JP6472848B1 - 無機質化粧板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面に施されたシャープな凹凸模様の意匠性を損なうことなく表面を塗装した意匠性に優れた無機質化粧板、その製造方法及び施工方法を提供する。
【解決手段】表層11が鉱物質繊維と無機質紛状体と結合剤とを主成分として含む無機質層に構成され、エンボス型20によって化粧面となる表面1に凹凸模様が形成された加熱圧縮形成物の上記表面1にインクジェット塗装によって塗膜30が形成されてなる無機質化粧板50において、凹部となる複数の溝3を有する凹凸模様が形成された表面1に形成された塗膜30を、複数の溝3の内面に形成される溝内塗膜30aが、該溝3以外の部分に形成される溝外塗膜30bよりも濃色になるように形成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、住宅等の建物の内装材、造作材、開口部材、家具等の化粧材として用いられる無機質化粧板の製造方法に関するものである。
従来、住宅等の建物の内装材、造作材、開口部材、家具等の化粧板の基材として、エンボス型で加熱圧縮することによって化粧面となる表面に凹凸模様を形成し、さらに、表面に塗装を施した無機質化粧板が用いられている(下記の特許文献1を参照)。
特許文献1では、無機質化粧板は、以下の工程で製造される。鉱物質繊維と無機質紛状体と結合剤とを含むスラリーを湿式抄造して形成した湿潤マット(ウェットマット)で板状の湿潤基材を形成し、これを結合剤が硬化しない条件下で乾燥させて乾燥基材(ドライボード)を形成する。そして、乾燥基材をエンボス型で加熱圧縮(エンボス加工)して結合剤を硬化させて表面に凹凸模様が形成された無機質板を形成し、この無機質板の表面にさらに塗装を施すことにより、凹凸模様が形成された表面に化粧層が形成された無機質化粧板を得ていた。
特開2005−298988号公報
しかしながら、上記無機質化粧板では、鉱物質繊維を主成分に含めることでエンボス加工によってシャープな凹凸模様を形成することはできるが、このようなシャープな凹凸模様にいかに塗装するかについて何ら考慮されておらず、凹部にも凸部にも同様の塗装を施していた。そのため、エンボス加工によって折角シャープな凹凸模様を形成することができても、溝の側面などの傾斜角度が大きい斜面部の着色が不十分になったり、凹部と凸部とに同様の塗装を施すために凹凸模様の凹凸感が薄れたりし、塗装によって意匠性を損ねるおそれがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、表面に施されたシャープな凹凸模様の意匠性を損なうことなく表面を塗装した意匠性に優れた無機質化粧板の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、インクジェット塗装によって表面に形成される塗膜を、凹凸模様の凹部となる複数の溝の内面に形成される溝内塗膜が、溝以外の部分に形成される溝外塗膜よりも濃色になるようにした。
具体的には、第1の発明は、少なくとも表層が鉱物質繊維と無機質紛状体と結合剤とを主成分として含む無機質層に構成された基材をエンボス型で加熱圧縮して表面に凹凸模様を形成する加熱圧縮工程と、該加熱圧縮工程後、上記基材の表面にインクジェット塗装を施す塗装工程とを備えた無機質化粧板の製造方法を前提としている。
そして、第1の発明に係る無機質化粧板の製造方法は、上記加熱圧縮工程の前に行われ、上記基材の表面に塗装を施して下塗り塗膜層を形成する下塗り塗装工程をさらに備え、上記下塗り塗装工程では、ガラス転移点が0℃以下のアクリル樹脂を主成分とする水性塗料で上記基材の表面を塗装し、上記塗装工程は、上記加熱圧縮工程後、上記基材の表面に上記インクジェット塗装を施して上記凹凸模様を有する上塗り塗膜層を形成する上塗り塗装工程であり、上記上塗り塗装工程時には、上記凹凸模様の凹部となる複数の溝の内面が、該溝以外の部分よりも濃色に着色されるように塗装することを特徴としている。
第1の発明では、少なくとも表層が鉱物質繊維を主成分として含む無機質層に構成された基材をエンボス型で加熱圧縮することで表面に凹凸模様を形成することとしている。このような製造方法により、表面にシャープな凹凸模様が形成された無機質化粧板を製造することができる。また、インクジェット塗装によって、複数の溝を含むシャープな凹凸模様が形成された基材表面において、複数の溝の内面が該溝以外の部分よりも濃色に着色されるように塗装することとしている。このような製造方法により、溝内に形成される塗膜が溝以外の部分に形成される塗膜よりも濃色になる。つまり、塗膜の色調が凹凸模様に同調し、エンボス加工によって表面に形成されたシャープな凹凸模様の凹凸感が塗膜によって強調される。従って、上記製造方法によれば、表面に施されたシャープな凹凸模様の意匠性を損なうことなく表面を塗装した意匠性に優れた無機質化粧板を製造することができる。
第2の発明は、第1の発明において、上記インクジェット塗装時には、上記溝の内面の上部から底部に向かって該底部側ほど濃色に着色されるように塗装することを特徴としている。
第2の発明では、インクジェット塗装時に、溝の内面を塗装する際に、溝の上部から底部に向かって徐々に濃色に着色されるように塗装するようにしている。このような製造方法により、溝内に形成される塗膜の色の深みが増し、無機質化粧板においてエンボス加工によって表面に形成されたシャープな凹凸模様の凹凸感がより強調される。従って、上記製造方法によれば、意匠性により優れた無機質化粧板を提供することができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記複数の溝は、平行に延び、上記各溝は、一方側の第1側面が他方側の第2側面よりも上記基材の平坦な裏面に対する傾斜角度が大きくなる又は面積が大きくなるように形成され、上記インクジェット塗装時には、上記各溝において、上記第2側面、底面、上記第1側面の順に塗装されるように、上記基材と着色インクを噴射するノズルヘッドとを上記各溝の延伸方向に直交する方向に相対移動させることを特徴としている。
第3の発明では、基材の表面において複数の溝が平行に延び、各溝において一方側の第1側面が他方側の第2側面よりも傾斜角度が大きい又は面積が大きい場合、インクジェット塗装時に、各溝において、第2側面、底面、第1側面の順に塗装されるように、基材とノズルヘッドとを各溝の延伸方向に直交する方向に相対移動させることとしている。つまり、基材を固定してノズルヘッドを移動させる場合には、ノズルヘッドを基材の上方において上記他方側から上記一方側へ移動させ、ノズルヘッドを固定して基材を移動させる場合には、基材をノズルヘッドの下方において上記一方側から上記他方側へ移動させる。
ところで、溝の側面の傾斜角度が大きい場合、傾斜角度が緩やかな場合に比べ、基材上方のノズルヘッドから噴射された着色インクの付着量が少なくなり、着色し難い。また、溝の2つの側面のうち、一方側の第1側面が他方側の第2側面よりも面積が大きい場合、第2側面の高さが第1側面の高さに比べて低く、第1側面が目立つ状況にある。そのため、無機質化粧板の意匠性を向上させるためには、目立つ第1側面の塗装の仕上がりを向上させる必要がある。
一方、溝の側面には、ノズルヘッドから噴射された着色インクが溝の底部側から上部側へ順に当たるように基材とノズルヘッドとを相対移動させる方が、逆向きに移動させるよりも溝の側面が着色され易い。
そこで、第3の発明では、上述のように基材とノズルヘッドとを相対移動させて基材の表面全体に亘って塗装するに際し、溝の2つの側面(第1側面及び第2側面)のうち、着色し難い又は目立ち易い第1側面が着色され易くなるように、インクジェット塗装時に、第1側面が溝の底部側から上部側へ順に塗装されるように基材とノズルヘッドとを各溝の延伸方向に直交する方向に相対移動させることとした。このような製造方法により、着色し難い又は目立ち易い第1側面の塗装の仕上がりが向上するため、意匠性により優れた無機質化粧板を提供することができる。
以上説明したように、本発明によると、インクジェット塗装によって、複数の溝を含むシャープな凹凸模様が形成された基材表面において、複数の溝の内面が該溝以外の部分よりも濃色に着色されるように塗装することとしたため、表面に施されたシャープな凹凸模様の意匠性を損なうことなく表面を塗装した意匠性に優れた無機質化粧板を製造することができる。
図1は、本発明の実施形態1に係る無機質化粧板を示す斜視図である。 図2は、図1のII−II線方向の断面図である。 図3は、本発明の実施形態1に係る無機質化粧板の製造方法を示すフローチャートである。 図4は、本発明の実施形態1に係る無機質化粧板の製造方法の一部の製造工程を示す図であり、(A)は、三層構造の湿潤基材を形成する湿潤基材形成工程を示し、(B)は、乾燥基材の表面に下塗り塗装を施す下塗り塗装工程を示し、(C)は、乾燥基材を加熱圧縮する加熱圧縮工程において加熱圧縮前の状態を示し、(D)は、乾燥基材を加熱圧縮する加熱圧縮工程において加熱圧縮中の状態を示し、(E)は、乾燥基材を加熱圧縮する加熱圧縮工程後のエンボス基材を示し、(F)は、エンボス基材の表面に上塗り塗装を施す上塗り塗装工程を示している。 図5は、本発明の実施形態1に係る無機質化粧板を設置面に設置した状態における一部拡大図である。 図6は、本発明の実施形態2に係る無機質化粧板の一部を拡大して示す斜視図である。 図7(A)及び図7(B)は、本発明の実施形態3に係る無機質化粧板の製造方法の一部の上塗り塗装工程を示す図であり、図7(A)は、エンボス基材を固定してノズルヘッドを移動させる場合を示し、図7(B)は、ノズルヘッドを固定してエンボス基材を移動させる場合を示している。 図8(A)及び図8(B)は、本発明の実施形態4に係る無機質化粧板の製造方法の一部の上塗り塗装工程を示す図であり、図8(A)は、エンボス基材を固定してノズルヘッドを移動させる場合を示し、図8(B)は、ノズルヘッドを固定してエンボス基材を移動させる場合を示している。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態は、本質的に好ましい例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
図1及び図2は、本発明の実施形態1に係る無機質化粧板50を示している。無機質化粧板50は、化粧面に凹凸模様が形成されると共に塗装が施され、例えば、住宅等の建物の内装材、造作材、開口部材、家具等の化粧材として用いられる。
−構成−
無機質化粧板50は、化粧面となる表面1にエンボス加工によって凹凸模様が形成された基材10と、該基材10の表面1に形成された塗膜30とを有している。
{基材}
基材10は、本実施形態では、表面1側(図2の上側)に位置する表層11と、裏面2側(図2の下側)に位置する裏層12と、表層11と裏層12との間に位置する芯層13とを有し、三層構造に構成されている。表層11と裏層12とは、互いに同じものであり、鉱物質繊維と無機質紛状体と結合剤とを主成分とする層である。一方、芯層13は、軽量骨材と結合剤と繊維を主成分とする層である。表層11と裏層12と芯層13とは、結合剤の硬化によって複合一体化されている。
基材10は、エンボス型20によって加熱圧縮されることにより、表層11側の表面1に、凹凸模様が形成されている。凹凸模様は、本実施形態では、深彫り形状の石目調のタイル模様に形成されている。なお、凹凸模様は、いかなるものであってもよい。本実施形態では、基材10の厚みは、最も薄い部分の厚さが6mm、最も厚い部分の厚さが9mmとなるように、凹凸模様が形成されている。
〈表層及び裏層の主成分〉
[鉱物質繊維]
表層11と裏層12の鉱物質繊維として、ロックウール、スラグウール、ミネラルウール、グラスウール等を用いることができる。これらは、単独で用いることも可能であり、複数を組み合わせて用いてもよい。鉱物質繊維は、粘りと強度とを持たせつつ、高い表面性を得るために添加されるものであり、固形成分全体の40重量%以上80重量%以下だけ添加される。鉱物質繊維は、添加量が40重量%未満になると、鉱物質繊維どうしの絡み合いが少なくなって曲げ強度が弱くなり、また、80重量%を超えると、無機質紛状体の添加割合が少なくなるため、表面の緻密性が低くなり、化粧性が損なわれるためである。
[無機質紛状体]
表層11と裏層12の無機質紛状体として、炭酸カルシウム、マイクロシリカ、水酸化アルミニウム、スラグ紛等を用いることができる。これらは、単独で用いることも可能であり、複数を組み合わせて用いてもよい。無機質紛状体は、防火性及び硬度を確保するために添加されるものであり、固形成分全体の20重量%以上60重量%以下だけ添加される。無機質紛状体は、添加量が20重量%未満になると、形成される無機質化粧板50の表面の緻密性が低くなって化粧性が損なわれ、また、60重量%を超えると、鉱物質繊維の添加割合が少なくなるため、曲げ強度が弱くなるためである。
[結合剤]
表層11と裏層12の結合剤は、熱硬化性樹脂結合剤であり、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素メラミン樹脂等の粉末状、或いは水性結合剤を用いることができる。また、結合剤として、ポリビニルアルコール、スターチ類、ポリアクリルアミド、SBRラテックス、アクリル樹脂エマルジョン等の水溶性又は水分散性の高分子結合剤を、熱硬化性樹脂と併用することも可能である。結合剤は、鉱物質繊維及び無機質紛状体を含む成分を結合するために添加されるものであり、固形成分全体の5重量%以上20重量%以下、好ましくは、7重量%以上15重量%以下だけ添加される。結合剤は、添加量が5重量%未満になると、強度が不足する一方、20重量%を超えると、不燃性が損なわれるためである。
〈芯層の主成分〉
[軽量骨材]
芯層13の軽量骨材として、パーライト、シラス発泡体、シリカフラワー、ガラス発泡体等を用いることができる。軽量骨材は、圧縮強度を確保しつつ、軽量化するために添加されるものであり、固形成分全体の40重量%以上90重量%以下だけ添加される。軽量骨材は、添加量が40重量%未満になると、軽量化が不十分になり、また、散布時に均一に撒くことが難しくなる一方、90重量%を超えると、強度が弱くなり、また、圧縮時の圧力が高くなりすぎて生産性が低下するためである。
[結合剤]
芯層13の結合剤は、熱硬化性樹脂結合剤であり、表層11及び裏層12に用いることができるもの、即ち、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素メラミン樹脂等の粉末状、或いは水性結合剤を用いることができる。また、表層11及び裏層12の結合剤と同様に、ポリビニルアルコール、スターチ類、ポリアクリルアミド、SBRラテックス、アクリル樹脂エマルジョン等の水溶性又は水分散性の高分子結合剤を、熱硬化性樹脂と併用することも可能である。結合剤は、軽量骨材を含む成分を結合するために添加されるものであり、固形成分全体の5重量%以上20重量%以下、好ましくは、7重量%以上15重量%以下だけ添加される。結合剤は、添加量が5重量%未満になると、強度が不足する一方、20重量%を超えると、不燃性が損なわれる。
[繊維]
芯層13の繊維として、無機繊維又は有機繊維を用いることができる。具体的には、無機繊維として、ガラス繊維、ワラストナイト等を用いることができる。また、有機繊維として、ポリエステル、ポリプロピレン、ビニロン等の合成繊維、木質繊維、パルプ等を用いることができる。これらは、単独で用いることも可能であり、複数を組み合わせて用いてもよい。繊維は、粘りと強度とを持たせるために添加されるものであり、固形成分全体の1重量%以上10重量%以下だけ添加される。繊維は、添加量が1重量%未満になると、粘りが無くなり、補強効果が低くなり、10重量%を超えると、抄造時に凹凸が生じ、抄造時に凹凸が生じ、良好な湿潤マットを得ることができなくなるためである。
〈凹凸模様〉
基材10の表面1には、凹凸模様が形成されている。基材10の表面1は、この凹凸模様によって複数のブロックに区画されている。
具体的には、本実施形態1では、図1及び図2に示すように、基材10の表面1には、上記凹凸模様の凹部となる複数の溝3が形成され、この複数の溝3によって基材10の表面1が複数のブロックに区画されている。基材10において溝3が形成された部分が基材10の最も薄い部分を構成し、溝3での基材10の厚さは6mmである。一方、最も分厚い部分(凹凸模様の最大凸部部分)での基材10の厚さは、9mmである。
なお、基材10の凹凸模様は、基材10の最も分厚い部分(凹凸模様の最大凸部部分)において、表層11の厚さが3mm、芯層13の厚さが3.5mm、裏層12の厚さが2.5mm程度になるように形成されている。また、基材10の表面1の凹凸模様は、基材10の最も薄い溝3部分において、表層11の厚さが1mm、芯層13の厚さが3mm、裏層12の厚さが2mm程度になるように形成されている。
つまり、本実施形態では、凹凸模様は、最大高低差(最大凸部部分の表面と溝3の底面とのレベル差)が3mm程度になるように形成されている。
また、溝3は、側面の傾斜角が60°以上90°以下となるように形成され、溝3以外の部分に比べて尖鋭な凹部に構成されている。
{塗膜}
塗膜30は、基材10の表面1に直に形成される下塗り層31と、該下塗り層31の上に重ねて形成される上塗り層32とを有している。
下塗り層31は、水性塗料を塗布することによって形成されている。水性塗料として、アクリル樹脂又はウレタン樹脂を主成分とするものを用いることができる。本実施形態では、ガラス転移点が0℃以下のアクリル樹脂を主成分とする水性塗料を塗布することによって下塗り層31が形成されている。
上塗り層32は、着色インクをインクジェット装置によって下塗り層31の上に噴射することによって形成されている。上塗り層32は、色調が基材10の表面1に形成された凹凸模様に同調するように、凹部部分の塗膜の色(インク色)が凸部部分の塗膜の色(インク色)よりも濃い。
具体的に、本実施形態では、図1及び図2に示すように、溝3の内面に形成された溝内塗膜30aは、溝3以外の部分に形成された溝外塗膜30bよりも濃色になるように形成されている。なお、ここで濃色とは、少なくとも明度が低い色であることを指す。詳細については後述するが、溝内塗膜30aは、溝外塗膜30bよりも明度が低くなるように塗装することによって形成されている。これにより、溝3の内面は、濃色の溝内塗膜30aにより暗く見え、溝3以外の部分は、溝内塗膜30aよりも薄色(少なくとも明度が高い色)の溝外塗膜30bにより溝内塗膜30aよりも明るく見える。このようにして、下塗り層31の上に、色調が凹凸模様に同調した上塗り層32が形成されることにより、基材10の表面1の凹凸模様に同調した塗膜30が形成されることなる。なお、溝3の内面に形成される溝内塗膜30aは、溝3以外の部分に形成される溝外塗膜30bよりも明度が低いだけでなく彩度が高くなるように塗装することによって形成されるものであってもよい。
−製造方法−
以下、本発明の実施形態1に係る無機質化粧板50の製造方法について図3及び図4に基づいて説明する。
無機質化粧板50の製造方法は、湿潤基材形成工程S1と、第1乾燥工程S2と、下塗り塗装工程S3と、第2乾燥工程S4と、塗布工程S5と、加熱圧縮工程S6と、上塗り塗装工程S7とを有している。
(1)湿潤基材形成工程
まず、湿潤基材形成工程S1を行う。本実施形態では、湿潤基材形成工程S1は、裏層マット形成工程と、芯層マット形成工程と、表層マット形成工程とで構成されている。
〈裏層マット形成工程〉
裏層マット形成工程では、裏層12を形成するための材料、即ち、鉱物質繊維と無機質粉状体と結合剤とを水中に添加して攪拌し、鉱物質繊維と無機質粉状体と結合剤とを主成分とするスラリーを生成する。そして、生成したスラリーを長網式湿式抄造装置又は丸網式湿式抄造機で湿式抄造して裏層マット10cを形成する。本実施形態では、裏層マット10cは、4mmの一様な厚さになるように形成する。
〈芯層マット形成工程〉
芯層マット形成工程では、芯層13を形成するための材料、即ち、軽量骨材と結合剤と繊維とを、水を噴霧しながら混合して芯層用組成物を生成する。そして、生成した芯層用組成物を、先に生成した裏層マット10cの上に均一に散布して芯層マット10bを形成する。本実施形態では、芯層マット10bは、5mmの一様な厚さになるように形成する。
〈表層マット形成工程〉
表層マット形成工程では、裏層マット形成工程と同様に、表層11を形成するための材料、即ち、鉱物質繊維と無機質粉状体と結合剤とを水中に添加して攪拌し、鉱物質繊維と無機質粉状体と結合剤とを主成分とするスラリーを生成する。そして、生成したスラリーを長網式湿式抄造装置又は丸網式湿式抄造機で湿式抄造して表層マット10aを形成し、この表層マット10aを、芯層マット10bの上に積層する。本実施形態では、表層マット10aは、5mmの一様な厚さになるように形成する。
以上のような湿潤基材形成工程S1を行うことにより、鉱物質繊維と無機質粉状体と結合剤とを主成分として含む湿潤マットからなる表層マット10a及び裏層マット10cで、軽量骨材と結合剤と繊維とを主成分として含む芯層マット10bを挟む三層構造の板状の湿潤基材10Aが形成される(図4(A)を参照)。上述したように、本実施形態では、三層構造の湿潤基材10Aは、表層マット10aの厚さが5mm、芯層マット10bの厚さが5mm、裏層マット10cの厚さが4mmで、計14mmの厚さになるように形成される。
(2)第1乾燥工程(乾燥工程)
次に、第1乾燥工程S2を行う。第1乾燥工程S2では、湿潤基材形成工程S1によって形成された湿潤基材10Aを熱風循環式ドライヤーに搬入し、含水率が10重量%未満、好ましくは、4重量%未満となるように乾燥し、乾燥基材(ドライボード)10Bを形成する(図4(B)を参照)。このとき、湿潤基材10A中に含まれる結合剤(熱硬化性樹脂結合剤)がプレキュアー状態に至らないように、即ち、結合剤が硬化しない条件下で湿潤基材10Aを乾燥させる。これは、結合剤が完全に硬化しないまでもプレキュアー状態に至ると、プレキュアー状態の結合剤によって結合された組織が後の加熱圧縮工程S6で潰れることにより、得られる無機質化粧板50が脆弱化するおそれがあるためである。
また、湿潤基材10Aは、熱風循環式ドライヤーによる乾燥の前に、加熱ロール、連続プレス、平板プレス等で加熱圧縮してもよい。このように乾燥前に予備的な加熱圧縮を行うことにより、強度の高い乾燥基材10Bに形成することができる。この予備的な加熱圧縮を行う場合も、湿潤基材10A中の結合剤がプレキュアー状態に至らない条件下で行う。
なお、結合剤がプレキュアー状態に至らない条件は、結合剤によって異なるが、例えば、結合剤として粉末フェノール樹脂を用いた場合、熱風循環式ドライヤーによる乾燥では、60℃〜140℃程度の温度条件、予備的な加熱圧縮では、80℃〜180℃程度の温度条件で行うことができる。
(3)下塗り塗装工程
次に、下塗り塗装工程S3を行う。下塗り塗装工程S3では、乾燥基材10Bの表面1Bに、水性塗料を塗布する。これにより、乾燥基材10Bの表面1B上に下塗り層31が形成される(図4(B)参照)。
(4)第2乾燥工程
下塗り塗装工程S3の後、第2乾燥工程S4を行う。第2乾燥工程S4では、下塗り塗装工程S3で乾燥基材10Bの表面1Bに塗布された水性塗料を乾燥させる。本実施形態では、乾燥基材10Bを140℃のオーブンで水分が無くなるまで乾燥させる。
(5)塗布工程
次に、塗布工程S5を行う。塗布工程S5では、乾燥基材10Bの表面1B及び裏面2Bに、水又は樹脂水溶液からなる軟化剤を塗布する(図4(C)を参照)。これにより、乾燥基材10Bの表面1B及び裏面2Bが軟化し、後の加熱圧縮工程S6において乾燥基材10Bの表面1B及び裏面2Bにおいて亀裂や割れが生じ難くなる。本実施形態では、乾燥基材10Bの表面1Bには、400g/mの軟化剤を塗布し、乾燥基材10Bの裏面2Bには、100g/mの軟化剤を塗布する。
(6)加熱圧縮工程
次に、加熱圧縮工程S6を行う。加熱圧縮工程S6では、表面1B及び裏面2Bに軟化剤が塗布された乾燥基材10Bを多段式ホットプレス等の加熱圧縮装置の熱盤間に挿入し(図4(C)を参照)、表面1Bに所定の凹凸模様を形成するためのエンボス型20を用いて、結合剤(熱硬化性樹脂結合剤)の硬化温度以上の温度で加熱圧縮する(図4(D)を参照)。
乾燥基材10Bを加熱圧縮すると、先の塗布工程S5において乾燥基材10Bの表面1B及び裏面2Bに塗布された軟化剤が、蒸気となって乾燥基材10B中に浸透する。ここで、乾燥基材10B中の表層マット10a、芯層マット10b及び裏層マット10cの結合剤は、プレキュアーしていない状態にあるため、乾燥基材10B中に浸透した軟化剤によって流動性を得て軟化剤と共に乾燥基材10B中に行き亘る。
また、乾燥基材10Bは、エンボス型20を用いて加熱圧縮されるため、圧縮されると共に、裏面2Bは平滑に、表面1Bは凹凸模様形状に変形していく。このとき、先の塗布工程S5において、乾燥基材10Bの表面1B及び裏面2Bに軟化剤が塗布されて軟化しているため、特に、表面1Bには多量の軟化剤が塗布されて裏面2Bより軟化している。そのため、乾燥基材10Bは、亀裂や割れなどを生じることなく変形することとなる。
そして、乾燥基材10Bが変形した状態で、該乾燥基材10B中に行き亘った結合剤(熱硬化性樹脂結合剤)が硬化することにより、表面1Cに彫りの深いシャープな凹凸模様が形成されたエンボス基材10Cが形成される(図4(E)を参照)。
(7)上塗り塗装工程
次に、上塗り塗装工程S7を行う。上塗り塗装工程S7では、凹凸模様が形成されたエンボス基材10Cの表面1Cに、インクジェット装置によって着色インクを噴射する(図4(F)を参照)。これにより、エンボス基材10Cの表面1C上に上塗り層32が形成される。本実施形態では、インクジェット装置には、ブラック、マゼンタ、イエロー、シアンの4色のインクが内蔵され、これらを混ぜ合わせたものが着色インクとしてノズルヘッド40からエンボス基材10Cの表面1Cに噴射される。また、インクジェット装置には、予め、無機質化粧板50の凹凸模様に同調した上塗り層32が形成されるような塗装データが記憶されており、インクジェット装置は、その塗装データに従って各箇所が所望の色調で着色されるように、噴射箇所毎に4色のインクの混合比率を適宜調整して噴射する着色インクの色を調整する。
本実施形態では、溝3の内面を塗装する際に、インクジェット装置は、溝3以外の部分を塗装する際よりも濃色に着色されるように4色のインクの混合比率を調整して噴射する着色インクの色を調整する。これにより、溝3の内面には、溝以外の部分に形成される溝外塗膜30bよりも濃色の溝内塗膜30aが形成される。このような上塗り塗装工程により、エンボス基材10Cの表面1C上に色調が凹凸模様に同調した上塗り層32が形成される。つまり、基材10の表面1上に色調が凹凸模様に同調した塗膜30が形成される。
なお、インクジェット装置が内蔵するインクの種類は、ブラック、マゼンタ、イエロー、シアンに限られない。また、インクジェット装置が内蔵するインクは、4色に限られず、3色以下であってもよく、5色以上であってもよい。
以上の工程S1〜S7により、化粧面に凹凸模様が形成されると共に塗装が施された無機質化粧板50が製造される。
−施工方法−
以下、本発明の実施形態1に係る無機質化粧板50を設置面に固定する無機質化粧板50の施工方法について図5に基づいて説明する。
まず、無機質化粧板50の裏面2と設置面とを接着剤で接着させる。例えば、設置面が建物内の壁面である場合、無機質化粧板50の裏面2と壁面とに接着剤を塗布し、重ね合わせて接着させる。そして、壁面に接着された無機質化粧板50に、エアガン等でピンネイル60を打ち込むことにより、無機質化粧板50を壁面に固定する。
このとき、図5に示すように、無機質化粧板50の溝3の底部にピンネイル60を打ち込むこととする。無機質化粧板50の溝3の内面には、溝3以外の部分に形成された溝外塗膜30bよりも濃色の溝内塗膜30aが形成されている。そのため、溝3は、無機質化粧板50の表面1において暗く見える。このような暗く見える部分にピンネイル60を打ち込むことにより、ピンネイル60によって形成される孔が目立ちにくくなる。つまり、ピンネイル60の孔は、通常、影によって周囲の部分よりも暗く見えるが、元々暗く見える溝3の底部にピンネイル60を打ち込むことにより、ピンネイル60によって形成される孔が目立ちにくくなる。
なお、無機質化粧板50の固定具として、上記ピンネイル60の他、フィニッシュネイル等、無機質化粧板50の溝3の幅よりも小径の釘状部材を用いることができる。なお、ここで言う「釘状部材」には、釘頭がないもの(ピンネイル等)と釘頭のあるもの(フィニッシュネイル等)の両方が含まれる。
−実施形態1の効果−
以上のように、本実施形態1によれば、エンボス型20で加熱圧縮するエンボス加工によってシャープな凹凸模様が形成された表面1に、インクジェット塗装により、溝3内の部分が溝3以外の部分よりも濃色に構成された塗膜30が形成されている。つまり、凹凸模様が形成された表面1に形成された塗膜30は、溝3内に形成された濃色の溝内塗膜30aと溝3以外の部分に形成された溝内塗膜30aよりも淡色の溝外塗膜30bとで構成され、色調が凹凸模様に同調している。このような色調が凹凸模様に同調した塗膜30が表面1に形成されることにより、エンボス加工によって表面1に形成されたシャープな凹凸模様の凹凸感が塗膜30によって強調されることとなる。従って、表面1に施されたシャープな凹凸模様の意匠性を損なうことなく表面1に塗装が施された意匠性に優れた無機質化粧板50を提供することができる。
また、本実施形態1の製造方法によれば、少なくとも表層11が鉱物質繊維を主成分として含む無機質層に構成された乾燥基材10Bをエンボス型20で加熱圧縮することで表面1に凹凸模様を形成することとしている。このような製造方法により、表面1にシャープな凹凸模様が形成された無機質化粧板50を製造することができる。また、インクジェット塗装によって、複数の溝3を含むシャープな凹凸模様が形成されたエンボス基材10Cの表面1Cにおいて、複数の溝3の内面が該溝3以外の部分よりも濃色に着色されるように塗装することとしている。このような製造方法により、溝3内に形成される溝内塗膜30aが溝3以外の部分に形成される溝外塗膜30bよりも濃色になる。つまり、塗膜30の色調が凹凸模様に同調し、エンボス加工によって表面1に形成されたシャープな凹凸模様の凹凸感が塗膜30によって強調される。従って、上記製造方法によれば、表面1に施されたシャープな凹凸模様の意匠性を損なうことなく表面1を塗装した意匠性に優れた無機質化粧板50を製造することができる。
また、本実施形態1の施工方法によれば、無機質化粧板50を設置面に固定するに際し、無機質化粧板50の裏面2と設置面とを接着剤で接着すると共に、無機質化粧板50に設置面まで至るピンネイル60を打ち込むこととした。また、このようなピンネイル60を、無機質化粧板50の表面1において、濃色の塗膜(溝内塗膜30a)が形成された溝3の底部に打ち込むこととした。つまり、濃色の塗膜によって暗く見える溝3の底部にピンネイル60を打ち込むことにより、ピンネイル60によって形成される孔が目立ちにくくなる。従って、本実施形態1の無機質化粧板50の施工方法によれば、無機質化粧板50の意匠性を損なうことなく無機質化粧板50を所定の設置面に設置することができる。
《発明の実施形態2》
実施形態2は、実施形態1の無機質化粧板50の塗膜30の構成を一部変更したものである。
図6に示すように、塗膜30のうち、溝3内に形成された溝内塗膜30aが、単色ではなく、濃淡が段階的に変化する(グラデーション)ように構成されている。具体的には、溝内塗膜30aのうち、溝3の底面に形成された塗膜が最も濃く、溝3の側面に形成された塗膜は、溝3の底部から上部に向かって溝3の底面の塗膜と同等の濃色から段階的に淡くなり、上部では、溝外塗膜30bと同等の淡色になるように構成されている。
実施形態2では、上述のような塗膜30を形成するために、上塗り塗装工程S7時(インクジェット塗装時)に、溝3の内面を塗装する際に、溝3の上部から底部に向かって徐々に濃色に着色されるように塗装するようにしている。つまり、インクジェット装置は、エンボス基材10Cの表面1Cの溝3以外の部分、溝3の側面、溝3の底面の順に塗装される色(塗膜の色)が濃くなるように4色のインクの混合比率を調整して噴射する着色インクの色を調整する。また、インクジェット装置は、溝3の側面を塗装する際には、該溝3の上部から底部に向かって徐々に塗装される色(塗膜の色)が濃くなるように4色のインクの混合比率を調整して噴射する着色インクの色を調整する。このような上塗り塗装工程S7により、溝3内において濃淡が段階的に変化する上述の塗膜30が形成される。
実施形態2によれば、上塗り塗装工程S7時(インクジェット塗装時)に、溝3の内面を塗装する際に、溝3の上部から底部に向かって徐々に濃色に着色されるように塗装することにより、溝3の内面に溝3の上部から底部に向かって徐々に色味が濃くなる溝内塗膜30aを形成している。このような構成及び製造方法により、溝3内に形成される溝内塗膜30aにこのような濃淡の変化をつけない場合に比べて、該溝内塗膜30aの色の深みが増し、無機質化粧板50においてエンボス加工によって表面1に形成されたシャープな凹凸模様の凹凸感がより強調される。従って、意匠性により優れた無機質化粧板50を提供することができる。
《発明の実施形態3》
実施形態3は、実施形態1の無機質化粧板50の製造方法において、上塗り塗装工程S7におけるインクジェット塗装に工夫を加えたものである。具体的には、上塗り塗装工程S7において、エンボス基材10Cとインクジェット装置のノズルヘッド40とを相対移動させて表面1の全面を塗装するに際し、相対移動の方向を特定したものである。
図7(A)及び図7(B)に示すように、実施形態3では、加熱圧縮工程S6において、複数の溝3が平行に延び、各溝3において一方側の第1側面3aが他方側の第2側面3bよりも平坦な裏面2に対する傾斜角度が大きくなるようにエンボス加工が施されている。このような場合において、上塗り塗装工程S7時(インクジェット塗装時)に、各溝3において、第2側面3b、底面3c、第1側面3aの順に塗装されるように、エンボス基材10Cとノズルヘッド40とを各溝3の延伸方向に直交する方向に相対移動させる。
具体的には、図7(A)に示すように、エンボス基材10Cを固定してノズルヘッド40を移動させる場合には、ノズルヘッド40をエンボス基材10Cの上方において第2側面3b側(図7(A)における左側)から第1側面3a側(図7(A)における右側)へ移動させる。
一方、図7(B)に示すように、ノズルヘッド40を固定してエンボス基材10Cを移動させる場合には、エンボス基材10Cをノズルヘッド40の下方において第1側面3a側(図7(B)における右側)から第2側面3b側(図7(B)における左側)へ移動させる。
ところで、溝3の側面の傾斜角度が大きい場合(図7(A)及び図7(B)の第1側面3a等)、傾斜角度が緩やかな場合に比べ、エンボス基材10C上方のノズルヘッド40から噴射された着色インクの付着量が少なくなり、着色し難い。
一方、溝3の側面には、ノズルヘッド40から噴射された着色インクが溝3の底部側から上部側へ順に当たるようにエンボス基材10Cとノズルヘッド40とを相対移動させる方が、逆向きに移動させるよりも溝3の側面が着色され易い。
そこで、実施形態3では、上述のようにエンボス基材10Cとノズルヘッド40とを相対移動させてエンボス基材10Cの表面1C全体に亘って塗装するに際し、溝3の2つの側面(第1側面3a及び第2側面3b)のうち、着色し難い第1側面3aが着色され易くなるように、インクジェット塗装時に、第1側面3aが溝3の底部側から上部側へ順に塗装されるようにエンボス基材10Cとノズルヘッド40とを各溝3の延伸方向に直交する方向に相対移動させることとした。このような製造方法により、着色し難い第1側面3aの塗装の仕上がりが向上するため、意匠性により優れた無機質化粧板50を提供することができる。
《発明の実施形態4》
実施形態4は、実施形態1の無機質化粧板50の製造方法において、上塗り塗装工程S7におけるインクジェット塗装に工夫を加えたものである。具体的には、上塗り塗装工程S7において、エンボス基材10Cとインクジェット装置のノズルヘッド40とを相対移動させて表面1の全面を塗装するに際し、相対移動の方向を特定したものである。
図8(A)及び図8(B)に示すように、実施形態4では、加熱圧縮工程S6において、複数の溝3が平行に延び、各溝3において一方側の第1側面3aが他方側の第2側面3bよりも面積が大きくなるようにエンボス加工が施されている。このような場合において、上塗り塗装工程S7時(インクジェット塗装時)に、各溝3において、第2側面3b、底面3c、第1側面3aの順に塗装されるように、エンボス基材10Cとノズルヘッド40とを各溝3の延伸方向に直交する方向に相対移動させる。
具体的には、図8(A)に示すように、エンボス基材10Cを固定してノズルヘッド40を移動させる場合には、ノズルヘッド40をエンボス基材10Cの上方において第2側面3b側(図8(A)における左側)から第1側面3a側(図8(A)における右側)へ移動させる。
一方、図8(B)に示すように、ノズルヘッド40を固定してエンボス基材10Cを移動させる場合には、エンボス基材10Cをノズルヘッド40の下方において第1側面3a側(図8(B)における右側)から第2側面3b側(図8(B)における左側)へ移動させる。
ところで、溝3の2つの側面3a,3bのうち、一方側の第1側面3aが他方側の第2側面3bよりも面積が大きい場合、第2側面3bの高さが第1側面3aの高さに比べて低く、第1側面3aが目立つ状況にある。そのため、無機質化粧板50の意匠性を向上させるためには、目立つ第1側面3aの塗装の仕上がりを向上させる必要がある。
一方、溝3の側面には、ノズルヘッド40から噴射された着色インクが溝3の底部側から上部側へ順に当たるようにエンボス基材10Cとノズルヘッド40とを相対移動させる方が、逆向きに移動させるよりも溝3の側面が着色され易い。
そこで、実施形態4では、上述のようにエンボス基材10Cとノズルヘッド40とを相対移動させてエンボス基材10Cの表面1C全体に亘って塗装するに際し、溝3の2つの側面(第1側面3a及び第2側面3b)のうち、目立ち易い第1側面3aが着色され易くなるように、インクジェット塗装時に、第1側面3aが溝3の底部側から上部側へ順に塗装されるようにエンボス基材10Cとノズルヘッド40とを各溝3の延伸方向に直交する方向に相対移動させることとした。このような製造方法により、溝3において目立ち易い第1側面3aの塗装の仕上がりが向上するため、意匠性により優れた無機質化粧板50を提供することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態1では、湿潤基材10Aを三層構造としていたが、湿潤基材10Aは、これに限られない。表層11及び裏層12を構成する1つの湿潤マットからなる単層構造でもよく、また、芯層13のない二層構造であってもよい。その他、芯層13の他に中間層を設けて四層以上の構造としてもよい。
また、上記実施形態1では、水性塗料で乾燥基材10Bの表面1Bを塗装する下塗り塗装工程S3後、乾燥基材10Bを乾燥させる第2乾燥工程S4を行っていた。しかしながら、第2乾燥工程S4は省略することとしてもよい。水性塗料が塗布された乾燥基材10Bを乾燥させる第2乾燥工程S4を行わなくても、乾燥基材10Bを加熱圧縮する加熱圧縮工程S6において結合剤の硬化と水性塗料の乾燥の両方を同時に行うことができる。よって、上記実施形態1において、下塗り塗装後の第2乾燥工程S4を省略して無機質化粧板50の製造方法を容易化してもよい。
また、上記実施形態1では、加熱圧縮工程S6において乾燥基材10Bをエンボス型で加熱圧縮する前に、乾燥基材10Bの表面1B及び裏面2Bに水又は樹脂水溶液を塗布し(塗布工程S5)、乾燥基材10Bの表面1B及び裏面2Bの表層部を軟化させていた。これにより、加熱圧縮工程S6において乾燥基材10Bを加熱圧縮する際に亀裂や割れが生じるのを防止していた。
しかしながら、上述のように、第2乾燥工程S4は省略してもよく、その場合、塗布工程S5において、乾燥基材10Bの裏面2Bのみに水又は樹脂水溶液を塗布することとしてもよい。第2乾燥工程S4を省略する場合、乾燥基材10Bの表面1Bには、下塗り塗装工程S3において水性塗料が塗布されているため、塗布工程S5において乾燥基材10Bの表面1Bに水又は樹脂水溶液を塗布しなくても、乾燥基材10Bの表面1Bの表層部を軟化させることができる。
以上説明したように、本発明は、住宅等の建物の内装材、造作材、開口部材、家具等の化粧材として用いられる無機質化粧板の製造方法について有用である。
1 表面
2 裏面
3 溝
3a 第1側面
3b 第2側面
3c 底面
10 基材
10C エンボス基材
11 表層
20 エンボス型
30 塗膜
30a 溝内塗膜
30b 溝外塗膜
40 ノズルヘッド
50 無機質化粧板
60 ピンネイル

Claims (3)

  1. 少なくとも表層が鉱物質繊維と無機質紛状体と結合剤とを主成分として含む無機質層に構成された基材をエンボス型で加熱圧縮して表面に凹凸模様を形成する加熱圧縮工程と、該加熱圧縮工程後、上記基材の表面にインクジェット塗装を施す塗装工程とを備えた無機質化粧板の製造方法であって、
    上記加熱圧縮工程の前に行われ、上記基材の表面に塗装を施して下塗り塗膜層を形成する下塗り塗装工程をさらに備え、
    上記下塗り塗装工程では、ガラス転移点が0℃以下のアクリル樹脂を主成分とする水性塗料で上記基材の表面を塗装し、
    上記塗装工程は、上記加熱圧縮工程後、上記基材の表面に上記インクジェット塗装を施して上記凹凸模様を有する上塗り塗膜層を形成する上塗り塗装工程であり、
    上記上塗り塗装工程時には、上記凹凸模様の凹部となる複数の溝の内面が、該溝以外の部分よりも濃色に着色されるように塗装する
    ことを特徴とする無機質化粧板の製造方法。
  2. 請求項1において、
    上記インクジェット塗装時には、上記溝の内面の上部から底部に向かって該底部側ほど濃色に着色されるように塗装する
    ことを特徴とする無機質化粧板の製造方法。
  3. 請求項1又は2において、
    上記複数の溝は、平行に延び、
    上記各溝は、一方側の第1側面が他方側の第2側面よりも上記基材の平坦な裏面に対する傾斜角度が大きくなる又は面積が大きくなるように形成され、
    上記インクジェット塗装時には、上記各溝において、上記第2側面、底面、上記第1側面の順に塗装されるように、上記基材と着色インクを噴射するノズルヘッドとを上記各溝の延伸方向に直交する方向に相対移動させる
    ことを特徴とする無機質化粧板の製造方法。
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