JP6582887B2 - 操舵制御装置 - Google Patents

操舵制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6582887B2
JP6582887B2 JP2015215790A JP2015215790A JP6582887B2 JP 6582887 B2 JP6582887 B2 JP 6582887B2 JP 2015215790 A JP2015215790 A JP 2015215790A JP 2015215790 A JP2015215790 A JP 2015215790A JP 6582887 B2 JP6582887 B2 JP 6582887B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steering
processing unit
torque
value
synchronous motor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015215790A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017087764A (ja
Inventor
厚二 安樂
厚二 安樂
尚紀 山野
尚紀 山野
英則 板本
英則 板本
隆志 小寺
隆志 小寺
佳裕 山下
佳裕 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JTEKT Corp
Original Assignee
JTEKT Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JTEKT Corp filed Critical JTEKT Corp
Priority to JP2015215790A priority Critical patent/JP6582887B2/ja
Publication of JP2017087764A publication Critical patent/JP2017087764A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6582887B2 publication Critical patent/JP6582887B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Description

本発明は、ステアリングの操舵に応じて操舵をアシストする操舵装置を操作対象とする操舵制御装置に関する。
たとえば特許文献1には、トルクセンサによって検出された操舵トルクを目標トルクにフィードバック制御するために、同期電動機にアシストトルクを生成させるための電流フィードバック制御器の入力となる制御角を操作する制御装置が記載されている。この制御装置は、同期電動機のセンサレス制御として、トルクフィードバック制御をするものであり、制御角によって回転する座標系の座標軸をγ軸およびδ軸とし、γ軸の指令電流値をゼロよりも大きい値とする一方、δ軸の指令電流値をゼロとする。これにより、γ軸とd軸とのずれ量に応じて、q軸電流が流れ、q軸電流によって同期電動機のトルクが生成される。ここで、γ軸とd軸とのずれ量は、制御角によって操作することができることから、トルクフィードバック制御によって制御角を操作することにより、γ軸とd軸とのずれ量を操作することができ、ひいては同期電動機のトルクを制御することができる。
特許第5440845号
ところで、上記制御装置の場合、操舵トルクが小さいときにまでトルクフィードバック制御を継続すると、ステアリングが右旋回側に切られている状態から左旋回側に切られる状態に移行するときなどに、トルクフィードバック制御がユーザのステアリング操作と干渉するおそれがある。これに対しては、操舵トルクの大きさが規定値以下の場合に、トルクフィードバック制御を停止することが有効である。ただし、その場合、ステアリングの操作によって同期電動機が回転しているにもかかわらず、制御角が更新されない事態が生じる。そこで、その場合には、誘起電圧に基づき同期電動機の回転速度を推定し、これに応じて制御角を更新することも考えられる。しかし、その場合、ユーザが操舵トルクを大きくしてステアリングを右旋回側または左旋回側に回転させた後、操舵トルクを急激に減少させる場合には、同期電動機のアシストトルクが過度に大きくなり、ステアリングの操作に違和感が生じることが発明者によって見出された。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、操舵トルクの減少に伴ってステアリングの操作に違和感が生じることを抑制できるようにした操舵制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.操舵制御装置は、ステアリングの操舵に応じて操舵をアシストする操舵装置を操作対象とし、前記操舵装置は、アシストトルクを生成する同期電動機と、前記同期電動機に電圧を印加する電力変換回路とを備え、ステアリングに入力されるトルクである操舵トルクを取得するトルク取得処理部と、前記操舵トルクの目標値である目標トルクを設定する目標トルク設定処理部と、前記同期電動機を流れる電流を指令値に制御するために前記電力変換回路が前記同期電動機に印加する電圧を操作する電流制御処理部と、前記同期電動機を流れる電流と前記電力変換回路によって前記同期電動機の各端子に印加される電圧とに基づき誘起電圧を推定し、該推定される誘起電圧に基づき所定時間当たりの前記同期電動機の回転量である推定変化量を算出する推定処理部と、前記操舵トルクの大きさが閾値を超えることを条件に、前記トルク取得処理部が取得した操舵トルクを前記目標トルク設定処理部が設定した目標トルクにフィードバック制御するために、前記電流の指令値の位相を定める制御角を操作し、前記操舵トルクの大きさが前記閾値以下となることによって前記フィードバック制御が停止されることを条件に、前記推定変化量に基づき前記制御角を操作する制御角操作処理部と、前記トルク取得処理部によって取得された前記操舵トルクの大きさが規定値以下の場合、前記推定変化量による前記制御角の更新量を制限する制限処理部と、を備え、前記規定値は、前記閾値以下である。
ステアリングを所定の操舵角に保持するときに必要なトルクの大きさと比較すると、ステアリングを所定の操舵角よりも小さい操舵角から大きい操舵角に変化させる際に必要なトルクの方が大きい。ここで、上記構成では、制御角操作処理部によって、操舵トルクを目標トルクに制御するために同期電動機のトルクが制御される。したがって、ユーザが操舵トルクを大きくしてステアリングを右旋回側または左旋回側に回転させると、これに伴って、同期電動機のアシストトルクが大きい値に制御される。そして、その後、ユーザがステアリングの回転を停止させようとして操舵トルクを小さくした時点では、同期電動機によって生成されているアシストトルクがステアリングを所望の位置に保持して且つ操舵トルクを目標トルクとするうえで必要なトルクよりも大きくなる。ただし、操舵トルクが上記閾値以下に減少する場合には、トルクフィードバック制御が機能しない。そして、制限処理部を備えない場合には、制御角が推定変化量に応じて更新されるため、同期電動機の電流の位相が操舵トルクを小さくする直前の位相に保持される。これによりアシストトルクが操舵トルクを小さくする直前のトルクに保持され、ユーザがステアリングの操作に違和感を感じるおそれがある。
そこで上記構成では、操舵トルクの大きさが規定値以下の場合、制限処理部によって、推定変化量による制御角の更新量を制限する。このため、アシストトルクの大きさを、操舵トルクを小さくする直前の大きさに対して減少させることができる。したがって、上記構成では、操舵トルクの減少に伴ってステアリングの操作に違和感が生じることを抑制できる。
2.上記1記載の操舵制御装置において、前記制御角操作処理部には、前記トルク取得処理部が取得した操舵トルクの大きさを前記閾値だけ減算補正したものが入力され、前記目標トルク設定処理部は、前記操舵トルクの目標値の大きさを前記閾値とするために、前記制御角操作処理部に出力する演算上の前記目標トルクをゼロとするものであり、前記制御角操作処理部は、前記減算補正された操舵トルクと前記演算上の前記目標トルクとの差がゼロであることを条件に、前記制御角の更新量を前記推定変化量に応じて設定する。
上記構成では、減算補正された操舵トルクと演算上の目標トルクとの差がゼロとなることを条件に推定変化量に応じて制御角を設定することにより、操舵トルクが閾値以下となることを条件に、推定変化量に応じて制御角を設定することができる。
3.上記1または2記載の操舵制御装置において、前記推定処理部は、前記誘起電圧の振幅の大きさが前記規定値未満の場合、前記推定変化量を算出しない。
同期電動機の回転速度が過度に小さいために同期電動機の誘起電圧の振幅の大きさが過度に小さい場合には、推定処理部によって推定される推定変化量の精度が低下する。そこで上記構成では、推定処理部による推定変化量の算出処理を、誘起電圧の振幅の大きさが規定値未満の場合には実行しないことによって、不適切な推定変化量が算出されることを回避することができる。
しかも、操舵トルクを小さくすることによってステアリングの操作に違和感が生じ始めるのは、ステアリングがまだある程度の速度で回転しているときとなる傾向がある。この点、上記構成では、推定処理部によって推定変化量が算出されるときに推定変化量による制御角の更新量を制限処理部によって制限することにより、アシストトルクの大きさが、操舵トルクが小さくなる直前の大きさに維持されることを抑制することができる。
4.上記1〜3のいずれか1つに記載の操舵制御装置において、前記制限処理部は、前記トルク取得処理部によって取得された前記操舵トルクの大きさが前記規定値以下の場合、前記推定変化量による前記制御角の更新量をゼロとする。
上記構成では、推定変化量をゼロとすることにより、推定変化量をゼロとする以前の値に対して、同期電動機の電流の位相が迅速に遅角側に移行する。このため、アシストトルクの大きさを迅速に小さくすることができる。
5.上記1〜3のいずれか1つに記載の操舵制御装置において、前記制限処理部は、前記トルク取得処理部が取得した前記操舵トルクの大きさが小さいほど前記推定変化量による前記制御角の更新量を小さくする。
操舵トルクを大きくしてステアリングを回した後、操舵トルクを小さくした場合、アシストトルクが過剰となる度合いは、小さくした後の操舵トルクの大きさが小さいほど大きくなる。この点、上記構成は、操舵トルクが小さいほど、推定変化量による制御角の更新量を小さくするため、操舵トルクが小さいほど制御角をより迅速にアシストトルクの減少側に変更することができ、ひいてはアシストトルクをより迅速に減少させることができる。このため、アシストトルクが過剰となりやすいときほどアシストトルクを迅速に減少させることができることから、小さくした後の操舵トルクの値がいかなるものであっても、アシストトルクを適切に減少させることができる。
6.上記1〜5のいずれか1つに記載の操舵制御装置において、前記フィードバック制御は、前記目標トルクが前記操舵トルクよりも大きい場合、前記同期電動機の回転方向の値を正とすると、前記制御角の更新量を、前記同期電動機の実際の回転量よりも小さい値とする。
上記構成では、トルクフィードバック制御が停止されているときに制限処理部によって制御角の更新量が制限されると、電流の位相が遅角側に移行することにより、制限の開始から直ちに同期電動機のアシストトルクが減少する。これに対し、トルクフィードバック制御の設定を、目標トルクが操舵トルクよりも大きい場合に制御角の更新量を同期電動機の実際の回転量よりも大きい値とするものである場合には、制限の開始直後には一旦同期電動機のアシストトルクが増加する。したがって、上記構成では、目標トルクが操舵トルクよりも大きい場合に制御角の更新量を同期電動機の実際の回転量よりも大きい値とする設定と比較すると、操舵トルクを小さくしたときのステアリングの操作に違和感が生じることをいっそう抑制することができる。
第1の実施形態にかかる操舵制御装置を備える操舵システムの構成図。 同実施形態においてCPUによって実現される処理の一部を示すブロック図。 不感帯処理部の処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる更新量算出処理部の処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる更新量算出処理部の処理の手順を示す流れ図。 (a)および(b)は、同実施形態における電流ベクトルを例示する図。 第2の実施形態にかかる更新量算出処理部の処理の手順を示す流れ図。
<第1の実施形態>
以下、操舵制御装置にかかる第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施形態にかかる操舵装置においては、ステアリングホイール(ステアリング10)が、ステアリングシャフト12に固定されており、ステアリングシャフト12の回転に応じてラック軸20が軸方向に往復動する。なお、ステアリングシャフト12は、ステアリング10側から順にコラム軸14、中間軸16、およびピニオン軸18を連結することにより構成されている。
ピニオン軸18は、転舵アクチュエータPSAのラック軸20に動力伝達可能に配置されている。詳しくは、ラック軸20とピニオン軸18とは、所定の交叉角をもって配置されており、ラック軸20に形成された第1ラック歯20aとピニオン軸18に形成されたピニオン歯18aとが噛合されることで第1ラックアンドピニオン機構22が構成されている。また、ラック軸20の両端には、タイロッド24が連結されており、タイロッド24の先端は転舵輪26が組み付けられた図示しないナックルに連結されている。したがって、ステアリング10の操作に伴うステアリングシャフト12の回転が第1ラックアンドピニオン機構22によりラック軸20の軸方向変位に変換され、この軸方向変位がタイロッド24を介してナックルに伝達されることにより、転舵輪26の転舵角、すなわち車両の進行方向が変更される。
上記ラック軸20は、ピニオン軸28と所定の交叉角をもって配置されており、ラック軸20に形成された第2ラック歯20bとピニオン軸28に形成されたピニオン歯28aとが噛合されることで第2ラックアンドピニオン機構30が構成されている。ピニオン軸28は、ウォームアンドホイール等の減速機構32を介して、同期電動機34の回転軸34aに接続されている。同期電動機34は、3相の表面磁石同期電動機(SPMSM)である。
同期電動機34は、インバータINVを介してバッテリ40に接続されている。インバータINVは、バッテリ40の正極および負極のそれぞれと同期電動機34の3個の端子のそれぞれとの間を開閉する回路である。
なお、図1においては、インバータINVを構成するMOS電界効果トランジスタ(スイッチング素子)の符号のうち同期電動機34の3個の端子のそれぞれに接続されるものに、「u,v,w」のそれぞれを付与し、また、上側アームに「p」を、下側アームに「n」を付与している。なお、以下では、「u,v,w」を総括して「¥」と表記し、「p,n」を総括して「#」と表記する。すなわち、インバータINVは、バッテリ40の正極と同期電動機34の端子との間を開閉するスイッチング素子S¥pと、バッテリ40の負極と同期電動機34の端子との間を開閉するスイッチング素子S¥nとの直列接続体を備えて構成されている。そして、スイッチング素子S¥#には、ダイオードD¥#が逆並列接続されている。
操舵制御装置(制御装置50)は、中央処理装置(CPU52)およびメモリ54を備えている。制御装置50は、同期電動機34のトルクを制御量とし、インバータINVを操作することによって、ステアリング10の操作をアシストするアシスト制御を実行する。この際、制御装置50は、各種センサの検出値を参照する。これらセンサとしては、たとえば、同期電動機34の回転軸34aの回転角度θp0を検出する回転角度センサ58、ステアリングシャフト12に加わるトルク(操舵トルクTrqs)を検出するトルクセンサ60、車両の走行速度(車速V)を検出する車速センサ62などがある。さらに、制御装置50は、スイッチング素子Sun,Svn,Swnのそれぞれのソース側に接続されたシャント抵抗56の電圧降下を電流iu,iv,iwとして取得し、これらをアシスト制御に利用する。
図2に、制御装置50が実行する処理の一部を示す。図2は、メモリ54に記憶されたプログラムをCPU52が実行することで実現されるいくつかの処理を、実現される処理の種類毎に記載したものである。
正常時処理部M10は、回転角度センサ58によって検出された回転軸34aの回転角度θp0や、シャント抵抗56の電圧降下として検出される同期電動機34の各相の電流i¥、車速センサ62によって検出される車速V、トルクセンサ60によって検出される操舵トルクTrqsを入力とし、同期電動機34のアシストトルクを制御するためのスイッチング素子S¥#の操作信号g¥#を生成する。
センサレス処理部M20は、回転角度センサ58に異常が生じた場合に、回転角度センサ58による回転角度θp0を用いることなく、同期電動機34のアシストトルクを制御する。
セレクタM12は、回転角度センサ58の異常の有無に応じて、正常時処理部M10による操作信号g¥#とセンサレス処理部M20による操作信号g¥#とのいずれかをインバータINVに選択的に出力する。ただし、実際には、回転角度センサ58に異常が生じる前には、センサレス処理部M20が操作信号g¥#を算出する処理を実行しておらず、また、回転角度センサ58に異常が生じた後には、正常時処理部M10が操作信号g¥#を算出する処理を実行しない。なお、回転角度センサ58の異常の有無の判定処理としては、たとえば、操舵トルクTrqsの絶対値が所定値以上となっているにもかかわらず、回転角度センサ58の出力値が固定された状態が所定時間以上継続する場合に異常と判定するものとすればよい。
以下、センサレス処理部M20について、詳述する。
指令電流設定処理部M24は、回転座標系であるγδ座標系におけるγ軸の指令電流iγ*とδ軸の指令電流iδ*とを設定する。特に、本実施形態では、γ軸の指令電流iγ*を正の値として且つ、δ軸の指令電流iδ*をゼロとする。
γδ変換処理部M26は、3相固定座標系の電流iu,iv,iwを、回転座標系であるγδ座標系におけるγ軸の電流iγとδ軸の電流iδとに変換する。ここで、γδ変換処理部M26が座標変換に利用する回転角度は、後述する制御角θcである。
偏差算出処理部M28は、γ軸の指令電流iγ*から電流iγを減算して出力し、偏差算出処理部M30は、δ軸の指令電流iδ*から電流iδを減算して出力する。電流フィードバック処理部M32は、偏差算出処理部M28の出力を取り込み、γ軸の電流iγを指令電流iγ*にフィードバック制御するための操作量として、γ軸上の指令電圧vγ*を出力する。電流フィードバック処理部M34は、偏差算出処理部M30の出力を取り込み、δ軸の電流iδを指令電流iδ*にフィードバック制御するための操作量として、δ軸上の指令電圧vδ*を出力する。電流フィードバック処理部M32,M34は、入力に対する比例要素の出力値および積分要素の出力値の和を操作量として出力するものとすればよい。
αβ変換処理部M36は、γδ軸上の指令電圧vγ*,vδ*を、αβ軸上の指令電圧vα*,vβ*に変換して出力する。ここで、α軸は、スイッチング素子Su#に接続される同期電動機34の端子に接続されるステータコイルに電流が流れた際の磁束の方向であり、β軸は、α軸に対して反時計回りに「90°」回転した方向である。なお、αβ変換処理部M36が座標変換に利用する所定の回転角度は、後述する制御角θcである。
uvw変換処理部M38は、αβ軸上の指令電圧vα*,vβ*を、3相固定座標系の指令電圧vu*,vv*,vw*に変換する。PWM処理部M40は、3相の指令電圧vu*,vv*,vw*に基づき、3相のPWM信号gu,gv,gwを生成する。PWM信号g¥は、論理H期間によって、デッドタイムを除き上側アームのスイッチング素子S¥pのオン操作期間を規定する。デッドタイム生成処理部M42は、PWM信号g¥に基づき、スイッチング素子S¥#の操作信号g¥#を生成し、インバータINVに出力する。操作信号g¥#には、上側アームのスイッチング素子S¥pと下側アームのスイッチング素子S¥nとのいずれか一方がオフ操作からオン操作に切り替わるのに先立って、他方がオフ操作されるようにデットタイムが付与されている。
αβ変換処理部M44は、電流iu,iv,iwを、αβ座標系の電流iα、iβに変換する。誘起電圧オブザーバM46は、αβ変換処理部M44の出力する電流iα,iβと、指令電圧vα*,vβ*と、後述する推定変化量ω1とに基づき、αβ軸上の誘起電圧eα,eβを推定する。角度算出処理部M48は、推定された誘起電圧eα,eβの比「eβ/eα」を入力とする逆正接関数の出力値として、推定角度θe1を算出する。速度算出処理部M50は、推定角度θe1を入力として、推定変化量ω1を算出する。ここで、推定変化量ω1は、所定時間ΔT当たりの推定角度θe1の変化量を示す。推定角度θe1の変化速度ωe1を用いると、推定変化量ω1は、「ωe1・ΔT」となる。
不感帯処理部M52は、トルクセンサ60によって検出された操舵トルクTrqsの大きさを減算補正して出力する。図3に、不感帯処理部M52の処理の手順を示す。
この一連の処理において、不感帯処理部M52は、まず操舵トルクTrqsを取得する(S2)。続いて不感帯処理部M52は、操舵トルクTrqsの大きさを、閾値TrqLだけ減少補正した操舵トルクTrqs1を算出する(S4)。そして、不感帯処理部M52は、操舵トルクTrqs1を出力する(S6)。なお、不感帯処理部M52は、ステップS6の処理が完了する場合、図3に示す一連の処理を一旦終了する。
図2に戻り、目標トルク設定処理部M53は、目標トルクTrqs*を設定する。
更新量算出処理部M54は、制御角θcを更新するための更新量Δθcを算出して出力する。更新処理部M56は、前回の制御周期における制御角θcに今回の更新量Δθcを加算することで、制御角θcを更新する。なお、上記所定時間ΔTは、制御周期に一致している。
本実施形態では、同期電動機34を流れる電流を、回転座標系において、d軸の正側とq軸の正側との間の領域に制御することを想定する。換言すれば、電流の位相を、「0〜−90°」の領域内に制御することを想定する。ここで、d軸の正方向を、磁極の方向とし、q軸の正方向を、d軸に対して同期電動機34の回転している方向に電気角で90°ずらした方向とし、同期電動機34の回転方向を正とし、回転方向のトルクを正のトルクとする。また、上記電流の位相を、電流ベクトルの方向(ここでは、γ軸の正方向)とq軸とのなす角度であって且つ、q軸から回転方向に行く場合に正と定義する。この場合、電流の位相は、制御角θcの更新量Δθcが、所定時間ΔT当たりの同期電動機34の実際の回転量に等しい場合には、一定値となる。これに対し、更新量Δθcが所定時間ΔT当たりの同期電動機34の実際の回転量よりも大きい場合には、電流の位相が電流ベクトルを進角させる側に変化する。また、更新量Δθcが所定時間ΔT当たりの同期電動機34の実際の回転量よりも小さい場合には、電流の位相が電流ベクトルを遅角させる側に変化する。このため、本実施形態では、制御角θcを、電流の位相を定めるパラメータとして、電流の位相を操作するために操作する。
図4に、更新量算出処理部M54の処理を示す。なお、この処理は、上記制御周期で繰り返し実行される。
図4に示す一連の処理において、更新量算出処理部M54は、まず、操舵トルクTrqs1を取得する(S10)。次に、更新量算出処理部M54は、誘起電圧eα,eβのベクトルノルムが規定値Eth以上であるか否かを判定する。ここで、ベクトルノルムは、同期電動機34の誘起電圧の振幅の大きさを定量化したパラメータである。ここで、規定値Ethは、同期電動機34の回転速度の絶対値が、誘起電圧オブザーバM46による回転角度や回転速度の推定精度が規定以上の精度となるときの誘起電圧ベクトルのノルムの下限値に設定される。更新量算出処理部M54は、規定値Eth以上であると判定する場合(S12:YES)、操舵トルクTrqs1から目標トルクTrqs*を減算した値を入力値として、更新量Δθc1を算出する(S14)。詳しくは、操舵トルクTrqs1から目標トルクTrqs*を減算した値を入力値として、ゲインKiを用いて積分要素の出力値Iを更新するとともに、ゲインKpを用いて比例要素の出力値Pを更新し、積分要素の出力値Iと比例要素の出力値Pとの和を更新量Δθc1とする。
ここで、本実施形態は、ゲインKp,Kiを正の値とし、同期電動機34のアシストトルクを増大させるときに、制御角θcを増大させる。これは、上述したように、同期電動機34を流れる電流を、回転座標系において、d軸の正側とq軸の正側との間の領域に制御することを想定したことに対応する。上記領域内に電流を制御する場合、電流ベクトルを進角させるほど、電流ベクトルのq軸の正方向の成分が大きくなる。操舵トルクTrqs1の方が目標トルクTrqs*よりも大きい場合には、操舵トルクTrqs1を目標トルクTrqs*に制御する上で同期電動機34のアシストトルクが不足している。したがって、操舵トルクTrqs1から目標トルクTrqs*を減算した値が正である場合、更新量Δθcを正とする。
なお、本実施形態では、目標トルクTrqs*をゼロとする。これは、操舵トルクTrqsの目標値を閾値TrqLとするための設定である。すなわち、ステップS14の処理では、操舵トルクTrqsのフィードバック制御のためのパラメータとして、閾値TrqLによって減算補正された操舵トルクTrqs1が用いられているため、操舵トルクTrqs1との大小比較対象となる演算上の目標トルクTrqs*をゼロとする。すなわち、目標トルク設定処理部M53は、操舵トルクTrqsの目標値を閾値TrqLに設定するために、操舵トルクTrqs1との大小比較対象となる演算上の目標トルクTrqs*をゼロとしている。
次に、更新量算出処理部M54は、操舵トルクTrqs1から目標トルクTrqs*を減算した値が正であるか否かを判定する(S16)。そして、更新量算出処理部M54は、正であると判定する場合(S16:YES)、更新量Δθc1の下限値ΔMinを、推定変化量ω1に、所定量Δa(>0)を加算した値とし、更新量Δθc1の上限値ΔMaxを、下限値ΔMinに幅規定量Δb(>0)を加算した値とする(S18)。この処理は、操舵トルクTrqs1を目標トルクTrqs*に制御するための操作量として、更新量Δθc1の適切な範囲を規定するためのものである。すなわち、ステップS16において肯定判定されている場合、アシストトルクが不足している。一方、上述したように、同期電動機34を流れる電流の位相を進角させるほど、同期電動機34のアシストトルクが増大する。このため、同期電動機34を流れる電流の位相を進角させるために、制御角θcの更新量Δθc1は、所定時間ΔT当たりの同期電動機34の実際の回転量(推定変化量ω1)よりも大きくする必要がある。
一方、更新量算出処理部M54は、操舵トルクTrqs1から目標トルクTrqs*を減算した値が正ではないと判定する場合(S16:NO)、操舵トルクTrqs1から目標トルクTrqs*を減算した値が負であるか否かを判定する(S20)。そして、更新量算出処理部M54は、負であると判定する場合(S20:YES)、更新量Δθc1の上限値ΔMaxを、推定変化量ω1から、所定量Δaを減算した値とし、更新量Δθc1の下限値ΔMinを、上限値ΔMaxから幅規定量Δbを減算した値とする(S22)。この処理は、同期電動機34のアシストトルクが過剰であるときにおいて、操舵トルクTrqs1を目標トルクTrqs*に制御するための操作量として、更新量Δθc1の適切な範囲を規定するためのものである。
これに対し、更新量算出処理部M54は、操舵トルクTrqs1から目標トルクTrqs*を減算した値が負ではないと判定する場合(S20:NO)、上限値ΔMaxと下限値ΔMinとの双方を、推定変化量ω1とする(S24)。
次に、更新量算出処理部M54は、更新量Δθc1が、上限値ΔMaxを超えているか否かを判定する(S26)。そして、更新量算出処理部M54は、上限値ΔMaxを超えていると判定する場合(S26:YES)、ガード処理として更新量算出処理部M54が出力する更新量Δθcを上限値ΔMaxとする処理を実行して且つ、積分要素のワインドアップ対策として積分要素の出力値Iを、「Δθc−ΔMax」だけ減算補正する(S28)。
一方、更新量算出処理部M54は、上限値ΔMaxを超えていないと判定する場合(S26:NO)、更新量Δθc1が、下限値ΔMin未満であるか否かを判定する(S30)。そして、更新量算出処理部M54は、下限値ΔMin未満であると判定する場合(S30:YES)、ガード処理として更新量算出処理部M54が出力する更新量Δθcを下限値ΔMinとする処理を実行して且つ、積分要素のワインドアップ対策として積分要素の出力値Iを、「Δθc1−ΔMin」だけ減算補正する(S32)。
また、更新量算出処理部M54は、下限値ΔMin未満ではないと判定する場合(S30:NO)、更新量算出処理部M54が出力する更新量ΔθcをステップS14において算出された更新量Δθc1とする(S34)。
一方、更新量算出処理部M54は、規定値Eth未満であると判定する場合(S12:NO)、換言すれば推定される回転速度が所定速度を下回ると判定する場合、操舵トルクTrqs1から目標トルクTrqs*を減算した値を入力値として、更新量Δθc1を算出する(S36)。詳しくは、操舵トルクTrqs1から目標トルクTrqs*を減算した値を入力値として、ゲインKi0を用いて積分要素の出力値Iを更新するとともに、ゲインKpを用いて比例要素の出力値Pを算出し、積分要素の出力値Iと比例要素の出力値Pとの和を更新量Δθcとする。なお、本実施形態では、ゲインKi0をゲインKiとは相違させる。
なお、更新量算出処理部M54は、ステップS28,S32,S34,S36の処理が完了する場合には、図4に示す一連の処理を一旦終了する。ちなみに、実際には、ステアリング10の右旋回操作時と左旋回操作時とでは、同期電動機34の回転軸34aの回転方向が逆となる。しかし、図4に示す処理では、同期電動機34の回転方向がいずれの方向であるかにかかわらず、同期電動機34の回転軸34aの回転方向を正としたロジックを示している。ただし、図2の更新処理部M56に更新量Δθcを出力するに際しては、符号の変更等、適宜の処理を施して、同期電動機34の回転方向がいずれの方向であっても、たとえばステップS18においては、同期電動機34の実際の回転量(推定変化量ω1)を上回る回転量に下限値ΔMinが設定されるようにする。
図5に、更新量算出処理部M54によって実行される別の処理を示す。この処理は、更新量算出処理部M54によって、所定周期で繰り返し実行される。
図5に示す一連の処理において、更新量算出処理部M54は、まず、誘起電圧eα,eβのベクトルノルムが規定値Eth以上であることと、操舵トルクTrqsが規定値Trqth以下であることとの論理積が真であるか否かを判定する(S40)。ここで、操舵トルクTrqsや規定値Trqthは、トルクの大きさ(絶対値)のこととする。また、規定値Trqthは、閾値TrqLよりも小さい値とする。そして、更新量算出処理部M54は、論理積が真である場合(S40:YES)、推定変化量ω1をゼロとする(S42)。なお、更新量算出処理部M54は、ステップS42の処理を完了する場合や、ステップS40において否定判定する場合には、図5に示す一連の処理を一旦終了する。
ここで、本実施形態の作用を説明する。
図6(a)に、ステアリング10が左旋回側に切られ、操舵角が増加しているときを示し、図6(b)に、ステアリング10が左旋回側の所定の操舵角で固定されている場合を示す。なお、図6においては、操舵角の変化速度ωを記載している。図6に示すように、操舵角が増加している場合には、操舵角が増加していない場合よりも、γ軸の指令電流iγ*とq軸とのなす角度が小さくなっている。これは、操舵角を増加させる場合には、操舵角を固定する場合よりも、大きなトルクが必要であることに対応している。すなわち、制御装置50は、操舵トルクTrqs1を目標トルクTrqs*にフィードバック制御しているため、操舵トルクTrqsとアシストトルクとの合計トルクとして要求されるトルクが大きいほど、アシストトルクを増加制御するために、指令電流iγ*をq軸に近づける。換言すれば、制御角θcを進角側に操作する。
今、図6(a)に示す操舵角が増加している状態から、ユーザがステアリング10の回転の停止または操舵角が中立位置側に戻されることを期待して、ステアリング10に加えている操舵トルクの大きさを閾値TrqL以下とする場合を考える。この場合、操舵トルクTrqs1と目標トルクTrqs*との差がゼロとなることから、ステップS24の処理によって、上限値ΔMaxおよび下限値ΔMinの双方とも推定変化量ω1とされる。これにより、ステップS28〜S34のいずれかの処理によって、更新量Δθc1は、推定変化量ω1とされる。この場合、γ軸の指令電流iγ*の位相は、図6(a)に示した位相が維持されることとなる。
ここで、ユーザがステアリング10の操舵トルクTrqsを過度に小さくすると、ステアリング10に、ユーザが想定する方向(中立位置側へ戻ろうとする方向)とは逆方向のトルクが加わっているように感じるおそれがある。
ただし、本実施形態では、操舵トルクTrqsが規定値Trqth以下となることを条件に、ステップS42の処理によって推定変化量ω1がゼロとされる。この場合、γ軸の指令電流iγ*は同期電動機34の回転に伴って遅角側に移行するため、アシストトルクが漸減し、q軸成分が負の値に移行する。このため、ステアリング10は、ユーザが再度操舵トルクTrqsを大きくすることがなくても、操舵トルクTrqsを過度に小さくしたときの操舵角付近で固定される。
以上説明した本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)操舵トルクTrqsが規定値Trqth以下の場合、制御装置50が推定変化量ω1をゼロとした。これにより、操舵トルクTrqsが規定値Trqthよりも大きかったときのステアリング10の回転方向を正とした場合、アシストトルクが迅速に漸減して負となる。このため、操舵トルクTrqsを減少させているにもかかわらず、ステアリング10が更に大きく変位しようとするようなアシストトルクが生じないことから、操舵トルクTrqsの減少に伴ってステアリング10の操作に違和感が生じることを抑制できる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図7に、本実施形態にかかる更新量算出処理部M54が実行する処理の手順を示す。この処理は、更新量算出処理部M54によって、所定周期で実行される。なお、図7に示す処理において、図5に示した処理に対応するものについては、便宜上同一のステップ番号を付している。
図7に示す一連の処理において、ステップS40に対応したステップS40aの処理における規定値Trqthを、本実施形態では、閾値TrqLと一致させる。そして、更新量算出処理部M54は、ステップS40の処理において肯定判定する場合、操舵トルクTrqsの大きさ(絶対値)に応じて推定変化量ω1の減少補正量を可変としつつ、推定変化量ω1を減少補正する(S42a)。具体的には、更新量算出処理部M54は、ゲインGを推定変化量ω1に乗算することによって、推定変化量ω1を補正する。この際、更新量算出処理部M54は、ゲインGを操舵トルクTrqsの大きさに応じてマップ演算する。すなわち、メモリ54に、操舵トルクTrqsの大きさの互いに異なる複数の値のそれぞれと、対応するゲインGの値とを定めたマップデータを記憶しておき、このマップデータを用いて、操舵トルクTrqsの大きさからゲインGを算出する。ここで、マップデータは、操舵トルクTrqsの大きさが小さい場合に大きい場合よりもゲインGを小さい値とし、特にゲインGの最小値が「0」であり、最大値が「1」となっている。詳しくは、更新量算出処理部M54は、操舵トルクTrqsの大きさがマップデータの入力変数の値のいずれかに一致する場合、対応するゲインGの値を用いる一方、いずれにも一致しない場合、補間演算によってゲインGを算出する。これにより、操舵トルクTrqsの大きさに応じてゲインGを連続的に可変とすることができる。
ここで、操舵トルクTrqsを大きくしてステアリング10を回した後、操舵トルクTrqsを小さくした場合、アシストトルクが過剰となる度合いは、小さくした後の操舵トルクTrqsの大きさが小さいほど大きくなる。このため、操舵トルクTrqs(絶対値)が大きいほど、推定変化量ω1の減少補正の度合いを増大させることにより、操舵トルクTrqsが小さいほど制御角θcをより迅速にアシストトルクの減少側に変更することができ、ひいてはアシストトルクをより迅速に減少させることができる。このため、アシストトルクが過剰となりやすいときほどアシストトルクを迅速に減少させることができることから、小さくした後の操舵トルクTrqsの値がいかなるものであっても、アシストトルクを適切に減少させることができる。
<その他の実施形態>
なお、上記実施形態の各事項の少なくとも1つを、以下のように変更してもよい。以下において、「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項を項目立てするとともに上記実施形態における事項との対応関係を符号等によって例示した部分があるが、これには、項目立てした事項を対応関係を例示した実施形態中の事項に限定する意図はない。なお、「課題を解決するための手段」の欄におけるトルク取得処理部は、メモリ54に記憶されたプログラムに従ってステップS2の処理を実行するCPU52に対応する。
・「目標トルク設定処理部(M53)について」
更新量算出処理部M54に出力される目標トルクTrqs*をゼロとすることは必須ではない。たとえば、更新量算出処理部M54に、目標トルクTrqs*として、操舵トルクTrqsの目標値である閾値TrqLを出力してもよい。この場合、制御角操作処理部において、ステップS12とステップS14との処理の間に、操舵トルクTrqsが閾値TrqL以下であるか否かを判定する処理を設け、閾値TrqLを超えると判定される場合にステップS14に移行し、閾値TrqL以下であると判定される場合にステップS24に移行するロジックを構築すればよい。
上記実施形態では、操舵トルクTrqsの目標値である閾値TrqLを固定値としたが、これに限らない。たとえば車速Vに応じて可変設定してもよい。具体的には、たとえば、車速Vが高い場合に低い場合よりも閾値TrqLを大きくすればよい。
・「電流制御処理部について」
上記実施形態では、指令電流設定処理部M24、γδ変換処理部M26、偏差算出処理部M28,M30、電流フィードバック処理部M32,M34、αβ変換処理部M36、uvw変換処理部M38、PWM処理部M40,およびデッドタイム生成処理部M42によって、電流制御処理部を構成したが、これに限らない。たとえば、モデル予測制御を実行するものであってもよい。具体的には、γδ軸の電流iγ、iδを入力とし、複数のスイッチングモードのそれぞれが仮に選択された場合の未来の電流iγ、iδを予測し、この予測値と指令値との差を小さくするスイッチングモードを実際に採用するものとしてもよい。この場合であっても、γδ座標系と固定座標系との座標変換パラメータとして、制御角θcを用いるなら、上記実施形態の要領で制御角θcを設定することが有効である。
・「制御角操作処理部について」
上記実施形態では、メモリ54に記憶されたプログラムに従って図4の処理と更新処理部M56の処理とを実行するCPU52によって、制御角操作処理部を構成したが、これに限らない。たとえば、更新量Δθc1を、目標トルクTrqs*と操舵トルクTrqsとの差を入力とする比例要素のみから算出するものとしてもよく、またたとえば、積分要素のみから算出するものとしてもよく、さらにたとえば、比例要素、積分要素、および微分要素を用いて算出するものとしてもよい。
・「推定処理部について」
上記実施形態では、αβ変換処理部M44、誘起電圧オブザーバM46、角度算出処理部M48、および速度算出処理部M50によって、推定処理部を構成したが、これに限らない。たとえば、誘起電圧オブザーバとして、推定変化量ω1に応じて回転する回転座標系における電流と、同座標系における指令電圧とに基づき、誘起電圧を推定するものであってもよい。
・「推定変化量ω1の利用手法について」
ガード処理に利用するものに限らない。たとえば、制御角θcの更新量Δθcの基本値を推定変化量ω1として且つ、トルクフィードバック制御の操作量によって、上記基本値を補正したものを最終的な更新量Δθcとしてもよい。
・「同期電動機34を流れる電流の位相について」
上記実施形態では、同期電動機34を流れる電流が、回転座標系において、d軸の正側とq軸の正側とによって挟まれる領域内に収まることを想定したがこれに限らない。たとえば、q軸の正側とd軸の負側とによって挟まれる領域内に収まるように制御してもよい。この場合、d軸電流が負となるため、弱め界磁制御がなされることから、高回転において同期電動機34のトルクを生成しやすい。
なお、この場合、たとえば上記第1の実施形態において推定変化量ω1をゼロとした直後は、同期電動機34のアシストトルクが増加する。しかしアシストトルクが増加するのは、電気角で90°未満の所定の回転量に過ぎず、所定の回転量以上の回転がなされることにより、アシストトルクは逆符号の値となるため、操舵トルクTrqsを小さくする直前のステアリング10の変位方向にさらにステアリング10を回そうとするアシストトルクが過剰な状態は迅速に解消する。
・「ガード処理について」
たとえば、予め定められた値Xを用いて、推定変化量ω1に対して第1所定値としての値Xを加算したものを上限値ΔMaxとし、推定変化量ω1に対して第2所定値としての「−X」を加算したものを下限値ΔMinとするものであってもよい。
上記「同期電動機34を流れる電流の位相について」の欄に記載した位相を想定する場合、次のようにしてもよい。すなわち、CPU52は、図4のステップS16において肯定判定する場合に、ステップS22の処理を実行し、ステップS20において肯定判定する場合に、ステップS18の処理を実行してもよい。また、予め定められた値Xを用いて、推定変化量ω1に対して第1所定値としての値Xを加算したものを上限値ΔMaxとし、推定変化量ω1に対して第2所定値としての「−X」を加算したものを下限値ΔMinとするものであってもよい。
・「制限処理部について」
上記実施形態では、メモリ54に記憶されたプログラムに従って図5の処理や図7の処理を実行するCPU52によって、制限処理部を構成したが、これに限らない。たとえば、図7のステップS42aにおいて、操舵トルクTrqsの大きさが、1または複数の閾値のそれぞれを超える場合に閾値以下である場合よりもゲインGを大きい値に設定するというように、ゲインGを操舵トルクTrqsに応じた離散的な複数の値に可変設定してもよい。またたとえば、操舵トルクTrqsが小さい場合、ゲインGを絶対値が1よりも小さい負の値に設定してもよい。また、図7のステップS42aにおけるマップにおいて、操舵トルクTrqsが規定値Trqthであるときのゲインを「1」よりも小さくしてもよい。
・「操舵制御装置について」
CPU52とメモリ54とを備えて、ソフトウェア処理のみを実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、専用のハードウェア(ASIC)にて処理してもよい。すなわち、たとえば、上記推定処理部の処理については、ハードウェア処理とし、推定変化量ω1をハードウェアからCPU52が取得するようにしてもよい。
・「電力変換回路(INV)について」
上記インバータINVに限らない。たとえば、スイッチング素子S¥#として、MOS電界効果トランジスタに代えて、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を用いてもよい。なお、直流電圧源(バッテリ40)の正極および負極のそれぞれと電動機の各端子との間を開閉するスイッチング素子S¥#を備えるものに限らない。たとえば、電動機の各端子毎に周知のDCDCコンバータと同様の回路構成の回路を接続したものであってもよい。この場合であっても、それらコンバータの出力電圧を高速で変化させることで、同出力電圧を指令電圧v¥*とすることができ、上記実施形態に準じた効果を得ることができる。
・「同期電動機について」
SPMSMに限らず、埋込磁石同期電動機であってもよい。
・「操舵装置について」
転舵アクチュエータとして、ラックアンドピニオン型のものを備えるものに限らない。たとえば、ラッククロス型のものや、ラックパラレル型、ラック同軸型のものなどを備えてもよい。
10…ステアリング、12…ステアリングシャフト、14…コラム軸、16…中間軸、18…ピニオン軸、18a…ピニオン歯、20…ラック軸、20a…第1ラック歯、20b…第2ラック歯、22…第1ラックアンドピニオン機構、24…タイロッド、26…転舵輪、28…ピニオン軸、28a…ピニオン歯、30…第2ラックアンドピニオン機構、32…減速機構、34…同期電動機、34a…回転軸、40…バッテリ、50…制御装置、52…CPU、54…メモリ、56…シャント抵抗、58…回転角度センサ、60…トルクセンサ、62…車速センサ。

Claims (6)

  1. ステアリングの操舵に応じて操舵をアシストする操舵装置を操作対象とし、
    前記操舵装置は、アシストトルクを生成する同期電動機と、前記同期電動機に電圧を印加する電力変換回路とを備え、
    ステアリングに入力されるトルクである操舵トルクを取得するトルク取得処理部と、
    前記操舵トルクの目標値である目標トルクを設定する目標トルク設定処理部と、
    前記同期電動機を流れる電流を指令値に制御するために前記電力変換回路が前記同期電動機に印加する電圧を操作する電流制御処理部と、
    前記同期電動機を流れる電流と前記電力変換回路によって前記同期電動機の各端子に印加される電圧とに基づき誘起電圧を推定し、該推定される誘起電圧に基づき所定時間当たりの前記同期電動機の回転量である推定変化量を算出する推定処理部と、
    前記操舵トルクの大きさが閾値を超えることを条件に、前記トルク取得処理部が取得した操舵トルクを前記目標トルク設定処理部が設定した目標トルクにフィードバック制御するために、前記電流の指令値の位相を定める制御角を操作し、前記操舵トルクの大きさが前記閾値以下となることによって前記フィードバック制御が停止されることを条件に、前記推定変化量に基づき前記制御角を操作する制御角操作処理部と、
    前記トルク取得処理部によって取得された前記操舵トルクの大きさが規定値以下の場合、前記推定変化量による前記制御角の更新量を制限する制限処理部と、を備え、
    前記規定値は、前記閾値以下である操舵制御装置。
  2. 前記制御角操作処理部には、前記トルク取得処理部が取得した操舵トルクの大きさを前記閾値だけ減算補正したものが入力され、
    前記目標トルク設定処理部は、前記操舵トルクの目標値の大きさを前記閾値とするために、前記制御角操作処理部に出力する演算上の前記目標トルクをゼロとするものであり、
    前記制御角操作処理部は、前記減算補正された操舵トルクと前記演算上の前記目標トルクとの差がゼロであることを条件に、前記制御角の更新量を前記推定変化量に応じて設定する請求項1記載の操舵制御装置。
  3. 前記推定処理部は、前記誘起電圧の振幅の大きさが前記規定値未満の場合、前記推定変化量を算出しない請求項1または2記載の操舵制御装置。
  4. 前記制限処理部は、前記トルク取得処理部によって取得された前記操舵トルクの大きさが前記規定値以下の場合、前記推定変化量による前記制御角の更新量をゼロとする請求項1〜3のいずれか1項に記載の操舵制御装置。
  5. 前記制限処理部は、前記トルク取得処理部が取得した前記操舵トルクの大きさが小さいほど前記推定変化量による前記制御角の更新量を小さくする請求項1〜3のいずれか1項に記載の操舵制御装置。
  6. 前記フィードバック制御は、前記目標トルクが前記操舵トルクよりも大きい場合、前記同期電動機の回転方向の値を正とすると、前記制御角の更新量を、前記同期電動機の実際の回転量よりも小さい値とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の操舵制御装置。
JP2015215790A 2015-11-02 2015-11-02 操舵制御装置 Active JP6582887B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015215790A JP6582887B2 (ja) 2015-11-02 2015-11-02 操舵制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015215790A JP6582887B2 (ja) 2015-11-02 2015-11-02 操舵制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017087764A JP2017087764A (ja) 2017-05-25
JP6582887B2 true JP6582887B2 (ja) 2019-10-02

Family

ID=58771347

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015215790A Active JP6582887B2 (ja) 2015-11-02 2015-11-02 操舵制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6582887B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017077868A (ja) 2015-10-22 2017-04-27 株式会社ジェイテクト 操舵制御装置
JP6700594B2 (ja) 2016-06-09 2020-05-27 株式会社ジェイテクト 操舵制御装置
US9975571B2 (en) 2016-06-10 2018-05-22 Jtekt Corporation Steering control apparatus

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017087764A (ja) 2017-05-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5440846B2 (ja) モータ制御装置および車両用操舵装置
US9522695B2 (en) Steering control device, and steering control method
US9988075B2 (en) Steering control apparatus
US9821836B2 (en) Electric power steering system
US10538266B2 (en) Steering control apparatus
US9650067B2 (en) Steering control apparatus
JP2014187845A (ja) モータ制御装置およびパワーステアリング装置
US11597431B2 (en) Motor control device
JP6582887B2 (ja) 操舵制御装置
JP2018030532A (ja) 操舵制御装置
KR102040706B1 (ko) 전동식 조향장치 및 그 제어방법
US11190120B2 (en) Motor driving device and steering system
JP2018030533A (ja) 操舵制御装置
US10246125B2 (en) Steering control device
JP6394885B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP6825347B2 (ja) 操舵制御装置
JP2020006832A (ja) 操舵制御装置
JP5641299B2 (ja) モータ制御装置および車両用操舵装置
JP2017109581A (ja) 電動パワーステアリング装置
CN112550434A (zh) 转向控制装置
EP3257726B1 (en) Steering control apparatus
JP2020111129A (ja) 転舵制御装置
JP2017222338A (ja) 操舵制御装置
JP2010252484A (ja) モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
US20190152516A1 (en) Steering control unit

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181009

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190723

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190806

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190819

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6582887

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150