メタ)アクリル系共重合体の総質量に対して、5.5質量%〜15質量%である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の偏光板用粘着剤組成物。
- 偏光子と、
前記偏光子の上に、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の偏光板用粘着剤組成物の付与により形成された粘着剤層と、
を有する粘着剤付偏光板。 - 画像を表示する表示パネルと、表示パネルの少なくとも一方面に配置された請求項6に
記載の粘着剤付偏光板と、を備えた表示装置。
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