JP2017109581A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】操舵トルクに基づいて電動モータの推定回転角をより正確に演算し、その推定回転角を用いて電動モータを制御することによって適切な操舵アシストトルクを付与することができる電動パワーステアリング装置を提供する。【解決手段】電気角推定手段44が、操舵ハンドルが切り込み状態又は切り戻し状態にあるときの操舵トルクと電動モータ32の回転角の増加量との関係を予め記憶するとともに、操舵トルクセンサ30が検出した操舵トルクと前記関係とに基づいて電動モータの回転角の増加量を求め、算出された操舵仕事率Pの絶対値が正の第1所定値a以下の場合には第1所定値よりも大きい場合に比べ前記増加量が小さくなるようにこの増加量を補正することにより回転角加算量Δθを演算するように構成された。【選択図】図2
Description
本発明は、電動モータの回転子の回転角を用いて電動モータを制御することにより操舵アシストを行う電動パワーステアリング装置に関する。
電動パワーステアリング装置は、左右の前輪にタイロッドを介して連結されたラック軸と、このラック軸に噛合するピニオンシャフトと、下端においてピニオンシャフトに接続され上端において操舵ハンドルが固定されたステアリングシャフトと、減速機構を介してラック軸と連係した電動モータと、を有する。
ステアリングシャフトの中間部はトーションバーによって構成されている。さらにトーションバーの近傍には、トーションバーの捩れ角を検出し、検出した捩れ角に基づいてステアリングシャフトに働いている操舵トルクを検出する操舵トルクセンサが設けられている。
例えば、特許文献1に開示された電動パワーステアリング装置は、電動モータとして三相式のブラシレスDCモータを採用している。この電動モータの内部には回転角センサが設けられる。回転角センサは、電動モータの回転子の回転角度位置(以下、「回転角」又は「電気角」と称する)を検出する。
操舵トルクセンサ、回転角センサ及び電動モータは電子制御ユニット(以下、ECUと称する)に電気的に接続されている。ECUは、検出された操舵トルクに基づいて目標操舵アシストトルクを演算する。さらにECUは、電動モータの回転子の回転角を用いて、その目標操舵アシストトルクを出力するように電動モータを制御する。その結果、電動モータが発生するトルクがラック軸に伝達され操舵アシストがなされる。
このように上記パワーステアリング装置は、回転子の回転角を認識した上で目標操舵アシストトルクに基づいて電動モータを制御する。そのため、回転角センサが故障した場合には、別の手段によって電動モータの回転角を検出する必要がある。
そのため上記パワーステアリング装置のECUは、回転角センサが故障したと判定したとき、その判定時点以降に電動モータの回転子の回転に伴って発生した誘起電圧に基づいて、故障判定時以降の電動モータの回転角加算量を演算する。更に、ECUは、故障判定時の直前に回転角センサによって検出された電動モータの回転角(即ち、実電気角)に、演算によって得られた回転角加算量を加算することにより、現在の時刻における電動モータの回転子の回転角の推定位置である推定回転角を演算する。そして、ECUは、その推定回転角を用いて電動モータを制御する。
電動モータで発生する誘起電圧は、回転子の角速度(即ち、回転速度)に比例する。そのため、電動モータの角速度が小さい場合、電動モータで発生する誘起電圧は極めて小さくなるので、ECUは誘起電圧に基づいて推定回転角を正確に演算することができない場合がある。
ところで、操舵トルクセンサが検出した操舵トルクを利用して推定回転角を演算することが可能であることが知られている。即ち、操舵ハンドルが切り込み状態又は切り戻し状態にあるときの操舵トルクと電動モータの回転角加算量との間にはある程度の相関関係がある。そこで、例えばパワーステアリング装置の各構成要素(例えば、電動モータなど)の仕様情報を所定の計算式に適用することにより、操舵トルクと電動モータの回転角加算量との関係を求めることが可能である。
この関係を表したマップ(ルックアップテーブル)をECUのROMに記憶させておき、操舵トルクセンサが検出した操舵トルクを当該マップに適用すれば、電動モータの回転角加算量を算出することが可能である。そのため電動モータの角速度が小さい場合は、このマップを利用して算出した回転角加算量を、回転角センサが故障する直前に検出された電動モータの回転子の回転角(実電気角)に加算することにより、電動モータの推定回転角を演算できる。
しかし、上記マップは操舵ハンドルが切り込み状態又は切り戻し状態にあること(保舵状態ではないこと)を前提に作成されたものである。そのため、操舵ハンドルが保舵状態にあるときには、上記マップに基づいて算出される電動モータの回転角加算量は実際の回転角加算量から乖離した値となる。例えば、操舵ハンドルが保舵状態にあるとき、電動モータの実際の回転角加算量はゼロになるにも拘わらず、上記マップに基づいて算出される電動モータの回転角加算量はゼロより大きい値になる。従って、操舵ハンドルが保舵状態にあるときに上記マップに基づいて算出される電動モータの回転角加算量を用いて推定回転角を算出すると、その推定回転角は、電動モータの実際の回転角から乖離する。その結果、その推定回転角を用いて電動モータを制御すると、電動モータが過大又は過小な操舵アシストトルクをラック軸に付与するおそれがある。
本発明は、上述した課題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の1つは、操舵トルクに基づいて電動モータの推定回転角をより正確に演算し、その推定回転角を用いて電動モータを制御することによって適切な操舵アシストトルクを付与することができる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の電動パワーステアリング装置は、
操舵ハンドル(27)と車輪(15L、15R)とを連結するステアリング機構(21、22、23、25、26)に介在されたトーションバー(29)の捩れ度合に基づいて前記操舵ハンドルから前記ステアリング機構に入力された操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ(30)と、
前記操舵ハンドルの操舵角を検出するための操舵角センサ(37)と、
前記トーションバーよりも前記車輪側となる前記ステアリング機構に連結されて操舵アシストトルクを付与する電動モータ(32)と、
前記操舵トルクセンサが検出した前記操舵トルクに基づいて前記電動モータが発生すべき前記操舵アシストトルクである目標操舵アシストトルクを演算する目標操舵アシストトルク演算手段(41)と、
前記電動モータの実際の回転角である実電気角を検出する正常時回転角検出手段(33、42)と、
前記正常時回転角検出手段の異常を検出する異常検出手段(43)と、
前記電気モータの回転角の推定値である推定回転角を演算する電気角推定手段(44)と、
前記異常検出手段が前記正常時回転角検出手段の異常を検出していないときは前記目標操舵アシストトルクを前記電動モータが発生するように前記検出された実電気角に基づいて前記電動モータを制御し、前記異常検出手段が前記正常時回転角検出手段の異常を検出したときは前記目標操舵アシストトルクを前記電動モータが発生するように前記演算された推定回転角に基づいて前記電動モータを制御する、モータ制御手段(46)と、
前記操舵ハンドルに対するドライバーの操舵操作の前記操舵トルクセンサが検出した操舵トルク及び前記操舵角センサが検出した操舵角に基づく仕事率である操舵仕事率を演算する操舵仕事率演算手段(47)と、
を備え、
前記電気角推定手段が、
前記操舵ハンドルが切り込み状態又は切り戻し状態にあるときの前記操舵トルクセンサが検出した操舵トルクと前記電動モータの回転角の増加量との関係を予め記憶するとともに、前記操舵トルクセンサが検出した前記操舵トルクと前記関係とに基づいて前記電動モータの回転角の増加量を求め、
前記算出された操舵仕事率の絶対値が正の第1所定値以下の場合には同第1所定値よりも大きい場合に比べ前記増加量が小さくなるように前記増加量を補正することにより回転角加算量(Δθ)を演算し、
前記異常検出手段が前記正常時回転角検出手段の異常を検出したとき、前記異常検出手段が前記異常を検出していないときに前記正常時回転角検出手段が最後に検出した前記実電気角である正常電気角に、前記正常時回転角検出手段が前記正常電気角を検出した時点以降の前記回転角加算量の積算値を加えることにより、前記推定回転角(θ)を演算するように構成されている。
操舵ハンドル(27)と車輪(15L、15R)とを連結するステアリング機構(21、22、23、25、26)に介在されたトーションバー(29)の捩れ度合に基づいて前記操舵ハンドルから前記ステアリング機構に入力された操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ(30)と、
前記操舵ハンドルの操舵角を検出するための操舵角センサ(37)と、
前記トーションバーよりも前記車輪側となる前記ステアリング機構に連結されて操舵アシストトルクを付与する電動モータ(32)と、
前記操舵トルクセンサが検出した前記操舵トルクに基づいて前記電動モータが発生すべき前記操舵アシストトルクである目標操舵アシストトルクを演算する目標操舵アシストトルク演算手段(41)と、
前記電動モータの実際の回転角である実電気角を検出する正常時回転角検出手段(33、42)と、
前記正常時回転角検出手段の異常を検出する異常検出手段(43)と、
前記電気モータの回転角の推定値である推定回転角を演算する電気角推定手段(44)と、
前記異常検出手段が前記正常時回転角検出手段の異常を検出していないときは前記目標操舵アシストトルクを前記電動モータが発生するように前記検出された実電気角に基づいて前記電動モータを制御し、前記異常検出手段が前記正常時回転角検出手段の異常を検出したときは前記目標操舵アシストトルクを前記電動モータが発生するように前記演算された推定回転角に基づいて前記電動モータを制御する、モータ制御手段(46)と、
前記操舵ハンドルに対するドライバーの操舵操作の前記操舵トルクセンサが検出した操舵トルク及び前記操舵角センサが検出した操舵角に基づく仕事率である操舵仕事率を演算する操舵仕事率演算手段(47)と、
を備え、
前記電気角推定手段が、
前記操舵ハンドルが切り込み状態又は切り戻し状態にあるときの前記操舵トルクセンサが検出した操舵トルクと前記電動モータの回転角の増加量との関係を予め記憶するとともに、前記操舵トルクセンサが検出した前記操舵トルクと前記関係とに基づいて前記電動モータの回転角の増加量を求め、
前記算出された操舵仕事率の絶対値が正の第1所定値以下の場合には同第1所定値よりも大きい場合に比べ前記増加量が小さくなるように前記増加量を補正することにより回転角加算量(Δθ)を演算し、
前記異常検出手段が前記正常時回転角検出手段の異常を検出したとき、前記異常検出手段が前記異常を検出していないときに前記正常時回転角検出手段が最後に検出した前記実電気角である正常電気角に、前記正常時回転角検出手段が前記正常電気角を検出した時点以降の前記回転角加算量の積算値を加えることにより、前記推定回転角(θ)を演算するように構成されている。
本発明の電気角推定手段は、操舵トルクセンサが検出した操舵トルクに基づいて、操舵ハンドルが切り込み状態又は切り戻し状態にあるときの電動モータの回転角の増加量を求め、さらに操舵仕事率の絶対値が正の第1所定値以下の場合には第1所定値よりも大きい場合に比べて小さくなるように前記増加量を補正することにより回転角加算量を演算する。さらに、異常検出手段が正常時回転角検出手段の異常を検出したとき、異常検出手段が異常を検出していないときに正常時回転角検出手段が最後に検出した電動モータの実電気角である正常電気角に、正常時回転角検出手段が正常電気角を検出した時点以降の回転角加算量の積算値を加えることにより、推定回転角を演算する。
上記のように操舵トルクに基づいて求められた電動モータの回転角の増加量は、操舵ハンドルが切り込み状態又は切り戻し状態にあることを想定した上で算出されたものである。そのため、操舵トルクがゼロより(ある程度)大きい場合は、この増加量はゼロより大きい値になる。
しかし操舵ハンドルが保舵状態にあるときは、操舵トルクが大きい場合であっても、電動モータの実際の回転角の増加量はゼロになる。
即ち、操舵ハンドルが保舵状態にあるときは、操舵仕事率に基づいて前記増加量を補正することなく電動モータの回転角加算量を算出すると、この回転角加算量は実際の回転角加算量から乖離した値になってしまう。従って、この回転角加算量に基づいて算出された推定回転角は、電動モータの実際の回転角からずれた値になってしまう。
上記のように操舵トルクに基づいて求められた電動モータの回転角の増加量は、操舵ハンドルが切り込み状態又は切り戻し状態にあることを想定した上で算出されたものである。そのため、操舵トルクがゼロより(ある程度)大きい場合は、この増加量はゼロより大きい値になる。
しかし操舵ハンドルが保舵状態にあるときは、操舵トルクが大きい場合であっても、電動モータの実際の回転角の増加量はゼロになる。
即ち、操舵ハンドルが保舵状態にあるときは、操舵仕事率に基づいて前記増加量を補正することなく電動モータの回転角加算量を算出すると、この回転角加算量は実際の回転角加算量から乖離した値になってしまう。従って、この回転角加算量に基づいて算出された推定回転角は、電動モータの実際の回転角からずれた値になってしまう。
しかし本発明の電気角推定手段は、操舵仕事率の絶対値が正の第1所定値以下の場合(操舵ハンドルが保舵状態にあるとき)、操舵仕事率の絶対値が第1所定値よりも大きい場合に比べて小さくなるように増加量を補正して回転角加算量を算出する。
そのため、操舵ハンドルが保舵状態にある場合も、操舵トルクに基づいて算出された電動モータの推定回転角は正確な値、換言すると、電動モータの実電気角と(ほぼ)同じ値になる。
従って、操舵ハンドルが保舵状態にある場合も、電動モータが操舵ハンドルに対して過大又は過小な操舵アシストトルクを付与するおそれは小さい。
そのため、操舵ハンドルが保舵状態にある場合も、操舵トルクに基づいて算出された電動モータの推定回転角は正確な値、換言すると、電動モータの実電気角と(ほぼ)同じ値になる。
従って、操舵ハンドルが保舵状態にある場合も、電動モータが操舵ハンドルに対して過大又は過小な操舵アシストトルクを付与するおそれは小さい。
前記電気角推定手段が、前記演算された操舵仕事率の絶対値が前記第1所定値以下であるとき、前記回転角加算量がゼロとなるように前記増加量を補正するように構成されてもよい。
操舵仕事率演算手段の演算結果には誤差が不可避的に発生する。そのため例えば、実際には操舵ハンドルが完全な保舵状態にあるにも拘わらず、操舵仕事率の絶対値がゼロより大きくかつ第1所定値以下の値になる可能性がある。換言すると、操舵仕事率演算手段が「操舵ハンドルが僅かに回転している」と誤判定するおそれがある。
しかし、本発明をこのように構成した場合は、操舵仕事率がゼロの場合と同様に、電気角推定手段が回転角加算量をゼロとするように前記増加量を補正する。
そのため、このような状況において電動モータが、保舵状態を維持するためのトルクよりも大きいアシスト力を誤って操舵ハンドルに付与するおそれを小さくできる。
しかし、本発明をこのように構成した場合は、操舵仕事率がゼロの場合と同様に、電気角推定手段が回転角加算量をゼロとするように前記増加量を補正する。
そのため、このような状況において電動モータが、保舵状態を維持するためのトルクよりも大きいアシスト力を誤って操舵ハンドルに付与するおそれを小さくできる。
前記電気角推定手段が、
前記操舵仕事率の絶対値が前記第1所定値以下のときにゼロとなり、前記操舵仕事率の絶対値が前記第1所定値より大きい第2所定値(b)以上のときに1となり、前記操舵仕事率の絶対値が前記第1所定値より大きくかつ前記第2所定値より小さいときに前記絶対値が前記第1所定値側から前記第2所定値側へ変化するにつれてゼロから1へ徐々に変化する、ゲイン(G)を演算し、
前記ゲインを前記増加量に乗じることによって前記回転角加算量を演算するように構成されてもよい。
前記操舵仕事率の絶対値が前記第1所定値以下のときにゼロとなり、前記操舵仕事率の絶対値が前記第1所定値より大きい第2所定値(b)以上のときに1となり、前記操舵仕事率の絶対値が前記第1所定値より大きくかつ前記第2所定値より小さいときに前記絶対値が前記第1所定値側から前記第2所定値側へ変化するにつれてゼロから1へ徐々に変化する、ゲイン(G)を演算し、
前記ゲインを前記増加量に乗じることによって前記回転角加算量を演算するように構成されてもよい。
操舵仕事率の絶対値が第1所定値のときを境にしてゲインをゼロ(0)から1にいきなり切り替えることも理論上は可能である。しかしこの場合は、操舵仕事率の絶対値が第1所定値付近で変化するときに、微小時間の間にゲインが「ゼロ」と「1」とに頻繁に変化するおそれがある。即ち、ゲインの出力値に所謂チャタリングが発生し、チャタリングに起因して推定回転角が短時間の間に激しく変化するおそれがある。この場合は、電動モータの回転トルク変動が激しくなり、このトルク変動に起因して操舵ハンドルが振動するおそれがある。
しかし本発明をこのように構成した場合は、操舵仕事率の絶対値が第1所定値及び第2所定値付近で変化しても、チャタリングが発生するおそれは小さい。そのため、操舵ハンドルが振動するおそれは殆どない。
しかし本発明をこのように構成した場合は、操舵仕事率の絶対値が第1所定値及び第2所定値付近で変化しても、チャタリングが発生するおそれは小さい。そのため、操舵ハンドルが振動するおそれは殆どない。
上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置(EPS)について説明する。
まず、この電動パワーステアリング装置を備える車両10の全体構造を図1及び図2に基づいて簡単に説明する。
車両10の車体11の前部にはサスペンションが設けられている。サスペンションの構成部材である左右のアッパーアームとロアアームとの先端部間には、サスペンションの構成部材であるキャリア(ナックルアーム)がキングピン軸まわりに回転可能に支持されている。さらに左右のキャリアは、前輪15R、15Lをそれぞれ水平軸まわりに回転可能に支持している。
さらに車体11の所定部位には車速センサ17が設けられている。
車両10の車体11の前部にはサスペンションが設けられている。サスペンションの構成部材である左右のアッパーアームとロアアームとの先端部間には、サスペンションの構成部材であるキャリア(ナックルアーム)がキングピン軸まわりに回転可能に支持されている。さらに左右のキャリアは、前輪15R、15Lをそれぞれ水平軸まわりに回転可能に支持している。
さらに車体11の所定部位には車速センサ17が設けられている。
続いて電動パワーステアリング装置20の詳しい構造について説明する。
電動パワーステアリング20は、左右方向に延びる棒状部材であるラック軸21を備えている。ラック軸21は車体11に対して左右方向にスライド可能かつ自身の軸線まわりに回転不能である。ラック軸21の外周面にはねじ溝が形成されている。
ラック軸21の左右両端部には左右一対のタイロッド22の内側端部が接続されており、左右のタイロッド22の外側端部は左右のキャリアに接続されている。
電動パワーステアリング20は、左右方向に延びる棒状部材であるラック軸21を備えている。ラック軸21は車体11に対して左右方向にスライド可能かつ自身の軸線まわりに回転不能である。ラック軸21の外周面にはねじ溝が形成されている。
ラック軸21の左右両端部には左右一対のタイロッド22の内側端部が接続されており、左右のタイロッド22の外側端部は左右のキャリアに接続されている。
ラック軸21(ねじ溝)にはピニオンシャフト23が噛み合っている。
ピニオンシャフト23には、棒状部材であるステアリングシャフト25の一端(下端)がユニバーサルジョイント26を介して接続されている。
さらにステアリングシャフト25の他端(上端)には操舵ハンドル27が固定されている。
従って、操舵ハンドル27を回転させると、この回転力がステアリングシャフト25及びユニバーサルジョイント26を介してピニオンシャフト23に伝わり、ピニオンシャフト23が自身の軸線まわりに回転する。するとピニオンシャフト23と噛み合っているラック軸21が左右方向の一方向にスライドするので、タイロッド22及びキャリアを介してラック軸21と連係している前輪15R、15Lの操舵角が変化する。
ピニオンシャフト23には、棒状部材であるステアリングシャフト25の一端(下端)がユニバーサルジョイント26を介して接続されている。
さらにステアリングシャフト25の他端(上端)には操舵ハンドル27が固定されている。
従って、操舵ハンドル27を回転させると、この回転力がステアリングシャフト25及びユニバーサルジョイント26を介してピニオンシャフト23に伝わり、ピニオンシャフト23が自身の軸線まわりに回転する。するとピニオンシャフト23と噛み合っているラック軸21が左右方向の一方向にスライドするので、タイロッド22及びキャリアを介してラック軸21と連係している前輪15R、15Lの操舵角が変化する。
ステアリングシャフト25の中間部はトーションバー29によって構成されている。さらにトーションバー29の近傍には、トーションバー29の軸線まわりの捩れ角に基づいてステアリングシャフト25の操舵トルクTrを検出する操舵トルクセンサ30が設けられている。操舵トルクセンサ30は例えばレゾルバにより構成可能である。
従って、ステアリングシャフト25が回転すると、操舵トルクセンサ30がステアリングシャフト25の操舵トルクTrを検出する。
従って、ステアリングシャフト25が回転すると、操舵トルクセンサ30がステアリングシャフト25の操舵トルクTrを検出する。
さらに電動パワーステアリング20は、三相式のブラシレスDCモータからなる電動モータ32を備えている。この電動モータ32は、図示を省略した減速機構を介してラック軸21(ねじ溝)と連係している。電動モータ32には、電動モータ32の回転子の回転角を検出するための回転角センサ33が設けられている(図2参照)。この回転角センサ33は、例えばレゾルバにより構成可能である。
さらに電動モータ32には、電流センサ34と電圧センサ35がそれぞれ接続されている(図2参照)。電流センサ34は電動モータ32の各相(U相、V相、W相)のモータ電流Iu,Iv,Iwを検出し、電圧センサ35は電動モータ32の各相のモータ端子電圧Vu,Vv,Vwをそれぞれ検出する。
さらに電動モータ32には、電流センサ34と電圧センサ35がそれぞれ接続されている(図2参照)。電流センサ34は電動モータ32の各相(U相、V相、W相)のモータ電流Iu,Iv,Iwを検出し、電圧センサ35は電動モータ32の各相のモータ端子電圧Vu,Vv,Vwをそれぞれ検出する。
さらにステアリングシャフト25の周囲には、ステアリングシャフト25(操舵ハンドル27)の回転角度である操舵角MAを検出するための操舵角センサ37が設けられている。
図1及び図2に示すように、車速センサ17、操舵トルクセンサ30、電動モータ32、回転角センサ33、電流センサ34、電圧センサ35、及び操舵角センサ37は電子制御ユニット40(以下、ECUと称する)に接続されている。ECU40は、CPU、ROM、RAM及びインターフェース等を含むマイクロコンピュータを主要構成部品として有する電子制御回路である。CPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクションを実行することにより後述する各種機能を実現する。
続いて、電動パワーステアリング装置20の動作を制御するECU40の構造及びECU40による制御内容について詳細に説明する。
ECU40は機能的に見ると、図2に示すように、アシスト指令電流演算部41、正常時回転角演算部42、回転角センサ故障検出部43、推定回転角演算部44、回転角選択部45、PWM制御部46及び能動/受動判別部47を備えている。
ECU40のROMには、図示を省略したアシストマップ(ルックアップテーブル)が記憶させてある。アシストマップは、操舵トルクTrと目標操舵アシストトルクTaとの関係を、代表的な複数の車速vごとに規定したテーブルである。
アシスト指令電流演算部41には、車速センサ17が検出した車速vと操舵トルクセンサ30により検出された操舵トルクTrとが入力される。アシスト指令電流演算部41は、車速v及び操舵トルクTrを上記アシストマップに適用して目標操舵アシストトルクTaを算出する。
さらにアシスト指令電流演算部41は、目標操舵アシストトルクTaをトルク定数で除算することにより、アシスト指令電流Iaを算出する。
そしてアシスト指令電流演算部41は、算出したアシスト指令電流Iaを表す信号をPWM制御部46へ出力する。
さらにアシスト指令電流演算部41は、目標操舵アシストトルクTaをトルク定数で除算することにより、アシスト指令電流Iaを算出する。
そしてアシスト指令電流演算部41は、算出したアシスト指令電流Iaを表す信号をPWM制御部46へ出力する。
回転角センサ33の出力信号は正常時回転角演算部42、回転角センサ故障検出部43及び推定回転角演算部44へ送信される。
正常時回転角演算部42は回転角センサ33の出力信号を受信すると、回転角センサ33の出力信号に基づいて電動モータ32の実電気角θea(即ち、電動モータ32の実際の回転角)を算出し、算出した実電気角θeaを表す信号を回転角選択部45へ出力する。
回転角センサ故障検出部43は回転角センサ33の出力信号を受信すると、回転角センサ33の出力信号に基づいて、回転角センサ33が正常に動作しているか否かを判定する。回転角センサ33としてレゾルバを採用した場合には、故障時にレゾルバ内の検出用コイルや励磁用コイルが断線したり絶縁不良を起こしたりする。従って、回転角センサ33としてレゾルバを採用した場合は、回転角センサ故障検出部43は検出用コイルの出力信号の振幅を監視し、その振幅が予め設定した許容範囲から外れた場合(許容範囲の下限値よりも低い場合、及び、許容範囲の上限値よりも高い場合)には、回転角センサ33に異常が発生していると判定する。回転角センサ故障検出部43は、回転角センサ33が正常であると判定した場合は正常信号を回転角選択部45及びPWM制御部46へ出力し、回転角センサ33に異常が発生していると判定した場合は異常信号を回転角選択部45及びPWM制御部46へ出力する。
正常時回転角演算部42は回転角センサ33の出力信号を受信すると、回転角センサ33の出力信号に基づいて電動モータ32の実電気角θea(即ち、電動モータ32の実際の回転角)を算出し、算出した実電気角θeaを表す信号を回転角選択部45へ出力する。
回転角センサ故障検出部43は回転角センサ33の出力信号を受信すると、回転角センサ33の出力信号に基づいて、回転角センサ33が正常に動作しているか否かを判定する。回転角センサ33としてレゾルバを採用した場合には、故障時にレゾルバ内の検出用コイルや励磁用コイルが断線したり絶縁不良を起こしたりする。従って、回転角センサ33としてレゾルバを採用した場合は、回転角センサ故障検出部43は検出用コイルの出力信号の振幅を監視し、その振幅が予め設定した許容範囲から外れた場合(許容範囲の下限値よりも低い場合、及び、許容範囲の上限値よりも高い場合)には、回転角センサ33に異常が発生していると判定する。回転角センサ故障検出部43は、回転角センサ33が正常であると判定した場合は正常信号を回転角選択部45及びPWM制御部46へ出力し、回転角センサ33に異常が発生していると判定した場合は異常信号を回転角選択部45及びPWM制御部46へ出力する。
回転角センサ故障検出部43が正常信号を回転角選択部45及びPWM制御部46へ出力しているとき、回転角選択部45は正常時回転角演算部42から受信した実電気角θeaを表す信号をPWM制御部46へ出力する。
すると、後述するようにPWM制御部46が、アシスト指令電流演算部41から受信したアシスト指令電流Iaを表す信号及び回転角選択部45から受信した実電気角θeaを表す信号に基づいて電動モータ32をPWM制御する。
すると、後述するようにPWM制御部46が、アシスト指令電流演算部41から受信したアシスト指令電流Iaを表す信号及び回転角選択部45から受信した実電気角θeaを表す信号に基づいて電動モータ32をPWM制御する。
一方、回転角センサ33に異常が発生した場合は正常時回転角演算部42が実電気角θeaを算出できず、そのためPWM制御部46は実電気角θeaに基づいてPWM制御信号を生成できなくなる。そのためECU40は推定回転角演算部44及び能動/受動判別部47によって推定回転角θを演算する。更に、回転角センサ故障検出部43が異常信号を回転角選択部45及びPWM制御部46へ出力しているとき、回転角選択部45は実電気角θeaに代えて推定回転角θを選択してPWM制御部46に送信する。この場合、PWM制御部46は、アシスト指令電流Iaを表す信号及び回転角選択部45から受信した推定回転角θを表す信号に基づいて電動モータ32をPWM制御する。
推定回転角演算部44は、操舵トルクセンサ30が検出した操舵トルクTr及び電動モータ32で発生した誘起電圧の少なくとも一方を用いて、一定の演算周期(一定時間)ごとに電動モータ32の推定回転角θを演算(推定)する。
この推定回転角θは、選択後回転角の前回値θbfに、回転角加算量Δθを加算することにより得られる回転角である。
選択後回転角の前回値θbfは、直前の演算周期において後述する回転角選択部45によって選択された電動モータ32の回転角である。即ち、選択後回転角の前回値θbfは、正常時回転角演算部42によって求められた実電気角θea、及び、後述する手順に基づいて推定回転角演算部44によって算出される電動モータ32の推定回転角θの何れか一方の前回値であって、直前の演算周期において電動モータ32の制御に使用された回転角である。
回転角加算量Δθは、今回の演算周期において推定回転角演算部44によって求められた電動モータ32の回転角の加算角(今回の演算周期における回転角の変化量)である。
即ち、推定回転角演算部44は以下の式(1)を用いて現在の時刻における電動モータ32の推定回転角θを演算する。
推定回転角θ=θbf+Δθ・・・式(1)
以下、この式(1)に基づく推定回転角θの演算方法について、図3乃至図6を参照しながら説明する。
選択後回転角の前回値θbfは、直前の演算周期において後述する回転角選択部45によって選択された電動モータ32の回転角である。即ち、選択後回転角の前回値θbfは、正常時回転角演算部42によって求められた実電気角θea、及び、後述する手順に基づいて推定回転角演算部44によって算出される電動モータ32の推定回転角θの何れか一方の前回値であって、直前の演算周期において電動モータ32の制御に使用された回転角である。
回転角加算量Δθは、今回の演算周期において推定回転角演算部44によって求められた電動モータ32の回転角の加算角(今回の演算周期における回転角の変化量)である。
即ち、推定回転角演算部44は以下の式(1)を用いて現在の時刻における電動モータ32の推定回転角θを演算する。
推定回転角θ=θbf+Δθ・・・式(1)
以下、この式(1)に基づく推定回転角θの演算方法について、図3乃至図6を参照しながら説明する。
図3のフローチャートに示すように、推定回転角演算部44(実際にはCPU)はステップ301において選択後回転角(前回値)θbfを回転角選択部45から取得する。次に、能動/受動判別部47(実際にはCPU)はステップ302において操舵仕事率Pを算出する。
ここで操舵仕事率Pとは、操舵ハンドル27に対するドライバーの操舵操作の仕事率を表す指標であり、単位時間当たりに使われているエネルギを表す物理量である。操舵仕事率Pは、時間を「t」とした場合、操舵仕事量Wを用いて下記の式(2)で表すことができる。ここで、操舵仕事量Wとは、操舵ハンドル27に対するドライバーの操舵操作の仕事を表す指標であり、使われたエネルギを表す物理量である。
P=dW/dt・・・(2)
P=dW/dt・・・(2)
実際には、能動/受動判別部47は次のようにして操舵仕事率Pを算出する。即ち、操舵仕事率Pは、操舵角センサ37が検出した操舵角MAに応じた操舵角速度(操舵角の微分値に相当)MAdot(=dMA/dt)と操舵トルクセンサ30が検出した操舵トルクTrとの積、及び、操舵角センサ37が検出した操舵角MAと操舵トルクセンサ30が検出した操舵トルクTrに応じた操舵トルク微分値Trdot(=dTr/dt)との積、に基づいて算出することができる。ここでは、操舵トルクTrと操舵角速度MAdotとの積[Tr・MAdot]に基づいた操舵仕事率を第1操舵仕事率P1、操舵トルク微分値Trdotと操舵角MAとの積[Trdot・MA]に基づいた操舵仕事率を第2操舵仕事率P2と称呼する。能動/受動判別部47は、ドライバーによる操舵操作についての能動/受動を表現する複合モデルとして、下記の式(3)で表わされる複合モデルを用いて操舵仕事率Pを算出する。
P=P1+P2
=Tr・MAdot+Trdot・MA ・・・ (3)
P=P1+P2
=Tr・MAdot+Trdot・MA ・・・ (3)
次に、能動/受動判別部47は、ステップ303に進み、算出したP1、P2、MAdot及びTRdotを図4の表に適用して、現在の時刻における操舵ハンドル27に対するドライバーによる操舵操作が能動(切り込み)、受動(切り戻し)、又は保舵のいずれの状態にあるかを判定する。なお、図4中の「+」は符号が「正」であることを表し、「−」は符号が「負」であることを表している。
図4に示したように、操舵仕事率Pの符号が正のとき、能動/受動判別部47は現在の操舵状態を「能動操作状態(切り込み状態)」と判定し、操舵仕事率Pの符号が負のとき、能動/受動判別部47は現在の操舵状態を「受動操作状態(切り戻し状態)」と判定する。また、操舵仕事率Pの絶対値がゼロのとき、能動/受動判別部47は現在の操舵状態を「保舵状態」と判定する。このような操舵状態の判定手法は、特開2015−048057号公報や特開2015−182517号公報等に開示されているように周知である。
但し、後述するように、操舵仕事率Pの符号が正の場合も負の場合も、絶対値が所定の微小値(後述する第1所定値a)以下の場合は、能動/受動判別部47は現在の操舵状態を「保舵状態」と判定する(この点は周知ではない)。
図4に示したように、操舵仕事率Pの符号が正のとき、能動/受動判別部47は現在の操舵状態を「能動操作状態(切り込み状態)」と判定し、操舵仕事率Pの符号が負のとき、能動/受動判別部47は現在の操舵状態を「受動操作状態(切り戻し状態)」と判定する。また、操舵仕事率Pの絶対値がゼロのとき、能動/受動判別部47は現在の操舵状態を「保舵状態」と判定する。このような操舵状態の判定手法は、特開2015−048057号公報や特開2015−182517号公報等に開示されているように周知である。
但し、後述するように、操舵仕事率Pの符号が正の場合も負の場合も、絶対値が所定の微小値(後述する第1所定値a)以下の場合は、能動/受動判別部47は現在の操舵状態を「保舵状態」と判定する(この点は周知ではない)。
続いて、推定回転角演算部44はステップ304において、電動モータ32で発生している誘起電圧を推定(演算)する。より詳細には、電流センサ34から出力された各相のモータ電流Iu,Iv,Iwを表す信号、電圧センサ35から出力された各相のモータ端子電圧Vu,Vv,Vwを表す信号、及び周知の演算式(例えば、特開2011−157004号公報の段落0066に記載されている演算式)に基づいて、電動モータ32で発生している誘起電圧を演算する。更に、推定回転角演算部44は、ステップ304において、演算した誘起電圧に基づいて電動モータ32の回転子の角速度を演算する。
さらに推定回転角演算部44は、ステップ305において、ステップ304にて求めた回転子の角速度が正の第1閾値以下であるか否かを判定する。即ち、推定回転角演算部44は、「電動モータ32の角速度が低速域にある」か否かを判定する。
推定回転角演算部44がステップ305で「電動モータ32の角速度が低速域にある」と判定した場合(ステップ305:「Yes」)、推定回転角演算部44は、以下に述べるステップ306乃至ステップ309の処理を順に行い、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ306:推定回転角演算部44は、ステップ302において式(3)により求めた操舵仕事率Pを図5のマップ(ルックアップテーブル)MapG(P)に適用して、現在の時刻における回転角補正ゲイン(ゲイン)Gを算出する。マップMapG(P)はROMに格納されている。
図5のマップの横軸は、+(プラス)が操舵ハンドル27の「能動操作状態(切り込み状態)」を表し、−(マイナス)が操舵ハンドル27の「受動操作状態(切り戻し状態)」を表しており、さらにゼロは操舵ハンドル27が「保舵状態」にあることを表している。
図5に示したように回転角補正ゲインGは0乃至1の大きさである。操舵仕事率Pの絶対値がゼロのとき、換言すると操舵ハンドル27が保舵状態にあるとき、回転角補正ゲインGは「0」となる。さらに、操舵仕事率Pの絶対値が微小値である第1所定値a以下の範囲にある場合は、操舵仕事率Pの絶対値がゼロより大きくても回転角補正ゲインGは「0」に維持される。即ち、図5のマップMapG(P)には、操舵仕事率Pの絶対値が第1所定値a以下の範囲に渡って不感帯が設定されている。換言すると、このマップMapG(P)では、操舵仕事率Pの絶対値が第1所定値a以下の範囲全体が「保舵状態」を表している。そのため上述のように、操舵仕事率Pの符号が正の場合も負の場合も、絶対値が第1所定値a以下のとき、能動/受動判別部47はステップ303において現在の操舵状態を「保舵状態」と判定する。
その一方で、操舵仕事率Pの絶対値が第1所定値aより僅かに大きい第2所定値b以上の場合は、回転角補正ゲインGは「1」に維持される。
さらに操舵仕事率Pの絶対値が、第1所定値aより大きくかつ第2所定値bより小さい範囲にある場合は、第1所定値aから第2所定値bへ操舵仕事率Pが増加するにつれて、回転角補正ゲインGは「0」から「1」に向かって徐々に増加する。
ステップ307:推定回転角演算部44は、ECU40のROMに記憶された操舵トルクTrとΔθtrqとの関係を表す「図6に示したマップ(ルックアップテーブル)MapΔθtrq(Tr)」に対して「操舵トルクセンサ30から送信された操舵トルクTr」を適用して、今回の演算周期における電動モータ32の回転子の回転角の増加量Δθtrqを算出する。電動モータ32の角速度が低速域にある場合は、電動モータ32で発生する誘起電圧が小さいため、誘起電圧に基づいて回転角加算量Δθを正確に算出することが難しい。そのため、この場合は図6のマップMapΔθtrq(Tr)及び操舵トルクTrに基づいて(回転角加算量Δθの演算要素である)回転角増加量Δθtrqを算出する。マップMapΔθtrq(Tr)はROMに格納されている。
ステップ308:推定回転角演算部44は、回転角増加量Δθtrqに対してステップ306で求めた回転角補正ゲインGを乗じて回転角加算量Δθを算出する。即ち、以下の式(4)を用いて回転角加算量Δθを算出する。このように、回転角増加量Δθtrqを回転角補正ゲインGにより修正(補正)する理由については後述する。
Δθ=Δθtrq・G・・・式(4)
Δθ=Δθtrq・G・・・式(4)
ステップ309:推定回転角演算部44は、式(1)に従って回転角加算量Δθを演算する。即ち、推定回転角演算部44は、選択後回転角の前回値θbfに回転角加算量Δθを加えることにより推定回転角θを算出する。前述したように、回転角センサ故障検出部43が異常信号を回転角選択部45及びPWM制御部46へ出力しているとき、回転角選択部45は実電気角θeaに代えて推定回転角θを選択してPWM制御部46に送信する。よって、推定回転角演算部44は、回転角センサ33に異常が発生したと判定される直前に(換言すると、回転角センサ33に正常であると判定されているときの最後に)正常時回転角演算部42が算出していた実電気角θeaである正常電気角に、その正常電気角が算出された時点以降の回転角加算量Δθの積算値を加えることにより、推定回転角θを算出する。
一方、ステップ305の判定結果が「No」である場合、即ち、推定回転角演算部44がステップ305で「電動モータ32の角速度が中速域又は高速域にある」と判定した場合は、推定回転角演算部44はステップ310において、図5のマップMapG(P)とは無関係に(即ち、操舵仕事率Pの大きさに拘らず)、回転角補正ゲインGとして「1」を設定する。
次に、推定回転角演算部44はステップ311に進み、ステップ304にて求めた回転子の角速度が第1閾値よりも大きい第2閾値以下であるか否かを判定する。即ち、推定回転角演算部44は、「電動モータ32の角速度が中速域にある」か否かを判定する。
推定回転角演算部44がステップ311で「電動モータ32の角速度が中速域にある」と判定した場合(ステップ311:「Yes」)は、以下に述べるステップ312の処理を行い、ステップ309に進む。
ステップ312:推定回転角演算部44は、回転角増加量Δθtrq、回転角加算量Δθω、回転角加算補正量Δθβ及び回転角補正ゲインGを利用して回転角加算量Δθを算出する。具体的には、以下の式(5)を用いて回転角加算量Δθを算出する。なお、回転角補正ゲインGは「1」に設定されている。
Δθ={Δθtrq+(Δθω+Δθβ)}・G/2・・・式(5)
式(5)によって求められる回転角加算量Δθは、Δθtrqと(Δθω+Δθβ)との平均値に対応する。そのため、式(5)ではΔθtrqと(Δθω+Δθβ)との合計値(に回転角補正ゲインGを掛けた値)を「2」で除している。
Δθ={Δθtrq+(Δθω+Δθβ)}・G/2・・・式(5)
式(5)によって求められる回転角加算量Δθは、Δθtrqと(Δθω+Δθβ)との平均値に対応する。そのため、式(5)ではΔθtrqと(Δθω+Δθβ)との合計値(に回転角補正ゲインGを掛けた値)を「2」で除している。
ここでΔθωは、電動モータ32の誘起電圧から算出した電動モータ32の回転子の角速度ωに基づいて演算された今回の演算周期における電動モータ32の回転子の回転角加算量である。また回転角加算補正量Δθβは、電動モータ32の誘起電圧から算出した今回の演算周期における(角度補正項としての)電動モータ32の回転子の回転角加算量である。なお、この回転角加算量Δθωと回転角加算補正量Δθβの算出方法は、例えば特開2011−157004号公報に記載されているように周知であるため、その説明は省略する(同公報の段落0075等に記載されている「Δθa」がθωに対応し、段落0087等に記載されている「Δθe」がΔθβに対応する)。
更に、ステップ311の判定結果が「No」である場合、即ち、推定回転角演算部44がステップ311で「電動モータ32の角速度が高速域にある」と判定した場合、推定回転角演算部44は以下に述べるステップ313の処理を行い、ステップ309に進む。
ステップ313:推定回転角演算部44は、回転角加算量Δθω、回転角加算補正量Δθβ及び回転角補正ゲインGを利用して回転角加算量Δθを算出する。具体的には、以下の式(6)を用いて回転角加算量Δθを算出する。なお、回転角補正ゲインGは「1」に設定されている。
Δθ=(Δθω+Δθβ)・G・・・式(6)
Δθ=(Δθω+Δθβ)・G・・・式(6)
ところで、図6のマップMapΔθtrq(Tr)は、操舵状態が切り込み状態又は切り戻し状態にある場合における、操舵トルクTrと電動モータ32の回転子の回転角増加量Δθtrqとの関係を規定している。換言すると、マップMapΔθtrq(Tr)は、操舵状態が保舵状態ではないことを想定して作成されている。
従って、操舵ハンドル27が切り込み状態又は切り戻し状態にある場合に限り、マップMapΔθtrq(Tr)によって正確な回転角増加量Δθtrqが求められる。その一方、ステアリングシャフト25の操舵トルクTrは、操舵状態が保舵状態にある場合(即ち、ステアリングシャフト25及び操舵ハンドル27が実質的に回転していない場合)であっても発生する。そのため、操舵ハンドル27が保舵状態にあるとき、マップMapΔθtrq(Tr)を用いて求めた電動モータ32の回転角増加Δθtrqは実際の回転角増加量(即ち、正しい回転角加算量)から乖離した値となる。
そのため、図5のマップMapG(P)によれば、操舵仕事率Pの絶対値が第1所定値a以下の範囲にある場合、即ち能動/受動判別部47が「操舵ハンドル27が保舵状態にある」と判断する場合は、回転角補正ゲインGが「0」に維持される。従って推定回転角演算部44は、操舵ハンドル27が保舵状態にある場合は、回転角増加量Δθtrqに「0」を乗じることにより回転角加算量Δθ(=0)を算出する。換言すると推定回転角演算部44は、操舵ハンドル27が保舵状態にある場合は、電動モータ32の回転子の回転角は変化しないものと推定する。
更に、マップMapG(P)によれば、操舵仕事率Pの絶対値が第2所定値b以上の範囲にある場合、即ち能動/受動判別部47が「操舵ハンドル27が切り込み状態又は切り戻し状態にある(保舵状態にない)」と判断する場合は、回転角補正ゲインGが「1」に維持される。従って推定回転角演算部44は、操舵ハンドル27が「切り込み状態又は切り戻し状態」にある場合は、回転角増加量Δθtrqに「1」を乗じることにより回転角加算量Δθを算出する。
従って、操舵仕事率Pがいずれの大きさの場合であっても、電動モータ32の角速度が低速域にあるときに算出される回転角加算量Δθは電動モータ32の回転子の実際の回転角の演算周期における増加量に近い値となる。即ち、回転角加算量Δθの値は、実際の電動モータ32の回転角増加量に近い数値となる。その結果、推定回転角θの値も電動モータ32の回転子の実際の回転角と近い値になる。
従って、操舵仕事率Pがいずれの大きさの場合であっても、電動モータ32の角速度が低速域にあるときに算出される回転角加算量Δθは電動モータ32の回転子の実際の回転角の演算周期における増加量に近い値となる。即ち、回転角加算量Δθの値は、実際の電動モータ32の回転角増加量に近い数値となる。その結果、推定回転角θの値も電動モータ32の回転子の実際の回転角と近い値になる。
これに対し、電動モータ32の角速度が高速域にある場合、電動モータ32で発生する誘起電圧が十分大きくなる。従って、回転角加算量Δθω及び回転角加算補正量Δθβが正確な値になる。よって、電動モータ32の角速度が高速域にある場合、推定回転角演算部44は、ステップ313において、操舵トルクTrを利用せずに電動モータ32の誘起電圧にのみ基づいて回転角加算量Δθを算出する。そのため、この場合の回転角加算量Δθの値は、実際の電動モータ32の回転角増加量に極めて近い数値となる。
更に、電動モータ32の角速度が中速域にある場合は、電動モータ32で発生する誘起電圧がある程度の大きさになる。よって、回転角加算量Δθω及び回転角加算補正量Δθβがある程度正確な値になる。更に、電動モータ32の角速度が中速域にある場合は、操舵状態が保舵状態にはない可能性が高い。よって、回転角増加量Δθtrqもある程度正確な値になる。そのため、電動モータ32の角速度が中速域にある場合、推定回転角演算部44は、ステップ312において、誘起電圧及び操舵トルクTrの両方を用いて回転角加算量Δθを算出する。この結果、回転角加算量Δθの値は、実際の電動モータ32の回転角増加量に近い数値となる。
更に、電動モータ32の角速度が中速域及び高速域にある場合は、操舵ハンドル27が保舵状態になることはない。そのため、上記のように式(5)、(6)の回転角補正ゲインGは「1」に設定される。
なお、図6から明らかなように、マップMapΔθtrq(Tr)によれば、操舵トルクTrがゼロとゼロより僅かに大きい微小値Tr1との間にあるとき、回転角増加量Δθtrqはゼロに維持される。即ち、このマップMapΔθtrq(Tr)には、ゼロと微小値Tr1との間の一定領域に渡って不感帯が設けられている。電動パワーステアリング装置20の各構成部品の間(例えば、ピニオンシャフト23とラック軸21の間)には一定の遊びが存在する。そのため、操舵トルクTrがゼロと微小値Tr1との間の大きさにあるときは、事実上、電動モータ32の回転角は変化しない。そのため、図6のマップには上記不感帯が設けられている。
再び、図2を参照すると、回転角センサ故障検出部43が回転角選択部45へ正常信号を出力しているときは、回転角選択部45は正常時回転角演算部42から受信した実電気角θeaを電動モータ32の電気角情報として選択してPWM制御部46へ送信する。
その一方で、回転角センサ故障検出部43が回転角選択部45へ異常信号を出力しているときは、回転角選択部45は推定回転角演算部44から受信した推定回転角θを電動モータ32の電気角情報として選択してPWM制御部46へ送信する。
PWM制御部46は、回転角選択部45から受信した実電気角θeaを表す信号と回転角選択部45から受信した推定回転角θを表す信号の何れか一方(即ち、選択後回転角)と、アシスト指令電流演算部41から受信したアシスト指令電流Iaを表す信号とに基づいて電動モータ32をPWM制御する。具体的には、PWM制御部46はPWM制御信号(U相電流、V相電流、W相電流)を生成し、このPWM制御信号を電動モータ32へ出力する。すると電動モータ32が回転し、電動モータ32の回転駆動力が減速機構を介してラック軸21に伝わる。
このときの電動モータ32の回転力は、操舵ハンドル27の操作をアシストする力となる。例えば、操舵ハンドル27が切り込み状態にあるときの電動モータ32の回転方向は、操舵ハンドル27を切り込み方向に回転させる方向となる。また、操舵ハンドル27が保舵状態にあるときの電動モータ32の回転方向は、前輪15R、15Lが路面から受ける力に抗して操舵ハンドル27の操舵角を保持するための方向となる。
電動モータ32に所望のアシスト力を発生させるためには、PWM制御部46が電動モータ32の回転子の回転角を正確に認識した上で電動モータ32をPWM制御する必要がある。
上述のように本実施形態では、回転角センサ33が故障している場合に推定回転角演算部44が算出する推定回転角θの値は、電動モータ32の角速度が低速域、中速域及び高速域のいずれにある場合も、電動モータ32の回転子の実際の回転角と極めて近い値になる。また、回転角センサ33が正常に動作している場合に回転角センサ33によって検出される実電気角θeaは、当然ながら電動モータ32の実際の回転角を正確に表している。
従って、回転角センサ33が正常に動作している場合としていない場合のいずれにおいても、PWM制御部46によって回転制御された電動モータ32は、操舵ハンドル27の回転動作を過不足なくアシストする。
例えば、ドライバーが操舵ハンドル27を切り込み操作する場合は、一般的に電動モータ32は大きな目標操舵アシストトルクTaを発生させる必要がある。本実施形態ではPWM制御部46が、電動モータ32の回転子の正確な回転角位置情報に基づいて電動モータ32をPMW制御するので、このような場合において電動モータ32は所望の大きさの目標操舵アシストトルクTaをラック軸21に対して付与できる。換言すると、このような場合に電動モータ32からラック軸21へ目標操舵アシストトルクTaよりも小さなアシストトルクが伝達され、その結果、ドライバーが操舵ハンドル27の回転操舵時に引っ掛かり感を覚えるおそれは小さい。
また、例えば能動/受動判別部47の判定結果には判定誤差が不可避的に発生する。そのため、例えば、実際には操舵ハンドル27が完全な保舵状態にあるにも拘わらず、操舵仕事率Pの絶対値がゼロより大きくかつ第1所定値a以下の値になる可能性がある。換言すると、能動/受動判別部47が「操舵ハンドル27が僅かに回転している(換言すると、電動モータ32の回転子が回転している)」と誤判定するおそれがある。
しかし本実施形態ではこのような場合は、操舵仕事率Pの絶対値がゼロの場合と同様に、能動/受動判別部47が「操舵状態が保舵状態にある」と判定し、推定回転角演算部44が回転角補正ゲインGをゼロにする(即ち、回転角加算量Δθをゼロにする)。
そのため、このような状況において電動モータ32が、保舵状態を維持するためのトルクよりも大きいアシスト力を誤って操舵ハンドル27に付与するおそれは殆どない。
そのため、このような状況において電動モータ32が、保舵状態を維持するためのトルクよりも大きいアシスト力を誤って操舵ハンドル27に付与するおそれは殆どない。
また、図5のマップとして、操舵仕事率Pの絶対値が第1所定値aのときを境にして回転角補正ゲインGを「0」から「1」にいきなり切り替えるマップを採用することも理論上は可能である。しかしこの場合は、操舵仕事率Pの絶対値がa付近で変化するときに、微小時間の間に回転角補正ゲインGが「0」と「1」とに頻繁に変化するおそれがある。即ち、図5のマップを利用して求めた回転角補正ゲインGの出力(値)に所謂チャタリングが発生し、チャタリングに起因してステップ305で算出された推定回転角θが短時間の間に激しく変化するおそれがある。この場合は、モータ30の回転トルク変動が激しくなり、このトルク変動に起因して操舵ハンドル27が振動するおそれがある。
しかし本実施形態の図5のマップでは、操舵仕事率Pの絶対値が第1所定値aより大きくかつ第2所定値bより小さい範囲にある場合に回転角補正ゲインGを「0」と「1」の間で徐々に変化させている。従って、操舵仕事率Pの絶対値が第1所定値a及び第2所定値b付近の値で変化しても、チャタリングが発生するおそれは小さい。そのため、操舵ハンドル27が振動するおそれは殆どない。
以上、本発明を上記各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、三相式のブラシレスDCモータ以外の回転角センサ33を有するブラシレスモータを電動モータ32として利用してもよい。
例えば、三相式のブラシレスDCモータ以外の回転角センサ33を有するブラシレスモータを電動モータ32として利用してもよい。
回転角センサ33に異常が発生した場合にのみ、推定回転角演算部44が推定回転角θを演算するようにECU40を構成してもよい。
電動パワーステアリング装置20を、ステアリングシャフト25に(減速機等を介して)電動モータ32を連係させたコラムEPSに設計変更してもよい。
10・・・車両、17・・・車速センサ、20・・・電動パワーステアリング装置、25・・・ステアリングシャフト、27・・・操舵ハンドル、29・・・トーションバー、30・・・操舵トルクセンサ、32・・・電動モータ、33・・・回転角センサ、40・・・電子制御ユニット(ECU)、41・・・アシスト指令電流演算部、42・・・正常時回転角演算部、43・・・回転角センサ故障検出部、44・・・推定回転角演算部、45・・・回転角選択部、46・・・PWM制御部、47・・・能動/受動判別部。
Claims (3)
- 操舵ハンドルと車輪とを連結するステアリング機構に介在されたトーションバーの捩れ度合に基づいて前記操舵ハンドルから前記ステアリング機構に入力された操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、
前記操舵ハンドルの操舵角を検出するための操舵角センサと、
前記トーションバーよりも前記車輪側となる前記ステアリング機構に連結されて操舵アシストトルクを付与する電動モータと、
前記操舵トルクセンサが検出した前記操舵トルクに基づいて前記電動モータが発生すべき前記操舵アシストトルクである目標操舵アシストトルクを演算する目標操舵アシストトルク演算手段と、
前記電動モータの実際の回転角である実電気角を検出する正常時回転角検出手段と、
前記正常時回転角検出手段の異常を検出する異常検出手段と、
前記電気モータの回転角の推定値である推定回転角を演算する電気角推定手段と、
前記異常検出手段が前記正常時回転角検出手段の異常を検出していないときは前記目標操舵アシストトルクを前記電動モータが発生するように前記検出された実電気角に基づいて前記電動モータを制御し、前記異常検出手段が前記正常時回転角検出手段の異常を検出したときは前記目標操舵アシストトルクを前記電動モータが発生するように前記演算された推定回転角に基づいて前記電動モータを制御する、モータ制御手段と、
前記操舵ハンドルに対するドライバーの操舵操作の前記操舵トルクセンサが検出した操舵トルク及び前記操舵角センサが検出した操舵角に基づく仕事率である操舵仕事率を演算する操舵仕事率演算手段と、
を備え、
前記電気角推定手段が、
前記操舵ハンドルが切り込み状態又は切り戻し状態にあるときの前記操舵トルクセンサが検出した操舵トルクと前記電動モータの回転角の増加量との関係を予め記憶するとともに、前記操舵トルクセンサが検出した前記操舵トルクと前記関係とに基づいて前記電動モータの回転角の増加量を求め、
前記算出された操舵仕事率の絶対値が正の第1所定値以下の場合には同第1所定値よりも大きい場合に比べ前記増加量が小さくなるように前記増加量を補正することにより回転角加算量を演算し、
前記異常検出手段が前記正常時回転角検出手段の異常を検出したとき、前記異常検出手段が前記異常を検出していないときに前記正常時回転角検出手段が最後に検出した前記実電気角である正常電気角に、前記正常時回転角検出手段が前記正常電気角を検出した時点以降の前記回転角加算量の積算値を加えることにより、前記推定回転角を演算するように構成された、
電動パワーステアリング装置。 - 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記電気角推定手段が、
前記演算された操舵仕事率の絶対値が前記第1所定値以下であるとき、前記回転角加算量がゼロとなるように前記増加量を補正するように構成された、
電動パワーステアリング装置。 - 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記電気角推定手段が、
前記操舵仕事率の絶対値が前記第1所定値以下のときにゼロとなり、前記操舵仕事率の絶対値が前記第1所定値より大きい第2所定値以上のときに1となり、前記操舵仕事率の絶対値が前記第1所定値より大きくかつ前記第2所定値より小さいときに前記絶対値が前記第1所定値側から前記第2所定値側へ変化するにつれてゼロから1へ徐々に変化する、ゲインを演算し、
前記ゲインを前記増加量に乗じることによって前記回転角加算量を演算するように構成された、
電動パワーステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015244867A JP2017109581A (ja) | 2015-12-16 | 2015-12-16 | 電動パワーステアリング装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019084983A (ja) * | 2017-11-07 | 2019-06-06 | 株式会社ジェイテクト | 操舵制御装置 |
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-
2015
- 2015-12-16 JP JP2015244867A patent/JP2017109581A/ja active Pending
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