JP6573682B2 - 電極積層体及びそれを用いたニッケル亜鉛電池 - Google Patents

電極積層体及びそれを用いたニッケル亜鉛電池 Download PDF

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Description

本発明は、電極積層体及びそれを用いたニッケル亜鉛電池に関するものである。
ニッケル亜鉛二次電池は古くから開発及び検討がなされてきたものの、未だ実用化に至っていない。これは、充電時に負極を構成する亜鉛がデンドライトという樹枝状結晶を生成し、このデンドライトがセパレータを突き破って正極と短絡を引き起こすという問題があるためである。一方で、ニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池が既に商品化されている。しかしながら、ニッケル亜鉛二次電池は、ニッケルカドミウム二次電池と比べて約5倍、ニッケル水素二次電池と比べて2.5倍、リチウムイオン電池と比べて1.3倍という極めて高い理論容量密度を有し、かつ、原料価格も低いとの長所を有している。したがって、ニッケル亜鉛二次電池において、亜鉛デンドライトによる短絡を防止する技術が強く望まれている。
例えば、特許文献1(国際公開第2013/118561号)には、亜鉛デンドライトによる短絡の防止を目的として、水酸化物イオン伝導性の無機固体電解質体からなるセパレータを正極及び負極間に設けた、ニッケル亜鉛二次電池が提案されている。この無機固体電解質体は90%以上の相対密度を有し、一般式:M2+ 1−x3+ (OH)n− x/n・mHOの基本組成を有する層状複水酸化物からなるものでありうることがこの文献には開示されている。上記一般式中、M2+は少なくとも1種以上の2価の陽イオンであり、M3+は少なくとも1種以上の3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオンであり、nは1以上の整数、xは0.1〜0.4である。
国際公開第2013/118561号
本出願人は、水酸化物イオン伝導性を有するが透水性を有しない程に高度に緻密化されたセラミックスセパレータ(無機固体電解質セパレータ)の開発に先だって成功している。また、そのようなセラミックスセパレータを多孔質基材(例えばアルミナ多孔質基材)上に形成することにも成功している。このようなセパレータ(あるいは多孔質基材付きセパレータ)を用いてニッケル亜鉛電池等の二次電池を構成した場合、亜鉛デンドライトによる短絡等を効果的に防止できる。その一方、上記のようなセラミックスセパレータは高性能であるが故に高価となりうる。このため、電池に搭載されるセラミックスセパレータは、比較的小さい面積を有するように設計されることが望まれる。この場合、電極の面積もまた小さくせざるを得なくなるため、電池容量を上げるには電極を厚くすることが望まれる。しかし、ニッケル亜鉛電池の場合、正負極反応においてHOの使用を伴う(特に正極での放電反応時と負極での充電反応時にHOを使用する)ため、単に電極を厚くしただけでは電解液(特にHO)が電極の奥まで十分に浸透できず、それ故期待どおりの性能が得られにくくなる。そこで、厚い電極でありながらも性能の低下を抑えることが可能なニッケル亜鉛電池用の電極構成が望まれる。
本発明者らは、今般、電極層同士の間に保液空間を備えた2層以上の電極層からなる電極積層体をニッケル亜鉛電池において正極又は負極として用いることにより、全体として厚い電極としつつも、性能の低下を抑えつつ望ましく高い電池性能を実現できるとの知見を得た。
したがって、本発明の目的は、今般、全体として厚く設計しても、性能の低下を抑えつつ望ましく高い電池性能を実現可能な、ニッケル亜鉛電池用の電極を提供することにある。
本発明の一態様によれば、ニッケル亜鉛電池において正極又は負極として用いられる電極積層体であって、
互いに離間して平行に配置される、正極又は負極である2層以上の電極層と、
該電極層同士の間に存在する保液空間と、
を備えた、電極積層体が提供される。
本発明の別の態様によれば、水酸化ニッケル及び/又はオキシ水酸化ニッケルを含む正極と、
前記正極が浸漬される、アルカリ金属水酸化物水溶液を含む正極電解液と、
亜鉛及び/又は酸化亜鉛を含む負極と、
前記負極が浸漬される、アルカリ金属水酸化物水溶液を含む負極電解液と、
前記正極、前記正極電解液、前記負極、及び前記負極電解液を収容する密閉容器と、
前記密閉容器内に、前記正極及び前記正極電解液を収容する正極室と、前記負極及び前記負極電解液を収容する負極室とを区画するように設けられ、水酸化物イオン伝導性を有するが透水性を有しない、無機固体電解質体からなるセラミックスセパレータと、
を備えてなり、前記正極及び前記負極の少なくともいずれか一方が上記電極積層体である、ニッケル亜鉛電池が提供される。
本発明による電極積層体の一例を示す概念図である。 図1に示される電極積層体を正極として備えたニッケル亜鉛電池の一例を示す概念図である。 本発明によるニッケル亜鉛電池の一例を模式的に示す概念図であり、放電末状態を示す。 図3に示されるニッケル亜鉛電池の満充電状態を示す図である。 多孔質基材付きセパレータの一態様を示す模式断面図である。 多孔質基材付きセパレータの他の一態様を示す模式断面図である。 層状複水酸化物(LDH)板状粒子を示す模式図である。 例1(比較)で作製した、保液空間を有しない電極積層体を用いたニッケル亜鉛電池を模式的に示す図である。 例1(比較)及び例2において測定された放電特性を示す図である。 例3で作製したアルミナ製多孔質基材の表面のSEM画像である。 例3において試料の結晶相に対して得られたXRDプロファイルである。 例3において観察された膜試料の表面微構造を示すSEM画像である。 例3において観察された複合材料試料の研磨断面微構造のSEM画像である。 例3で使用された緻密性判別測定系の分解斜視図である。 例3で使用されたる緻密性判別測定系の模式断面図である。 He透過度測定系の一例を示す概念図である。 図15Aに示される測定系に用いられる試料ホルダ及びその周辺構成の模式断面図である。 Zn透過割合測定装置の一例を示す概念図である。 図16Aに示される測定装置に用いられる試料ホルダの模式断面図である。 例5で測定されたHe透過度とZn透過割合の関係を示すグラフである。
電極積層体
本発明は、ニッケル亜鉛電池(典型的にはニッケル亜鉛二次電池)において正極又は負極として用いられる電極積層体に関する。図1に電極積層体の一例が示される。図1に示されるように、本発明の電極積層体2は、正極又は負極である2層以上の電極層4と、保液空間6とを備える。2層以上の電極層4は互いに離間して平行に配置され、これら電極層4同士の間に保液空間6が存在する。このように、電極層4同士の間に保液空間6を備えた2層以上の電極層4からなる電極積層体2をニッケル亜鉛電池において正極又は負極として用いることにより、全体として厚い電極としつつも、性能の低下を抑えつつ望ましく高い電池性能を実現することができる。
ところで、従来型の液系電池においては、電極厚みを厚くして大容量化した場合、電極内部に電解液が十分に浸透しない等の問題が起こりうるため、電極やセパレータを大面積化して容量を確保しているのが一般的であった。しかし、前述のとおり、高性能セラミックスセパレータの採用等に伴い、セパレータ及び電極の面積を小さくせざるを得ない場合、電池容量を上げるには電極を厚くすることが望まれる。しかし、ニッケル亜鉛電池の場合、正負極反応においてHOの使用を伴う(特に正極での放電反応時と負極での充電反応時にHOを使用する)ため、単に電極を厚くしただけでは電解液(特にHO)が電極の奥まで十分に浸透できず、それ故所期の性能が得られにくくなる。かかる問題に対し、本発明の電極積層体2によれば、保液空間6に電解液を保持することができるため、電極層4を2層以上としてそれらの合計厚さを大きくしたとしても、電極の奥にまで電解液を十分に浸透させることができる。その結果、本発明によれば、全体として厚く設計しても、性能の低下を抑えつつ望ましく高い電池性能を実現可能な、ニッケル亜鉛電池用の電極(すなわち電極積層体)を提供することができる。
2層以上の電極層4は正極及び負極のいずれであってもよい。すなわち、電極積層体2が正極として構成される場合には、2層以上の電極層4はすべて正極となる。この場合、例えば図2に示されるように電極積層体2を正極として配置してニッケル亜鉛電池を構成することができる。一方、電極積層体2が負極として構成される場合には、2層以上の電極層4はすべて負極となる。この場合、電極積層体2を負極として配置してニッケル亜鉛電池を構成することができる。なお、図2に示される他の構成部材の詳細については同じ符号が用いられる図3に示されるニッケル亜鉛電池10に関して後述するものとする。特に、電極積層体2が正極であるのが好ましい。この場合、正極としての電極層が水酸化ニッケル及びオキシ水酸化ニッケルの少なくともいずれか一方を含むのが好ましい。あるいは、電極積層体2は負極であってもよい。この場合、負極としての電極層が亜鉛及び酸化亜鉛の少なくともいずれか一方を含むのが好ましい。正極及び負極についての詳細な説明もまた後述するものとする。
電極層4は0.5〜5.0mmの厚さを有するのが好ましく、より好ましくは0.5〜4.0mmであり、さらに好ましくは0.4〜3.0mmであり、特に好ましくは0.5〜2.5mmであり、最も好ましくは0.5〜2.0mmである。上記範囲内の厚さであると、電極層4の奥にまで電解液をより効率良く浸透させることができる。また、電極積層体2に含まれる電極層4の数は、2枚以上であるのが好ましく、より好ましくは2枚〜10枚であり、さらに好ましくは2枚〜8枚であり、特に好ましくは2枚〜6枚であり、最も好ましくは2枚〜4枚である。上記のような数で電極層4を用いることで、合計厚さをより大きくして電池容量を更に向上することができる。
保液空間6は、互いに離間して平行に配置される2層以上の電極層4同士の間に存在する保液のための空間である。前述のとおり、この保液空間6に電解液を保持することができるため、電極層4を2層以上としてそれらの合計厚さを大きくしたとしても、電極層4の奥にまで電解液を十分に浸透させることができる。電極積層体2は、保液空間6に、液を保持可能な保液手段をさらに備えるのが好ましい。より好ましくは、電極積層体2は両端の電極層4の外側にも保液手段を備える。保液手段はシート状の保液部材8であるのが、電極層4の間のスペーサ兼連結部材として機能するので電極積層体2を作製しやすい点で好ましい。保液部材の好ましい例としては不織布、吸水性樹脂、保液性樹脂、多孔シート、各種スペーサが挙げられるが、特に好ましくは低コストで性能の良い電極積層体2を作製できる点で不織布である。
保液空間6又は保液部材8は0.01〜0.20mmの厚さを有するのが好ましく、より好ましくは0.02〜0.20mmであり、さらに好ましくは0.02〜0.15mmであり、特に好ましくは0.02〜0.10mmであり、最も好ましくは0.02〜0.06mmである。上記範囲内の厚さであると、電極積層体2の全体サイズを無駄無くコンパクトに抑えながら、保液空間6内に十分な量の電解液を保持させることができる。
電極積層体2は1.03mm以上の厚さを有するのが好ましく、より好ましくは1.03〜10mmであり、さらに好ましくは1.03〜8.0mmであり、特に好ましくは1.03〜6.0mmであり、最も好ましくは1.03〜4.0mmである。
ニッケル亜鉛電池
図3に、本発明による電極積層体を好ましく適用可能な、セラミックスセパレータを備えたニッケル亜鉛電池の一例を模式的に示す。もっとも、本発明の電極積層体はセラミックスセパレータ以外のセパレータを備えたニッケル亜鉛電池にも適用可能であることはいうまでもない。図3に示されるニッケル亜鉛電池は説明の便宜上、電極積層体2が組み込まれていないが、電極積層体2が正極として構成される場合には、図3において正極12を電極積層体2で置き換えればよい(例えば図2を参照)。一方、電極積層体2が負極として構成される場合には、図3において負極16を電極積層体2で置き換えればよい。すなわち、正極12及び負極16の少なくともいずれか一方として上述した電極積層体2を用いればよい。
図3に示されるニッケル亜鉛電池は充電が行われる前の初期状態を示しており、放電末状態に相当する。もっとも、本発明のニッケル亜鉛電池は満充電状態で構成されてもよいのはいうまでもない。図3に示されるように、本発明によるニッケル亜鉛電池10は、正極12、正極電解液14、負極16、負極電解液18、セラミックスセパレータ20、及び多孔質基材28を密閉容器22内に備えてなる。正極12は、水酸化ニッケル及び/又はオキシ水酸化ニッケルを含む。正極電解液14はアルカリ金属水酸化物水溶液を含み、正極12が浸漬される。負極16は亜鉛及び/又は酸化亜鉛を含む。負極電解液18はアルカリ金属水酸化物水溶液を含み、負極16が浸漬される。密閉容器22は、正極12、正極電解液14、負極16、及び負極電解液18を収容する。正極12及び正極電解液14は必ずしも分離している必要はなく、正極12と正極電解液14が混合された正極合材として構成されてもよい。同様に、負極16及び負極電解液18は必ずしも分離している必要はなく、負極16と負極電解液18が混合された負極合材として構成されてもよい。所望により、正極集電体13が正極12に接触して設けられる。また、所望により、負極集電体17が負極16に接触して設けられる。
セラミックスセパレータ20(以下、セパレータ20という)は、密閉容器22内に、正極12及び正極電解液14を収容する正極室24と、負極16及び負極電解液18を収容する負極室26とを区画するように設けられる。セパレータ20は水酸化物イオン伝導性を有するが透水性を有しない。ここで、本明細書において「透水性を有しない」とは、後述する例3で採用される「緻密性判定試験」又はそれに準ずる手法ないし構成で透水性を評価した場合に、測定対象物(例えばセパレータ20及び/又は多孔質基材28)の一面側に接触した水が他面側に透過しないことを意味する。すなわち、セパレータ20が透水性を有しないということは、セパレータ20が水を通さない程の高度な緻密性を有することを意味し、透水性を有する多孔性フィルムやその他の多孔質材料ではないことを意味する。このため、充電時に生成する亜鉛デンドライトによるセパレータの貫通を物理的に阻止して正負極間の短絡を防止するのに極めて効果的な構成となっている。もっとも、図3に示されるようにセパレータ20に多孔質基材28が付設されてよいのはいうまでもない。いずれにしても、セパレータ20は水酸化物イオン伝導性を有するため、正極電解液14と負極電解液18との間で必要な水酸化物イオンの効率的な移動を可能として正極室24及び負極室26における充放電反応を実現することができる。正極室24及び負極室26における充電時における反応は以下に示されるとおりであり、放電反応はその逆となる。
‐ 正極: Ni(OH)+OH→NiOOH+HO+e
‐ 負極: ZnO+HO+2e→Zn+2OH
ただし、上記負極反応は以下の2つの反応で構成されるものである。
‐ ZnOの溶解反応: ZnO+HO+2OH→Zn(OH) 2−
‐ Znの析出反応: Zn(OH) 2−+2e→Zn+4OH
ニッケル亜鉛電池10は、正極室24に充放電時の正極反応に伴う水分量の増減を許容する容積の正極側余剰空間25を有し、かつ、負極室26に充放電時の負極反応に伴う水分量の減増を許容する容積の負極側余剰空間27を有するのが好ましい。これにより正極室24及び負極室26における水分量の増減に伴う不具合(例えば、液漏れ、容器内圧の変化に伴う容器の変形等)を効果的に防止して、ニッケル亜鉛電池の信頼性を更に向上することができる。すなわち、上記反応式から分かるように、充電時には正極室24で水が増加する一方、負極室26で水が減少する。一方、放電時には正極室24で水が減少する一方、負極室26で水が増加する。この点、従来の殆どのセパレータは、透水性を有するものであるため、セパレータを介して水が自由に行き来できる。しかしながら、本発明に用いるセパレータ20は透水性を有しないという緻密性の高い構造を有するため、セパレータ20を介して水が自由に行き来できず、充放電に伴い正極室24内及び/又は負極室26内において電解液量が一方的に増大して液漏れ等の不具合を引き起こしうる。そこで、正極室24に充放電時の正極反応に伴う水分量の増減を許容する容積の正極側余剰空間25を有することで、図4に示されるように、充電時において正極電解液14の増加に対処可能なバッファとして機能させることができる。すなわち、図4に示されるように、満充電後においても正極側余剰空間25がバッファとして機能することで、増量した正極電解液14を溢れ出させることなく確実に正極室24内に保持することができる。同様に、負極室26に充放電時の負極反応に伴う水分量の減増を許容する容積の負極側余剰空間27を有することで、放電時に負極電解液18の増加に対処可能なバッファとして機能させることができる。
正極室24及び負極室26における水分の増減量は、前述した反応式に基づいて算出することができる。前述した反応式から分かるように、充電時における正極12でのHOの生成量は、負極16におけるHOの消費量の2倍に相当する。したがって、正極側余剰空間25の容積を負極側余剰空間27よりも大きくしてもよい。いずれにしても、正極側余剰空間25の容積は、正極室24において見込まれる水分増加量のみならず、正極室24に予め存在している空気等のガスや過充電時に正極12より発生しうる酸素ガスをも適切な内圧で収容できるように若干ないしある程度余裕を持たせた容積とするのが好ましい。この点、負極側余剰空間27は、図3のように正極側余剰空間25と同程度の容積とすれば十分であるとはいえるが、放電末状態で電池を構成する際には充電に伴う水の減少量を超える余剰空間を設けておくことが望まれる。いずれにしても、負極側余剰空間27は正極室24内の半分程度の量しか水の増減がないため正極側余剰空間25よりも小さくしてもよい。
ニッケル亜鉛電池10が放電末状態で構築される場合には、正極側余剰空間25が、充電時の正極反応に伴い増加することが見込まれる水分量を超える容積を有し、正極側余剰空間25には正極電解液14が予め充填されていないのが好ましい。また、負極側余剰空間27が、充電時の負極反応に伴い減少することが見込まれる水分量を超える容積を有し、負極側余剰空間27には減少することが見込まれる量の負極電解液18が予め充填されているのが好ましい。一方、ニッケル亜鉛電池10が満充電状態で構築される場合には、正極側余剰空間25が、放電時の正極反応に伴い減少することが見込まれる水分量を超える容積を有し、正極側余剰空間25には減少することが見込まれる量の正極電解液14が予め充填されているのが好ましい。また、負極側余剰空間27が、放電時の負極反応に伴い増加することが見込まれる水分量を超える容積を有し、負極側余剰空間27には負極電解液18が予め充填されていないのが好ましい。
正極側余剰空間25には正極12が充填されておらず且つ/又は負極側余剰空間27には負極16が充填されていないのが好ましく、正極側余剰空間25及び負極側余剰空間27に正極12及び負極16がそれぞれ充填されていないのがより好ましい。これらの余剰空間においては充放電時に水分量の減少による電解液の枯渇が起こりうる。すなわち、これらの余剰空間に正極12や負極16が充填されていても充放電反応に十分に関与させることができないため、非効率となる。したがって、正極側余剰空間25及び負極側余剰空間27に正極12及び負極16をそれぞれ充填させないことで、正極12及び負極16を無駄無くより効率的且つ安定的に電池反応に関与させることができる。
本発明のニッケル亜鉛電池は、セパレータが縦に設けられた縦型構造に構成されるのが好ましい。セパレータが縦に設けられる場合、正極室/セパレータ/負極室が横方向(水平方向)に並ぶ構成となる。図3のようにセパレータ20が縦に設けられる場合、正極室24がその上方に正極側余剰空間25を有し、かつ、負極室26がその上方に負極側余剰空間27を有するのが典型的である。もっとも、ゲル状の電解液を使用した場合には、電解液の減少にも関わらず正極室24及び/又は負極室26の充放電反応部分に電解液を保持可能となる。このため、正極室24の上方以外の部分(例えば側方部分や下方部分)及び/又は負極室26の上方以外の部分(例えば側方部分や下方部分)に正極側余剰空間25及び/又は負極側余剰空間27を設けることも可能となり、設計の自由度が増加する。
あるいは、本発明のニッケル亜鉛電池は、セパレータが横に設けられた横型構造に構成されてもよい。セパレータが横に設けられる場合、正極室/セパレータ/負極室が縦方向(鉛直方向)に積層される構成となる。この場合、例えば、ゲル状の電解液を用いることで、電解液の減少に関わらず、セパレータと電解液の接触を常時保持することができる。また、正極とセパレータの間及び/又は負極とセパレータの間に不織布等の吸水性樹脂又は保液性樹脂製の第2のセパレータ(樹脂セパレータ)を配置して、電解液が減少した場合であっても電解液を正極及び/又は負極の充放電反応部分に電解液を保持可能とする構成としてもよい。吸水性樹脂又は保液性樹脂の好ましい例としては、ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。こうして、正極室の上方以外の部分(例えば側方部分や下方部分)及び/又は負極室の上方以外の部分(例えば側方部分や下方部分)に正極側余剰空間及び/又は負極側余剰空間を設けることが可能となる。
セパレータ
セパレータ20は水酸化物イオン伝導性を有するが透水性を有しない部材であり、典型的には板状、膜状又は層状の形態である。セパレータ20は、密閉容器22内に設けられ、正極12及び正極電解液14を収容する正極室24と、負極16及び負極電解液18を収容する負極室26とを区画する。前述したとおり、セパレータ20は水酸化物イオン伝導性を有するが透水性を有しない部材であり、典型的には板状、膜状又は層状の形態である。
セパレータ20は、単位面積あたりのHe透過度が10cm/min・atm以下であるのが好ましく、より好ましくは5.0cm/min・atm以下、さらに好ましくは1.0cm/min・atm以下である。He透過度が10cm/min・atm以下であるセパレータは、電解液中においてZnの透過(典型的には亜鉛イオン又は亜鉛酸イオンの透過)を極めて効果的に抑制することができる。例えば、後述する図17に示されるように、He透過度が10cm/min・atm以下であると、水接触下で評価した場合における単位面積あたりのZn透過割合が著しく低下する。その意味で、10cm/min・atmというHe透過度の上限値は、水酸化物イオン伝導セパレータにおけるZnの透過抑制効果に関して臨界的意義を有するといえる。このように本態様のセパレータは、Zn透過が顕著に抑制されることで、ニッケル亜鉛二次電池に用いた場合に亜鉛デンドライトの成長を効果的に抑制できるものと原理的に考えられる。He透過度は、セパレータの一方の面にHeガスを供給してセパレータにHeガスを透過させる工程と、He透過度を算出して水酸化物イオン伝導セパレータの緻密性を評価する工程とを経て測定される。He透過度は、単位時間あたりのHeガスの透過量F、Heガス透過時にセパレータに加わる差圧P、及びHeガスが透過する膜面積Sを用いて、F/(P×S)の式により算出する。このようにHeガスを用いてガス透過性の評価を行うことにより、極めて高いレベルでの緻密性の有無を評価することができ、その結果、水酸化物イオン以外の物質(特に亜鉛デンドライト成長を引き起こすZn)を極力透過させない(極微量しか透過させない)といった高度な緻密性を効果的に評価することができる。これは、Heガスが、ガスを構成しうる多種多様な原子ないし分子の中でも最も小さい構成単位を有しており、しかも反応性が極めて低いためである。すなわち、Heは、分子を形成することなく、He原子単体でHeガスを構成する。この点、水素ガスはH分子により構成されるため、ガス構成単位としてはHe原子単体の方がより小さい。そもそもHガスは可燃性ガスのため危険である。そして、上述した式により定義されるHeガス透過度という指標を採用することで、様々な試料サイズや測定条件の相違を問わず、緻密性に関する客観的な評価を簡便に行うことができる。こうして、セパレータがニッケル亜鉛電池用セパレータに適した十分に高い緻密性を有するのか否かを簡便、安全かつ効果的に評価することができる。He透過度の測定は、後述する例5に示される手順に従って好ましく行うことができる。
セパレータ20は、水接触下で評価した場合における単位面積あたりのZn透過割合が10m−2・h−1以下であるのが好ましく、より好ましくは5.0m−2・h−1以下より好ましくは4.0m−2・h−1以下より好ましくは3.0m−2・h−1以下、より好ましくは1.0m−2・h−1以下である。このように低いZn透過割合は、電解液中においてZnの透過を極めて効果的に抑制できることを意味する。このため、ニッケル亜鉛二次電池に用いた場合に亜鉛デンドライトの成長を効果的に抑制できるものと原理的に考えられる。Zn透過割合は、セパレータにZnを所定時間透過させる工程と、Zn透過割合を算出する工程とを経て決定される。セパレータへのZnの透過は、水酸化物イオン伝導セパレータの一方の面にZnを含有する第一の水溶液を接触させ、かつ、セパレータの他方の面にZnを含有しない第二の水溶液又は水を接触させることにより行われる。また、Zn透過割合は、(C×V)/(C×V×t×S)の式により算出する。ここで、Zn透過開始前の第一の水溶液のZn濃度C、Zn透過開始前の第一の水溶液の液量V、Zn透過終了後の第二の水溶液又は水のZn濃度C、Zn透過終了後の第二の水溶液又は水の液量V、Znの透過時間t、及びZnが透過する膜面積Sである。C、C、V、V、t及びSの各パラメータの単位は濃度C及びCの単位が揃っており且つ液量V及びVの単位が揃っているかぎり特に限定されないが、Znの透過時間tの単位をhとし、膜面積Sの単位をmとするのが好ましい。Zn透過前の第一の水溶液のZn濃度Cは0.001〜1mol/Lの範囲内であるのが好ましく、より好ましくは0.01〜1mol/L、さらに好ましくは0.05〜0.8mol/L、特に好ましくは0.2〜0.5mol/L、最も好ましくは0.35〜0.45mol/Lである。また、Znの透過時間は1〜720時間とするのが好ましく、より好ましくは1〜168時間、さらに好ましくは6〜72時間、特に好ましくは12〜24時間である。このようにZn含有水溶液とZn非含有液を用いてZn透過性の評価を行うことにより、極めて高いレベルでの緻密性の有無を評価することができ、その結果、亜鉛二次電池で亜鉛デンドライト成長を引き起こすZnを極力透過させない(極微量しか透過させない)といった高度な緻密性を確実かつ高精度に評価することができる。そして、上述した式により定義されるZn透過割合という指標を採用することで、様々な試料サイズや測定条件の相違を問わず、緻密性に関する客観的な評価を簡便に行うことができる。このZn透過割合は亜鉛デンドライト析出のしにくさを判断するための有効な指標となりうる。というのも、水酸化物イオン伝導セパレータを亜鉛二次電池にセパレータとして用いた場合、次のように考えられるためである。すなわち、セパレータの一方の側(亜鉛負極側)の負極電解液にZnが含有されていても、他方の側の(本来Zn非含有の)正極電解液にZnが透過しなければ、正極電解液中での亜鉛デンドライトの成長は効果的に抑制されるものと原理的に考えられるためである。こうして、本態様によれば、セパレータがニッケル亜鉛電池用セパレータに適した十分に高い緻密性を有するのか否かを確実かつ高精度に評価することができる。Zn透過割合の測定は、後述する例5に示される手順に従って好ましく行うことができる。
セパレータ20は無機固体電解質体からなるのが好ましい。セパレータ20として水酸化物イオン伝導性の無機固体電解質体を用いることで、正負極間の電解液を隔離するとともに水酸化物イオン伝導性を確保する。そして、セパレータ20を構成する無機固体電解質は典型的には緻密で硬い無機固体であるため、充電時に生成する亜鉛デンドライトによるセパレータの貫通を物理的に阻止して正負極間の短絡を防止することが可能となる。その結果、ニッケル亜鉛電池の信頼性を大幅に向上することができる。無機固体電解質体は透水性を有しない程にまで緻密化されていることが望まれる。例えば、無機固体電解質体は、アルキメデス法で算出して、90%以上の相対密度を有するのが好ましく、より好ましくは92%以上、さらに好ましくは95%以上であるが、亜鉛デンドライトの貫通を防止する程度に緻密で硬いものであればこれに限定されない。このような緻密で硬い無機固体電解質体は水熱処理を経て製造することが可能である。したがって、水熱処理を経ていない単なる圧粉体は、緻密でなく、溶液中で脆いことから本発明の無機固体電解質体として好ましくない。もっとも、水熱処理を経たものでなくても、緻密で硬い無機固体電解質体が得られるかぎりにおいて、あらゆる製法が採用可能である。
セパレータ20ないし無機固体電解質体は、水酸化物イオン伝導性を有する無機固体電解質を含んで構成される粒子群と、これら粒子群の緻密化や硬化を助ける補助成分との複合体であってもよい。あるいは、セパレータ20は、基材としての開気孔性の多孔質体と、この多孔質体の孔を埋めるように孔中に析出及び成長させた無機固体電解質(例えば層状複水酸化物)との複合体であってもよい。この多孔質体を構成する物質の例としては、アルミナ、ジルコニア等のセラミックスや、発泡樹脂又は繊維状物質からなる多孔性シート等の絶縁性の物質が挙げられる。
無機固体電解質体は、一般式:M2+ 1−x3+ (OH)n− x/n・mHOの基本組成を有する層状複水酸化物(LDH)を含むのが好ましく、より好ましくはそのようなLDHからなる。ここで、上記式中、M2+は2価の陽イオンであり、M3+は3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオンであり、nは1以上の整数であり、xは0.1〜0.4であり、mは0以上である。上記一般式において、M2+は任意の2価の陽イオンでありうるが、好ましい例としてはMg2+、Ca2+及びZn2+が挙げられ、より好ましくはMg2+である。M3+は任意の3価の陽イオンでありうるが、好ましい例としてはAl3+又はCr3+が挙げられ、より好ましくはAl3+である。An−は任意の陰イオンでありうるが、好ましい例としてはOH及びCO 2−が挙げられる。したがって、上記一般式において、M2+がMg2+を含み、M3+がAl3+を含み、An−がOH及び/又はCO 2−を含むのが好ましい。nは1以上の整数であるが、好ましくは1又は2である。xは0.1〜0.4であるが、好ましくは0.2〜0.35である。また、上記一般式においてM3+の一部または全部を4価またはそれ以上の価数の陽イオンで置き換えてもよく、その場合は、上記一般式における陰イオンAn−の係数x/nは適宜変更されてよい。mは水のモル数を意味する任意の数であり、0以上、典型的には0を超える又は1以上の実数ないし整数である。
無機固体電解質体は水熱処理によって緻密化されたものであるのが好ましい。水熱処理は、層状複水酸化物、とりわけMg−Al型層状複水酸化物の一体緻密化に極めて有効である。水熱処理による緻密化は、例えば、特許文献1(国際公開第2013/118561号)に記載されるように、耐圧容器に純水と板状の圧粉体を入れ、120〜250℃、好ましくは180〜250℃の温度、2〜24時間、好ましくは3〜10時間で行うことができる。もっとも、水熱処理を用いたより好ましい製造方法については後述するものとする。
セパレータ20の片面又は両面に多孔質基材28を設けてもよい。セパレータ20の片面に多孔質基材28が設けられる場合、多孔質基材28はセパレータ20の負極16側の面に設けてもよいし、セパレータ20の正極12側の面に設けてもよい。多孔質基材28は透水性を有し、それ故正極電解液14及び負極電解液18がセパレータ20に到達可能であることはいうまでもないが、多孔質基材28があることでセパレータ20上により安定に水酸化物イオンを保持することも可能となる。また、多孔質基材28により強度を付与できるため、セパレータ20を薄くして低抵抗化を図ることもできる。また、多孔質基材28上又はその中に無機固体電解質体(好ましくはLDH)の緻密膜ないし緻密層を形成することもできる。セパレータ20の片面に多孔質基材を設ける場合には、多孔質基材を用意して、この多孔質基材に無機固体電解質を成膜する手法が考えられる(この手法については後述する)。なお、図3において多孔質基材28はセパレータ20の片面の全面にわたって設けられているが、セパレータ20の片面の一部(例えば充放電反応に関与する領域)にのみ設ける構成としてもよい。例えば、多孔質基材28上又はその中に無機固体電解質体を膜状又は層状に形成した場合、その製法に由来して、セパレータ20の片面の全面にわたって多孔質基材28が設けられた構成になるのが典型的である。一方、無機固体電解質体を(基材を必要としない)自立した板状に形成した場合には、セパレータ20の片面の一部(例えば充放電反応に関与する領域)にのみ多孔質基材28を後付けしてもよいし、片面の全面にわたって多孔質基材28を後付けしてもよい。
無機固体電解質体は、板状、膜状又は層状のいずれの形態であってもよく、膜状又は層状の形態である場合、膜状又は層状の無機固体電解質体が多孔質基材上又はその中に形成されたものであるのが好ましい。板状の形態であると十分な堅さを確保して亜鉛デンドライトの貫通をより効果的に阻止することができる。一方、板状よりも厚さが薄い膜状又は層状の形態であると亜鉛デンドライトの貫通を阻止するための必要最低限の堅さを確保しながらセパレータの抵抗を有意に低減できるとの利点がある。板状の無機固体電解質体の好ましい厚さは、0.01〜0.5mmであり、より好ましくは0.02〜0.2mm、さらに好ましくは0.05〜0.1mmである。また、無機固体電解質体の水酸化物イオン伝導度は高ければ高い方が望ましいが、典型的には10−4〜10−1S/mの伝導度を有する。一方、膜状又は層状の形態の場合には、厚さが100μm以下であるのが好ましく、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは25μm以下、最も好ましくは5μm以下である。このように薄いことでセパレータ20の低抵抗化を実現できる。厚さの下限値は用途に応じて異なるため特に限定されないが、セパレータ膜ないし層として望まれるある程度の堅さを確保するためには厚さ1μm以上であるのが好ましく、より好ましくは2μm以上である。
また、前述のとおり、正極12とセパレータ20の間及び/又は負極16とセパレータ20の間に不織布等の吸水性樹脂又は保液性樹脂製の第2のセパレータ(樹脂セパレータ)を配置して、電解液が減少した場合であっても電解液を正極及び/又は負極の反応部分に電解液を保持可能とする構成としてもよい。吸水性樹脂又は保液性樹脂の好ましい例としては、ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
正極
正極12(電極積層体2が正極として構成される場合には電極層4)は水酸化ニッケル及び/又はオキシ水酸化ニッケルを含む。例えば、ニッケル亜鉛電池を図3に示されるような放電末状態で構成する場合には正極12として水酸化ニッケルを用いればよく、図4に示されるような満充電状態で構成する場合には正極12としてオキシ水酸化ニッケルを用いればよい。水酸化ニッケル及びオキシ水酸化ニッケル(以下、水酸化ニッケル等という)は、ニッケル亜鉛電池に一般的に用いられている正極活物質であり、典型的には粒子形態である。水酸化ニッケル等には、その結晶格子中にニッケル以外の異種元素が固溶されていてもよく、それにより高温下での充電効率の向上が図れる。このような異種元素の例としては、亜鉛及びコバルトが挙げられる。また、水酸化ニッケル等はコバルト系成分と混合されたものであってもよく、そのようなコバルト系成分の例としては、金属コバルトやコバルト酸化物(例えば一酸化コバルト)の粒状物が挙げられる。さらに、水酸化ニッケル等の粒子(異種元素が固溶されていてよい)の表面をコバルト化合物で被覆してもよく、そのようなコバルト化合物の例としては、一酸化コバルト、2価のα型水酸化コバルト、2価のβ型水酸化コバルト、2価を超える高次コバルトの化合物、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
正極12は、水酸化ニッケル系化合物及びそれに固溶されうる異種元素以外にも、追加元素をさらに含んでいてもよい。そのような追加元素の例としては、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、AuおよびHg、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。追加元素の含有形態は特に限定されず、金属単体又は金属化合物(例えば、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物及び炭酸化物)の形態で含まれていてよい。追加元素を含む金属単体又は金属化合物を添加する場合、その添加量は、水酸化ニッケル系化合物100重量部に対し、好ましくは0.5〜20重量部であり、より好ましくは2〜5重量部である。
正極12は電解液等をさらに含むことにより正極合材として構成されてもよい。正極合剤は、水酸化ニッケル系化合物粒子、電解液、並びに所望により炭素粒子等の導電材やバインダー等を含むことができる。
正極12に接触して正極集電体13が設けられるのが好ましい。正極集電体13は図3に示されるように密閉容器22を貫通してその外側にまで延在して正極端子をそれ自体で構成してもよいし、別途設けられた正極端子に密閉容器22内又は外で接続される構成としてもよい。正極集電体13の好ましい例としては、発泡ニッケル板等のニッケル製多孔質基板が挙げられる。この場合、例えば、ニッケル製多孔質基板上に水酸化ニッケル等の電極活物質を含むペーストを均一に塗布して乾燥させることにより正極12/正極集電体13からなる正極板を好ましく作製することができる。その際、乾燥後の正極板(すなわち正極12/正極集電体13)にプレス処理を施して、電極活物質の脱落防止や電極密度の向上を図ることも好ましい。
負極
負極16(電極積層体2が負極として構成される場合には電極層4)は亜鉛及び/又は酸化亜鉛を含む。亜鉛は、負極に適した電気化学的活性を有するものであれば、亜鉛金属、亜鉛化合物及び亜鉛合金のいずれの形態で含まれていてもよい。負極材料の好ましい例としては、酸化亜鉛、亜鉛金属、亜鉛酸カルシウム等が挙げられるが、亜鉛金属及び酸化亜鉛の混合物がより好ましい。負極16はゲル状に構成してもよいし、電解液と混合して負極合材としてもよい。例えば、負極活物質に電解液及び増粘剤を添加することにより容易にゲル化した負極を得ることができる。増粘剤の例としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、CMC、アルギン酸等が挙げられるが、ポリアクリル酸が強アルカリに対する耐薬品性に優れているため好ましい。
亜鉛合金として、無汞化亜鉛合金として知られている水銀及び鉛を含まない亜鉛合金を用いることができる。例えば、インジウムを0.01〜0.06質量%、ビスマスを0.005〜0.02質量%、アルミニウムを0.0035〜0.015質量%を含む亜鉛合金が水素ガス発生の抑制効果があるので好ましい。とりわけ、インジウムやビスマスは放電性能を向上させる点で有利である。亜鉛合金の負極への使用は、アルカリ性電解液中での自己溶解速度を遅くすることで、水素ガス発生を抑制して安全性を向上できる。
負極材料の形状は特に限定されないが、粉末状とすることが好ましく、それにより表面積が増大して大電流放電に対応可能となる。好ましい負極材料の平均粒径は、亜鉛合金の場合、90〜210μmの範囲であり、この範囲内であると表面積が大きいことから大電流放電への対応に適するとともに、電解液及びゲル化剤と均一に混合しやすく、電池組み立て時の取り扱い性も良い。
負極16に接触して負極集電体17が設けられるのが好ましい。負極集電体17は図3に示されるように密閉容器22を貫通してその外側にまで延在して負極端子をそれ自体で構成してもよいし、別途設けられた負極端子に密閉容器22内又は外で接続される構成としてもよい。負極集電体17の好ましい例としては、銅パンチングメタルが挙げられる。この場合、例えば、銅パンチングメタル上に、酸化亜鉛粉末及び/又は亜鉛粉末、並びに所望によりバインダー(例えばポリテトラフルオロエチレン粒子)を含む混合物を塗布して負極16/負極集電体17からなる負極板を好ましく作製することができる。その際、乾燥後の負極板(すなわち負極16/負極集電体17)にプレス処理を施して、電極活物質の脱落防止や電極密度の向上を図ることも好ましい。
電解液
正極電解液14及び負極電解液18はアルカリ金属水酸化物を含む。すなわち、アルカリ金属水酸化物を含む水溶液が正極電解液14及び負極電解液18として用いられる。アルカリ金属水酸化物の例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム等が挙げられるが、水酸化カリウムがより好ましい。亜鉛合金の自己溶解を抑制するために、電解液中に酸化亜鉛、水酸化亜鉛等の亜鉛化合物を添加してもよい。前述のとおり、正極電解液14及び負極電解液18は正極12及び/又は負極16と混合させて正極合材及び/又は負極合材の形態で存在させてもよい。また、電解液の漏洩を防止するために電解液をゲル化してもよい。ゲル化剤としては電解液の溶媒を吸収して膨潤するようなポリマーを用いるのが望ましく、ポリエチレンオキサイド,ポリビニルアルコール,ポリアクリルアミドなどのポリマーやデンプンが用いられる。
密閉容器
密閉容器22は、正極12、正極電解液14、負極16、及び負極電解液18を密閉収容する容器であり、液密性及び気密性を有する構造を有する。密閉容器の材質は水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物に対する耐性を有するものであれば特に限定されず、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、変性ポリフェニレンエーテル等の樹脂製であるのが好ましく、より好ましくはABS樹脂又は変性ポリフェニレンエーテルである。密閉容器22にはセパレータ20が様々な手法で固定されてよいが、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物に対する耐性を有する接着剤により固定されるのが好ましい。また、ポリオレフィン樹脂製の密閉容器22を用いた場合には熱融着によるセパレータ20の固定も好ましい。
多孔質基材付きLDHセパレータ
前述のとおり、本発明のニッケル亜鉛電池に好ましく用いられる多孔質基材付きセパレータは、水酸化物イオン伝導性を有する無機固体電解質体からなるセパレータと、セパレータの少なくとも一方の面に設けられる多孔質基材とを備えたものである。無機固体電解質体は透水性を有しない程に緻密化された膜状又は層状の形態である。特に好ましい多孔質基材付きセパレータは、多孔質基材と、この多孔質基材上及び/又は多孔質基材中に形成されるセパレータ層とを備えてなり、セパレータ層が前述したような層状複水酸化物(LDH)を含むものである。セパレータ層は透水性を有しないのが好ましい。すなわち、多孔質材料は孔の存在により透水性を有しうるが、セパレータ層は透水性を有しない程にまでLDHで緻密化されているのが好ましい。セパレータ層は多孔質基材上に形成されるのが好ましい。例えば、図5に示されるように、多孔質基材28上にセパレータ層20がLDH緻密膜として形成されるのが好ましい。この場合、多孔質基材28の性質上、図5に示されるように多孔質基材28の表面及びその近傍の孔内にもLDHが形成されてよいのはいうまでもない。あるいは、図6に示されるように、多孔質基材28中(例えば多孔質基材28の表面及びその近傍の孔内)にLDHが緻密に形成され、それにより多孔質基材28の少なくとも一部がセパレータ層20’を構成するものであってもよい。この点、図6に示される態様は図5に示される態様のセパレータ層20における膜相当部分を除去した構成となっているが、これに限定されず、多孔質基材28の表面と平行にセパレータ層が存在していればよい。いずれにしても、セパレータ層は透水性を有しない程にまでLDHで緻密化されているため、水酸化物イオン伝導性を有するが透水性を有しない(すなわち基本的に水酸化物イオンのみを通す)という特有の機能を有することができる。
多孔質基材は、その上及び/又は中にLDH含有セパレータ層を形成できるものが好ましく、その材質や多孔構造は特に限定されない。多孔質基材上及び/又は中にLDH含有セパレータ層を形成するのが典型的ではあるが、無孔質基材上にLDH含有セパレータ層を成膜し、その後公知の種々の手法により無孔質基材を多孔化してもよい。いずれにしても、多孔質基材は透水性を有する多孔構造を有するのが、電池用セパレータとして電池に組み込まれた場合に電解液をセパレータ層に到達可能に構成できる点で好ましい。
多孔質基材は、セラミックス材料、金属材料、及び高分子材料からなる群から選択される少なくとも1種で構成されるのが好ましい。多孔質基材は、セラミックス材料で構成されるのがより好ましい。この場合、セラミックス材料の好ましい例としては、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、スピネル、カルシア、コージライト、ゼオライト、ムライト、フェライト、酸化亜鉛、炭化ケイ素、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。より好ましくは、アルミナ、ジルコニア、チタニア、及びそれらの任意の組合せであり、特に好ましくはアルミナ及びジルコニアであり、最も好ましくはアルミナである。これらの多孔質セラミックスを用いると緻密性に優れたLDH含有セパレータ層を形成しやすい。金属材料の好ましい例としては、アルミニウム及び亜鉛が挙げられる。高分子材料の好ましい例としては、ポリスチレン、ポリエーテルサルフォン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド、親水化したフッ素樹脂(四フッ素化樹脂:PTFE等)、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。上述した各種の好ましい材料から電池の電解液に対する耐性として耐アルカリ性に優れたものを適宜選択するのが更に好ましい。
多孔質基材は0.001〜1.5μmの平均気孔径を有するのが好ましく、より好ましくは0.001〜1.25μm、さらに好ましくは0.001〜1.0μm、特に好ましくは0.001〜0.75μm、最も好ましくは0.001〜0.5μmである。これらの範囲内とすることで多孔質基材に所望の透水性を確保しながら、透水性を有しない程に緻密なLDH含有セパレータ層を形成することができる。本発明において、平均気孔径の測定は多孔質基材の表面の電子顕微鏡(SEM)画像をもとに気孔の最長距離を測長することにより行うことができる。この測定に用いる電子顕微鏡(SEM)画像の倍率は20000倍であり、得られた全ての気孔径をサイズ順に並べて、その平均値から上位15点及び下位15点、合わせて1視野あたり30点で2視野分の平均値を算出して、平均気孔径を得ることができる。測長には、SEMのソフトウェアの測長機能や画像解析ソフト(例えば、Photoshop、Adobe社製)等を用いることができる。
多孔質基材の表面は、10〜60%の気孔率を有するのが好ましく、より好ましくは15〜55%、さらに好ましくは20〜50%である。これらの範囲内とすることで多孔質基材に所望の透水性を確保しながら、透水性を有しない程に緻密なLDH含有セパレータ層を形成することができる。ここで、多孔質基材の表面の気孔率を採用しているのは、以下に述べる画像処理を用いた気孔率の測定がしやすいことによるものであり、多孔質基材の表面の気孔率は多孔質基材内部の気孔率を概ね表しているといえるからである。すなわち、多孔質基材の表面が緻密であれば多孔質基材の内部もまた同様に緻密であるといえる。本発明において、多孔質基材の表面の気孔率は画像処理を用いた手法により以下のようにして測定することができる。すなわち、1)多孔質基材の表面の電子顕微鏡(SEM)画像(倍率10000倍以上)を取得する。2)Photoshop(Adobe社製)等の画像解析ソフトを用いてグレースケールのSEM画像を読み込む。3)[イメージ]→[色調補正]→[2階調化]の手順で白黒の2値画像を作成する。4)黒い部分が占めるピクセル数を画像の全ピクセル数で割った値を気孔率(%)とする。なお、この画像処理による気孔率の測定は多孔質基材表面の6μm×6μmの領域について行われるのが好ましく、より客観的な指標とするためには、任意に選択された3箇所の領域について得られた気孔率の平均値を採用するのがより好ましい。
セパレータ層は、多孔質基材上及び/又は多孔質基材中、好ましくは多孔質基材上に形成される。例えば、図5に示されるようにセパレータ層20が多孔質基材28上に形成される場合には、セパレータ層20はLDH緻密膜の形態であり、このLDH緻密膜は典型的にはLDHからなる。また、図6に示されるようにセパレータ層20’が多孔質基材28中に形成される場合には、多孔質基材28中(典型的には多孔質基材28の表面及びその近傍の孔内)にLDHが緻密に形成されることから、セパレータ層20’は典型的には多孔質基材28の少なくとも一部及びLDHからなる。図6に示されるセパレータ層20’は、図5に示されるセパレータ層20における膜相当部分を研磨、切削等の公知の手法により除去することにより得ることができる。
セパレータ層は透水性(望ましくは透水性及び通気性)を有しないのが好ましい。例えば、セパレータ層はその片面を25℃で1週間水と接触させても水を透過させず、また、その片面に0.5atmの内外差圧でヘリウムガスを加圧してもヘリウムガスを透過させない。すなわち、セパレータ層は透水性を有しない程にまでLDHで緻密化されているのが好ましい。もっとも、局所的且つ/又は偶発的に透水性を有する欠陥が機能膜に存在する場合には、当該欠陥を適当な補修剤(例えばエポキシ樹脂等)で埋めて補修することで水不透性及び気体不透過性を確保してもよく、そのような補修剤は必ずしも水酸化物イオン伝導性を有する必要はない。いずれにしても、セパレータ層(典型的にはLDH緻密膜)の表面が20%以下の気孔率を有するのが好ましく、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは7%以下である。セパレータ層の表面の気孔率が低ければ低いほど、セパレータ層(典型的にはLDH緻密膜)の緻密性が高いことを意味し、好ましいといえる。ここで、セパレータ層の表面の気孔率を採用しているのは、以下に述べる画像処理を用いた気孔率の測定がしやすいことによるものであり、セパレータ層の表面の気孔率はセパレータ層内部の気孔率を概ね表しているといえるからである。すなわち、セパレータ層の表面が緻密であればセパレータ層の内部もまた同様に緻密であるといえる。本発明において、セパレータ層の表面の気孔率は画像処理を用いた手法により以下のようにして測定することができる。すなわち、1)セパレータ層の表面の電子顕微鏡(SEM)画像(倍率10000倍以上)を取得する。2)Photoshop(Adobe社製)等の画像解析ソフトを用いてグレースケールのSEM画像を読み込む。3)[イメージ]→[色調補正]→[2階調化]の手順で白黒の2値画像を作成する。4)黒い部分が占めるピクセル数を画像の全ピクセル数で割った値を気孔率(%)とする。なお、この画像処理による気孔率の測定はセパレータ層表面の6μm×6μmの領域について行われるのが好ましく、より客観的な指標とするためには、任意に選択された3箇所の領域について得られた気孔率の平均値を採用するのがより好ましい。
層状複水酸化物は複数の板状粒子(すなわちLDH板状粒子)の集合体で構成され、当該複数の板状粒子がそれらの板面が多孔質基材の表面(基材面)と垂直に又は斜めに交差するような向きに配向してなるのが好ましい。この態様は、図5に示されるように、多孔質基材28上にセパレータ層20がLDH緻密膜として形成される場合に特に好ましく実現可能な態様である。もっとも、図6に示されるように、多孔質基材28中(典型的には多孔質基材28の表面及びその近傍の孔内)にLDHが緻密に形成され、それにより多孔質基材28の少なくとも一部がセパレータ層20’を構成する場合においても実現可能である。
すなわち、LDH結晶は図7に示されるような層状構造を持った板状粒子の形態を有することが知られているが、上記垂直又は斜めの配向は、LDH含有セパレータ層(例えばLDH緻密膜)にとって極めて有利な特性である。というのも、配向されたLDH含有セパレータ層(例えば配向LDH緻密膜)には、LDH板状粒子が配向する方向(即ちLDHの層と平行方向)の水酸化物イオン伝導度が、これと垂直方向の伝導度よりも格段に高いという伝導度異方性があるためである。実際、本出願人は、LDHの配向バルク体において、配向方向における伝導度(S/cm)が配向方向と垂直な方向の伝導度(S/cm)と比べて1桁高いとの知見を得ている。すなわち、本態様のLDH含有セパレータ層における上記垂直又は斜めの配向は、LDH配向体が持ちうる伝導度異方性を層厚方向(すなわちセパレータ層又は多孔質基材の表面に対して垂直方向)に最大限または有意に引き出すものであり、その結果、層厚方向への伝導度を最大限又は有意に高めることができる。その上、LDH含有セパレータ層は層形態を有するため、バルク形態のLDHよりも低抵抗を実現することができる。このような配向性を備えたLDH含有セパレータ層は、層厚方向に水酸化物イオンを伝導させやすくなる。その上、緻密化されているため、層厚方向への高い伝導度及び緻密性が望まれるセパレータに極めて適する。
特に好ましくは、LDH含有セパレータ層(典型的にはLDH緻密膜)においてLDH板状粒子が垂直方向に高度に配向してなる。この高度な配向は、セパレータ層の表面をX線回折法により測定した場合に、(003)面のピークが検出されないか又は(012)面のピークよりも小さく検出されることで確認可能なものである。但し、(012)面に起因するピークと同位置に回折ピークが観察される多孔質基材を用いた場合には、LDH板状粒子に起因する(012)面のピークを特定できないことから、この限りでない。この特徴的なピーク特性は、セパレータ層を構成するLDH板状粒子がセパレータ層に対して垂直方向に配向していることを示す。ここで、本明細書において「垂直方向」とは厳密な垂直方向のみならずそれに類する略垂直方向を含む概念であることはいうまでもない。すなわち、(003)面のピークは無配向のLDH粉末をX線回折した場合に観察される最も強いピークとして知られている。しかし、配向LDH含有セパレータ層にあっては、LDH板状粒子がセパレータ層に対して垂直方向に配向していることで(003)面のピークが検出されないか又は(012)面のピークよりも小さく検出される。これは次の理由によるものである。すなわち、(003)面が属するc軸方向(00l)面(lは3及び6である)がLDH板状粒子の層状構造と平行な面であるため、このLDH板状粒子がセパレータ層に対して垂直方向に配向しているとLDH層状構造も垂直方向を向くこととなる。その結果、セパレータ層表面をX線回折法により測定した場合に(00l)面(lは3及び6である)のピークが現れないか又は現れにくくなるからである。特に(003)面のピークは、それが存在する場合、(006)面のピークよりも強く出る傾向があるから、(006)面のピークよりも垂直方向の配向の有無を評価しやすいといえる。したがって、配向LDH含有セパレータ層は、(003)面のピークが検出されないか又は(012)面のピークよりも小さく検出されるのが、垂直方向への高度な配向を示唆することから好ましいといえる。
セパレータ層は100μm以下の厚さを有するのが好ましく、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは25μm以下、最も好ましくは5μm以下である。このように薄いことでセパレータの低抵抗化を実現できる。セパレータ層が多孔質基材上にLDH緻密膜として形成されるのが好ましく、この場合、セパレータ層の厚さはLDH緻密膜の厚さに相当する。また、セパレータ層が多孔質基材中に形成される場合には、セパレータ層の厚さは多孔質基材の少なくとも一部及びLDHからなる複合層の厚さに相当し、セパレータ層が多孔質基材上及び中にまたがって形成される場合にはLDH緻密膜と上記複合層の合計厚さに相当する。いずれにしても、上記のような厚さであると、電池用途等への実用化に適した所望の低抵抗を実現することができる。LDH配向膜の厚さの下限値は用途に応じて異なるため特に限定されないが、セパレータ等の機能膜として望まれるある程度の堅さを確保するためには厚さ1μm以上であるのが好ましく、より好ましくは2μm以上である。
上述した多孔質基材付きLDHセパレータは、(a)多孔質基材を用意し、(b)所望により、この多孔質基材に、LDHの結晶成長の起点を与えうる起点物質を均一に付着させ、(c)多孔質基材に水熱処理を施してLDH膜を形成させることにより、好ましく製造することができる。
(a)多孔質基材の用意
多孔質基材は、前述したとおりであり、セラミックス材料、金属材料、及び高分子材料からなる群から選択される少なくとも1種で構成されるのが好ましい。多孔質基材は、セラミックス材料で構成されるのがより好ましい。この場合、セラミックス材料の好ましい例としては、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、スピネル、カルシア、コージライト、ゼオライト、ムライト、フェライト、酸化亜鉛、炭化ケイ素、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。より好ましくは、アルミナ、ジルコニア、チタニア、及びそれらの任意の組合せであり、特に好ましくはアルミナ、ジルコニア(例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ))、及びその組合せである。金属材料の好ましい例としては、アルミニウム及び亜鉛が挙げられる。高分子材料の好ましい例としては、ポリスチレン、ポリエーテルサルフォン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド、親水化したフッ素樹脂(四フッ素化樹脂:PTFE等)、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。これらの多孔質セラミックスを用いるとLDH膜の緻密性を向上しやすい傾向がある。セラミックス材料製の多孔質基材を用いる場合、超音波洗浄、イオン交換水での洗浄等を多孔質基材に施すのが好ましい。
上述のとおり、多孔質基材は、セラミックス材料で構成されるのがより好ましい。セラミックス材料製の多孔質基材は、市販品であってもよいし、公知の手法に従って作製したものであってもよく、特に限定されない。例えば、セラミックス粉末、メチルセルロース、及びイオン交換水を所望の配合比で混練し、得られた混練物を押出成形に付し、得られた成形体を70〜200℃で10〜40時間乾燥した後、900〜1300℃で1〜5時間焼成することによりセラミックス材料製の多孔質基材を作製することができる。この場合、セラミックス粉末の例としては、ジルコニア粉末、ベーマイト粉末、チタニア粉末等が挙げられる。メチルセルロースの配合割合はセラミックス粉末100重量部に対して、1〜20重量部とするのが好ましい。また、イオン交換水の配合割合はセラミックス粉末100重量部に対して、10〜100重量部とするのが好ましい。
(b)起点物質の付着
所望により、多孔質基材に、LDHの結晶成長の起点を与えうる起点物質を均一に付着させてもよい。このように起点物質を多孔質基材の表面に均一に付着させた後に、後続の工程(c)を行うことで、多孔質基材の表面に、高度に緻密化されたLDH膜をムラなく均一に形成することができる。このような起点の好ましい例としては、LDHの層間に入りうる陰イオンを与える化学種、LDHの構成要素となりうる陽イオンを与える化学種、又はLDHが挙げられる。
(i)陰イオンを与える化学種
LDHの結晶成長の起点は、LDHの層間に入りうる陰イオンを与える化学種であることができる。このような陰イオンの例としては、CO 2−、OH、SO 、SO 2−、SO 2−、NO 、Cl、Br、及びこれらの任意の組合せが挙げられる。したがって、このような起点を与えうる起点物質を、起点物質の種類に応じた適切な手法で均一に多孔質基材の表面に付着させればよい。表面に陰イオンを与える化学種が付与されることで、Mg2+、Al3+等の金属陽イオンが多孔質基材の表面に吸着してLDHの核が生成しうる。このため、後続の工程(c)を行うことで、多孔質基材の表面に、高度に緻密化されたLDH膜をムラなく均一に形成することができる。
本発明の好ましい態様によれば、起点物質の付着を、多孔質基材の表面にポリマーを付着させた後、このポリマーに陰イオンを与える化学種を導入することにより行うことができる。この態様においては、陰イオンはSO 、SO 2−及び/又はSO 2−であるのが好ましく、このような陰イオンを与える化学種のポリマーへの導入がスルホン化処理により行われるのが好ましい。使用可能なポリマーはアニオン化(特にスルホン化)可能なポリマーであり、そのようなポリマーの例として、ポリスチレン、ポリエーテルサルフォン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。特に、芳香族系ポリマーがアニオン化(特にスルホン化)しやすい点で好ましく、そのような芳香族系ポリマーの例としては、ポリスチレン、ポリエーテルサルフォン、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。最も好ましいポリマーはポリスチレンである。多孔質基材へのポリマーの付着は、ポリマーを溶解させた溶液(以下、ポリマー溶液という)を多孔質基材の表面(好ましくは多孔質基材の板状概形の最表面を構成する粒子)に塗布することにより行われるのが好ましい。ポリマー溶液は、例えば、ポリマー固形物(例えばポリスチレン基板)を有機溶媒(例えばキシレン溶液)に溶解することにより容易に作製することができる。ポリマー溶液は多孔質基材の内部にまで浸透させないようにするのが、均一な塗布を実現しやすい点で好ましい。この点、ポリマー溶液の付着ないし塗布はスピンコートにより行うのが極めて均一に塗布できる点で好ましい。スピンコートの条件は特に限定されないが、例えば1000〜10000rpmの回転数で、滴下と乾燥を含めて60〜300秒間程度行えばよい。一方、スルホン化処理は、ポリマーを付着させた多孔質基材を、硫酸(例えば濃硫酸)、発煙硫酸、クロロスルホン酸、無水硫酸等のスルホン化可能な酸に浸漬すればよく、他のスルホン化技術を用いてもよい。スルホン化可能な酸への浸漬は室温又は高温(例えば50〜150℃)で行えばよく、浸漬時間は特に限定されないが、例えば1〜14日間である。
本発明の別の好ましい態様によれば、起点物質の付着を、陰イオンを与える化学種を親水基として含む界面活性剤で多孔質基材の表面を処理することにより行うことができる。この場合、陰イオンがSO 、SO 2−及び/又はSO 2−であるのが好ましい。そのような界面活性剤の典型的な例として、陰イオン界面活性剤が挙げられる。陰イオン界面活性剤の好ましい例としては、スルホン酸型陰イオン界面活性剤、硫酸エステル型陰イオン界面活性剤、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。スルホン酸型陰イオン界面活性剤の例としては、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンスルホコハク酸アルキル2Na、ポリスチレンスルホン酸Na、ジオクチルスルホコハク酸Na、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンが挙げられる。硫酸エステル型陰イオン界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルNaが挙げられる。多孔質基材の界面活性剤での処理は、多孔質基材の表面に界面活性剤を付着させることができる手法であれば特に限定されず、界面活性剤を含む溶液を多孔質基材に塗布する、又は界面活性剤を含む溶液に多孔質基材を浸漬することにより行えばよい。界面活性剤を含む溶液への多孔質基材の浸漬は、溶液を撹拌しながら室温又は高温(例えば40〜80℃)で行えばよく、浸漬時間は特に限定されないが、例えば1〜7日間である。
(ii)陽イオンを与える化学種
LDHの結晶成長の起点は、層状複水酸化物の構成要素となりうる陽イオンを与える化学種であることができる。このような陽イオンの好ましい例としては、Al3+が挙げられる。この場合、起点物質が、アルミニウムの酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物及びヒドロキシ錯体からなる群から選択される少なくとも1種のアルミニウム化合物であるのが好ましい。したがって、このような起点を与えうる起点物質を起点物質の種類に応じた適切な手法で均一に多孔質部材の表面に付着させればよい。表面に陽イオンを与える化学種が付与されることで、LDHの層間に入りうる陰イオンが多孔質基材の表面に吸着してLDHの核が生成しうる。このため、後続の工程(c)を行うことで、多孔質基材の表面に、高度に緻密化されたLDH膜をムラなく均一に形成することができる。
本発明の好ましい態様によれば、起点物質の付着を、多孔質部材にアルミニウム化合物を含むゾルを塗布することにより行うことができる。この場合、好ましいアルミニウム化合物の例として、ベーマイト(AlOOH)、水酸化アルミニウム(Al(OH))、及び非晶質アルミナが挙げられるが、ベーマイトが最も好ましい。アルミニウム化合物を含むゾルの塗布はスピンコートにより行うのが極めて均一に塗布できる点で好ましい。スピンコートの条件は特に限定されないが、例えば1000〜10000rpmの回転数で、滴下と乾燥を含めて60〜300秒間程度行えばよい。
本発明の別の好ましい態様によれば、起点物質の付着を、少なくともアルミニウムを含む水溶液中で、多孔質基材に水熱処理を施して多孔質基材の表面にアルミニウム化合物を形成させることにより行うことができる。多孔質基材の表面に形成させるアルミニウム化合物は好ましくはAl(OH)である。特に、多孔質基材(特にセラミックス製多孔質基材)上のLDH膜は成長初期段階で結晶質及び/又は非晶質Al(OH)が生成する傾向があり、これを核としてLDHが成長しうる。そこで、このAl(OH)を予め水熱処理により多孔質基材の表面に均一に付着させた後に、同じく水熱処理を伴う工程(c)を行うことで、多孔質基材の表面に、高度に緻密化されたLDH膜をムラなく均一に形成することができる。本態様においては、工程(b)及び後続の工程(c)を同一の密閉容器内で連続的に行ってもよいし、工程(b)及び後続の工程(c)をこの順で別々に行ってもよい。
工程(b)及び工程(c)を同一の密閉容器内で連続的に行う場合には、後述する工程(c)で用いる原料水溶液(すなわちLDHの構成元素を含む水溶液)をそのまま工程(b)に用いることができる。この場合であっても、工程(b)における水熱処理を密閉容器(好ましくはオートクレーブ)中、酸性ないし中性のpH域(好ましくはpH5.5〜7.0)にて50〜70℃という比較的低温域で行うことにより、LDHではなく、Al(OH)の核形成を促すことができる。また、Al(OH)の核形成後、核形成温度での保持又は昇温により、尿素の加水分解が進むことで原料水溶液のpHが上昇していくため、LDHの成長に適したpH域(好ましくはpH7.0超)で工程(c)にスムーズに移行することができる。
一方、工程(b)及び工程(c)をこの順で別々に行う場合には、工程(b)と工程(c)とで異なる原料水溶液を用いるのが好ましい。例えば、工程(b)では、Al源を主として含む(好ましくは他の金属元素を含まない)原料水溶液を用いてAl(OH)の核形成を行うのが好ましい。この場合、工程(b)における水熱処理を工程(c)とは別の密閉容器(好ましくはオートクレーブ)中、50〜120℃で行えばよい。Al源を主として含む原料水溶液の好ましい例としては、硝酸アルミニウムと尿素を含み、マグネシウム化合物(例えば硝酸マグネシウム)を含まない水溶液が挙げられる。Mgを含まない原料水溶液を用いることでLDHの析出を回避してAl(OH)の核形成を促すことができる。
本発明の更に別の好ましい態様によれば、起点物質の付着を、多孔質基材の表面にアルミニウムを蒸着した後に、水溶液中で、該アルミニウムを水熱処理によりアルミニウム化合物に変換することにより行うことができる。このアルミニウム化合物は好ましくはAl(OH)である。特に、Al(OH)に変換することで、これを核としてLDHの成長を促進させることができる。そこで、このAl(OH)を水熱処理により多孔質基材の表面に均一に形成させた後に、同じく水熱処理を伴う工程(c)を行うことで、多孔質基材の表面に、高度に緻密化されたLDH膜をムラなく均一に形成することができる。アルミニウムの蒸着は物理蒸着及び化学蒸着のいずれであってもよいが、真空蒸着等の物理蒸着が好ましい。また、アルミニウムの変換のための水熱処理に用いる水溶液は、既に蒸着により与えられているAlと反応してAl(OH)を生成可能な組成であればよく、特に限定されない。
(iii)起点としてのLDH
結晶成長の起点は、LDHであることができる。この場合、LDHの核を起点としてLDHの成長を促すことができる。そこで、このLDHの核を多孔質基材の表面に均一に付着させた後に、後続の工程(c)を行うことで、多孔質基材の表面に、高度に緻密化されたLDH膜をムラなく均一に形成することができる。
本発明の好ましい態様によれば、起点物質の付着を、LDHを含むゾルを多孔質部材の表面に塗布することにより行うことができる。LDHを含むゾルは、LDHを水等の溶媒に分散させて作製したものであってよく、特に限定されない。この場合、塗布はスピンコートにより行われるのが好ましい。スピンコートにより行うのが極めて均一に塗布できる点で好ましい。スピンコートの条件は特に限定されないが、例えば1000〜10000rpmの回転数で、滴下と乾燥を含めて60〜300秒間程度行えばよい。
本発明の別の好ましい態様によれば、起点物質の付着を、多孔質基材の表面にアルミニウムを蒸着した後に、アルミニウム以外のLDHの構成元素を含む水溶液中で、(蒸着された)アルミニウムを水熱処理によりLDHに変換することにより行うことができる。アルミニウムの蒸着は物理蒸着及び化学蒸着のいずれであってもよいが、真空蒸着等の物理蒸着が好ましい。また、アルミニウムの変換のための水熱処理に用いる原料水溶液は、既に蒸着により与えられているAl以外の成分を含む水溶液を用いて行えばよい。そのような原料水溶液の好ましい例として、Mg源を主として含む原料水溶液が挙げられ、より好ましくは、硝酸マグネシウムと尿素を含み、アルミニウム化合物(硝酸アルミニウム)を含まない水溶液が挙げられる。Mg源を含むことで、既に蒸着により与えられているAlとともにLDHの核を形成することができる。
(c)水熱処理
LDHの構成元素を含む原料水溶液中で、多孔質基材(所望により起点物質が付着されうる)に水熱処理を施して、LDH膜を多孔質基材の表面に形成させる。好ましい原料水溶液は、マグネシウムイオン(Mg2+)及びアルミニウムイオン(Al3+)を所定の合計濃度で含み、かつ、尿素を含む。尿素が存在することで尿素の加水分解を利用してアンモニアが溶液中に発生することによりpH値が上昇し(例えばpH7.0超、好ましくは7.0を超え8.5以下)、共存する金属イオンが水酸化物を形成することによりLDHを得ることができる。また、加水分解に二酸化炭素の発生を伴うため、陰イオンが炭酸イオン型のLDHを得ることができる。原料水溶液に含まれるマグネシウムイオン及びアルミニウムイオンの合計濃度(Mg2++Al3+)は0.20〜0.40mol/Lが好ましく、より好ましくは0.22〜0.38mol/Lであり、さらに好ましくは0.24〜0.36mol/L、特に好ましくは0.26〜0.34mol/Lである。このような範囲内の濃度であると核生成と結晶成長をバランスよく進行させることができ、配向性のみならず緻密性にも優れたLDH膜を得ることが可能となる。すなわち、マグネシウムイオン及びアルミニウムイオンの合計濃度が低いと核生成に比べて結晶成長が支配的となり、粒子数が減少して粒子サイズが増大する一方、この合計濃度が高いと結晶成長に比べて核生成が支配的となり、粒子数が増大して粒子サイズが減少するものと考えられる。
好ましくは、原料水溶液に硝酸マグネシウム及び硝酸アルミニウムが溶解されており、それにより原料水溶液がマグネシウムイオン及びアルミニウムイオンに加えて硝酸イオンを含む。そして、この場合、原料水溶液における、尿素の硝酸イオン(NO )に対するモル比(尿素/NO )が、2〜6が好ましく、より好ましくは4〜5である。
多孔質基材は原料水溶液に所望の向きで(例えば水平又は垂直に)浸漬させればよい。多孔質基材を水平に保持する場合は、吊るす、浮かせる、容器の底に接するように多孔質基材を配置すればよく、例えば、容器の底から原料水溶液中に浮かせた状態で多孔質基材を固定としてもよい。多孔質基材を垂直に保持する場合は、容器の底に多孔質基材を垂直に設置できるような冶具を置けばよい。いずれにしても、多孔質基材にLDHを垂直方向又はそれに近い方向(すなわちLDH板状粒子がそれらの板面が多孔質基材の表面(基材面)と垂直に又は斜めに交差するような向きに)に成長させる構成ないし配置とするのが好ましい。
原料水溶液中で、多孔質基材に水熱処理を施して、LDH膜を多孔質基材の表面に形成させる。この水熱処理は密閉容器(好ましくはオートクレーブ)の中、60〜150℃で行われるのが好ましく、より好ましくは65〜120℃であり、さらに好ましくは65〜100℃であり、特に好ましくは70〜90℃である。水熱処理の上限温度は多孔質基材(例えば高分子基材)が熱で変形しない程度の温度を選択すればよい。水熱処理時の昇温速度は特に限定されず、例えば10〜200℃/hであってよいが、好ましくは100〜200℃/hである、より好ましくは100〜150℃/hである。水熱処理の時間はLDH膜の目的とする密度と厚さに応じて適宜決定すればよい。
水熱処理後、密閉容器から多孔質基材を取り出し、イオン交換水で洗浄するのが好ましい。
上記のようにして製造されたLDH膜は、LDH板状粒子が高度に緻密化したものであり、しかも伝導に有利な垂直方向に配向したものである。すなわち、LDH膜は、典型的には、高度な緻密性に起因して透水性(望ましくは透水性及び通気性)を有しない。また、LDH膜を構成するLDHが複数の板状粒子の集合体で構成され、該複数の板状粒子がそれらの板面が多孔質基材の表面と垂直に又は斜めに交差するような向きに配向してなるのが典型的である。したがって、十分なガスタイト性を有する緻密性を有するLDH膜を亜鉛空気電池等の電池に用いた場合、発電性能の向上が見込めると共に、従来適用できなかった電解液を用いる亜鉛空気電池の二次電池化の大きな障壁となっている亜鉛デンドライト進展阻止及び二酸化炭素侵入防止用セパレータ等への新たな適用が期待される。また、同様に亜鉛デンドライト進展が実用化の大きな障壁となっているニッケル亜鉛電池にも適用が期待される。
ところで、上記製造方法により得られるLDH膜は多孔質基材の両面に形成されうる。このため、LDH膜をセパレータとして好適に使用可能な形態とするためには、成膜後に多孔質基材の片面のLDH膜を機械的に削るか、あるいは成膜時に片面にはLDH膜が成膜できないような措置を講ずるのが望ましい。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
例1(比較):保液空間を有しない電極積層体を用いたニッケル亜鉛電池
正極を構成する電極層4として15mm×15mm平方で厚さ0.6mmのNiOOH含有正極板を4枚用意した。また、負極16としてZnO含有負極板を用意した。図8に示されるように、ABS樹脂製の容器22内に4枚の電極層4(正極層)を互いに接触させて正極積層体3として配置する一方、容器22内の正極積層体3と離れた位置に負極16を配置した。また、多孔質基材28付きセパレータ20(LDH緻密膜)で正極積層体3及び負極16の間を確実に仕切った。この多孔質基材28付きセパレータ層20は後述する例3の手順に従って作製されたものである。容器22内には電解液15として6MのKOH水溶液を入れ、正極積層体3及び負極16をこの電解液15に浸漬させた。正極積層体3及び負極16に端子をそれぞれ設けた。こうして組み立てられたニッケル亜鉛電池に対して、以下に示される条件で充放電試験を行ったところ、図9に示される放電特性が得られた。
<サイクル条件>
‐ サイクル数:1
‐ モード:CC(定電流)
<充電条件>
‐ 電流密度:2.5mA/cm
‐ カットオフ:2.2V又は240mAh
<放電条件>
‐ 電流密度:25mA/cm
‐ カットオフ:0.9V
例2:保液空間を備えた電極積層体を用いたニッケル亜鉛電池
図1に示されるように電極層4である4枚のNiOOH含有正極板を互いに0.1mm離間させて保液空間6を形成し、電極層4同士の間及び両端の電極層4の外側に保液部材8として合計6枚の不織布(製品名:親水性ポリオレフィン、日本バイリーン社製、材質:ポリオレフィン、1枚の厚さ0.1mm)を設けた。上記以外は、例1と同様にして、ニッケル亜鉛電池の作製及び評価を行った。こうして作製された電極積層体2の厚さは4.0mmであった。結果は図9に示されるとおりであった。
図9に示される結果から、保液空間6を備えた電極積層体2を正極として用いることで、保液空間6を有しない正極積層体3を用いた例1の電池と比べて、より優れた放電特性が得られたことが分かる。また、積層容量に対して取り出すことができる放電容量率(すなわち正極板4枚分の容量に対する割合)は例1(保液空間あり)の場合には40%であったのに対し、例2(保液空間なし)の場合には78%と有意に高かった。
例3:多孔質基材付きLDHセパレータの作製及び評価
(1)多孔質基材の作製
ベーマイト(サソール社製、DISPAL 18N4−80)、メチルセルロース、及びイオン交換水を、(ベーマイト):(メチルセルロース):(イオン交換水)の質量比が10:1:5となるように秤量した後、混練した。得られた混練物を、ハンドプレスを用いた押出成形に付し、5cm×8cmを十分に超える大きさで且つ厚さ0.5cmの板状に成形した。得られた成形体を80℃で12時間乾燥した後、1150℃で3時間焼成して、アルミナ製多孔質基材を得た。こうして得られた多孔質基材を5cm×8cmの大きさに切断加工した。
得られた多孔質基材について、画像処理を用いた手法により、多孔質基材表面の気孔率を測定したところ、24.6%であった。この気孔率の測定は次のようにして行った。すなわち、1)表面微構造を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−6610LV、JEOL社製)を用いて10〜20kVの加速電圧で観察して多孔質基材表面の電子顕微鏡(SEM)画像(倍率10000倍以上)を取得した。2)Photoshop(Adobe社製)等の画像解析ソフトを用いてグレースケールのSEM画像を読み込んだ。3)[イメージ]→[色調補正]→[2階調化]の手順で白黒の2値画像を作成した。4)黒い部分が占めるピクセル数を画像の全ピクセル数で割った値を気孔率(%)とした。この気孔率の測定は多孔質基材表面の6μm×6μmの領域について行われた。なお、図10に多孔質基材表面のSEM画像を示す。
また、多孔質基材の平均気孔径を測定したところ約0.1μmであった。本発明において、平均気孔径の測定は多孔質基材の表面の電子顕微鏡(SEM)画像をもとに気孔の最長距離を測長することにより行った。この測定に用いた電子顕微鏡(SEM)画像の倍率は20000倍であり、得られた全ての気孔径をサイズ順に並べて、その平均値から上位15点及び下位15点、合わせて1視野あたり30点で2視野分の平均値を算出して、平均気孔径を得た。測長には、SEMのソフトウェアの測長機能を用いた。
(2)多孔質基材の洗浄
得られた多孔質基材をアセトン中で5分間超音波洗浄し、エタノール中で2分間超音波洗浄、その後、イオン交換水中で1分間超音波洗浄した。
(3)原料水溶液の作製
原料として、硝酸マグネシウム六水和物(Mg(NO・6HO、関東化学株式会社製)、硝酸アルミニウム九水和物(Al(NO・9HO、関東化学株式会社製)、及び尿素((NHCO、シグマアルドリッチ製)を用意した。カチオン比(Mg2+/Al3+)が2となり且つ全金属イオンモル濃度(Mg2++Al3+)が0.320mol/Lとなるように、硝酸マグネシウム六水和物と硝酸アルミニウム九水和物を秤量してビーカーに入れ、そこにイオン交換水を加えて全量を600mlとした。得られた溶液を攪拌した後、溶液中に尿素/NO =4の割合で秤量した尿素を加え、更に攪拌して原料水溶液を得た。
(4)水熱処理による成膜
テフロン(登録商標)製密閉容器(内容量800ml、外側がステンレス製ジャケット)に上記(3)で作製した原料水溶液と上記(2)で洗浄した多孔質基材を共に封入した。このとき、基材はテフロン(登録商標)製密閉容器の底から浮かせて固定し、基材両面に溶液が接するように水平に設置した。その後、水熱温度70℃で168時間(7日間)水熱処理を施すことにより基材表面に層状複水酸化物配向膜(セパレータ層)の形成を行った。所定時間の経過後、基材を密閉容器から取り出し、イオン交換水で洗浄し、70℃で10時間乾燥させて、層状複水酸化物(以下、LDHという)の緻密膜(以下、膜試料という)を基材上に得た。得られた膜試料の厚さは約1.5μmであった。こうして、層状複水酸化物含有複合材料試料(以下、複合材料試料という)を得た。なお、LDH膜は多孔質基材の両面に形成されていたが、セパレータとして形態を複合材料に付与するため、多孔質基材の片面のLDH膜を機械的に削り取った。
(5)各種評価
(5a)膜試料の同定
X線回折装置(リガク社製 RINT TTR III)にて、電圧:50kV、電流値:300mA、測定範囲:10〜70°の測定条件で、膜試料の結晶相を測定したところ、図11に示されるXRDプロファイルが得られた。得られたXRDプロファイルについて、JCPDSカードNO.35−0964に記載される層状複水酸化物(ハイドロタルサイト類化合物)の回折ピークを用いて同定した。その結果、膜試料は層状複水酸化物(LDH、ハイドロタルサイト類化合物)であることが確認された。なお、図11に示されるXRDプロファイルにおいては、膜試料が形成されている多孔質基材を構成するアルミナに起因するピーク(図中で○印が付されたピーク)も併せて観察されている。
(5b)微構造の観察
膜試料の表面微構造を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−6610LV、JEOL社製)を用いて10〜20kVの加速電圧で観察した。得られた膜試料の表面微構造のSEM画像(二次電子像)を図12に示す。
また、複合材料試料の断面をCP研磨によって研磨して研磨断面を形成し、この研磨断面の微構造を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて10〜20kVの加速電圧で観察した。こうして得られた複合材料試料の研磨断面微構造のSEM画像を図13に示す。
(5c)気孔率の測定
膜試料について、画像処理を用いた手法により、膜の表面の気孔率を測定した。この気孔率の測定は次のようにして行った。すなわち、1)表面微構造を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−6610LV、JEOL社製)を用いて10〜20kVの加速電圧で観察して膜の表面の電子顕微鏡(SEM)画像(倍率10000倍以上)を取得した。2)Photoshop(Adobe社製)等の画像解析ソフトを用いてグレースケールのSEM画像を読み込んだ。3)[イメージ]→[色調補正]→[2階調化]の手順で白黒の2値画像を作成した。4)黒い部分が占めるピクセル数を画像の全ピクセル数で割った値を気孔率(%)とした。この気孔率の測定は配向膜表面の6μm×6μmの領域について行われた。その結果、膜の表面の気孔率は19.0%であった。また、この膜表面の気孔率を用いて、膜表面から見たときの密度D(以下、表面膜密度という)をD=100%−(膜表面の気孔率)により算出したところ、81.0%であった。
また、膜試料について、研磨断面の気孔率についても測定した。この研磨断面の気孔率についても測定は、上記(5b)に示される手順に従い膜の厚み方向における断面研磨面の電子顕微鏡(SEM)画像(倍率10000倍以上)を取得したこと以外は、上述の膜表面の気孔率と同様にして行った。この気孔率の測定は配向膜断面の膜部分について行われた。こうして膜試料の断面研磨面から算出した気孔率は平均で3.5%(3箇所の断面研磨面の平均値)であり、多孔質基材上でありながら非常に高密度な膜が形成されていることが確認された。
(5d)緻密性判定試験
膜試料が透水性を有しない程の緻密性を有することを確認すべく、緻密性判定試験を以下のとおり行った。まず、図14Aに示されるように、上記(1)において得られた複合材料試料120(1cm×1cm平方に切り出されたもの)の膜試料側に、中央に0.5cm×0.5cm平方の開口部122aを備えたシリコンゴム122を接着し、得られた積層物を2つのアクリル製容器124,126で挟んで接着した。シリコンゴム122側に配置されるアクリル製容器124は底が抜けており、それによりシリコンゴム122はその開口部122aが開放された状態でアクリル製容器124と接着される。一方、複合材料試料120の多孔質基材側に配置されるアクリル製容器126は底を有しており、その容器126内にはイオン交換水128が入っている。この時、イオン交換水にAl及び/又はMgを溶解させておいてもよい。すなわち、組み立て後に上下逆さにすることで、複合材料試料120の多孔質基材側にイオン交換水128が接するように各構成部材が配置されてなる。これらの構成部材等を組み立て後、総重量を測定した。なお、容器126には閉栓された通気穴(図示せず)が形成されており、上下逆さにした後に開栓されることはいうまでもない。図14Bに示されるように組み立て体を上下逆さに配置して25℃で1週間保持した後、総重量を再度測定した。このとき、アクリル製容器124の内側側面に水滴が付着している場合には、その水滴を拭き取った。そして、試験前後の総重量の差を算出することにより緻密度を判定した。その結果、25℃で1週間保持した後においても、イオン交換水の重量に変化は見られなかった。このことから、膜試料(すなわち機能膜)は透水性を有しない程に高い緻密性を有することが確認された。
例4(参考):ニッケル亜鉛電池の作製及び評価
本例は多孔質基材付きLDHセパレータを用いたニッケル亜鉛電池を作製及び評価した参考例である。本例は、電極積層体を用いた例ではないが、正極又は負極を本発明の電極積層体で適宜置き換えることで本発明によるニッケル亜鉛電池を作製することができるのはいうまでもない。
(1)多孔質基材付きセパレータの用意
例3と同様の手順により、多孔質基材付きセパレータとして、アルミナ基材上LDH膜(サイズ:5cm×8cm)を用意した。
(2)正極板の作製
亜鉛及びコバルトを固溶体となるように添加した水酸化ニッケル粒子を用意した。この水酸化ニッケル粒子を水酸化コバルトで被覆して正極活物質を得た。得られた正極活物質と、カルボキシメチルセルロースの2%水溶液とを混合してペーストを調製した。正極活物質の多孔度が50%となるように、多孔度が約95%のニッケル金属多孔質基板からなる集電体に上記得られたペーストを均一に塗布して乾燥し、活物質部分が5cm×5cmの領域にわたって塗工された正極板を得た。このとき、4Ah相当の水酸化ニッケル粒子が活物質中に含まれるように塗工量を調整した。
(3)負極板の作製
銅パンチングメタルからなる集電体上に、酸化亜鉛粉末80重量部、亜鉛粉末20重量部及びポリテトラフルオロエチレン粒子3重量部からなる混合物を塗布して、多孔度約50%で、活物質部分が5cm×5cmの領域にわたって塗工された負極板を得た。このとき、正極板容量の4Ah相当の酸化亜鉛粉末が活物質中に含まれるように塗工量を調整した。
(4)電池の組み立て
上記得られた正極板、負極板、及び多孔質基材付きセパレータを用いて、図3に示されるようなニッケル亜鉛電池を以下のような手順で組み立てた。
まず、ケース上蓋が外されたABS樹脂製の直方体ケース本体を用意した。このケース本体の中央付近に多孔質基材付きセパレータ(アルミナ基材上LDH膜)を多孔質基材が正極室側に位置し且つセパレータが負極室側に位置するように挿入し、その3辺を市販の接着剤を用いてケース本体の内壁に固定した。正極板及び負極板を正極室及び負極室にそれぞれ挿入した。このとき、正極集電体及び負極集電体がケース本体内壁に接するような向きで正極板及び負極板を配置した。正極室に、正極活物質塗工部分が十分に隠れる量の6mol/LのKOH水溶液を電解液として注液した。一方、負極室には、負極活物質塗工部分が十分に隠れるだけでなく、充電時に減少することが見込まれる水分量を考慮した過剰量の6mol/LのKOH水溶液を電解液として注液した。正極集電体及び負極集電体の端子部をそれぞれケース上部の外部端子と接続した。ケース上蓋を熱融着でケース本体に固定して、電池ケース容器を密閉化した。こうしてニッケル亜鉛電池を得た。なお、この電池においては、セパレータのサイズが幅5cm×高さ8cmであり、かつ、正極板及び負極板の活物質塗工部分のサイズが幅5cm×高さ5cmであるため、正極室及び負極室の上部3cm相当の空間が正極側余剰空間及び負極側余剰空間といえる。
(5)評価
作製したニッケル亜鉛電池に対して、設計容量4Ahの0.1C相当の0.4mAの電流で10時間定電流充電を実施した。充電後、ケースの変形や電解液の漏れは観察されなかった。充電により、正極室電解液が増加し、負極室電解液が減少したものの、負極活物質塗工部分には十分な電解液があり、充放電を通して、塗工した正極活物質及び負極活物質が、十分な充放電反応を起こす電解液をケース内に保持できていた。
例5:多孔質基材付きLDHセパレータの作製及び評価
本例では、多孔質基材上に層状複水酸化物(LDH)緻密膜を形成したLDH含有複合材料試料(多孔質基材付きセパレータ試料)として試料1〜10を以下のようにして作製した。
(1)多孔質基材の作製
ベーマイト(サソール社製、DISPAL 18N4−80)、メチルセルロース、及びイオン交換水を、(ベーマイト):(メチルセルロース):(イオン交換水)の質量比が10:1:5となるように秤量した後、混練した。得られた混練物を、ハンドプレスを用いた押出成形に付し、2.5cm×10cm×厚さ0.5cmの大きさに成形した。得られた成形体を80℃で12時間乾燥した後、1150℃で3時間焼成して、アルミナ製多孔質基材を得た。
得られた多孔質基材について、画像処理を用いた手法により、多孔質基材表面の気孔率を測定したところ、24.6%であった。この気孔率の測定は次のようにして行った。すなわち、1)表面微構造を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−6610LV、JEOL社製)を用いて10〜20kVの加速電圧で観察して多孔質基材表面の電子顕微鏡(SEM)画像(倍率10000倍以上)を取得した。2)Photoshop(Adobe社製)等の画像解析ソフトを用いてグレースケールのSEM画像を読み込んだ。3)[イメージ]→[色調補正]→[2階調化]の手順で白黒の2値画像を作成した。4)黒い部分が占めるピクセル数を画像の全ピクセル数で割った値を気孔率(%)とした。この気孔率の測定は多孔質基材表面の6μm×6μmの領域について行われた。
また、多孔質基材の平均気孔径を測定したところ約0.1μmであった。本発明において、平均気孔径の測定は多孔質基材の表面の電子顕微鏡(SEM)画像をもとに気孔の最長距離を測長することにより行った。この測定に用いた電子顕微鏡(SEM)画像の倍率は20000倍であり、得られた全ての気孔径をサイズ順に並べて、その平均値から上位15点及び下位15点、合わせて1視野あたり30点で2視野分の平均値を算出して、平均気孔径を得た。測長には、SEMのソフトウェアの測長機能を用いた。
(2)多孔質基材の洗浄
得られた多孔質基材をアセトン中で5分間超音波洗浄し、エタノール中で2分間超音波洗浄、その後、イオン交換水中で1分間超音波洗浄した。
(3)ポリスチレンスピンコート及びスルホン化
試料1〜6についてのみ、以下の手順により多孔質基材に対してポリスチレンスピンコート及びスルホン化を行った。すなわち、ポリスチレン基板0.6gをキシレン溶液10mlに溶かして、ポリスチレン濃度0.06g/mlのスピンコート液を作製した。得られたスピンコート液0.1mlを多孔質基材上に滴下し、回転数8000rpmでスピンコートにより塗布した。このスピンコートは、滴下と乾燥を含めて200秒間行った。スピンコート液を塗布した多孔質基材を95%硫酸に25℃で4日間浸漬してスルホン化した。
(4)原料水溶液の作製
原料として、硝酸マグネシウム六水和物(Mg(NO・6HO、関東化学株式会社製)、硝酸アルミニウム九水和物(Al(NO・9HO、関東化学株式会社製)、及び尿素((NHCO、シグマアルドリッチ製)を用意した。カチオン比(Mg2+/Al3+)が2となり且つ全金属イオンモル濃度(Mg2++Al3+)が0.320mol/Lとなるように、硝酸マグネシウム六水和物と硝酸アルミニウム九水和物を秤量してビーカーに入れ、そこにイオン交換水を加えて全量を75mlとした。得られた溶液を攪拌した後、溶液中に尿素/NO =4の割合で秤量した尿素を加え、更に攪拌して原料水溶液を得た。
(5)水熱処理による成膜
テフロン(登録商標)製密閉容器(内容量100ml、外側がステンレス製ジャケット)に上記(4)で作製した原料水溶液と上記(3)でスルホン化した多孔質基材(試料1〜6)又は上記(2)で洗浄した多孔質基材(試料7〜10)を共に封入した。このとき、基材はテフロン(登録商標)製密閉容器の底から浮かせて固定し、基材両面に溶液が接するように水平に設置した。その後、水熱温度70〜75℃で168〜504時間水熱処理を施すことにより基材表面に層状複水酸化物配向膜の形成を行った。このとき、水熱処理の条件を適宜変更することにより、様々な緻密性を有する10種類の配向膜を作製した。所定時間の経過後、基材を密閉容器から取り出し、イオン交換水で洗浄し、70℃で10時間乾燥させて、層状複水酸化物(以下、LDHという)の緻密膜(以下、膜試料という)を基材上に得た。得られた膜試料の厚さは約1.0〜2.0μmであった。こうして、LDH含有複合材料試料(以下、複合材料試料という)として試料1〜10を得た。なお、LDH膜は多孔質基材の両面に形成されていたが、セパレータとしての形態を複合材料に付与するため、多孔質基材の片面のLDH膜を機械的に削り取った。
(6a)膜試料の同定
X線回折装置(リガク社製 RINT TTR III)にて、電圧:50kV、電流値:300mA、測定範囲:10〜70°の測定条件で、膜試料の結晶相を測定してXRDプロファイルを得る。得られたXRDプロファイルについて、JCPDSカードNO.35−0964に記載される層状複水酸化物(ハイドロタルサイト類化合物)の回折ピークを用いて同定を行った。その結果、膜試料1〜10のいずれも層状複水酸化物(LDH、ハイドロタルサイト類化合物)であることが確認された。
(6b)He透過測定
He透過性の観点から膜試料1〜10の緻密性を評価すべくHe透過試験を以下のとおり行った。まず、図15A及び図15Bに示されるHe透過度測定系310を構築した。He透過度測定系310は、Heガスを充填したガスボンベからのHeガスが圧力計312及び流量計314(デジタルフローメーター)を介して試料ホルダ316に供給され、この試料ホルダ316に保持された緻密膜318の一方の面から他方の面に透過させて排出させるように構成した。
試料ホルダ316は、ガス供給口316a、密閉空間316b及びガス排出口316cを備えた構造を有するものであり、次のようにして組み立てた。まず、緻密膜318の外周に沿って接着剤322を塗布して、中央に開口部を有する治具324(ABS樹脂製)に取り付けた。この治具324の上端及び下端に密封部材326a,326bとしてブチルゴム製のパッキンを配設し、さらに密封部材326a,326bの外側から、フランジからなる開口部を備えた支持部材328a,328b(PTFE製)で挟持した。こうして、緻密膜318、治具324、密封部材326a及び支持部材328aにより密閉空間316bを区画した。なお、緻密膜318は多孔質基材320上に形成された複合材料の形態であるが、緻密膜318側がガス供給口316aに向くように配置した。支持部材328a,328bを、ガス排出口316c以外の部分からHeガスの漏れが生じないように、ネジを用いた締結手段330で互いに堅く締め付けた。こうして組み立てられた試料ホルダ316のガス供給口316aに、継手332を介してガス供給管334を接続した。
次いで、He透過度測定系310にガス供給管334を経てHeガスを供給し、試料ホルダ316内に保持された緻密膜318に透過させた。このとき、圧力計312及び流量計314によりガス供給圧と流量をモニタリングした。Heガスの透過を1〜30分間行った後、He透過度を算出した。He透過度の算出は、単位時間あたりのHeガスの透過量F(cm/min)、Heガス透過時に緻密膜に加わる差圧P(atm)、及びHeガスが透過する膜面積S(cm)を用いて、F/(P×S)の式により算出した。Heガスの透過量F(cm/min)は流量計314から直接読み取った。また、差圧Pは圧力計312から読み取ったゲージ圧を用いた。なお、Heガスは差圧Pが0.05〜0.90atmの範囲内となるように供給された。得られた結果は表1及び図17に示されるとおりであった。
(6c)Zn透過試験
Zn透過性の観点から膜試料1〜10の緻密性を評価すべく、Zn透過試験を以下のとおり行った。まず、図16A及び図16Bに示されるZn透過測定装置340を構築した。Zn透過測定装置340は、L字状の開口管で構成される第一槽344にフランジ362aが一体化されたフランジ付き開口管(PTFE製)と、L字状の管で構成される第二槽346にフランジ362bが一体化されたフランジ付き開口管(PTFE製)とをフランジ362a,362bが対向するように配置して構成した。そして、フランジ362a,362bの間に試料ホルダ342を配置し、試料ホルダ342に保持された緻密膜の一方の面から他方の面にZnが透過可能な構成とした。
試料ホルダ342の組み立て及びその装置340への取り付けは、次のようにして行った。まず、緻密膜352の外周に沿って接着剤356を塗布して、中央に開口部を有する治具358(ABS樹脂製)に取り付けた。この治具358の両側に図16Aに示されるように密封部材360a,360bとしてシリコーンゴム製のパッキンを配設し、さらに密封部材360a,360bの外側から、1対のフランジ付き開口管のフランジ362a,362bで挟持した。なお、緻密膜352は多孔質基材354上に形成された複合材料の形態であるが、緻密膜352側が(Znを含有する第一の水溶液348が注入されることになる)第一槽344に向くように配置した。フランジ362a,362bをその間で液漏れが生じないように、ネジを用いた締結手段364で互いに堅く締め付けた。
一方、第一槽344に入れるための第一の水溶液348として、Al(OH)を2.5mol/L、ZnOを0.5mol/Lを溶解させた9mol/LのKOH水溶液を調製した。第一の水溶液のZn濃度C(mol/L)をICP発光分光分析法により測定したところ、表1に示される値であった。また、第二槽346に入れるための第二の水溶液350として、ZnOを溶解させることなく、Al(OH)を2.5mol/Lを溶解させた9mol/LのKOH水溶液を調製した。先に作製した試料ホルダ342が組み込まれた測定装置340において、第一槽344及び第二槽346にそれぞれ第一の水溶液348及び第二の水溶液350を注入し、試料ホルダ342に保持された緻密膜352にZnを透過させた。この状態でZn透過を表1に示される時間tで行った後、第二の水溶液の液量V(ml)を測定し、第二の水溶液350のZn濃度C(mol/L)をICP発光分光分析法により測定した。得られた値を用いてZn透過割合を算出した。Zn透過割合は、(C×V)/(C×V×t×S)の式により算出した。式中、Zn透過開始前の第一の水溶液のZn濃度C(mol/L)、Zn透過開始前の第一の水溶液の液量V(ml)、Zn透過終了後の第二の水溶液のZn濃度C(mol/L)、Zn透過終了後の第二の水溶液の液量V(ml)、Znの透過時間t(min)、及びZnが透過する膜面積S(cm)を用いた。得られた結果は表1及び図17に示されるとおりであった。

Claims (12)

  1. 水酸化ニッケル及び/又はオキシ水酸化ニッケルを含む正極と、
    前記正極が浸漬される、アルカリ金属水酸化物水溶液を含む正極電解液と、
    亜鉛及び/又は酸化亜鉛を含む負極と、
    前記負極が浸漬される、アルカリ金属水酸化物水溶液を含む負極電解液と、
    前記正極、前記正極電解液、前記負極、及び前記負極電解液を収容する密閉容器と、
    前記密閉容器内に、前記正極及び前記正極電解液を収容する正極室と、前記負極及び前記負極電解液を収容する負極室とを区画するように設けられ、水酸化物イオン伝導性を有するが透水性を有しない、無機固体電解質体からなるセラミックスセパレータと、
    を備えてなるニッケル亜鉛電池であって、
    前記正極及び前記負極の少なくともいずれか一方が電極積層体であり、該電極積層体が、
    互いに離間して平行に配置される、正極又は負極である2層以上の電極層と、
    該電極層同士の間に存在する保液空間と、
    を備え、
    前記保液空間に、液を保持可能な保液手段をさらに備え、前記保液手段がシート状の保液部材であり、前記保液部材が不織布である、ニッケル亜鉛電池
  2. 前記電極積層体が正極であり、前記電極層が水酸化ニッケル及びオキシ水酸化ニッケルの少なくともいずれか一方を含む、請求項1に記載のニッケル亜鉛電池
  3. 前記電極積層体が負極であり、前記電極層が亜鉛及び酸化亜鉛の少なくともいずれか一方を含む、請求項1に記載のニッケル亜鉛電池
  4. 前記電極積層体が1.03mm以上の厚さを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池
  5. 前記電極層が0.5〜5.0mmの厚さを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池
  6. 前記保液空間又は前記保液部材が0.01〜0.20mmの厚さを有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池
  7. 前記電極層の数が、2枚以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池
  8. 前記無機固体電解質体が、一般式:
    2+ 1−x3+ (OH)n− x/n・mH
    (式中、M2+は2価の陽イオンであり、M3+は3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオンであり、nは1以上の整数であり、xは0.1〜0.4であり、mは0以上である)の基本組成を有する層状複水酸化物からなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池。
  9. 前記セラミックスセパレータの片面又は両面に多孔質基材をさらに備え、かつ、前記無機固体電解質体が膜状又は層状の形態であり、該膜状又は層状の無機固体電解質体が前記多孔質基材上又はその中に形成されたものである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池。
  10. 前記無機固体電解質体が層状複水酸化物からなる場合、前記層状複水酸化物が複数の板状粒子の集合体で構成され、該複数の板状粒子がそれらの板面が前記多孔質基材の表面と垂直に又は斜めに交差するような向きに配向してなる、請求項に記載のニッケル亜鉛電池。
  11. 前記セラミックスセパレータは、単位面積あたりのHe透過度が10cm/min・atm以下である、請求項10のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池。
  12. 前記セラミックスセパレータは、水接触下で評価した場合における単位面積あたりのZn透過割合が10m−2・h−1以下である、請求項11のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池。
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