図2に示されるように、移動機構5において、スライダ17の上に支持基台18を設ける。支持基台18の下流側に蛇腹カバー20とテレスコピックカバー21とを直列に接続する。テーブル4と支持基台18との間には受け板28を設ける。移動機構5の上方には、スライダ17が移動する範囲を囲む枠状の流下部24を設ける。封止済基板2を切断する位置又は洗浄する位置においては、受け板28をテレスコピックカバー21の上方に移動させる。平面視して受け板28とテレスコピックカバー21とによって蛇腹カバー20は完全に覆われるので、蛇腹カバー20に廃液及び加工屑が到達することを防止できる。したがって、移動機構5を構成する機械要素を廃液及び加工屑から保護することができる。
本発明に係る産業機器の一例である切断装置の実施例1について、図1〜図5を参照して説明する。本出願書類におけるいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。断面図においては、断面を示す斜線を適宜省略する。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
図1(a)に示されるように、切断装置1は、被切断物を切断することによって複数の製品に個片化する装置である。切断装置1は、基板供給モジュールM1と基板切断モジュールM2と検査モジュールM3とを、それぞれ構成要素として備える。各構成要素(各モジュールM1〜M3)は、それぞれ他の構成要素に対して着脱可能であって、交換可能である。
基板供給モジュールM1には、被切断物に相当する封止済基板2を供給する基板供給機構3と、切断装置1の動作の制御などを実行する制御部CTLとが設けられる。封止済基板2は、プリント基板、リードフレームなどからなる基板と、基板が有する複数の領域に装着された複数の機能素子(半導体素子などのチップ)と、複数の領域が一括して覆われるようにして形成された封止樹脂とを有する。封止済基板2は、最終的に切断されて個片化される被切断物である。封止済基板2は、搬送機構(図示なし)によって基板供給モジュールM1から基板切断モジュールM2に搬送される。
図1(a)に示される切断装置1は、シングルカットテーブル方式の切断装置である。したがって、基板切断モジュールM2には、1個の切断用のテーブル4が設けられる。テーブル4は、後述する移動機構5(図1(b)参照)によって図のY方向に移動可能であり、かつ、回転機構6によってθ方向に回動可能である。テーブル4には切断用治具(図示なし)が取り付けられ、切断用治具の上に封止済基板2が載置される。
図1(a)において、基板切断モジュールM2は、図の左側から順にアライメントカメラ7と洗浄機構8とスピンドル9とを備える。アライメントカメラ7は、封止済基板2のアライメント(位置合わせ)を行うカメラであって、独立してX方向に移動可能である。洗浄機構8は、切断して個片化された封止済基板2の表面に洗浄液を噴射する洗浄機構である。洗浄機構8は、封止済基板2の大きさに見合う長さを持ったX方向に伸びるノズルであって、切断装置1の上方に固定されて設けられる。スピンドル9は、封止済基板2を切断する切断機構であって、独立してX方向とZ方向とに移動可能である。基板切断モジュールM2において、封止済基板2は、移動機構5によって、アライメントカメラ7と洗浄機構8とスピンドル9との間を移動する。移動機構5と回転機構6とは、テーブル4とスピンドル9とを相対的に移動させる移動手段に含まれる。洗浄機構8は移動可能であってもよい。
図1(a)に示される切断装置1は、1個のスピンドル9が設けられるシングルスピンドル構成の切断装置である。スピンドル9には、切断手段として円板状の回転刃10が設けられる。高速で回転する回転刃10によって発生する目詰まり、摩擦熱(加工熱)などを抑えるために、スピンドル9には切削液を噴射する切削液用ノズル11が設けられる。加えて、スピンドル9には、冷却液を噴射する冷却液用ノズル、洗浄液を噴射する洗浄液用ノズルなどを設けることができる(いずれも図示なし)。
テーブル4とスピンドル9とを相対的に移動させることによって封止済基板2が切断される。回転刃10は、Y軸とZ軸とを含む面内において回転することによって封止済基板2を切断する。
切削液用ノズル11から噴射された切削液は、主として、回転刃10を挟んで切削液用ノズル11の側とは反対の側に向かって飛散して流れ下る。したがって、切削液は+Y方向(第2の方向;図の左側から右側)に向かって飛散して流れ下る。本出願書類においては、切削液用ノズル11から噴射された切削液が流れ下る側を下流側とし、その下流側の反対側を上流側とする。言い換えれば、図1及び図2(a)においては、左側が上流側になり、右側が下流側になる。
図1(b)、図2(b)、(c)を参照して、切断装置1における移動機構5について説明する。図1(b)に示されるように、テーブル4を移動させるために、移動機構5はサーボモータ12などの駆動源を有する。サーボモータ12は、基台13の上に固定される。サーボモータ12は回転部材であるボールねじ14を回転させる。ボールねじ14は2個の支持台15によって両端を支持される。基台13の上にガイドレールとしてリニアガイド16がボールねじ14の軸方向に平行して両側に固定される。ボ−ルねじナット14a(図2(b)、(c)を参照)に直動ブロックであるスライダ17が固定される。スライダ17は、Y方向に移動できるようにしてリニアガイド16に固定される。
サーボモータ12によってボールねじ14が回転し、ボールねじナット14aとリニアガイド16とによって案内されたスライダ17がY方向に移動する。スライダ17がY方向に移動することによって、スライダ17の上に設けられたテーブル4がY方向に移動する。
図1、図2に示されるように、スライダ17とテーブル4との間には、支持基台18が設けられる。支持基台18は、接続部CNを介してスライダ17に固定される。テーブル4は回転機構6に接続される。
支持基台18の移動方向(図2(a)における左右方向)の端面には、門型形状を有する蛇腹カバー19、20が、それぞれ接続される。蛇腹カバー19、20は、移動機構5を構成するサーボモータ12、ボールねじ14、リニアガイド16などの機械要素を廃液及び加工屑から保護するために設けられる。蛇腹カバー19は、支持基台18に対して上流側に設けられる。蛇腹カバー20は、支持基台18に対して下流側に設けられる。
蛇腹カバー20の下流側に、テレスコピックカバー21が直列に接続される。蛇腹カバー19、20と同様に、テレスコピックカバー21は、図1(b)に示される移動機構5を構成する機械要素を廃液及び加工屑から保護するために設けられる。図1(a)に示される切断装置1においては、蛇腹カバー19、20とテレスコピックカバー21とを設けることによって、移動機構5を構成する機械要素に廃液及び加工屑が到達して付着することが防止される。
蛇腹カバー20とテレスコピックカバー21とは、テーブル4の下流側における保護カバーに含まれる。蛇腹カバー19、20とテレスコピックカバー21とは、切断装置1全体における保護カバーに含まれる。
図1(a)、図2(a)に示されるように、テレスコピックカバー21は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板などの薄い金属板からなる固定カバー部材22を有する。加えて、テレスコピックカバー21は、それぞれ薄い金属板からなる複数の可動カバー部材23A、23B、23Cを備える。それらの薄い金属板は、滑らかな表面を有する。
本実施例においては、例えば、3枚の可動カバー部材23A、23B、23Cを備えるテレスコピックカバー21が示される。複数の可動カバー部材23A、23B、23Cの数は、3枚に限定されない。各可動カバー部材23A、23B、23Cは、天面と、天面の両端につながり下方に垂れ下がる端面とを有する。各天面は、それぞれ平面によって構成される。
可動カバー部材23A、23B、23Cは、互いに積層されて、それぞれY方向に沿って同じ方向に摺動して移動することができる。Y方向に沿って設けられたガイド機構(図示なし)を使用することによって、可動カバー部材23A、23B、23CはY方向に沿って滑らかに移動することができる。蛇腹カバー19、20とテレスコピックカバー21とは、スライダ17並びに回転機構6を介してスライダ17に固定されたテーブル4及び接続部CNを介してスライダ17に固定された支持基台18の移動に伴い、それぞれが連動して伸縮を繰り返す。図2(a)は、テーブル4が最も左側に(上流側に)移動した状態を示す。
図1(b)、図2に示されるように、切断装置1に、廃液、加工屑などを下流に向かって流動させる(流下させる)ことによって除去するための流下部24が設けられる。流下部24は、スライダ17が移動する領域を平面視して含むようにして、基台13の上方に設けられる。流下部24は、例えば、長方形状の平面形状(外形)を有する。流下部24は、平面視した場合における中央に、長方形状の開口部25を有する。開口部25の下方にスライダ17が設けられ、平面視して開口部25の範囲内においてスライダ17が移動することができる。
流下部24は、枠状の平面形状を有する底板24aと、底板24aの内側に設けられた開口部25と、流下部24の外周に沿って形成された外壁24bと、流下部24の内周(開口部25の周囲)に沿って形成された内壁24cとによって構成される。したがって、流下部24は、開口部25の周囲において、底板24aと外壁24bと内壁24cとによって囲まれた枠状の平面形状と、樋状の断面形状とを有する、排出路26を備える。言い換えると、平面視してスライダ17が移動する領域の周囲を囲むようにして、枠状かつ樋状の排出路26を有する流下部24がスライダ17の上方に設けられる。
封止済基板2が切断されることによって発生した廃液及び加工屑を切断装置1の外部に排出させるために、流下部24(排出路26)はある程度の傾斜を有する。具体的には、図1、図2(a)に示されるように、流下部24は、加工液が流れ去る方向、すなわち、上流側から下流側(図2(a)において左側から右側)に向かって下がる傾斜を有する。流下部24における下流側の端部には、廃液及び加工屑を排出する排出口27が設けられる。したがって、図1(b)の太い矢印で示されるように、加工液を含む廃液及び加工屑は、流下部24が有する排出路26を経由して、排出口27から流下部24の外部に排出される。流下部24(排出路26)の傾斜は、廃液及び加工屑が確実に流れ去る程度の角度に設定される。
図1(a)、図2に示されるように、封止済基板2の下方であってテーブル4と支持基台18との間には、受け板28が設けられる。受け板28は、平面視してテーブル4を含んでおり、3辺に垂直な壁を有する塵取り(dustpan)の本体のような形状に形成される。受け板28は、加工液が流れ去る方向に、すなわち、上流側から下流側(図2(a)において左側から右側)に向かって下がる傾斜を持つように配置される。受け板28は、封止済基板2を切断した際に発生する加工屑を廃液とともに受け流す。後述するように、廃液及び加工屑は、封止済基板2、テーブル4、受け板28、テレスコピックカバー21、流下部24の排出路26、排出口27を順次経由して、流下部24の外部に排出される。
図2(a)に示されるように、封止済基板2を切断した際に発生する廃液と加工屑とを分離するために、流下部24に設けられた排出口27の下方に廃液分離部37が設けられる。廃液分離部37には、廃液と加工屑とを分離するために、多数の開口を有するフィルタ38が設置される。更に、廃液分離部37の下方には、フィルタ38を通過した廃液を収容する廃液収容部39が設けられる。フィルタ38を通過することができない大きさの加工屑は、廃液分離部37においてフィルタ38の上に残る。廃液は、廃液分離部37から廃液収容部39と配管(図示なし)とを経由して、切断装置1の外部に排出される。排液が収容された箱状の廃液収容部39を作業者が取り出して製造工場の排液処理場まで運び、作業者が排液を廃棄してもよい。廃液分離部37に残った加工屑は作業者によって処理される。
図1(a)に示されるように、切断装置1において、検査モジュールM3には検査用テーブル29が設けられる。検査用テーブル29には、封止済基板2を切断して個片化された複数の製品(電子部品)Pからなる集合体、すなわち、切断済基板30が載置される。複数の製品Pは、検査用のカメラ(図示なし)によって検査されて、良品と不良品とに選別される。良品はトレイ31に収容される。
実施例1おいては、シングルカットテーブル方式であってシングルスピンドル構成の切断装置1を説明した。これに限らず、シングルカットテーブル方式であってツインスピンドル構成の切断装置、ツインカットテーブル方式であってツインスピンドル構成の切断装置などを使用することもできる。
図1、図2を参照して、基板切断モジュールM2においてテーブル4を移動させる移動機構について説明する。図1、2に示されるように、枠状であって樋状である排出路26と排出口27とを有する流下部24(図1(b)参照)が、移動機構5の上方に設けられる。図2(a)、(b)に示されるように、テレスコピックカバー21は、テレスコピックカバー21の平面形状が流下部24全体の平面形状(開口部25を含む)に平面視して含まれるようにして、設けられる。加えて、テレスコピックカバー21に含まれる複数の可動カバー部材23A、23B、23Cの側板(図2(b)においてテレスコピックカバー21の構成要素が有する立ち下がり板)の下部が、流下部24の排出路26に収容される。
テレスコピックカバー21を構成する固定カバー部材22は、流下部24の排出口27に近い位置であって排出口27よりもわずかに上流の位置において、流下部24の底板24aに固定される。固定カバー部材22は、長方形の形状を有する天板と、天板の3方向を取り囲む長方形の形状を有する3枚の立ち下がり部とからなる。固定カバー部材22の3枚の立ち下がり部が流下部24の底板24aに固定される。
可動カバー部材23A、23B、23Cは、長方形の形状を有する天板と、天板が有する相対向する2辺に接続され長方形の形状を有する2枚の側板とからなる。図2(a)、(b)に示されるように、可動カバー部材23A、23B、23Cは、固定カバー部材22に順次積層できるようにしてそれぞれ設けられる。可動カバー部材23A、23B、23Cの側板の下端は、流下部24の底板24aから一定の距離を離して設けられる。可動カバー部材23A、23B、23Cは、それぞれY方向に沿って互いに同方向にすべり合うようにして移動(摺動)できる。
図2(a)及び図3(b)に示されるように、可動カバー部材23A、23B、23Cが有する各天板の下面における下流側の端(図3(b)において右端)には、ワイパ32がそれぞれ設けられる。各ワイパ32は、各可動カバー部材23A、23B、23Cの上面部と両側面部とに設けられる。各ワイパ32は、固定カバー部材22及び可動カバー部材23A、23Bが有する各天板の上面(天面)と両内側面とに接触する。
ワイパ32は、高い耐摩耗性と高い耐熱性とを有する材質であって、可動カバー部材23A、23B、23Cを構成する材料に対して滑りやすい特性を有する材質によって構成される。ワイパ32は、例えば、ニトリルゴム、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ふっ素樹脂などによって構成される。
可動カバー部材23A、23B、23Cが互いに重なり合って、かつ、互いに重なり合う長さをY方向に沿って徐々に変化させながら、Y方向に沿って往復運動を繰り返す。この往復運動の際に、各ワイパ32は、テレスコピックカバー21の内部に(図2(a)に示されたテレスコピックカバー21の下側に)廃液が侵入することを防止する。
固定カバー部材22及び可動カバー部材23A、23Bが有する各天板における上流側の端部(図3(b)において左端部)に、上方に向かって立ち上がる上方板33がそれぞれ設けられる。各上方板33の上端と、固定カバー部材22及び可動カバー部材23A、23Bの上流側に隣接して設けられた部材(各可動カバー部材23A、23B、23C)の天板の下面との間において小さい隙間が形成されるようにして、各上方板33が設けられる。各上方板33は、テレスコピックカバー21の内部に廃液が侵入することを防止する。「小さい間隙」という文言は、隣接して重なり合う2つの可動カバー部材(例えば、可動カバー部材23A、23B)同士が滑らかに移動できることを可能にする大きさをその間隙が有することを、意味する。
図3(b)に示された各上方板33は、可動カバー部材23A、23B、23Cの幅と同じ幅を有し、固定カバー部材22及び可動カバー部材23A、23Bの天面よりも高い突出部を備える。突出部の上端と、固定カバー部材22及び可動カバー部材23A、23Bの上流側に隣接して設けられた部材(各可動カバー部材23A、23B、23C)の天板の下面とは、小さい隙間を有する。固定カバー部材22及び可動カバー部材23A、23Bにおける上面と各ワイパ32との間の隙間から仮に廃液が侵入したとしても、これらの突出部が、廃液が移動機構まで到達して付着することを防止する。
図2(a)に示された可動カバー部材23Cの天板の下面における所定の位置には、下方に向かって伸びる接続板34が設けられる。蛇腹カバー20の下流側(図2(a)において右側)の端は、接続板34の上流側(図2(a)において左側)の面に固定される。蛇腹カバー20の上流側(図2(a)において左側)の端は、支持基台18における下流側(図2(a)において右側)の面に固定される。支持基台18の上流側(図2(a)において左側)の面に固定された蛇腹カバー19は、流下部24の内壁24Cに、又は、内壁24Cに取り付けられた取付板(図示なし)に、固定される。
図3を参照して、テレスコピックカバー21のガイド機構とパンタグラフ36のガイド機構とを説明する。可動カバー部材23A、23B、23Cの摺動性を高めるために、テレスコピックカバー21にガイド機構を設けることができる。更に、図2(a)に示されるように、可動カバー部材23A、23B、23Cの下面にそれぞれ固定された連結部35を介して、可動カバー部材23A、23B、23Cをそれぞれパンタグラフ36に連結する。テレスコピックカバー21とパンタグラフ36とを連結部35を介して連動させることによって、テレスコピックカバー21と蛇腹カバー20とを滑らかに移動させることができる。したがって、テーブル4を滑らかに移動させることができる。
図3(c)に示されるように、テレスコピックカバー21のガイド機構40は流下部24の排出路26内に設けられる。パンタグラフ36のガイド機構41は流下部24の外部に固定される。図3(c)においては、パンタグラフ36のガイド機構41が流下部24の下面(裏面)に固定された場合が示される。テレスコピックカバー21のガイド機構40とパンタグラフ36のガイド機構41とは独立して設けられる。
テレスコピックカバー21のガイド機構40は、流下部24の底板24aの上面に固定されたガイドレール42と、可動カバー部材23A、23B、23Cにそれぞれ設けられたローラ43とを備える。例えば、可動カバー部材23A、23B、23Cの側板の下部における内側において、ローラ43が設けられる。図3(c)に示される可動カバー部材23Aにおいて、左側板の下部における内側に2箇所、右側板の下部における内側に2箇所、合計4箇所にローラ43が設けられる。他の可動カバー部材23B、23Cにおいても、同様に、それぞれローラ43が設けられる。可動カバー部材23A、23B、23Cにそれぞれガイドレール42とローラ43とを設けることによって、テレスコピックカバー21を滑らかに移動させることができる。ローラ43は、各可動カバー部材23A、23B、23Cの各側板の下部における内側において、1個以上設けられていればよい。
パンタグラフ36のガイド機構41は、流下部24の下面(裏面)に固定されたガイドレール44と、パンタグラフ36に接続された複数のリンクピン45と、それぞれのリンクピン45に固定されたガイド部46とを備える。各ガイド部46は、図3(C)における手前〜奥方向に沿って、ガイドレール44に沿って移動する。
図3(b)に示されるように、パンタグラフ36において、各リンクピン45a、45b、45cは、それぞれテレスコピックカバー21の可動カバー部材23A、23B、23Cに、それぞれの連結部35を介して接続される。したがって、連結部35を介してテレスコピックカバー21とパンタグラフ36とを一体化して移動させることができる。このことによって、伸縮動作での衝撃を抑え、テレスコピックカバー21を伸縮方向に滑らかに移動させることができる。したがって、テーブル4を滑らかに移動させることができる。
パンタグラフ36は、流下部24の排出路26が伸びる方向(図2(a)におけるY方向)に沿って設けられる。加えて、パンタグラフ36は、図3(c)に示される各可動カバー部材23A、23B、23Cにおいて、左側板の内側と右側板の内側とに、それぞれ設けられる。言い換えれば、2個のパンタグラフ36は、各可動カバー部材23A、23B、23Cにおいて、2つの側板の内側に設けられる。
本実施例によれば、各可動カバー部材の上面に複数個のパンタグラフが配置される構成に代えて、各可動カバー部材23A、23B、23Cにおける2つの(両側の)側板の内側に2個のパンタグラフ36がそれぞれ配置される構成が採用される。テレスコピックカバー21を設計する際に、2個のパンタグラフ36が最も縮んだ場合(図4(b)参照)を考慮する必要がある。本実施例における構成によって、テレスコピックカバー21の幅(図2(a)におけるX方向の寸法)を小さくすることができる。したがって、切断装置1の平面積(設置面積)が抑制される。
図4、図5を参照して、切断装置1において、封止済基板2を切断して個片化する工程を説明する。図4(a)に示されるように、まず、基板切断モジュールM2(図1参照)の基板載置部Hにおいて、テーブル4の上に封止済基板2を載置する。この状態においては、テーブル4は、切断装置1の最も上流側(図の最も左側)に移動した位置に配置される。したがって、テレスコピックカバー21とパンタグラフ36と蛇腹カバー20とは、最も伸長した状態にある。逆に、蛇腹カバー19は最も収縮した状態にある。
基板載置部Hにおいては、テーブル4の下方に設けられた(支持基台18に固定された)受け板28とテレスコピックカバー21の可動カバー部材23Cとによって、平面視して蛇腹カバー20が覆われる。図4(a)に示される状態においては、受け板28とテレスコピックカバー21の可動カバー部材23Cとによって、平面視して蛇腹カバー20の両端に近い領域が覆われる。蛇腹カバー20の両端から離れた領域(中央部付近の領域)は、蛇腹カバー20の表面が露出している状態にある。この状態においては、テーブル4の付近には、加工液と洗浄液とを含む廃液及び加工屑は存在しない。したがって、蛇腹カバー20の表面(上面)に廃液及び加工屑が到達して付着することに起因する不具合は発生しない。
次に、アライメント用のカメラ7を使用して封止済基板2のアライメントを行う。アライメント用のカメラ7をX方向に移動させ、かつ、テーブル4をY方向に移動させることによって、アライメントを行う。このことによって、封止済基板2において格子状に設定された複数の切断線の位置を設定する。
次に、図4(b)に示されるように、移動機構5を使用して、テーブル4を+Y方向(第2の方向)に移動させる。この工程によって、テーブル4を、基板洗浄部Iを通り過ぎて基板切断部Jにおける所定の位置まで移動させる。この状態において、テーブル4は、切断装置1の最も下流側(図の最も右側)まで移動した位置に配置される。したがって、テレスコピックカバー21とパンタグラフ36と蛇腹カバー20とは最も収縮した状態にある。逆に、蛇腹カバー19は最も伸長した状態にある。
基板切断部Jにおいては、テーブル4の下方に設けられた受け板28が、テレスコピックカバー21の可動カバー部材23Cの上に重なる。したがって、図4(b)に示される状態において、受け板28と可動カバー部材23Cとによって、平面視して蛇腹カバー20のすべての領域において蛇腹カバー20が覆われる。
次に、切断機構であるスピンル9とテーブル4とを相対的に移動させることによって、封止済基板2を切断する。始めに、スピンドル9に取り付けられた回転刃10を、例えば30,000〜40,000rpm程度でもって高速に回転させる。封止済基板2の外側において、封止済基板2の所定の深さ位置まで回転刃10の下端を下降させる。
その後に、移動機構5を使用して、テーブル4に載置された封止済基板2を+Y方向(第2の方向)に移動させる。高速で回転している回転刃10によって、封止済基板2の切断線に沿って、封止済基板2を切断する。封止済基板2を切断する際には、大量の加工液を封止済基板2に噴射する。例えば、切削液用ノズル11から切削液を封止済基板2に噴射する。同時に、冷却液用ノズルから冷却液を、洗浄液用ノズルから洗浄液を封止済基板2に噴射する。
次に、1本の切断線を切断し終わった後に、スピンドル9(回転刃10)をX方向に所定の距離だけ移動させる。これにより、回転刃10を別の切断線に位置合わせする。その後に、テーブル4を+Y方向(第2の方向)に移動させることにより、封止済基板2をその別の切断線に沿って切断する。Y方向に沿う1本の切断線を切断した後に、スピンドル9(回転刃10)を所定の距離だけX方向に移動させて、次の切断線を切断する。この動作を繰り返すことによって、封止済基板2において図4(b)におけるY方向に沿って設定されたすべての切断線に沿って封止済基板2を切断する。
次に、回転機構6を使用して封止済基板2を90度回転させる。その後に、回転刃10を使用して、残りの切断線(図4(b)においてX方向に沿って伸びる切断線)に沿って封止済基板2を切断する。ここまでの工程により、封止済基板2を個片化して、複数の製品(電子部品)を完成させる。封止済基板2において設定されたすべての切断線に沿って回転刃10が封止済基板2を切断する位置を、加工位置という。加工位置は、図4に示された基板切断部J付近の位置である。
封止済基板2を切断する工程において、封止済基板2の切断に使用した加工液を、加工屑とともに廃液として排出する。回転刃10が封止済基板2を切断する工程において、テーブル4の下方に設けられた受け板28とテレスコピックカバー21の可動カバー部材23Cとによって、蛇腹カバー20の表面が完全に覆われる。したがって、図4(b)の太い実線の矢印によって示されるように、廃液及び加工屑は、封止済基板2、テーブル4、受け板28、テレスコピックカバー21、流下部24、排出路26、排出口27、廃液分離部37、廃液収容部39を順次経由して、流下部24の外部に排出される。蛇腹カバー20は、受け板28と可動カバー部材23Cとによって完全に覆われているので、蛇腹カバー20の表面に廃液及び加工屑が到達して付着することが抑制される。したがって、廃液及び加工屑によって(特に加工屑によって)蛇腹カバー20が劣化したり破損したりすることが抑制される。
加工屑のうち、廃液分離部37に設置されたフィルタ38を通過することのできない大きな加工屑は、フィルタ38の上に残留物47として残る。廃液分離部37に残った残留物47は作業者によって廃棄される。
次に、図5に示されるように、移動機構5を使用して、テーブル4を−Y方向(第1の方向)に移動させる。この工程により、テーブル4を基板洗浄部Iにおける所定の位置に配置する。これにより、テーブル4は切断装置1のほぼ中央付近に配置される。したがって、テレスコピックカバー21とパンタグラフ36と蛇腹カバー19と蛇腹カバー20とは、最も伸長していた状態に比べて、ほぼ半分程度に伸長している状態にある。
テーブル4が基板洗浄部Iにおける所定の位置に配置する場合において、テーブル4の下方に設けられた受け板28における下流側の部分が、テレスコピックカバー21の可動カバー部材23Cにおける上流側の部分に重なる。したがって、図5に示される状態において、受け板28と可動カバー部材23Cとによって、平面視して蛇腹カバー20のすべての領域において蛇腹カバー20の表面が覆われる。
次に、洗浄機構8から封止済基板2に向けて洗浄液を噴射する。洗浄機構8から洗浄液を噴射させ、かつ、テーブル4をY方向に移動させることによって、封止済基板2の全領域にわたって封止済基板2の表面(図5においては上面)を洗浄する。封止済基板2を洗浄する工程において、蛇腹カバー20は、テーブル4の下方に設けられた受け板28とテレスコピックカバー21の可動カバー部材23Cとによって完全に覆われる。したがって、図5の矢印に示されるように、洗浄液及び洗い流された屑などは、封止済基板2、テーブル4、受け板28、テレスコピックカバー21、流下部24、排出路26、排出口27、廃液分離部37、廃液収容部39を順次経由して、流下部24の外部に排出される。蛇腹カバー20は、受け板28と可動カバー部材23Cとによって完全に覆われているので、洗浄液及び洗い流された屑などが蛇腹カバー20の表面に到達して付着することが抑制される。したがって、洗浄液に含まれる屑などによって蛇腹カバー20が劣化したり破損したりすることが抑制される。
本実施例によれば、支持基台18の下流側に、蛇腹カバー20とテレスコピックカバー21とを直列に接続する。蛇腹カバー20とテレスコピックカバー21とを直列に接続することによって、蛇腹カバー20及びテレスコピックカバー21のそれぞれの伸縮量をテーブル4の移動量に比較して短縮できる。したがって、蛇腹カバー20の劣化とテレスコピックカバー21の磨耗とを抑制することができる。このことによって、蛇腹カバー20及びテレスコピックカバー21の双方の寿命を長くすることができる。
本実施例によれば、支持基台18の下流側に、蛇腹カバー20とテレスコピックカバー21とを直列に接続する。したがって、テレスコピックカバー21の段数(枚数)又は可動カバー部材の長さを増やすことなく、テーブル4の移動量を大きくすることができる。これにより、テレスコピックカバー21が伸縮する過程におけるテーブル4の高さと各可動カバー部材23A、23B、23Cの長さとを抑制することができる。したがって、第1に、テーブルの高さが高くなることが抑制されるので、テーブルの位置精度が良好に維持される。第2に、各可動カバー部材23A、23B、23Cの長さが抑制されるので、切断装置1の平面積(設置面積)が増大することが抑制される。
本実施例によれば、テーブル4の下方に受け板28を設ける。受け板28は、平面視してテーブル4を完全に含み、3辺に垂直な壁を有する塵取り状の形状を有する。基板切断部Jにおいて、封止済基板2を切断する工程において、テーブル4に設けられた受け板28とテレスコピックカバー21の可動カバー部材23Cとによって、蛇腹カバー20の表面が完全に覆われる。したがって、廃液及び加工屑が蛇腹カバー20の表面に到達することが抑制される。このことにより、廃液及び加工屑によって(特に加工屑によって)蛇腹カバー20が劣化したり破損したりすることが抑制される。
本実施例によれば、基板洗浄部Iにおいて封止済基板2を洗浄する工程において、テーブル4に設けられた受け板28とテレスコピックカバー21の可動カバー部材23Cとによって、蛇腹カバー20の表面が完全に覆われる。したがって、蛇腹カバー20の表面に洗浄液が到達することが抑制される。このことにより、洗浄液に含まれる屑などによって蛇腹カバー20が劣化したり破損したりすることが抑制される。
本実施例によれば、テレスコピックカバー21とパンタグラフ36とを連結部35を介して連動させることによって、テーブル4を移動させる。テレスコピックカバー21とパンタグラフ36とを一体化して移動させることによって、伸縮動作での衝撃を抑え、テレスコピックカバー21を伸縮方向に滑らかに移動させることができる。したがって、テーブル4を滑らかに移動させることができる。
本発明に係る産業機器の一例である切断装置において使用されるテレスコピックカバーの変形例について、図6を参照して説明する。図3に示されたテレスコピックカバー21に対して本変形例に係るテレスコピックカバーが異なる点は、固定カバー部材の形状と可動カバー部材の形状と上方板の形状とがそれぞれ異なる点である。それ以外の構成及び動作は同じであるので、説明を省略する。
図6に示されるように、テレスコピックカバー48は、それぞれ薄い金属板からなる固定カバー部材49と3枚の可動カバー部材50A、50B、50C(以下適宜「各カバー部材49、50A、50B、50C」のように記載する。)とを備える。図6(c)に示されるように、各カバー部材49、50A、50B、50Cは、それぞれ天板の中央部が高く稜線状(尾根状)になるようにして、かつ、それぞれ天板の両端部が低くなるようにして、形成される。このことにより、それぞれの天板の中央部から両端部に向かって下がる傾斜が形成される。それぞれの天板が有する左側の斜面と右側の斜面とは、平面又は緩やかな曲面であって、中央部を挟んで線対称である。それぞれの天板が有する傾斜が、封止済基板2を切断した際に発生する廃液及び加工屑をテレスコピックカバー48から流下部24の排出路26に向かって流れやすくする。
図6(b)に示されるように、各カバー部材49、50A、50Bにおける上流側の端の部分(図6(b)における左端の部分)には、それぞれ排出溝51が設けられる。各カバー部材49、50A、50Bの左端には、上方に向かって立ち上がる上方板52が取り付けられる。各上方板52は、廃液(加工屑を含む場合がある)がテレスコピックカバー48の内部に侵入することを防止するためにそれぞれ設けられる。各排出溝51は、それぞれ、各カバー部材49、50A、50Bにおける段差と各上方板52とに囲まれることよって構成される。それぞれの天板が有する傾斜によって各排出溝51が傾斜する。
固定カバー部材49及び可動カバー部材50A、50Bにおける上面と各ワイパ32との間の隙間から各ワイパ32の上流側に廃液が侵入した状況を仮定する。この状況において、各排出溝51(図6(b)参照)と、各カバー部材49、50A、50Bの天板に設けられた傾斜(図6(c)参照)とが、テレスコピックカバー48の側方から流下部24に廃液を流れやすくする。
各上方板52には、廃液の侵入を更に防止するための折り返し部53が設けられる。折り返し部53が、テレスコピックカバー48の内部に廃液及び加工屑が侵入することを防止する。したがって、移動機構に廃液及び加工屑が到達して付着することが更に防止される。
本実施例によれば、各カバー部材49、50A、50B、50Cにおいて、天板において、傾斜及び排出溝51と、上方板52とが設けられる。上方板52に折り返し部53が設けられる。これらの構成要素が、移動機構に廃液及び加工屑が到達して付着することを効果的に防止する。
本実施例においては、各カバー部材49、50A、50Bの上流側の端部(左端)に、上方に向かって立ち上がる上方板52を取り付けた。これに加えて、各カバー部材49、50A、50Bの左端から下流側に向かって離れた位置に上方板52aを取り付けることができる。このことにより、廃液がテレスコピックカバー48の内部に侵入することをいっそう防止することができる。上方板52に代えて上方板52aを取り付けてもよい。上方板52aに折り返し部を設けてもよい。
本実施例においては、各カバー部材49、50A、50B、50Cにおいて、それぞれ天板の中央部が高くして、天板の中央部から両端部に向かって下がる傾斜を形成した。これに限らず、傾斜を設けない構成にしてもよい。
本実施例においては、廃液がテレスコピックカバー48の内部に侵入することを防止するために、排出溝51、上方板52、52a、折り返し部53をそれぞれ設けた。これに限らず、排出溝51、上方板52、52a、折り返し部53を適宜組み合わせて使用することができる。
各実施例においては、被切断物として、長手方向と短手方向とを持つ矩形の形状を有する封止済基板2を切断する場合を示した。これに限らず、正方形、円形などの形状を有する封止済基板を切断する場合にも本発明を適用できる。
各実施例においては、被切断物として、基板の上に封止樹脂を形成した封止済基板2を切断する場合を示した。これに限らず、被切断物における基板として、リードフレーム、ガラスエポキシ積層板、プリント配線板、セラミックス基板、金属ベース基板、フィルムベース基板などを使用し、その上に封止樹脂を形成した封止済基板についても本発明を適用できる。
機能素子としては、IC(Integrated Circuit )、トランジスタ、ダイオードなどの半導体素子の他に、センサ、フィルタ、アクチュエータ、発振子などが含まれる。1個の領域に複数個の機能素子が装着されてもよい。
更に、シリコン半導体、化合物半導体などの半導体ウェーハがウェーハ状態のまま一括樹脂封止されたウェーハレベルパッケージのような実質的に円形の形状を有する被切断物を切断する場合においても、ここまで説明した内容を適用できる。
基板における各領域に装着されるチップ状部品としては、能動素子である1個のチップ状部品だけでなく、複数のチップ状部品(受動部品を含む)でもよい。チップ状部品は例示であり、コネクタなどの機構部品、発振子、センサ、フィルタなどが複数個組み合わされて、各領域に装着されてもよい。
ここまで説明した実施例1、2においては、加工装置の形態として切断装置について説明した。切断装置以外にも、一般的な工作機械を含む加工装置及び一般的な産業機器に使用される移動機構に対して、本発明を適用することができる。加工装置において、工具が対象物を加工する経路である加工線は格子状に限定されない。点状でもよく、線分状でもよく、折れ線状でもよく、曲線状でもよい。加工線は、これまで説明した形状を組み合わせた形状であってもよい。
実施例1、2における図2(a)、図4(a)に示される状態においては、蛇腹カバー20の両端から離れた領域(中央部付近の領域)は蛇腹カバー20の表面が露出している状態にある。この状態において、受け板28における下流側の端部を長く伸ばしてもよい。これにより、図2(a)、図4(a)に示された状態において、平面視して受け板28が蛇腹カバー20の表面を完全に覆うことができる。この場合においては、蛇腹カバー20の表面が露出している状態は発生しない。したがって、受け板28よりも下流の範囲の全領域において、テーブル4の周辺に存在する塵埃、粒子を含む屑など(以下適宜「屑など」という。)が移動機構5に到達して付着することが防止される。これにより、対象物が加工されている状態にあるか否かに依存することなく、屑などが移動機構5に到達して付着することが防止される。
加工装置において使用される加工液には、純水、市水の他に、純水又は市水に洗剤、界面活性剤、潤滑剤などが混入された水系混合液が含まれる。加えて、加工液には、油に洗剤、界面活性剤、潤滑剤などが混入された油系混合液が含まれる。
本発明が適用される産業機器は、加工液を使用する加工装置に限定されない。加工液を使用しない加工装置に対しても、本発明が適用される。
本発明が適用される産業機器は、加工屑を発生させる加工装置に限定されない。本発明は、加工屑ではない屑などから移動機構を保護する必要がある産業機器に対しても適用される。加工装置を含む産業機器が動作する際に、移動工程、搬送工程、加工工程など(以下「移動工程など」という。)において発生する屑などが流体(液体又は気体をいう。以下同じ。)によって産業機器の外部に排出される場合において、本発明が適用される。
本発明が適用される産業機器は、流体によって屑などが保護カバーの外部に排出される産業機器に限定されない。加えて、産業機器の外部に排出される屑は、移動工程などにおいて発生する屑などに限定されない。産業機器において、テレスコピックカバー21、48と固定カバー部材22、49とを含む保護カバーの外側の雰囲気中に存在する屑などが産業機器の外部に排出される場合において、本発明が適用される。
保護カバーの外側における雰囲気中に存在する屑などが産業機器の外部に排出される場合には、図6(c)に示された各カバー部材49、50A、50B、50Cを採用することが好ましい。保護カバーの外側の雰囲気中に存在する屑などが、各カバー部材49、50A、50B、50Cの上面における傾斜に沿って自由落下し、流下部24の排出路26に収容される。排出路26に収容された屑などが産業機器の外部に排出される。このような構成を有する産業機器においても、本発明が適用される。
産業機器によっては、排出路26に収容された屑などが流体とともに排出路26から吸引されることによって、産業機器の外部に排出される。このような構成を有する産業機器においても、本発明が適用される。この場合には、排出路26における傾斜を設けなくてもよい。この場合には、排出口27が設けられる場所は、流下部24における下流側の端部に限定されない。例えば、各排出路26における加工位置の付近に計2箇所、又は、各排出路26における中央部の付近に計2箇所、設けてもよい。
本発明が適用される産業機器には、加工装置の他に、それぞれ移動機構を有する洗浄装置、移動装置(搬送装置を含む)、測定装置(検査装置を含む)などが含まれる。本発明が適用される産業機器には、医療用の測定装置、屑などを極力含まない雰囲気中(クリーンルームなどの雰囲気中)において使用される半導体製造装置などが含まれる。
本発明によれば、工作機械などの加工装置において発生する切断屑などが移動機構の周囲の空間に入り込むことが防止される。加えて、産業機器が動作する際に、屑などが移動機構の周囲の空間に入り込むことが防止される。
本発明は、上述した各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。