JP6569238B2 - ノロウイルスgii群の検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、迅速、確実かつ簡便なノロウイルスGII群の検出のためのオリゴヌクレオチド、該オリゴヌクレオチドを利用するノロウイルスの検出方法ならびに該方法を行うための試薬に関する。
ノロウイルスは約7500塩基の一本鎖RNAをゲノムに持つウイルスである。ゲノム上には三つのOpen Reading Frame(ORF)が存在し、ORF1が非構造蛋白質、ORF2が構造蛋白質1(VP1)、ORF3が構造蛋白質2(VP2) をコードしていることが知られている。
ノロウイルスのゲノム塩基配列は非常に多様性に富んでおり、その相同性に基づき現在は五つの遺伝子群(GI〜GV)に分類されている。このうち、ヒトに対する病原性を有するのはGI、GII、GIVの3群と言われており、そのうちの多くがGIまたはGII群である。最近は特にGII/4が多く検出されている。
ノロウイルスの検出には免疫学的方法やRT−PCR法が使われる(特許文献1〜4、非特許文献1)。免疫学的方法は主に医療検査で用いられることが多く、RT−PCRは医療および食品検査の両方で広く使われている。
イムノクロマト法は15分間程度で検査結果が得られるため、迅速な検査が可能である。しかし、その検出感度はRT−PCRと比較して劣る。このため、イムノクロマト法ではノロウイルスに感染し発症した患者の確認は可能だが、発症していないウイルス保持者の検出は難しい。
RT−PCR法は検出感度に優れる方法である。ノロウイルスRNAの調製、RNAの逆転写、逆転写産物のPCR、PCR産物の検出と四つの工程がある。一般的なRT−PCR法ではこれらの工程を全て行うと2時間以上を要するという欠点がある。例えば特許文献2ではノロウイルス特異的なプライマーとタックマンプローブを用いたノロウイルス検出の実施例が記載されているが、この例では逆転写産物を増幅させるためのPCR反応のみで160分間以上を費やしている。
またRT−PCR法に限らず、核酸増幅法を用いた検査では増幅産物の検出方法が問題となることもある。特許文献4ではノロウイルス特異的なプライマーでRT−PCRを行った後で、アガロースゲル電気泳動により増幅産物の検出を行っている。しかしこの方法では増幅産物のキャリーオーバーによるコンタミネーションが生じる可能性がある。
特許3887340号 特許4414648号 特許4437525号 特開2011−78358
Journal of Clinical Microbiology,2003,41,p.1548−1557
本発明が解決しようとする課題は、RT−PCR法における検査時間の短縮およびキャリーオーバーコンタミネーション防止である。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定のプライマーおよびプローブを用いた閉鎖系でのノロウイルスGIIタイプ検出が可能であることを見出した。さらに、該プライマーおよびプローブを用いて従来の方法よりもより短時間でRT−PCRが可能であることを見出し、本発明の完成に至った。すなわち本発明は以下を提供する。
[項1]
核酸増幅反応および該増幅反応によって得られた増幅産物を検出することを含むノロウイルスGII群の核酸を検出する方法であって、以下の工程(1)〜(4)を全て含み、工程(2)〜(4)が1時間以内で完了し、かつ、工程(2)以降は反応系を開放することなく行われることを特徴とする、ノロウイルスGII群の核酸を検出する方法。
(1)ノロウイルスのII群を含む試料から、ノロウイルスGII群のRNAに対して逆転写反応を行い、ノロウイルスGII群由来のDNAを得る工程
(2)(1)によって得られたDNAに対して、少なくとも1対の核酸プライマーセットを含む核酸プライマー群、1種類の核酸プローブ、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼ、を含む反応系で、合計反応時間が50分間以内となるようPCRを行い、増幅産物を得る工程
(3)工程(2)で得られた核酸増幅産物と、該核酸増幅産物の一部または全部と複合体を形成しうる1種類の核酸プローブとの複合体を形成せしめる工程
(4)工程(3)で得られた複合体を検出する工程
[項2]
項1に記載の方法であって、工程(3)において使用される1種類の核酸プローブが、少なくともいずれか一方の末端の核酸がシトシンであり、該シトシンが蛍光標識されており、該標識蛍光は当該核酸プローブが鋳型となる核酸と結合している場合は消光し、当該核酸プローブが他の核酸と結合せず遊離している場合に発光するという性質を有する、ことを特徴とする核酸プローブを用いる、ノロウイルスGII群の核酸を検出する方法。
[項3]
項1または項2に記載の方法において、工程(4)が以下の(4´)である方法。
(4´)工程(3)で得られた複合体を含む反応系の温度を段階的に上昇させて融解曲線分析を行い、複合体を形成していた核酸増幅産物と核酸プローブの解離の有無を検知する工程
[項4]
項1から項3のいずれかに記載の方法であって、さらに以下の特徴(i)および/または(ii)を含む、ノロウイルスGII群の核酸を検出する方法。
(i)工程(2)における核酸プライマーセットが、以下の(A)より選ばれるフォワードプライマーと、以下の(B)より選ばれるリバースプライマーとの組合せの対から選ばれる少なくとも1対である。
(A)配列番号1で示される塩基配列の112番目を3´末端とし、該配列の81番目〜90番目の任意の塩基を5´末端とする塩基配列と85%以上相同な塩基配列を有する核酸プライマー
(B)配列番号2で示される塩基配列の321番目を3´末端とし、該配列の291〜300番目の任意の塩基を5´末端とする塩基配列と85%以上相同な塩基配列を有する核酸プライマー
(ii)工程(3)において用いられる1種類の核酸プローブが、以下の(C)または(D)のいずれかに該当する核酸プローブである。
(C)配列番号1で示される塩基配列の153番目または154番目の任意の塩基を3´末端とし、該配列の135番目〜139番目の任意の塩基を5´末端とする塩基配列と85%以上相同な塩基配列を有する核酸プローブ。
(D)配列番号2で示される塩基配列の350番目〜352番目の任意の塩基を3´末端とし、該配列の330番目〜340番目の任意の塩基を5´末端とする塩基配列と85%以上相同な塩基配列を有する核酸プローブ。
[項5]
以下の(C)または(D)のいずれかの特徴を有する核酸プローブ。
(C)配列番号1で示される塩基配列の153番目または154番目の任意の塩基を3´末端とし、該配列の135番目〜139番目の任意の塩基を5´末端とする塩基配列と85%以上相同な塩基配列を有する核酸プローブ。
(D)配列番号2で示される塩基配列の350番目〜352番目の任意の塩基を3´末端とし、該配列の330番目〜340番目の任意の塩基を5´末端とする塩基配列と85%以上相同な塩基配列を有する核酸プローブ。
[項6]
前記核酸プローブが、配列番号9〜16のいずれかで示される塩基配列を有する、項5に記載の核酸プローブ。
[項7]
少なくとも1対の核酸プライマーからなる核酸プライマーセットであって、以下の(A)より選ばれるフォワードプライマーと、以下の(B)より選ばれるリバースプライマーとの組合せの対から選ばれる少なくとも1対である、核酸プライマーセット。
(A)配列番号1で示される塩基配列の112番目を3´末端とし、該配列の81番目〜90番目の任意の塩基を5´末端とする塩基配列と85%以上相同な塩基配列を有する核酸プライマー
(B)配列番号2で示される塩基配列の321番目を3´末端とし、該配列の291〜300番目の任意の塩基を5´末端とする塩基配列と85%以上相同な塩基配列を有する核酸プライマー
[項8]
フォワードプライマーが配列番号3〜5のいずれかで示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドから選ばれ、かつ、リバースプライマーが配列番号6〜8のいずれかで示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドから選ばれる、項7に記載の核酸プライマーセット。
[項9]
項7または項8に記載の核酸プライマーセットと、項5または項6に記載の核酸プローブとを組み合わせてなる、ノロウイルスのGII群を検出するためのプライマー・プローブのセット。
[項10]
項7または項8に記載の核酸プライマーセット、項5または項6に記載の核酸プローブ、または、項9に記載のプライマー・プローブのセットを含む、項1〜4のいずれかに記載の方法を実施するためのキット。
本発明によれば、ノロウイルスのGII群の逆転写産物を1時間以内に、かつ核酸増幅産物を開放することなく検出することが可能である。
実施例1の結果を示す図である。 実施例1の結果を示す図である。 比較例1の結果を示す図である。 比較例1の結果を示す図である。 比較例1の結果を示す図である。 実施例2の結果を示す図である。 比較例2の結果を示す図である。 比較例2の結果を示す図である。 比較例2の結果を示す図である。
本発明は、ノロウイルスGII群のORFの部分領域を核酸増幅するための核酸プライマー(プライマー)、核酸プローブ(プローブ)、ならびにこれらを用いてノロウイルスGII群の検出および変異判別を行うための方法、および該方法を実施するためのキット等に関する。
本発明におけるORFの部分領域とは、NCBIのアクセションNo.AF145896のRegion4921〜5400に掲載された塩基配列を指す。該配列が配列番号1である。また、配列番号2は配列番号1の相補的配列である。
[核酸プライマーセット]
本発明のノロウイルスGII群の検出方法において、ノロウイルスGII群に特異的な領域を増幅する核酸プライマーセットは、少なくとも1対の核酸プライマーからなる。
本明細書における「1対の核酸プライマーセット」は、1種類(1配列)のフォワードプライマーと1種類(1配列)のリバースプライマーとで構成される。
なお、核酸プライマーセットが複数対含まれる場合、フォワードプライマーおよびリバースプライマーのうちいずれかは共通のものであってもよい。
上記の核酸プライマーセットは、ノロウイルスGII群のORFの部分領域を核酸増幅するために用いられるものであれば特に限定されないが、好ましくはフォワードプライマーが以下の(A)からなり、リバースプライマーが以下の(B)からなる核酸プライマーセットである。
(A)配列番号1で示される塩基配列の112番目を3´末端とし、該配列の81番目〜90番目の任意の塩基を5´末端とする塩基配列と85%以上相同な塩基配列を有する核酸プライマー
(B)配列番号2で示される塩基配列の321番目を3´末端とし、該配列の291〜300番目の任意の塩基を5´末端とする塩基配列と85%以上相同な塩基配列を有する核酸プライマー
前記(A)の核酸プライマーの塩基配列は3´末端が配列番号1で示される塩基配列の112番目の塩基であるならば、5´末端は配列番号1の81番目〜90番目の中の任意の塩基にしてよい。好ましくは5´末端が配列番号1の83番目〜89番目である。
また、前記(B)の核酸プライマーの塩基配列は3´末端が配列番号2で示される塩基配列の321番目の塩基であるならば、5´末端は配列番号2の291番目〜300番目の中の任意の塩基にしてよい。好ましくは5´末端が配列番号2の294〜297番目である。
また、前記核酸プライマーセットを構成するフォワードプライマーおよびリバースプライマーは、配列番号1または2で示される塩基配列を有する核酸と結合し核酸増幅に用いることができるならば、配列番号1または2と異なる塩基配列を有していてもよい。また、核酸プライマーを構成する塩基の中に混合塩基が含まれていてもよい。ただし、該核酸プライマーの塩基配列が配列番号1または2と大きく異なる場合は該核酸プライマーの特異性が低下し、ノロウイルスGII群のDNA以外の核酸を誤って増幅する可能性が大きくなる。従って、該核酸プライマーは配列番号1または配列番号2の一部塩基配列と85%以上の同一性があることが好ましい。より好ましくは86%、より好ましくは87%、より好ましくは88%、より好ましくは89%、より好ましくは90%、より好ましくは91%、より好ましくは92%、より好ましくは93%、より好ましくは94%、より好ましくは95%、より好ましくは96%、より好ましくは97%、より好ましくは98%、より好ましくは99%、より好ましくは100%である。
塩基配列の同一性を算出する方法としては、種々の方法が知られている。例えば、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができる。
本明細書では、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の相同性アルゴリズムAdvanced BLAST 2.1において、プログラムにblastnを用い、各種パラメータはデフォルト値に設定して検索を行うことにより、ヌクレオチド配列の相同性の値(%)を算出する。
既知の方法として同様の領域を核酸増幅し検出する方法が特許文献2や非特許文献1で開示されている。前記文献に記載された方法で用いられるフォワードプライマーは、本明細書における配列番号1の108番目の塩基を3´末端としている。該フォワードプライマーの塩基配列は、本明細書において配列番号17として示した。
発明者らは実験の結果、配列番号17で示される塩基配列を有するフォワードプライマーよりも、3´末端を112番目にした塩基配列を有するフォワードプライマーの方が、前記文献に記載されたフォワードプライマーよりも検出感度に優れることを発見した。
リバースプライマーについても特許文献2や非特許文献1で開示されている。前記文献に記載された方法で用いられるフォワードプライマーは、本明細書における配列番号2の301番目の塩基を5´末端としている。該リバースプライマーの塩基配列は、本明細書において配列番号18として示した。
発明者らは実験の結果、配列番号18で示される塩基配列を有するリバースプライマーよりも、5´末端を294〜300番目の塩基にした塩基配列を有するリバースプライマーの方が、前記文献に記載されたリバースプライマーよりも検出感度に優れることを発見した。
このような検出感度に優れる核酸プライマーセットとして、特に、フォワードプライマーとして配列番号3〜5のいずれかで示される塩基配列と、リバースプライマーとして配列番号6〜8のいずれかで示される塩基配列との組合せが例示できる。
[核酸プローブ]
本発明で用いられる核酸プローブは、ノロウイルスGII群のORF領域を検出するためのものであり、上記核酸プライマーセットによって核酸増幅された核酸増幅産物の一部または全部とハイブリダイズして複合体を形成しうるものであれば特に制限されない。より好ましくは、該核酸増幅産物のみと特異的に複合体を形成し、それ以外の塩基配列を有する核酸とは複合体を形成しない核酸プローブであり、より好ましくは該核酸増幅産物の一部または全部の塩基配列と同一または相補的な塩基配列を有する核酸プローブである。
そのような核酸プローブとして好ましくは(C)または(D)の特徴を備えた核酸プローブが挙げられる。
(C)配列番号1で示される塩基配列の153番目または154番目の任意の塩基を3´末端とし、該配列の135番目〜139番目の任意の塩基を5´末端とする塩基配列と85%以上相同な塩基配列を有する核酸プローブ。
(D)配列番号2で示される塩基配列の350番目〜352番目の任意の塩基を3´末端とし、該配列の330番目〜340番目の任意の塩基を5´末端とする塩基配列と85%以上相同な塩基配列を有する核酸プローブ。
前記(C)の核酸プローブの塩基配列は3´末端が配列番号1で示される塩基配列の153番目または154番目の塩基であるならば、5´末端は配列番号1の135番目〜139番目の中の任意の塩基にしてよい。より好ましくは5´末端が配列番号1の136番目〜138番目である。
また、前記(D)の核酸プローブの塩基配列は3´末端が配列番号2で示される塩基配列の350番目〜352番目の中の任意の塩基であるならば、5´末端は配列番号2の330番目〜340番目の中の任意の塩基にしてよい。より好ましくは5´末端が配列番号2の332〜338番目であり、より好ましくは333〜335番目である。
前記(C)および(D)の核酸プローブは、該核酸増幅産物と複合体を形成するのであれば、該核酸プローブ塩基配列の一部は配列番号1または2で示される塩基配列と異なっていてもよい。ただし、該核酸プローブの塩基配列が配列番号1または2と大きく異なる場合は該核酸プローブの特異性が低下し、該核酸増幅産物以外との複合体を形成しうる可能性が大きくなる。従って、該核酸プローブは配列番号1または配列番号2の一部塩基配列と85%以上の同一性があることが好ましい。より好ましくは86%、より好ましくは87%、より好ましくは88%、より好ましくは89%、より好ましくは90%、より好ましくは91%、より好ましくは92%、より好ましくは93%、より好ましくは94%、より好ましくは95%、より好ましくは96%、より好ましくは97%、より好ましくは98%、より好ましくは99%、より好ましくは100%である。
このような核酸プローブとして、配列番号9〜16のいずれかの塩基配列で示される核酸プローブが例示できる。
上記核酸プローブは核酸が標識されていてもいなくてもよい。標識されている場合は、標識される核酸の位置および数に制限はないが、好ましくは核酸プローブ末端の核酸が標識されることであり、より好ましくはいずれか片方の末端が標識されることである。さらに好ましくは、標識される末端の核酸の塩基がシトシンであることである。
標識物質は特に制限されないが、好ましくは蛍光物質であり、より好ましくは単独では蛍光を示し、標的核酸とハイブリッドを形成した場合には消光する性質を有する蛍光物質である。前記蛍光物質は、制限されないが、フルオレセイン、リン光体、ローダミン、ポリメチン色素誘導体等があげられ、市販の蛍光色素としては、例えば、BODIPY FL(商標、モレキュラープローブ社製)、FluorePrime(商標、アマシャムファルマシア社製)、Fluoredite(商標、ミリポア社製)、FAM(ABI社製)、Cy3およびCy5(アマシャムファルマシア社製)、TAMRA(モレキュラープローブ社製)、カルボキシローダミン6G(CR6G)等が例示できる。
[ノロウイルスGII群の検出方法]
本発明のノロウイルスGII群の検出方法は、試料中に含まれるノロウイルスGII群のRNAを逆転写して得られたDNAを検出することを特徴とする。
該方法の一つの様態として、以下の工程(1)〜(4)を全て含むことを特徴とする方法が挙げられる。
(1)ノロウイルスのII群を含む試料から、ノロウイルスGII群のRNAに対して逆転写反応を行い、ノロウイルスGII群由来のDNAを得る工程
(2)(1)によって得られたDNAに対して、少なくとも1対の核酸プライマーセットを含む核酸プライマー群、1種類の核酸プローブ、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼ、を含む反応系で合計反応時間が50分間以内となるようPCRを行い、増幅産物を得る工程
(3)工程(2)で得られた核酸増幅産物と、該核酸増幅産物の一部または全部と複合体を形成しうる1種類の核酸プローブ複合体を形成せしめる工程
(4)工程(3)で得られた複合体を検出する工程
該方法で用いられる核酸プライマーセットおよび核酸プローブとしては前記のものが使用できる。
本発明のノロウイルス検出方法は、上記工程が含まれること以外は特に制限されない。ノロウイルスDNAの検出が可能ならば上記工程に新たな工程を追加してもよい。
工程(1)は市販の逆転写酵素を用いて行うことができる。逆転写酵素は、酵素単独で市販されているものを用いてもよいし、逆転写反応キットとして市販されているものを用いてもよい、逆転写酵素および逆転写反応キットの例としては、PrimeScript Reverse Transcriptase(タカラバイオ製)、PrimeScript RT−PCR Kit(タカラバイオ製)、M−MLV Reverse Transcriptase RNase H Minus(Promega製)、SuperScriptII Revrse Transcriptase(Life Technologies製)、SuperScriptIII Revrse Transcriptase(Life Technologies製)、ReverTra−Plus−(東洋紡製)、ReverTra Ace −α−(東洋紡製)、ReverTra Ace qPCR RT Kit(東洋紡製)が挙げられる。
逆転写反応は、逆転写酵素または逆転写反応キットに付属のプロトコールに記載の方法や、その他従来公知の方法で行うことができる。
工程(1)の逆転写反応で用いられる核酸プライマーとしては、本発明の核酸プライマーである(A)または(B)に記載の核酸プライマーを用いることができ、特に(B)のリバースプライマーを用いることが好ましい。また、RNAの逆転写反応で一般的に用いられるランダムプライマーを用いることができる。ランダムプライマーの塩基長は特に制限されないが、4塩基以上12塩基以下が好ましい。より好ましくは5塩基以上11塩基以下であり、さらに好ましくは6塩基以上10塩基以下である。
工程(2)は反応系を開放しても開放しなくても実施可能だが、開放することなく工程(2)が行われることが好ましい。「開放する」とは反応容器の蓋をあけるなどの方法で核酸増幅産物を暴露させることを言う。「開放しない」とは逆に反応容器を開封せず、核酸増幅産物を外部に暴露させないことを言う。
前記方法の工程(4)の一つの様態として、以下の工程(4´)が挙げられる。
(4´)工程(2)で得られた複合体を含む反応系の温度を段階的に上昇させて融解曲線分析を行い、複合体を形成していた核酸増幅産物と核酸プローブの解離の有無を検知する工程
前記(1)(2)(3)(4)の工程、あるいは(1)(2)(3)(4´)の工程を開始してから全て完了するまでの時間は特に制限されないが、工程(2)〜(4)または(2)〜(4´)を1時間以内に終えることが好ましい。より好ましくは55分間以内であり、50分間以内であり、45分間以内である。この時間は工程(2)のPCRが開始されてから工程(4)の複合体検出または(4´)の解離の有無の検知が完了するまでの時間を指し、工程(2)に用いられる反応液の調製時間は含まれない。
前記(1)(2)(3)(4)の工程、あるいは(1)(2)(3)(4´)の工程のうち、工程(2)を開始してから完了するまでの時間は50分間以内であることが好ましい。さらに好ましくは45分間であり、40分間であり、35分間であり、30分間である。この時間は工程(2)のPCRが開始されてから完了するまでの時間を指し、工程(2)に用いられる反応液の調製時間は含まれない。
前記(1)(2)(3)(4)の工程、あるいは(1)(2)(3)(4´)の工程のうち、工程(1)を開始してから完了するまでの時間は特に制限されないが、好ましくは40分間以内であり、より好ましくは35分間以内であり、30分間以内である。この時間は工程(1)の逆転写反応が開始されてから完了するまでの時間を指し、工程(1)に用いられる反応液の調製時間は含まれない。
該方法で用いられるノロウイルスGII群のORFを増幅し検出するための核酸プライマーセットおよび核酸プローブは、それぞれ前記したものを用いることができる。さらに、例えばノロウイルスGII群のDNAとは異なる核酸を増幅し検出する目的で、前記の核酸プライマーセットおよび核酸プローブとは異なる核酸プライマーセットや核酸プローブを追加することも特に制限されない。
[被検核酸の増幅]
本発明における被検核酸は、例えば、一本鎖でもよいし、二本鎖でもよい。二本鎖の場合は、例えば、被検核酸とプローブとをハイブリダイズさせてハイブリッド体を形成するために、加熱により前記二本鎖を一本鎖に解離させる工程を含むことが好ましい。
前記被検核酸の種類としては、特に制限されないが、例えば、DNAや、トータルRNA、mRNA等のRNA等があげられる。また、前記被検核酸は、例えば生体試料等の試料に含まれる核酸があげられる。この試料はそのまま用いてもよいし、適当な溶液で希釈したものを用いてもよい。適当な溶液としては、水、生理食塩水、緩衝液、アルカリ性水溶液、酸性水溶液、核酸抽出試薬、界面活性剤、有機溶媒などが挙げられる
前記生体試料としては、特に制限されないが、例えば、糞便、吐瀉物、腸液、胃液、直腸拭い液、咽頭拭い液などが挙げられる。
試料の採取方法、DNAやRNA等の核酸の調製方法等は、制限されず、従来公知の方法が採用できる。
続いて、単離したゲノムDNAを鋳型として、上述の核酸プライマーセットを用いて、PCR等の核酸増幅法によって、検出目的の塩基部位を含む配列を増幅させる。具体的な核酸増幅方法としては特に限定されず、適宜公知の方法を用いることができる。例えば、PCR(Polymerase Chain Reaction)法、NASBA(Nucleic acid sequence based amplification)法、TMA(Transcription−mediated amplification)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法、LAMP(Loop−Mediated Isothermal Amplification)等があげられるが、PCR法を用いることが好ましい。なお、これらの各方法において、増幅反応の条件は特に制限されず、従来公知の方法により行うことができる。
PCR法では通常、変性反応、アニーリング反応、伸長反応の3段階の反応が繰り返される。ただし、アニーリング反応と伸長反応の反応条件を同一とすることで、2段階の反応を繰り返す場合もある。本発明において、PCR法の反応は2段階でもよく、3段階でもよく、4段階以上でもよいが、好ましくは3段階である。
前記各反応の温度および時間の条件に制限はないが、変性反応の温度は90〜100℃のいずれかが好ましい。変性反応の時間は0〜10秒間のいずれかが好ましい。ここでの0秒とは一瞬だけ既定の温度にし、すぐに次の段階の反応へと進むことを意味しており、変性反応を行わないことを意味しない。また、アニーリング反応の温度は50〜60℃のいずれかが好ましく、アニーリング反応の時間は0〜15秒間のいずれかが好ましい。伸長反応の温度は58〜72℃のいずれかが好ましく、伸長反応の時間は1〜15秒間のいずれかが好ましい。
変性反応、アニーリング反応、伸長反応を各1回行うことをPCRサイクルと言い、PCR法による核酸増幅反応全体でPCRサイクルを行う回数をサイクル数と言う。本発明において実施可能なサイクル数は特に制限されないが、35〜100回の範囲であることが好ましい。サイクル数の下限は好ましくは40回、より好ましくは50回である。サイクル数の上限は好ましくは80回、より好ましくは70回である。
[DNAポリメラーゼ]
核酸増幅にPCR法を用いる場合、使用するDNAポリメラーゼは特に制限されないが、α型DNAポリメラーゼを用いることが好ましい。その理由を以下に説明する。
本発明プローブが含まれる反応系でノロウイルス由来のDNAを増幅する場合、核酸増幅工程中に該核酸プローブが試料のノロウイルス由来のDNAまたはそれらの増幅産物と結合しうる。核酸増幅工程中にノロウイルス由来のDNAと結合した該核酸プローブは、核酸プライマーとDNAポリメラーゼによる核酸増幅反応を阻害する。
Taq DNA PolymeraseなどPolI型のDNAポリメラーゼは5’− 3’エキソヌクレアーゼ活性を持つことが知られている。この活性のため、核酸増幅反応中に鋳型となるノロウイルス由来のDNAと結合した核酸がある場合、該結合核酸はエキソヌクレアーゼ活性によって分解されてしまう。このため、反応系中の該核酸プローブが減少し核酸検出工程に問題が生じる可能性がある。従って、PolI型DNAポリメラーゼを用いて本発明を実施することは好ましくない。
他方、KOD DNA Polymerase(超好熱始原菌Thermococcus kodakaraensis KOD1由来)などα型のDNAポリメラーゼは5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を持たず、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を持つ。従って、α型DNAポリメラーゼを用いれば上記問題を解決できるのみならず、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性により核酸増幅工程において高い正確性が発揮される。
通常、α型DNAポリメラーゼは3’→ 5’エキソヌクレアーゼ活性のため、核酸増幅速度はPolI型酵素と比較して低い傾向がある。しかし、KOD DNA Polymeraseはα型DNAポリメラーゼでありながらDNA合成活性が高く100塩基/秒以上のDNA合成速度を有し伸長効率が優れている。従って、本発明の実施にはα型DNAポリメラーゼの中でも、KOD DNA Polymerase(東洋紡製、商標)を用いることが好ましい。
さらに、α型DNAポリメラーゼを変異させて100塩基/秒以上のデオキシリボ核酸合成速度を達成させた変異型、あるいは、野生型および/または変異型の組み合わせにより当該性能を達成させたDNAポリメラーゼ組成物も、本発明の実施に適したDNAポリメラーゼとして用いることができる。
例えば、上記KOD DNA Polymerase以外に100塩基/秒以上のデオキシリボ核酸合成速度を有するDNAポリメラーゼとして、「KOD FX(東洋紡製、商標)」、「KOD −Plus−(東洋紡製、商標)」、「KOD Dash(東洋紡製、商標)」、PrimeSTAR HS DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製、商標)なども利用できる。
なかでも、高い正確性とDNA合成活性とをあわせ持つKOD −Plus−が望ましい。
前記ポリメラーゼを用いることで、従来よりも短時間でPCRを行うことが可能になる。通常のTaqポリメラーゼではデオキシリボ核酸合成速度は60塩基/秒程度であると言われているが、KOD DNA Polymeraseなどは100塩基/秒を越えるデオキシリボ核酸合成速度を持つため、伸長時間を通常の半分に縮めることができる。
また、例えばLightCycler(ロシュダイアグノスティクス社製)やGENECUBE(東洋紡製)など、細いキャピラリー状の反応容器を用いて核酸増幅反応を行わせる核酸増幅装置を併用することで、さらにPCRを高速化することが可能である。これらの技術を利用することで、本発明の実施例が示すように1時間以内のPCRが可能となる。ただし、その場合でも酵素や装置が揃っていればあらゆるプライマー、プローブでPCRや増幅核酸検出反応の高速化が可能になるのではなく、いくつものプライマー、プローブの組合せを試行し、高速化に最適な組合せを決定することが必要である。
[核酸増幅産物とプローブとの複合体形成]
本発明のノロウイルスDNA検出方法においては、工程(1)によって得られた核酸増幅産物と、該核酸増幅産物の一部と複合体を形成せしめるように設計された核酸プローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる。
核酸増幅産物を含む試料に核酸プローブを添加するタイミングは、特に制限されず、例えば、前述の核酸増幅反応前、核酸増幅反応途中および核酸増幅反応後のいずれに、増幅反応の反応系に添加してもよい。
中でも、増幅反応と、後述の検出反応とを連続的に行うことができるため、増幅反応前に添加することが好ましい。このように核酸増幅反応の前に前記プローブを添加する場合は、例えば、後述のように、その3’末端に、蛍光色素を付加したり、リン酸基を付加したりすることが好ましい。
前記プローブは、核酸増幅産物を含む液体試料に添加してもよいし、溶媒中で核酸増幅産物と混合してもよい。前記溶媒としては、特に制限されず、例えば、Tris−HCl等の緩衝液、KCl、MgCl、MgSO、グリセロール等を含む溶媒、PCR反応液等、従来公知のものがあげられる。
[核酸増幅産物とプローブとの複合体の検出]
前記方法の(3)で示される工程において、得られた複合体を検出する方法は特に限定されない。例えば、前記(3´)のように融解曲線分析による方法が挙げられる。
融解曲線分析の場合は、例えば、以下のように行う。
二本鎖DNAを含む溶液を加熱していくと、260nmにおける吸光度が上昇する。これは、二本鎖DNAにおける両鎖間の水素結合が加熱によってほどけ、一本鎖DNAに解離(DNAの融解)することが原因である。そして、全ての二本鎖DNAが解離して一本鎖DNAになると、その吸光度は、加熱開始時の吸光度(二本鎖DNAのみの吸光度)の約1.5倍程度を示し、これによって融解が完了したと判断できる。
本発明において、融解曲線分析を行うための温度変化に伴うシグナル変動の測定は、前述のような原理から、260nmの吸光度測定により行うこともできるが、本発明のプローブに付加した標識のシグナルを測定することが好ましい。このため、本発明のノロウイルスGII群の検出方法に用いるプローブとしては、標識化プローブを使用することが好ましい。
標識化プローブとしては、例えば、単独でシグナルを示し且つハイブリッド形成によりシグナルを示さない標識化プローブ、または、単独でシグナルを示さず且つハイブリッド形成によりシグナルを示す標識化プローブがあげられる。前者のプローブであれば、検出対象配列とハイブリッド(二本鎖)を形成している際にはシグナルを示さず、加熱によりプローブが遊離するとシグナルを示す。また、後者のプローブであれば、検出対象配列とハイブリッド(二本鎖)を形成することによってシグナルを示し、加熱によりプローブが遊離するとシグナルが減少(消失)する。したがって、この標識によるシグナルをシグナル特有の条件(吸光度等)で検出することによって、前記260nmの吸光度測定と同様に、融解の進行を把握することができる。
標識化プローブの具体例として、例えば、蛍光色素で標識され、単独で蛍光を示し且つハイブリッド形成により蛍光が減少(例えば、消光)するプローブが好ましい。このような現象は、一般に、蛍光消光現象と呼ばれる。この蛍光消光現象を利用したプローブとしては、中でも、一般的にグアニン消光プローブとよばれるものが好ましい。このようなプローブは、いわゆるQProbe(登録商標)として知られている。グアニン消光プローブとは、例えば、オリゴヌクレオチドの3’末端もしくは5’末端の塩基がシトシンとなるように設計し、その末端の塩基シトシンが相補的な塩基グアニンに近づくと発光が弱くなる蛍光色素で前記末端を標識化したプローブである。本発明のプローブにおいては、例えば、蛍光消光現象を示す蛍光色素を、前記オリゴヌクレオチドの3’末端のシトシンに結合させてもよいし、前記オリゴヌクレオチドの5’末端をシトシンに設計し、これに結合させてもよい。
本発明のノロウイルスGII群の検出方法に用いるプローブは、例えば、3’末端にリン酸基が付加されてもよい。後述するように、遺伝子の有無を検出する被検核酸(標的核酸)は、PCR等の核酸増幅法によって調製することができ、この際、本発明のプローブを核酸増幅反応の反応系に共存させることができる。このような場合、プローブの3’末端にリン酸基を付加させておけば、プローブ自体が核酸増幅反応によって伸長することを十分に防止できる。また、3’末端に前述のような標識物質を付加することによっても、同様の効果が得られる。
得られたPCR増幅産物の解離、および、解離により得られた一本鎖DNAと前記標識化プローブとのハイブリダイズは、例えば、前記反応液の温度変化によって行うことができる。
前記解離工程における加熱温度は、前記増幅産物が解離できる温度であれば特に制限されないが、例えば、85〜98℃である。加熱時間も特に制限されないが、通常、1秒〜10分であり、好ましくは1秒〜5分である。
また、解離した一本鎖DNAと前記標識化プローブとのハイブリダイズは、例えば、前記解離工程の後、前記解離工程における加熱温度を降下させることによって行うことができる。温度条件としては、例えば、35〜50℃である。
ハイブリダイズ工程の反応系(反応系)における各組成の体積や濃度は、特に制限されない。具体例としては、前記反応系において、DNAの濃度は、例えば、0.01〜100μmol/Lであり、好ましくは0.1〜10μmol/L、前記標識化プローブの濃度は、例えば、前記DNAに対する添加割合を満たす範囲が好ましく、例えば、0.01〜100μmol/Lであり、好ましくは0.01〜10μmol/Lである。
そして、前記反応液の温度を変化させ、前記増幅産物と前記標識化プローブとのハイブリッド形成体の融解状態を示すシグナル値を測定する。具体的には、例えば、前記反応液(前記一本鎖DNAと前記標識化プローブとのハイブリッド形成体)を加熱し、温度上昇に伴うシグナル値の変動を測定する。前述のように、末端のC塩基が標識化されたプローブ(グアニン消光プローブ)を使用した場合、一本鎖DNAとハイブリダイズした状態では、蛍光が減少(または消光)し、解離した状態では、蛍光を発する。したがって、例えば、蛍光が減少(または消光)しているハイブリッド形成体を徐々に加熱し、温度上昇に伴う蛍光強度の増加を測定すればよい。
蛍光強度の変動を測定する際の温度範囲は、特に制限されないが、例えば、開始温度が室温〜85℃であり、好ましくは25〜70℃であり、終了温度は、例えば、40〜105℃である。また、温度の上昇速度は、特に制限されないが、例えば、0.05〜20℃/秒であり、好ましくは0.08〜5℃/秒である。
被検核酸の有無の決定は、例えば、ハイブリッド形成時におけるシグナル変動を測定することによって行いうる。すなわち、前記プローブを含む反応液の温度を降下させてハイブリッド形成体を形成する際に、前記温度降下に伴うシグナル変動を測定する。
具体例として、単独でシグナルを示し且つハイブリッド形成によりシグナルを示さない標識化プローブ(例えば、グアニン消光プローブ)を使用した場合、一本鎖DNAとプローブとが解離している状態では蛍光を発しているが、温度の降下によりハイブリッドを形成すると、前記蛍光が減少(または消光)する。したがって、例えば、前記反応液の温度を徐々に降下させて、温度下降に伴う蛍光強度の減少を測定すればよい。他方、単独でシグナルを示さず且つハイブリッド形成によりシグナルを示す標識化プローブを使用した場合、一本鎖DNAとプローブとが解離している状態では蛍光を発していないが、温度の降下によりハイブリッドを形成すると、蛍光を発するようになる。したがって、例えば、前記反応液の温度を徐々に降下させて、温度下降に伴う蛍光強度の増加を測定すればよい。
また、本発明においては、目的の塩基部位における遺伝子型の決定のために、前記シグナルの変動を解析してTm(melting temperature)値として決定してもよい。
[プライマー、プローブ、検出キット]
本発明はまた、上記で説明したノロウイルスのGII群を検出するための方法において用いるプライマーセット、プローブ、または、該プライマーセットと該プローブとを組合せたセットに関する。
本発明はまた、ノロウイルスGII群検出キットに関する。本発明のキットは、前記核酸プライマーセットを含み、前記ノロウイルスGII群検出方法に用いることが出来る。該キットは、さらに前記核酸プローブを含み、そのほかに、核酸増幅反応および/または核酸増幅産物検出反応に必要な試薬を適宜含むことが好ましい。また、該キットはさらにRNAの逆転写反応に必要な試薬を含むことも制限されない。逆転写反応に必要な試薬としては例えば逆転写酵素やRNA分解酵素抑制剤などが挙げられる。
本明細書で用いられるDNA合成酵素の活性測定方法について、以下に記す。
[DNA合成活性]
本発明において、DNA合成活性とは鋳型DNAにアニールされたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの3’−ヒドロキシル基にデオキシリボヌクレオシド5’−トリホスフェートのα−ホスフェートを共有結合せしめることにより、デオキシリボ核酸にデオキシリボヌクレオシド5’−モノホスフェートを鋳型依存的に導入する反応を触媒する活性をいう。
その活性測定法は、酵素活性が高い場合には、保存緩衝液でサンプルを希釈して測定を行う。本発明では、下記A液25μl、B液およびC液各5μlおよび滅菌水10μlをエッペンドルフチューブに加えて攪拌混合した後、上記酵素液5μlを加えて75℃で10分間反応する。その後、氷冷し、E液50μl、D液100μlを加えて、攪拌後、さらに10分間氷冷する。この液をガラスフィルター(ワットマンGF/Cフィルター)で濾過し、D液及びエタノールで充分洗浄し、フィルターの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード社製)で計測し、鋳型DNAへのヌクレオチドの取り込みを測定する。酵素活性の1単位はこの条件下で30分あたり10nモルのヌクレオチドを酸不溶性画分に取り込む酵素量とする。
A: 40mM Tris−HCl(pH7.5)
16mM 塩化マグネシウム
15mM ジチオスレイトール
100μg/ml BSA
B: 2μg/μl 活性化仔牛胸腺DNA
C: 1.5mM dNTP(250cpm/pmol〔3H〕dTTP)
D: 20% トリクロロ酢酸(2mMピロリン酸ナトリウム)
E: 1μg/μl キャリアーDNA
[3’−5’エキソヌクレアーゼ活性]
本発明において、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性とは、DNAの3’末端領域を切除し、5’−モノヌクレオチドを遊離する活性をいう。
その活性測定法は、50μlの反応液(120mM Tris−HCl(pH8.8 at 25℃), 10mM KCl, 6mM 硫酸アンモニウム,1mM MgCl, 0.1% Triton X−100, 0.001% BSA,5 μg トリチウムラベルされた大腸菌DNA)を1.5mlのエッペンドルフチューブに分注し、DNAポリメラーゼを加える。75℃で10分間反応させた後、氷冷によって反応を停止し、次にキャリアーとして、0.1%のBSAを50μl加え、さらに10%のトリクロロ酢酸、2%ピロリン酸ナトリウム溶液を100μl加え混合する。氷上で15分放置した後、12,000回転で10分間遠心し沈殿を分離する。上清100μlの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード社製)で計測し、酸可溶性画分に遊離したヌクレオチド量を測定する。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
〔実施例1:本発明核酸プライマーの有用性確認〕
(1)試料の調製
GII群であることが分かっているノロウイルスのRNAから配列番号6の核酸プライマーと配列番号7の核酸プライマーとを各5pmolずつ混合した核酸プライマーセットと、ReverTra Ace qPCR RT Kit(東洋紡製)の5xRT BufferおよびRT Enzyme Mixを用い、37℃で15分間逆転写反応させcDNAを合成した。反応後98℃で5分間過熱し逆転写酵素を失活させた。合成したcDNAを10mMのトリス緩衝液を用いて約100コピー/μlに濃度調製し、試料とした。
(2)核酸増幅および融解曲線分析
上記試料にそれぞれ下記試薬を添加して、下記条件により核酸増幅および融解曲線分析を行い核酸プローブと核酸増幅産物との複合体を検出した。分析には東洋紡社製GENECUBE(登録商標)を用いた。
[核酸増幅用試薬]
以下の試薬を含む溶液を調製した。核酸プライマーセットの組合せは表1に掲載したとおりである。(表1において、プライマー列、プローブ列の数字は、配列番号を示す。)
100μMフォワードプライマー(配列番号3〜5のうちいずれか一つ)0.25μl
10μMリバースプライマー(配列番号6〜8のうちいずれか一つ)0.5μl
10μM核酸プローブ(配列番号13、3’末端をBODIPY−FL標識)0.3μl
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
精製水 1.95μl
試料 1μl
[核酸増幅および融解曲線分析]
94℃・30秒
(以上1サイクル)
97℃・1秒
55℃・5秒
63℃・5秒
(以上50サイクル)
94℃・30秒
39℃・30秒
39℃〜75℃(0.09℃/秒で温度上昇)
[結果]
図1は、表1の組合せNo.1および2で表される核酸プライマーセットと、配列番号13からなる塩基配列を有する核酸プローブとを用いて、核酸増幅を行い、その後の温度上昇にともなう蛍光強度の変化を、グラフの横軸を温度、縦軸を蛍光シグナルの微分値として解析結果を表した図である。本実施例で用いた核酸プローブは消光プローブであり、核酸増幅産物と共に39℃に置くことによって増幅された標的核酸と結合し消光する。その後、徐々に温度を上げることで核酸プローブは標的核酸から遊離し、蛍光を発する。従って、徐々に温度を上げる過程で蛍光変化量が正に変化すれば、それは即ち標的核酸と結合していた核酸プローブが遊離したことを示している。
図1では両方の組合せからピークが認められる。従って、No.1および2の組合せの核酸プライマーはノロウイルスRNAから逆転写されたcDNAを核酸増幅することが可能であり、また、配列番号13で示される塩基配列を有する核酸プローブは、該cDNAを検出可能であることが示された。
さらに、核酸増幅反応が開始されてから融解曲線分析が行われ標的核酸の存在が検知されるまでの所要時間は約45分間だった。
図2は核酸プライマーを表1に記載の組合せNo.3〜5にそれぞれ変更して核酸増幅および融解曲線分析を行った結果である。いずれも蛍光微分値のピークが確認でき、GII群のノロウイルス由来のcDNAが増幅され検出されていることが示された
以上から、本発明の核酸プライマーはノロウイルスGII群のRNAから逆転写されたcDNAの一部領域を核酸増幅可能であり、本発明の核酸プローブは該核酸増幅産物を検出できることが示された。また、本発明で用いられる核酸プライマーセットは1種類に限定されず、幅広い核酸プライマーの組合せが可能であることが示された。また、本発明の検出方法のうち工程(2)〜(4)は1時間以内に完了できることが示された。
[比較例1:本発明の方法の迅速性検証]
ここでは本発明の方法と先行文献(特許文献2)の方法とを比較し、本発明が先行文献の方法と比較して短時間で実施できることを確認した。本発明と先行文献の方法とは、使用するDNAポリメラーゼおよび核酸プローブが異なり、本発明はKOD DNA PolymeraseとQProbeを、先行文献の方法はTaq PolymeraseとTaqMan Probe(登録商標)を用いている。そのため、本比較例では表2に示す4通りの組み合わせで実験を行った。なお、Taq PolymeraseとしてはrTaq Polymerase(東洋紡製)を使用した。
(1)試料の調製
GII群であることが分かっているノロウイルスのRNAからReverTra Ace qPCR RT Kit(東洋紡製)の5xRT Buffer、RT Enzyme Mix、Primer Mix(ランダムプライマーとオリゴ(dT)プライマーの混合物)を用い、37℃で15分間逆転写反応させcDNAを合成した。反応後98℃で5分間過熱し逆転写酵素を失活させた。合成されたcDNAを、10mMのトリス緩衝液を用いて約1000コピー/μlに濃度調製し、試料とした。
(2)核酸増幅
核酸増幅は以下の2通りの方法で実施した。
(2−1)通常PCR・融解曲線分析
通常PCRおよび融解曲線分析は下記の条件で行った。分析にはRotor−Gene Q(QIAGEN社)を使用した。
95℃・3分
(以上1サイクル)
95℃・10秒
55℃・30秒(GreenおよびYellowの蛍光を取得)
72℃・30秒
(以上55サイクル)
94℃・30秒
40℃に冷却
40℃〜80℃(1℃ずつ上昇、1℃上昇ごとに5秒保持、Green蛍光を取得)
(2−2)高速PCR・融解曲線分析
高速PCRおよび融解曲線分析は下記の条件で行った。分析にはLightCycler2.0(Roche社)を使用した。
95℃・1分
(以上1サイクル)
97℃・2秒
55℃・5秒
68℃・5秒
(以上60サイクル)
94℃・60秒
40℃・60秒
40℃〜80℃(0.4℃/秒で連続的に温度上昇)
[核酸増幅用試薬]
以下の試薬を含む溶液を調製した。ここで使用した核酸プライマーである配列番号17および18は、特許文献2および非特許文献に記載されている核酸プライマーである。また、組み合わせNo.1および2で使用したTaqMan Probeである配列番号19は特許文献2に記載されている核酸プローブである。本比較例で使用したTaqMan Probeは5’末端がTETで標識され、3’末端がTAMRAで標識されたものを用いた。
各試薬はLightCyclerでは下記記載の1倍量、すなわち8μlを使用し、Rotor−Gene Qでは下記記載の2.5倍量、すなわち20μlを使用した。Rotor−Gene Qではさらに精製水3μlを追加した。そして試料であるcDNAはLightCycler、Rotor−Gene Qとも2μl、すなわち約2000コピー相当を添加した。
(組み合わせNo.1用試薬)
10μMフォワードプライマー(配列番号17)0.5μl
10μMリバースプライマー(配列番号18)0.5μl
10μMTaqMan Probe(配列番号19、5´末端をTET標識、3奪取末端をTAMRA標識)0.5μl
rTaq Polymerase(東洋紡製)0.75μl
抗rTaq Polymerase抗体(東洋紡製)0.75μl
25mM 塩化マグネシウム 0.6μl
10×rTaq Buffer(東洋紡製)1.0μl
2mM dNTP(東洋紡製) 1.0μl
精製水 2.4μl
合計 8μl
(組み合わせNo.2用試薬)
100μMフォワードプライマー(配列番号17)0.5μl
10μMリバースプライマー(配列番号18)0.5μl
10μMQProbe(配列番号13、3’末端をBODIPY−FL標識)0.25μl
rTaq Polymerase(東洋紡製)0.75μl
抗rTaq Polymerase抗体(東洋紡製)0.75μl
25mM 塩化マグネシウム 0.6μl
10×rTaq Buffer(東洋紡製)1.0μl
2mM dNTP(東洋紡製) 1.0μl
精製水 2.65μl
合計 8μl
(組み合わせNo.3用試薬)
10μMフォワードプライマー(配列番号17)0.5μl
10μMリバースプライマー(配列番号18)0.5μl
10μMTaqMan Probe(配列番号19、5´末端をTET標識、3奪取末端をTAMRA標識)0.5μl
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
25mM 硫酸マグネシウム(東洋紡製)1.2μl
精製水 2.3μl
合計 8μl
(組み合わせNo.4用試薬)
100μMフォワードプライマー(配列番号17)0.5μl
10μMリバースプライマー(配列番号18)0.5μl
10μMQProbe(配列番号13、3’末端をBODIPY−FL標識)0.25μl
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
25mM 硫酸マグネシウム(東洋紡製)1.2μl
精製水 2.55μl
合計 8μl
[結果]
図3はLightCycler(ロシュ社)にて高速PCR・融解曲線分析を行った結果である。図3より、酵素・プローブ組み合わせNo.4、すなわち3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するKOD DNA PolymeraseとQProbeとの組み合わせで一番明瞭なピークが得られた。融解曲線分析におけるピークは核酸増幅反応産物と核酸プローブとの複合体が存在することを示すものであるため、本ピークは組み合わせNo.4の反応系で、ノロウイルスGIIタイプのcDNAを鋳型とする増幅産物が得られたことを示す。一方、組み合わせNo.2は全くピークが得られず、No.1、3はピークはあるが弱いものであるため、これらの反応系では増幅能または検出能は組み合わせNo.4よりも弱く、高速PCRには不向きであると言える。PCR開始から解析結果を得るまでは1時間以内で完了しており、この方法に適した組み合わせNo.4は、短時間でノロウイルスGII群を測定する方法として適している。
図4はRotor−Gene Q(キアゲン社)にて通常PCR・融解曲線分析を行った結果である。ここでは酵素・プローブ組み合わせNo.3、すなわちKOD DNA PolymeraseとTaqMan Probeを組み合わせた反応系では、不明瞭ながらもcDNA増幅産物検出を示すピークが得られている。一方、No.1では蛍光値の変化は見られるが明確なピークは存在せず、No.2および4、すなわちQProbeを用いた反応系ではピークが見られなかった。図4で示される実験において組み合わせNo.4がノロウイルス由来のDNAをうまく検出できなかった理由としては、核酸伸長反応(72℃・30秒)の条件が理由として挙げられる。Taq Polymeraseの最適伸長反応温度は72℃であり、本実験での通常PCR条件もこれに合わせてある。本実験でのRotor−Gene Q測定は特許文献2の実施例を模したものとして実施するため、PCR条件も当該文献のものと類似とした。一方、KOD Polymeraseは最適温度が68℃前後であるため、本実験のRotor−Gene Q測定では増幅効率が低下し、検出結果が不明瞭になったと考える。
図5は同じくRotor−Gene Qでアニーリング時の蛍光をトレースしたものである。ここではNo.1とNo.2、すなわちTaqMan Probeを使用した反応系では蛍光が観測された。曲線の立ち上がりはNo.2が圧倒的に早い段階で生じていた。しかし、精製水を試料として測定した場合もNo.2は同様の傾向が見られたため、No.2における蛍光は増幅産物とは無関係に観測されたものと考えられる。おそらく、KOD DNA Polymeraseの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性によってTaqMan Probeが鋳型DNAとの結合とは無関係に分解され蛍光物質の発光が生じたことが原因と考えられる。組み合わせNo.1はcDNAを試料とした場合のみ蛍光が観測されたが、曲線の立ち上がりは約40サイクル以降だった。曲線立ち上がりを確認するまでに1時間以上が経過していたため、反応系組み合わせNo.1で通常PCR条件による測定を行った場合でも、1時間以内でノロウイルスGII群の測定を行うことは不可能である。
以上から、先行文献の方法よりも本発明の方法の方が、より迅速にノロウイルスGII群を検出できることが示された。
〔実施例2:本発明核酸プローブの有用性確認〕
(1)試料の調製
(2)核酸増幅および融解曲線分析
いずれも実施例1と同様に行った。
[核酸増幅用試薬]
以下の試薬を含む溶液を調製した。
100μMフォワードプライマー(配列番号4)0.5μl
100μMリバースプライマー(配列番号6)0.1μl
10μM核酸プローブ(配列番号9または14、3’末端をBODIPY−FL標識)0.3μl
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
精製水 2.1μl
試料 1μl
[核酸増幅および融解曲線分析]
実施例1と同様に行った。
[結果]
図6は、フォワードプライマーが配列番号4、リバースプライマーが配列番号6、核酸プローブが配列番号9または14のいずれかである核酸プライマー・プローブの組合せを用いて、核酸増幅を行い、その後の温度上昇にともなう蛍光強度の変化を、グラフの横軸を温度、縦軸を蛍光シグナルの微分値として解析結果を表した図である。図6より明らかなように、いずれの核酸プローブを用いても実施例1と同じくノロウイルスGII群のRNA由来のcDNAを検出することができた。以上から、本発明で使用可能な核酸プローブは1通りの塩基配列ではなく、複数の塩基配列をとりうることが示された。
〔比較例2:先行文献に記載の核酸プライマーとの性能比較〕
(1)試料の調製
GII群であることが分かっているノロウイルスのRNAからReverTra Ace qPCR RT Kit(東洋紡製)の5xRT Buffer、RT Enzyme Mix、Primer Mix(ランダムプライマーとオリゴ(dT)プライマーの混合物)を用い、37℃で15分間逆転写反応させcDNAを合成した。反応後98℃で5分間過熱し逆転写酵素を失活させた。合成されたcDNAを、10mMのトリス緩衝液を用いて約100コピー/μlまたは30コピー/μlに濃度調製し、試料とした。
(2)核酸増幅および融解曲線分析
実施例1と同じ。
[試薬]
以下の試薬を含む溶液(1)および(2)を調製した。なお、核酸プライマーおよび核酸プローブの組合せは表3に示した。(表3において、プライマー列、プローブ列の数字は、配列番号を示す。)
溶液(1)
100μM核酸プライマー(配列番号3または17のいずれか一つ)0.15μl
10μM核酸プライマー(配列番号18)0.25μl
10μM核酸プローブ(配列番号13、3’末端をBODIPY−FL標識)0.3μl
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
cDNA(100コピー/μl) 1μl
精製水 2.3μl
溶液(2)
100μM核酸プライマー(配列番号4または5のいずれか一つ)0.5μl
100μM核酸プライマー(配列番号6または18のいずれか一つ)0.1μl
10μM核酸プローブ(配列番号13、3’末端をBODIPY−FL標識)0.3μl
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
cDNA(30コピー/μl) 1μl
精製水 2.1μl
[核酸増幅および融解曲線分析]
実施例1と同様に行った。
[結果]
図7は、表3の組合せNo.6、7で示される核酸プライマー・プローブの組合せを溶液(1)の組成で用いて、核酸増幅を行い、その後の温度上昇にともなう蛍光強度の変化を、グラフの横軸を温度、縦軸を蛍光シグナルの微分値として解析結果を表した図である。ここで用いた配列番号17のフォワードプライマーおよび配列番号18のリバースプライマーは、特許文献2および非特許文献に記載されている核酸プライマーである。
図7より、配列番号17と18の組合せからなる核酸プライマーセットでは、ノロウイルスGII群由来のcDNAが増幅されていないことが示された。一方で、フォワードプライマーを本発明に記載の核酸プライマーである配列番号3に変更すると、cDNAが増幅されることが示された。
また図8〜9は核酸プライマーを表3に記載の組合せNo.8〜11にそれぞれ変更して、溶液(2)の組成で核酸増幅および融解曲線分析を行った結果である。組合せNo.8では検出ピークが見られず、組合せNo.9でもピークが低めであることから、これらの組合せを構成する核酸プライマーセットは増幅効率で劣ることが示唆された。一方で、組合せNo.10およびNo.11は検出ピークが認められたことから、これらの組合せを構成する核酸プライマーセットは、No.8およびNo.9の核酸プライマーセットよりも増幅効率に優れることが示唆された。No.8およびNo.9ではリバースプライマーに配列番号18を用いており、No.10およびNo.11ではリバースプライマーに配列番号6を用いていることから、これらの結果の差はリバースプライマーによるものと考えられ、本発明のリバースプライマーはより優れた性能を有することが示唆された。
本発明をノロウイルスGII群の遺伝子検査に利用することで、1時間以内に、なおかつ簡便にノロウイルスGII群を検出し、同時に変異の判別を行うことができる。

Claims (4)

  1. 核酸増幅反応および該増幅反応によって得られた増幅産物を検出することを含むノロウイルスGII群の核酸を検出する方法であって、以下の工程(1)〜(4)を全て含み、工程(2)〜(4)が1時間以内で完了し、かつ、工程(2)以降は反応系を開放することなく行われることを特徴とする、ノロウイルスGII群の核酸を検出する方法。
    (1)ノロウイルスのII群を含む試料から、ノロウイルスGII群のRNAに対して逆転写反応を行い、ノロウイルスGII群由来のDNAを得る工程
    (2)(1)によって得られたDNAに対して、フォワードプライマーが配列番号3〜5のいずれかで示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから選ばれ、かつ、リバースプライマーが配列番号6〜8のいずれかで示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから選ばれる少なくとも1対の核酸プライマーセットを含む核酸プライマー群、1種類の核酸プローブ、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼ、を含む反応系で、合計反応時間が50分間以内となるようPCRを行い、増幅産物を得る工程
    (3)工程(2)で得られた核酸増幅産物と、配列番号9〜12のいずれかで示される塩基配列からなり、かつ、グアニン消光プローブである核酸プローブとの複合体を形成せしめる工程
    (4)工程(3)で得られた複合体を検出する工程
  2. 請求項1に記載の方法であって、工程(3)において使用される1種類の核酸プローブが、少なくともいずれか一方の末端の核酸がシトシンであり、該シトシンが蛍光標識されており、該標識蛍光は当該核酸プローブが鋳型となる核酸と結合している場合は消光し、当該核酸プローブが他の核酸と結合せず遊離している場合に発光するという性質を有する、ことを特徴とする核酸プローブを用いる、ノロウイルスGII群の核酸を検出する方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法において、工程(4)が以下の(4’)である方法。
    (4’)工程(3)で得られた複合体を含む反応系の温度を段階的に上昇させて融解曲線分析を行い、複合体を形成していた核酸増幅産物と核酸プローブの解離の有無を検知する工程
  4. フォワードプライマーが配列番号3〜5のいずれかで示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから選ばれ、かつ、リバースプライマーが配列番号6〜8のいずれかで示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドから選ばれる核酸プライマーセット
    配列番号9〜12のいずれかで示される塩基配列からなり、かつ、グアニン消光プローブである核酸プローブ
    3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼとを含む、
    ノロウイルスのGII群を検出するためのキット。
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