JP6593097B2 - 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

無方向性電磁鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁気特性に優れかつ高強度の無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、エアコンのコンプレッサーモータ、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車に搭載される駆動モータなど、高いエネルギー効率と小型・高出力化とを同時に要求される電気機器の鉄心の素材に好適な無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関する。
近年の地球環境問題の高まりから、電気機器においては小型、高出力、高エネルギー効率が要求され、鉄心材料である無方向性電磁鋼板には低鉄損と高磁束密度の高位両立が強く求められている。
特にハイブリッド自動車や電気自動車等の駆動モータでは、小型化に伴うトルク低下を補償するために、回転数を増加させる手段が取られている。そして、回転数を増加させると、鋼板に印加される磁場の周波数が増加し鉄損が増加するため、鉄心材料である無方向性電磁鋼板には、高い周波数における鉄損(高周波鉄損)を低減することが求められている。また、回転数を増加させるために、高速回転でも変形や疲労破壊しない強度が求められている。さらに、ハイブリッド自動車や電気自動車等の駆動モータの効率を高めるためには、駆動モータの十分な冷却が必要とされる。
高周波鉄損を低減する手段としては、板厚の薄手化、SiやAlなどの合金元素含有量の増加による高比抵抗化、SbやSnなどの添加による集合組織制御、および鋼板の高純度化などが採用されてきた。しかしながら、鉄損を低減するために、SbやSnを母鋼板に添加すると、打ち抜きや加工による歪を除去する目的で歪取焼純を行った後に母鋼板の被膜密着性が低下することがある。この結果、母鋼板表面から絶縁被膜が剥離して駆動モータの冷却に用いる冷媒に混入することによって、冷却性能を劣化させることがある。
これに対し、特許文献1では、縁被膜下のサブスケール量が酸素目付量で1.3g/m以下で、かつ絶縁被膜の目付量が、絶縁被膜の種類が無機または有機無機複合被膜の場合は0.1〜4.0g/m、有機被膜の場合は0.1〜12g/mであることが有効であるとしている。また、特許文献2では、母鋼板表面におけるSbおよびSn濃度を規定することによって、母鋼板表面に形成される絶縁被膜が剥離しにくい優れた被膜密着性を有し、かつ磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板を提供している。これにより、母鋼板表面から絶縁被膜がはく離して冷媒に混入し、冷却性能を劣化させることを回避している。さらに、特許文献3では、母鋼板表面におけるSb、Sn、およびAlの濃度を規定することによって、歪取焼純時の酸化による耐食性の劣化を抑制でき、歪取焼純後の耐食性および磁気特性の双方に優れた無方向性電磁鋼板を提供している。これにより、母鋼板での錆の発生を回避するとしているが、被膜の密着性については効果が十分でない。
しかしながら、特許文献1および2に記載の無方向性電磁鋼板では、ハイブリッド自動車や電気自動車等の駆動モータの長期運転時において、母鋼板表面から絶縁被膜がはく離することを回避するのに十分な程度には、母鋼板表面に形成される絶縁被膜の被膜密着性が優れたものではなかった。このため、ハイブリッド自動車や電気自動車等の駆動モータの長期運転時には、母鋼板表面から絶縁被膜がはく離して冷媒に混入し、冷却性能を劣化させるといった問題が依然として生じるおそれがある。
特開2001−279400号公報 特開平8−291375号公報 特開2003−293101号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高周波鉄損を低減するためにSbやSnを母鋼板に添加するのに際して、SbおよびSnが母鋼板表面に偏析して母鋼板表面に形成される絶縁被膜の被膜密着性を低下する作用を無害化することによって、ハイブリッド自動車や電気自動車等の駆動モータの長期運転時において、母鋼板表面から絶縁被膜がはく離することを回避するのに十分な程度に、母鋼板表面に形成される絶縁被膜の被膜密着性を優れたものとした無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、SbおよびSnと共に他の元素を母鋼板表面に偏析させた場合について、母鋼板表面に形成される絶縁被膜の被膜密着性の変化について鋭意研究を行った。その結果、SbおよびSnと共にCuおよびNiを母鋼板表面に偏析させれば、母鋼板表面に偏析したSbおよびSnによる絶縁被膜の被膜密着性の低下作用を打ち消して、母鋼板表面に形成される絶縁被膜の被膜密着性をより優れたものできることを見出した。
本発明はこれらの知見を元になされたものであり、その要旨は、質量%で、C:0.004%以下、Si:2.0%以上4.0%以下、Al:2.0%以下、Mn:0.05%以上4.0%以下、S:0.005%以下、N:0.004%以下、P:0.20%以下、Sn:0.005%以上0.2%以下、Sb:0.005%以上0.2%以下、Cu:0.02%以上2.0%以下、Ni:0.02%以上1.0%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる化学組成を有する母鋼板を有することを特徴とする無方向性電磁鋼板である。
また、他の要旨は、上述の無方向性電磁鋼板であって、上記Al含有量が質量%で0.010%以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板である。
また、他の要旨は、上述の無方向性電磁鋼板であって、上記母鋼板表面におけるCu、Ni、Sn、およびSbの濃度が、下記式(1)を満足することを特徴とする無方向性電磁鋼板である。
([Cu]+[Ni])/([Sn]+[Sb])>1.0 (1)
(ここで、式中の[X]は質量%で表した母鋼板表面における元素Xの濃度を示す。)
さらに、他の要旨は、上述の無方向性電磁鋼板の製造方法であって、上述の化学組成を有するスラブを、加熱炉雰囲気中の酸素濃度を2体積%以上とする加熱炉で1000℃以上1250℃以下の温度に加熱するスラブ加熱工程と、上記加熱後のスラブに熱間圧延を施し、最終圧延パス後に水冷して650℃以下の温度でコイル状に巻き取る熱間圧延工程と、上記熱間圧延工程により得られた熱延鋼板に熱延板焼鈍および酸洗を施す熱延板焼鈍・酸洗工程と、上記熱延板焼鈍・酸洗工程により得られた熱延焼鈍板に冷間圧延を施す冷間圧延工程と、上記冷間圧延工程により得られた冷延鋼板に仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程と、を有することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法である。
本発明によれば、ハイブリッド自動車や電気自動車等の駆動モータの長期運転時において、母鋼板表面から絶縁被膜がはく離することを回避するのに十分な程度に、母鋼板表面に形成される絶縁被膜の被膜密着性を優れたものとした無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供することができる。本発明により得られる無方向性電磁鋼板は、電気機器の小型、高出力、高エネルギー効率化に極めて効果的であり、その工業的価値は極めて高い。
以下、本発明の無方向性電磁鋼板およびその製造方法について詳細に説明する。
A.無方向性電磁鋼板
以下、本発明の無方向性電磁鋼板における各構成について説明する。
1.化学組成
まず、本発明の無方向性電磁鋼板における母鋼板の化学組成の限定理由について説明する。以下において、各成分の含有量は質量%での値である。
(1)C
Cは、不純物として含有され、含有量が0.004%を超えると微細な炭化物が析出して鉄損の増加が著しくなる。したがって、C含有量は0.004%以下とする。また、この観点から、C含有量は好ましくは0.003%以下、より好ましくは0.002%以下とする。
(2)Si
Siは、比抵抗を増加させる作用を有しているので、鉄損低減のために含有させる。また、鋼板の強度を向上させるのにも有効である。しかしながら、Siを過剰に含有させると飽和磁束密度を減少させ、鋼の脆化および仕上焼鈍温度の上昇を招き、さらにはコストを増加させる。これらの観点から、Si含有量は2.0%以上4.0%以下とする。また、これらの観点から、Si含有量は好ましくは2.5%以上、より好ましくは3.0%以上とし、Si含有量は好ましくは3.5%以下とする。
(3)Al
Alは、Siと同様に比抵抗を増加させる作用を有しているので、鉄損低減のために含有させる。しかしながら、Alを過剰に含有させると飽和磁束密度を減少させることになり、磁束密度の点から不利となる。これらの観点から、Al含有量は2.0%以下とする。また、母鋼板表面に形成されるAl酸化物被膜は、母鋼板表面に形成される絶縁被膜の被膜密着性を低下させる。このため、母鋼板表面に形成される絶縁被膜の被膜密着性を向上させるために、母鋼板表面においてAl酸化物被膜の形成を抑制してSi酸化物被膜が形成され易くなるように、Al含有量を低減することが好ましい。この観点から、Al含有量は0.010%以下とすることが好ましい。
(4)Mn
Mnは、Si、Alと同様に比抵抗を増加させる作用を有しているので、鉄損低減のために含有させる。しかしながら、Mnを過剰に含有させると飽和磁束密度を減少させることになり、磁束密度の点から不利となる。これらの観点から、Mn含有量は0.05%以上4.0%以下とする。また、これらの観点から、Mn含有量は好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.0%以下とする。
(5)S
Sは、含有量が0.005%を超えるとMnSなどの硫化物が多数析出して鉄損の増加が著しくなる。したがって、S含有量は0.005%以下とする。また、これらの観点から、S含有量は好ましくは0.003%以下、より好ましくは0.002%以下とする。
(6)N
Nは、含有量が0.004%を超えると窒化物の増加により鉄損の増加が著しくなる。したがって、N含有量は0.004%以下とする。
(7)P
Pは、Siと同様に鋼板の強度を向上させるのに有効な元素である。ただし、過剰に含有させると鋼の脆化を招く。この観点から、P含有量は0.20%以下とする。Pは、母鋼板表面に偏析する時に偏析サイトがSnおよびSbと競合するため、Pを母鋼板表面に偏析させることにより、SnおよびSbの母鋼板表面への偏析を抑制して、母鋼板表面に形成される絶縁被膜の被膜密着性の低下を抑制する効果が得られる。このため、母鋼板表面に形成される絶縁被膜の被膜密着性を向上させるために、Pが母鋼板表面に偏析するようにPを含有させることが好ましい。この観点から、P含有量は0.05%以上0.20%以下とすることが好ましい。さらに、この観点から、P含有量は0.10%以上0.20%以下とすることがより好ましい。
(8)Sn
Snは、電磁鋼板の集合組織を改善し鉄損を低減する効果があるので含有させる。また、水素を含む窒素雰囲気中で高温に加熱されるとき、鋼の表面からの窒素の侵入を防止し、AlNが形成されるのを抑止することによる鉄損低減効果もある。また、Snを含有させると、母鋼板表面に偏析して濃化することにより、母鋼板表面に形成される絶縁被膜の被膜密着性を低下させるものの、後述のCuおよびNiによる被膜密着性低下を打ち消す作用によって、被膜密着性の低下が抑制される効果が得られる。しかしながら、Snを過剰に含有させると、後述のCuおよびNiによる被膜密着性低下を打ち消す作用にもかかわらず、被膜密着性の低下を免れることはできない。また、Snを過剰に含有させると結晶粒成長を阻害することになる。これらの観点から、Sn含有量は0.005%以上0.2%以下とする。また、これらの観点から、Sn含有量は好ましくは0.03%以上とし、Sn含有量は好ましくは0.10%以下とする。
(9)Sb
Sbは、鉄損の改善の効果があるので含有させる。この効果は、水素を含む窒素雰囲気中で高温に加熱されるとき、鋼の表面からの窒素の侵入を防止し、AlNが形成されるのを抑止することによると考えられる。また、Sbを含有させると、母鋼板表面に偏析して濃化することにより、母鋼板表面に形成される絶縁被膜の被膜密着性を低下させるものの、後述のCuおよびNiによる被膜密着性低下を打ち消す作用によって、被膜密着性の低下が抑制される効果が得られる。しかしながら、Sbを過剰に含有させると、後述のCuおよびNiによる被膜密着性低下を打ち消す作用にもかかわらず、被膜密着性の低下を免れることはできない。また、Sbを過剰に含有させると結晶粒成長を阻害することになる。これらの観点から、Sb含有量は0.005%以上0.2%以下とする。また、これらの観点から、Sb含有量は好ましくは0.01%以上とし、Sb含有量は好ましくは0.10%以下とする。
(10)Cu
Cuは、SnおよびSbと共に母鋼板表面に偏析して濃化することにより、表面に偏析したSnおよびSbによる被膜密着性低下を打ち消す作用がある。また、Cuは、鋼板の強度を向上させる効果もある。このため、Cuを含有させる。しかしながら、Cuを過剰に含有させると熱間圧延後の母鋼板表面で疵が発生し、製品の歩留まり低下を招く。これらの観点から、Cu含有量は0.02%以上2.0%以下とする。また、これらの観点から、Cu含有量は好ましくは0.05%以上1.0%以下とする。
(11)Ni
Niは、SnおよびSbと共に母鋼板表面に偏析して濃化することにより、表面に偏析したSnおよびSbによる被膜密着性低下を打ち消す作用がある。また、鉄損の改善の効果がある。このため、Niを含有させる。しかしながら、Niを過剰に含有させても、これらの作用および効果は飽和してコスト的に不利になるばかりか、鋼の脆化を招く。これらの観点から、Ni含有量は0.02%以上1.0%以下とする。また、これらの観点から、Ni含有量は好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.1%以上とし、Ni含有量は好ましくは0.5%以下とする。
(12)Ca、Mg、およびREM
Ca、Mg、およびREMは、介在物の形態制御に有効な元素であり、結晶粒の成長を促進する作用を通じて鉄損低減に有効に作用する。したがって、Ca、Mg、およびREMが、Feの一部に代えて含有されていてもよい。しかしながら、いずれの元素もその含有量を0.01%超としても、上記作用による効果は飽和してコスト的に不利になる。したがって、Ca含有量は0.01%以下、Mg含有量は0.01%以下、REM含有量は0.01%以下とすることが好ましい。より好ましくは、Ca含有量は0.005%以下、Mg含有量は0.005%以下、REM含有量は0.005%以下である。上記作用による効果をより確実に得るには、いずれかの元素の含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
(13)残部
残部はFeおよび不可避的不純物である。
不可避的不純物のうち粒成長性に悪影響を及ぼすTi、V、Nb、Zr、Seは極力低減することが望ましく、それぞれ0.008%以下とすることが好ましい。
2.母鋼板表面におけるCu、Ni、Sn、およびSbの濃度の関係
次に、本発明の母鋼板表面におけるCu、Ni、Sn、およびSbの濃度の関係について説明する。
上述の通り、SnおよびSbは母鋼板表面に偏析しやすく、母鋼板表面に偏析して濃化することにより、母鋼板表面に形成される絶縁被膜の被膜密着性を低下させる。しかしながら、上述の通り、CuおよびNiは、SnおよびSbと共に母鋼板表面に偏析して濃化することにより、その被膜密着性低下を打ち消す作用がある。
その作用を発揮させるには、母鋼板表面におけるSnおよびSbの合計濃度に対するCuおよびNiの合計濃度の比率を高めることが好ましいが、具体的には、母鋼板表面におけるCu、Ni、Sn、およびSbの濃度が、下記式(1)を満足することが好ましく、下記式(1−2)を満足することがより好ましい。
([Cu]+[Ni])/([Sn]+[Sb])>1.0 (1)
(ここで、式中の[X]は質量%で表した母鋼板表面における元素Xの濃度を示す。)
([Cu]+[Ni])/([Sn]+[Sb])>1.5 (1−2)
(ここで、式中の[X]は質量%で表した母鋼板表面における元素Xの濃度を示す。)
ここで、本発明において、質量%で表した母鋼板表面における元素X(X=Cu、Ni、Sn、Sb)の濃度[X]とは、グロー放電発光分光分析(GDS)を行うことによって測定される元素Xの発光強度SxおよびBxを用いて求められる濃度を意味する。具体的には、発光強度SxおよびBxは、GDSによって母鋼板最表面から板厚深さ方向に元素Xの定量分析を行ったときの元素Xの発光強度から求められ、発光強度Sxは母鋼板最表面から1μm深さ位置までの分析における元素Xの最大発光強度を意味し、発光強度Bxは母鋼板最表面から10μmの深さ位置での元素Xの発光強度を意味する。そして、質量%で表した母鋼板表面における元素Xの濃度[X]は、SxおよびBxを用いて下記式(2)により求められる。ただし、発光強度SxをGDSによって求めるときに、GDS分析開始後鋼板最表面から0.1μmの深さ位置までに得られる発光強度情報は定量分析精度が低いので考慮しない。
[X]=Sx/Bx×(母鋼板中の元素Xの含有量) (2)
3.母鋼板の板厚
本発明は、本質的に高周波の低鉄損を達成することを前提としている。そのため母鋼板の板厚は0.30mm以下とする。一方、過度の薄手化は平坦度劣化による極端な占積率低下や鉄心の生産性低下を招く場合があるので、母鋼板の板厚は0.10mm以上とする。
4.絶縁被膜
本発明の無方向性電磁鋼板は、鉄心における鋼板積層間での絶縁を図るために母鋼板表面に形成される絶縁被膜をさらに有するものでもよい。
母鋼板表面に形成される絶縁被膜は、鉄心における鋼板積層間での絶縁を図るために膜厚を確保する必要があるが、厚過ぎると被膜密着性が低下し剥がれ易くなる。これらの観点から、絶縁被膜の膜厚は0.1μm以上0.5μm以下とする。絶縁被膜の膜厚が0.5μmを超えると被膜密着性が低下するのは、絶縁被膜の膜厚が0.5μmを超える場合には、電磁鋼板をモータ鉄心に打ち抜き加工後に歪取り焼鈍する際、絶縁被膜に含まれる酸素が母鋼板表面と反応して新たな酸化被膜を形成することが原因であると推定される。
5.製造方法
本発明の無方向性電磁鋼板は、後述する無方向性電磁鋼板の製造方法により製造することが好適である。
B.無方向性電磁鋼板の製造方法
以下、本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法における各工程について説明する。本発明を特定するために必要な工程の条件は、スラブ加熱工程および熱間圧延工程に関するものである。これら以外の工程の条件についての以下の説明は、一般的な条件を参考までに示したものであり、その条件を充足しなかったとしても、本発明の効果を得ることは可能である。
1.スラブ加熱工程
スラブ加熱工程においては、上述の化学組成を有するスラブを、加熱炉雰囲気中の酸素濃度を2体積%以上とする加熱炉で1000℃以上1250℃以下の温度に加熱する。
本発明において、ここで規定する温度はスラブの表面温度を意味し、スラブの表面温度とは、接触式の温度計あるいは放射温度計によって測定した温度を意味する。
加熱炉雰囲気は窒素、酸素、水蒸気、一酸化炭素、二酸化炭素を含むものであるが、加熱炉雰囲気中の酸素濃度を2体積%以上とするのは、スラブ表面の酸化スケール生成を促進すると同時にスラブ表面におけるCuおよびNiの濃度を高める効果が得られるために、最終製品の母鋼板表面におけるCuおよびNiの濃度の向上に繋がり、SnおよびSbによる被膜密着性低下を抑制することに有効に作用するからである。また、1000℃以上1250℃以下の温度に加熱するのは、1000℃未満ではスラブ表面のスケール生成が不十分であり鋼板の表面性状が劣化し、冷延工程で破断の原因になる。また1250℃を超えるとスラブ中の硫化物が固溶し熱延中に微細析出して鉄損を劣化させるからである。これらの観点から、好ましくは、加熱温度を1050℃以上1200℃以下とする。
2.熱間圧延工程
熱間圧延工程においては、上記加熱後のスラブに熱間圧延を施し、最終圧延パス後に水冷して650℃以下の温度でコイル状に巻き取る。
本発明において、ここで規定する温度は熱間圧延後の鋼板の表面温度を意味し、熱間圧延後の鋼板の表面温度とは、接触式の温度計あるいは放射温度計によって測定した温度を意味する。
最終圧延パス後に水冷して650℃以下の温度でコイル状に巻き取るのは、コイル状に巻き取る温度が650℃を超えると、母鋼板表面におけるスケール層が厚くなり酸洗でのスケール除去が困難になるからであり、スケール除去のために酸洗を強化すると母鋼板表面におけるCuおよびNiの濃度が低下し、SnおよびSbによる被膜密着性低下を生じ易くなるからである。また、これ以外の熱間圧延工程の条件は、特に限定されるものではない。
3.熱延板焼鈍・酸洗工程
熱延板焼鈍・酸洗工程においては、上記熱間圧延工程により得られた熱延鋼板に熱延板焼鈍および酸洗を施す。酸洗および熱延板焼鈍は順不同であり、酸洗後に熱延板焼鈍を施してもよく、熱延板焼鈍後に酸洗を施してもよい。
熱延板焼鈍の条件は、特に限定されるものではないが、熱延板焼鈍を施す際には、上記熱延鋼板を700℃以上1100℃以下の温度域に1分以上24時間以下保持することが好ましい。上記熱延板焼鈍温度が、上記範囲を下回ると熱延鋼板に蓄積された歪みが開放されず後工程の冷間圧延で破断する可能性が高まるからであり、上記熱延板焼鈍時間が、上記範囲を下回ると同様の理由により冷間圧延で破断する可能性が高まるからである。また、上記熱延板焼鈍温度が上記範囲を超えると設備への付加が大きくなり、上記熱延板焼鈍時間が上記範囲を超えると生産性の劣化を招くからである。また、焼鈍雰囲気は母鋼板表面におけるスケール成長を抑制する観点から水素を含むことが好ましく、水素濃度を10体積%以上とすることがより好ましい。さらに、焼鈍雰囲気はコスト面から主要ガスとして窒素を含むことが好ましい。熱延板焼鈍の方式は連続焼鈍式でもバッチ焼鈍式でも問題なく、熱延板焼鈍条件は、必要とされる磁気特性や生産効率に応じて焼鈍後の母鋼板における結晶組織を制御するために調整することが好ましい。例えば、磁束密度を向上させるためには、焼鈍後の母鋼板における結晶粒径が40μm以上となるように焼鈍温度および焼鈍時間を調節することが好ましい。
一方、酸洗の条件は、特に限定されるものではないが、例えば、酸洗液の主成分を塩酸、温度を80℃以上とする。
4.冷間圧延工程
冷間圧延工程においては、上記熱延板焼鈍・酸洗工程により得られた熱延焼鈍板に冷間圧延を施す。
冷延圧下率等の冷間圧延条件は、特に限定されるものではなく、通常の条件でよい。例えば、冷延圧下率は70%以上とする。
5.仕上げ焼鈍工程
仕上げ焼鈍工程においては、上記冷間圧延工程により得られた冷延鋼板に仕上げ焼鈍を施す。
仕上げ焼鈍条件は、特に限定されるものではなく、通常の条件でよい。例えば、目標とする鉄損に到達するように適切な結晶粒径制御の観点から温度、均熱条件を決定すればよい。焼鈍時の炉内張力は、鋼板に歪が入らないように5MPa未満とすることが好ましい。焼鈍雰囲気は、窒素−水素混合ガスを主成分とし酸化を極力抑制することが好ましい。
6.その他の工程
本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法は、上記仕上げ焼鈍工程後に、上記仕上げ焼鈍工程により得られた鋼板表面にコーティング液を塗布し、焼き付けることによって、絶縁被膜を形成する絶縁被膜形成工程を有していてもよい。絶縁被膜形成条件およびコーティング液は、通常通りでよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を例示して、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
まず、下記表1に示す試料No.A01〜C11の化学組成を有する鋼を真空溶解し、25kgインゴットに鋳造して1150℃に加熱後、40mm厚の鋼片に鍛造した。次に、鋼片を、加熱炉雰囲気中の酸素濃度を2体積%以上とする加熱炉で表面温度にして1150℃に加熱した。次に、熱間圧延によって2.0mmの板厚に仕上げた。熱間圧延は表面温度にして850℃の熱間圧延終了温度で終了した。次に、熱間圧延後の鋼板を水冷して表面温度にして650℃に1時間保持した後、空冷した。次に、空冷後の鋼板を、窒素雰囲気中において1000℃に30秒間保持して均熱する熱延板焼純を施してから、大気中で放冷した。次に、熱延板焼純後の鋼板を酸洗後に、冷間圧延によって0.20mmの板厚に仕上げた。次に、冷間圧延後の鋼板を脱脂後、窒素−水素混合雰囲気中において1000℃に10秒間保持して均熱する仕上げ焼純を施した。次に、仕上げ焼純後の鋼板表面に有機無機複合系のコーティング液を塗布し、焼き付けることによって、0.3μm厚の絶縁被膜を形成した。
このように得られた無方向性電磁鋼板について、母鋼板表面におけるSnおよびSbの合計濃度に対するCuおよびNiの合計濃度の比率(([Cu]+[Ni])/([Sn]+[Sb]))を、母鋼板表面における元素X(X=Cu、Ni、Sn、Sb)の濃度[X][質量%]をグロー放電発光分光分析(GDS)によって求め、それらの濃度から計算した。結果を下記表1に示す。
また、このように得られた無方向性電磁鋼板における母鋼板表面に形成された絶縁被膜に対して、1回目の剥離試験を行った。1回目の剥離試験では、直径10mmのステンレス棒に巻き付けように180度曲げ、さらに曲げ戻した鋼板表面(曲げ時に内側の面)にセロテープ(登録商標)を貼り剥離した後に、絶縁被膜の剥離の有無を目視で評価し、絶縁被膜が剥離した面積の割合を剥離率[%]として測定した。さらに、1回目の剥離試験の結果、絶縁被膜の剥離が無かった無方向性電磁鋼板に対しては、窒素雰囲気中において600℃に2時間保持する熱処理を行った後に2回目の剥離試験を行った。2回目の剥離試験でも、直径10mmのステンレス棒に巻き付けように180度曲げ、さらに曲げ戻した鋼板表面(曲げ時に内側の面)にセロテープを貼り剥離した後に、絶縁被膜の剥離の有無および剥離率[%]を目視で評価した。これにより、母鋼板表面に形成された絶縁被膜の被膜密着性を評価した。結果を下記表1に示す。母鋼板表面に形成された絶縁被膜の被膜密着性の評価基準は、以下の通りである。
1:1回目の剥離試験では剥離無しで2回目の剥離試験でも剥離無し
0:1回目の剥離試験では剥離無しで2回目の剥離試験では剥離有り
−1:1回目の剥離試験での剥離率10%以下
−2:1回目の剥離試験での剥離率10%〜20%
−3:1回目の剥離試験での剥離率20%〜30%
−4:1回目の剥離試験での剥離率30%〜40%
−5:1回目の剥離試験での剥離率40%以上
また、このように得られた無方向性電磁鋼板からJIS5号引張試験片を採取し、引張試験を行って降伏応力(YS)[MPa]を評価した。さらに、このように得られた無方向性電磁鋼板から55mm角の単板試験片を打ち抜き、単板磁気測定器を用いて、鉄損W10/400[W/kg](400Hzにて最大磁束密度1.0Tに交番励磁した場合の圧延方向の鉄損と圧延直角方向の鉄損の平均値)を測定した。結果を下記表1に示す。
上記表1に示されるように、試料No.A01〜A06では、CuおよびNiが実質的に含有されていないために、SnおよびSb含有量が本発明で特定された範囲内となることにより被膜密着性が低下した。これに対して、試料No.A07〜A11では、CuおよびNi含有量が本発明で特定された範囲内となることにより、([Cu]+[Ni])/([Sn]+[Sb])が1.0より大きくなり、被膜密着性の低下が抑制された。また、試料No.A12〜A16では、SnおよびSbの合計含有量が一定量である場合に、CuおよびNiの合計含有量が大きくなっていくと、([Cu]+[Ni])/([Sn]+[Sb])が1.0となるあたりで被膜密着性が「−2」から「0」に向上したものの、CuおよびNiの合計含有量に比例して被膜密着性が向上することはなかった。
また、試料No.B01〜B06では、Alレスであるが、試料No.A01〜A06と同様に、CuおよびNiが実質的に含有されていないために、SnおよびSb含有量が本発明で特定された範囲内となることにより被膜密着性が低下した。これに対して、試料No.B07〜B10では、試料No.A07〜A11と同様に、CuおよびNi含有量が本発明で特定された範囲内となることにより、([Cu]+[Ni])/([Sn]+[Sb])が1.0より大きくなり、被膜密着性の低下が抑制された。また、試料No.B07〜B10では、Alレスであることにより、Alレスではない試料No.A07〜A11と比較して、被膜密着性の低下が抑制される効果がより顕著になった。さらに、試料No.B15とB16の比較では、鋼板のAl含有量のみが異なる事例であり、AlレスであるB15の方が被膜密着性が優位である事が分かった。また、試料No.B11〜B15では、Alレスであるが、試料No.A12〜A16と同様に、SnおよびSbの合計含有量が一定量である場合に、CuおよびNiの合計含有量が大きくなっていくと、([Cu]+[Ni])/([Sn]+[Sb])が1.0となるあたりで被膜密着性が「−1」から「1」に向上したものの、CuおよびNiの合計含有量に比例して被膜密着性が向上することはなかった。
さらに、試料No.C01〜C11では、試料No.A01〜A16と比較して、P含有量が大きくなっているが、SnおよびSb含有量が本発明で特定された範囲内となることにより被膜密着性が低下する点は変らなかった。また、試料No.C01〜C11では、P含有量が大きくなることにより、試料No.A01〜A16と比較して、CuおよびNi含有量が本発明で特定された範囲内となることにより被膜密着性の低下が抑制される効果がより顕著になった。
(実施例2)
まず、下記表2に示す化学組成を有する試料No.E01〜F05の鋼を真空溶解し、25kgインゴットに鋳造して1150℃に加熱後、40mm厚の鋼片に鍛造した。
次に、下記表2に示す種々のスラブ加熱条件(加熱炉における表面温度での加熱温度および加熱炉雰囲気中の酸素濃度)にて、鋼片を加熱した。次に、熱間圧延によって2.0mmの板厚に仕上げた。熱間圧延は表面温度にして850℃の熱間圧延終了温度で終了した。次に、熱間圧延後の鋼板を水冷して表面温度にして650℃に1時間保持した後、空冷した。
次に、空冷後の鋼板を、窒素雰囲気中において1000℃に30秒間保持して均熱する熱延板焼純を施してから、大気中で放冷した。次に、熱延板焼純後の鋼板を酸洗後に、冷間圧延によって0.20mmの板厚に仕上げた。次に、冷間圧延後の鋼板を脱脂後、窒素−水素混合雰囲気中において1000℃に10秒間保持して均熱する仕上げ焼純を施した。次に、仕上げ焼純後の鋼板表面に有機無機複合系のコーティング液を塗布し、焼き付けることによって、0.3μm厚の絶縁被膜を形成した。
このように得られた無方向性電磁鋼板について、母鋼板表面におけるSnおよびSbの合計濃度に対するCuおよびNiの合計濃度の比率(([Cu]+[Ni])/([Sn]+[Sb]))を、母鋼板表面における元素X(X=Cu、Ni、Sn、Sb)の濃度[X][質量%]をグロー放電発光分光分析(GDS)によって求め、それらの濃度から計算した。結果を下記表2に示す。
また、このように得られた無方向性電磁鋼板における母鋼板表面に形成された絶縁被膜に対して、1回目の剥離試験を行った。1回目の剥離試験では、直径10mmのステンレス棒に巻き付けように180度曲げ、さらに曲げ戻した鋼板表面(曲げ時に内側の面)にセロテープを貼り剥離した後に、絶縁被膜の剥離の有無を目視で評価し、絶縁被膜が剥離した面積の割合を剥離率[%]として測定した。さらに、1回目の剥離試験の結果、絶縁被膜の剥離が無かった無方向性電磁鋼板に対しては、窒素雰囲気中において600℃に2時間保持する熱処理を行った後に2回目の剥離試験を行った。2回目の剥離試験でも、直径10mmのステンレス棒に巻き付けように180度曲げ、さらに曲げ戻した鋼板表面(曲げ時に内側の面)にセロテープを貼り剥離した後に、絶縁被膜の剥離の有無および剥離率[%]を目視で評価した。これにより、母鋼板表面に形成された絶縁被膜の被膜密着性を評価した。結果を下記表2に示す。母鋼板表面に形成された絶縁被膜の被膜密着性の評価基準は、上述の通りである。
また、このように得られた無方向性電磁鋼板からJIS5号引張試験片を採取し、引張試験を行って降伏応力(YS)[MPa]を評価した。さらに、このように得られた無方向性電磁鋼板から55mm角の単板試験片を打ち抜き、単板磁気測定器を用いて、鉄損W10/400[W/kg](400Hzにて最大磁束密度1.0Tに交番励磁した場合の圧延方向の鉄損と圧延直角方向の鉄損の平均値)を測定した。結果を下記表2に示す。
上記表2に示されるように、試料No.E01、E02、およびF01では、スラブ加熱条件における酸素濃度が2体積%未満であることによって、([Cu]+[Ni])/([Sn]+[Sb])が低下して、被膜密着性が低下した。これは、酸素濃度が低いために、スラブ表面におけるCuおよびNiの濃度を高める効果が得られなかったからであると考えられる。
上記表2に示されるように、試料No.E05およびF05では、スラブ加熱条件における加熱温度が1250℃を超えることによって、鉄損W10/400が高くなった。これは、加熱温度が高いために、スラブ中の硫化物が固溶し熱延中に微細析出して鉄損を劣化させたからであると考えられる。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.004%以下、Si:2.0%以上4.0%以下、Al:2.0%以下、Mn:0.05%以上4.0%以下、S:0.005%以下、N:0.004%以下、P:0.20%以下、Sn:0.005%以上0.2%以下、Sb:0.005%以上0.2%以下、Cu:0.02%以上2.0%以下、Ni:0.02%以上1.0%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる化学組成を有する母鋼板を有し、前記母鋼板表面におけるCu、Ni、Sn、およびSbの濃度が、下記式(1)を満足することを特徴とする無方向性電磁鋼板。
    ([Cu]+[Ni])/([Sn]+[Sb])>1.0 (1)
    (ここで、式中の[X]は質量%で表した母鋼板表面における元素Xの濃度を示す。)
    ことを特徴とする無方向性電磁鋼板。
  2. 前記Al含有量が質量%で0.010%以下であることを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
  3. 請求項1または請求項2に記載の無方向性電磁鋼板を製造する無方向性電磁鋼板の製造方法であって、
    前記化学組成を有するスラブを、加熱炉雰囲気中の酸素濃度を2体積%以上とする加熱炉で1000℃以上1250℃以下の温度に加熱するスラブ加熱工程と、
    前記加熱後のスラブに熱間圧延を施し、最終圧延パス後に水冷して650℃以下の温度でコイル状に巻き取る熱間圧延工程と、
    前記熱間圧延工程により得られた熱延鋼板に熱延板焼鈍および酸洗を施す熱延板焼鈍・酸洗工程と、
    前記熱延板焼鈍・酸洗工程により得られた熱延焼鈍板に冷間圧延を施す冷間圧延工程と、
    前記冷間圧延工程により得られた冷延鋼板に仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程と、
    を有することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
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