JP6600108B1 - 薄膜熱電変換素子および熱電発電モジュール - Google Patents

薄膜熱電変換素子および熱電発電モジュール Download PDF

Info

Publication number
JP6600108B1
JP6600108B1 JP2019000578A JP2019000578A JP6600108B1 JP 6600108 B1 JP6600108 B1 JP 6600108B1 JP 2019000578 A JP2019000578 A JP 2019000578A JP 2019000578 A JP2019000578 A JP 2019000578A JP 6600108 B1 JP6600108 B1 JP 6600108B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
thermoelectric conversion
upper electrode
conversion element
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019000578A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020109802A (ja
Inventor
晃 伊藤
Original Assignee
有限会社Icea
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 有限会社Icea filed Critical 有限会社Icea
Priority to JP2019000578A priority Critical patent/JP6600108B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6600108B1 publication Critical patent/JP6600108B1/ja
Publication of JP2020109802A publication Critical patent/JP2020109802A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】低温域の身の回りに存在するわずかな温度差から熱エネルギーを吸収し電力に変換する薄膜熱電変換素子と、それを有効利用した2次元又は3次元構造の、薄型・軽量・小型のモジュールを構成し、電力供給源となる熱電発電モジュールを提供することにある。【解決手段】薄膜熱電変換素子1は柔軟性を併せ持つ薄膜フィルム3を上下一対とする薄膜ダブルシート2と、上下間に上部電極4と下部電極5が配置され、発現された内部空隙内にn型素子6とp型素子7が導入され密閉規定されている。熱電発電モジュール9は、中心軸10の不導体のおねじ11に薄膜熱電変換シート1が嵌め入れられ、導体性めねじ12と不導体性めねじ13で固定され螺旋状に取り巻く3次元構造を設け、熱電発電モジュール15は、薄膜ダブルシート2内に構成要素が等間隔に設けられた2次元構造を形成し、回路を構成し温度差に応じた開放電圧を発生させる構造である。【選択図】図1

Description

この発明は、身の回りに存在する微小な熱エネルギーのごくわずかな温度差を、電力に変換しエネルギー供給源となるための、薄膜熱電変換素子およびそれを有効活用した熱電発電モジュールに関するものである。
電気エネルギーの全消費エネルギーに占める割合は、漸増の傾向にありエネルギーの安定供給確保は、エネルギー対策の優先課題となっている。そこで従来の大規模な一点集中型のエネルギー供給に対して、分散型のエネルギー供給源となる、太陽光発電・風力発電・バイオマス発電・地熱発電システムや熱電変換システムを活用した発電などの分散型エネルギーシステムを利用する「マイクログリッド」と呼ばれる小規模エネルギー・ネットワークが注目をあびている。
近年、情報通信、エレクトロニクス分野ではモバイル機器やウエアラブル端末のエレクトロニクスの発展は著しく、それに伴い、軽量でフレキシブルな機能性および携帯性に富み、使用利便性を高めた機器が求められている。それに対し機器内の電子部品の動作中の温度は高温となり、無駄に排熱され熱対策が求められている。また、住宅やオフィス内の小型機器や設備等の熱も利用されることなく無駄に低温排熱がおこなわれている。そこで、資源エネルギーの観点からみると、周辺環境に存在するエネルギーを効率的に電力に変換するエネルギー・ハーべスティングが注目をあびている。特に、熱電発電は排熱・自然エネルギーを効果的に電気エネルギーに変換する技術の代表とされており、エレクトロニクス機器や小型機器への消費電力の供給を可能とするようなエネルギー分野での利用、普及への期待が高まっている。
熱電変換素子の特徴は、異種金属や半導体セラミックスなどをp型とn型に結合し、素子の両端に温度差をかけることで熱を電気に変換する。構造が簡単で駆動部分が少なく小型軽量であり、特に出力電流密度が高いことである。
一方で、従来から熱電変換素子はビスマスやテルルなどのレアメタルを使用しているため、素子の低コスト化が難しく大量生産が困難である。
また従来から、熱電発電モジュールは電極や基板等の接合が必要不可欠であり、実装時にはさまざまな温度勾配の発生によりハンダの拡散やき裂が入り塑性変形や破壊がおこることが問題となっている。
また従来から、熱電発電モジュールでは、1素子当たりの出力電圧が低いため効率が十分ではなく、多数の直列・並列結合を必要とする複雑なモジュール構造となるため量産に結びつきにくく、特殊な目的のみに使用され実用化レベルでは、量産技術の確立による低コスト化が重要となっている。近年、省エネルギー技術の開発に向けて開発が進められ、有効利用されずに廃熱として失われる未利用熱エネルギーを活用する熱電発電への応用普及が期待されている。
特許出願申請中
(社)日本セラミック協会・日本熱電学会編「熱電変換材料」 日刊工業新聞社.2011年4月28日
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、地球環境とエネルギー問題の観点から、例えば人体温や室温のような身の回りに存在する微小な熱エネルギーを吸収して、わずかな量の温度差からエネルギーを電力に変えて働き、機械的エネルギー等を経ることなく、未利用の熱エネルギーを直接電気エネルギーに変換することが可能となる、フレキシブル性を併せ持つ薄膜熱電変換素子および熱電発電モジュールを提供することにある。
この発明の他の目的は、ユビキタス・エネルギー社会の構築にむけて、いつでもどこでも必要なとき必要量の発電をすることが可能となる、薄膜熱電変換素子および熱電発電モジュールを提供することにある。
この発明のさらに他に目的は、小型電子機器を動作させる消費電力を供給する、また、住宅等各種建物内で使用する電機機器などの補助電源となることが可能となる、薄膜熱電変換素子および熱電発電モジュールを提供することにある。
この発明のさらなる他の目的は、熱電発電モジュールの設計プロセスで、電極の熱応力による影響を軽減するため電極構造の安定化を持って、電極の複雑な直列・並列結合の単純、簡潔化を図り、薄膜熱電変換素子を複数枚効率的に二次元あるいは三次元構造のモジュールに組み合せ、面積設計を小さくした、薄型・軽量・小型さらに経済的でエコロジーが可能となる、薄膜熱電変換シートおよび熱電発電モジュールを提供することにある。
この発明に基づく第1の局面では、薄膜熱電変換素子は、生体高分子を主成分とする導電高分子から成る熱電変換材料が薄膜ダブルシートのセル内に導入密封規定され、柔軟性を併せ持つ素子において、外部と導体回路を構成し、温度差によって発電する形態を備え、上下2枚で一対となる薄膜ダブルシートを形成する薄膜フィルムと、薄膜フィルムの間に配置され縁取るように支持体を兼有し相対して設けられる、一端あるいは両端が外へ突出する、一方の上部電極と他方の下部電極と、上部電極および下部電極により形成される内部空隙内に導入された熱電変換材料から成るn型素子およびp型素子と、を備えている。また、熱電変換材料は、生体を構成する蛋白質、糖質、核酸および複合脂質などの生体高分子を主成分とし、1種類以上の生体高分子から形成される有機材料系で、ナノ粒子状の導電高分子の形態を備え、炭素および炭素の同素体を成分とする炭素系母材と、アミド化合成を生成し炭素系母材と混合される導電性高分子を発現するn型材料と、エステル化合成を生成し炭素系母材と混合される導電性高分子を発現するp型材料と、炭素系母材、n型材料、p型材料に導入される有機溶媒と、を有している。
上記のn型材料およびp型材料には、好ましくは、蛋白質、糖質、核酸および複合脂質などの高分子有機化合物を有する、植物、藻類、微生物、菌類、魚類、両生類等の生物が産生する天然有機化合物が含有されている。また、n型材料およびp型材料には、好ましくは、生体高分子を化学反応により、全合成または半合成によって人工的に産生されることができる化学合成の有機化合物を有している。また、薄膜ダブルシートは、好ましくは、トライアングル状で二辺が等しい台形断面形状、あるいは雫形断面形状、または角型断面形状、あるいは円・楕円断面形状を有している。また、上部電極および下部電極は、好ましくは、細線状あるいは極薄プレート状または薄膜状および幅広状に設けられている。また、上部電極および下部電極は、好ましくは、内方向の突起が1ヶ所あるいは数ヶ所設けられている。また、上部電極の外方向に突出する先端部は、好ましくは、リング状の輪、または円く貫通する孔が設けられている。また、上部電極および上部下部電極は、△型断面形状を有している。また、薄膜フィルムの間には、好ましくは、支持体となる枠シートが設けられている。薄膜フィルムおよび枠シートは、好ましくは、樹脂を有している。また、n型素子およびp型素子は、好ましくは、p−n混合して入りまじる混合接合、又はp−nそれぞれ波状接合して設けられている。
この発明に基づく第2の局面では、熱電発電モジュールは、第1の局面の薄膜熱電変換素子が複数個、中心軸によって規定され螺旋状に結合するモジュールの形態を備え、中心軸の外側面に形成される不導体性のおねじと、中心軸に嵌め入れられ薄膜熱電変換素子を固定し、不導体のおねじに螺合する、導体性めねじ、および不導体性めねじと、中心軸の上下一端に嵌め入れられ薄膜熱電変換素子内の電極と接続し、外部回路とを接続する接続結線とを備えている。
上記のn型材料およびp型材料には、好ましくは、蛋白質、糖質、核酸および複合脂質などの高分子有機化合物を有する、植物、藻類、微生物、菌類、魚類、両生類等の生物が産生する天然有機化合物が含有されている。また、n型材料およびp型材料には、好ましくは、生体高分子を化学反応により、全合成または半合成によって人工的に産生されることができる化学合成の有機化合物を有している。また、薄膜ダブルシートは、好ましくは、トライアングル状で二辺が等しい台形断面形状、あるいは雫形断面形状、または角型断面形状、あるいは円・楕円断面形状を有している。また、上部電極および下部電極は、好ましくは、細線状あるいは極薄プレート状または薄膜状および幅広状に設けられている。また、上部電極および下部電極は、好ましくは、内方向の突起が1ヶ所あるいは数ヶ所設けられている。また、上部電極の外方向に突出する先端部は、好ましくは、リング状の輪、または円く貫通する孔が設けられている。また、上部電極および上部下部電極は、△型断面形状を有している。また、薄膜フィルムの間には、好ましくは、支持体となる枠シートが設けられている。薄膜フィルムおよび枠シートは、好ましくは、樹脂を有している。また、n型素子およびp型素子は、好ましくは、p−n混合して入りまじる混合接合、又はp−nそれぞれ波状接合して設けられている。
この発明に基づく第3の局面では、熱電発電モジュールは、第1の局面の薄膜熱電変換素子の構成要素が平面状の薄膜ダブルシートに複数セル設けられ気密封止されたモジュールの形態を備え、上下2枚で一対となる薄膜ダブルシートを形成する薄膜フィルムと、薄膜フィルムの間に配置され支持体となる枠シートと、薄膜ダブルシート間の各セル内に固定された、上部電極と下部電極と、上部電極および前記下部電極により形成される内部空隙内に導入された熱電変換材料から成るn型素子およびp型素子と、を備えている。
上記のn型材料およびp型材料には、好ましくは、蛋白質、糖質、核酸および複合脂質などの高分子有機化合物を有する、植物、藻類、微生物、菌類、魚類、両生類等の生物が産生する天然有機化合物が含有されている。また、n型材料およびp型材料には、好ましくは、生体高分子を化学反応により、全合成または半合成によって人工的に産生されることができる化学合成の有機化合物を有している。薄膜ダブルシートは、好ましくは、トライアングル状で二辺が等しい台形断面形状、あるいは雫形断面形状、または角型断面形状、あるいは円・楕円断面形状を有している。また、上部電極および下部電極は、好ましくは、細線状あるいは極薄プレート状または薄膜状および幅広状に設けられている。また、上部電極の外方向に突出する先端部は、好ましくは、リング状の輪、または円く貫通する孔が設けられている。また、上部電極および上部下部電極は、△型断面形状を有している。また、薄膜フィルムおよび枠シートは、好ましくは、樹脂を有している。また、n型素子およびp型素子は、好ましくは、p−n混合して入りまじる混合接合、又はp−nそれぞれ波状接合して設けられている。
より詳しく説明すると、この発明に基づく第1の局面の薄膜熱電変換素子においては、柔軟性を併せ持つ薄膜ダブルシートを成し、この上下2枚の間に設けられる、上部電極および下部電極は、電極と支持体を兼有して設けられることで、内部空隙が発現することになる。この内部空隙にn型素子とp型素子が導入されることになる。上部電極および下部電極は、薄膜フィルムの上下2枚の縁を縁取るようにして設けられ、そして、上部電極は、一方の離隔部に設けられ薄膜ダブルシートの一端から上下2枚の間を外へ貫いて突出するように延びている。これに相対する下部電極も他方の離隔部に設けられ、同様に一端あるいは両端から外へ突出するように延びている。そして、薄膜ダブルシートは、この両電極の外周に沿って密閉封止され、これによって、上部電極および下部電極は、上下2枚の薄膜フィルムに密着固定されることになる。このように、上部電極および下部電極が外方向に突出することで外部回路と効果的に配線することが可能となる。
このとき、内部空隙のn型素子とp型素子の界面では、生成された電荷は効率的に上部電極および下部電極へ移動されることになる。そして、微細化された上部電極および下部電極によって界面抵抗が小さくなり、電極表面の電子物性の制御が可能となる。それにより、薄膜でも導電性を向上させることが可能となる。
この際、n型素子およびp型素子を充填させた薄膜ダブルシートは、上下2枚のダブルシート状の形態を有していることによって、薄膜フィルム上下の両面から熱エネルギーを吸収することになる。それにより、わずかな温度差から熱エネルギーを電気エネルギー変換し、熱電変換効率を高め薄膜でも大きな熱起電力が得られることが可能となる。
この発明に基づく第1、第2、第3の局面では、熱電変換材料が生体を構成する蛋白質、糖質、核酸および複合脂質などの生体高分子を主成分としている。従来の材料とは異なり、低い熱伝導率のまま高い電気伝導性を向上させるため、炭素骨格を主成分として構成される生体高分子を基本メカニズムとしている。また、従来の固体状の素子材料とは異なり、ナノ粒子状の材料が、薄膜練り状態を形成している。生体高分子の特性を熱電変換材料のn型材料およびp型材料に取り入れていることを特徴としている。n型材料およびp型材料は流動性のない微量な液滴含有性の練り状で不完全結晶の無定形状態であるため、イオンは素子内を効果的に移動することができる。そして、素子中ではコロイドイオンが分散状態で存在し、イオンの周囲には、反対の電荷を持つ対イオンがとりまいている。生体高分子は表面に多数の親水基が存在するため親和性が強く反応性が大きいため溶質分子の周囲に溶媒分子が引きつけられ、溶媒分子の周囲に吸着層をつくるため水和が起こり易く、誘電効果が得られることが可能となる。そのため、水溶性における生体高分子の解離現象が基盤となるため、溶媒中の解離基の連鎖移動によってキャリア移動度の増加とともに、電気伝導率が上昇する。それにより、熱伝導率の低い電気伝導率の高い熱電性能に優れた熱電変換材料が得られる。
n型材料およびp型材料には、蛋白質、糖質、核酸および複合脂質などの高分子有機化合物を有する、植物、藻類、微生物、菌類、魚類、両生類等の生物が産生する天然有機化合物が含有されている場合には、天然性の作用基により高分子物質の末端の単量体のなかの活性に富む末端基、官能基によりアミド化、エステル化合成による重合反応が促進されることが可能となる、
また、n型材料およびp型材料には、生体高分子を化学反応により、全合成または半合成によって人工的に産生されることができる化学合成の有機化合物を有している場合には、人口化学的な合成により、類似反応によりアミド化、エステル化を可能にする。
また、薄膜ダブルシートが、トライアングル状で二辺が等しい台形断面形状、あるいは雫形断面形状、または角型断面形状、あるいは円・楕円断面形状を有している場合には、モジュール設計プロセスにおいて2次元および3次元化構造のモジュールが可能となり、それにより、面積設計を小さくすることが可能となる。
また、上部電極および下部電極は、細線状、あるいは極薄プレート状、または膜状、および幅広状に設けられた場合には、電極の微細化・薄型化により、フレキシブル性および薄膜化が可能となり、薄膜ダブルシートを構成することが可能となる。
また、上部電極および下部電極は、内方向の突起が1ヶ所又は数ヶ所設けられた場合には、微細化された電極の表面積を大きくすることで、電極表面の電子物性の制御が可能となり、それにより、電荷輸送性が高まり、導電性を向上させることが可能となる。さらに、熱などによる変形を防ぎ、形態を保持することが可能となる。
また、上部電極の外方向に突出する先端部は、リング状の輪または円く貫通する孔が設けられた場合には、モジュール設計プロセスにおいて、支軸に輪または孔を軸通することで、それぞれの薄膜熱電変換シートを連接することが可能となる。
また、上部電極および下部電極は、△型断面形状を有している場合には、微細化された電極表面積を大きくすることで、電荷を高密度に集めることが可能となる。
薄膜フィルムの間には、支持体となる枠シートが設けられている場合には、枠状に縁取ることで支持体となり、熱などによる変形を防ぎ形態を保持することが可能となる。
また、薄膜フィルムおよび枠シートは、樹脂を有している場合には、曲げ可能なフレキシブルのフィルムおよびシートにおいて、耐薬品性、非吸収性、耐熱性、電気絶縁性、安全性、経済性の優れ、力学的強度、耐熱により熱膨張の改善が可能となり、それにより、機能化、性能向上を可能とする。
また、n型素子およびp型素子は、p−n混合して入りまじる混合接合、又はp−nそれぞれ波状接合して設けられた場合には、混合接合では接合界面が無作為に素子全体に存在する、また、波状接合はn/p両側から相互にあるいは上下に凹凸面が波状に入りまじり存在する。これらの接合界面を設けることで接合界面の面積を増大させ電子とホールの対の創生が高まり、界面電荷分離による電荷生成によって電極への電荷輸送が効果的に行なわれる。さらに、発熱体からの垂直方向に流れる熱流を効果的に電力に変換することが可能となる。
この発明の第1の局面によれば、フレキシブル性を併せ持ち、薄膜で機能的であり、微細な電極構造を有し、低温熱を有効利用しわずかな温度差で電力を発生する、熱電変換効率を高めた、モジュール設計に適応される薄膜熱電変換素子が得られる。
この発明の第2の局面では、熱電発電モジュールは、第1の局面の薄膜熱電変換素子が複数個、中心軸によって規定され螺旋状に取り巻いて結合し、中心軸の外側面に不導体性のおねじが形成され、その中心軸に嵌め入れられたこの不導体のおねじに螺合する、導体性めねじ、および不導体性めねじにより薄膜熱電変換素子を固定し、直列・並列結合の相互作用に従って接続構成され、さらに中心軸の上下一端に嵌め入れられ薄膜熱電変換素子内の電極と接続し、外部回路とを接続する接続結線とを備えている。それにより、中心軸によって規定され、複数の薄膜熱電変換シートが嵌め入れられ、3次元構造の螺旋状に取り巻いて直列・並列に結合される。電極の接続は、中心軸に嵌め入れられた、上部電極の正極・負極、および導体性のまたは不導体性のめねじの組み合わせ、そして、下部電極の正極・負極の組み合わせにより配線形成され、中心軸を基軸として直列・並列結合されることになる。すなわち、電極および配線が複雑化することなく、単純・簡潔化されることで、モジュール設計において、面積設計を小さくすることが可能となり、それにより、機能化、性能向上が図られ、薄型、軽量、小型化が可能となる。
薄膜熱電変換素子は、薄膜フィルムの上下両面から熱エネルギーを吸収できるため、複数枚を螺旋状に連接することで、効果的に熱吸収が行われ、熱電変換効率を高めることが可能となる。それにより、わずかな温度差から大きな熱起電力が得られることが可能となる。
この発明の第2の局面によれば、薄膜熱電変換素子を有効に活用することで、熱吸収性、電気的特性、モジュール設計の向上により、低温熱を利用して発電する、熱電変換効率が高く、大きな熱起電力を可能とする3次元構造の熱電発電モジュールが得られる。
この発明の第3の局面では、熱電発電モジュールは、第1の局面の薄膜熱電変換素子の構成要素が平面状に複数設けられ、直列・並列結合するモジュールの形態を備えており、このモジュールは、薄膜ダブルシートの上下2枚の間に、それぞれの組み合わせが等間隔をあけた複数セルと、その各セル内に上部電極と下部電極、およびn型素子とp型素子を有し気密封止されており、この上部電極および下部電極のそれぞれの一端は外部回路と接続され構成されている。
この発明の第3の局面によれば、薄膜熱電変換シ素子を有効に活用することで、熱電変換効率が高くなり、大きな熱起電力を可能とする、フレキシブルで薄膜状の2次元構造の熱電発電モジュールが得られる。
以上のように、この発明によれば、熱電変換素子の構造の最適化を図り、熱電変換効率を向上させた薄膜熱電変換素子を有効活用し、優れた熱電変換性能を維持した状態で、熱電変換素子の薄膜化により、熱電発電モジュールを小型化、軽量化、低コスト化することが可能となる。
より具体的には、薄膜熱電変換素子は身の回りどこにでも存在する低温熱領域の排熱や人体温を利用して、わずかな温度差の変化から熱エネルギーを吸収して電気エネルギーに変換する。ダブルシートの形態を有するため、シートの両面から熱が吸収され、熱変換効率は高められ、薄膜でも単体の起電力が高められることを可能とし、フレキシブル性によっていろいろなデバイス環境に適応することが可能となる。また、モジュール設計プロセスにおいて、複数枚の薄膜熱電変換素子が、3次元の螺旋状に形成させることで吸熱面積は大きくなる。また、2次元に組み込まれた場合には、フレキシブルで薄型化が可能となる。すなわち、従来に比べてモジュールの熱電変換効率は高められ、大きな熱起電力が得られることが可能となり、中間のエネルギー形態の介在および連結を経ることなく、直接電気エネルギーを発生する効率的な直接発電が可能となる。
さらに、素子構造は電極が微細化・機能化することで、薄膜化、フレキシブル化に適応することが可能となり、薄膜でも導電性を高めることが可能となる。また、モジュールに適応した構造により、直列・並列結合の電極および配線が単純・簡潔化され、従来に比べてモジュールを薄型・軽量・小型化することが可能となる。
さらに、熱電変換素子材料は、資源量が豊富で、環境負荷が少なく、他の構成要素材料も安価であり製造コストを低減することで、従来に比べて経済性が可能となる。
は、この発明に基づく第1の実施例における、薄膜熱電変換素子を示す斜視図である。 (a)は、この発明に基づく第1の実施例における、薄膜熱電変換素子の形成状態を示す、平面図である。(b)および(c)は、側面図である。 は、この発明に基づく第2の実施例における、熱電発電モジュールを示す斜視図である。 は、この発明に基づく第2の実施例における、熱電発電モジュールを示す上面図である。 (a)は、この発明に基づく第2の実施例における、熱電発電モジュールの並列結合による形成状態を示す図解図である。(b)は、直列結合による形成状態を示す図解図である。 (a)、(b)は、この発明に基づく第3の実施例における、薄膜熱電変換素子の接合界面の形成状態を示す図解図である。 は、この発明に基づく第3の実施例における、熱電発電モジュールを示す上面図である。 は、この発明に基づく第1の実施例における、熱電発電モジュールの動作状態を示す測定表である。
以下、この発明に基づく第1の実施例について図1、2を用いて説明する。薄膜熱電変換素子1の構造について説明する。まず、図1、2を参照して、薄膜熱電変換素子1は、薄膜フィルム3が上下2枚で一対となる薄膜ダブルシート2を備えている。この薄膜ダブルシート2の間に、上部電極4および下部電極5が設けられている。この薄膜フィルム3は、上部電極4および下部電極5の外周に沿って密閉封止される。上部電極4および下部電極5は、電極と支持体を兼有しており、これらの電極により、薄膜ダブルシート2内に内部空隙が発現することになる。この内部空隙内にn型素子6およびp型素子7が導入されることになる。上部電極4と下部電極5は、離隔されて設けられている。この上部電極4は、薄膜ダブルシート2の一端から上下2枚の薄膜フィルム3の間を外へ貫いて突出するように延び、これに相対する下部電極5も、同じように薄膜ダブルシート2の一端あるいは両端から外へ突出するように延びて設けられている。このように、上部電極4および下部電極5は、上下2枚の薄膜フィルム3に密着固定され、外方向に突出することで外部回路と効果的に配線することが可能となる。
この薄膜ダブルシート2の構造は、モジュールの2次元および3次元化構造に適応して、トライアングル状で二辺が等しい台形断面形状、あるいは雫形断面形状、または角型断面形状、あるいは円・楕円断面形状を成す。それにより、面積設計の小さいモジュールが可能となる。
薄膜ダブルシート2内の上部電極4および下部電極5は、細線状あるいは極薄プレート状、または膜状および幅広状で、微細・薄型化して設けられているため、薄膜熱電変換素子1の薄膜化およびフレキシブル性が可能となる。
また、上部電極4および下部電極5は、上下2枚の薄膜フィルム3の縁を縁取るように設けられ、その縁部分から内方向に1ヶ所又は、数ヶ所突起しているため、微細化された電極の表面積を大きくすることが可能となる。それにより、電荷輸送性が高まり、導電性を向上させることが可能となる。さらに熱などのよる変形が防がれ、薄膜ダブルシート2の構造形態を保持することになる。
さらに、上部電極4は、縁部分から外方向に突出し、先端部がリング状の輪、または円く貫通する孔が設けられており、モジュール構造に適応し、この輪または孔が支軸の中心軸10に通され、数枚の薄膜熱電変換素子1が連通されることが可能となる。
また、上部電極4および下部電極5は、△型断面形状を有していることで、微細化された電極表面積を大きくすることで、電荷を高密度に集めることが可能となる。△の二辺に沿った二つの側面をn型素子6およびp型素子7に密着させることで表面積は大きくなることが可能となる。
またさらに、熱などによる形態の変形を防ぐために、支持体となる上部電極4および下部電極5の縁を、内部空隙をつくりながら取り囲む、絶縁性の枠シート8が設けられている。
n型素子6およびp型素子7は、上部電極4および下部電極5とまたは枠シート8によって発現する内部空隙内に充填され、p−nそれぞれの素子は、混合して入りまじった混合接合、又は波状に接合して波状接合で設けられている。混合接合では接合界面が無作為に素子全体に存在する、また、波状接合はn/p両側から相互にあるいは上下に凹凸面が波状に入りまじり存在する。これらの接合界面を設けることで接合界面の面積を増大させ電子とホールの対の創生が高まり、界面電荷分離による電荷生成によって電極への電荷輸送が効果的に行なわれる。電荷移動は最適化し、導電性が高められる。さらに、発熱体からの垂直方向に流れる熱流を効果的に電力に変換することが可能となる。
薄膜フィルム3および枠シート8は、樹脂を有しておりフレキシブルなフィルムおよびシートを可能にし、力学的強度を保持し、熱による熱膨張などを改善するため、耐薬品性、非吸湿性、耐熱性、電気絶縁性に優れた樹脂から構成されている。上述の材質については一例であって限定されるものではない。
次に、上記のような構造を有する薄膜熱電変換素子1の動作について説明する。図1を参照して、n型素子6およびp型素子7が充填された薄膜ダブルシート2は、両面から熱エネルギーを吸収される。この際、温度差が発生すると電流が流れる。その電流によって一方は温められ、他方は冷やされて熱エネルギーが電気エネルギーに転換されることになる。その際、p−n接合点では電荷が生成され、電極を外部回路で接続すると上部電極4および下部電極5の表面に電荷が移動し、効率的に電荷輸送性が高められる。これらの電荷のほとんどが外部電流に寄与されることになり、わずかな温度差から電気エネルギーを発生させる、熱電変換効率の高められた薄膜熱電変換素子1が得られる。
次に、この発明に基づく第2の実施例について、図3〜5を用いて説明する。図3,図4は、上記の第1の実施例が3次元構造のモジュールに構成されている。図5は、直列・並列結合の形成状態である。
まず、図3、4を参照して、熱電発電モジュール9は、薄膜熱電変換素子1が複数枚、中心軸10に嵌め入れられ、中心軸10の周囲を螺旋状に取り巻いて直列あるいは並列に結合して設けられている。それぞれの薄膜熱電変換素子1内の上部電極4は、外方向に突出し、先端部にリング状の輪、または円く貫通する孔が設けられている。中心軸10に軸通されて規定されることになる。
次に、図5を参照して、中心軸10は、不導体性から成り、外側面の一部には不導体のおねじ11が形成されている。そして、不導体のおねじ11に螺合する導体性めねじ12、不導体性めねじ13が中心軸10にねじ込まれて固定される。図5(a)の並列結合では、上部電極4と導体性めねじ12が交互に嵌め入れられている。また、図5(b)の直列結合では、上部電極4と不導体性めねじ13、そして上部電極4、次に導体性めねじ12が順次嵌め入れられている。このように、並列結合および直列結合において、上部電極4は、所定位置で軸通されている。さらに、図5(a)の並列結合では、下部電極5の両端の突出部分が次々と順次接続されている。また、図5(b)の直列結合では、下部電極5の一端の突出部分が交互に接続されている。このように、並列結合および直列結合において、下部電極5は、所定位置で接続される。そして、接続結線14と配線され外部回路と結ばれることとなる。このように、不導体のおねじ11、そして導体性めねじ12あるいは不導体性めねじ13の組み合わせにより、効果的な配線形成が可能となり、全体が固定化されることが可能となる。
この際、薄膜熱電変換素子1は順次連接され、中心軸10の周囲を螺旋状に取り巻くことで、小型の構造でありながら実質的な表面積を増大させることが可能となる。さらに、この螺旋状の勾配に従って、それぞれの薄膜熱電変換素子1の上下の間に空間が形成され、薄膜フィルム3の上下両面から熱が吸収されやすくなる。それにより、熱電変換効率を向上させることが可能となる。
以上のような構成を有する熱電発電モジュール9の構成要素について図4を用いて説明する。上部電極4および下部電極5は、内方向に1ヶ所、又は数ヶ所の突起が設けられている。このように突起することで微細化された電極の表面積が大きくなり、電極上に高密度の電子を固定化しやすくなる。
次に、以上のような構成を有する第2の実施例の熱電発電モジュール9の動作について説明する。まず、螺旋状に設けられた薄膜熱電変換素子1のそれぞれの薄膜フィルム3の上下両面から温度差が発生すると熱が吸収される。内部に充填されたn型素子6およびp型素子7のp−n接合点では、電荷が生成され正極・負極となる上部電極4および下部電極5へ電荷が輸送され移動する。従って、熱エネルギーが電気エネルギーに転換される。
図5を参照して、発生した電荷は、図5(a)の並列結合では、カソードの正極側となる下部電極5へ電子が素子内から流れ込み、アノードの負極側となる上部電極4からは素子内へ電子が出て行くことになり、上部電極4と下部電極5を外部で接続結線14を通じ導体回路で結べば、電子が電極へ移動し電流が下部電極5から上部電極4に流れる。ここで、隣接する下部電極5の両端の突起部分は、それぞれ接続されている。そして順次、導体性めねじ12を通じ電気エネルギーが取り出されることになる。
図5(b)の直列結合では、カソードの正極側とアノードの負極側が交互に入れかわり、上部電極4と下部電極5は順次に正極と負極となる。この際、p−n接合点で発生した電子は、素子内の正極へ流れ込み、負極から素子内へ電子が出て行く。そこで、接続結線14を通じて導体回路で結ぶと、電流は正極側の下部電極5から負極側の上部電極4に流れ、導体性めねじ12へ、そして正極側の上部電極4から負極側の下部電極5へ、さらに隣接する下部電極5の突出する部分が接続され、次の正極側となる下部電極5へ、そして負極側の上部電極4へと流れる。ここで隣接する正極側の上部電極4と負極側の上部電極4の間には不導体性めねじ13が設けられている。
すなわち、直列結合および並列結合において、電極表面に高密度に電子が固定化され、電極表面の電子が外部回路を移動する際に、電気エネルギーが取り出されることが可能となる。このように、薄膜熱電変換素子1が複数枚接続され、熱電変換効率は一層向上し、優れた熱電発電モジュール9が得られる。
次に、図7はこの発明に基づく第3の実施例を示している。図示する熱電発電モジュール15が、図3、4に示した熱電発電モジュール9と異なっている点は、薄膜ダブルシート2が2次元構造のモジュールで構成されている。図示するように、平面状に薄膜熱電変換シート1が等間隔で複数設けられ、上部電極4と下部電極5は、直列・並列結合に合わせ配線されている。このように、薄膜熱電変換素子1の構造形態を拡大して備えているため、フレキシブルな薄型の、熱電変換効果が高められた熱電発電モジュール15が得られる。
次に、図3の示した熱電発電モジュール9(螺旋状)および図7に示した熱電発電モジュール15(平面状)の熱電特性の機能試験の測定を行った。
図3の熱電発電モジュール9(螺旋状)測定では、熱電発電モジュール9(螺旋状)の片側面の上部より離隔して擬似的熱源の150Wより80〜90℃の熱を照射し温度勾配を形成した。また、電圧と電流を測定するため、電極を電圧計に接続し、電圧・電流は外部から切り替えて行った。この時の測定環境は室温24℃とした。
図4を参照して、熱電発電モジュール9(螺旋状)は7枚のセルから構成され、温度差発電を実施すると、図に示すようなモジュールの電極面積当たりの出力性能が得られた。電極の単位面積当たりの電流密度の上昇に伴い電力密度は上昇し、出力電流密度が大きい動作原理が実証された。
次に、図7の熱電発電モジュール(平面状)15の測定では、熱電発電モジュール15(平面状)は10枚のセルから構成され、温度勾配に変化を設けて行った。この実験のために、容量500ccのビーカーを用意した。このビーカーは、高さ:120mm、直径:90mm、厚さ:2mm、材質:パイレックス硝子(登録商標)、熱伝導率:1.10W(mK)であった。このビーカーの外壁側面に熱電変換モジュール15を装着して、電圧を測定するため電極を電圧計に接続した。温度差を形成するため、ビーカー内に500ccの容量を確保しながら、氷水、そして熱水を注ぎ入れ、温度センサーをビーカー内に入れ、容器内部の温度を測定した。ビーカー側面はビニールで被覆された。この時の測定環境は室温32℃〜35℃とし、480分間測定された。
図9を参照して、○は熱電変換モジュール15の起電力、◆は、ビーカー容器内部の温度である。まず、1.では、容器内は空の状態で、大気温による温度勾配で行った。2.の段階で500ccの氷水を注入した。3.で容器内の氷を除去し、水500ccとした。4.の段階では、容器内の水を18cc除去し、同量の熱水を入れることを4回繰り返し、徐々に容器内の温度上昇を図った。5.は、熱水を入れた後しばらく放置した。6.では、容器内温度を大気温に戻すため、容器内の温水を18cc除去し同量の水を入れ、3回繰り返し徐々に容器内の温度下降を図った。
矢印1.で示す箇所は、43分間、容器内は空の状態で、室温が32℃のとき容器内温度は32℃〜38℃であり、温度差は0℃〜6℃で電圧は6.3V〜6.5Vあった。矢印
2.で示す箇所は、63分間の計測、室温34.5℃において、氷水を入れたことで、容器内温度は3〜7℃で移行し、温度差は31.5℃〜27.5 ℃で電圧は6.5V〜5V〜3.8Vであった。温度差の変化に伴い電圧は下降しているが3.8Vを保持している。
矢印3.の箇所では、80分間、室温35℃の計測において、氷を除去し水500ccを入れた容器内温度は8〜13℃の上昇を示し、温度差は27.0℃〜22.0℃で電圧は3.8V〜5.8V程度に上昇した。
矢印4.で示す箇所は、107分間、室温32.5℃の計測において、水18ccを除した分、熱湯を18cc入れ、4回に分けて除去、注入を行なったことで、容器内温度は*1回目13℃〜19℃〜22℃、*2回目22℃〜32℃、*3回目32℃〜40℃〜42℃、*4回目42℃〜46℃〜47℃まで上昇した。*1回目の温度差は13.5℃〜10.5℃で電圧は5.8V〜6.0V、*2回目の温度差は10.5℃〜0.5℃で電圧は6.0V〜6.5V、*3回目の温度差は0.5℃〜7.5℃〜9.5℃で電圧は6.5V〜6.7V、*4回目の温度差は9.5℃〜12.5℃〜14.5℃で電圧は6.7V〜7.0Vに回復し安定した。
矢印5.の箇所では、110分間、室温32.5℃の計測において、熱水を入れた後しばらく放置したことで容器内温度は53℃〜45℃へ徐々に低下した。この時の温度差は20.5℃〜12.5℃で電圧は7.0V〜6.8Vを保持し安定している。
矢印6.箇所では、77分間、室温32.5℃の計測において、容器内温度を大気温に戻すため3回に分けて、容器内の温水を18cc除去し同量の水を入れることを繰りたことで容器内の温度は、*1回目40℃〜38℃、*2回目37℃、*3回目35℃温度下降した。このとき*1回目の温度差は7.5℃〜5.5℃で電圧6.8V、*2回目の温度差は3℃で電圧は6.8V、*3回目の温度差は2.5℃で電圧は6.7Vで安定している。この計測矢印6.では、矢印1.の電圧と近似していることが解る。このことから、出力は最低温度3℃から最高温度53℃の範囲で480分間、温度差に応じて安定した動作を維持していることが確認された。
次に、薄膜熱電変換素子1が熱電変換素子としての動作をしているかを確認するため、電極を異種金属ではなく同種の金属を使用した素子を作成し測定を行った。薄膜熱電変換素子1は0.6Vを一定時間維持し、1次電池ではなく熱電変換素子としての機能性を有することが確認された。
上記の結果において、従来の無機熱電材料では発現しづらい反応性において、生体高分子のメカニズムにより、低い熱伝導性と効果的導電性を示し、環境親和性が高く、高いエネルギー密度で、低温熱領域におけるエネルギー・ハーべスティングとして、即実用可能な優れた熱電特性を有していることが可能となる。
以上のこの発明に基づく実施例の生体高分子は、天然有機化合物に加え、化学反応による全合成または半合成によって人工的に産生される有機化合物等の多様性も可能となる。またこの発明に基づく設計上の実施形態は限定されるものではなく、多様な変形設計が可能となる。
この発明の具体的応用としては、上述の薄膜熱電変換素子を単体で、あるいはモジュール化してエネルギー・ハーべスティングとして活用する。身の回りに存在するわずかな温度差、たとえば人体温や室温そして、さまざまな物から発生する低温熱領域(30℃前後から100℃前後程度)の未利用熱をエネルギーとして電力に変換し、モバイル機器やウエアラブル端末などの小型電子機器に消費電力を供給し、機器の利便性を高めることが可能となる。また、ユビキタス・エネルギー社会に向けてユビキタス電源として、あるいは住宅等各種建物内の小型電機機器、そしてヘルスケアや医療分野のセンサー機器の補助電源となる用途が可能となる。
1 薄膜熱電変換素子
2 薄膜ダブルシート
3 薄膜フィルム
4 上部電極
5 下部電極
6 n型素子
7 p型素子
8 枠シート
9 熱電発電モジュール
10 中心軸
11 不導体のおねじ
12 導体性めねじ
13 不導体性めねじ
14 接続結線
15 熱電発電モジュール
16 混合接合
17 波状接合













Claims (10)

  1. 外部と導体回路を構成し、温度差によって発電する形態を備え、柔軟性を有する薄膜熱電変換素子であって、
    薄膜フィルム2枚を重なるように配置することで一対となる薄膜ダブルシートと、
    前記薄膜熱電変換素子の電極と支持体とを兼有しており、互いが相対するように設けられた上部電極および下部電極と、
    生体高分子を主成分とする導電高分子から成り、n型素子およびp型素子を形成する熱電変換材料と、を備え、
    前記上部電極と前記下部電極は、前記薄膜ダブルシートの間に位置し、且つ、前記薄膜ダブルシートの縁に沿うように設けられており、
    前記上部電極の一端は、前記薄膜ダブルシート外へ突出しており、
    前記下部電極の両端は、前記薄膜ダブルシート外へ突出しており、
    前記熱電変換材料は、前記上部電極および前記下部電極により形成される内部空隙内に導入されていることを特徴とする薄膜熱電変換素子。
  2. 前記薄膜ダブルシートは、トライアングル状で二辺が等しい台形断面形状、雫形断面形状、角型断面形状、または、円・楕円断面形状のいずれかの形状であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜熱電変換素子。
  3. 前記上部電極および前記下部電極は、細線状、極薄プレート状、薄膜状、または、幅広状のいずれかの形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜熱電変換素子。
  4. 前記上部電極および前記下部電極は、△型断面形状を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜熱電変換素子。
  5. 前記上部電極は、前記熱電変換材料と接触する表面積を大きくするために前記下部電極側に突起を有していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の薄膜熱電変換素子。
  6. 前記下部電極は、前記熱電変換材料と接触する表面積を大きくするために前記上部電極側に突起を有していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の薄膜熱電変換素子。
  7. 前記上部電極の外方向に突出する先端部は、リング状の輪、または円く貫通する孔が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の薄膜熱電変換素子。
  8. 前記薄膜ダブルシートの間には、前記上部電極および前記下部電極により形成される内部空隙内を縁取るように枠シートが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の薄膜熱電変換素子。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかに記載の薄膜熱電変換素子を複数結合することにより構成される熱電発電モジュール。
  10. 外周面に形成された不導体性おねじを有する中心軸と、
    前記中心軸の不導体性おねじに嵌め込み可能な導体性めねじおよび不導体性めねじと、をさらに備え、
    前記複数の薄膜熱電変換素子それぞれの上部電極の一端は、前記不導体性おねじに嵌め込まれており、
    前記中心軸の不導体性おねじに嵌め込まれた薄膜熱電変換素子の上部電極の一端と、当該薄膜熱電変換素子に隣接する薄膜熱電変換素子の上部電極の一端との間には、前記導体性めねじまたは不導体性めねじが配置されており、
    前記中心軸の不導体性おねじに嵌め込まれた複数の薄膜熱電変換素子の内、両端に配置されている薄膜熱電変換素子の下部電極の両端のいずれか一方には、外部回路と接続可能とする接続結線が接続されていることを特徴とする請求項9に記載の熱電発電モジュール。
JP2019000578A 2019-01-07 2019-01-07 薄膜熱電変換素子および熱電発電モジュール Active JP6600108B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019000578A JP6600108B1 (ja) 2019-01-07 2019-01-07 薄膜熱電変換素子および熱電発電モジュール

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019000578A JP6600108B1 (ja) 2019-01-07 2019-01-07 薄膜熱電変換素子および熱電発電モジュール

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6600108B1 true JP6600108B1 (ja) 2019-10-30
JP2020109802A JP2020109802A (ja) 2020-07-16

Family

ID=68383286

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019000578A Active JP6600108B1 (ja) 2019-01-07 2019-01-07 薄膜熱電変換素子および熱電発電モジュール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6600108B1 (ja)

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5402343B2 (ja) * 2009-07-16 2014-01-29 富士通株式会社 ペルチェモジュール
JP5669103B2 (ja) * 2011-03-23 2015-02-12 独立行政法人産業技術総合研究所 熱電薄膜デバイス
US9051175B2 (en) * 2012-03-07 2015-06-09 Alphabet Energy, Inc. Bulk nano-ribbon and/or nano-porous structures for thermoelectric devices and methods for making the same
JP6047413B2 (ja) * 2013-01-29 2016-12-21 富士フイルム株式会社 熱電発電モジュール
US9595654B2 (en) * 2013-05-21 2017-03-14 Baker Hughes Incorporated Thermoelectric polymer composite, method of making and use of same
JP6009423B2 (ja) * 2013-10-01 2016-10-19 富士フイルム株式会社 熱電変換材料及び熱電変換素子
JP6499450B2 (ja) * 2015-01-07 2019-04-10 株式会社日本触媒 酸化グラフェン複合組成物
KR101656177B1 (ko) * 2015-02-27 2016-09-09 고려대학교 산학협력단 플렉서블 열전발전모듈 및 그 제조방법
JP6761473B2 (ja) * 2016-07-11 2020-09-23 富士フイルム株式会社 熱電変換素子
JP7175588B2 (ja) * 2017-02-14 2022-11-21 東洋インキScホールディングス株式会社 炭素材料含有架橋性熱電変換複合体、および、それを用いた熱電変換素子

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020109802A (ja) 2020-07-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zhang et al. High power density electrochemical thermocells for inexpensively harvesting low-grade thermal energy.
Ahmed et al. Integrated triboelectric nanogenerators in the era of the internet of things
Liu et al. Unity convoluted design of solid li‐ion battery and triboelectric nanogenerator for self‐powered wearable electronics
Yang et al. Wearable thermocells based on gel electrolytes for the utilization of body heat
Tang et al. Self-powered water splitting using flowing kinetic energy
CN103368458B (zh) 脉冲发电机和发电机组
Xu et al. Nanowire structured hybrid cell for concurrently scavenging solar and mechanical energies
Fan et al. Complementary power output characteristics of electromagnetic generators and triboelectric generators
CN103780125B (zh) 一种套层滑动式摩擦纳米发电机
CN107833966B (zh) 一种油墨印刷型热电器件及其制作方法
KR20140040071A (ko) 열전 에너지 생성을 위한 시스템들, 방법들 및/또는 장치들
JP2009021585A (ja) ナノ構造太陽電池
CN102800802A (zh) 环境能量转化装置
US9640803B2 (en) Manganese oxide and carbon combination generator battery
CN103354240A (zh) 一种复合式纳米发电机及其制备方法
TWI353673B (en) Integrated package having solar cell and thermoele
KR101793462B1 (ko) 스핀 열전 소자 구조체
KR101391159B1 (ko) Pcm이 내장된 열전소자 제조방법
CN105099256A (zh) 基于静电感应的发电机和发电方法
Zhao et al. Regenerable aerogel‐based thermogalvanic cells for efficient low‐grade heat harvesting from solar radiation and interfacial solar evaporation systems
CN108269910A (zh) 一种利用玻璃模板制作热电器件的方法及热电器件
Shang et al. Recent advances in flexible thermoelectrics
JP6600108B1 (ja) 薄膜熱電変換素子および熱電発電モジュール
CN111541398A (zh) 一种功能化石墨烯卷水伏pn结的制备方法
CN104538541A (zh) 新型碳纳米管基有机复合热电材料

Legal Events

Date Code Title Description
A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20190107

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20190222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190312

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190508

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20190531

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20190628

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190710

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190805

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190828

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191003

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6600108

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250