JP6591705B1 - 化粧板及び化粧板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
図1及び図2は、本発明の実施形態1に係る化粧板50を示している。化粧板50は、エンボス加工によって表面1に凹凸模様が形成された基材10と、該基材10の表面1上に上記凹凸模様に沿う凹凸形状に形成された塗膜30とを備え、例えば、住宅等の建物の内装材、造作材、開口部材、家具等の化粧材として用いられる。
基材10は、本実施形態では、表面1側(図2の上側)に位置する表層(第1層)11と、裏面2側(図2の下側)に位置する裏層(第3層)12と、表層11と裏層12との間に位置する芯層(第2層)13とを有し、三層構造に構成されている。表層11と裏層12とは、互いに同じものであり、鉱物質繊維と無機質紛状体と結合剤とを主成分とする層である。一方、芯層13は、軽量骨材と結合剤と繊維を主成分とする層である。表層11と裏層12と芯層13とは、結合剤の硬化によって複合一体化されている。
[鉱物質繊維]
表層11と裏層12の鉱物質繊維として、ロックウール、スラグウール、ミネラルウール、グラスウール等を用いることができる。これらは、単独で用いることも可能であり、複数を組み合わせて用いてもよい。鉱物質繊維は、粘りと強度とを持たせつつ、高い表面性を得るために添加されるものであり、固形成分全体の40重量%以上80重量%以下だけ添加される。鉱物質繊維は、添加量が40重量%未満になると、鉱物質繊維どうしの絡み合いが少なくなって曲げ強度が弱くなり、また、80重量%を超えると、無機質紛状体の添加割合が少なくなるため、表面の緻密性が低くなり、化粧性が損なわれるためである。
表層11と裏層12の無機質紛状体として、炭酸カルシウム、マイクロシリカ、水酸化アルミニウム、スラグ紛等を用いることができる。これらは、単独で用いることも可能であり、複数を組み合わせて用いてもよい。無機質紛状体は、防火性及び硬度を確保するために添加されるものであり、固形成分全体の20重量%以上60重量%以下だけ添加される。無機質紛状体は、添加量が20重量%未満になると、形成される化粧板50の表面の緻密性が低くなって化粧性が損なわれ、また、60重量%を超えると、鉱物質繊維の添加割合が少なくなるため、曲げ強度が弱くなるためである。
表層11と裏層12の結合剤は、熱硬化性樹脂結合剤であり、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素メラミン樹脂等の粉末状、或いは水性結合剤を用いることができる。また、結合剤として、ポリビニルアルコール、スターチ類、ポリアクリルアミド、SBRラテックス、アクリル樹脂エマルジョン等の水溶性又は水分散性の高分子結合剤を、熱硬化性樹脂と併用することも可能である。結合剤は、鉱物質繊維及び無機質紛状体を含む成分を結合するために添加されるものであり、固形成分全体の5重量%以上20重量%以下、好ましくは、7重量%以上15重量%以下だけ添加される。結合剤は、添加量が5重量%未満になると、強度が不足する一方、20重量%を超えると、不燃性が損なわれるためである。
[軽量骨材]
芯層13の軽量骨材として、パーライト、シラス発泡体、シリカフラワー、ガラス発泡体等を用いることができる。軽量骨材は、圧縮強度を確保しつつ、軽量化するために添加されるものであり、固形成分全体の40重量%以上90重量%以下だけ添加される。軽量骨材は、添加量が40重量%未満になると、軽量化が不十分になり、また、散布時に均一に撒くことが難しくなる一方、90重量%を超えると、強度が弱くなり、また、圧縮時の圧力が高くなりすぎて生産性が低下するためである。
芯層13の結合剤は、熱硬化性樹脂結合剤であり、表層11及び裏層12に用いることができるもの、即ち、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素メラミン樹脂等の粉末状、或いは水性結合剤を用いることができる。また、表層11及び裏層12の結合剤と同様に、ポリビニルアルコール、スターチ類、ポリアクリルアミド、SBRラテックス、アクリル樹脂エマルジョン等の水溶性又は水分散性の高分子結合剤を、熱硬化性樹脂と併用することも可能である。結合剤は、軽量骨材を含む成分を結合するために添加されるものであり、固形成分全体の5重量%以上20重量%以下、好ましくは、7重量%以上15重量%以下だけ添加される。結合剤は、添加量が5重量%未満になると、強度が不足する一方、20重量%を超えると、不燃性が損なわれる。
芯層13の繊維として、無機繊維又は有機繊維を用いることができる。具体的には、無機繊維として、ガラス繊維、ワラストナイト等を用いることができる。また、有機繊維として、ポリエステル、ポリプロピレン、ビニロン等の合成繊維、木質繊維、パルプ等を用いることができる。これらは、単独で用いることも可能であり、複数を組み合わせて用いてもよい。繊維は、粘りと強度とを持たせるために添加されるものであり、固形成分全体の1重量%以上10重量%以下だけ添加される。繊維は、添加量が1重量%未満になると、粘りが無くなり、補強効果が低くなり、10重量%を超えると、抄造時に凹凸が生じ、抄造時に凹凸が生じ、良好な湿潤マットを得ることができなくなるためである。
基材10の表面1には、凹凸模様が形成されている。基材10の表面1は、この凹凸模様によって複数のブロック60に区画されている。
具体的には、本実施形態1では、図1〜3に示すように、基材10の表面1には、凹凸模様の一部となる複数の溝3が形成されている。複数の溝3は、基材10の表面1において縦横に延びている。具体的には、複数の溝3は、基材10の表面1において横方向に延びる複数の横溝3と、隣り合う横溝3間に該横溝3に垂直に延びる複数の縦溝3とで構成され、これらの溝3が上述のタイル模様の目地部分となるように形成されている。この複数の溝3によって基材10が複数のブロック60に区画されている。
塗膜30は、下塗り塗膜層31と、上塗り塗膜層32とを有している。下塗り塗膜層31は、基材10の表面1に形成された凹凸模様に沿う凹凸形状に形成されている。一方、上塗り塗膜層32は、上記凹凸模様に沿う凹凸形状の下塗り塗膜層31に沿う凹凸形状に形成されている。つまり、塗膜30は、基材10の表面1に形成された凹凸模様に沿う凹凸形状に形成されている。
以下、本発明の実施形態1に係る化粧板50の製造方法(無機質化粧板の製造方法)について図4、図5A及び図5Bに基づいて説明する。
まず、湿潤基材形成工程S1を行う。本実施形態では、湿潤基材形成工程S1は、裏層マット形成工程と、芯層マット形成工程と、表層マット形成工程とで構成されている。
裏層マット形成工程では、裏層12を形成するための材料、即ち、鉱物質繊維と無機質粉状体と結合剤とを水中に添加して攪拌し、鉱物質繊維と無機質粉状体と結合剤とを主成分とするスラリーを生成する。そして、生成したスラリーを長網式湿式抄造装置又は丸網式湿式抄造機で湿式抄造して裏層マット10c(第3層マット)を形成する。本実施形態では、裏層マット10cは、4mmの一様な厚さになるように形成する。
芯層マット形成工程では、芯層13を形成するための材料、即ち、軽量骨材と結合剤と繊維とを、水を噴霧しながら混合して芯層用組成物を生成する。そして、生成した芯層用組成物を、先に生成した裏層マット10cの上に均一に散布して芯層マット10b(第2層マット)を形成する。本実施形態では、芯層マット10bは、5mmの一様な厚さになるように形成する。
表層マット形成工程では、裏層マット形成工程と同様に、表層11を形成するための材料、即ち、鉱物質繊維と無機質粉状体と結合剤とを水中に添加して攪拌し、鉱物質繊維と無機質粉状体と結合剤とを主成分とするスラリーを生成する。そして、生成したスラリーを長網式湿式抄造装置又は丸網式湿式抄造機で湿式抄造して表層マット10a(第1層マット)を形成し、この表層マット10aを、芯層マット10bの上に積層する。本実施形態では、表層マット10aは、5mmの一様な厚さになるように形成する。
次に、第1乾燥工程S2を行う。第1乾燥工程S2では、湿潤基材形成工程S1によって形成された湿潤基材10Aを熱風循環式ドライヤーに搬入し、含水率が10重量%未満、好ましくは、4重量%未満となるように乾燥し、乾燥基材(ドライボード)10Bを形成する(図5A(b)を参照)。このとき、湿潤基材10A中に含まれる結合剤(熱硬化性樹脂結合剤)がプレキュアー状態に至らないように、即ち、結合剤が硬化しない条件下で湿潤基材10Aを乾燥させる。これは、結合剤が完全に硬化しないまでもプレキュアー状態に至ると、プレキュアー状態の結合剤によって結合された組織が後の加熱圧縮工程S4で潰れることにより、得られる化粧板50が脆弱化するおそれがあるためである。
次に、塗布工程S3を行う。塗布工程S3では、乾燥基材10Bの表面1B及び裏面2Bに、水からなる軟化剤を塗布する(図5A(c)を参照)。これにより、乾燥基材10Bの表面1B及び裏面2Bが軟化し、後の加熱圧縮工程S4において乾燥基材10Bの表面1B及び裏面2Bにおいて亀裂や割れが生じ難くなる。本実施形態では、乾燥基材10Bの表面1Bには、400g/m2の軟化剤を塗布し、乾燥基材10Bの裏面2Bには、100g/m2の軟化剤を塗布する。なお、乾燥基材10Bの表面1Bへの軟化剤の塗布量は、200g/m2以上600g/m2以下とするのが好ましく、乾燥基材10Bの裏面2Bへの軟化剤の塗布量は、50g/m2以上100g/m2以下とするのが好ましい。
次に、加熱圧縮工程S4を行う。加熱圧縮工程S4では、表面1B及び裏面2Bに軟化剤が塗布された乾燥基材10Bを多段式ホットプレス等の加熱圧縮装置の熱盤間に挿入し(図5A(d)を参照)、表面1Bに所定の凹凸模様を形成するためのエンボス型20を用いて、結合剤(熱硬化性樹脂結合剤)の硬化温度以上の温度で加熱圧縮する(図5B(e)を参照)。本実施形態1では、温度180℃、圧力2.0N/mm2で6分間、乾燥基材10Bを加熱圧縮する。
次に、下塗り塗装工程S5を行う。下塗り塗装工程S5では、乾燥基材10Bの表面1B上に、スプレー装置40によって下塗り塗料を噴射する(図5B(g)参照)。これにより、乾燥基材10Bの表面1B上に下塗り塗膜層31が形成される。
下塗り塗装工程S5の後、第2乾燥工程S6を行う。第2乾燥工程S6では、下塗り塗装工程S5で乾燥基材10Bの表面1Bに塗布された下塗り塗料(水性塗料)を乾燥させる。本実施形態では、乾燥基材10Bを140℃のオーブンで水分が無くなるまで乾燥させる(図5B(h)参照)。
次に、上塗り塗装工程S7を行う。上塗り塗装工程S7では、凹凸模様が形成された基材10の表面1上に形成された下塗り塗膜層31上に、スプレー装置40によって上塗り塗料を噴射する(図5B(i)を参照)。
以上のように、本実施形態1の化粧板50では、塗膜30が繊維状の顔料35を含んでいる。そのため、基材10の表面1に微細な亀裂又は割れが生じていたとしても、亀裂又は割れの上に、繊維状の顔料35が重なることにより、亀裂又は割れが目立ち難くなる。これにより、亀裂又は割れを隠蔽するために基材10の表面1上に分厚い塗膜30を形成して細かな凹凸模様を消失させてしまうことなく、凹凸模様に沿う凹凸形状の薄い塗膜30で亀裂又は割れを隠蔽することができる。よって、本実施形態1によれば、亀裂又は割れが目立たない意匠性に優れた化粧板50を提供することができる。
上記実施形態1では、繊維状の顔料35が、上塗り塗膜層32に含まれていたが、繊維状の顔料35は、塗膜30に含まれていればよい。そのため、下塗り塗膜層31のみが繊維状の顔料35を含むものであってもよく、下塗り塗膜層31と上塗り塗膜層32の両方が、繊維状の顔料35を含むものであってもよい。下塗り塗膜層31に繊維状の顔料35を含ませる場合、下塗り塗装工程S5において、基材10の表面1に塗布する下塗り塗料を、繊維状の顔料35を含む塗料とすればよい。
10 基材
20 エンボス型
30 塗膜
31 下塗り塗膜層
32 上塗り塗膜層
50 化粧板
S4 加熱圧縮工程(プレス工程)
S5 下塗り塗装工程
S7 上塗り塗装工程
Claims (7)
- 表面にエンボス型による凹凸模様が形成された加熱圧縮形成物からなる基材と、該基材の表面上に形成された塗膜とを備えた化粧板であって、
上記塗膜は、繊維状の顔料を含み、上記凹凸模様に沿う凹凸形状に形成され、
上記塗膜のうちの上記繊維状の顔料を含む塗膜層は、該繊維状の顔料を1重量%以上5重量%以下の範囲で含む塗料で形成されている
ことを特徴とする化粧板。 - 請求項1において、
上記繊維状の顔料の繊維長は、500μm以下である
ことを特徴とする化粧板。 - 請求項1又は2において、
上記塗膜は、光沢を有する薄片状の顔料及び濃色の薄片状の顔料の少なくとも一方を含んでいる
ことを特徴とする化粧板。 - 請求項3において、
上記薄片状の顔料の粒子径は、500μm以下である
ことを特徴とする化粧板。 - 表面に凹凸模様が形成された化粧板の製造方法であって、
エンボス型で基材をプレスして該基材の表面に凹凸模様を形成するプレス工程と、
上記プレス工程後、上記基材の表面上に上記凹凸模様に沿う凹凸形状の下塗り塗膜層を形成する下塗り塗装工程と、
上記下塗り塗装工程後、上記下塗り塗膜層上に該下塗り塗膜層に沿う凹凸形状の上塗り塗膜層を形成する上塗り塗装工程とを備え、
上記下塗り塗装工程及び上記上塗り塗装工程の少なくとも一方では、繊維状の顔料を1重量%以上5重量%以下の範囲で含む塗料を塗布する
ことを特徴とする化粧板の製造方法。 - 請求項5において、
上記繊維状の顔料の繊維長は、500μm以下である
ことを特徴とする化粧板の製造方法。 - 請求項5又は6において、
上記塗料には、光沢を有する薄片状の顔料及び濃色の薄片状の顔料の少なくとも一方が含まれ、
上記薄片状の顔料の粒子径は、500μm以下である
ことを特徴とする化粧板の製造方法。
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