JP6601403B2 - 液晶配向処理剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 - Google Patents
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Description
ポリイミド前駆体としては、ポリアミック酸やポリアミック酸エステルなどが用いられる。これらはポリイミドよりも溶剤に対する溶解性が高いので、上記のように塗布液を用いてポリイミド膜を得る方法の場合に、ポリイミドの構造、使用する溶剤の種類などを比較的自由に選択できるという利点がある。これらポリイミド前駆体の塗膜は、200〜400℃で焼成されることでイミド化し、ポリイミド膜とすることできる。
一般的には、上記した焼成温度が高いほどポリイミド前駆体からポリイミドへのイミド化率は高くなる。用途によっては、必ずしもポリイミド膜のイミド化率を100%にする必要は無いが、より低い温度で目的とするイミド化率を達成できれば、エネルギーコストの面で有利であり、また、耐熱性の低い基材にもポリイミド膜を形成することができるという利点がある。
さらに、熱によって分解し2級アミンを発生する中性化合物である熱塩基発生剤は、未加熱時にはポリアミック酸のカルボキシ基と塩形成しないため、ポリイミド前駆体組成物の保存安定性がよく、ポリアミック酸の熱イミド化促進剤として有用であることが開示されている(特許文献2参照)。この熱塩基発生剤はポリアミック酸エステルの熱イミド化促進剤としても用いることができるので、ポリイミド前駆体の種類を選ばず用いることができるとも記載されている。
液晶配向膜の配向過程における膜面のラビング処理は、簡便で生産性に優れた工業的に有用な方法である。しかし、液晶表示素子の高性能化、高精細化、大型化への要求は益々高まり、ラビング処理によって発生する配向膜の表面の傷、発塵、機械的な力や静電気による影響、更には、配向処理面内の不均一性などの種々の問題が明らかとなってきている。
一方、ポリイミドを用いる光配向用の液晶配向膜は、他に比べて高い耐熱性を有することから、その有用性が期待されている。特許文献3では、主鎖にシクロブタン環などの脂環構造を有するポリイミド膜を光配向法に用いることが提案されている。
しかしながら、光配向法により得られる液晶配向膜は、ラビング処理法によるものに比べて、高分子膜の配向方向に対する異方性が小さいという問題がある。異方性が小さいと充分な液晶配向性が得られず、液晶表示素子とした場合に、残像が発生するなどの問題が発生する。
特許文献4では、ポリアミック酸と特定構造の化合物とを含有する液晶配向処理剤により、交流駆動による残像を抑制できることが提案されている。
(A)成分:下記式(1)で表される化合物。
Xは単結合、−O−、−CONH−、−NHCO−、−CON(CH3)−、−N(CH3)CO−、−COO−、−OCO−及び−S−からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基を表し、
Qはベンゼン環を表すか、ベンゼン環を有する炭素数6〜24の炭化水素基を表す。)
(B)成分:ポリイミド前駆体及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体。
3.前記Pが、下記式(P−1)又は(P−2)のいずれかの基である、上記1又は2に記載の液晶配向処理剤。
4.前記Pが、下記式(PD−1)又は (PD−2)のいずれかの基である、上記3に記載の液晶配向処理剤。
6.(A)成分が、下記式(4−1)又は(4−2)で表される上記1〜5のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
9.前記(B)成分の重合体が、ポリアミド酸アルキルエステルである上記1〜8のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
11.上記1〜9のいずれかに記載の液晶配向処理剤を用いて、インクジェット法にて得られる液晶配向膜。
12.上記10又は11に記載の液晶配向膜に、偏光された放射線を照射して得られる液晶配向膜。
13.上記10〜12のいずれかに記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
本発明の液晶配向処理剤から形成される液晶配向膜は、表面ラフネス値が低く、イミド化率の高いポリイミド膜を有し、交流駆動による残像特性に優れ、液晶表示素子に対する物理的な衝撃に伴う液晶配向膜の剥がれや異物の発生を抑制し、液晶表示素子の透過率特性を高め、消費電力を低減することができ、偏光された放射線を照射して得られる光配向処理法用の液晶配向膜として有用である。
本発明の液晶配向処理剤は、(A)成分である下記式(1)で表される構造の化合物を含有することを特徴とする。
Xは単結合、−O−、−CONH−、−NHCO−、−CON(CH3)−、−N(CH3)CO−、−COO−、−OCO−及び−S−からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基を表す。なかでも、合成の容易性から、単結合、−CONH−、−NHCO−等が好ましい。
Qはベンゼン環を表すか、ベンゼン環を有する炭素数6〜24の炭化水素基を表す。
なかでも、耐熱性と入手容易性の観点から、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、ナフチルメチル基等が好ましい。
R2としては、炭素数1〜14の炭化水素が好ましく、熱脱離能の高さから、tert-ブチル基がより好ましい。
Tとしては、メチレン、エチレン、トリメチレン、又はテトラメチレンが好ましく、原料の入手容易性の点からメチレンが特に好ましい。
Q’としては、炭素数6〜12の芳香族炭化水素が好ましく、より好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基等が挙げられる。
なかでも、耐熱性と入手容易性の観点から、フェニル基、ナフチル基等が好ましい。
(A)成分である式(1)で表される構造の化合物の添加量は、特に制限されるものではないが、多すぎると液晶配向性を阻害してしまう可能性があり、少なすぎると本発明に記載の効果が得られない恐れがある。そのため、式(1)で表される構造の化合物の添加量は、(B)成分のポリイミド前駆体及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体に対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。
(A)成分である化合物は、例えば、下記の方法で製造することが出来る。
上記反応式中、S1、S2、Q及びDは、上記と同様の定義である。
ハロゲン化物としては、t−ブトキシカルボニルクロリド、9−フルオレニルメチルカルボニルクロリド等が挙げられる。
二炭酸ジアルキル、二炭酸ジアラルキル又はハロゲン化物の使用量は、化合物(A−1)1.0モル当量に対して、1.0〜3.0モル当量程度であり、好ましくは1.0〜2.5モル当量である。
また、二炭酸ジアルキル、二炭酸ジアラルキル又はハロゲン化物は単独又は組み合わせて使用する事ができる。
塩基は化合物(A−1)1.0モル当量に対して、0〜10モル当量程度とすることができるが、好ましくは0〜3モル当量である。
反応時間は、用いる試剤の量、濃度、反応温度等により異なるが、通常は0.1〜20時間、好ましくは0.5〜10時間で終了するように、条件を設定することが好ましい。
例えば、式(A−2)[式中、Dは前記と同様の定義を表し、Raはメチル、エチル等の低級アルキル基を表す。]で表される化合物1当量と、1〜50当量の式(A−3)[式中、Qは前記と同じ意味を表す。]で表される化合物又はその塩とを、例えば、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、メタノール、エタノール、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、N,N-ジメチルホルムアミド、酢酸、アセトニトリル、水又はこれらの任意の割合の混合物等を溶媒として用い、必要ならば、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の塩基1〜20当量の存在下、0℃からこれらの溶媒の還流温度の範囲で、5分から24時間反応させることにより得られる。
上記式(A−2)及び(A−3)で表される化合物のいくつかは公知化合物であり、一部は市販品として入手できる。また、それ以外のものも、公知の1級アミン類の一般的な合成方法に準じて容易に得ることができる。
反応終了後は、必要により溶媒を留去し、続いて蒸留により直接目的物を得るか、又は粗反応物に水及び水と混合しない溶媒を加えて充分に洗浄後、有機層より蒸留、カラムクロマトグラフィー等の常法処理を行うことにより、目的とする(A)成分である化合物を精製・単離することが可能である。
本発明の液晶配向処理剤に含まれる(B)成分は、ポリイミド前駆体及びそのイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種類の重合体である。
本発明のポリイミド前駆体は、下記式(B)で表される構造単位を有する。
液晶配向性を高めることができる上記構造の割合としては、Y1全体の20モル%以上が好ましく、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上である。
また、(B)成分の重合体として光配向性側鎖を有するポリイミド(前駆体)を用いる場合、光反応性側鎖を有するポリイミド(前駆体)を用いることが好ましい。例えば、国際公開公報WO2014/142168(2014.9.12公開)の14頁〜17頁に掲載される、[0033]〜[0041]中の式(b)で表される光反応性側鎖が挙げられる。
ポリアミック酸の製法は、例えばWO2014/092170(2014.6.19公開)の27項〜30項に掲載される、[0096]〜[0102]の方法で得られる。ポリアミック酸エステルは、例えば、WO2014/010402(2014.1.16公開)の19頁〜22頁に掲載される、[0074]〜[0088]の方法で得られる。
ポリイミドの製法は、例えば、WO2014/092170(2014.6.19公開)の27項〜30項に掲載される、[0103]〜[0106]の方法で得られる。
本発明の液晶配向処理剤は、液晶配向膜(樹脂被膜ともいう)を形成するための塗布溶液であり、(A)成分(以下、特定化合物とすることがある。)、(B)成分(以下、特定ポリイミド系重合体とすることがある。)及び溶媒を含有する、液晶配向膜を形成するための塗布溶液である。
本発明の液晶配向処理剤における(A)成分である特定化合物の割合は、(B)成分である特定ポリイミド系重合体100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。なかでも、0.5〜15質量部がさらに好ましい。
また、本発明の液晶配向処理剤中の溶媒の含有量は、76〜99.5質量%であることが好ましく、80〜99質量%がより好ましい。溶媒の含有量は、液晶配向処理剤の塗布方法や目的とする液晶配向膜の膜厚によって、適宜変更することができる。
例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどを挙げることができる。
なかでも、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン又はγ−ブチロラクトンを用いることが好ましい。
さらに、特定化合物及び特定ポリイミド系重合体の溶媒への溶解性が高い場合は、下記式[D−1]〜式[D−3]で示される溶媒を用いることが好ましい。
本発明の液晶配向処理剤における良溶媒は、液晶配向処理剤に含まれる溶媒全体の20〜99質量%であることが好ましい。なかでも、20〜90質量%が好ましい。より好ましくは、30〜80質量%である。
本発明の液晶配向処理剤における、架橋性化合物の含有量は、すべての重合体成分100質量部に対して、0.1〜150質量部であることが好ましい。なかでも、架橋反応が進行し、目的の効果を発現させるためには、すべての重合体成分100質量部に対して0.1〜100質量部が好ましい。より好ましいのは、1〜50質量部である。
液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。
より具体的には、例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(以上、トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F173、R−30(以上、大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(以上、住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(以上、旭硝子社製)などが挙げられる。
これらの界面活性剤の使用割合は、液晶配向処理剤に含有されるすべての重合体成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
本発明の液晶配向処理剤の調製においては、溶剤中の重合反応によって得られる(B)成分である重合体の溶液をそのまま使用することができる。この場合、例えば、(B)成分の溶液に、前記と同様に、(A)成分等を入れて均一な溶液とする。この際に、濃度調整を目的として、さらに溶剤を添加してもよい。このとき、(B)成分の生成過程で用いられる溶剤と、硬化膜形成組成物の濃度調整に用いられる溶剤とは同一であってもよく、また異なってもよい。
また、調製された液晶配向処理剤の溶液は、孔径が0.2μm程度のフィルタなどを用いて濾過した後、使用することが好ましい。
本発明の液晶配向膜は、前記液晶配向処理剤を基板に塗布し、乾燥し、焼成して得られる膜である。本発明の液晶配向処理剤を塗布する基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板等とともに、アクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板等を用いることもできる。その際、液晶を駆動させるためのITO電極などが形成された基板を用いると、プロセスの簡素化の点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならば、シリコンウエハーなどの不透明な物でも使用でき、この場合の電極にはアルミニウムなどの光を反射する材料も使用できる。
光配向処理法の具体例としては、前記液晶配向膜の表面に、一定方向に偏向された放射線を照射し、場合によっては、さらに150〜250℃、好ましくは230〜250℃の温度で加熱処理を行い、液晶配向性(液晶配向能ともいう)を付与する方法が挙げられる。放射線としては、好ましくは100〜800nm、より好ましくは、100〜400nm、特に好ましくは、200〜400nmの波長を有する紫外線である。
前記接触処理の後に、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトンなどの低沸点溶媒によるすすぎ(リンスともいう)や液晶配向膜の焼成を行うことが好ましい。その際、リンスと焼成のどちらか一方、又は、両方を行っても良い。焼成の温度は、150〜300℃であることが好ましい。なかでも、180〜250℃が好ましく、200〜230℃がより好ましい。また、焼成の時間は、10秒〜30分が好ましく、1〜10分がより好ましい。
具体的には、透明なガラス製の基板を準備し、一方の基板の上にコモン電極を、他方の基板の上にセグメント電極を設ける。これらの電極は、例えば、ITO電極とすることができ、所望の画像表示ができるようパターニングされている。次いで、各基板の上に、コモン電極とセグメント電極を被覆するようにして絶縁膜を設ける。絶縁膜は、例えば、ゾル−ゲル法によって形成されたSiO2−TiO2からなる膜とすることができる。次に、前記のような条件で、各基板の上に液晶配向膜を形成し、一方の基板に他方の基板を互いの液晶配向膜面が対向するようにして重ね合わせ、周辺をシール剤で接着する。シール剤には、基板間隙を制御するために、通常、スペーサを混入しておく。また、シール剤を設けない面内部分にも、基板間隙制御用のスペーサを散布しておくことが好ましい。シール剤の一部には、外部から液晶を充填可能な開口部を設けておく。
その後、シール剤に設けた開口部を通じて、2枚の基板とシール剤で包囲された空間内に液晶材料を注入する。その後、この開口部を接着剤で封止する。注入には、真空注入法を用いてもよいし、大気中で毛細管現象を利用した方法を用いてもよい。液晶材料としては、ポジ型液晶材料やネガ型液晶材料のいずれを用いてもよい。次に、偏光板の設置を行う。具体的には、2枚の基板の液晶層とは反対側の面に一対の偏光板を貼り付ける。
なお、1H-NMRの測定装置、測定条件は以下の通りである。
装置:フーリエ変換型超伝導核磁気共鳴装置(FT−NMR)INOVA−400(Varian社製)400MHz
溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl3)
標準物質:テトラメチルシラン(TMS)
積算回数:8
1H−NMR(400MHz)inCDCl3:11.5ppm(S,1H), 8.59ppm(s,1H),7.37−7.27ppm(m,5H),4.64 ppm(d,J=1.2Hz,2H),1.51ppm(s,9H),1.49 ppm(s,9H)
1H−NMR(400MHz) in CDCl3: 7.95ppm(d,J=8.4 Hz, 1H),7.85ppm(d,J=7.6Hz,1H),7.76 ppm(d,J=8.0Hz,1H),7.51−7.33ppm(m,3H),7.33ppm(d,J=6.8Hz,1H),4.48ppm(s,2H),3.85−3.83ppm(m,2H),3.77−3.75(m,2H),1.37ppm(s,9H).
1H−NMR(400MHz)in CDCl3:3.73ppm(s,4H), 2.67ppm(t,J=7.6 Hz,2H),1.66−1.60ppm(m,2H),1.49ppm(s,9H),1.37−1.25ppm(m,16H),0.88ppm(t,J=7.2Hz,3H).
NMP:N−メチル−2−ピロリドン NEP:N−エチル−2−ピロリドン
γ−BL:γ−ブチロラクトン BCS:エチレングリコールモノブチルエーテル
PB:プロピレングリコールモノブチルエーテル
ポリイミド前駆体及びポリイミドの分子量は、常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC−101)(昭和電工社製)、カラム(KD−803,KD−805)(Shodex社製)を用いて、以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃
溶離液:N,N−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L(リットル)、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量;約900,000、150,000、100,000及び30,000)(東ソー社製)及びポリエチレングリコール(分子量;約12,000、4,000及び1,000)(ポリマーラボラトリー社製)。
ポリイミド粉末20mgをNMR(核磁気共鳴)サンプル管(NMRサンプリングチューブスタンダード,φ5(草野科学社製))に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6,0.05質量%TMS(テトラメチルシラン)混合品)(0.53ml)を添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液をNMR測定機(JNW−ECA500)(日本電子データム社製)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5〜10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
式中、xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミド酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
各液晶配向処理剤を用いて、以下のようにして液晶セルを作製した。
液晶配向処理剤を1.0μmのフィルターで濾過した後、ガラス基板上に、第1層目に電極として膜厚50nmのITO電極を、第2層目に絶縁膜として膜厚500nmの窒化珪素を、第3層目に電極として櫛歯形状のITO電極(電極幅:3μm,電極間隔:6μm,電極高さ:50nm)を有するFFS駆動用電極が形成されているガラス基板に、スピンコート塗布にて液晶配向処理剤を塗布した。その後、80℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、250℃の熱風循環式オーブンで60分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。
製造例1、製造例3〜6、製造例9〜14、及び比較製造例1〜5の液晶配向処理剤から形成された塗膜に、塗膜面に偏光板を介して、254nmの紫外線を500mJ/cm2照射し、液晶配向膜付き基板を得た。また、対向基板として電極が形成されていない、高さ4μmの柱状スペーサーを有するガラス基板にも、同様に塗膜を形成させ、配向処理を施した。
また、製造例2、製造例7、及び製造例15〜18の液晶配向処理剤から形成されたポリイミド膜を、レーヨン布でラビング(ロール径120mm、回転数1000rpm、移動速度20mm/sec、押し込み量0.4mm)した後、純水中にて1分間超音波照射を行い、80℃で10分間乾燥して、液晶配向膜付き基板を得た。また、対向基板として電極が形成されていない、高さ4μmの柱状スペーサーを有するガラス基板にも、同様に塗膜を形成させ、配向処理を施した。
前記光配向処理又はラビング配向処理を行った液晶配向膜付きのITO透明電極付きの基板に関して、同一の処理を行った基板を2枚用意し、これら2枚の基板を一組とし、基板上にシール剤を印刷し、もう1枚の基板を、液晶配向膜面が向き合い配向方向が0°になるようにして張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−2041(メルク・ジャパン社製)を注入し、注入口を封止して、FFS方式の液晶セルを得た。
前記光配向処理又はラビング処理を行った液晶配向膜付きのITO透明電極付きの基板に対して、ラビング処理を行った。具体的には、これらの処理を行ったITO透明電極付きの基板の液晶配向膜面を、ロール径が120mmのラビング処理装置で、レーヨン布を用いて、ロール回転数:500rpm、ロール進行速度:20mm/sec、押し込み量:0.6mmの条件でラビング処理した。
得られた液晶配向膜の表面を、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、表面状態の観察を行った。具体的には、基板中心付近の液晶配向膜の表面を、倍率100倍に設定した共焦点レーザー顕微鏡で無作為に5箇所観察し、観察視野である約6.5mm四方の範囲に確認されるラビング傷及びラビング削れカス(付着物)量の平均値から、ラビング処理耐性を評価した。なお、評価基準は、次のように定めた。
(評価基準)
A:傷や削れカス20個以下
B:傷や削れカス20〜40個
C:傷や削れカス40個以上
なお、評価基準がAに近いものほど、すなわち、ラビング傷やラビング削れカスが少ないものほど、ラビング処理耐性に優れるとした。この結果は表5〜7に示す。
石英基板上に、前記(液晶セルの作製)と同様の配向処理を行った液晶配向膜を形成させた。得られた塗膜の透過率を島津製作所社製の紫外可視分光光度計(UV−3100PC)を用いて測定し、360〜800nmの透過率の平均値を算出した。値が大きいものほど、良好とした(表5〜7に、評価結果を示す)。
ITO基板上に、前記(液晶セルの作製)と同様の配向処理を行った液晶配向膜を形成させた。この塗膜の膜表面をエスアイアイ・テクノロジー社製の原子間力顕微鏡(L−traceプローブ顕微鏡)で観察し、膜表面の中心線平均粗さ(Ra)を測定し、膜表面の平坦性を評価した。値が小さいものほど、良好とした(表5〜7に、評価結果を示す)。
前記FFS方式の液晶セルを用い、60℃の恒温環境下、周波数60Hzで±10Vの交流電圧を120時間印加した。その後、液晶セルの画素電極と対向電極との間をショートさせた状態にし、そのまま室温に一日放置した。
放置後、液晶セルを偏光軸が直交するように配置された2枚の偏光板の間に設置し、電圧無印加の状態でバックライトを点灯させておき、透過光の輝度が最も小さくなるように液晶セルの配置角度を調整した。そして、第1画素の第2領域が最も暗くなる角度から第1領域が最も暗くなる角度まで、液晶セルを回転させたときの回転角度を角度Δ(°)として算出した。第2画素でも同様に、第2領域と第1領域とを比較し、同様の角度Δ(°)を算出した。そして、第1画素と第2画素の角度Δ(°)の平均値を、液晶セルの角度Δ(°)として算出した。本評価においては、液晶セルの角度Δ(°)の値が小さいものほど良好とした(表5〜7に、評価結果を示す)。
前記FFS方式の液晶セルを光源上に置き、25℃の温度下でのV−T特性(電圧−透過率特性)を測定した後、±3V/120Hzの矩形波を印加した状態での液晶セルの透過率(Ta)を測定した。その後、25℃の温度下で、±3V/120Hzの矩形波10分間印加した後、直流2Vを重畳し60分間駆動させた。直流電圧を切り、交流駆動60分駆動させた時の液晶セルの透過率(Tb)を測定し、初期の透過率(Ta)との差(ΔT)から液晶表示素子内に残留した電圧により生じた透過率の差を算出した。本評価においては、透過率の差(ΔT)が小さいものほど良好とした(表5〜7に、評価結果を示す)。
[合成例4]
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、F2(3.92g,20.0mmol)を量り取り、NMP(55.8g)を加えて、窒素雰囲気下において、撹拌しながらD1(2.09g,19.3mmol)を添加し、さらに、固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌して、ポリアミド酸溶液(1)を得た。このポリアミド酸溶液の温度25℃における粘度は300mPa・sであった。また、このポリアミド酸の数平均分子量は11,000、重量平均分子量は23,200であった。
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100ml四つ口フラスコに、E2(6.60g,31.0mmol)及びNMP(70.7g)を量り取り、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、F1(6.94g,31.0mmol)、及び固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌して、ポリアミド酸溶液(2)を得た。このポリアミド酸溶液の25℃における粘度は300mPa・sであった。また、このポリアミド酸の数平均分子量は12,000、重量平均分子量は25,200であった。
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、D1(2.92g,27.0mmol)及びA1(0.71g,2.99mmol)を量り取り、NMP(81.8g)を加えて、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、F1(6.46g,28.8mmol)を添加し、さらに、固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌して、ポリアミド酸溶液(3)を得た。このポリアミド酸溶液の温度25℃における粘度は230mPa・sであった。また、このポリアミド酸の数平均分子量は11,100、重量平均分子量は30,000であった。
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、C1(7.68g,36.0mmol)及びE1(0.61g,4.01mmol)を量り取り、NMP(24.0g)及びγ−BL(6.00g)を加えて、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、F5(6.34g,32.0mmol)及びγ−BL(12.0g)を添加し、25℃で2時間撹拌した。その後、F6(1.74g,7.98mmol)及び固形分濃度が10質量%になるようにγ−BLを添加して、25℃で4時間撹拌して、ポリアミド酸溶液(4)を得た。このポリアミド酸溶液の温度25℃における粘度は460mPa・sであった。また、このポリアミド酸の数平均分子量は12,000、重量平均分子量は24,000であった
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、B1(5.97g,20.0mmol)を量り取り、NMP(75.9g)を加えて、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、F3(5.53g,18.8mmol)を添加し、さらに、固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌してポリアミド酸溶液(5)を得た。このポリアミド酸溶液の温度25℃における粘度は400mPa・sであった。また、このポリアミド酸の数平均分子量は11,500、重量平均分子量は24,400であった。
撹拌装置付きの500mLの四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、D1(2.80g,25.9mmol)を量り取り、A1(1.45g,6.11mmol)を添加し、NMP(111g)及びピリジン(6.18g)を加え、撹拌して溶解させた。次に、このジアミン溶液を撹拌しながら、F4(9.89g,30.4mmol)を添加し、15℃で15時間反応させた。その後、アクリロイルクロライド(0.38g)を加えて、15℃で4時間反応させた。得られたポリアミド酸アルキルエステルの溶液を、水(1230g)に撹拌しながら滴下した。次いで、析出した白色沈殿を濾取し、その後、IPA(イソプロピルアルコール)(1230g)で5回洗浄し、乾燥して、白色のポリアミド酸アルキルエステル粉末(10.2g)を得た。このポリアミド酸アルキルエステルの数平均分子量は20,800、重量平均分子量は41,000であった。得られたポリアミド酸アルキルエステル粉末(0.80g)を100mL三角フラスコに量り取り、γ−BL(7.18g)を加え、25℃で24時間攪拌し溶解させて、固形分濃度が10質量%のポリアミド酸アルキルエステル溶液(6)を得た
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、A1(0.47g,1.98mmol)及びD2(4.40g,18.0mmol)を量り取り、NMP(59.5g)を加えて、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、F1(4.15g,18.5mmol)を添加し、さらに、固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌してポリアミド酸溶液を得た。
得られたポリアミド酸溶液(66.0g)に、NEPを加え9質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(5.38g)及びピリジン(1.39g)を加え、60℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(360ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥して、ポリイミド粉末(7)を得た。このポリイミドのイミド化率は75%であり、数平均分子量は10,100、重量平均分子量は20,500であった。
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、D1(2.16g,20.0mmol)を量り取り、NMP(31.6g)を加えて、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、F1(4.21g,18.8mmol)を添加し、さらに、固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌して、ポリアミド酸溶液(8)を得た。このポリアミド酸溶液の温度25℃における粘度は250mPa・sであった。また、このポリアミド酸の数平均分子量は11,500、重量平均分子量は24,400であった。
撹拌装置及び窒素導入管付きの50mLの四つ口フラスコに、E2(2.78g,14.0mmol)を量り取り、NMP(17.4g)を加えて、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、F7(2.10g,6.99mmol)を添加し、25℃で2時間撹拌した。次に、F2(1.26g,6.42mmol)と固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌して、ポリアミド酸溶液(9)を得た。このポリアミド酸の数平均分子量は15,200、重量平均分子量は47,500であった。
撹拌装置及び窒素導入管付きの50mLの四つ口フラスコに、B1(1.49g,5.00mmol)及びD3(1.43g,5.00mmol)を量り取り、NMP(12.0g)を加えて、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、F8(1.25g,5.00mmol)を添加し、25℃で2時間撹拌した。次に、F2(0.98g,5.00mmol)と固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌して、ポリアミド酸溶液(10)を得た。このポリアミド酸の数平均分子量は12,200、重量平均分子量は36,100であった。
得られたポリアミド酸溶液(10.0g)に、NMPを加えて5質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.24g)及びピリジン(0.87g)を加え、50℃で2時間反応させた。この反応溶液をメタノール(150ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥して、ポリイミド粉末(10)を得た。このポリイミドのイミド化率は50%であり、数平均分子量は24,800、重量平均分子量は88,000であった。
撹拌装置及び窒素導入管付きの50mLの四つ口フラスコに、B1(1.49g,5.00mmol)及びD3(1.43g,5.00mmol)を量り取り、NMP(12.0g)を加えて、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、F9(1.12g,5.00mmol)を添加し、25℃で2時間撹拌した。次に、F2(0.98g,5.00mmol)と固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌して、ポリアミド酸溶液(11)を得た。このポリアミド酸の数平均分子量は13,200、重量平均分子量は39,000であった。
撹拌装置及び窒素導入管付きの50mLの四つ口フラスコに、B1(1.79g,5.00mmol)及びD4(0.60g,4.00mmol)を量り取り、NMP(12.0g)を加えて、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、F11(1.12g,5.00mmol)を添加し、25℃で2時間撹拌した。次に、F10(1.53g,5.00mmol)と固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌して、ポリアミド酸溶液(12)を得た。このポリアミド酸の数平均分子量は9,800、重量平均分子量は21,000であった。
なお、製造例及び比較製造例で得られた各液晶配向処理剤の物性(特性)は、まとめて表2〜4に示す。
[製造例1]
合成例4で得られたポリアミド酸溶液(1)(10.0g)に、NMP(4.75g)、BCS(3.44g)及びX-1(0.05g)を加え、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(1)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例4で得られたポリアミド酸溶液(1)(10.0g)に、NMP(4.75g)、BCS(3.44g)及びX-1(0.025g)を加え、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(2)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)及び合成例9で得られたポリアミド酸アルキルエステル溶液(6)(3.30g)に、NMP(1.20g)、γ−BL(12.7g)、PB(5.34g)及びX-1(0.042g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が3.0質量%の液晶配向処理剤(3)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例6で得られたポリアミド酸溶液(3)(3.30g)及び合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)に、NMP(3.35g)、γ−BL(0.56g)、BCS(2.84g)及びX-1(0.042g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(4)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)及び合成例11で得られたポリアミド酸溶液(8)(3.30g)に、NMP(3.35g)、γ−BL(0.56g)、BCS(2.84g)及びX-1(0.042g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(5)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例5で得られたポリアミド酸溶液(2)(3.30g)及び合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)に、NMP(3.35g)、γ−BL(0.56g)、BCS(2.84g)及びX-1(0.042g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(6)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(10.0g)に、NMP(3.90g)、γ−BL(0.87g)、BCS(3.44g)及びX-1(0.05g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(7)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例8で得られたポリアミド酸溶液(5)(10.0g)に、NMP(4.75g)、BCS(3.44g)及びX-1(0.05g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(8)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例10で得られたポリイミド粉末(7)(0.60g)に、NMP(5.00g)、γ−BL(2.74g)及びNEP(5.15g)を加え、70℃にて24時間攪拌して溶解させた。その後、この溶液に、合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.00g)、BCS(4.12g)及びX-1(0.12g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(9)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)及び合成例9で得られたポリアミド酸アルキルエステル溶液(6)(3.30g)に、NMP(1.20g)、γ−BL(12.7g)、PB(5.34g)及びX-2(0.042g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が3.0質量%の液晶配向処理剤(10)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例6で得られたポリアミド酸溶液(3)(3.30g)及び合成例7得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)に、NMP(3.35g)、γ−BL(0.56g)、BCS(2.84g)及びX-1(0.021g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(11)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例6で得られたポリアミド酸溶液(3)(3.30g)及び合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)に、NMP(3.35g)、γ−BL(0.56g)、BCS(2.84g)及びX-1(0.082g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(12)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例6で得られたポリアミド酸溶液(3)(3.30g)及び合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)に、NMP(3.35g)、γ−BL(0.56g)、BCS(2.84g)及びX-2(0.021g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(13)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例6で得られたポリアミド酸溶液(3)(3.30g)及び合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)に、NMP(3.35g)、γ−BL(0.56g)、BCS(2.84g)及びX-2(0.082g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(14)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例12で得られたポリアミド酸溶液(9)(10.0g)に、NMP(4.75g)、BCS(3.44g)及びX-1(0.05g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(15)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例13で得られたポリイミド粉末(10)(0.82g)に、NMP(13.90g)加え、70℃にて24時間攪拌して溶解させた。次に、BCS(3.44g)及びX-1(0.042g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(16)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例14で得られたポリアミド酸溶液(11)(10.0g)に、NMP(4.75g)、BCS(3.44g)及びX-1(0.05g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(17)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例15で得られたポリアミド酸溶液(12)(10.0g)に、NMP(4.75g)、BCS(3.44g)及びX-1(0.05g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(18)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例4で得られたポリアミド酸溶液(1)(10.0g)に、NMP(4.75g)、BCS(3.44g)を加え、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(19)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例4で得られたポリアミド酸溶液(1)(10.0g)に、NMP(4.75g)、BCS(3.44g)及びZ−1(0.05g)を加え、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(20)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)及び合成例9で得られたポリアミド酸アルキルエステル溶液(6)(3.30g)に、NMP(1.20g)、γ−BL(12.7g)及びPB(5.34g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が3.0質量%の液晶配向処理剤(21)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)及び合成例9で得られたポリアミド酸アルキルエステル溶液(6)(3.30g)に、NMP(1.20g)、γ−BL(12.7g)、PB(5.34g)及びZ−1(0.042g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が3.0質量%の液晶配向処理剤(22)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)及び合成例9で得られたポリアミド酸アルキルエステル溶液(6)(3.30g)に、NMP(1.20g)、γ−BL(12.7g)、PB(5.34g)及びZ−2(0.042g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が3.0質量%の液晶配向処理剤(22)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)及び合成例9で得られたポリアミド酸アルキルエステル溶液(6)(3.30g)に、NMP(1.20g)、γ−BL(12.7g)、PB(5.34g)及びZ−3(0.042g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が3.0質量%の液晶配向処理剤(23)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
*2:すべての重合体(ポリイミド系重合体)100質量部に対する特定化合物の導入量(質量部)を示す。
*3:すべての溶媒100質量部に対する各溶媒の導入量(質量部)を示す。
*4:液晶配向処理剤中のすべての重合体(ポリイミド系重合体)の占める割合(質量%)を示す。
*2:すべての重合体(ポリイミド系重合体)100質量部に対する特定化合物の導入量(質量部)を示す。
*3:すべての溶媒100質量部に対する各溶媒の導入量(質量部)を示す。
*4:液晶配向処理剤中のすべての重合体(ポリイミド系重合体)の占める割合(質量%)を示す。
*2:すべての重合体(ポリイミド系重合体)100質量部に対するその他化合物の導入量(質量部)を示す。
*3:すべての溶媒100質量部に対する各溶媒の導入量(質量部)を示す。
*4:液晶配向処理剤中のすべての重合体(ポリイミド系重合体)の占める割合(質量%)を示す。
Claims (12)
- 下記の(A)成分、(B)成分、及びこれらを溶解する溶媒を含有することを特徴とする液晶配向処理剤。
(A)成分:下記式(1)で表される化合物。
Xは、単結合、−O−、−CONH−、−NHCO−、−CON(CH3)−、−N(CH3)CO−、−COO−、−OCO−及び−S−からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基を表し、
Qは、ベンゼン環を表すか、又はベンゼン環を有する炭素数6〜24の炭化水素基を表す。)
(B)成分:ポリイミド前駆体及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体。 - (B)成分が0.1〜20質量%含有され、(A)成分が、該(B)成分に対して0.1〜20質量%含有され、溶媒が76〜99.5質量%含有される請求項1〜6のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
- 前記(B)成分の重合体が、ポリアミド酸アルキルエステルである請求項1〜7のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の液晶配向処理剤から得られる液晶配向膜。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の液晶配向処理剤を用いて、インクジェット法にて得られる液晶配向膜。
- 請求項9又は10に記載の液晶配向膜に、偏光された放射線を照射して得られる液晶配向膜。
- 請求項9〜11のいずれかに記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
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