JP6601206B2 - ハブユニット軸受 - Google Patents

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Description

本発明は、ハブユニット軸受の回転トルクを低減する技術に関する。特に、シールの回転トルクを低減する技術に関する。
自動車などの車両では、車輪を回転支持するためにハブユニット軸受が使用されている。車両の燃費向上のために、ハブユニット軸受について回転トルクの低減が求められている。
図5にハブユニット軸受100の一例を示している。このハブユニット軸受100は、玉104を介して、内軸101が外輪102に対して回転自在に支持されており、内軸101の軸端に形成されたフランジ103に車輪(図示を省略)が固定されている。玉104が組み込まれている環状空間Hに水等が浸入しないように、図の右側における外輪102と内軸101との開口部では全面がカバー106で覆われており、図の左側の開口部には密封装置105が外輪102の内周に固定されている。密封装置105は、ゴムなどの弾性体で形成された複数のリップを備えており、一般的に、環状空間Hに封入したグリースの流出を防ぐためのグリースリップ107と、外部からの泥水などの異物が浸入するのを防ぐアキシャルリップ108を備えている(図6参照)。
ハブユニット軸受100が回転するときには、密封装置105のリップ先端が内軸101の外周と摺接してすべり抵抗を生じるので、回転トルクを低減するためにリップ形状を適正に選定して、内軸101の外周に接触するリップの圧接力を小さくしている。
一方、車両が走行して内軸101が回転すると、ハブユニット軸受100の温度が上昇する。この昇温によって、グリースリップ107とアキシャルリップ108とで囲まれたリップ空間(図6にKで示す領域である)にある空気が膨張する。図6に示すように、グリースリップ107とアキシャルリップ108は、リップ空間Kから離れる向きに形成されているので、リップ空間Kの空気は各リップ107,108の摺接部を越えて容易に流出する。
その後、車両が停車している間にハブユニット軸受100の温度が下降するので、リップ空間Kの空気が収縮する。しかし、外部からリップ空間Kに向けては空気が流入しにくいので、リップ空間Kが負圧になり、リップが吸盤のように軌道面に吸付いてしまう。このため、リップが内軸101の外周に強く押し付けられるので、再び車両が走行するときにはリップのすべり抵抗が増大し、回転トルクが増大してしまう。
リップ空間Kの負圧を解消するために、特許文献1では、グリースリップ107の内周側に突起109を設けている。特許文献1の構造では、リップ空間Kが負圧になって、グリースリップ107がリップ空間Kに向けて撓んだときには、突起109を支点にしてグリースリップ107のリップ先端が軌道面から浮き上がる。これによって、リップ空間Kに空気が流入しやすくしている。
特開2015−143564号公報
特許文献1の構造では、負圧が発生してグリースリップ107が内側に引っ張られたときには、突起109が内軸101と接触する。この状態で内軸101が回転すると、突起109が内軸101の外周面と滑り接触をする。このため、長期にわたってハブユニット軸受100を使用すると突起109が摩耗して、リップ空間Kに負圧が生じたときにリップ先端を浮き上がらせることが出来なくなる。この場合には、グリースリップ107が内軸101に吸付いて、リップが内軸101の外周に強く押し付けられた状態で車両が走行するので、ハブユニット軸受100の回転トルクの上昇を防止することが出来ないという問題がある。
この発明の目的は、複数のリップを備えた密封装置を有するハブユニット軸受において、リップ間における、負圧の発生を長期にわたって防止することにより、回転トルクの上昇を防止したハブユニット軸受を提供することである。
本発明にかかるハブユニット軸受の一形態は、外輪と、内軸と、前記外輪の内周と前記内軸の外周との間の環状空間に組み込まれた複数の転動体と、前記環状空間の車両アウター側の開口部に装着された密封装置とを備えたハブユニット軸受であって、前記密封装置は、前記外輪に固定された金属製の芯金と、前記芯金に固定されて弾性体で形成された弾性部材とからなり、前記弾性部材は、前記環状空間に向けて延在して前記内軸と摺接する一のリップと、前記環状空間から離れる向きに延在して前記内軸と摺接する他のリップとを備えており、前記一のリップには、厚さ方向に貫通する切込みを設けることによって、前記芯金からリップ先端に向けて舌状に延びる弁が形成されており、前記弁の先端の位置は前記一のリップのリップ先端から所定寸法離れていることを特徴としている。
本発明にかかる複数のリップを備えた密封装置を有するハブユニット軸受は、リップ間における、負圧の発生を長期にわたって防止することが出来るので、回転トルクの上昇を防止することが出来る。
本発明の一実施形態であるハブユニット軸受の軸方向断面図である。 密封装置の径方向断面における斜視図である。 図3(a)は、密封装置を組付けた初期状態を示す断面図で、図3(b)は、グリースリップが負圧によって変形した状態を示す断面図である。 弁の形状を示す要部拡大図である 従来のハブユニット軸受の軸方向断面図である。 従来のハブユニット軸受の負圧を低減する動作を説明する説明図である。
本発明の一実施形態(以下「本実施形態」という)を図を用いて説明する。図1は、本実施形態であるハブユニット軸受10の軸方向断面図である。
ハブユニット軸受10は、外輪11と、内軸12と、複数の転動体である玉13を備えている。内軸12は、外輪11の径方向内方で同軸に配置され、玉13を介して回転軸線mの回りで回転自在に支持されている。以下の説明では、回転軸線mの方向を軸方向といい、回転軸線mと直交する向きを径方向、回転軸線mの周りを周回する方向を周方向という。なお、ハブユニット軸受10の転動体は玉に限定されない。円すいころであってもよい。
外輪11は、炭素鋼で製作されており、略円筒形状である。内周には、複列の外側軌道面14が形成されている。外周には、周方向の複数個所から径方向外方に延在する取付フランジ15が一体に形成されている。各取付フランジ15には、軸方向に貫通するねじ孔が設けられており、図示しないボルトによって、外輪11がナックル(図示を省略)に固定されている。
内軸12は、ハブシャフト17と内輪部材18とを一体に組み合わせて形成されている。
ハブシャフト17は、炭素鋼で製作されており、略円筒形状の軸部19と、軸部19の軸端に形成された円盤状のハブフランジ16とが一体に形成されている。ハブフランジ16には、軸方向に貫通する複数のボルト穴20が形成されている。ボルト穴20に、図示しないボルトを挿通して車輪が取り付けられる。
内輪部材18は、軸受鋼で製作されており、ハブフランジ16とは反対側のハブシャフト17の軸端に締りばめによって嵌め合わされている。内輪部材18が嵌め合わされた後、内輪部材18より突出したハブシャフト17の軸端の部分に塑性加工が施されて、径方向外方に拡径するかしめ部21が形成されている。かしめ部21によって、内輪部材18が、ハブシャフト17と強固に固定されている。
ハブシャフト17の外周と、内輪部材18の外周には、それぞれ内側軌道面22,22が形成されている。ハブシャフト17に設けられた内側軌道面22よりアウター側の外周には、円筒形状のグリースリップ摺動面23が形成されている。また、ハブフランジ16の軸部19側の側面には、径方向に拡がるアキシャルリップ摺動面24が形成されている。グリースリップ摺動面23とアキシャルリップ摺動面24とは、軸方向断面が円弧形状のR面でつながっている。
径方向に互いに対向する外側軌道面14,14と内側軌道面22,22との間に、それぞれ複数の玉13が転動自在に組み込まれている。玉13は、接触角の方向で、外側軌道面14及び内側軌道面22と与圧をもって組みつけられている。接触角とは、玉13と各軌道面とが接触する方向と、回転軸線mに直交する方向とのなす角度をいう。
ハブユニット軸受10が車両に搭載されたときには、ハブフランジ16が車両の外側に向けて取り付けられている。このため、以下の説明では、ハブユニット軸受10のハブフランジ16の側(図1の右側)をアウター側といい、内輪部材18の側(図1の左側)をインナー側という。
外輪11の内周と、内軸12の外周との間に形成される環状空間Wにはグリースが封入されており、玉13と内外軌道面14,22との転がり接触部が潤滑されている。
環状空間Wに泥水等が浸入すると、各軌道面14,22が錆びて、玉13が転動するときに異音を発生する等の不具合が生じる。このため、環状空間Wのアウター側の開口部には、密封装置30が組み込まれており、インナー側の開口部にはカバー29が装着されている。
密封装置30の形態を図2によって説明する。密封装置30は環状であって、図2は、密封装置30を周上の一カ所で径方向に切断し、当該断面の近傍を径方向外方から見た斜視図である。なお、密封装置30の説明では、中心軸の方向を軸方向といい、軸方向と直交する方向を径方向という。
密封装置30は、芯金27と弾性部材34とが一体に成型されている。弾性部材34は、あらかじめ芯金27をインサートした金型でゴム材を加硫成型することによって形成されており、加硫成型と同時に、芯金27に接着されている。ゴム材には、ニトリルゴムやアクリルゴムなどが使用されている。
芯金27は、SPCC等の薄肉の炭素鋼鋼板をプレス成型することによって製作されている。芯金27は、密封装置30を外輪11に固定するための固定部31と、弾性部材34を保持するリップ保持部32とを備えている。固定部31は、円筒形状である。リップ保持部32は、固定部31の軸方向の一端が径方向内方に折り曲げられて、固定部31と一体に形成されている。こうして、芯金27は、軸方向断面の形状が略L字形状に形成されている。
弾性部材34は、グリースリップ35、第1アキシャルリップ36、第2アキシャルリップ37の3つのリップを備えている。
グリースリップ35は、リップ保持部32の径方向内方に形成されており、径方向内方に向かうにしたがって、軸方向で固定部31が形成されている側に延在している。グリースリップ35のリップ先端の内径寸法は、グリースリップ摺動面23の外径寸法より小さい。
第1アキシャルリップ36は、リップ保持部32の径方向内方に形成されており、軸方向で固定部31と反対の側に向けて延在しており、リップ先端に向かうにしたがって直径が大きくなっている。
第2アキシャルリップ37は、リップ保持部32の側面に形成されており、第1アキシャルリップ36と略同一の方向に延在しており、リップ先端に向かうにしたがって直径が大きくなっている。こうして、第2アキシャルリップ37は、第1アキシャルリップ36より径方向の外方で、軸方向断面形状において、第1アキシャルリップ36と略平行に形成されている。
図1に示すように、密封装置30は、外輪11のアウター側端部に形成されたシール装着部に組み込まれている。シール装着部は、外輪11の軸方向端部の内周に形成されており、軸方向に形成された円筒形状の嵌合面25を備えている。嵌合面25の内径寸法は、芯金27の固定部31の外径寸法よりわずかに小さいので、密封装置30は締りばめの状態で、外輪11に組み付けられる。このため、外輪11と密封装置30の嵌め合い面から、泥水などの異物が浸入することがない。
こうして、グリースリップ35(一のリップ)は、芯金27に固定されて環状空間Wに向けて延在しており、リップ先端が、内軸12のグリースリップ摺動面23と摺接している。また、第1アキシャルリップ36(他のリップ)と第2アキシャルリップ37は、芯金27に固定されて環状空間Wから離れる向きに延在しており、それぞれのリップ先端が、内軸12のアキシャルリップ摺動面24と摺接している。
本実施形態では、グリースリップ35に弁40が形成されている。図2及び図3によって、弁40の形態を詳細に説明する。図3は、図2におけるX−Xで示す位置で、弁40の中央を通る軸方向の面で切断したときの断面図である。なお、図3(a)は、密封装置30を組付けた初期状態を示しており。図3(b)は、グリースリップ35が負圧によって変形した状態を示している。負圧の発生状況の詳細については後述する。
弁40は、グリースリップ35に、その厚さ方向に貫通する切込みJを入れることによって形成されている。図3において、矢印Eで示すようにグリースリップ35の厚さ方向に見たときの切込みJの形状は、略U字状である。
切込みJの開始位置G1と終端位置G2は、それぞれグリースリップ35の基部に形成されている。基部とは、グリースリップ35においてリップ保持部32と固定されている領域をいう。なお、本実施形態では、弁40は、周方向の一カ所に設置しているが、複数個所に設置してもよい。
図4は、切込みJの向きを説明するための説明図である。図4(a)は、図3において矢印Eの向きに見た弁40の形状を示している。図4(b)は、図4(a)におけるA−Aの位置で矢印の向きに見た断面図で、図4(c)は、図4(a)におけるB−Bの位置で矢印の向きに見た断面図である。以下、説明の便宜のため、A−Aの方向を弁40の幅方向といい、B−Bの方向を弁40の中心線方向という。
また、グリースリップ35の径方向外方の面をグリースリップ外周面35aといい、径方向内方の面をグリースリップ内周面35bという。
切込みJは、開始位置G1からリップ先端に向かって進行した後、リップ先端より手前で円弧を描きながら周方向に向きを変え、再び基部側に向かって進行し、終端位置G2で止まっている。
グリースリップ35の厚さ方向における切込みJの向きは、グリースリップ外周面35aに直交する向きに対して傾いている。
図4(b)に示すように、弁40の周方向断面においては、グリースリップ外周面35aからグリースリップ内周面35bに向かうにしたがって、弁40の幅方向寸法が小さくなる向きに傾いている。また、図4(c)に示すように、弁40の径方向断面においては、グリースリップ外周面35aからグリースリップ内周面35bに向かうにしたがって、弁40の中心線方向の長さが小さくなる向きに傾いている。
こうして、弁40は、基部側でグリースリップ35と一体につながっており、基部からグリースリップ35のリップ先端に向けて舌状に延びた形状となっている。また、切込みJの先端部G3(最もグリースリップ35先端に近い点である)は、グリースリップ35先端から基部側に所定寸法Laだけ離れた位置に設定されている。
図3を用いて、弁40の機能について説明する。
まず、図3(a)によって、密封装置30を組付けた初期状態について説明する。説明の便宜上、切込みJを挟んで弁40とグリースリップ35とが対向する面を、それぞれ弁側合わせ面40a、リップ側合わせ面35cという。
初期状態では、グリースリップ35がほとんど変形していないので、弁側合わせ面40aとリップ側合わせ面35cとが互いに接触している。このため、切込みJを通って、環状空間Wからグリースリップ35と第1アキシャルリップ36とで囲まれた空間(以下、「リップ空間Z」という)に向けてグリースや空気が移動することがない。
こうして、グリースリップ35は、環状空間Wの内部のグリースが流出するのを防止している。
次に、図3(b)によって、リップ空間Zに負圧が生じたときにの、弁40の動作について説明する。図3(b)は、弁40の機能について理解を容易にするために、グリースリップ35及び第1アキシャルリップ36の変形状態を誇張して示している。
ハブユニット軸受10が回転するときには、玉13が各軌道面14,22を転動するときの転がり摩擦によって発熱する。このため、リップ空間Zの空気が膨張する。グリースリップ35と第1アキシャルリップ36はそれぞれリップ先端が、リップ空間Zから離れる向きに組み込まれているので、膨張した空気によってそれぞれのリップ先端が容易に押し上げられる。こうしてリップ先端が浮き上がったときには、グリースリップ摺動面23及びアキシャルリップ摺動面24との間にすきまが出来るので、リップ空間Zの空気が容易にグリースリップ35及び第1アキシャルリップ36を越えて流出する。
リップ空間Zの空気が流出して、リップ空間Zの気圧が大気圧に戻ったときには、それぞれのリップ35,36の形状が弾性によって復元し、各リップ先端が、グリースリップ摺動面23及びアキシャルリップ摺動面24と再び接触する。
その後車両が停止したときには、ハブユニット軸受10の温度が下降するのでリップ空間Zの空気の体積が小さくなる。グリースリップ35と第1アキシャルリップ36はそれぞれリップ先端が、リップ空間Zから離れる向きに組み込まれているので、外部の空気がグリースリップ35及び第1アキシャルリップ36を越えて流入出来ない。このため、リップ空間Zの気圧が低下して、大気圧とリップ空間Zの気圧との差圧Pがグリースリップ35外周面35aに作用する。
このため、弁40を備えていないと仮定した場合のハブユニット軸受10では、各リップ35,36が内軸12に強く押し付けられる。このため、外部の空気がグリースリップ35及び第1アキシャルリップ36を越えて流入することはさらに困難になる。そのため、リップ空間Zの負圧が解消されないので、ハブユニット軸受10の回転トルクが上昇してしまう。
本実施形態のハブユニット軸受10では、弁40が、開始位置G1から先端部G3を通って終端位置G2に至る範囲が切込みJグリースリップ35と切り離されている。このため、グリースリップ35が、差圧Pによってリップ空間Zに向けて付勢されたときに、弁40は、グリースリップ35と切り離されて個別に変形する。
差圧Pについては図示を省略したが、グリースリップ外周面35a、及び、弁40の外周面に垂直方向に一様に作用している。このため、図3(b)に図示したように、グリースリップ35では、基部とリップ先端との間の部分が、差圧Pによってリップ空間Zに向けて付勢されて、円弧状に撓んでいる。
一方、弁40は、中心線方向の長さ、すなわち、開始位置G1(または終端位置G2)から先端部G3までの寸法L1が、開始位置G1(または終端位置G2)からリップ先端までの寸法L2の40%以下に設定されている。このため、グリースリップ外周面35aと弁40の外周面とが一様に差圧Pを受けたときに、弁40の撓み量を、グリースリップ35の撓み量に比べて小さくすることが出来る。
グリースリップ35が弁40より大きく撓んだときの、弁40に対するグリースリップ35の位置を図4(b)、図4(c)では破線で示している。これらの図から分かるように、グリースリップ35が撓むことによって、弁側合わせ面40aとリップ側合わせ面35cとが互いに離反して、すきまSを生じる。
このすきまSを通って、環状空間Wからリップ空間Zに向けて空気が流入するので、リップ空間Zの圧力が大気圧に復元する。この結果、差圧Pがゼロになるので、グリースリップ35及び第1アキシャルリップ36は、その弾性によって元の形状(図3(a)に示す状態である)に復元する。
また、グリースリップ35が撓むときには、切込みJを挟んで互いに対向する弁の側の弁側合わせ面40aとグリースリップ35の側のリップ側合わせ面35cとが、互いに離れる向きに傾いているので、すきまSが必ず生じる。このため、リップ空間Zに負圧が生じた瞬間に弁40が開いて、リップ空間Zに空気が流入する。したがって、本実施形態では、図3(b)に示したようなグリースリップ35の大きな撓みが生じることがなく、各リップ35,36が内軸12に強く押し付けられることもない。こうして、ハブユニット軸受10の回転トルクの上昇を抑制することが出来る。
本実施形態では、弁40の先端部G3は、グリースリップ35先端から基部側に所定寸法Laだけ離れた位置に設定されている。グリースリップ35はリップ先端で内軸12と摺接するので、弁40が内軸12と直接接触することがない。また、グリースリップ35が差圧Pによってリップ空間Zに向けて付勢されたときには、弁40の撓み量がグリースリップ35の撓み量より小さいので、弁40はグリースリップ35より径方向外方にある(図3(b)参照)。このため、グリースリップ35がリップ空間Zに向けて引き寄せられて、円弧状に撓んだ形状となったときに、弁40が、グリースリップ35を挟んで内軸12の反対側に突出している。このため、ハブユニット軸受10を長期にわたって使用した場合でも、弁40が内軸12と接触しないので、弁40が摩耗することがない。
こうして、本実施形態のハブユニット軸受10は、リップ空間Zにおける負圧の発生を長期にわたって防止することが出来る。この結果、回転トルクの上昇を確実に防止することが出来る。
本実施形態では、弁40は、図3における矢印Eの方向から見たときの先端部G3の形状が円弧状の場合について説明したが、この形状に限定されるものではない。例えば、切込みJが、G1とG3との間、及び、G2とG3との間で直線状に形成されていて、弁40が三角形状に形成されていてもよい。また、弁40の先端における切込みJをG3における接線方向に形成して、弁40を矩形形状としてもよい。
しかし、リップ空間Zが負圧になって、グリースリップ35が円弧状に変形するときには、グリースリップ35の内部には応力が発生する。そして、リップ側合わせ面35cの形状が急激に変化する部分では、応力集中によって高い応力が生じる。このため、弁40の形状は、リップ側合わせ面35cの形状が急激に変化しないよう、滑らかな形状で形成するのが望ましい。
本実施形態では、弁40は、図3における矢印Eの方向から見たときの先端部G3の形状を、円弧状に形成している。こうして、リップ側合わせ面35cの形状が急激に変化しないよう、滑らかな形状で形成することによって応力集中を抑制して、グリースリップ35に生じる応力の上昇をより効果的に抑制することが出来る。この結果、車両の走行/停止によってリップ空間Zに負圧が繰り返し発生しても、グリースリップ35が破損することがない。こうして、密封装置30の耐久性を良好に維持することが出来る。
また、弁40をグリースリップ35に設置したので、リップ空間Zに生じた負圧を解消するときに、リップ空間Zには環状空間Wの空気が流入する。環状空間Wは、当該密封装置30及びカバー29によって異物の浸入が遮断されているので、リップ空間Zに泥水などの異物を吸い込む恐れがない。したがって、密封装置30の機能を長期にわたって発揮することが出来る。
以上説明したように、複数のリップを備えた密封装置30を有するハブユニット軸受10において、リップ間の負圧の発生を長期にわたって防止することが出来るので、回転トルクの上昇を防止することが出来る。
(本実施形態)10:ハブユニット軸受、11:外輪、12:内軸、13:玉、14:外側軌道面、15:取付フランジ、16:ハブフランジ、17:ハブシャフト、18:内輪部材、19:軸部、21:かしめ部、22:内側軌道面、23:グリースリップ摺動面、24:アキシャルリップ摺動面、25:嵌合面、27:芯金、29:カバー、30:密封装置、31:固定部、32:リップ保持部、34:弾性部材、35:グリースリップ、35a:グリースリップ外周面、35b:グリースリップ内周面、35c:リップ側合わせ面、36:第1アキシャルリップ、37:第2アキシャルリップ、40:弁、40a:弁側合わせ面、W:環状空間、J:切込み、
(従来技術)100:ハブユニット軸受、101:内軸、102:外輪、103:フランジ、104:玉、105:密封装置、106:カバー、107:グリースリップ、108:アキシャルリップ、109:突起、H:環状空間

Claims (3)

  1. 外輪と、内軸と、前記外輪の内周と前記内軸の外周との間の環状空間に組み込まれた複数の転動体と、前記環状空間の車両アウター側の開口部に装着された密封装置とを備えたハブユニット軸受であって、
    前記密封装置は、前記外輪に固定された金属製の芯金と、前記芯金に固定されて弾性体で形成された弾性部材とからなり、
    前記弾性部材は、前記環状空間に向けて延在して前記内軸と摺接する一のリップと、前記環状空間から離れる向きに延在して前記内軸と摺接する他のリップとを備えており、
    前記一のリップには、厚さ方向に貫通する切込みを設けることによって、前記芯金からリップ先端に向けて舌状に延びる弁が形成されており、前記弁の先端の位置は前記一のリップのリップ先端から所定寸法離れていることを特徴とするハブユニット軸受。
  2. 前記一のリップの厚さ方向における前記切込みの向きは、
    前記一のリップが、前記一のリップと前記他のリップとで囲まれたリップ空間に向けて付勢されたときに、
    前記切込みを挟んで互いに対向する前記弁の側の面と前記一のリップの側の面とが、互いに離れる向きに傾いていることを特徴とする請求項1に記載するハブユニット軸受。
  3. 前記一のリップの厚さ方向に見たときの前記弁の先端部の形状が円弧状であることを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれかに記載するハブユニット軸受。
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