JP6567866B2 - レーザー溶着用樹脂組成物及びその溶着体 - Google Patents

レーザー溶着用樹脂組成物及びその溶着体 Download PDF

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Description

本発明は、レーザー溶着用樹脂組成物及び溶着体に関するものであり、詳しくは、レーザー光透過性が高くレーザー溶着性に優れ、成形品の外観及び耐候性にも優れるレーザー溶着用樹脂組成物及びそれからなる成形品をレーザー溶着した溶着体に関する。
近年の自動車部品や民生部品では軽量化やリサイクル等の環境面から、従来金属を使用していた部品の樹脂化や、樹脂製品の小型化等が進んでいる。熱可塑性ポリエステル樹脂は、機械的強度、耐薬品性及び電気絶縁性等に優れており、また優れた耐熱性、成形性、リサイクル性を有していることから、各種の機器部品に広く用いられている。特にポリブチレンテレフタレート樹脂等は機械的強度や成形性に優れ、また難燃化が可能であることから、火災安全性の必要とされる電気・電子部品等に広く使用されている。
また、最近では、これら機器部品を製造するのに、生産性効率化のため溶着加工により部品同士を結合させる例が増加してきており、中でも電子部品への影響が少ないレーザー溶着が多用されてきている。
しかしながら、ポリカーボネート樹脂やポリスチレン系樹脂等に比べて、ポリエステル樹脂、特にポリブチレンテレフタレート樹脂はレーザー透過性が比較的低く、また成形品に反りが出やすいことなどから、溶着強度が不十分な場合が多かった。
また、高い機械的強度や剛性が必要とされる用途に使用する場合は、ガラス繊維、ガラスフレーク等の充填材を添加してこれらの特性を改良することが行われる。しかしながら、ガラス繊維、ガラスフレーク等の充填材を添加した場合には、レーザー光の透過率が低下するという問題がある。また、充填材の浮き等の影響により成形品の初期外観が悪くなったり、耐候性が低下したりするといった問題もあった。
特許文献1には、繊維長さ方向に垂直な断面が扁平形状であるガラス繊維を配合することにより、成形品の機械的特性と透過率が向上し、レーザー溶着特性に優れるレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、ガラス繊維を扁平形状にする手法だけでは必ずしも十分なレーザー光透過性を達成できない場合があり、強固な溶着強度が得られない場合があった。また、成形品の外観や耐候性という点では十分といえるものではなかった。
国際公開第2007/046536号
本発明の目的は、上記問題点を解消し、レーザー光透過性が高くレーザー溶着性に優れ、成形品の外観及び耐候性にも優れるレーザー溶着用ポリエステル系樹脂組成物及びそれからなる成形品をレーザー溶着した溶着体を提供することにある。
本発明者は、熱可塑性ポリエステル樹脂に、平均繊維径が15μm超のガラス繊維あるいは平均粒径が25μm以上のガラスビーズを含有するポリエステル樹脂組成物が、レーザー光透過性が格段と高くなりレーザー溶着性に優れ、かつ成形品の外観及び耐候性にも優れることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下の通りである。
[1](A)熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対し、(B)平均繊維径が15μm超のガラス繊維及び/又は(C)平均粒径が25μm以上のガラスビーズ10〜100質量部を含有することを特徴とするレーザー溶着用樹脂組成物。
[2](A)熱可塑性ポリエステル樹脂がポリブチレンテレフタレート樹脂を含む上記[1]に記載のレーザー溶着用樹脂組成物。
[3]樹脂組成物の結晶化温度(Tc)が190℃以下である上記[1]又は[2]に記載のレーザー溶着用樹脂組成物。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載のレーザー溶着用樹脂組成物を成形してなるレーザー溶着用成形品。
[5]レーザー溶着の際、透過側に用いられる上記[4]に記載のレーザー溶着用成形品。
[6]上記[4]又は[5]に記載の成形品を用いてレーザー溶着されたレーザー溶着体。
本発明のレーザー溶着用樹脂組成物は、レーザー光透過性が高く、レーザー溶着加工性に優れ、溶着強度が高い溶着品が得られ、また、成形品は外観及び耐候性にも優れる。
前述したように、ガラス繊維はポリエステル樹脂の強化充填材として提案されているが、通常使用あるいは市販されているガラス繊維の繊維径はせいぜい13μm程度までのものである。本発明で用いるガラス繊維は、一般に市販されている通常のガラス繊維の繊維径を上回るものであり、これを用いることで、配合するガラス繊維の本数を少なくでき、樹脂組成物中でもレーザー光の内部散乱が大きく低減し、透過率が高くなることで、高いレーザー溶着性を達成することが可能となった。また、配合するガラス繊維の本数を少なくできるため、ガラス繊維の成形品表面での浮き等による表面外観不良や耐候性の低下を抑制でき、上記したような効果を発現するものと推察される。平均粒径が25μm以上のガラスビーズについても同様の現象により同じような効果を発現するものと考えられる。
実施例におけるレーザー溶着強度試験で使用したレーザー透過性成形品であるASTM4号ダンベル片の斜視図である。
[発明の概要]
本発明のレーザー溶着用樹脂組成物は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対し、(B)平均繊維径が15μm超のガラス繊維、及び/又は(C)平均粒径が25μm以上のガラスビーズ10〜100質量部を含有することを特徴とする。
以下、本発明の内容について詳細に説明する。
以下に記載する各構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。なお、本願明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
[(A)熱可塑性ポリエステル樹脂]
本発明の樹脂組成物の主成分である(A)熱可塑性ポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸化合物とジヒドロキシ化合物の重縮合、オキシカルボン酸化合物の重縮合あるいはこれらの化合物の重縮合等によって得られるポリエステルであり、ホモポリエステル、コポリエステルの何れであってもよい。
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸化合物としては、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体が好ましく使用される。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−3,3’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルフォン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルイソプロピリデン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、アントラセン−2,5−ジカルボン酸、アントラセン−2,6−ジカルボン酸、p−ターフェニレン−4,4’−ジカルボン酸、ピリジン−2,5−ジカルボン酸等が挙げられ、テレフタル酸が好ましく使用できる。
これらの芳香族ジカルボン酸は2種以上を混合して使用しても良い。これらは周知のように、遊離酸以外にジメチルエステル等をエステル形成性誘導体として重縮合反応に用いることができる。
なお、少量であればこれらの芳香族ジカルボン酸と共にアジピン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸を1種以上混合して使用することができる。
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂を構成するジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、へキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等の脂環式ジオール等、及びそれらの混合物等が挙げられる。なお、少量であれば、分子量400〜6,000の長鎖ジオール、すなわち、ポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を1種以上共重合せしめてもよい。
また、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオールも用いることができる。
また、上記のような二官能性モノマー以外に、分岐構造を導入するためトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三官能性モノマーや分子量調節のため脂肪酸等の単官能性化合物を少量併用することもできる。
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂としては、通常は主としてジカルボン酸とジオールとの重縮合からなるもの、即ち樹脂全体の50質量%、好ましくは70質量%以上がこの重縮合物からなるものを用いる。ジカルボン酸としては芳香族カルボン酸が好ましく、ジオールとしては脂肪族ジオールが好ましい。
中でも好ましいのは、酸成分の95モル%以上がテレフタル酸であり、アルコール成分の95質量%以上が脂肪族ジオールであるポリアルキレンテレフタレートである。その代表的なものはポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートである。これらはホモポリエステルに近いもの、即ち樹脂全体の95質量%以上が、テレフタル酸成分及び1,4−ブタンジオール又はエチレングリコール成分からなるものであるのが好ましい。
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の固有粘度は、0.5〜2dl/gであるものが好ましい。成形性及び機械的特性の点からして、0.6〜1.5dl/gの範囲の固有粘度を有するものがより好ましい。固有粘度が0.5dl/gより低いものを用いると、得られる樹脂組成物が機械的強度の低いものとなりやすい。また2dl/gより高いものでは、樹脂組成物の流動性が悪くなり成形性が悪化したり、レーザー溶着性が低下したりする場合がある。
なお、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定する値である。
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量は、適宜選択して決定すればよいが、通常、60eq/ton以下であり、50eq/ton以下であることが好ましく、30eq/ton以下であることがさらに好ましい。50eq/tonを超えると、樹脂組成物の溶融成形時にガスが発生しやすくなる。末端カルボキシル基量の下限値は特に定めるものではないが、通常、10eq/tonである。
なお、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量は、ベンジルアルコール25mLにポリエステル樹脂0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/lベンジルアルコール溶液を用いて滴定により測定する値である。末端カルボキシル基量を調整する方法としては、重合時の原料仕込み比、重合温度、減圧方法などの重合条件を調整する方法や、末端封鎖剤を反応させる方法等、従来公知の任意の方法により行えばよい。
中でも、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂は、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含むものであることが好ましく、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂中の50質量%以上がポリブチレンテレフタレート樹脂であることが好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分又はこれらのエステル誘導体と、1,4−ブタンジオールを主成分とするジオール成分を、回分式又は通続式で溶融重合させて製造することができる。また、溶融重合で低分子量のポリブチレンテレクタレート樹脂を製造した後、さらに窒素気流下又は減圧下固相重合させることにより、重合度(又は分子量)を所望の値まで高めることができる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオール成分とを、連続式で溶融重縮合する製造法が好ましい。
エステル化反応を遂行する際に使用される触媒は、従来から知られているものであってよく、例えば、チタン化合物、錫化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物などを挙げることができる。これらの中で特に好適なものは、チタン化合物である。エステル化触媒としてのチタン化合物の具体例としては、例えば、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートなどのチタンアルコラート、テトラフェニルチタネートなどのチタンフェノラートなどを挙げることができる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、共重合により変性したポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、「変性ポリブチレンテレフタレート樹脂」ということもある。)であってもよいが、その具体的な好ましい共重合体としては、ポリアルキレングリコール類(特にはポリテトラメチレングリコール)を共重合したポリエステルエーテル樹脂や、ダイマー酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂が挙げられる。
変性ポリブチレンテレフタレート樹脂として、ポリテトラメチレングリコールを共重合したポリエステルエーテル樹脂を用いる場合は、共重合体中のテトラメチレングリコール成分の割合は3〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%がより好ましく、10〜25質量%がさらに好ましい。このような共重合割合とすることにより、レーザー溶着性と耐熱性とのバランスに優れる傾向となり好ましい。
変性ポリブチレンテレフタレート樹脂として、ダイマー酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂を用いる場合は、全カルボン酸成分に占めるダイマー酸成分の割合は、カルボン酸基として0.5〜30モル%であることが好ましく、1〜20モル%がより好ましく、3〜15モル%がさらに好ましい。このような共重合割合とすることにより、レーザー溶着性、長期耐熱性及び靭性のバランスに優れる傾向となり好ましい。
変性ポリブチレンテレフタレート樹脂として、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂を用いる場合は、全カルボン酸成分に占めるイソフタル酸成分の割合は、カルボン酸基として1〜30モル%であることが好ましく、1〜20モル%がより好ましく、3〜15モル%がさらに好ましい。このような共重合割合とすることにより、レーザー溶着性、耐熱性、射出成形性及び靭性のバランスに優れる傾向となり好ましい。
変性ポリブチレンテレフタレート樹脂の中でも、ポリテトラメチレングリコールを共重合したポリエステルエーテル樹脂、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
そして、これら共重合体の好ましい含有量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の総量100質量%中に、5〜50質量%、更には10〜40質量%、特には15〜30質量%である。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、0.5〜2dl/gであるものが好ましい。成形性及び機械的特性の点からして、0.6〜1.5dl/gの範囲の固有粘度を有するものがより好ましい。固有粘度が0.5dl/gより低いものを用いると、得られる樹脂組成物が機械的強度の低いものとなりやすい。また2dl/gより高いものでは、樹脂組成物の流動性が悪くなり成形性が悪化したり、レーザー溶着性が低下する場合がある。
なお、固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定する値である。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は、適宜選択して決定すればよいが、通常、60eq/ton以下であり、50eq/ton以下であることが好ましく、40eq/ton以下であることがより好ましく、30eq/ton以下であることがさらに好ましい。50eq/tonを超えると、樹脂組成物の溶融成形時にガスが発生しやすくなる。末端カルボキシル基量の下限値は特に定めるものではないが、ポリブチレンテレフタレート樹脂の製造の生産性を考慮し、通常、10eq/tonである。
なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は、ベンジルアルコール25mLにポリアルキレンテレフタレート樹脂0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/lベンジルアルコール溶液を用いて滴定により測定する値である。末端カルボキシル基量を調整する方法としては、重合時の原料仕込み比、重合温度、減圧方法などの重合条件を調整する方法や、末端封鎖剤を反応させる方法等、従来公知の任意の方法により行えばよい。
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ポリブチレンテレフタレートホモポリマーと上記変性ポリブチレンテレフタレート樹脂とを含むものも好ましい。変性ポリブチレンテレフタレート樹脂を特定量含有することにより、レーザー透過率、レーザー溶着性が向上しやすくなり好ましい。
ポリブチレンテレフタレートホモポリマーと変性ポリブチレンテレフタレート樹脂とを含有する場合の含有量は、ポリブチレンテレフタレートホモポリマーと変性ポリブチレンテレフタレート樹脂の合計100質量%に対して、変性ポリブチレンテレフタレート樹脂が、好ましくは10〜70質量%であり、より好ましくは20〜65質量%であり、さらに好ましくは30〜60質量%である。変性ポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量が10質量%未満であると、レーザー溶着強度が低下する傾向にあり、70質量%を超えると、成形性が著しく低下する場合があり好ましくない。
さらに、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂とを含有することも好ましい。ポリエチレンテレフタレート樹脂を特定量含有することにより、レーザー透過率、レーザー溶着性が向上しやすくなり好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂とを含有する場合の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂の合計100質量%に対して、ポリエチレンテレフタレート樹脂が、好ましくは5〜50質量%であり、より好ましくは10〜45質量%であり、さらに好ましくは15〜40質量%である。ポリエチレンテレフタレート樹脂の含有量が5質量%未満であると、レーザー溶着強度が低下する傾向にあり、50質量%を超えると、成形性が著しく低下する場合があり好ましくない。
ポリエチレンテレフタレート樹脂は、全構成繰り返し単位に対するテレフタル酸及びエチレングリコールからなるオキシエチレンオキシテレフタロイル単位を主たる構成単位とする樹脂であり、オキシエチレンオキシテレフタロイル単位以外の構成繰り返し単位を含んでいてもよい。ポリエチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸又はその低級アルキルエステルとエチレングリコールとを主たる原料として製造されるが、他の酸成分及び/又は他のグリコール成分を併せて原料として用いてもよい。
テレフタル酸以外の酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸及びこれらの構造異性体、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等のジカルボン酸及びその誘導体、p−ヒドロキシ安息香酸、グリコール酸等のオキシ酸又はその誘導体が挙げられる。
また、エチレングリコール以外のジオール成分としては、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族ジヒドロキシ化合物誘導体等が挙げられる。
更に、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、分岐成分、例えばトリカルバリル酸、トリメリシン酸、トリメリット酸等の如き三官能、もしくはピロメリット酸の如き四官能のエステル形性能を有する酸、又はグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット等の如き三官能もしくは四官能のエステル形成能を有するアルコールを1.0モル%以下、好ましくは0.5モル%以下、更に好ましくは0.3モル%以下を共重合せしめたものであってもよい。
ポリエチレンテレフタレート樹脂の極限粘度は、好ましくは0.3〜1.5dl/g、さらに好ましくは0.3〜1.2dl/g、特に好ましくは0.4〜0.8dl/gである。
なお、ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定する値である。
また、ポリエチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基の濃度は、3〜50eq/ton、中でも5〜40eq/ton、更には10〜30eq/tonであることが好ましい。末端カルボキシル基濃度を50eq/ton以下とすることで、樹脂組成物の溶融成形時にガスが発生しにくくなり、得られるレーザー溶着用部材の機械的特性が向上する傾向にあり、逆に末端カルボキシル基濃度を3eq/ton以上とすることで、レーザー溶着用部材の耐熱性、滞留熱安定性や色相が向上する傾向にあり、好ましい。
なお、ポリエチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基濃度は、ベンジルアルコール25mLにポリエチレンテレフタレート樹脂0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/lベンジルアルコール溶液を使用して滴定することにより求める値である。
末端カルボキシル基量を調整する方法としては、重合時の原料仕込み比、重合温度、減圧方法などの重合条件を調整する方法や、末端封鎖剤を反応させる方法等、従来公知の任意の方法により行えばよい。
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂とを含有することも好ましい。ポリカーボネート樹脂を特定量含有することにより、レーザー溶着性が向上しやすくなり好ましい。
[ポリカーボネート樹脂]
ポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性重合体又は共重合体である。
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができるが、溶融法によるものが、レーザー透過性及びレーザー溶着性の点から好ましい。
原料のジヒドロキシ化合物は、実質的に臭素原子を含まないものであり、芳香族ジヒドロキシ化合物が好ましい。具体的には、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ちビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。また、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用することもできる。
ポリカーボネート樹脂としては、上述した中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導される芳香族ポリカーボネート樹脂、又は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導される芳香族ポリカーボネート共重合体が好ましい。また、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーとの共重合体等の、芳香族ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。更には、上述したポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価の芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、例えば、m−及びp−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、5,000〜30,000であることが好ましく、10,000〜28,000であることがより好ましく、14,000〜24,000であることがより好ましい。粘度平均分子量が5,000より低いものを用いると、得られる溶着用部材が機械的強度の低いものとなりやすい。また30,000より高いものでは、樹脂材料の流動性が悪くなり成形性が悪化したり、レーザー溶着性が低下したりする場合がある。なお、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算される粘度平均分子量[Mv]である。
ポリカーボネート樹脂の、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)は、2〜5であることが好ましく、2.5〜4がより好ましい。Mw/Mnが過度に小さいと、溶融状態での流動性が増大し成形性が低下する傾向にある。一方、Mw/Mnが過度に大きいと、溶融粘度が増大し成形困難となる傾向がある。
また、ポリカーボネート樹脂の末端ヒドロキシ基量は、熱安定性、加水分解安定性、色調等の点から、100質量ppm以上であることが好ましく、より好ましくは200質量ppm以上、さらに好ましくは300質量ppm以上、特に好ましくは400質量ppm以上、最も好ましくは500質量ppm以上である。但し、通常1,500質量ppm以下、好ましくは1,300質量ppm以下、さらに好ましくは1,200質量ppm以下、特に好ましくは1,100質量ppm以下、最も好ましくは1,000質量ppm以下である。ポリカーボネート樹脂の末端ヒドロキシ基量が過度に小さいと、レーザー透過性が低下しやすい傾向にあり、また、成形時の初期色相が悪化する場合がある。末端ヒドロキシ基量が過度に大きいと、滞留熱安定性や耐湿熱性が低下する傾向がある。
上述したように、ポリカーボネート樹脂としては、溶融重合法で製造したポリカーボネート樹脂が、レーザー透過性、レーザー溶着性の点から好ましい。
溶融重合法では、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応を行う。
芳香族ジヒドロキシ化合物は、前述の通りである。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートが挙げられる。中でも、ジアリールカーボネートが好ましく、ジフェニルカーボネートが特に好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの比率は所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが好ましく、中でも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端ヒドロキシ基量を好適な範囲に調整できる。
ポリカーボネート樹脂では、その末端ヒドロキシ基量が、熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端ヒドロキシ基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率、エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端ヒドロキシ基量を調整したポリカーボネート樹脂を得ることができる。なお、この操作により、通常は得られるポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率を調整して末端ヒドロキシ基量を調整する場合、その混合比率は前記の通りである。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融重合法によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。中でも、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融重合法において、反応温度は通常100〜320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下(267Pa以下)の減圧条件である。具体的操作としては、この範囲の条件で、ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただし、ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂を含む樹脂材料の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融重合法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いても良い。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、ポリカーボネート樹脂に対して、通常1質量ppm以上であり、また、通常100質量ppm以下、好ましくは20質量ppm以下である。
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂とを含有する場合の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂の合計100質量%部に対し、ポリカーボネート樹脂が、好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは15〜45質量%であり、さらに好ましくは20〜40質量%である。ポリカーボネート樹脂の含有量が10質量%未満であると、レーザー溶着強度が低下する傾向にあり、50質量%を超えると、成形性が著しく低下する場合があり好ましくない。
[芳香族ビニル系樹脂]
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂は、ポリブチレンテレフタレート樹脂と芳香族ビニル系樹脂とを含有することも好ましい。
芳香族ビニル系樹脂は、芳香族ビニル化合物を主成分とする重合体であり、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等を挙げることができ、好ましくは、スチレンである。芳香族ビニル系樹脂としては、ポリスチレン(PS)が代表的なものである。
また、芳香族ビニル系樹脂としては、芳香族ビニル化合物に他の単量体を共重合させた共重合体も用いることができる。代表的なものとしては、スチレンとアクリロニトリルを共重させたアクリロニトリル−スチレン共重合体が挙げられる。
芳香族ビニル系樹脂としては、ゴム成分を共重合又はブレンドしたゴム含有芳香族ビニル系樹脂も好ましく使用することができる。ゴム成分の例としては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンなどの共役ジエン系炭化水素が挙げられるが、本発明においてはブタジエン系ゴムが好ましく用いられる。ゴム成分としてアクリル系のゴム成分も可能ではあるが、靱性面にて乏しくなるので好ましくない。
ゴム成分を共重合又はブレンドする場合、ゴム成分の量は、芳香族ビニル系樹脂全セグメント中の通常1質量%以上50質量%未満とする。ゴム成分の量は、好ましくは3〜40質量%、より好ましくは、5〜30質量%、さらに好ましくは5〜20質量%である。
ゴム成分含有芳香族ビニル系樹脂としては、ゴム含有ポリスチレンが好ましく、ブタジエンゴム含有ポリスチレンがより好ましく、特に靱性の点から、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)がさらに好ましい。
芳香族ビニル系樹脂としては、質量平均分子量が50,000〜500,000であることが好ましく、中でも100,000〜400,000、特に150,000〜300,000が好ましい。分子量が50、000より小さいと、成形品でブリードアウトが見られたり、成形時に分解ガスが発生して十分なウエルド強度が得られにくく、また分子量が500,000より大きいと、十分な流動性やレーザー溶着強度の向上が図りにくい。
芳香族ビニル系樹脂は、200℃、98Nで測定されたメルトフローレート(MFR)が、0.1〜50g/10分であることが好ましく、0.5〜30g/10分であることがより好ましく、1〜20g/10分であることがさらに好ましい。MFRが0.1g/10分より小さいと、ポリブチレンテレフタレート樹脂との相溶性が不十分となり、射出成形時に層剥離の外観不良が生じる場合がある。またMFRが50g/10分より大きいと、耐衝撃性が大きく低下し好ましくない。
特に、ポリスチレンである場合は、MFRは1〜50g/10分であることが好ましく、3〜35g/10分であることがより好ましく、5〜20g/10分であることがさらに好ましい。ブタジエンゴム含有ポリスチレンである場合は、MFRは0.1〜40g/10分であることが好ましく、0.5〜30g/10分であることがより好ましく、1〜20g/10分であることがさらに好ましい。
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂と芳香族ビニル系樹脂を含有する場合の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂と芳香族ビニル系樹脂の合計100質量%に対し、芳香族ビニル系樹脂が、好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは15〜45質量%であり、さらに好ましくは20〜40質量%である。芳香族ビニル系樹脂の含有量が10質量%未満であると、レーザー溶着強度が低下する傾向にあり、50質量%を超えると、耐熱性、耐熱変色性が低下する場合があり好ましくない。
特に、本発明においては、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレン並びにポリカーボネート樹脂を含有することが、レーザー溶着性の観点から好ましい。
ポリカーボネート樹脂は、前述の通りである。
ポリスチレンとしては、スチレンの単独重合体、あるいは他の芳香族ビニルモノマー、例えばα−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等を、例えば50質量%以下の範囲で共重合したものであってもよい。
ブタジエンゴム含有ポリスチレンとしては、ブタジエン系ゴム成分を共重合又はブレンドしたものであり、ブタジエン系ゴム成分の量は、通常1質量%以上50質量%未満であり、好ましくは3〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは、5〜20質量%である。ブタジエンゴム含有ポリスチレンとしては、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)が特に好ましい。
ポリスチレン又はブタジエンゴム含有ポリスチレンの中では、ブタジエンゴム含有ポリスチレンが好ましく、特にハイインパクトポリスチレン(HIPS)が好ましい。
ポリスチレン又はブタジエンゴム含有ポリスチレンの好ましい質量平均分子量、MFRは、前述の通りである。
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレン並びにポリカーボネート樹脂を含む場合、得られる樹脂組成物の結晶化温度(Tc)が190℃以下であることが好ましい。すなわち、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂とのエステル交換反応を適度に抑制し、結晶化温度を適度に低下させることにより、レーザー透過性をより向上させることができる。結晶化温度(Tc)はより好ましくは188℃以下、さらに好ましくは185℃以下、特に好ましくは182℃以下、最も好ましくは180℃以下である。また、その下限は、通常160℃、好ましくは165℃以上である。
なお、結晶化温度(Tc)は、示差走査熱量測定(DSC)機を用いて、窒素雰囲気下、30〜300℃まで昇温速度20℃/minで昇温し、300℃で3分保持した後、降温速度20℃/minにて降温した際に観測される発熱ピークのピークトップ温度として測定される。
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂が、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレン並びにポリカーボネート樹脂を含む場合の含有量は、以下の通りである。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレン並びにポリカーボネート樹脂の合計100質量%基準で、30〜90質量%であることが好ましく、40〜80質量%がより好ましく、50〜70質量%がさらに好ましい。含有量が30質量%未満であると、耐熱性が低下する場合があり、90質量%を超えると、透過率が低下しやすくなり好ましくない。
ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレンの含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレン並びにポリカーボネート樹脂の合計100質量%基準で、1〜50質量%であることが好ましく、3〜45質量%がより好ましく、5〜40質量%がさらに好ましい。含有量が1質量%未満では、レーザー溶着性、靱性が乏しくなる場合があり、50質量%を超えると、耐熱性が大きく低下しやすくなり好ましくない。
ポリカーボネート樹脂の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレン並びにポリカーボネート樹脂の合計100質量%基準で、1〜50質量%であることが好ましく、3〜45質量%がより好ましく、5〜40質量%がさらに好ましい。含有量が1質量%未満では、レーザー溶着性が低下したり、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレンの分散が不良となり、成形品の表面外観が低下しやすくなる。50質量%を超えると、ポリブチレンテレフタレート樹脂とのエステル交換が進み、滞留熱安定性が低下する場合があり好ましくない。
また、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレン並びにポリカーボネート樹脂の合計100質量%中、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレンとポリカーボネート樹脂との合計含有量は10〜55質量%であることが好ましく、20〜50質量%が好ましく、25〜45質量%がより好ましい。このような含有量とすることにより、耐熱性とレーザー透過率のバランスに優れる傾向となり好ましい。
さらに、ポリスチレン及び/又はブタジエンゴム含有ポリスチレンとポリカーボネート樹脂成分の含有割合は、質量比で5:1〜1:5であることが好ましく、4:1〜1:4であることがより好ましい。このような含有割合とすることにより、耐熱性とレーザー透過率のバランスに優れる傾向にあり好ましい。
[(B)ガラス繊維及び(C)ガラスビーズ]
本発明の樹脂組成物は、(B)平均繊維径が15μm超のガラス繊維及び/又は(C)平均粒径が25μm以上のガラスビーズを含有する。
(B)ガラス繊維
本発明で用いる(B)ガラス繊維は、従来から市販されているガラス繊維に比べ、直径が15μm以上という太径のものを使用する。このような太径のガラス繊維を使用することで、配合するガラス繊維の本数を少なくでき、樹脂組成物中でもレーザー光の内部散乱が大きく低減し透過率が高くなることでレーザー溶着性が向上する。また、配合するガラス繊維の本数を少なくできるため、ガラス繊維の成形品表面での浮き等による表面外観不良や耐候性の低下を抑制することができる。
ガラス繊維の直径は、好ましくは16μm以上、より好ましくは16.5μm以上であり、また、好ましくは25μm以下、より好ましくは22μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。
(B)ガラス繊維の数平均繊維長は、1mm以上10mm以下であることが好ましく、1.5〜6mmであることがより好ましく、2〜5mmであることがさらに好ましい。数平均繊維長が10mmを超えると成形品表面からのガラス繊維の脱落が発生しやすく、生産性が低下しやすい。数平均繊維長が1mm未満では、ガラス繊維のアスペクト比が小さいため、機械的強度の改良が不十分となりやすい。
(B)ガラス繊維は、その繊維断面の形状に制限はないが、円形であることが好ましく、具体的には繊維断面の扁平率(長径/短径)が1以上1.5未満の断面がほぼ円形のガラス繊維であることが好ましい。扁平率は1〜1.4がより好ましく、1〜1.2がさらに好ましく、1〜1.1が特に好ましい。
(B)ガラス繊維としては、通常熱可塑性樹脂に使用されているものであれば、Aガラス、Eガラス、Sガラス、Cガラス、Dガラス、ジルコニア成分含有の耐アルカリガラス組成や、チョップドストラント、ロービングガラス、熱可塑性樹脂とガラス繊維の(長繊維)マスターバッチ等の配合時のガラス繊維の形態を問わず、公知のいかなるガラス繊維も使用可能である。
(B)ガラス繊維は、従来公知の任意の方法に従い、ガラス繊維のストランドを、具体的には、例えばハンマーミルやボールミルで粉砕することにより製造できる。
(B)ガラス繊維は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂との密着性を向上させるため、また、機械的特性、耐久性、耐湿熱性、耐加水分解性、耐ヒートショック性を向上させる目的で、シランカップリング剤などにより表面処理を行うことができる。表面処理に使用できるカップリング剤としては、例えばシラン系、チタネート系、アルミニウム系、クロム系、ジルコニウム系又はボラン系などが挙げられるが、これらの中でも、シラン系カップリング剤が好適である。
シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、中でも、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランから選ばれた1種以上のカップリング剤の使用又は併用が特に好適である。
また、本発明に使用する(B)ガラス繊維は、これらの繊維を多数本集束したものを、所定の長さに切断したチョップドストランド(チョップドガラス繊維)として用いることも好ましく、このとき(B)ガラス繊維は集束剤を配合することが好ましい。集束剤を配合することで本発明の樹脂組成物の生産安定性が高まる利点に加え、良好な機械物性を得ることができる。
集束剤としては、特に制限はないが、例えばウレタン系、エポキシ系、アクリル系等の集束剤が挙げられる。なかでも本発明に使用するガラス繊維の集束剤としては、ウレタン系、エポキシ系集束剤がより好ましく、エポキシ系集束剤がさらに好ましい。エポキシ系集束剤としては、ノボラック型等のエポキシ樹脂、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂等も好ましく挙げられ、中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いると、(B)ガラス繊維と(A)熱可塑性ポリエステル樹脂との界面密着性が強すぎず適度なものとなり、そのため(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の結晶化が進みにくくなるため、結果透過率が向上しやすくなると考えられる。
チョップドストランド(チョップドガラス繊維)のカット長についても特に制限はないが、通常1〜10mm、好ましくは1.5〜6mm、より好ましくは2〜5mmである。
(C)ガラスビーズ
本発明で用いる(C)ガラスビーズは、平均粒径が25μm以上のものである。このように大きなガラスビーズを含有することで、ガラスビーズの配合量を少なくできるため、樹脂組成物中でもレーザー光の内部散乱が大きく低減し透過率が高くなることでレーザー溶着性が向上する。また、ガラスビーズの配合を少なくできるため、ガラスビーズの成形品表面での浮き等による表面外観不良や耐候性の低下を抑制することができる。
(C)ガラスビーズの平均粒子径は、好ましくは30μm以上、より好ましくは35μm以上、中でも40μm以上、とりわけ45μm以上であり、特に好ましくは50μm以上であり、また、好ましくは100μm以下、より好ましくは90μm以下、中でも80μm以下、とりわけ75μm以下であることが好ましく、特に好ましくは70μm以下である。
本発明に用いる(C)ガラスビーズは、中空ビーズであってもよく、中空のガラスビーズ、ガラスバルーン等であっても良い。(C)ガラスビーズは真球に近い程好ましく、(C)ガラスビーズの真球度は1〜1.7、特に1〜1.5、とりわけ1〜1.2であることが好ましい。
なお、上記の平均粒径や真球度は、粒度分布測定機を用いて測定することができる。平均粒径はレーザー回折法で測定されたD50(粒子径分布のメジアン径)をいう。
(C)ガラスビーズのガラス組成は、Aガラス、Cガラス、Eガラス、Sガラス、Dガラスなどのガラス組成からなるもの、特に無アルカリガラスであるEガラスが好ましい。
このような(C)ガラスビーズは、カップリング剤等の表面処理剤で表面処理されたものであってもよく、表面処理により(A)熱可塑性ポリエステル樹脂成分との接着性が適度に高められ、また、樹脂組成物の機械的特性、耐久性、耐湿熱性、耐加水分解性、耐ヒートショック性が向上しやすくなる。
(C)ガラスビーズの表面処理に使用できるカップリング剤としては、例えばシラン系、チタネート系、アルミニウム系、クロム系、ジルコニウム系又はボラン系などが挙げられるが、これらの中でも、シラン系カップリング剤が好適である。
シランカップリング剤としては、前記と同様のものが例示され、中でも、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランから選ばれた1種以上のカップリング剤の使用又は併用が特に好適である。
これらのカップリング剤を用いて(C)ガラスビーズを処理する方法については、特に制限はなく、従来慣用されている方法、例えば浸漬塗り、ローラ塗り、吹き付け塗り、流し塗り、スプレー塗りなどの方法を用いることができる。
(B)ガラス繊維又は(C)ガラスビーズの含有量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対し、10〜100質量部である。好ましくは20質量部以上であり、より好ましくは25質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上であり、好ましくは80質量部以下であり、より好ましくは70質量部以下であり、さらに好ましくは60質量部以下である。含有量が10質量部より少ないと補強効果が小さく、剛性や耐衝撃性等の機械的物性が低下し、逆に100質量部を上回ると流動性や、レーザー透過率、レーザー溶着性、成形品外観、耐候性が低下する。なお、(B)ガラス繊維と(C)ガラスビーズを併せて含有する場合の合計の含有量も上記の範囲とすることが好ましい。
[安定剤]
本発明の樹脂組成物は安定剤を含有することが好ましい。
安定剤としては、リン系安定剤、硫黄系安定剤、フェノール系安定剤等、種々の安定剤が挙げられる。特に好ましいのはリン系安定剤及びフェノール系安定剤である。
安定剤の含有量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対し、0.001〜2質量部であることが好ましい。安定剤の含有量が0.001質量部未満であると、溶着用部材の熱安定性や相溶性の改良が期待しにくく、成形時の分子量の低下や色相悪化が起こりやすく、2質量部を超えると、過剰量となりシルバーの発生や、色相悪化が更に起こりやすくなる傾向がある。安定剤の含有量は、より好ましくは0.01〜1質量部であり、更に好ましくは、0.05〜0.5質量部である。
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ、中でも有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物又は有機ホスホナイト化合物が好ましく、特には有機ホスフェート化合物が好ましい。
有機ホスフェート化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
(一般式(1)中、Rはアルキル基又はアリール基を表す。nは0〜2の整数を表す。なお、nが0のとき、2つのRは同一でも異なっていてもよく、nが1のとき、2つのRは同一でも異なっていてもよい。)
上記一般式(1)において、Rはアルキル基又はアリール基を表す。Rは、炭素数が1以上、好ましくは2以上であり、通常30以下、好ましくは25以下のアルキル基、又は、炭素数が6以上、通常30以下のアリール基であることがより好ましいが、Rは、アリール基よりもアルキル基が好ましい。なお、Rが2以上存在する場合、R同士はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
一般式(1)で示されるリン系より好ましくは、Rが炭素原子数8〜30の長鎖アルキルアシッドホスフェート化合物が挙げられる。炭素原子数8〜30のアルキル基の具体例としては、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、トリアコンチル基等が挙げられる。
長鎖アルキルアシッドホスフェートとしては、例えば、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、オクタデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。
これらの中でも、オクタデシルアシッドホスフェートが好ましく、このものはADEKA社製の商品名「アデカスタブAX−71」として、市販されている。
上記一般式(1)で表されるリン系安定剤の含有量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対し、0.001〜1質量部であることが好ましい。含有量が0.001質量部未満であると、溶着用部材の熱安定性や相溶性の改良が期待しにくく、成形時の分子量の低下や色相悪化が起こりやすく、1質量部を超えると、過剰量となりシルバーの発生や、色相悪化が更に起こりやすくなる傾向があると同時に、レーザー透過率、レーザー溶着性が低下する傾向となる。より好ましい含有量は、0.01〜0.6質量部であり、さらに好ましくは0.05〜0.4質量部である。
上記一般式で表されるリン系安定剤の配合により、特に、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂がポリブチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂とを含む場合、両者のエステル交換反応を適度に抑制することとなり、樹脂組成物の結晶化温度が190℃以下となりやすい傾向となり、それにより、レーザー光透過性、レーザー溶着性もより向上しやすくなる。
フェノール系安定剤としては、ヒンダードフェノール系安定剤が好ましく、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
なかでも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。このようなフェノール系酸化防止剤としては、具体的には、例えば、BASF社製(商品名、以下同じ)「イルガノックス1010」、「イルガノックス1076」、ADEKA社製「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」等が挙げられる。
なお、ヒンダードフェノール系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
フェノール系安定剤の含有量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.01〜1質量部であることが好ましい。含有量が0.01質量部未満であると、熱安定性が低下する傾向にあり、1質量部を超えると、レーザー透過率が低下する場合がある。より好ましい含有量は、0.05〜0.8質量部であり、さらに好ましくは0.1〜0.6質量部である。
本発明においては、上記一般式(1)で表されるリン系安定剤とフェノール系安定剤を併用することが、滞留特性と耐熱性、レーザー透過率、レーザー溶着性の観点から好ましい。
[離型剤]
本発明の樹脂組成物は、更に、離型剤を含有することも好ましい。離型剤としては、熱可塑性ポリエステル樹脂に通常使用される既知の離型剤が利用可能であるが、中でも、ポリオレフィン系化合物、脂肪酸エステル系化合物及びシリコーン系化合物から選ばれる1種以上の離型剤が好ましい。
ポリオレフィン系化合物としては、パラフィンワックス及びポリエチレンワックスから選ばれる化合物が挙げられ、中でも、質量平均分子量が、700〜10,000、更には900〜8,000のものが好ましい。また、側鎖に水酸基、カルボキシル基、無水酸基、エポキシ基などを導入した変性ポリオレフィン系化合物も特に好ましい。
脂肪酸エステル系化合物としては、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル類等の脂肪酸エステル類やその部分鹸化物等が挙げられ、中でも、炭素原子数11〜28、好ましくは炭素原子数17〜21の脂肪酸で構成されるモノ又はジ脂肪酸エステルが好ましい。具体的には、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンジベヘネート、グリセリン−12−ヒドロキシモノステアレート、ソルビタンモノベヘネート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
また、シリコーン系化合物としては、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂との相溶性等の点から、変性されている化合物が好ましい。変性シリコーンオイルとしては、ポリシロキサンの側鎖に有機基を導入したシリコーンオイル、ポリシロキサンの両末端及び/又は片末端に有機基を導入したシリコーンオイル等が挙げられる。導入される有機基としては、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基、フェノール基等が挙げられ、好ましくはエポキシ基が挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ポリシロキサンの側鎖にエポキシ基を導入したシリコーンオイルが特に好ましい。
離型剤の含有量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対し、0.05〜2質量部であることが好ましい。0.05質量部未満であると、溶融成形時の離型不良により表面性が低下する傾向があり、一方、2質量部を超えると、樹脂組成物の練り込み作業性が低下し、また成形品表面に曇りが見られる場合がある。離型剤の含有量は、好ましくは0.1〜1.5質量部、更に好ましくは0.3〜1.0質量部である。
[その他含有成分]
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、上記した以外の種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤等が挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物には、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂以外の他の熱可塑性樹脂を、本発明の効果を損わない範囲で含有することができる。その他の熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、ポリアミド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられる。
[樹脂組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、樹脂組成物調製の常法に従って行うことができる。通常は各成分及び所望により添加される種々の添加剤を一緒にしてよく混合し、次いで一軸又は二軸押出機で溶融混練する。また各成分を予め混合することなく、ないしはその一部のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練し、本発明の樹脂組成物を調製することもできる。さらには、熱可塑性樹脂の一部に他の成分の一部を配合したものを溶融混練してマスターバッチを調製し、次いでこれに残りの他の成分を配合して溶融混練してもよい。(B)ガラス繊維、(C)ガラスビーズは、溶融混練時の破砕を抑制するために、押出機のシリンダー途中のサイドフィーダーから供給することが好ましい。
溶融混練に際しての加熱温度は、通常220〜300℃の範囲から適宜選ぶことができる。温度が高すぎると分解ガスが発生しやすく、不透明化の原因になる場合がある。それ故、剪断発熱等に考慮したスクリュー構成の選定が望ましい。混練り時や、後行程の成形時の分解を抑制する為、酸化防止剤や熱安定剤の使用が望ましい。
[レーザー溶着用成形体の製造]
レーザー溶着用成形体の製造方法は、特に限定されず、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられる。中でも射出成形が好ましい。射出成形法としては、例えば、高速射出成形法や射出圧縮成形法等を用いることができる。
射出成形の条件としては、特に制限はないが、射出速度は、10〜500mm/secが好ましく、30〜400mm/secがより好ましく、50〜300mm/secがさらに好ましく、80〜200mm/secが特に好ましい。また、樹脂温度は、用いる(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の種類によって適宜調整すればよいが、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂の場合は、250〜280℃が好ましく、255〜275℃がより好ましく、金型温度は40〜130℃が好ましく、50〜100℃がより好ましい。
また、射出成形機の吐出ノズルから金型キャビティに射出される単位時間当りの樹脂材料容量として定義される射出率が10〜300cm/secであることが好ましく、15〜200cm/secがより好ましく、25〜100cm/secがさらに好ましく、50〜90cm/secが特に好ましい。射出率をこのような範囲とすることで、成形品の反ゲート側部分のレーザー透過率をより高くしやすくなり、ゲート位置の調整によって、成形品中の溶着部位の透過率をより高くすることができる。射出成形では単位時間あたりの樹脂材料の射出容積及び射出に要する時間の調整により、1回の射出において射出される樹脂組成物の体積が制御されるが、単位時間あたりの樹脂組成物の材料容量が射出率(単位:cm/sec)である。
また、射出率を樹脂組成物が射出される金型キャビティの厚みで除した値として定義される面進行係数が100〜1200cm/sec・cmの条件で、射出成形することが好ましい。面進行係数をこのような範囲とすることで、成形品の反ゲート側部分のレーザー透過率をより高くしやすくなり、ゲート位置の調整によって、成形品中の溶着部位の透過率をより高くすることができる。好ましい面進行係数の範囲は200〜1100cm/sec・cm、より好ましくは250〜1000cm/sec・cm、さらに好ましくは300〜950cm/sec・cm、特に好ましくは400〜900cm/sec・cmである。
本発明のレーザー溶着用樹脂組成物は、その結晶化温度(Tc)が190℃以下であることが好ましい。結晶化温度(Tc)が190℃以下であると、樹脂組成物のレーザー透過率が高くなる傾向にある。結晶化温度(Tc)は、より好ましくは188℃以下、さらに好ましくは185℃以下、中でも好ましくは182℃以下、最も好ましくは180℃以下である。また、その下限は、通常160℃、好ましくは165℃以上である。
なお、結晶化温度(Tc)の測定方法は、実施例に記載の通りである。
得られた成形体は、レーザー溶着に供される。レーザー溶着する方法は、特に制限はなく、通常の方法で行うことができる。本発明のレーザー溶着用樹脂組成物得られた成形体(第一の部材)を透過側にし、相手材の樹脂成形体(第二の部材、被着体)とを接触(特に少なくとも溶着部を面接触)させ、レーザー光を照射することにより二種の成形体を溶着、一体化して1つの成形品とする。
本発明においては、射出成形金型のゲートからの距離が15mm以上離れた位置にある部位を溶着用部としてレーザー溶着することが、レーザー光透過性の点から好ましい。レーザー溶着部位の少なくとも一部が、ゲートから15mm以上離れていることが好ましいが、レーザー溶着部位の合計面積の30%以上がゲートから15mm以上離れていることがより好ましく、50%以上がさらに好ましく、70%以上が特に好ましく、レーザー溶着する部位の全てがゲートから15mm以上離れていることが最も好ましい。
本発明の上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を射出成形した場合、成形体の部位(位置)によりレーザー透過性の変動が大きく、ゲート位置から近い部位では透過率が低く、ゲートからの距離が遠くなると優れた透過率を示すことが、本発明者の検討により明らかとなった。
また、この透過率は、用いる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の組成、レーザー溶着部位の厚みや射出成形条件等の影響を受けるが、本発明においては、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の組成、レーザー溶着部位の厚み、射出成形条件等がいかなるものであっても、レーザー溶着部位の波長940nmのレーザー光における光線透過率を30%以上とすることが、レーザー加工性が向上し、強固なレーザー溶着が可能となる点から好ましい。
レーザー溶着に供する成形体の形状には制限はなく、好ましくは、射出成形金型のゲートからの距離が15mm以上、好ましくは25mm以上、より好ましくは30mm以上、さらに好ましくは40mm以上、特に好ましくは45mm以上、最も好ましくは50mm以上離れた位置に溶着用部を有していれば、全体の形状はいかなるものであってよい。通常は、溶着用部を相手材(他の樹脂あるいは同じ樹脂の成形体)と接合してレーザー溶着にするため、溶着部は少なくとも接触面(平面など)を有する形状(例えば、板状)である。また、レーザー光の透過部位の厚みは、広い範囲から選択でき、好ましくは0.1〜2mm、より好ましくは0.3〜1.5mm、さらには0.5〜1mm程度である。
レーザー溶着用の部位は、波長940nmのレーザー光における透過率が25%以上であることが好ましく、より好ましくは30%以上、さらには35%以上、中でも40%以上、とりわけ45%以上、特には50%以上が好ましく、55%以上であることが最も好ましい。
透過率は、成形体の厚みが薄いほど高くなるため、上記好ましい透過率とするために、用いる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の組成、成形体の厚み、射出成形金型のゲートからの距離並びに射出速度、射出率、面進行係数、樹脂温度及び金型温度等の成形条件等を適宜調整し、レーザー溶着用の部位がより高い透過率となるようにすればよい。
なお、本発明における透過率とは、波長940nmのレーザー光における透過率をいう。
レーザー溶着する部位の結晶化温度(Tc)は190℃以下であることが好ましく、より好ましくは188℃以下、さらに好ましくは185℃以下、中でも好ましくは182℃以下、最も好ましくは180℃以下である。また、その下限は、通常160℃、好ましくは165℃以上である。なお、結晶化温度(Tc)の測定方法は、前述の通りである。
射出成形した溶着用成形体の溶着用部と、レーザー光吸収剤を含有する相手側の部材とを、面接触又は突合せ接触させ、通常、透過率の高い上記溶着用部材側からレーザー光を照射することにより、両者の界面を少なくとも部分的に溶融させ、冷却することにより一体化して1つの溶着体とすることができる。
レーザー光吸収剤を含有する相手側の部材としては、レーザー光を吸収することができ、レーザー光が吸収されることにより、溶融される熱可塑性樹脂組成物からなる部材であれば、特に限定されない。具体的には、レーザー光を吸収可能とするために通常カーボンブラック又はレーザー吸収性染料を含有した樹脂組成物からなる部材等が挙げられる。カーボンブラック等の吸収剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、樹脂組成物に対して0.2〜1質量%含有させることが好ましい。
レーザー光吸収性染料としては、ニグロシン、アニリンブラック、フタロシアニン、ナフタロシアニン、ポルフィリン、ペリレン、クオテリレン、アゾ染料、アントラキノン、スクエア酸誘導体及びインモニウム等が好ましく挙げられる。
これらのうち特に好ましいのはニグロシンである。ニグロシンは、C.I.SOLVENT BLACK 5やC.I.SOLVENT BLACK 7としてCOLOR INDEXに記載されているような、黒色のアジン系縮合混合物である。ニグロシンの市販品としては、例えば、「NUBIAN(登録商標)BLACK」(商品名、オリヱント化学工業社製)等が挙げられる。
レーザー光吸収性染料の含有量は、樹脂成分100質量部に対し、0.001〜0.2質量部であり、好ましくは0.003〜0.1質量部、さらに好ましくは0.005〜0.05質量部である。
より高い溶着強度を得るためには、両方の部材がいずれも上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物であって、相手材がカーボンブラック又はレーザー光吸収性染料を含有していることが好ましい。このような部材であれば、カーボンブラック又はレーザー光吸収性染料の有無以外は同様の組成であるので、溶着された部材同士がなじみやすく、より強固に固着される。
照射するレーザー光の種類は、近赤外レーザー光であれば任意であり、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット結晶)レーザー(波長1064nm)、LD(レーザーダイオード)レーザー(波長808nm、840nm、940nm)等を好ましく用いることができる。
レーザー溶着により一体化された溶着体の形状、大きさ、厚み等は任意であり、溶着体の用途としては、自動車等の輸送機器用の電装部品、電気電子機器部品、産業機械用部品、その他民生用部品等に特に好適である。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
以下の実施例及び比較例において、使用した成分は、以下の表1の通りである。
実施例3、参考例1〜2及び比較例1〜4)
[レーザー透過側成形体の製造]
上記表1に記載したガラス繊維、ガラスビーズ以外の各成分を、以下の表2に記載した量(いずれも質量部)でブレンドし、これを30mmのベントタイプ2軸押出機(日本製鋼所社製「TEX30α」)を用いて、ガラス繊維、ガラスビーズはホッパーから7番目のサイドフィーダーより供給し、押出機バレル設定温度C1〜C15を260℃、ダイを250℃、スクリュー回転数200rpm、吐出40kg/時間の条件で混練してストランド状に押し出し、樹脂組成物ペレットを得た。
得られた樹脂組成物ペレットを、120℃で5時間乾燥した後、射出成形機(住友重機械工業社製、型式:SE50)にて、シリンダー温度250℃、金型温度80℃、射出速度33mm/sec、射出率59cm/sec、面進行係数393cm/sec・cmの条件で射出成形して、図1に示すレーザー溶着評価用のASTM4号ダンベル片(厚み1.5mm)を製造した。なお、図1中の1は射出成形時のゲート位置を、2は後述のレーザー溶着評価におけるレーザー照射箇所を示す。
(1)透過率
上記で得られたASTM4号ダンベル片の反ゲート部のレーザー溶着部分(図1参照)について、分光光度計(島津製作所社製「UV−3100PC」)を用い、波長940nmでの透過率(単位:%)を測定した。なお、レーザー溶着部分のゲートからの距離は100mmであった。
(2)結晶化温度(Tc)
樹脂組成物の結晶化温度(Tc)は、示差走査熱量測定(DSC)機(パーキンエルマー社製「Pyris Diamond」)を用い、30〜300℃まで昇温速度20℃/minで昇温し、300℃で3分保持した後、降温速度20℃/minにて降温した際に観測される発熱ピークのピークトップ温度を、結晶化温度(単位:℃)として測定した。
(3)レーザー溶着評価
上記で得られたASTM4号ダンベル片を透過側にして、以下のレーザー溶着試験を行った。
相手材のレーザー吸収用部材としては、以下の各成分から得られた樹脂組成物のペレットを、上記透過材と同様にして成形したASTM4号ダンベル片を用いた。なお、レーザー溶着部分のゲートからの距離は100mmであった。
・ポリブチレンテレフタレート樹脂 ノバデュラン(登録商標、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)5010:67.4質量%
・ガラス繊維 T−187(日本電気硝子社製、繊維径13μm):30質量%
・安定剤 アデカサイザーEP−17(ADEKA社製):0.4質量%
・安定剤 アデカスタブAO−60(ADEKA社製):0.2質量%
・カーボンブラックマスーバッチ(ポリブチレンテレフタレート樹脂ノバデュラン5008を80質量%、カーボンブラックを20質量%):2質量%
上記レーザー吸収用部材上に、透過側部材として前記ASTM4号ダンベル片(厚み1.5mm)を重ね合わせ、ダンベル片のレーザー照射箇所2にレーザーを照射した。
レーザー溶着は、ファインディバイス社製レーザー装置(レーザー140W ファイバーコア径0.6mm)を用い、レーザー波長:940nm、レーザースキャン速度:40mm/秒、スキャン長:10mm、レーザー出力:50W、加圧:0.4MPa、レーザーヘッドと試験片2間の距離:79.7mmで行った。
で行った。
溶着して一体化した溶着体を用い、レーザー溶着強度測定を行った。溶着強度の測定は、引張試験機(インストロン社製「5544型」)を使用し、溶着して一体化された透過側部材とレーザー吸収用部材とを、その長軸方向の両端をクランプで挟み、引張速度5mm/分で引張って評価した。レーザー溶着強度は、溶着部の引張せん断破壊強度(単位:N)で示した。
(4)外観
上記で得られた樹脂組成物ペレットを、120℃で5時間乾燥した後、射出成形機(日精樹脂工業社製、NEX80−9E)を用いて、シリンダー温度250℃、金型温度80℃、冷却時間15秒の条件で、大きさ100mm×100mm×3mmtの成形品を射出成形した。得られた成形品を目視で観察し、以下の基準に従って外観を評価した。
◎:強化充填材の浮きがなく、外観に優れる
○:強化充填材の浮きが目立たず、実製品として問題ないレベルである
△:強化充填材の浮きが部分的に目立つ
(5)耐候性試験
上記(4)と同様の方法で得られた大きさ100mm×100mm×3mmtの成形品について、キセノンウェザー試験機を用い、以下の条件(ASTM G151準拠)で耐候処理を行った。
使用機器;アトラスCi4000
フイルター/インナー;石英
フイルター/アウター;タイプSボロシリケイト
ブラックパネル温度;63℃
放射照度;0.35W/m(at 340nm)
処理時間:3000時間
雨あり(102分光照射+18分散水を1周期)
上記処理後の成形品の外観を目視で観察し、以下の基準に従って耐候性を評価した。
○:強化充填材の浮きが目立たず、実製品として問題ないレベルである
△:強化充填材の浮きが部分的に目立つ
×:強化充填材の浮きが全体的に目立つ
以上の結果を以下の表2に記載した。
表2の結果から、本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、レーザー透過率、レーザー溶着性、成形品外観及び耐候性の全てにバランスよく優れるものであることがわかる(実施例1〜3)。特に、熱可塑性ポリエステル樹脂として、ポリブチレンテレフタレートホモポリマーと変性ポリブチレンテレフタレート樹脂とを併用すると、レーザー透過率、レーザー溶着性がより優れることがわかる(実施例3)。
一方、平均繊維径が15μm以下であるガラス繊維を用いた比較例1は、レーザー透過率が低下し、十分なレーザー溶着強度も得られない。また、成形品外観及び耐候処理後の外観も低下し、耐候性も劣ることがわかる。
繊維断面が扁平形状であるガラス繊維を用いた比較例4は、平均繊維径16μmの円形断面ガラス繊維相当の断面積を有するにもかかわらず、耐候処理後の成形品外観が低下し、耐候性が劣ることがわかる。
ガラス繊維、ガラスビーズのかわりにタルクを用いた比較例3は、レーザー透過率、レーザー溶着性及び耐候性が悪い結果となった。
本発明のレーザー溶着用樹脂組成物は、レーザー光透過性が高くレーザー溶着性に優れ、成形品の外観及び耐候性にも優れるので、自動車等の輸送機器用の電装部品、電気電子機器部品、産業機械用部品、その他民生用部品等の各種部品をレーザー溶着により製造するのに特に好適に適用でき、産業上の利用性は非常に高いものがある。
1:ゲート
2:レーザー照射箇所

Claims (5)

  1. (A)熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対し、(C)平均粒径が25μm以上のガラスビーズ10〜100質量部を含有し、樹脂組成物の結晶化温度(Tc)が185℃以下であることを特徴とするレーザー溶着用樹脂組成物。
  2. (A)熱可塑性ポリエステル樹脂がポリブチレンテレフタレート樹脂を含む請求項1に記載のレーザー溶着用樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載のレーザー溶着用樹脂組成物を成形してなるレーザー溶着用成形品。
  4. レーザー溶着の際、透過側に用いられる請求項に記載のレーザー溶着用成形品。
  5. 請求項又はに記載の成形品を用いてレーザー溶着されたレーザー溶着体。
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