以下、本発明に係る基板処理装置の実施形態について図面を参照して説明する。図1乃至図39において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1(a)乃至図1(c)は、本発明の基板処理装置の概要を示す模式図である。基板Wの片面には図示しない処理ヘッドの荷重が加わっており、その反対側の面に対向して静圧支持機構90が配置されている。液体または気体からなる圧力流体1を導入するための流体供給路92が支持ステージ91に設けられている。図1(a)に示す例では、流体供給路92は、圧力流体1を保持するポケット(凹部)91bに連結されている。基板Wに印加された荷重は、ポケット91bの中の圧力流体と、ポケット91bから支持ステージ91の支持面91aにオーバーフローした圧力流体によって受けられる。
図1(b)の例では、上記ポケット91bは設けられていない。この例では、流体供給路92から導入された圧力流体1は支持ステージ91の支持面91aの全体に広がり、基板Wに印加された荷重を受ける。図1(c)の例では、支持ステージ91の支持面91aには、多数の通孔91cが形成されており、これらの通孔91cを通じて圧力流体1が流体供給路92から支持ステージ91の支持面91aの全体に供給される。このような静圧支持機構90を用いれば、基板Wに印加された荷重は圧力流体1を介して静圧支持機構90によって受けることができる。基板Wの下面に製造途中の微細LSI構造がある場合であっても、下面には圧力流体しか触れないので、基板保持用の構造物が基板Wに直接触れることがない。したがって、LSI構造へのダメージのない処理が可能となる。流体供給路92から導入する圧力流体1は、水、油などの液体のほか、高圧空気などの気体が使用可能である。LSI製造工程の場合には、基板汚染防止の観点から超純水や清浄な高圧空気などを用いることが望ましい。
上記静圧支持機構90を用いて基板の表面処理を行う工程を、図2の工程フローを用いて説明する。まず搬送ロボットにより被処理基板を支持ステージ91に搬送する。基板の片面に製造途中の微細LSI構造がある場合には、その面を搬送ロボットで触れないことが望ましい。例えば、基板の周縁部を搬送ロボットのハンドで掴む、または微細構造のない基板面を真空チャックなどを利用したハンドで保持する。続いて支持ステージ91上で基板を搬送ロボットのハンドから解放し、被処理面と反対側の面を静圧支持機構90により支持する。支持ステージ91に基板を置いてから、支持ステージ91に圧力流体を導入するまでの間、基板を保持するために補助的な保持機構を設けても差し支えない。例えば、基板の周縁部を把握するチャックなどが好適である。
続いて被処理面から異物や傷などを除去する表面処理を行う。被処理面に処理ヘッドを摺接させ、処理ヘッドを介して荷重を被処理面に印加する。処理ヘッドの基板接触面は、スポンジ、不織布、発泡ポリウレタンなどの軟質材料や、砥粒を含有するこれらの材料、または研磨テープなどから構成することができる。使用される軟質材料は、基板の被処理面を構成する材料よりも軟質であることが望ましい。基板の被処理面を構成する材料としては、シリコン、シリコン化合物、ガリウム、ガリウム化合物、金属、金属化合物、および有機化合物が挙げられる。上記砥粒は、二酸化珪素、炭化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム、ダイヤモンドのいずれか1種またはその混合物である。
処理ヘッドを基板の被処理面に摺接して上記表面処理(除去処理)を行う際に、研磨液や純水などの処理液を被処理面に供給することが望ましい。除去された異物や膜片などの屑や処理時の反応生成物が、処理液によって基板外に排出可能となる。処理液は、基板の被処理面を構成する膜を溶解させる作用をもつ成分、該膜や反応生成物を除去するための砥粒、除去した異物や反応生成物の再付着を防止する成分を含有してもよい。処理液は、中性もしくはアルカリ性であってもよく、または酸性であってもよい。処理ヘッドの大きさや数に特に限定はないが、静圧支持機構90で基板を確実に支持するためには、処理ヘッドの大きさは、静圧支持機構90がその流体圧力を保持できる領域と同じ程度であることが望ましい。表面処理中は、基板をその軸心周りに回転させてもよい。
表面処理後には、除去した異物や反応生成物などの屑を確実に基板外に排出するために、基板の洗浄を行う。基板の洗浄は、処理装置内の別のステージで行なってもよいが、屑の拡散を防止するためには、同じ支持ステージ91で基板を洗浄することが望ましい。支持ステージ91で基板洗浄を行う場合には、表面処理の場合と同様に静圧支持機構90を用いて被処理面の反対側の面を流体圧により非接触に支持する。処理ヘッドは用いず、洗浄液を被処理面に供給する。同時に、二流体ジェット洗浄、メガソニック洗浄などの手法を併用すれば、単に洗浄液で基板をリンスするよりも良好な洗浄結果が得られる。洗浄手法としては、ブラシやスポンジ等を基板に擦り付けて洗浄を行う接触式洗浄よりも、上述のような二流体ジェット洗浄等のような非接触式洗浄のほうが望ましい。接触式洗浄の場合は、ブラシやスポンジ等の洗浄具が基板に直接触れるため、洗浄具からの逆汚染が発生するからである。洗浄液として純水を用いても良いが、除去した異物や反応生成物などの屑の再付着を防ぐために界面活性剤を洗浄液に添加したり、洗浄液のpHを制御したりすると、洗浄性能がより向上する。
続いて、基板の乾燥を実施する。除去屑やミスト(洗浄液、研磨液など)の拡散を防止するためには、基板を他の処理ステージに移動させずに基板の乾燥を実施することが好ましい。乾燥方法としては、基板を高速回転させて遠心力で洗浄液を基板から除去する、清浄な気体を基板面に供給して洗浄液やその液滴を基板から除去する、低蒸気圧溶媒を基板面に供給して洗浄液と置換させた後に低蒸気圧溶媒を蒸発させる、といった方法が挙げられる。最後に、乾燥処理が完了した基板を搬送ロボットによって基板処理装置から搬出する。搬送ロボットのハンドの構造は、上述のとおりである。
(1)実施例1
静圧支持機構90を備えた基板処理装置のより具体的な例について図3(a)および図3(b)を用いて説明する。図3(a)は静圧支持機構90を基板Wの下方に配置した基板処理装置の概念図である。静圧支持機構90には圧力流体1の流体供給路92が設けられ、圧力流体1が供給配管(図示せず)を経由して流体供給路92に供給されている。基板処理の際には、静圧支持機構90の支持ステージ91が基板Wに向かって上昇し、基板処理が終了すれば支持ステージ91は下降する。あるいは、基板Wの昇降機構を設けても良い。図3(a)に示す静圧支持機構90は、図1(a)に示す構造を有しているが、図1(b)または図1(c)に示す構造、あるいは別の構造であっても差し支えない。
静圧支持機構90と反対側の基板面に対向して、処理ヘッド50が設けられている。処理ヘッド50は、基板Wの表面処理をするためのスポンジ、不織布、発泡ポリウレタンなどの軟質材料または研磨テープなどからなるスクラブ部材61と、スクラブ部材61を保持するホルダー59を備えている。ホルダー59はなくても構わない。処理ヘッド50は支持体(図示せず)によって支持されており、自転、公転、揺動、上下動などの動作ができるようになっている。さらに処理ヘッド50は支持体を介して印加される荷重によって、スクラブ部材61を基板Wに当接させることができる。スクラブ部材61を用いた表面処理は、基板Wの表面を僅かに削り取ることにより、基板Wの表面から異物を除去し、および/または基板Wの表面を構成する材料の少なくとも一部を除去する処理である。以下の説明では、スクラブ部材61を用いた基板の表面処理を、適宜、スクラブ(擦り洗い)処理という。
スクラブ処理を行うときは、処理液供給管4から処理液を供給する。処理液は図2の説明で記載した研磨液または純水などである。さらに基板Wの洗浄のために、洗浄液供給管5から洗浄液を基板Wに供給する。洗浄液供給管5の先端に二流体ジェットノズルやメガソニック洗浄ノズルなどを配しても良い。あるいは、これらのノズルを別に設けても構わない。洗浄液供給管5から供給される洗浄液としては、純水、界面活性剤添加液、pHを制御した洗浄液などを用いる。洗浄液は一種類であっても良いが、二種類以上を順次供給したり併用したりしても構わない。処理液供給管4と洗浄液供給管5は、同一の管であっても差し支えない。
基板を高速回転によって乾燥できるように、基板の周縁部を保持できるチャック11が設けられる。低蒸気圧溶媒や気体を基板上に供給する場合には、溶媒や気体の供給管(図示せず)を設けても良い。図3(a)の例では、スクラブ処理、洗浄処理、乾燥処理を同一のステージで行う例を示したが、これらの処理は別々のステージで行っても良い。さらにこれらステージと基板のロードアンロード部との間で基板の搬送を行うロボットを配置することが望ましい。
この基板処理装置には隔壁6と排気機構8が設けられており、隔壁6の内部に処理室7が形成される。隔壁6の上部には、クリーンエア取入口6aが形成されており、隔壁6の下部には排気ダクト9が設けられている。排気機構8は隔壁6の上部に設置されており、清浄な空気をクリーンエア取入口6aを通じて処理室7に送り込み、処理室7内の気体を排気ダクト9から排出させる。上述した基板の各処理(スクラブ処理、洗浄、乾燥)は、この処理室7内で実施され、処理中に発生する屑、洗浄ミストなどの副生成物の装置外への拡散が防止されている。このように、基板の洗浄および乾燥を、スクラブ処理を行う同一の処理室7内で実施することにより、基板面表面をより清浄な状態で乾燥させて装置外に搬出することができる。すなわち、従来装置では、洗浄および乾燥を同一装置内で実施することができなかったために、当該装置をクリーンルームなどの清浄な環境に設置することは不可能であったが、本発明の基板処理装置はクリーンルームに設置しても、除去屑などを装置外に拡散する懸念はないため、LSI製造装置として十分に使用可能である。
(2)実施例2
図3(b)は静圧支持機構90を基板Wの上方に配置した基板処理装置の概念図である。基板処理装置の基本機能は図3(a)に示した例と同じである。
(3)実施例3
本発明の基板処理装置を用いて基板の表面処理を行う方法の実施例を説明する。基板、たとえばLSI製造途中の基板の片面を静圧支持機構90に向け、反対側の面を処理ヘッド50に向けて、本発明の基板処理装置に配置する。基板の周縁部をチャック11で保持し、デバイス面を静圧支持機構90で支持しながら、基板を回転させる。この状態で、基板の裏面(デバイスが形成されていない面)に処理ヘッド50を押し当てて裏面の傷やパーティクルなどの除去を行う。この際、チャック11での基板保持は処理中ずっと行わなくてもよい。
スクラブ処理の際には、基板裏面に純水、界面活性剤水溶液、アルカリ性または酸性の洗浄液を基板裏面に供給する。洗浄液は処理ヘッド50が基板に当接していないときに基板裏面に供給しても差し支えない。なお静圧支持機構90は基板のデバイス面に向いているため、静圧支持機構90から供給される圧力流体としては液体よりも気体であることが望ましい。液体の場合はデバイスの製造途中の微細パターンの腐食を引き起こすおそれがあるからである。また液体に触れたデバイス面を乾燥させる際、ウォーターマークの形成や微細パターンの変形などの欠陥を発生させる懸念もある。
スクラブ処理が終わった後、二流体ジェット洗浄などによる非接触洗浄を行い、屑を基板外に除去する。二流体ジェットノズル(図示せず)は、基板面の全ての領域に流体を噴射するよう、回転する基板の中心と外周の間を移動しながら洗浄を行う。二流体ジェット洗浄では純水などの液体と高圧気体との混合流体を噴出させて基板を洗浄する。純水の替わりに炭酸ガス溶解水や、その他の洗浄液を用いても構わない。高圧気体には微細パーティクルを極力含まない清浄な気体を用いる。使用する気体としては、大気、窒素など安全上問題ない気体であれば種類を問わない。二流体ジェット洗浄で用いる液体の流量は、数mL/minから数100mL/minが好適であり、気体の流量は数10L/minから数100L/minが好適である。洗浄処理の後は、基板の周縁部に接触するチャック11で基板を保持して高速回転させながら基板を乾燥させる。スピン乾燥に代えて、またはスピン乾燥に加えて、イソプロピルアルコールなどの低蒸気圧溶媒によって基板上の液体を置換させて乾燥させても良い。
処理対象となる基板としては、デバイスウェハやガラス基板が挙げられる。本発明によれば、基板を流体圧により支持することができるので、基板を撓ませることなく該基板を処理することができる。したがって、様々なサイズの基板を処理することができる。例えば、直径100mm、150mm、200mm、300mm、450mmのウェハを処理することが可能である。また、サイズの大きなガラス基板を処理することも可能である。
次に、上述した基板処理装置のより具体的な例について説明する。図4は、基板処理装置の一実施形態を示す側面図である。図4に示すように、基板処理装置は、ウェハ(基板)Wを水平に保持し、その軸心を中心として回転させる中空状の基板回転機構10と、この基板回転機構10に保持されたウェハWの上面をスクラブ(擦り洗い)してウェハWの上面から異物や傷を除去するスクラバー(処理ヘッド)50と、ウェハWの下面を流体圧により非接触で支持する静圧支持機構90とを備えている。スクラバー50は、基板回転機構10に保持されているウェハWの上方に配置されており、静圧支持機構90は基板回転機構10に保持されているウェハWの下方に配置されている。さらに、静圧支持機構90は、基板回転機構10の内側空間内に配置されている。これら、基板回転機構10、スクラバー50、および静圧支持機構90は、隔壁6によって囲まれている。隔壁6の内部空間は処理室7を構成している。隔壁6の上部には、クリーンエア取入口6aが形成されており、隔壁6の下部には排気ダクト9が形成されている。排気機構8は隔壁6の上面に設置されている。この排気機構8は、ファン8Aと、このファン8Aから送られた空気中のパーティクルや粉塵を除去するフィルター8Bとを備えている。排気機構8は、清浄な空気をクリーンエア取入口6aを通じて処理室7に送り込み、処理室7内の気体を排気ダクト9から排出させる。以下に説明する基板の表面処理(スクラブ処理)、洗浄、乾燥は、この処理室7内で連続して実施される。
基板回転機構10は、ウェハWの周縁部を把持する複数のチャック11と、これらチャック11を介してウェハWを回転させる中空モータ12とを備えている。基板回転機構10は、全体として円筒形状を有しており、その中央部には空間が形成されている。ウェハWの下面に大きな空間がない場合、ウェハWを高速で回転させたときに、ウェハWの下方で負圧が発生することがある。この負圧は空気中に浮遊する塵埃を引き寄せてしまい、これら塵埃がウェハWの下面に付着することがある。本実施形態では、中空モータ12が採用されているので、円筒形状を有する基板回転機構10を構成することができる。したがって、ウェハWの下方に大きな空間を形成することができ、上述のような問題の発生を防ぐことができる。さらに、基板回転機構10の内側の空間に、上述した静圧支持機構90を配置することができる。
図5は、基板回転機構10の詳細な構造を示す断面図である。図5に示すように、中空モータ12は、その中央部に空間が形成された形状を有している。中空モータ12は、円筒形の回転子12Aと、この回転子12Aを囲むように配置された固定子12Bとを備えている。回転子12Aの内周面は、ウェハWの直径よりも大きな直径を有している。このような中空モータ12を採用することにより、基板回転機構10はその内側に大きな空間が形成された円筒形状を有することができる。回転子12Aには複数の永久磁石12aが埋設されている。この中空モータ12は、センサレス型IPMモータ(Interior Permanent Magnet Motor)であり、光学式の位置センサは不要である。したがって、中空モータ12を安価に製作できるとともに、液体が中空モータ12内に浸入しても、位置センサの故障に起因する誤動作が生じにくい。
固定子12Bは、円筒形の静止部材14に固定されている。この静止部材14の半径方向内側には、円筒形の回転基台16が配置されている。静止部材14と回転基台16との間には、アンギュラコンタクト玉軸受20,20が配置されており、回転基台16は2つのアンギュラコンタクト玉軸受20,20の組み合わせによって回転自在に支持されている。このアンギュラコンタクト玉軸受20,20は、ラジアル方向の荷重およびアキシャル方向の荷重の両方を受けることができる軸受である。なお、ラジアル方向の荷重およびアキシャル方向の荷重の両方を受けることができれば、他のタイプの軸受を用いてもよい。中空モータ12の固定子12Bは静止部材14に固定されている。中空モータ12の回転子12Aは回転基台16に固定されており、回転子12Aと回転基台16とは一体に回転するようになっている。
回転基台16の上部には、上述したチャック11が上下動自在に配置されている。より具体的には、回転基台16の上部には、半径方向内側に突出した環状の突出部16aが形成されており、この突出部16aに形成された貫通孔にそれぞれチャック11が挿入されている。各チャック11の下部を囲むようにばね18が配置されており、このばね18の上端は突出部16aを下から押圧し、ばね18の下端はチャック11に固定されたばねストッパー11aに接触している。このばね18により各チャック11は下方に付勢されている。チャック11は、中空モータ12により回転基台16と一体に回転するようになっている。
チャック11の外側には、チャック11に保持されたウェハWを囲むように環状の回転カバー25が配置されている。この回転カバー25は回転基台16の上面に固定されており、ウェハWと回転カバー25とは一体に回転するようになっている。図6は、回転カバー25とチャック11を上から見た図である。図6に示すように、回転カバー25はウェハWの全周を囲むように配置されている。回転カバー25の上端の内径は、ウェハWの直径よりもやや大きく設定されている。回転カバー25の上端には、チャック11の外周面に沿った形状を持つ切り欠き25aが各チャック11に対応した位置に形成されている。
図5に示すように、回転カバー25の内周面の縦断面形状は半径方向内側に傾斜している。また、回転カバー25の内周面の縦断面は滑らかな曲線から構成されている。回転カバー25の上端はウェハWに近接しており、回転カバー25の下部には、斜めに延びる液体排出孔25bが形成されている。
図4に示すように、ウェハWの上方には、ウェハWの上面に洗浄液として純水を供給する洗浄液供給ノズル27が配置されている。この洗浄液供給ノズル27は、図示しない洗浄液供給源に接続され、洗浄液供給ノズル27を通じてウェハWの上面に純水が供給されるようになっている。ウェハWに供給された純水は、回転するウェハWから遠心力により振り落とされ、さらに回転カバー25の内周面に捕らえられ、液体排出孔25bに流れ込む。
チャック11の下方には、チャック11を上昇させるリフト機構30が設けられている。このリフト機構30は、チャック11の下方に配置されたリングステージ31と、このリングステージ31を支持する複数のロッド32と、これらロッド32を上昇させるアクチュエータとしてのエアシリンダ33とを備えている。リフト機構30は、回転基台16からは分離しており、リフト機構30は回転しない構成となっている。図7に示すように、エアシリンダ33は、複数のロッド32を介してリングステージ31を上昇させる。リングステージ31の上方向の移動により全てのチャック11が同時に上昇する。エアシリンダ33の動作を停止させると、チャック11に固定されたばね18によりチャック11が下降する。図5は、チャック11が下降位置にある状態を示している。このように、リフト機構30とばね18とにより、チャック11を上下動させる上下動機構が構成される。
図示はしないが、エアシリンダ33に代えて、チャック11をそれぞれ同時に上昇させる複数の電動シリンダを使用してもよい。例えば、4つのチャック11に対して4つの電動シリンダが設けられる。この場合は、リングステージ31は使用されない。ウェハWの回転が停止するときは、各チャック11が各電動シリンダの上方に位置するようにチャック11の停止位置が制御される。これら電動シリンダの動作を同期させるために、共通のドライバーにより電動シリンダの動作が制御される。
チャック11の上端にはウェハWの周縁端を保持するクランプ40がそれぞれ設けられている。これらクランプ40は、チャック11が図5に示す下降位置にあるときは、ウェハWの周縁部に接触して該周縁部を保持し、チャック11が図7に示す上昇位置にあるときには、ウェハWの周縁部から離間して該周縁部をリリースする。
図4に示すように、スクラバー50は、ウェハWの上側に配置されている。スクラバー50はスクラバーシャフト51を介して揺動アーム53の一端に連結されており、揺動アーム53の他端は揺動軸54に固定されている。揺動軸54は軸回転機構55に連結されている。この軸回転機構55により揺動軸54が駆動されると、スクラバー50が図4に示す処理位置とウェハWの半径方向外側にある退避位置との間を移動するようになっている。揺動軸54には、スクラバー50を上下方向に移動させるスクラバー昇降機構56がさらに連結されている。このスクラバー昇降機構56は、揺動軸54およびスクラバーシャフト51を介してスクラバー50を昇降させる。スクラバー50は、スクラバー昇降機構56によりウェハWの上面に接触するまで下降される。スクラバー昇降機構56としては、エアシリンダ、またはサーボモータとボールねじとの組み合わせなどが使用される。
図8は、スクラバー50および揺動アーム53の内部構造を示す図である。図8に示すように、揺動アーム53には、スクラバー50をその軸心を中心として回転させるスクラバー回転機構58が配置されている。このスクラバー回転機構58は、スクラバーシャフト51に固定されたプーリp1と、揺動アーム53に設けられたモータM1と、モータM1の回転軸に固定されたプーリp2と、プーリp1,p2に掛け渡されたベルトb1とを備えている。モータM1の回転は、プーリp1,p2およびベルトb1によりスクラバーシャフト51に伝達され、スクラバーシャフト51とともにスクラバー50が回転する。
図9は、スクラバー50を下方から見た図である。スクラバー50の下面は、基板回転機構10に保持されているウェハWの上面(ウェハWの表面または裏面)をスクラブする円形のスクラブ面を構成する。スクラバー50は、ウェハWの上面に対向して配置された複数のスクラブ部材としての洗浄テープ61を備えている。スクラバー50は、複数の(図9では3つの)テープカートリッジ60を備えており、各テープカートリッジ60に洗浄テープ61が収容されている。これらのテープカートリッジ60は、着脱可能にスクラバー50の内部に設置されている。
ウェハWのスクラブ処理をするときは、スクラバー回転機構58によりスクラバー50がその軸心を中心として回転し、洗浄テープ61がスクラバー50の中心軸周りに回転する。これにより洗浄テープ61がウェハWの上面に摺接される。このように、スクラバー50のスクラブ面は、回転する複数の洗浄テープ61により形成される。ウェハWの下面は、流体圧により支持されているので、ウェハWを撓ませることなく大きな荷重でウェハWの上面に対して洗浄テープ61を押し付けることができる。ウェハWの上面を構成する材料は、洗浄テープ61との摺接により僅かに削り取られ、これにより、ウェハWに付着している異物やウェハWの表面傷を除去することができる。スクラバー50によって削り取られるウェハWの量は50nm以下であることが好ましく、ウェハWのスクラブ処理を行った後の表面粗さは5μm以下であることが好ましい。このように、ウェハWの表面を僅かに削り取ることにより、ウェハWに食い込んでいる100nm以上のサイズの異物を100%除去することができる。
図10は、スクラバー50に備えられたテープカートリッジ60を示す断面図である。図10に示すように、テープカートリッジ60は、洗浄テープ61と、この洗浄テープ61をウェハWに対して押し付ける押圧部材62と、この押圧部材62をウェハに向かって付勢する付勢機構63と、洗浄テープ61を繰り出すテープ繰り出しリール64と、処理に使用された洗浄テープ61を巻き取るテープ巻き取りリール65とを備えている。洗浄テープ61は、テープ繰り出しリール64から、押圧部材62を経由して、テープ巻き取りリール65に送られる。複数の押圧部材62は、スクラバー50の半径方向に沿って延びており、かつスクラバー50の周方向において等間隔に配置されている。したがって、各洗浄テープ61のウェハ接触面(基板接触面)は、スクラバー50の半径方向に延びている。図10に示す例では、付勢機構63としてばねが使用されている。
テープ巻き取りリール65は、図8および図9に示すテープ巻き取り軸67の一端に連結されている。テープ巻き取り軸67の他端には、かさ歯車69が固定されている。複数のテープカートリッジ60に連結されたこれらのかさ歯車69は、モータM2に連結されたかさ歯車70と噛み合っている。したがって、テープカートリッジ60のテープ巻き取りリール65は、モータM2により駆動されて洗浄テープ61を巻き取るようになっている。モータM2、かさ歯車69,70、およびテープ巻き取り軸67は、洗浄テープ61をテープ繰り出しリール64からテープ巻き取りリール65に送るテープ送り機構を構成する。
洗浄テープ61は、10mm〜60mmの幅を有し、20m〜100mの長さを有する。洗浄テープ61に使用される材料としては、不織布、織布、編み布が挙げられる。好ましくは、PVAスポンジよりも硬い不織布が使用される。このような不織布を使用することで、ウェハWに付着している異物、特にウェハWの表面に食い込んだ異物を除去することができる。洗浄テープ61に代えて、砥粒を含む研磨層が片面に形成された研磨テープをスクラブ部材として用いてもよい。
ウェハWのスクラブ処理中は、洗浄テープ61は、テープ繰り出しリール64からテープ巻き取りリール65に所定の速度で送られる。したがって、常に新しい(未使用の)洗浄テープ61の面がウェハWに接触する。洗浄テープ61は、その終端の近傍にエンドマーク(図示せず)を有している。このエンドマークは、洗浄テープ61に近接して配置されたエンドマーク検知センサ71によって検知されるようになっている。エンドマーク検知センサ71が洗浄テープ61のエンドマークを検知すると、エンドマーク検知センサ71から検知信号が動作制御部(図示せず)に送られる。検知信号を受け取った動作制御部は、洗浄テープ61の交換を促す信号(警報など)を発するようになっている。テープカートリッジ60は、別々に取り外しが可能となっており、簡単な操作でテープカートリッジ60を交換することが可能となっている。
スクラバー50の退避位置は基板回転機構10の外側にあり、スクラバー50は退避位置と処理位置との間を移動する。スクラバー50の退避位置には、純水が貯留されたバス(図示せず)が設置されている。スクラバー50が退避位置にあるときは、洗浄テープ61の乾燥を防止するために、スクラバー50の下面(スクラブ面)が浸水される。バスの純水は、スクラバー50がウェハWの表面処理を行うたびに入れ替えられ、常に清浄な状態に維持される。
図11は、スクラバー50の他の例を示す図である。この例では、スクラバー50内には洗浄テープ61を送るためのモータM2は設けられていない。代わりに、図12に示すように、スクラバー50の退避位置にモータM2およびかさ歯車70が配置されている。スクラバー50が退避位置にて下降したとき、上記かさ歯車69がかさ歯車70に噛み合うようになっている。この状態で、モータM2を駆動することにより、洗浄テープ61がテープ繰り出しリール64からテープ巻き取りリール65に所定の距離だけ送られる。この例によれば、スクラバー50の構成が簡素になるとともに、洗浄テープ61を間欠的に送るので洗浄テープ61の使用量を削減することができる。
図13乃至図20は、テープカートリッジ60の他の例を示す図である。この例においても、スクラバー50内には洗浄テープ61を送るためのモータM2は設けられていない。テープ繰り出しリール64およびテープ巻き取りリール65は、それぞれリール軸75A,75Bに取り付けられている。リール軸75A,75Bは、軸受76A,76Bによりそれぞれ回転自在に支持されている。これらの軸受76A,76Bはリールハウジング77に固定されている。リールハウジング77はボールスプラインナット78に固定されており、リールハウジング77とボールスプラインナット78はスプラインシャフト79に対して上下方向に相対移動可能となっている。
それぞれのリール軸75A,75Bにはブレーキ輪80A,80Bが固定されている。テープ繰り出しリール64とブレーキ輪80Aとは一体に回転し、テープ巻き取りリール65とブレーキ輪80Bとは一体に回転するようになっている。ボールスプラインナット78は、ばね82によって下方に付勢されており、ブレーキ輪80A,80Bはばね82によりブレーキパッド81に押し付けられている。ブレーキパッド81がブレーキ輪80A,80Bに接触しているときは、ブレーキ輪80A,80Bおよびこれに連結されたテープ繰り出しリール64およびテープ巻き取りリール65は自由に回転することができない。リールハウジング77には下方に延びるピン83,83が固定されている。スクラバー50の退避位置にはこれらのピン83,83が接触するピンストッパー(図示せず)が配置されている。
リール軸75Aには繰り出しギヤ84Aが取り付けられており、リール軸75Bには巻き取りギヤ84Bが取り付けられている。繰り出しギヤ84Aは巻き取りギヤ84Bよりも大きな径を有している。繰り出しギヤ84Aおよび巻き取りギヤ84Bは、ワンウェイクラッチ85A,85Bを介してリール軸75A,75Bにそれぞれ取り付けられている。テープ繰り出しリール64、テープ巻き取りリール65、ブレーキ輪80A,80B、繰り出しギヤ84A、および巻き取りギヤ84Bは一体的にスプラインシャフト79に対して上下方向に相対移動可能となっている。繰り出しギヤ84Aと巻き取りギヤ84Bとの間にはラックギヤ86A,86Bが設けられている。繰り出しギヤ84Aは一方のラックギヤ86Aと噛み合い、巻き取りギヤ84Bは他方のラックギヤ86Bと噛み合っている。押圧部材62、ブレーキパッド81、およびラックギヤ86A,86Bは、設置台87に固定されている。
スクラバー50が退避位置にて下降すると、ピン83,83がピンストッパーに当接し、ピン83,83に連結されたテープ繰り出しリール64、テープ巻き取りリール65、ブレーキ輪80A,80B、繰り出しギヤ84A、および巻き取りギヤ84Bの下降が停止する一方で、押圧部材62、ブレーキパッド81、およびラックギヤ86A,86Bは下降を続ける。その結果、ばね82が圧縮されるとともにブレーキパッド81がブレーキ輪80A,80Bから離れ、これによりテープ繰り出しリール64およびテープ巻き取りリール65が自由に回転できる状態となる。ラックギヤ86A,86Bが下降するにつれて、ラックギヤ86A,86Bに係合する繰り出しギヤ84Aおよび巻き取りギヤ84Bが回転する。テープ繰り出しリール64は繰り出しギヤ84Aとともに回転し、新しい洗浄テープ61を所定の長さだけ繰り出す。一方、テープ巻き取りリール65は、ワンウェイクラッチ85Bの作用により回転しない。
スクラバー50が上昇すると、ばね82が伸びるとともにラックギヤ86A,86Bが上昇する。ラックギヤ86A,86Bの上昇により繰り出しギヤ84Aおよび巻き取りギヤ84Bが回転する。テープ巻き取りリール65は巻き取りギヤ84Bとともに回転し、使用済みの洗浄テープ61を巻き取る。一方、テープ繰り出しリール64はワンウェイクラッチ85Aの作用により回転しない。巻き取りギヤ84Bは繰り出しギヤ84Aよりも小さな直径を有しているので、テープ巻き取りリール65はテープ繰り出しリール64よりも多く回転する。テープ巻き取りリール65にはトルクリミッタ88が装着されており、洗浄テープ61を巻き取った後は巻き取りギヤ84Bが空転し、洗浄テープ61にテンションが加わる。ブレーキパッド81がブレーキ輪80A,80Bに接触すると、テープ巻き取りリール65の回転が停止し、これにより洗浄テープ61の更新が終了する。
この例のテープカートリッジ60では洗浄テープ61を送るためのモータが不要であるので、スクラバー50の構成を簡素化することができる。また、洗浄テープ61を間欠的に送るので、洗浄テープ61の使用量が削減できる。図15および図16から分かるように、この例のテープカートリッジ60は対称的な構造を有しており、1つのテープカートリッジ60が2つの洗浄テープ61,61を有している。
図21は、静圧支持機構90の断面図である。図21に示すように、静圧支持機構90は、複数の凹部(流体貯留部)91bが形成された円形の基板支持面91aを有する支持ステージ91と、凹部91bにそれぞれ接続された複数の流体供給路92と、支持ステージ91を支える支持軸93とを備えている。これらの流体供給路92は支持軸93内を通り、ロータリジョイント95を経由して流体供給源96に接続されている。
図22は、支持ステージ91を上から見た図を示す図である。図22に示すように、凹部91bは、支持ステージ91の周方向に沿って等間隔に配置されている。支持ステージ91は、基板回転機構10に保持されているウェハWの下方に配置され、凹部91bはウェハWの下面に対向して配置されている。支持軸93は、直動ガイド(ボールスプライン)97により上下動自在に支持されており、さらに支持軸93の下部は、ステージ昇降機構98に連結されている。このステージ昇降機構98により支持ステージ91はその基板支持面(上面)91aがウェハWの下面に近接した位置に達するまで上昇されるようになっている。
静圧支持機構90は、さらにステージ回転機構99を備えている。このステージ回転機構99は、直動ガイド97の外周面に取り付けられたプーリp3と、モータM3と、モータM3の回転軸に固定されたプーリp4と、プーリp3,p4の間に掛け渡されたベルトb2とを備えている。このステージ回転機構99は、支持ステージ91を支持軸93(すなわち基板支持面91aの中心)を中心として回転させる。
流体は、流体供給源96から流体供給路92を通じて凹部91bに連続的に供給される。流体は、凹部91bからオーバーフローし、さらにウェハWの下面と支持ステージ91の基板支持面91aとの隙間を流れる。ウェハWと支持ステージ91との間の隙間は流体で満たされ、ウェハWは流体の圧力により支持される。ウェハWと支持ステージ91とは非接触に保たれ、その隙間は50μm〜500μmとされる。このように、静圧支持機構90は、流体圧によりウェハWを非接触に支持することができるので、ウェハWに形成されたデバイスの破壊を防止することができる。静圧支持機構90に使用される流体としては、純水などの液体が好ましく使用される。図22に示す例では、3つの凹部91bが形成されているが、本発明はこれに限らず、1つの凹部、または4つ以上の凹部を設けてもよい。好ましくは3〜6個の凹部が形成される。
使用される流体としては、非圧縮性流体である液体のほかに、空気や窒素などの圧縮性流体である気体を用いてもよい。圧縮性流体を用いる場合、上述した凹部91bは省略することができる。この場合は、複数の流体供給路92は平坦な基板支持面91a上で開口し、基板支持面91aとウェハWとの間の空間に供給される気体の圧力によりウェハWが非接触で支持される。流体供給路92の開口部は、基板支持面91a全体に亘って多数形成されることが好ましい。
スクラバー50のスクラブ面と静圧支持機構90の基板支持面91aは、ウェハWに関して対称的に配置される。すなわち、スクラバー50のスクラブ面と静圧支持機構90の基板支持面91aはウェハWを挟むように配置されており、スクラバー50からウェハWに加えられる荷重は、スクラバー50の真下(反対側)から静圧支持機構90によって支持される。したがって、スクラバー50は、大きな荷重をウェハWの上面に加えることができる。図4に示すように、スクラブ面と基板支持面91aは、同心状に配置される。スクラバー50は、スクラブ面の端部がウェハWの中心上に位置するように配置されることが好ましい。スクラブ面の直径は、ウェハWの半径と同じか、やや小さいことが好ましい。スクラブ面の直径と基板支持面91aの直径はほぼ同じである。本実施形態では、基板支持面91aの直径はスクラブ面の直径よりもやや小さいが、基板支持面91aの直径はスクラブ面の直径と同じでもよく、あるいはスクラブ面の直径よりも大きくてもよい。
次に、本実施形態の基板処理装置の動作について説明する。スクラバー50は、基板回転機構10の外側の退避位置に移動される。この状態で、ウェハWは、図示しない搬送機により基板回転機構10の上方に搬送される。上記リフト機構30によりチャック11が上昇し、ウェハWがチャック11の上端に載置される。チャック11が下降すると、チャック11のクランプ40によりウェハWが把持される。ウェハWは、デバイスが形成されていない面が上を向き、デバイスが形成されている面が下を向くように、基板回転機構10に保持される。処理目的によっては、デバイスが形成されている面が上を向き、デバイスが形成されていない面が下を向くように、ウェハWを基板回転機構10に保持させてもよい。
スクラバー50は退避位置から処理位置に移動される。ウェハWは、基板回転機構10により所定の速度で回転される。スクラバー50による表面処理時のウェハWの好ましい回転速度は、300〜600min−1である。支持ステージ91は、その基板支持面91aがウェハWの下面に近接するまでステージ昇降機構98により上昇される。この状態で、流体(好ましくは純水)が凹部91bに連続的に供給され、流体圧によりウェハWが支持される。ウェハWを支持している間、支持ステージ91はステージ回転機構99により回転される。支持ステージ91の好ましい回転速度は、20〜100min−1である。
スクラバー50はスクラバー回転機構58により回転されつつ、洗浄テープ61がウェハWの上面に接触するまでスクラバー昇降機構52により下降される。ウェハWの上面に洗浄液供給ノズル27から処理液として純水が供給されつつ、ウェハWの上面は、回転する洗浄テープ61から構成されるスクラブ面により処理される。純水に代えて、砥粒を含む研磨液を処理液として使用してもよい。あるいは、表面に砥粒が付着した洗浄テープを使用してもよい。また、処理液を使用しないで、ドライな状態で洗浄テープ61をウェハWに摺接してもよい。
スクラブ処理中は、ウェハWはその下方から静圧支持機構90により支持されており、この状態でスクラバー50は、その軸心を中心として複数の洗浄テープ61を回転させながら、該洗浄テープ61をウェハWの上面に摺接させる。これにより、ウェハWの上面に付着している異物やウェハ面上の傷を除去することができる。ウェハWは静圧支持機構90により支持されているので、スクラバー50は大きな荷重で洗浄テープ61をウェハWに摺接させることができる。したがって、従来の洗浄装置では除去することができなかった比較的大きな異物や、ウェハWの表面に食い込んだ異物を除去することができる。
スクラバー50とウェハWは同じ方向に回転される。スクラバー50の回転速度は、ウェハWに接触する洗浄テープ61の全ての部位においてウェハWと洗浄テープ61との相対速度が同じとなるように設定される。このようなスクラバー50の回転速度は、ウェハWの回転速度に依存して決定される。すなわち、スクラバー50の回転速度とウェハWの回転速度との比は、ウェハWに接触する洗浄テープ61の全ての部位においてウェハWと洗浄テープ61との相対速度が同じとなる値とされる。例えば、ウェハWの回転速度が500min−1で、スクラバー50の回転速度が150min−1であるときに、ウェハWと洗浄テープ61との相対速度は均一となる。このような速度比は、公知の計算またはシミュレーションにより求めることができる。このような回転速度比でスクラバー50およびウェハWを回転させることで、ウェハWの上面の全体を均一に処理することができる。したがって、本実施形態の基板処理装置は、ペンブラシをその軸心周りに回転させる従来のペンスポンジ型洗浄機や、ロールスポンジをその軸心周りに回転させる従来のロールスポンジ型洗浄機に比べて、ウェハWの表面全体(その中心部から周縁部まで)を均一に処理することができる。
ウェハWのスクラブ処理終了後、スクラバー50は退避位置に移動されるとともに、支持ステージ91への流体供給が停止される。さらに、ステージ昇降機構98により支持ステージ91が所定の位置まで下降する。この所定の下降位置は、ウェハWの下面から30mm〜50mm離れた位置であることが好ましい。下降位置にある支持ステージ91は低速(例えば、10〜50min−1)で回転し、リンス液供給ノズル(図示せず)からリンス液(例えば純水)が支持ステージ91の基板支持面91aに供給される。これにより基板支持面91aがリンス液によって洗浄される。
支持ステージ91の下降後、ウェハWを回転させながら、ウェハWの上面には洗浄液としての純水が上記洗浄液供給ノズル27から供給され、スクラブ処理で発生した屑が洗い流される。その後、必要に応じて、二流体ジェットノズル100から、液体の圧縮気体との混合流体がウェハWの上面に供給され、スクラバー50で除去されなかった微小な異物や屑が除去される。二流体ジェットノズル100は、ウェハWの上方に配置されている。ウェハWの洗浄中に、ウェハWを静圧支持機構90により支持してもよい。
図23は、上述した二流体ジェットノズル100の動作を説明するための平面図である。図23に示すように、二流体ジェットノズル100は、回転アーム101の先端に取り付けられている。回転アーム101の他端は揺動アーム102に連結されている。この揺動アーム102には、回転アーム101を水平面内で回転させる回転機構(図示せず)が設置されている。したがって、二流体ジェットノズル100は、回転アーム101とともにウェハWの上方で回転する。二流体ジェットノズル100には液体と気体が供給され、二流体ジェットノズル100からは液体と気体との混合流体がウェハWの上面に噴射される。二流体ジェットノズル100の回転軌跡(一点鎖線で示す)の直径は、ウェハWの半径よりもやや大きくなっており、ウェハWの上面全体が混合流体の噴射によって洗浄される。
このように、本実施形態においては、洗浄液供給ノズル27および二流体ジェットノズル100により、ウェハWを洗浄する洗浄部が構成される。これら洗浄液供給ノズル27および二流体ジェットノズル100は、図4に示すように、処理室7内に配置されている。洗浄液供給ノズル27は、ウェハWのスクラブ処理時に処理液を供給する処理液供給ノズルとしても機能するが、図3(a)および図3(b)に示すように、処理液供給ノズルを洗浄液供給ノズル27とは別に設けてもよい。
洗浄されたウェハWは、基板回転機構10により高速で回転され、ウェハWがスピン乾燥される。乾燥時のウェハWの回転速度は、1500〜3000min−1である。中空状の基板回転機構10では乾燥時のウェハWの下方には、回転する部材が存在しないので、ウェハWへの水はねによるウォーターマークや異物の付着が防止される。ウェハWの乾燥後、リフト機構30によりチャック11が上昇し、ウェハWがチャック11からリリースされる。そして、図示しない搬送機によりウェハWが基板処理装置から取り出される。このように、本実施形態の基板処理装置は、ウェハWを基板回転機構10に保持したままで、ウェハWのスクラブ、洗浄(リンス)、および乾燥を連続して行うことができる。したがって、搬送中におけるウェハWへの異物の付着や、ウエット状態でのウェハWから搬送経路への汚れ拡散を防止することができる。さらに、プロセスタクトタイムを短縮することができる。
上述したように、基板回転機構10は、洗浄されたウェハWを乾燥する乾燥部として機能する。基板処理装置は、乾燥部として、低蒸気圧溶媒をウェハWに供給することによりウェハWを乾燥する機構をさらに備えてもよい。図24は、ウェハWの上面に低蒸気圧溶媒を供給する乾燥液供給ノズル110を設けた例を示す図である。図24に示すように、基板回転機構10に保持されたウェハWの上方には、乾燥液供給ノズル110が配置されている。この乾燥液供給ノズル110は、処理室7内に配置されており、ウェハWの半径方向に沿って移動可能に構成されている。乾燥液供給ノズル110は、ウェハWの半径方向に沿って移動しながら、低蒸気圧溶媒をウェハWの上面に供給し、ウェハW上の洗浄液を低蒸気圧溶媒に置換した後に低蒸気圧溶媒を蒸発させることによってウェハWを乾燥させる。このような低蒸気圧溶媒としは、例えばイソプロピルアルコールが使用される。
図25は、乾燥液供給ノズルに代えて、乾燥気体供給ノズル111を設けた例を示す図である。乾燥気体供給ノズル111は、基板回転機構10に保持されたウェハWの上方に配置され、ウェハWの半径方向に沿って移動可能となっている。乾燥気体供給ノズル111は、ウェハWの半径方向に沿って移動しながら、乾燥気体をウェハWの上面に向かって供給することにより、ウェハWを乾燥する。このような乾燥気体としては、高純度窒素、クリーンエアなどが使用される。
以下、基板回転機構10の構成についてさらに詳細に説明する。図26(a)は、チャック11のクランプ40を示す平面図であり、図26(b)はクランプ40の側面図である。クランプ40は、チャック11の上端に形成されている。このクランプ40は、円筒形状を有し、ウェハWの周縁部に当接することによりウェハWを把持する。チャック11の上端には、クランプ40からチャック11の軸心に向かって延びる位置決め部41がさらに形成されている。位置決め部41の一端はクランプ40の側面に一体的に接続され、他端はチャック11の軸心上に位置している。この位置決め部41の中心側の端部は、チャック11と同心の円に沿って湾曲した側面41aを有している。チャック11の上端は、下方に傾斜するテーパ面となっている。
図27(a)はクランプ40がウェハWを把持した状態を示す平面図であり、図27(b)はクランプ40がウェハWを解放した状態を示す平面図である。ウェハWは、チャック11の上端(テーパ面)上に載置され、そして、チャック11を回転させることにより、クランプ40をウェハWの周縁部に当接させる。これにより、図27(a)に示すように、ウェハWがクランプ40に把持される。チャック11を反対方向に回転させると、図27(b)に示すように、クランプ40がウェハWから離れ、これによりウェハWが解放される。このとき、ウェハWの周縁部は、位置決め部41の中心側端部の側面41aに接触する。したがって、位置決め部41の側面41aによって、チャック11の回転に伴うウェハWの変位を制限することができ、その後のウェハ搬送の安定性を向上させることができる。
図28(a)は、図6のA−A線断面図であり、図28(b)は図28(a)のB−B線断面図である。回転基台16の突出部16aには上下に延びる貫通孔が形成されており、この貫通孔にチャック11が挿入されている。貫通孔の直径はチャック11の直径よりも僅かに大きく、したがってチャック11は回転基台16に対して上下方向に相対移動可能となっており、さらにチャック11は、その軸心周りに回転可能となっている。
チャック11の下部には、ばねストッパー11aが取り付けられている。チャック11の周囲にはばね18が配置されており、ばねストッパー11aによってばね18が支持されている。ばね18の上端は回転基台16の突出部16aを押圧している。したがって、ばね18によってチャック11には下向きの力が作用している。チャック11の外周面には、貫通孔の直径よりも大きい径を有するチャックストッパー11bが形成されている。したがって、チャック11は、図28(a)に示すように、下方への移動がチャックストッパー11bによって制限される。
回転基台16には第1の磁石43が埋設されており、この第1の磁石43はチャック11の側面に対向して配置されている。チャック11には第2の磁石44および第3の磁石45が配置されている。これら第2の磁石44および第3の磁石45は、上下方向に離間して配列されている。これらの第1〜第3の磁石43,44,45としては、ネオジム磁石が好適に用いられる。
図29は、第2の磁石44と第3の磁石45の配置を説明するための模式図であり、チャック11の軸方向から見た図である。図29に示すように、第2の磁石44と第3の磁石45とは、チャック11の周方向においてずれて配置されている。すなわち、第2の磁石44とチャック11の中心を結ぶ線と、第3の磁石45とチャック11の中心を結ぶ線とは、チャック11の軸方向から見たときに所定の角度αで交わっている。
チャック11が、図28(a)に示す下降位置にあるとき、第1の磁石43と第2の磁石44とが互いに対向する。このとき、第1の磁石43と第2の磁石44との間には引き合う力が働く。この引力は、チャック11にその軸心周りに回転する力を与え、その回転方向は、クランプ40がウェハWの周端部を押圧する方向である。したがって、図28(a)に示す下降位置は、ウェハWを把持するクランプ位置となる。
図30(a)は、リフト機構30によりチャック11を上昇させたときの図6のA−A線断面図であり、図30(b)は図30(a)のC−C線断面図である。リフト機構30によりチャック11を図30(a)に示す上昇位置まで上昇させると、第1の磁石43と第3の磁石45とが対向し、第2の磁石44は第1の磁石43から離間する。このとき、第1の磁石43と第3の磁石45との間には引き合う力が働く。この引力はチャック11にその軸心周りに回転する力を与え、その回転方向は、クランプ40がウェハWから離間する方向である。したがって、図30(a)に示す上昇位置は、基板をリリースするアンクランプ位置である。
第2の磁石44と第3の磁石45とはチャック11の周方向においてずれた位置に配置されているので、チャック11の上下移動に伴ってチャック11には回転力が作用する。この回転力によってクランプ40にウェハWを把持する力とウェハWを解放する力が与えられる。したがって、チャック11を上下させるだけで、ウェハWを把持し、かつ解放することができる。このように、第1の磁石43、第2の磁石44、および第3の磁石45は、チャック11をその軸心周りに回転させてクランプ40によりウェハWを把持する把持機構として機能する。この把持機構は、チャックの上下動によって動作する。
チャック11の側面には、その軸心に沿って延びる溝46が形成されている。この溝46は円弧状の水平断面を有している。回転基台16の突出部16aには、溝46に向かって突起する突起部47が形成されている。この突起部47の先端は、溝46の内部に位置しており、突起部47は溝46に緩やかに係合している。この溝46および突起部47は、チャック11の回転角度を制限するために設けられている。
図31は、基板回転機構10の他の構成例を示す断面図である。この例では、図5に示すアンギュラコンタクト玉軸受20に代えて、磁気軸受21,22が採用されている。すなわち、回転基台16は、ラジアル磁気軸受21と、アキシャル磁気軸受22とによって回転自在に支持されている。ラジアル磁気軸受21の上方およびアキシャル磁気軸受22の下方には、タッチダウン軸受39,39が配置されている。このような構成によれば、回転基台16は非接触に保たれるので、ウェハの回転時にパーティクルが発生しない。したがって、ウェハの周囲雰囲気を清浄に保つことができる。
図32は、基板回転機構10のさらに他の構成例を示す断面図である。この例では、図5に示すアンギュラコンタクト玉軸受20に代えて、非接触式の気体軸受35,36が採用されている。すなわち、回転基台16は、ラジアル気体軸受35と、アキシャル気体軸受36とによって回転自在に支持されている。ラジアル気体軸受35の上方およびアキシャル気体軸受36の下方には、タッチダウン軸受39,39が配置されている。このような構成によれば、回転基台16は非接触に保たれるので、ウェハの回転時にパーティクルが発生しない。したがって、ウェハの周囲雰囲気を清浄に保つことができる。気体軸受としては、静圧気体軸受または動圧気体軸受が使用される。静止部材14には図示しない排気口が形成されており、気体軸受35,36で発生した気体の流れは、排気口を通じて排出されるようになっている。したがって、中空モータ12から発生した熱を外部に逃すことができ、熱による回転基台16やその他の部材の歪をなくすことができる。結果として、回転精度が向上し、回転速度を上げてウェハの乾燥時間を短縮することができる。
図33は、スクラバー50の他の例を示す側面図である。この例では、スクラバー50は、チャック部(連結部)72を介して揺動アーム53に連結されている。より具体的には、スクラバーシャフト51にはチャック部72が設けられており、このチャック部72を介してスクラバーシャフト51を揺動アーム53から切り離すことが可能となっている。したがって、テープカートリッジ60を交換するために、スクラバー50全体を揺動アーム53から取り外すことができる。スクラバー50の取り外しは、図34に示すように、スクラバー50が退避位置にあるときに行われる。
今まで述べた実施形態では、スクラバー50はウェハの上側に配置され、静圧支持機構90はウェハの下側に配置されているが、スクラバー50をウェハの下側に配置し、静圧支持機構90をウェハの上側に配置してもよい。この場合は、ウェハを反転する必要がなくなり、スループットが向上する。さらには、2つのスクラバー50をウェハの上側および下側に配置して、ウェハの両面を同時に処理するようにしてもよい。この場合には、静圧支持機構90は設置されない。基板回転機構10として、ウェハの周縁部を把持しつつ回転する複数のロールチャックを採用してもよい。この場合は、ウェハをスピン乾燥させることはできないので、ウェハを乾燥させるための乾燥機が別に用意される。
図35は、上述した基板処理装置を備えた基板処理システムを示す平面図である。図35に示すように、基板処理システムは、多数のウェハをストックするウェハカセットが載置される4つのフロントロード部121を備えたロードアンロード部120を有している。フロントロード部121には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、またはFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができるようになっている。SMIF、FOUPは、内部にウェハカセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
ロードアンロード部120には、フロントロード部121の配列方向に沿って移動可能な第1の搬送ロボット(ローダー)123が設置されている。第1の搬送ロボット123は各フロントロード部121に搭載されたウェハカセットにアクセスして、ウェハをウェハカセットから取り出すことができるようになっている。第1の搬送ロボット123に隣接してパーティクルカウンター124が設置されている。このパーティクルカウンター124は、ウェハ面に付着している異物(パーティクル)の数をカウントするための装置である。なお、このパーティクルカウンター124は省略することもできる。
基板処理システムは、さらに、水平方向に移動可能な第2の搬送ロボット126と、この搬送ロボット126の移動方向に沿って配置された複数の基板処理装置127と、第1の搬送ロボット123と第2の搬送ロボット126との間でウェハの受け渡しを可能とするための第1のウェハステーション131および第2のウェハステーション132と、基板処理システム全体の動作を制御する動作コントローラ133とを備えている。この例では、4台の基板処理装置127が設けられており、図35に示すように、第2の搬送ロボット126の両側にそれぞれ2台の基板処理装置127が配置されている。6台、8台、またはそれ以上の基板処理装置127を設けてもよい。例えば、6台の基板処理装置127を設ける場合は、第2の搬送ロボット126の両側にそれぞれ3台の基板処理装置127が配置され、8台の基板処理装置127を設ける場合は、第2の搬送ロボット126の両側にそれぞれ4台の基板処理装置127が配置される。
基板処理システムの動作は次の通りである。ウェハは、第1の搬送ロボット123によりウェハカセットから取り出され、パーティクルカウンター124に搬送される。パーティクルカウンター124は、ウェハの表面に付着しているパーティクル(異物)の数をカウントし、そのパーティクルの数を動作コントローラ133に送信する。動作コントローラ133は、パーティクルの数によって基板処理装置127での処理レシピを変更してもよい。例えば、パーティクルの数が所定の基準値を上回ったときには、スクラブ処理の時間を長くしてもよい。
ウェハは、第1の搬送ロボット123によりパーティクルカウンター124から取り出され、さらに第1のウェハステーション131の上に載置される。第2の搬送ロボット126は、第1のウェハステーション131上のウェハを受け取り、4台の基板処理装置127のいずれかにウェハを搬入する。
基板処理装置127は、上述した動作シーケンスに従ってウェハの表面または裏面を処理する。必要に応じて、処理されたウェハを別の基板処理装置127で2次洗浄してもよい。処理されたウェハは、第2の搬送ロボット126により基板処理装置127から第2のウェハステーション132に搬送される。さらに、ウェハは、第1の搬送ロボット123によりウェハカセットに運ばれ、ウェハカセット内の元の位置に戻される。
上述した基板処理システムは、1枚のウェハを複数の基板処理装置127で連続的に処理するシリアル処理と、複数枚のウェハを1台の基板処理装置127で並行して処理するパラレル処理と、複数枚のウェハを複数台の基板処理装置127で処理するシリアル処理とパラレル処理の組み合わせのいずれかを選択的に実行することができる。
図36は、基板処理システムの他の例を示す平面図である。図36に示す基板処理システムでは、第2のウェハステーション132はウェハを反転させる反転機構134を有している。ウェハは、第1の搬送ロボット123により第2のウェハステーション132に搬送され、第2のウェハステーション132の反転機構134により反転させられる。反転されたウェハは、第2の搬送ロボット126により基板処理装置127に搬送され、基板処理装置127により処理される。処理されたウェハは、再び第2のウェハステーション132に搬送され、反転機構134により反転させられる。その後、ウェハは、第1の搬送ロボット123によりウェハカセットに戻される。
図35および図36に示す基板処理システムでは、基板処理装置127は同一平面上に配列されているが、複数の基板処理装置127を縦方向に配列することもできる。図37は、上下二段に配列された基板処理装置を示す側面図である。この基板処理システムは、第1の上段基板処理装置127Aと、第1の下段基板処理装置127Bと、第2の上段基板処理装置127Cと、第2の下段基板処理装置127Dとを備えている。第1の上段基板処理装置127Aは、第1の下段基板処理装置127Bの上に配置され、第2の上段基板処理装置127Cは、第2の下段基板処理装置127Dの上に配置されている。第2の搬送ロボット126は、水平方向のみならず、縦方向にも移動ができるように構成されており、第1の基板処理装置127A,127B、第2の基板処理装置127C,127D、および第2のウェハステーション132の間でウェハを搬送することができるようになっている。
図37に示す基板処理システムは、ウェハの様々な処理ラインを提供することができる。例えば、図38に示すように、2枚のウェハを上段基板処理装置127A,127C(第1の処理ライン)と下段基板処理装置127B,127D(第2の処理ライン)に搬送して2枚のウェハを並列に処理することができる。または、図39に示すように、4枚のウェハを4台の基板処理装置127A,127B,127C,127D(第1〜第4の処理ライン)で処理することもできる。図37乃至図39は、上下二段に配列された基板処理装置を示すが、縦方向に三段以上の基板処理装置を配列してもよい。
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。