JP6583196B2 - シリコン単結晶の製造方法及び製造装置 - Google Patents

シリコン単結晶の製造方法及び製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、シリコン単結晶の製造方法及び製造装置に関するものである。
チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造装置において、シリコン融液の表面の上方に、それぞれ温度制御が可能な同心円状の多段のサブヒータを設け、シリコン単結晶を製造する際は、多段のサブヒータによってシリコン融液の表面を加熱する一方で、メインヒータの温度を下げることにより坩堝内壁の温度を下げ、これによりシリコン単結晶中の酸素濃度を低減するものが知られている(特許文献1)。
特開平5−294782号公報
しかしながら、上記従来技術では酸素濃度は低減できても、シリコン単結晶の引き上げ速度の制御性(ばらつき)は改善できない。
本発明が解決しようとする課題は、シリコン単結晶の引き上げ速度の制御性およびロバスト性を高めることができるシリコン単結晶の製造方法、シリコン単結晶の製造装置、引上げ速度の制御性又はロバスト性の評価方法及びシリコン単結晶製造装置の設計方法を提供することである。
第1の観点による発明は、チョクラルスキー法により坩堝に収容したシリコン融液からシリコン単結晶を育成するシリコン単結晶の製造方法において、
育成中のシリコン単結晶の最外周とシリコン融液との接点であるメニスカス部の温度をA(K)、前記育成中のシリコン単結晶の前記メニスカス部を起点とする前記シリコン融液の半径外側方向への距離をL(mm)、前記距離Lの位置における前記シリコン融液の自由表面の温度をB(K)とした場合に、Gs(K/mm)=(B−A)/Lで定義されるシリコン融液の自由表面上の温度勾配Gsが、前記距離Lの増加に伴い単調減少となるように、前記熱遮蔽部材の下端の開口径と、前記熱遮蔽部材の下端とシリコン融液面との距離を設定し、前記シリコン単結晶を育成するシリコン単結晶の製造方法によって上記課題を解決する。ここで、単調減少とは、極値を持たずに減少することをいい、距離Lの増加に伴い、温度勾配Gsが増加することなく減少することをいう。
特に限定されないが、上記第1の観点による発明において、前記距離Lに対する前記温度勾配Gsのプロファイルは、変曲点(変曲点とは、曲率の符号が変化する点をいう。)を示さないことが望ましい。
第2の観点による発明は、チャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、シリコン融液が収容される石英製の坩堝と、
前記石英製の坩堝の外周面を保護する黒鉛製の坩堝と、
前記チャンバ内の前記坩堝の周囲に設けられたヒータと、
前記チャンバ内の前記坩堝の上部に設けられ、育成中のシリコン単結晶を覆う筒状の熱遮蔽部材と、
前記チャンバ内の前記ヒータの周囲に設けられた保温筒と、を備え、
チョクラルスキー法により、坩堝に収容したシリコン融液からシリコン単結晶を育成するシリコン単結晶の製造装置において、
育成中のシリコン単結晶の最外周とシリコン融液との接点であるメニスカス部の温度をA(K)、前記育成中のシリコン単結晶の前記メニスカス部を起点とする前記シリコン融液の半径外側方向への距離をL(mm)、前記距離Lの位置における前記シリコン融液の自由表面の温度をB(K)とした場合に、Gs(K/mm)=(B−A)/Lで定義されるシリコン融液の自由表面上の温度勾配Gsが、前記距離Lの増加に伴い単調減少となるように、前記熱遮蔽部材の下端の開口径と、前記熱遮蔽部材の下端とシリコン融液面との距離が設定されているシリコン単結晶の製造装置により、上記課題を解決する。
上記第2の観点による発明において、前記温度勾配Gsが前記距離Lの増加に伴い単調減少となるように、少なくとも前記チャンバ、前記石英製の坩堝、前記黒鉛製の坩堝、前記ヒータ、前記熱遮蔽部材及び前記保温筒の形状、寸法、配置関係、材質及びこれらに起因する熱特性を設定してもよい。
第3の観点による発明は、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法における引上げ速度の制御性又はロバスト性を評価する方法において、
育成中のシリコン単結晶の最外周とシリコン融液との接点であるメニスカス部の温度をA(K)、前記育成中のシリコン単結晶の前記メニスカス部を起点とする前記シリコン融液の半径外側方向への距離をL(mm)、前記距離Lの位置における前記シリコン融液の自由表面の温度をB(K)とした場合に、Gs(K/mm)=(B−A)/Lで定義されるシリコン融液の自由表面上の温度勾配Gsが、前記距離Lの増加に伴い単調減少となるか否かを判定し、単調減少である場合は、前記引上げ速度の制御性又はロバスト性が良いと評価することにより、上記課題を解決する。
第6の観点による発明は、チャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、シリコン融液が収容される石英製の坩堝と、
前記石英製の坩堝の外周面を保護する黒鉛製の坩堝と、
前記チャンバ内の前記坩堝の周囲に設けられたヒータと、
前記チャンバ内の前記坩堝の上部に設けられ、育成中のシリコン単結晶を覆う筒状の熱遮蔽部材と、
前記チャンバ内の前記ヒータの周囲に設けられた保温筒と、を備え、
チョクラルスキー法によるシリコン単結晶製造装置のホットゾーンの設計方法において、
育成中のシリコン単結晶の最外周とシリコン融液との接点であるメニスカス部の温度をA(K)、前記育成中のシリコン単結晶の前記メニスカス部を起点とする前記シリコン融液の半径外側方向への距離をL(mm)、前記距離Lの位置における前記シリコン融液の自由表面の温度をB(K)とした場合に、Gs(K/mm)=(B−A)/Lで定義されるシリコン融液の自由表面上の温度勾配Gsが、前記距離Lの増加に伴い単調減少となるように、前記熱遮蔽部材の下端の開口径と、前記熱遮蔽部材の下端とシリコン融液面との距離を設定した状態で、前記ホットゾーンを構成する少なくとも一の部材の形状、寸法、配置関係、材質及びこれらに起因する熱特性を設計することにより、上記課題を解決する。
本発明では、シリコン融液の自由表面上の温度勾配Gsが、距離Lの増加に伴い単調減少となる製造条件を設定し、当該製造条件にてシリコン単結晶を育成すると、シリコン融液の自由表面の対流が安定するものと推察されるので、シリコン単結晶の引き上げ速度の制御性およびロバスト性を高めることができる。
本発明のシリコン単結晶の製造装置の一実施の形態を示す断面図である。 図1のホットゾーンHZを拡大して示す半断面図である。 図1のホットゾーンHZの条件が相違するシリコン単結晶の製造装置の実施例と比較例を用いて測定した距離Lとシリコン融液の自由表面Bの温度との関係を示すグラフである。 図3の実施例及び比較例の距離Lと温度勾配Gsとの関係を示すグラフである。
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態であるシリコン単結晶の製造装置を示す断面図である。図1に示すシリコン単結晶の製造装置1は、本発明に係るシリコン単結晶の製造方法も適用される。図示するシリコン単結晶の製造装置1は、円筒状の第1チャンバ11と、同じく円筒状の第2チャンバ12とを備え、これらは気密に接続されている。
第1チャンバ11の内部には、シリコン融液Mを収容する石英製の坩堝21と、この石英製の坩堝21を保護する黒鉛製の坩堝22とが、支持軸23で支持されるとともに、駆動機構24によって回転及び昇降が可能とされている。また、石英製の坩堝21と黒鉛製の坩堝22とを取り囲むように、環状のヒータ25と、同じく環状の、断熱材からなる保温筒26が配置されている。なお、黒鉛製の坩堝22は、炭素繊維強化炭素複合材(carbon fiber reinforced-carbon matrix-composite)から構成してもよい。また、石英製の坩堝21の下方にヒータを追加してもよい。
第1チャンバ11の内部であって、石英製の坩堝21の上部には、円筒状の熱遮蔽部材27が設けられている。熱遮蔽部材27は、モリブデン、タングステンなどの耐火金属又はカーボンからなり、シリコン融液Mからシリコン単結晶Cへの放射を遮断するとともに、第1チャンバ11内を流れるガスを整流する。熱遮蔽部材27は、保温筒26にブラケット28を用いて固定されている。この熱遮蔽部材27の下端に、シリコン融液Mの液面と対向するように遮熱部を設け、シリコン融液Mの表面からの輻射をカットするとともにシリコン融液Mの表面を保温するようにしてもよい。
第1チャンバ11の上部に接続された第2チャンバ12は、育成したシリコン単結晶Cを収容し、これを取り出すためのチャンバである。第2チャンバ12の上部には、シリコン単結晶をワイヤ31で回転させながら引上げる引上げ機構32が設けられている。引上げ機構32から垂下されたワイヤ31の下端のチャックには種結晶Sが装着される。第1チャンバ11の上部に設けられたガス導入口13から、アルゴンガス等の不活性ガスが導入される。この不活性ガスは、引上げ中のシリコン単結晶Cと熱遮蔽部材27との間を通過した後、熱遮蔽部材27の下端とシリコン融液Mの融液面との間を通過し、さらに石英製の坩堝21の上端へ立ち上がった後、ガス排出口14から排出される。
第1チャンバ11(非磁気シールド材からなる)の外側には、第1チャンバ11を取り囲むように、石英製の坩堝21内の融液Mに磁場を与える磁場発生装置41が配置されている。磁場発生装置41は、石英製の坩堝21に向けて、水平磁場を生じさせるものであり、電磁コイルで構成されている。磁場発生装置41は、石英製の坩堝21内の融液Mに生じた熱対流を制御することで、結晶成長を安定させ、結晶成長方向における不純物分布のミクロなバラツキを抑制する。特に大口径のシリコン単結晶を製造する場合にはその効果が大きい。なお、必要に応じて縦磁場又はカスプ磁場を発生させる磁場発生装置としてもよいし、必要に応じて磁場発生装置41を使用しなくてもよい。
本実施形態のシリコン単結晶の製造装置1を用いて、CZ法によりシリコン単結晶を育成するには、まず、石英製の坩堝21内に、多結晶シリコンや必要に応じてドーパントからなるシリコン原料を充填し、ガス導入口13から不活性ガスを導入しガス排出口14から排出しながら、ヒータ25を作動して石英製の坩堝21内でシリコン原料を融解し、シリコン融液Mとする。続いて、磁場発生装置41を作動して石英製の坩堝21への水平磁場の印加を開始しつつ、シリコン融液Mの温度を引き上げ開始温度となるように調温する。シリコン融液Mの温度と磁場強度が安定したら、駆動機構24によって石英製の坩堝21を所定速度で回転させ、ワイヤ31に装着された種結晶Sをシリコン融液Mに浸漬する。そして、ワイヤ31も所定速度で回転させながら静かに引上げて種絞りを形成した後、所望の直径まで拡径し、略円柱形状の直胴部を有するシリコン単結晶Cを成長させる。
シリコン単結晶Cの引き上げにともない石英製の坩堝21の液面が下がり、磁場発生装置41から石英製の坩堝21へ水平磁場を印加を含めてホットゾーンHZの条件が変動する。この液面の変動を抑制するため、シリコン単結晶Cの引き上げ中における融液Mの液面の鉛直方向の高さは、駆動機構24によって一定となるように制御される。この駆動機構24の制御は、例えば、石英製の坩堝21の位置、CCDカメラなどで測定したシリコン融液Mの液面の位置、シリコン単結晶Cの引上げ長さ等の情報に応じて実行され、これにより石英製の坩堝21の上下方向の位置が駆動機構24によって移動する。
ホットゾーンHZとは、シリコン単結晶の育成中にヒータ25からの熱によって高温となる領域をいい、ホットゾーンHZの条件とは、第1チャンバ11、石英製の坩堝21、黒鉛製の22、支持軸23、ヒータ25、保温筒26、熱遮蔽部材27、シリコン融液M、シリコン単結晶Cなどの形状、寸法、配置関係、材質及びこれらに起因する各種熱特性をいう。図2は、ホットゾーンHZの要部を拡大して示す半断面図である。ホットゾーンHZの条件としての、第1チャンバ11、石英製の坩堝21、黒鉛製の22、支持軸23、ヒータ25、保温筒26、熱遮蔽部材27、シリコン融液M、シリコン単結晶Cなどの形状、寸法、配置関係、材質及びこれらに起因する各種熱特性の一例を挙げると、図2に示す、熱遮蔽部材27の下端の開口径D(直径又は半径)と、熱遮蔽部材27の下端とシリコン融液面FSとの距離Gaが挙げられる。
ここで、実際のシリコン単結晶製造装置について、D(直径)=D1mm,Ga=Ga1mmに設定した実施例に係る製造装置を用いてn=156本のシリコン単結晶を引上げる一方、D(直径)=D1+60mm,Ga=Ga1+15mmに設定した比較例に係る製造装置を用いてn=81本のシリコン単結晶を引上げた。そして、これら実施例及び比較例における引上げ速度Vの速度実績値の移動平均のばらつき(mm/min)を測定したところ、下記表1のとおりであった。なお、表1の速度実績値の移動平均のばらつきは、(1)まず、1分毎に採取した結晶育成速度の瞬時値を、結晶育成方向の50mm区間で平均化処理することにより移動平均速度を算出し、(2)次に、1分毎に結晶育成速度の設定値と前記移動平均速度の差異を求め、引き上げられたシリコン単結晶1本分の製品取得領域全長について、その差異の平均値(シリコン単結晶1本分の平均値)を求め、(3)最後に、このようにして得られるシリコン単結晶1本分の平均値を、引き上げられたシリコン単結晶の全数(実施例の場合はシリコン単結晶156本、比較例の場合はシリコン単結晶81本)のそれぞれについて求めた後、全数分の平均値(実施例の場合はシリコン単結晶156本の平均値、比較例の場合はシリコン単結晶81本の平均値)を求めて、これを表1の“速度実績値の移動平均のばらつき”とした。
この結果によれば、CZ法によりGrown−in欠陥を存在させない無欠陥領域によるシリコン単結晶の製造制御法による引上速度の制御性を比較すると、表1に示すとおり、比較例は実施例に比べて1.86倍も悪化することとなった。
Figure 0006583196
そこで、D(直径)=D1mm,Ga=Ga1mmに設定した実施例に係る製造装置と、D(直径)=D1+60mm,Ga=Ga1+15mmに設定した比較例に係る製造装置について、その他のホットゾーンHZの条件である、第1チャンバ11、石英製の坩堝21、黒鉛製の22、支持軸23、ヒータ25、保温筒26、熱遮蔽部材27、シリコン融液M、シリコン単結晶Cなどの形状、寸法、配置関係、材質及びこれらに起因する各種熱特性を実施例と比較例とで同じ条件に設定し、電子計算機上でCrysMAS(Fraunhofer Institute社製総合伝熱解析シミュレーションソフトウェア)による300mmシリコン単結晶の製造シミュレーションを実施した。なお、CrysMASを用いたシミュレーション解析においては、坩堝内の融液の対流は考慮せず、二次元軸対称モデル(三次元モデルでもよいが本例ではより簡易な二次元モデルを用いた。)による伝熱解析シミュレーションを実施した。この場合のシミュレーションにおいては、例えば特許第4048660号公報に記載のように、チョクラルスキー法(CZ法)によりGrown−in欠陥を存在させない無欠陥領域のシリコン単結晶を製造する方法の範囲内で実施した。すなわち、引上げ軸方向の結晶中心部の温度勾配をGc、結晶外周部の温度勾配をGeとしたとき、Gc/Geが、T>1360℃の範囲では、Gc/Ge=−0.007T+10.62、1230℃≦T≦130℃の範囲では、Gc/Ge≧1.0を満足する製造条件でシリコン単結晶を製造する。
ここで、図2に示すように、育成中のシリコン単結晶Cの最外周とシリコン融液Mとの接点であるメニスカス部P1の温度をA(K)、育成中のシリコン単結晶Cを起点(具体的にはメニスカス部P1を起点)とするシリコン融液Mの半径外側方向(P3は自由表面FSと石英製の坩堝21の内壁面との接点)への距離をL(mm)、距離Lの位置P2におけるシリコン融液の自由表面FSの温度をB(K)とした場合における、距離Lとシリコン融液の自由表面Bの温度との関係をCrysMASにより解析した。この結果を図3に示す。この図3のシミュレーション結果によれば、実施例及び比較例ともに、シリコン融液Mの半径外側方向に向かって単調に温度上昇しており、比較例の方が外周部の温度が高いので、シリコン融液Mの自由表面FSの対流はより安定するようにも思える。
しかしながら、図3に示す結果と表1に示す結果とを整合させるべく、本発明者らは、Gs(K/mm)=(B−A)/Lで定義されるシリコン融液Mの自由表面FS上の温度勾配Gsを演算したところ、図4に示す結果となった。すなわち、実施例は距離Lが大きくなるにしたがい温度勾配Gsが単調減少し、温度プロファイルは変曲点を示さない。これに対して、比較例は、図3では明らかではないが、図4に示すように、距離Lが大きくなると温度勾配Gsが一旦急激に減少したのち緩やかに上昇し、再び緩やかに減少する。すなわち、温度プロファイルは、メニスカス部P1の近傍において下に凸の極値を示す。このように定義された温度勾配Gsと距離Lとの関係のプロファイルを求めると、図3に示す温度と距離との関係のプロファイルでは見出せなかったシリコン融液Mの自由表面FSの対流の安定性が明確になった。すなわち、図4の実施例に示すように距離Lが大きくなるにしたがい温度勾配Gsが単調減少するということは、シリコン融液Mの自由表面FSの対流が安定しているものと推察される。したがって、引上げ速度が大きくばらつかない。これに対して、図4の比較例に示すように距離Lが大きくなるにしたがい温度勾配Gsのプロファイルが変曲点を示すということは、シリコン融液Mの自由表面FSの対流に停滞部分が生じているものと推察される。したがって、引上げ速度が大きくばらつく結果となる。
以上のように、Gs(K/mm)=(B−A)/Lで定義されるシリコン融液の自由表面上の温度勾配Gsが、距離Lの増加に伴い単調減少となる製造条件、特にホットゾーンHZの条件を設定し、当該製造条件にてシリコン単結晶を育成すると、シリコン単結晶の引き上げ速度の制御性およびロバスト性を高めることができる。その結果、チョクラルスキー法(CZ法)によりGrown−in欠陥を存在させない無欠陥領域によるシリコン単結晶を比較的容易に製造することができる。
なお、上述した実施形態の熱遮蔽部材27の下端の開口径D(直径又は半径)と、熱遮蔽部材27の下端とシリコン融液面FSとの距離Gaの設定条件は、ホットゾーンHZの熱特性の一例であって、この他にも少なくとも第1チャンバ11、石英製の坩堝21、黒鉛製の坩堝22、ヒータ25、熱遮蔽部材27及び保温筒26の形状、寸法、配置関係、材質及びこれらに起因する熱特性を適正値に設定することで、同様に、シリコン融液の自由表面上の温度勾配Gsが、距離Lの増加に伴い単調減少となる製造条件を得ることができる。具体的な方法としては、上述したCrysMASのシミュレーションソフトウェアを用い、電子計算機上でホットゾーンHZを構成する部品の形状、寸法、配置関係、材質を種々に変更すれば、温度勾配Gsが距離Lの増加に伴い単調減少となる条件を容易に得ることができる。
1…シリコン単結晶の製造装置
11…第1チャンバ
12…第2チャンバ
13…ガス導入口
14…ガス排出口
21…石英製の坩堝
22…黒鉛製の坩堝
23…支持軸
24…駆動機構
25…ヒータ
26…保温筒
27…熱遮蔽部材
28…ブラケット
31…ワイヤ
32…引上げ機構
41…磁場発生装置
M…シリコン融液
C…シリコン単結晶
S…種結晶
HZ…ホットゾーン

Claims (6)

  1. チョクラルスキー法により坩堝に収容したシリコン融液からシリコン単結晶を育成するシリコン単結晶の製造方法において、
    育成中のシリコン単結晶の最外周とシリコン融液との接点であるメニスカス部の温度をA(K)、前記育成中のシリコン単結晶の前記メニスカス部を起点とする前記シリコン融液の半径外側方向への距離をL(mm)、前記距離Lの位置における前記シリコン融液の自由表面の温度をB(K)とした場合に、Gs(K/mm)=(B−A)/Lで定義されるシリコン融液の自由表面上の温度勾配Gsが、前記距離Lの増加に伴い単調減少となるように、育成中の前記シリコン単結晶を覆う筒状の熱遮蔽部材の下端の開口径と、前記熱遮蔽部材の下端とシリコン融液面との距離を設定し、前記シリコン単結晶を育成するシリコン単結晶の製造方法。
  2. 前記距離Lに対する前記温度勾配Gsのプロファイルは、変曲点を示さない請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  3. チャンバと、
    前記チャンバ内に設けられ、シリコン融液が収容される石英製の坩堝と、
    前記石英製の坩堝の外周面を保護する黒鉛製の坩堝と、
    前記チャンバ内の前記坩堝の周囲に設けられたヒータと、
    前記チャンバ内の前記坩堝の上部に設けられ、育成中のシリコン単結晶を覆う筒状の熱遮蔽部材と、
    前記チャンバ内の前記ヒータの周囲に設けられた保温筒と、を備え、
    チョクラルスキー法により坩堝に収容したシリコン融液からシリコン単結晶を育成するシリコン単結晶の製造装置において、
    育成中のシリコン単結晶の最外周とシリコン融液との接点であるメニスカス部の温度をA(K)、前記育成中のシリコン単結晶の前記メニスカス部を起点とする前記シリコン融液の半径外側方向への距離をL(mm)、前記距離Lの位置における前記シリコン融液の自由表面の温度をB(K)とした場合に、Gs(K/mm)=(B−A)/Lで定義されるシリコン融液の自由表面上の温度勾配Gsが、前記距離Lの増加に伴い単調減少となるように、前記熱遮蔽部材の下端の開口径と、前記熱遮蔽部材の下端とシリコン融液面との距離が設定されているシリコン単結晶の製造装置。
  4. 前記温度勾配Gsが前記距離Lの増加に伴い単調減少となるように、少なくとも前記チャンバ、前記石英製の坩堝、前記黒鉛製の坩堝、前記ヒータ、前記熱遮蔽部材及び前記保温筒の形状、寸法、配置関係、材質及びこれらに起因する熱特性が設定されている請求項3に記載のシリコン単結晶の製造装置。
  5. 電子計算機を用いて、チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法における引上げ速度の制御性又はロバスト性を評価する方法において、
    育成中のシリコン単結晶の最外周とシリコン融液との接点であるメニスカス部の温度をA(K)、前記育成中のシリコン単結晶の前記メニスカス部を起点とする前記シリコン融液の半径外側方向への距離をL(mm)、前記距離Lの位置における前記シリコン融液の自由表面の温度をB(K)とした場合に、Gs(K/mm)=(B−A)/Lで定義されるシリコン融液の自由表面上の温度勾配Gsが、前記距離Lの増加に伴い単調減少となるか否かを判定し、単調減少である場合は、前記引上げ速度の制御性又はロバスト性が良いと評価する方法。
  6. チャンバと、
    前記チャンバ内に設けられ、シリコン融液が収容される石英製の坩堝と、
    前記石英製の坩堝の外周面を保護する黒鉛製の坩堝と、
    前記チャンバ内の前記坩堝の周囲に設けられたヒータと、
    前記チャンバ内の前記坩堝の上部に設けられ、育成中のシリコン単結晶を覆う筒状の熱遮蔽部材と、
    前記チャンバ内の前記ヒータの周囲に設けられた保温筒と、を備え、
    チョクラルスキー法によるシリコン単結晶製造装置のホットゾーンの、電子計算機上の設計方法において、
    育成中のシリコン単結晶の最外周とシリコン融液との接点であるメニスカス部の温度をA(K)、前記育成中のシリコン単結晶の前記メニスカス部を起点とする前記シリコン融液の半径外側方向への距離をL(mm)、前記距離Lの位置における前記シリコン融液の自由表面の温度をB(K)とした場合に、Gs(K/mm)=(B−A)/Lで定義されるシリコン融液の自由表面上の温度勾配Gsが、前記距離Lの増加に伴い単調減少となるように、前記熱遮蔽部材の下端の開口径と、前記熱遮蔽部材の下端とシリコン融液面との距離を設定した状態で、前記ホットゾーンを構成する少なくとも一の部材の形状、寸法、配置関係、材質及びこれらに起因する熱特性を設計するシリコン単結晶製造装置のホットゾーンの設計方法。
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