JP6593089B2 - 水性ジェル状皮膚化粧料 - Google Patents
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そのなかでも油分が少ない、あるいは無配合とした水性ジェル状化粧料は、みずみずしい使用感が好まれ広く普及している。しかし、油分が少ない、あるいは無配合であるため、塗布直後のエモリエント感が不十分な場合があった。
例えば、特許文献1には、ポリアクリル酸系高分子化合物の1種又は2種以上と、海藻の抽出物の1種又は2種以上を併用して得られる皮膚外用剤が提案されている。
特許文献2には、特定のアルキレンオキシド誘導体と非イオン性界面活性剤を含む化粧料が提案され、カルボキシビニルポリマーを含有するモイスチャージェルが記載されている。
特許文献3には、水溶性多糖類とアクリル系高分子化合物を組み合わせた水性ジェル状皮膚化粧料が提案されている。
しかしながら、本発明者らは、塗布後30分〜数時間程度の間において、保湿成分や油性成分が肌に吸収されたり、揮発したりすることで、保湿感やエモリエント感が低下し、ひっかかり感が生じるという新たな課題を生じることを見出した。
(a):グリセリン又はジグリセリン;2〜20質量%
(b):式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体;1〜15質量%
G−{O{(EO)a(PO)b}−(BO)c−H}4 ・・・(1)
〔式(1)中、Gは炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルグルコシドから水酸基を除いた残基である。EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、a及びbはそれぞれEO及びPOの付加モル数であり、aは5〜20、bは1〜10を満足し、EOとPOとの合計質量に対するEOの質量比が55〜90質量%であり、EOとPOはランダム状に付加している。BOはオキシブチレン基であり、cはBOの平均付加モル数であり、cは1〜2である。〕
(c):平均分子量300〜5000のポリエチレングリコール;0.5〜5質量%
(d):カルボキシビニルポリマー又はアルキル変性カルボキシビニルポリマー;0.3〜1.5質量%
(e):式(2)で示されるアルキレンオキシド誘導体;1〜10質量%
Gly−{O{(PO)x(EO)y}−(BO)z−H}3 ・・・(2)
〔式(2)中、Glyはグリセリンから水酸基を除いた残基である。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、BOはオキシブチレン基であり、x,y及びzはそれぞれPO、EO及びBOの平均付加モル数であって、x+yは1〜10、zは1〜2であり、POとEOとの質量比(PO/EO)は1/5〜5/1である。〕
本発明で用いられる(a)成分はグリセリン又はジグリセリンである。
(a)成分の含有量は、水性ジェル状皮膚化粧料中、2〜20質量%であり、好ましくは5〜18質量%であり、特に好ましくは10〜15質量%である。(a)の含有量が少なすぎると、塗布時のコク、塗布後の保湿感、エモリエント感が低下することがあり、多すぎると、ベタつき感が生じることがある。
なお、グリセリンとジグリセリンを併用してもよい。
本発明で用いられる(b)成分は、式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体である。
G−{O{(EO)a(PO)b}−(BO)c−H}4 ・・・(1)
EO(エチレンオキシド)とPO(プロピレンオキシド)との合計量に対するEO(エチレンオキシド)の質量比は55〜90質量%であり、好ましくは60〜85質量%であり、特に好ましくは60〜80質量%である。EO(エチレンオキシド)とPO(プロピレンオキシド)とはランダム状に付加している。
BOはオキシブチレン基であり、cはBO(ブチレンオキシド)の平均付加モル数であり、cは1〜2である。オキシブチレン基を与える化合物としては、入手のし易さ、反応制御のし易さ等の面から、1,2−ブチレンオキシドが好ましい。
(b)成分の市販品として、例えば、ウィルブライドMG−2070(日油株式会社製)が挙げられる。
本発明で用いられる(c)成分は、平均分子量300〜5000のポリエチレングリコールである。ポリエチレングリコールの平均分子量は、350〜4000が好ましく、400〜3500が特に好ましい。ポリエチレングリコールの分子量が上記範囲外であると、べたつき感や、塗布後30分経過後のひっかかり感が生じることがある。
なお、本発明において平均分子量とは、GPC法によるポリエチレングリコール換算の質量平均分子量である。
本発明で用いられる(d)成分は、カルボキシビニルポリマー又はアルキル変性カルボキシビニルポリマーである。ここでカルボキシビニルポリマーとは、ペンタエリスチルアリルエーテル、スクロースアリルエーテル又はプロピレンアリルエーテルで架橋したアクリル酸の重合体である。アルキル変性カルボキシビニルポリマーとは、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの単純エステルから選ばれるモノマーの1種又は2種以上と、アクリル酸アルキル(炭素数10〜30)との共重合体を、ショ糖のアリルエーテル又はペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したものである。(d)成分としてはアルキル変性カルボキシビニルポリマーを用いることが好ましい。
Materials社製)等が挙げられる。
本発明のジェル状皮膚化粧量は、(e)成分をさらに含有することにより、本発明の効果がより顕著となり得る。
本発明で用いられる(e)成分は、式(2)で示されるアルキレンオキシド誘導体である。
Gly−{O{(PO)x(EO)y}−(BO)z−H}3 ・・・(2)
なお、上記のx、y及びzの各値ならびにPO(プロピレンオキシド)とEO(エチレンオキシド)との質量比は、アルキレンオキシドを付加して得られた生成物を1H−NMR(核磁気共鳴法)により測定し、それぞれの平均付加モル数を求め、質量比に換算することにより求めることができる。
(e)成分の市販品として、例えば、ウィルブライドS−753(日油株式会社製)が挙げられる。
水の含有量は、水性ジェル状皮膚化粧料中、好ましくは20〜96.4質量%であり、特に好ましくは48.5〜90質量%であり、更に好ましくは50〜80質量%である。
なお、実施例および比較例中の配合量は質量%である。
表1に示す(a−1)成分〜(e−1)成分の使用原料と、表2に示す共通添加成分を精製水に溶解させて合計100質量%とし、水性ジェル状皮膚化粧料としての化粧水を調製した。
※2:AQUPEC HV−501ER(住友精化(株)製)
※3:AQUPEC HV−505E(住友精化(株)製)
※4:グリンステッドキサンタンクリアー80(ダニスコジャパン(株)製)
※5:ウィルブライド S−753(日油(株)製)
20名の女性(20〜40代)をパネラーとして、水性ジェル状皮膚化粧料を顔へ塗布し、顔全体へなじませた際のコクについて、下記の基準で評価した。
2点:垂れ落ちずに塗布でき、コクが非常に良好だと感じた場合。
1点:垂れ落ちずに塗布でき、コクがやや良好だと感じた場合。
0点:垂れ落ちて塗布し難く、コクがないと感じた場合。
◎:合計点が35点以上
○:合計点が25〜34点
△:合計点が11〜24点
×:合計点が10点以下
20名の女性(20〜40代)をパネラーとして、水性ジェル状皮膚化粧料を顔へ塗布し、顔全体へなじませた直後の保湿感について、下記の基準で評価した。
2点:保湿感が非常に高いと感じた場合。
1点:保湿感がやや高いと感じた場合。
0点:保湿感が足りないと感じた場合。
◎:合計点が35点以上
○:合計点が25〜34点
△:合計点が11〜24点
×:合計点が10点以下
20名の女性(20〜40代)をパネラーとして、水性ジェル状皮膚化粧料を顔へ塗布し、顔全体へなじませた直後のエモリエント感について、下記の基準で評価した。
2点:肌が柔らかいと感じた場合。
1点:肌がやや柔らかいと感じた場合。
0点:肌の柔らかさが物足りないと感じた場合。
◎:合計点が35点以上
○:合計点が25〜34点
△:合計点が11〜24点
×:合計点が10点以下
20名の女性(20〜40代)をパネラーとして、水性ジェル状皮膚化粧料を顔へ塗布し、顔全体へなじませた直後のべたつきのなさについて、下記の基準で評価した。
2点:全くべたつきがないと感じた場合。
1点:殆どべたつきがないと感じた場合。
0点:べたつきがあると感じた場合。
◎:合計点が35点以上
○:合計点が25〜34点
△:合計点が11〜24点
×:合計点が10点以下
20名の女性(20〜40代)をパネラーとして、水性ジェル状皮膚化粧料を顔へ塗布し、顔全体へなじませた後、30分経過後の肌の状態について、下記の基準で評価した。
◎:合計点が35点以上
○:合計点が25〜34点
△:合計点が11〜24点
×:合計点が10点以下
比較例1では、(b)成分が配合されていないことから、塗布直後の保湿感、エモリエント感が不十分であり、べたつきが感じられ、塗布30分後のひっかかり感も感じられた。
比較例2では、(c)成分に代えて(c’)成分が配合されていることから、塗布直後にべたつきが感じられ、塗布30分後のひっかかり感も感じられた。
比較例3では、(d)成分に代えて(d’)が配合されていることから、塗布時に垂れ落ちて塗布し難く、コクがないと感じられ、またベタツキが若干感じられた。
比較例4では、質量比{(b)+(c)}/(d)が低いことから、塗布30分後のひっかかり感が感じられた。
Claims (2)
- 下記(a)成分〜(d)成分を含有し、(b)成分と(c)成分の含有量の合計量と(d)成分の含有量との比{(b)+(c)}/(d)が4〜30であることを特徴とする水性ジェル状皮膚化粧料。
(a):グリセリン又はジグリセリン;2〜20質量%
(b):式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体;1〜15質量%
G−{O{(EO)a(PO)b}−(BO)c−H}4 ・・・(1)
〔式(1)中、Gは炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルグルコシドから水酸基を除いた残基である。EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、a及びbはそれぞれEO及びPOの付加モル数であり、aは5〜20、bは1〜10を満足し、EOとPOとの合計質量に対するEOの質量比が55〜90質量%であり、EOとPOはランダム状に付加している。BOはオキシブチレン基であり、cはBOの平均付加モル数であり、cは1〜2である。〕
(c):平均分子量300〜5000のポリエチレングリコール;0.5〜5質量%
(d):カルボキシビニルポリマー又はアルキル変性カルボキシビニルポリマー;0.3〜1.5質量% - 下記(e)成分をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の水性ジェル状皮膚化粧料。
(e):式(2)で示されるアルキレンオキシド誘導体;1〜10質量%
Gly−{O{(PO)x(EO)y}−(BO)z−H}3 ・・・(2)
〔式(2)中、Glyはグリセリンから水酸基を除いた残基である。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、BOはオキシブチレン基であり、x,y及びzはそれぞれPO、EO及びBOの平均付加モル数であって、x+yは1〜10、zは1〜2であり、POとEOとの質量比(PO/EO)は1/5〜5/1である。〕
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