JP6587767B1 - 防寒用衣服及び防寒用衣服の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
一般に羽毛を使った衣服は、2枚の生地の間に羽毛を充填している。しかし、単に2枚の生地の間に羽毛を充填するだけでは、羽毛が一部に偏ってしまって均等に分散配置されないため、保温機能が低下し意匠的にも好ましくない。
そのため、所定の間隔で2枚の生地を縫付けるキルティング加工を施し、羽毛が大きく移動し偏るのを防止し製品全体に均等に羽毛が配置されるようしたり、羽毛をダウンパックと呼ばれる袋状の中生地内に収納し、そのダウンパックを2枚の生地を縫い付けてできた空間に介在させたりして、羽毛の偏りや吹き出しを防止しているものがある。
しかし、羽毛は軽量で一つ一つが非常に細かいことから、生地の繊維の隙間や、キルティング加工時に2枚の生地を縫い合わせた針穴から吹き出してしまう。特に衣服用の生地は伸縮するものが使われるため、着用時に生地が伸びるとさらに羽毛が吹出やすくなってしまう。
このような羽毛の吹き出しを防止するために、羽毛を使った衣服の多くは、表生地やダウンパックの中生地にダウンプルーフ加工が施される。ダウンプルーフ加工は、高密度に織られた生地にローラーの圧力と熱を使って目詰め加工を施し、タテ糸とヨコ糸の隙間を埋めたもので、繊維の目がより細かくなり羽毛を抜けにくくする効果がある。しかし、ダウンプルーフ加工を施した衣服は、保温性は高いものの吸湿性や通気性が非常に悪く蒸れやすく、さらに全体に重量増になることは避けられない。
しかし、羽毛の充填量を増やすと、その分嵩張ってしまうためモコモコになり、着用すると嵩張り着ぶくれし、動きにくく、また冬期以外の保管時や、外出先で脱いだ後など場所をとるため、取り扱いしにくいという問題があった。
そのため、近年は嵩張らない羽毛を使った衣服が着目されている。
嵩張りを抑える方法として、羽毛の量を減らしたり、ダウンプルーフ加工する生地自体を超軽量化したり、キルティング加工を、縫製ではなく圧着加工にして縫い目を減らし保温性を高めたり等、様々な方法が採られている。
例えば、特開2014−25190号公報には、「表地と裏地の間に、羽毛、羽根、綿、あるいは合成繊維等の繊維片が絡み合った繊維体が充填された防寒用被服であって、表地と裏地の間において、内部に気泡が散在する可撓性の発泡シートが表地および裏地の平面方向と同一方向に展開する態様で内在していることを特徴とする防寒用被服。」が開示されている。
上記特許文献1の防寒用被服は、発泡シートは、内部に散在する気泡の効果により熱伝導率が低く断熱効果が高いため、保温性が格段に向上し、羽毛の充填量を抑えることができ全体として嵩張らず動きやすいものとなる。また、発泡シートが可撓性のシートから構成されていることも、着用者の動きに対する追従性を高め、動きやすさを助ける。
しかし、発泡シートを使い羽毛を増やすことなく保温性を向上させ、嵩張らず動きやすくした一方で、通気性が大きく損なわれる。通気性が悪いところに、保温性が高いことで、ちょっと汗ばんでしまった場合などは、蒸れてしまい不快極まりない。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、羽毛の暖かさを備え軽量で嵩張らず保温性が優れ、かつ羽毛の吹き出しがなく、さらに通気性の高い防寒用衣服及び防寒用衣服の製造方法を提供するものである。
〈1〉衣服を構成する身生地と、羽毛を含む防寒部材とが縫合されてなり、前記防寒部材が、伸縮性を有する2枚の生地の間に、上面及び下面に蜘蛛の巣状の樹脂層が積層された羽毛繊維層が配置されて一体に積層されてなることを特徴とする防寒用衣服。
〈2〉前記衣服を構成する身生地と、羽毛を含む防寒部材との縫合が、前記防寒部材の片面に衣服を構成する身生地を重ねて施されることを特徴とする前記〈1〉に記載の防寒用衣服。
〈3〉前記衣服を構成する身生地と、羽毛を含む防寒部材との縫合が、前記防寒部材の両面に衣服を構成する身生地を重ね、2枚の衣服を構成する身生地間に前記防寒部材を挟み込むようにして施されることを特徴とする前記〈1〉に記載の防寒用衣服。
〈4〉前記防寒部材の羽毛繊維層が、0.3〜3.0mmであることを特徴とする前記〈1〉に記載の防寒用衣服。
〈5〉前記羽毛繊維層の上面と下面に積層される蜘蛛の巣状の樹脂層が、それぞれ0.1mm〜1.0mmであることを特徴とする前記〈1〉に記載の防寒用衣服。
〈6〉前記蜘蛛の巣状の樹脂層を構成する樹脂が、ポリウレタンを主材とする樹脂であって、ポリウレタンの含有量が50%以上であることを特徴とする前記〈1〉に記載の防寒用衣服。
〈7〉前記防寒用衣服が、衣服を構成する身生地と、前記衣服を構成する身生地と同型に裁断された前記防寒部材とを重ねて、その外周部を縫合してなることを特徴とする前記〈1〉〜〈6〉のいずれか1項に記載の防寒用衣服。
〈8〉前記防寒用衣服が、パンツ、ジャケット、ベスト、帽子のいずれかであって、前記防寒部材が、少なくともその一部に用いられてなることを特徴とする前記〈1〉〜〈6〉のいずれか1項に記載の防寒用衣服。
(1)基台上に羽毛を積層する側を上面にした第2生地を載せ、
(2)前記第2生地に蜘蛛の巣状に樹脂を噴霧して蜘蛛の巣状の樹脂層を設け、
(3)前記蜘蛛の巣状の樹脂層の上に羽毛を積層し羽毛繊維層を設け、
(4)前記羽毛繊維層の上に、蜘蛛の巣状に樹脂を噴霧して蜘蛛の巣状の樹脂層を設け、
(5)前記蜘蛛の巣状の樹脂層の上に、羽毛を積層する側を下面にした第1生地を載せ積層体を製造し、
(6)前記積層体を加熱プレスし、乾燥して一体化して防寒部材を形成し、
(7)前記防寒部材を、衣服を構成する身生地と縫合し、
(8)前記防寒部材と縫合した衣服を構成する身生地で衣服を製造
してなることを特徴とする防寒用衣服の製造方法。
〈1〉本発明にかかる防寒用衣服は、衣服を構成する身生地と、羽毛を含む前記衣服を構成する身生地と同型の防寒部材とが重ねられて、その外周部が縫合されてなり、前記防寒部材が、伸縮性を有する2枚の生地の間に、上面及び下面に蜘蛛の巣状の樹脂層が積層された羽毛繊維層が配置されて一体に積層されてなるので、羽毛が蜘蛛の巣状の樹脂層を介して2枚の生地に固着され、防寒部材が蜘蛛の巣状の樹脂の隙間を備えて形成されるので、通気性が高く蒸れることがなく、かつ硬くなりにくく柔軟であり、衣服、特にパンツなど動きが多く伸縮性が必要な衣服でも快適に着用できる。さらに2枚の生地と羽毛とがそれぞれ蜘蛛の巣状の樹脂層でしっかり固着されるので、縫製した際に縫い目から羽毛が吹き出すことなく、また羽毛が偏ることもなく、かつ、羽毛繊維層により羽毛の保温性が発揮され暖かく、またダウンパックやダウンプルーフ加工を必要とせずしないので、軽量で動きやすく快適に着用できる。
また、2枚の生地と、羽毛繊維層の間にそれぞれ蜘蛛の巣状の樹脂層が積層されているので、羽毛が前記2枚の生地から飛び出ることもなく、羽毛繊維層が2枚の生地にしっかりとなじみ、羽毛による凹凸等によって生じる浮きや空気による膨れ等がなく、着用時のファッション性を損ねることなく、滑らかでしなやかな外観の衣服となる。
また、本発明にかかる防寒用衣服を構成する防寒部材は、羽毛繊維層の厚さが0.3〜3.0mmという薄さで構成され、伸縮性のある2枚の生地に、それぞれ蜘蛛の巣状の樹脂層を介して積層されてなりあたかも1枚の生地のように一体に形成されるので、本発明にかかる防寒用衣服は伸縮性に優れ、着やすく、動きやすく、嵩張らず、コンパクトに畳めることができ保管もしやすい。
〈4〉そして、防寒部材の羽毛繊維層の上面と下面に積層される蜘蛛の巣状の樹脂層は、それぞれ0.1〜1.0mm程度の薄さで構成されるので、衣服の使用用途に合わせて、蜘蛛の巣状の樹脂層を2層、3層と厚くして保温性を高めることもできる。
〈5〉また、前記蜘蛛の巣状の樹脂層を構成する樹脂が、ポリウレタンを主材とする樹脂であって、ポリウレタンの含有量が50%以上なので、防寒部材は固くなりすぎず、2枚の生地の伸縮性に十分に追従できる。
〈6〉そして、本発明にかかる防寒用衣服は、該防寒用衣服を構成する身生地と、前記衣服を構成する身生地と同型に裁断された前記防寒部材とを重ねて、その外周部を縫合してなるパーツを用いて製造されるので、防寒用衣服を構成する身生地に特別な加工、例えばキルティング加工やダウンプルーフ加工を施す必要がなく、製造が容易である。
また、衣服を構成する身生地は、特別な加工を施されることがなく、着用しやすい程度の伸縮性があればよく素材は特に限定されず、表面に、防水、撥水加工や吸水加工等することによりあらゆる用途の衣服に採用できる。
(1)基台上に羽毛を積層する側を上面にした第2生地を載せ、(2)前記第2生地に蜘蛛の巣状に樹脂を噴霧して蜘蛛の巣状の樹脂層を設け、(3)前記蜘蛛の巣状の樹脂層の上に羽毛を積層し羽毛繊維層を設け、(4)前記羽毛繊維層の上に、蜘蛛の巣状に樹脂を噴霧して蜘蛛の巣状の樹脂層を設け、(5)前記蜘蛛の巣状の樹脂層の上に、羽毛を積層する側を下面にした第1生地を載せ積層体を製造し、(6)前記積層体を加熱プレスし、乾燥して一体化して防寒部材を形成し、(7)前記防寒部材を、衣服を構成する身生地と縫合し、
(8)前記防寒部材と縫合した衣服を構成する身生地で衣服を製造することで製造できるので、製造時に羽毛が飛び散ることもなく、またダウンプルーフ加工やキルティング加工など特殊な縫製や加工を必要とせず、通常の衣服の製造と同様の工程で、保温性が高く軽量で嵩張らず、かつ通気性の高い防寒用衣服を製造できる。
以下実施例はパンツを例として説明するが、本発明は防寒用の衣服全般に応用できるものであり、特に限定するものではない。
図1は本発明にかかる防寒用衣服の断面の一例を示す断面図であり、図2は本発明にかかる防寒用衣服を構成する防寒部材の断面の一例を示す断面図である。
図において、1は防寒部材、1aは前パンツ用防寒部材、1bは後パンツ用防寒部材、2aは第1生地、2bは第2生地、3a、3bは蜘蛛の巣状の樹脂層、4は羽毛繊維層、5は縫合部、6は衣服を構成する身生地、6aは前パンツ、6bは後パンツ、7aは前パンツ用パーツ、7bは後パンツ用パーツ、8は防寒用衣服、40は羽毛である。
一般に衣服に用いられる布帛でよく、本発明では防寒部材1と縫合して用いられることから、防寒部材1の動きに追従する伸縮性を有する布帛が好ましい。衣服を構成する身生地6を縦糸と横糸を織り込んで構成される布帛とすることで、より高い通気性が確保でき、伸縮性を備えるので脱いだり着たりしやすい防寒用衣服となる。
なお、衣服の用途によって、衣服を構成する身生地6の表面を防水加工、撥水加工等を施すこともできる。
説明の便宜上、第1生地2a、第2生地2bとしているが、どちらの生地も特に裏表はなく用いることができる。
第1生地2a及び第2生地2bは、伸縮性を有する生地であれば、綿、絹、麻等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル系繊維等の合成繊維などの織物、編物、あるいは不織布等を用いることができ、特に、前記衣服を構成する身生地6と同様に布帛、すなわち縦糸と横糸を織った織物であれば繊維間を空気が抜け、高い通気性を維持できる。なお、第1生地2aと第2生地2bは伸縮性を備えれば同じ素材でも、異なる素材でもよく、製造するものによって適宜素材を選ぶことができる。
なお、防寒部材1を1枚の衣服を構成する身生地6と縫合して衣服を製造する場合は、前記衣服を構成する身生地6が衣服の外側になり、防寒部材1の第1生地2a又は第2生地2bが着用者の身体側の衣服の内側になることから、それを考慮して第1生地及び第2生地の素材を選択することが好ましい。
なお、軽量で暖かく風合いが柔らかいことから天然の羽毛が好ましいが、本発明の構成は、人工羽毛、人工羽毛綿と呼ばれる合成繊維の疑似羽毛を用いてもよい。
蜘蛛の巣状の樹脂層3a、3bは、例えば、熱可塑性あるいは熱硬化性の樹脂、例えば、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド系の各樹脂又は繊維から選ばれる材料で構成される。
特に繊維状にしたポリウレタンは伸縮性に優れ、接着力が高く好適に用いられる。
前記蜘蛛の巣状の樹脂層を構成する樹脂をポリウレタンとした場合、ポリウレタンを主材とし、ポリウレタンの含有量を50%以上とする樹脂を使うことができ、特に60%以上であれば、硬化後に固くなりすぎずに伸縮性を保持した状態で羽毛繊維層4と第1生地や第2生地を接着できるので好適である。より好ましいのは、80%以上である。
さらに、蜘蛛の巣状の樹脂層3a、3bには、多数の通気孔が形成されるので、第1生地2aや第2生地2bと接着しても固くなりにくく、またその通気孔により空気が抜けやすくなり蒸れを防止する。
本発明では、前記蜘蛛の巣状の樹脂層3a、3bの樹脂による接着効果により羽毛40自体が相互に接着されることになるため、羽毛40が単独で第1生地2aや第2生地2bから吹き出ることがない。
したがって、本発明にかかる防寒部材1の第1生地2a及び第2生地2bは、特に高密度の素材に限定されず密度は問わず、またダウンプルーフ加工の有無にも関係なく、任意の素材を使用しても、確実に羽毛40の吹き出しや抜け、衣服への加工時の飛び散り等を防止することができるものとなっている。
このように本発明は、蜘蛛の巣状の樹脂層3a、3bを設けることで、様々な問題を格段に減少させ、羽毛による保温性を保持しつつ、通気性の高い防寒部材を実現している。
前記蜘蛛の巣状の樹脂層3a、3bは、第1生地2aや第2生地2bの素材や、羽毛40の量、構成する衣服の用途等を考慮して、噴霧回数を増やし、蜘蛛の巣状の樹脂層3a、3bを2層、3層...と増やしてもよい。例えば、0.1mmの蜘蛛の巣状の樹脂層3a、3bを2層、3層とすることで、全体の厚さは1.0mm以内に抑えつつ、蜘蛛の巣状の密度を高くすることができ、より羽毛40の吹き出しや抜けを防止できるとともに、より高い保温性が期待できる。層を増やして蜘蛛の巣状の密度を高くしても、蜘蛛の巣状で形成される隙間は形成されるので、通気性を損なうことはない。
したがって、さらに好ましくは、第1生地2a及び第2生地2bの素材にもよるが、羽毛繊維層4の厚さαが0.4〜0.8mm程度になるよう羽毛の量を調整すると、軽量で嵩張らず、プレス加工によって一枚の生地のように扱え、衣服を構成する身生地6との縫合もしやすく、それにより製造された防寒用衣服8は、動きやすく、着やすく、嵩張って見えずファッション性が高いものとなる。
なお、厚さαは、最終形態における羽毛繊維層4の厚さであり、第1生地2aと第2生地2bを除いた部分の厚さである。すなわち、第1生地2a、蜘蛛の巣状の樹脂層3a、羽毛繊維層4、蜘蛛の巣状の樹脂層3b、第2生地2bの順に積層された積層体が、加熱され蜘蛛の巣状の樹脂層3a、3bの樹脂材料が溶かされプレスされた状態において、第1生地2aと第2生地2bを除いた部分の厚さである。羽毛繊維層4を極めて薄い状態にすることで、防寒部材1をあたかも一枚の生地のように仕上げることが可能となっている。
また、各種衣服の一部に本発明にかかる防寒部材1を用いることもできる。例えば、ジャケットの前身頃と後身頃だけ該防寒部材1を縫合し、袖部を既存の薄手の生地を用いるなど組み合わせて、デザイン性の高い製品とすることもできる。
同様に、本発明にかかる防寒部材1は、寝装品についても用いることができる。寝装品の場合には、寝装品の第1生地と第2生地にそれぞれ防寒部材1を縫合して寝装品を製造してもよく、あるいは第1生地と第2生地の間に防寒部材1を挟んで周縁部を縫合する構成としてもよく、さらに第1生地あるいは第2生地の一部に防寒部材1を縫合する構成とすることもできる。
本発明にかかる防寒部材1の製造方法の一例としては、
(1)基台上に羽毛40を積層する側を上面にした第2生地2bを載せ、
(2)前記第2生地2bに蜘蛛の巣状に樹脂を噴霧して蜘蛛の巣状の樹脂層3bを設け、
(3)前記蜘蛛の巣状の樹脂層3bの上に羽毛40を積層し羽毛繊維層4を設け、
(4)前記羽毛繊維層4の上に、蜘蛛の巣状に樹脂を噴霧して蜘蛛の巣状の樹脂層3aを設け、
(5)前記蜘蛛の巣状の樹脂層3aの上に、羽毛40を積層する側を下面にした第1生地2aを載せ積層体を製造し、
(6)前記積層体を加熱プレスし、乾燥して一体化
して防寒部材1が製造される。
第2生地2b上に積層される蜘蛛の巣状の樹脂層3bは、あらかじめ、蜘蛛の巣状に成形した樹脂シートや樹脂テープを配置することもできるが、第2生地2bの形状に柔軟に対応すべく樹脂を蜘蛛の巣状に噴霧して蜘蛛の巣状の樹脂層3bを形成することが好ましい。
このように、蜘蛛の巣状の樹脂層3bを設けることにより、防寒部材1が伸縮性を備え、格段に羽毛30が第1生地2から抜け出ることを防止できるとともに、高い通気性を備えたものとすることができる。
本実施例において、第2生地2bに蜘蛛の巣状に噴霧される樹脂は、ポリウレタンの主材とする樹脂で、ポリウレタンの含有量が50%以上のものを使用している。特にポリウレタンの含有量が60%以上であると、防寒部材1として最適な伸縮性や接着性を有し好適である。
羽毛供給手段は、できるだけムラなく積層できる方法が選択される。例えば、塗布された蜘蛛の巣状の樹脂層5の上に羽毛を自然落下させる方法や、電極を配置して静電植毛と同様の方法により羽毛を吸着させてもよい。
第3工程で羽毛40を積層し羽毛繊維層4を形成した後に、前記羽毛繊維層4の上面に蜘蛛の巣状の樹脂層3aを構成する樹脂材料を噴霧し、第1生地2aを積層する(第4工程)。
圧縮手段によるプレスは、羽毛繊維層4が所定の厚さαになるように調整される。
図示しないが、上記一連の製造工程を、製造ライン上で実施することで、仕上がった防寒部材1をロール状に巻き上げて仕上げることもできる。
なお、プレス機と乾燥機による作業は別でなくてもよく、ホットプレス機等で一気に圧縮(圧着)と加熱及び乾燥を同時に行えば、作業効率を高めることができる。
本発明にかかる防寒用衣服8の製造方法の一例としては、
前記工程で製造された防寒部材1を、衣服を構成する身生地6に積層し(第7、8工程)、防寒部材1と衣服を構成する身生地6を縫合する(第9工程)。
なお、防寒部材1と衣服を構成する身生地6の縫合は、図6に示すように、衣服を製造する部材単位で行う。
例えば、防寒用衣服8としてパンツを製造する際の部材となる前パンツ6aと後パンツ6bに、略同型に裁断された防寒部材を縫合する。
第10工程では、準備段階として、衣服を構成する身生地6を前パンツ6aと後パンツ6bに裁断し、次に防寒部材1を、該前パンツ6a、後パンツ6bと同型に裁断し、前パンツ用防寒部材1a、後パンツ用防寒部材1bを準備する。
そして、前パンツ6aと前パンツ用防寒部材1aを重ね、後パンツ6bと後パンツ用防寒部材1bを重ね(第11工程)、それぞれ縫合部5で縫合し、前パンツ用パーツ7a及び後パンツ用パーツ7bを作る(第12工程)。
こうして出来た前パンツ用パーツ7aと後パンツ用パーツ7b(図6(a))を使って、防寒部材1側を内側にして、一般的なパンツの製造工程でパンツ(防寒用衣服8)を仕上げる(図6(b))。
特に、衣服を製造する部材ごとに、衣服を構成する身生地6と防寒部材1を重ねて、その外周部を縫合するだけで各パーツができるので、衣服に別途縫い目や筋などがなく、審美性に優れた防寒用衣服となる。
なお、衣服を構成する身生地6の性質や大きさ、質によって、外周部に加えて任意の個所を縫合することを妨げるものではない。
本発明にかかる防寒用衣服8は、縫合される防寒部材1に羽毛繊維層4を備えることで保温性を高め、また、蜘蛛の巣状の樹脂層3a、3bを積層することで通気性を高め、防寒用衣服全体として通気性がよく蒸れることなく快適に着用でき、優れた運動追従性を備える。
1a 前パンツ用防寒部材
1b 後パンツ用防寒部材
2a 第1生地
2b 第2生地
3a、3b 蜘蛛の巣状の樹脂層
4 羽毛繊維層
5 縫合部
6 衣服を構成する身生地
6a 前パンツ
6b 後パンツ
7a 前パンツ用パーツ
7b 後パンツ用パーツ
8 防寒用衣服
40 羽毛
Claims (8)
- 衣服を構成する身生地と、羽毛を含む前記衣服を構成する身生地と同型の防寒部材とが重ねられて、その外周部が縫合されてなり、
前記防寒部材が、伸縮性を有する2枚の生地の間に、上面及び下面に蜘蛛の巣状の樹脂層が積層された羽毛繊維層が配置されて一体に積層されてなることを特徴とする防寒用衣服。 - 前記衣服を構成する身生地と、羽毛を含む前記衣服を構成する身生地と同型の防寒部材との縫合が、前記防寒部材の片面に衣服を構成する身生地を重ねて施されることを特徴とする請求項1に記載の防寒用衣服。
- 前記衣服を構成する身生地と、羽毛を含む前記衣服を構成する身生地と同型の防寒部材との縫合が、前記防寒部材の両面に衣服を構成する身生地を重ね、2枚の衣服を構成する身生地間に前記防寒部材を挟み込むようにして施されることを特徴とする請求項1に記載の防寒用衣服。
- 前記防寒部材の羽毛繊維層の厚さが、0.3〜3.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の防寒用衣服。
- 前記羽毛繊維層の上面と下面に積層される蜘蛛の巣状の樹脂層の厚さが、それぞれ0.1〜1.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の防寒用衣服。
- 前記蜘蛛の巣状の樹脂層を構成する樹脂が、ポリウレタンを主材とする樹脂であって、ポリウレタンの含有量が50%以上であることを特徴とする請求項1に記載の防寒用衣服。
- 前記防寒用衣服が、パンツ、ジャケット、ベスト、帽子のいずれかであって、前記防寒部材が、少なくともその一部に用いられてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の防寒用衣服。
- 衣服を構成する身生地と、羽毛を含む前記衣服を構成する身生地と同型の防寒部材とが縫合されてなる防寒用衣服の製造方法であって、
(1)基台上に羽毛を積層する側を上面にした第2生地を載せ、
(2)前記第2生地に蜘蛛の巣状に樹脂を噴霧して蜘蛛の巣状の樹脂層を設け、
(3)前記蜘蛛の巣状の樹脂層の上に羽毛を積層し羽毛繊維層を設け、
(4)前記羽毛繊維層の上に、蜘蛛の巣状に樹脂を噴霧して蜘蛛の巣状の樹脂層を設け、
(5)前記蜘蛛の巣状の樹脂層の上に、羽毛を積層する側を下面にした第1生地を載せ積層体を製造し、
(6)前記積層体を加熱プレスし、乾燥して一体化して防寒部材を形成し、
(7)前記防寒部材を、前記衣服を構成する身生地と同型に裁断し、衣服を構成する身生地と重ねて、その外周部を縫合し、
(8)前記防寒部材と縫合した衣服を構成する身生地で衣服を製造
してなることを特徴とする防寒用衣服の製造方法。
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